2017年10月5日木曜日

リベラル勢力たちの自業自得 「反安倍なら何でもあり」では国民から見捨てられるだけ―【私の論評】マネジメントの原則から見る民進党消滅の要因(゚д゚)!

リベラル勢力たちの自業自得 「反安倍なら何でもあり」では国民から見捨てられるだけ

「立憲民主党」を設立した枝野氏
 民進党やリベラルとされるメディアが、森友学園問題や加計学園問題など「反安倍」に終始した結果、「安倍晋三首相より右」ともいわれる小池百合子都知事に民進党が事実上乗っ取られて分裂し、リベラル議員は「立憲民主党」を設立した。本コラムに書いたように「改憲」も加速する可能性がある。リベラル勢力やメディアは何を間違えたのか。

 結論から言えば、「反安倍」という名目であれば、何でもありというのが最大の間違いだ。客観的な情報をみれば、「モリ・カケ問題」には、首相の関与や意向は出てこない。にもかかわらず、例えば、文部科学省の前川喜平前次官について、天下り斡旋(あっせん)については厳しく批判していたのに、「反安倍」の発言をしたとたん、手のひらを返し、しかもその裏をとらずに金科玉条のように利用したりした。

 先日、加計学園問題で「行政がゆがめられた」という前川証言ばかりを報道し、「文科省によってゆがめられた行政が正された」という加戸守行・前愛媛県知事の証言をほとんど報道しなかったことについて、安倍首相がTBSとテレビ朝日の生放送で発言したら、両局関係者は凍り付いたという。不都合な事実を生放送で流してしまったからだろう。

 今回の「希望の党」による民進党の分裂についても、本来であれば、希望に行く各議員が以前主張していた政策と真逆の政策に賛同することを、「野合」「選挙目当て」などと厳しく批判するのがマスコミの役目である。

実際、過去には、大阪維新の会が石原慎太郎氏が率いる太陽の党、江田憲司氏が率いる結いの党と合流したときには、野合がどうかを厳しく追及された。しかし、「反安倍」であれば、議員の節操がいくらなくても許されるようだ。

 希望の党に参加する民進党出身者の多くは、安保2法に反対してきた。筆者は、安全保障分野では政治家の本質が現れやすいと思っている。つまり政治家の地金が出てなかなか意見が変わりにくい分野なのだ。

 筆者が政党に政策提言するときには、安全保障分野をできるだけ避けて、合意や意見変更をしやすい経済分野を中心としている。もちろん求められれば、安全保障分野でも政策提言を行うが、安全保障は意見対立が起こりやすく、しかも妥協のできにくい分野なので、取り扱いに細心の注意が必要だ。

 実際に、選挙戦になったら、希望から出馬する人が安全保障で意見を変えた場合、理由をぜひ聞きたいものだ。

 このようなリベラル勢力やメディアは、長い目で見れば結局国民から見捨てられるだろう。

 もっとも、そうした人たちの生命力はしぶとい。リベラル勢力やメディア関係者はひそかに希望の党に入り込んでいるという噂もある。もちろん、小池氏が公認権をもっているので象徴的な議員は排除されるだろうが、今勢いのある小池氏周辺には、左派の人が見え隠れしている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】マネジメントの原則から見る民進党消滅の要因(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の主張をさらにわかりやすく言うと、結局「アベ政治を許さない」という姿勢を貫く政党や議員は全部駄目になるということです。

「わが党の○○政策は、安倍政権の□□政策よりも、△△という理由ではるかに良い」と主張するのが本来の姿だと思います。

このような主張をした上で、「安倍政治を許さない」というのならまだ許せます。それでも、これが本来の主張より半分以上を超えて主張するなら、やはり駄目です。そんな党は、結局国民から見捨てられます。

旧民進党は、言葉づかいや、関連して扱うスキャンダルの内容は変わるもの、結局8〜9割方が「アベ政治を許さない」という主張でした。これだと、早晩滅ぶ運命だったのです。

