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2019年3月21日木曜日

対中経済減速…10月消費増税に「黄信号」 田中秀臣氏「政策に大胆さ欠け手詰まり感」―【私の論評】増税すれば新たな怪物商品が登場し、日本はデフレスパイラルの底に沈む(゚д゚)!

対中経済減速…10月消費増税に「黄信号」 田中秀臣氏「政策に大胆さ欠け手詰まり感」

日本の主要貿易港の東京港。中国経済減速の影響が、対中輸出の減少に表れた

  今年10月に予定される消費税率の引き上げに、「黄信号」がともり始めた。対中経済の減速が顕在化し、国内景気も落ち込み局面に入ったようなのだ。米中貿易戦争は終止する気配がなく、英国の欧州連合(EU)からの離脱も不透明感が増す。安倍晋三首相は来月の新年度突入後、「増税見送り」を判断するのか。

 財務省が18日に発表した2月の貿易統計(速報)で、日本から中国への輸出額は前年同月比5・5%増加し、1兆円の大台に乗せた。

 だが、これは中国の経済活動が鈍る旧正月(春節)の時期が、今年は10日ほど早まり、早めに操業を休止する工場が増えた反動が大きいようだ。

 1~2月の合計でみると、前年同期の水準を6・3%も下回っている。

 2月のアジア全体(中国含む)への輸出は1・8%減の3兆3141億円と、4カ月連続マイナスになった。
 「リフレ派の論客」として知られる上武大学の田中秀臣(ひでとみ)教授は「中国との取引縮小は、世界経済悪化の象徴だ。間違いなく日本経済の足を引っ張っている。中国の経済政策は大胆さに欠け、手詰まり感があるために、今後どうなるのか、懸念材料だ」と指摘する。

 日本政府が発表する数字も悪くなっている。

 経済産業省が2月末に発表した1月の「鉱工業生産指数速報値」(2015年=100、季節調整済み)は100・8で、前月比で3・7%下げた。業種別では、全15業種のうち12業種が前月を下回っていた。

 内閣府が7日に発表した1月の景気動向指数は3カ月連続で悪化した。景気判断も「足踏み」から「下方への局面変化」に引き下げた。

 8%から10%への増税前に家計を温めるべきだが、この先、景気がさらに悪化したところで増税となれば、日本経済には大打撃になる。

 前出の田中教授は「政府や日銀には『日本経済はそれでも緩やかに成長している』との基本シナリオがあるが、間違いだ。幅広く分析すれば、14年に消費税率を8%へ引き上げた時よりも、今秋の増税で景気の落ち込みがより大きくなる可能性がある。国際情勢の不透明感もある。とても10%に上げるのは無理だ」と語った。

【私の論評】増税すれば新たな怪物商品が登場し、日本はデフレスパイラルの底に沈む(゚д゚)!

上記で、10%に増税することは無理な理由が述べられていましたが、これ以外にも今回の増税はかなり厳しい理由があります。それは、購買者の心理的要因です。

次の消費税増税は税率が10%へと2ポイント引き上げられるから、増税幅だけを見ると前回(5%→8%)より小さいです。経済学は『人間は合理的だ』という仮説に立っていますから、今回の消費増税の影響は前回より小さくなると予想することになりがちです。“2ポイントくらいたいしたことはない”というわけです。

しかし、心理学は『人間は合理的でない』という前提に立ちます。だから消費税率が3%や8%時には税額が計算しにくく、税負担をあまり考えない人も一定数いる一方、税率10%だと計算は簡単だから、誰もが“こんなに税金が高いのか”と買い控えるようになると予想できます。

今までは3%とか8%を明確に計算しながら買物をしていた人がどのくらいいたでしょうか。人間の行動に「複雑と思われる計算は簡単に諦めてしまうこと」があります。消費税そのものより明確に提示される配送料をより負荷や損失と感じる人の方が多いように思えます。

それが今度は10%という計算のしやすさから「消費増税」自体への警戒感がより強まりはしないかという点を指摘しておきたいです。

現在、多くのディスカウント衣料品チェーン店の多くで採用されている税抜き表記があります。これは税負担をイメージさせず、安さを強調しやすいテクニックとして広がっています。