なぜそのようなことになるかといえば、主に3つの理由があります。


第1は、自分たちの使命は「政権や権力と戦うこと」と定義してしまうと、本来の使命を考えなくなってしまうことです。

これは、誰が考えてもわかります。「政権や権力と戦うこと」自体は、手段に過ぎません。「政権や権力」と戦って、相手を潰したり、あるいは弱めたりすれば、自分たちの主張が通りやすくなります。

これは、あくまで自分たちの主張を通すための手段です。戦って、相手を潰したり、弱めた後には、自分たちは何をしたいのか、何をするのかはっきりしていなければ、全く意味がありません。
経営学の大家であるドラッカー氏はリーダーシップと、使命について以下のように語っています。
真のリーダーは、妥協を受け入れる前に、何が正しく、望ましいかを考え抜く。リーダーの仕事は、明快な音を出すトランペットになることである。(『プロフェッショナルの条件』)
ドラッカーは、リーダーシップとは、人を引きつける個性のことではないといいます。そのようなものは煽動的資質にすぎないとしています。まさに、「安倍政治を許さない」は、扇動的キャッチフレーズに過ぎないものです。

また、仲間をつくり、人に影響を与えることでもないといいます。そのようなものは、セールスマンシップにすぎないといいます。小池百合子氏も今のところ、上手にセールスマンシップを発揮しているに過ぎないのです。

ドラッカーはリーダーシップは、カリスマ性でも資質でもないとしています。それでは、リーダーシップとは何なのでしょうか。ドラッカーは、リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることだといいます。

信頼がない限り、従う者はいません。そもそも、リーダーに関する唯一の定義が、つき従う者がいることです。

信頼するということは、必ずしも好きになることではありません。常に同意できるということでもありません。リーダーの言うことが真意であると心の底から確信を持てるということです。それは、真摯さというまことに古くさいものに対する確信です。

この真摯さという言葉の定義は難しいです。ドラッカー氏自身もそう語っています。しかし、リーダーにはこの真摯さが不可欠なのです。真摯さについては、このブログでも言葉の定義や、真摯さに欠ける態度などについて、掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。真摯さについて、ここでは詳細を説明しません。詳しく知りたいかたは、この記事をごらんになって下さい。
小池都知事率いる「希望の党」に全く希望が見えない理由―【私の論評】小池氏と希望の党は真摯さに欠けていないか?
希望の党の立ち上げ
リーダーが公言する信念とその行動は、一致しなければならないのです。リーダーシップは、賢さに支えられるものではないのです。一貫性に支えられるものなのです。
リーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確立することである。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。(『プロフェッショナルの条件』)
「安倍政治を許さない」はどう考えても、政党の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確率したものではありません。使命が明らかになっていれば、このようなキッチフレーズが出てくるはずがありません。民進党は、自らの使命を考え抜くことができず、その結果として、目標や優先順位も決められず、基準も定められず、したがってそれを維持することもできませんでした。これでは、崩壊するのが当然です。


第2に、「アベ政治を許さない」では、まともな意思決定ができないということがあります。経営学の大家ドラッカー氏は、意思決定について以下のように述べています。
決定においては何が正しいかを考えなければならない。やがては妥協が必要になるからこそ、最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない。(『経営者の条件』)
決定においては何が正しいかを考えなければならないというのは、別な方面からると、誰が正しいか、誰が間違いであるかを考えてはならないということです。

これは、誰でも理解できます。社会問題を解決したり議論するときに、「誰が正しい、誰が間違い」などと議論することは不毛な結果しか招きません。やはり、「何が正しい、何が間違い」という議論をすべきです。

これは、一見誰にとっても当たり前のことのようにみえます。しかし、本当に当たり前でしょうか。多くの皆さんは、当たり前でない人たちを日々ご覧になっているはずです。そもそも「アベ政治を許さない」というキャチフレーズそのものが、「安倍が間違いで、自分たちが正しい」という前提に立っています。

これでは、まともな意思決定などできるはずはありません。それに、「アベ政治を許さない」というキャッチフレーズは、頭を使わなくても良いということもあります。何か政治信条などに、根ざしたキャッチフレーズだと、それを大勢の人々に理解してもらうには、それなりに説明したり、鼓舞しなければならず、かなり頭を使います。