衣料品の税抜き表記の事例

この総額表示義務に関する特別処置法は2021年3月末日までは有効なので、今回の増税についての影響は少ないと予想します。だいたい総額表記と税抜き表記が市場で混在していること自体、とてもフェアとは思えないですが、そこも商魂と捉えられてしまうのでしょうか。いずれにしても増税感をイメージさせない施策、取り組みが望まれるところです。

もし、10%になれば、1,000円の買い物をしたら100円の消費税、1000万円の買い物をしたら、100万円の消費税です。1億円の買い物なら、1000万円です。これは、購買心理が萎縮するのは当然です。

消費税アップの場合、言うまでもなく基準値は以前の価格です。そうして、1000円の商品Aと2000円の商品Bを考えると、当然ながらBの方が消費税アップによる値上がり幅の方が大きいです。そして人は支払い(≒手持ちのお金が減ること)が基本的に大嫌いです。

このときAとBが代替可能であれば、値上がり幅が小さいAを、すなわち低価格商品を買いたくなるのは当然の心理です。つまり消費税アップは必然的に、同じ商品カテゴリーの中で、低価格商品シフトを誘引することになるのです。

例えば、発泡酒・第三のビールと消費税とは決して無関係ではありません。実は発泡酒の歴史は意外に古くて1950・60年代には複数ブランドが販売されていたのですが、日本人が豊かになるにつれて、高価だが美味しいビールが好まれるようになり、いつしか発泡酒は市場から姿を消してしまいました。

それが1989年に、消費税が導入された直後から量販店間でビール価格の低価格競争が激化し、その流れを受けて1994年に発泡酒が発売され、さらに安い第三のビールも登場して、今やそれらの市場は本家のビールをはるかに凌ぐほどに成長しています。まさに、消費税が低価格の発泡酒を墓場から蘇らせた、と言っても過言ではないのです。

また、導入以降の消費税は数度にわたって引き上げられてきましたが、その間に牛丼やハンバーガーの低価格競争や、低価格ファストファッションや100円ショップの台頭などに代表される低価格志向が次々と起きて、日本経済はデフレからなかなか抜け出せないでいます。


それどころか、スーパー等では200円台のお弁当が売り出されるようになりました。これが最初にテレビで報道されたときは、私自身もかなり驚きました。デフレも極まったと恐怖心すら感じました。

そして歴史は繰り返すのです。2019年の消費税アップの際にも、消費者の低価格商品へのシフトは間違いなく起きるはずです。メーカー、流通を問わず、低価格志向への対応が待ったなし、です。そしてデフレ脱却はまた遠のくことになりそうです。

そうして、今回の増税により、発泡酒や200円お弁当の他にどのような怪物商品がてでくるのか、予想もつきません。

しかも、毎度の低価格商品シフトだけでも悩ましいのに、今回は酒類を除く飲食料品と定期購読新聞だけに日本初の軽減税率が適応されることで、新種の大問題が起きそうです。



例えば、マクドナルドや吉野家などの場合、店内で食べれば外食として10%(2%価格アップ)、テイクアウトすれば8%(価格据え置き)の消費税が適応され、一物二価となります。

「テイクアウト用として安く購入してこっそりと店内飲食」というズルイ抜け道はひとまず考えないこととすると、現在店内飲食している多くの客は、消費税アップ後はどういう行動を取るでしょうか。
わざわざ認知的不協和の法則を持ち出すほどもないが、以下の3タイプの消費行動に別れるでしょう。ー
①価格アップを不本意ながら受け入れて、これまで通り店内飲食 
②価格アップが嫌なので、仕方なくテイクアウト 
③価格アップかテイクアウトかの葛藤を避けるために、その店舗に行くこと自体を止める
実は飲食店にとっては①も②も、それに前述の抜け道「テイクアウト→店内飲食」も同じことです。後から行政に納める消費税額の違いだけであって、飲食店の実質的売上には関係ないです。

その意味では、飲食店にとって問題になるのは③のケースだけですが、私はそういう人が少なからず出てくるのではないかと思います。
と言うのも、当初は結構な人が「テイクアウト→店内飲食」をちゃっかりと選択するような気がするのですが、ルールを厳守する日本人の気質を考慮すると、彼らの大多数が後ろめたいとか恥ずかしく感じるはずで、やがては否応なく③を選択するようになる、と推察できるからです。

また、①と②を選んだ人にとっても、決して後味がよいわけではないです。①ではまるでボラレタような悔しさを、②では店から追い出されたような雪辱感を覚えて顧客価値が下がり、やがては来店しなくなる危惧もあります。ファストフード業界にとって、軽減税率はさぞや頭の痛い問題でしょう。

1989年に税率3%で導入された消費税は、1997年に5%、2014年に8%と7~8年の期間で逐次引き上げられてきました。今回は当初10%への引き上げを2015年に予定していたものを、2度に渡る景気判断(景気弾力条項の規定より)から先送りして、来年に施行されるといった経緯をたどりました。

前回の「8%増税」後、3年間で家計の実質消費が1か月あたり平均2万8000円(年間約34万円)も落ち込み、実質賃金は4%以上ダウンしました。高成長路線に乗ったかに見えた日本経済はあっという間にマイナス成長に転じました。

2020年オリンピックに向けてひた走る日本経済に向かってとんだ冷や水になりかねません。これに向けての対策は、簡単です、増税などしないということです。

増税は、景気が加熱し、インフレになりそうなときに実施すれば良いのです。デフレから抜けきっていないときするものではありません。

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2018年3月23日金曜日

【石平のChina Watch】「精神的日本人」の登場―【私の論評】現代中国の精日から次世代中国リーダーがでてくるかもしれない(゚д゚)!

【石平のChina Watch】「精神的日本人」の登場

 中国で最近、「精日=精神的日本人」と呼ばれる人々の存在が注目を集めている。

 例えば2月20日、2人の若者がネット上にアップした1枚の写真が波紋を呼んだ。四川省出身の唐さん(25)と南京市在住の宗さん(22)が、南京市内の山中にある日中戦争遺跡のトーチカをバックに撮った記念写真である。そのとき2人は、旧日本陸軍の軍服を身につけ、オモチャの軍刀と小銃を手に持ち、日の丸の旗を掲げていた。それがネット上で公開されると、2人は直ちに「悪質な精日」だと認定され、「日本の侵略戦争に対する賛美だ!」「民族感情を踏みにじった卑劣行為!」との批判の声が全国的に広がった。そして22日、2人の身元は警察によって割り出され、拘束される憂き目にあったのである。

四川省出身の唐さん(25)と南京市在住の宗さん(22)が
撮影した写真の一枚

 旧日本軍の「軍服」を着ただけで警察の厄介になるとはいかにも中国らしい出来事であるが、事態はこれで終息したわけではない。今月8日、全人代の記者会見に臨んだ王毅外相は、この一件に関連して記者から「精日のことをどう思うか」と聞かれ、顔色を変えて「中国人の堕落者だ!」と声を荒らげた。

「精日のことをどう思うか」と聞かれ、顔色を変え「中国人の堕落者だ!」と声を荒らげた王毅外相

 このように、ただ1枚の「コスプレ写真」が政府高官である王外相の厳しい批判まで招いたのだが、ここに出てくる「精日=精神的日本人」とは、一体どういう人たちなのか。

 「精日」という言葉はそもそも最近の新造語だから、いかなる辞典にも載せられていない。中国国内最大の検索エンジンである「百度」を見てみると、「精日」に対する定義は実に簡単で、「精神的に自分のことを日本人と同一視する人々のこと」である。百度はさらに、「精日の特徴」について一言を付け加えている。「精神的日本人の中には、日本を崇拝して自らの民族を恨み、中国人であることを恥じる極端な者もいる」という。

 今月9日付の法制晩報が掲載した記事も前述の百度と同様、「精神的においては自分自身のことを日本人と同一視する人々」と定義している。こうした人々の特徴について、法制晩報はさらに、「精神的日本人たちは、ファッションや生活習慣が日本風になるだけでなく、日本社会のモラルやマナーに従って行動する」と報じている。そして法制晩報の取材によると、「精神的日本人」のほとんどは10代か20代の若者であるという。