しかし、このようなものでは、「あっ、安倍政権を倒すことが正義」だということで、このフレーズを広めるほうも、受けるほうも、頭を使うことをしなくなります。まともな意思決定のできない組織はどんな組織であれ、早晩滅びます。


第3に、民進党は、「アベ政治を許さない」という信念に凝り固まって、妥協の仕方が下手だということもあります。ドラッカーは次のようにも述べています。
頭のよい人、しかも責任感のある人は、せっかくの意思決定も実行されなければ意味がないと思う。そのため、最初から落としどころとしての妥協を考える。(『経営者の条件』)
安倍総理は、意思決定においては、最初から落とし所の妥協を考えているわけではありません。無論政治の世界には妥協はつきものなので、全く考えないということはないですが、少なくとも、野党と比較するとその度合いはかなり少ないです。

ドラッカーは、妥協について以下のように述べています。
妥協には2つの種類がある。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基づく。前者では半分は必要条件を満足させる。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用となる。半分の赤ん坊では妥協にもならない。(『経営者の条件』)
ギュスターブ・ドレ〈知者ソロモン王の裁き〉
実際、民進党をはじめ、野党の多くは、何が国民から受け入れやすいかという観点から、護憲という立場を崩さないことを前提に物事を考え、最初から落とし所を考えるため、北朝鮮の危機にまともに対応できるような意思決定ができません。北朝鮮どころか、国際情勢からかけ離れた意思決定しかできません。

一方安倍総理のほうは、「何が正しいか=日本の安全保障にとって何が正しいのか」を考えて意思決定をするため、少なくとも野党よりは、まともな意思決定ができます。

そうして、「安全保障のダイヤモンド」という構想にもとづき全方位外交を実施し、インドやアセアン諸国の信頼を勝ち得ることができ、さらには、これら諸国と米国を仲介し、それが故に米国この地域における外交は飛躍的に改善されました。

そのため安倍総理は、トランプ大統領からの信頼は絶大なものとなっています。残念ながら、マスコミは、このことはほとんど報道せず、ゴルフをしたことくらいしか報道しません。

ドラッカーは、何が受け入れられやすいか、何が反対を招くから触れるべきでないかを心配することは無益であって、時間の無駄だと言います。心配したことは起こらず、予想しなかった困難や反対が突然ほとんど対処しがたい障害となって現れると語っています。
ドラッカーは妥協について以下のように語っています。
何が受け入れられやすいかからスタートしても得るところはない。それどころか、妥協の過程において大切なことを犠牲にし、正しい答えはもちろん、成果に結びつく可能性のある答を得る望みさえ失う。(『経営者の条件』)
これが、まさに現在の民進党の状況なのです。そのことにはやく気づき、何が正しいかを考え、正しい妥協ができるようにならなければ、民進党の再生はあり得なかったのです。 

現実世界では、政治的意思決定のほとんどが、妥協の産物であることがほとんどです。しかし、前原代表は、最初から落とし所を求めて、妥協をした挙句に民進党の消滅という事態をもたらしたのです。

この妥協は現在は「希望の党」に圧倒的に有利なように見えます。しかし、この妥協は「希望の党」にとっても誤った妥協であることには変わりなく、近いうちに必ずこの妥協は良くない結果を招くことになります。

妥協するにしても、「半分の赤ん坊」を得るような間違えた妥協ではなく、「半分のパン」を得る正しい妥協をしなければならないのです。

ドラッカー氏はマネジメントはあらゆる組織に共通であるとしています。企業組織であろと、政党であろうと、病院であろうと、組織のマネジメントの原則は同じなのです。そのため、政治の世界もマネジメントの世界からながめると、非常に参考になります。

政治家もマネジメントを学べば、もっとまともに政権や、政党運営をできるようになるのではないかと思います。政治家として、何度も失敗を繰り返して、はじめてマネジメントの原則を学ぶというのではなく、最初から原則を学んで行動すれば、より賢く行動することができるはずです。

以上に述べたようにマネジメントの原則に反する行動ばかりする野党はますます衰退するばかりです。もう安倍憎しという単純な考えはやめて、最初から落とし所など考えずまともな政策論争をして少しでも多くの「半分のパン」を得る行動をすべきです。

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