中国江蘇省南京市で2015年に開かれた「南京日本文化交流会」。
「渋谷系」「原宿系」などの化粧が紹介された

 こうしてみると、「精神的日本人」の多くは要するに、ファッションからマナーまで、日本の精神文化に傾倒し自らの民族的アイデンティティーを変えて日本人になろうとする人々のことであろう。

 ここで注目すべきなのは、前述の法制晩報も指摘しているように、「精神的日本人」のほとんどが10代か20代の若者であることだ。周知のように、今の中国の10代20代の若者たちは全員、1990年代からの「反日教育」の中で育った世代である。物心がついてから政府主導の反日教育をたっぷりと受けていながら、その中の一部が「精神的日本人」になろうとしているとは、まさに興味深い。

 つまり彼らの出現は、中国政府の反日教育の部分的失敗を意味すると同時に、わざと日本軍の軍服を身につけて記念写真を撮る前述の2人の若者の行動は、「日本軍がすなわち悪」という政府の反日教育に対する彼らの正面からの造反でもある。

 そして、「中国人であることを恥じる」という百度の解釈からも分かるように、「精神的日本人」になろうとする若者たちの多くはむしろ、現代中国の堕落と醜悪に嫌気がさしているからこそ、「理想」としての日本文化に同化しようとするのではないかと思う。若者層における「精神的日本人」の登場は、興味深い現象の一つであろう。
                 

【プロフィル】石平せき・へい 1962年、中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

【私の論評】現代中国の精日から次世代中国リーダーがでてくるかもしれない(゚д゚)!

政府を刺激している、これら精日といわれる人々は、アニメや芸能人にとどまらず、一般の人も巻き込んで、旧日本軍を賛美しています。
ブログ冒頭の石平氏の記事にも掲載された、日本軍の服装をして南京虐殺事件の戦地の前で記念撮影した2人が、ネット上に投稿し自慢する事件が起きました。

南京虐殺事件は中国が対日交渉に利用しているのですが、記念碑などは作ったまま放置されていて、警備もされていないし荒地になっています。

嘘で固めた南京大虐殺記念館

南京市公安局はネットユーザーによる告発を受けて2人を逮捕し15日間の拘留処分にしました。

中国では逮捕するのに、理由は不要で裁判所の許可も要らないし、罪状を発表する必要もありません。

2015年にも、中国全土で弁護士数百人が逮捕されたましたが、警察はドアを蹴破って理由も告げずに彼らを連れ去りました。

警察に問い合わせても逮捕した者の現状や理由の説明はされないし、裁判の経緯や判決も公表する義務もありません。

そのため、この二人がその後どうなったのかは、つまびらかではありません。

中国で日本好きを公言したり日本軍のコスプレをするのは相当なリスクを負うし、本人達もおそらくそれを分かってやっています。

それでもこうした人が増えているのは、中国に思想の自由がないことの反動なのでしょう。

この2人が、逮捕されたにも関わらず、模倣した人が再び南京市で同じようなコスプレ写真を撮り、ウェイボー(微博)に投稿しました。

因みに日本軍の軍服はネット上で2,000円以下でたくさん売られていて、サイズも選べたのですが、現在は取締りで買えなくなったようです。

皮肉にも日本軍の軍服が中国でブームになった理由は、政府が抗日ドラマを大量生産したからで、日本軍の将兵は、中国人にはお馴染みのキャラになっています。

中国の抗日ドラマにでてくる日本兵は中国人にはおなじみのキャラ

抗日ドラマの中の日本軍は悪逆非道なことばかりするのですが、それもある種の「かっこ良さ」に見えているようです

王毅外相は3月8日にブログ冒頭の記事にもあるように、「精日中国人的敗類」(精神的日本人は中国人のくず)と激怒してみせましたが、政府高官がそう言わざるを得ないほどに増えているようです。

抗日ドラマやネット弾圧強化によって、中国では自国に疑問を持ち日本について関心を持つ人が増えたのです。

「毛沢東は日本かぶれで日本軍と協力していた」という日本人があまり知らないことも、中国のネット上では(隠語で)揶揄されています。

「日本は中国を侵略した」ということがよく言われてきましが、それは正しくはありません。日本が中国に進出したのは、もともと中国の内戦に巻き込まれた、というのが実情です。しかし日本は、それでも中国に足を踏み入れた以上、中国の内戦を止め、中国を救おうと奔走しました

それは中国に安定と秩序をもたらすための人道的、道義的介入でした。当時の中国はひどい混迷と分裂の状態にあり、内乱と騒乱にあけくれる史上最悪の内戦国家でした。

各軍閥(ぐんばつ)は血で血を争う抗争を続け、その犠牲となっているのは一般民衆でした。民間の犠牲者は、ときに数百万人、また数千万人にも達していました。そのうえ、頻繁に起こる飢饉により、百万人単位の民衆が餓死するといった事態も、何度も起きていました。これを何とかしようとし、日本は泥沼にはまってしまったのです。

そうして、日本は最終的には蒋介石率いる国民党軍と宣戦布告なしの戦争をするに至りました。実際毛沢東の共産党軍は、当初は蒋介石率いる国民党軍と比較すると弱小で国民党軍と直接戦うことなく、中国内を逃げ回っていました。

とこが、日本軍が国民党軍と戦争をしたため、国民党軍は弱体化し、中国共産党軍がこれを打ち負かし、台湾に追い出し、毛沢東は大陸に中華人民共和国を建国することができました。

実際、毛沢東は戦後、中華人民共和国を設立できたのは、日本軍のおかげてあると述懐していたそうです。

毛沢東はかなりの、日本かぶれでもあり西郷隆盛を尊敬し、中国で明治維新を起こそうと考えて共産主義運動を始めましたた。

青年時代の毛沢東

日本の敗戦後に日本軍と日本人の復員を助けたのは徹底した日本好きだった毛沢東でした。無論、一方では洗脳や対日工作もしました。

毛沢東は、日本に留学したことはありませんでしたが、日本は、19世紀末から20世紀初頭にかけて、清国(中国)からの留学生を毎年喜んで受け入れました。日本は清国から学びに来る彼らに、知識を与え、独立心を育てていきました。

その中国人留学生の数は、ピーク時の1906年には、2〜3万人にものぼったといいます。中国人留学生が日本の港に到着して、まず驚いたことは、小さな学童たちがみな学校へ通う姿でした。それは当時の中国では、考えられない光景だったからです。中国では、学校というのはごく一部の人々のためでした。大多数の人は字が読めませんでした。

しかし、向学心に燃えた中国人たちが、競って日本に学んでやって来るようになりました。のちに中国に、親日また反共(反共産主義)の南京国民政府を樹立した汪兆銘も、法政大学で学んだ人物です。日本は彼らを喜んで受け入れ、中国の未来のために官民をあげて支援していったのです。

しかし、日本人の中には共産主義に共鳴するものたちも存在し、それらが留学生たちに共産主義思想を植え付けました。それが、後に中国が共産化するきっかけにもなりました。

ただし、毛沢東自身は、共産党は当時極貧だった中国をまとめるための方便に使ったようです。毛沢東自身は、米国と近い関係になりたいと考え、戦後に米国に秋波を送りましたが、米国がそれに一切応じなかったために、仕方なく当時のソ連と接近したといわれています。

このような中国の歴史は、現在の中国では捏造され、日本軍は平和な中国に一方的に侵略したことにされています。そうして、この憎き日本軍を中国の共産軍が打ち破り、独立したことになっています。その憎き日本軍は、南京で数十万の市民を虐殺したことにされています。

この捏造により、中国共産党ははじめて、中国人民に現在の中国共産党の統治の正当性を主張できるのです。だからこそ、戦後70周年のときに、噴飯ものの「抗日軍事パレード」を開催したのです。

このようなこと、少し歴史を深く調べれば、すぐに虚偽であることがわかります。中国政府はこうした事を国民に知られてはならず、より一層精日を警戒するのです。

中国で精日が増えているといことは、共産党の歴史の捏造に気づく若者が増えているということかもしれません。

現在の中国の共産党一党独裁はかなり制度疲労をおこしています、現在の状態がそのままつづくとは考えられません。この体制が崩れたとき、かつての毛沢東が精日だったように、現在の中国の精日から次世代の中国のリーダーがでてくるかもしれません。

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2017年1月22日日曜日

【トランプ大統領始動】「地球上で最も不誠実な輩」とさっそくメディア批判 トランプ氏、就任から一夜明け―【私の論評】分断されていた米社会、トランプ大統領登場で統合への対話が始まる(゚д゚)!

【トランプ大統領始動】「地球上で最も不誠実な輩」とさっそくメディア批判 トランプ氏、就任から一夜明け

21日、米バージニア州ラングレーのCIAで演説
するトランプ大統領 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
トランプ米大統領は就任から一夜明けた21日朝、メラニア夫人やペンス副大統領とともにワシントン大聖堂での礼拝に参加した後、中央情報局(CIA)で職員を前に演説し、メディア批判を展開した。首都ワシントンやニューヨークなど全米各地では女性を中心とした大規模なデモが行われて数百万人が参加。トランプ氏の差別的な発言に対して抗議の声を上げた。

 トランプ氏はワシントン近郊にあるCIA本部を訪れ、「私とメディアは戦争状態にある。彼らは地球上で最も不誠実な輩だ」と述べる一方で、CIA職員を「1000%支持する」と語った。就任前、トランプ氏はロシア政府が自らの不都合な個人情報を持っているという内容を米情報機関がマスコミに漏らしたとし、「それはナチス・ドイツがやるようなことだ」と批判していた。

 メディア批判でトランプ氏が問題視したのは米情報機関との確執や、就任式行事への参加者数をめぐる報道。トランプ氏はCIAでの演説で聴衆が25万人にとどまったとする報道があったと指摘し、「嘘だ」と断言。「演説をしたときに見たが、100万人か150万人はいるようようだった」と述べた。

 オバマ前大統領の就任式には過去最高の約180万人が参加。今回の就任式には70万~90万人が訪れると見込まれていた。

ワシントン記念碑から見たトランプ氏の大統領就任式の写真(左)と2009年のオバマ氏の就任式の写真
 スパイサー大統領報道官も21日、ホワイトハウスで就任後初の記者会見を開き、「最大規模の観衆が就任式を目撃した。以上だ」と述べた。式典会場を管理する国立公園局が未集計のため「誰にも人数は分からない」として、メディアを非難。質問を受け付けずに記者会見を打ち切った。

「女性の行進」に向かってトランプ氏支持のタオルを振る女性(21日)
 ワシントンで21日に開かれた「女性の行進」には数十万人が参加した。

【私の論評】分断されていた米社会、トランプ大統領登場で統合への対話が始まる(゚д゚)!

トランプ氏は、ブログ冒頭の記事で、「私とメディアは戦争状態にある。彼らは地球上で最も不誠実な輩だ」と述べていますが、これは本心でしょう。

日本のメデイアでは、あたかもトランプ大統領の登場によって、アメリカ社会が分断されたかのように報道しています。しかし、これは真っ赤な大嘘です。

アメリカ社会はトランプ氏の最近の台頭よりはるか以前から分断されていました。どのように分断されていたかというと、リベラル・左派と保守派の2つに大きく分断されてきました。正確な統計などはないのでわかりませんが、実数でも大きく半分にわかれていたと思われます。

アメリカ大統領選挙の結果 赤がトランプ氏が勝利を収めた州

しかし、今回の選挙の前までは、この事実が埋もれていて、一部の人を除きアメリカでも多くの人に知られることはありませんでした。

なぜ、そのようなことになったかといえば、このブログでも過去に何度か掲載してきたように、アメリカのメディアの9割は、リベラル・左派によって占められており、保守は1割程度に過ぎないため、保守派の人々が声をあげても、それはリベラル・左派のメディアには取り上げられることはほとんどなく、取り上げるのはほとんど全部がリベラル・左派の考えや主張だからです。

これを日本にたとえると、大手新聞なら産経新聞は存在せず、朝日新聞や毎日新聞のようなメディアだけが存在している状況です。テレビ局では、フォックスTVのみが保守系で、あとはすべてがリベラル・左派メディアです。

このような状況ですから、保守の声はかき消され、リベラル・左派の声ばかりが報道されるという状況なのです。

米メデイアはほとんどがリベラル・左派であり著しく偏っている
メディアがそのような状況ですので、学校や、企業などにおいても、リベラル・左派の考えが主流であり、保守系の考えはなきがごとくにみなされてきました。

アメリカの保守派は、ルースベルト大統領はソ連と手を結び、共産主義と対峙していた日本と戦争をした愚かな大統領として批判する人々も多いのですが、リベラル・左派の考えでは、ニューディール政策でアメリカ経済を建て直し、第二次世界体制を勝利に導いた英雄という見方をしています。

そのせいでしょうか、たとえば米国歴史学界においては、ルーズベルトを礼賛しないと学界にはとどまってはいられないそうです。そのため、まともな歴史研究をするためには、保守系のシンクタンクや、軍の研究機関に入るしかありません。

さて分断といえば、マイノリティとマジョリティによる分断、あるいは1%の富豪とそれ以外の分断、さらには白人と黒人の分断、いくらでもあります。アメリカ社会は、戦後ずっと分断され続けてきたのです。そうして、その中でも最大のものが、リベラル・左派と保守の分断でした。そうして、この分断はまるで存在しないかのような扱いを長い間受けてきました。

これに対して異議を申し立てたのがトランプ氏とトランプ支持者なのです。

トランプ支持者を一刀両断的に「プアーホワイト」のひと言で片づける論調もありましたが、決してそうではなかったことが今回の大統領選挙で明らかになったのです。アメリカ人のなかでも心ある人は、声に出さなくともトランプ氏の言葉に共感しています。今までのアメリカ大統領候補は「アメリカを否定」してきたからです。 

リベラル・左派は結果としてアメリカの国民のことは考えていませんでした。代わりにアメリカの富豪による世界戦略を考えてきたのです。

アメリカでのトランプ台頭について「ヨーロッパにおける醜い民族主義」などと評されることがありました。

「ヨーロッパで今台頭している醜い民族主義とアメリカのトランプ氏の主張は、どちらもポピュリズムであり、同じものである」という主旨です。私もトランプ現象とヨーロッパで起きていることは底流で結びつくものであるとは思います。

しかし、それは醜い民族主義でも不健全なポピュリズムでもありません。むしろ健全だと思います。

トランプ氏の主張はポピュリズムではない
無論、トランプ氏自身の言葉に現われている過激な側面を礼賛しているわけではありませんし、もちろん、トランプ氏を支持しているアメリカ人が不健全ということでもありません。また、大量の移民受け入れに反対しているヨーロッパの人たちが醜い民族主義者であるともまったく思いません。

しかし、世界のメディア、あるいは言論界、無論日米のそれもたいていこのような観点から見ているのです。彼らはずっと無条件で移民受け入れが良いことであると言い続けてきました。さらに移民に対して無条件に賛成しない人たちやそれを支持する人々をポピュリズムだと決めつけ、保守派の大衆を見下してきました。私たちはそういうメディア、またメディアに巣食う知識人の「きれいごと」に洗脳されてきたのです。

例えば「人権を守らなければならない、人種差別をすべきではない、性差別をすべきではない」という言い方があります。こうした意見に対しては誰も反対できません。しかし、こういうきれいごとと、アメリカやヨーロッパの現実には大きな乖離があります。

こうした乖離について内外の言論人はほとんど取り上げませんでした。だからこそトランプ氏の発言に支持が集まったのです。

移民の問題については、非常にわかりやすいのと、時宜にあっているので、述べましたが、ご存知のようにリベラル・左派と保守の間には他にも、改革をするための進め方や手続き、伝統的な価値観、世界観、安全保障の面でも大きな隔たりがあります。

私たちが注意しなければならないのは、現在のリベラル・左派の「頭のなかで考えていることが、現場の現実とは乖離している」ということです。そうして、問題は「ポピュリズム」まったくのレッテル貼りであるということです。大衆迎合的ということは、すでに価値判断が入ってしまっているということです。迎合という言葉も、大衆という言葉も“上から目線”になっているのです。

米国では上から目線のリベラル・左派の考えが主流だった
この上から目線というのは、移民やその他マイノリティーを守ること、伝統的価値観を捨てて、新しい価値観を受け入れることが、現場の現実からかけ離れていることもあるのに、それを絶対善として、疑問の余地がなく全く正しいものとみなすという偽善的、独善的態度のことです。

無論、リベラル・左派の考え方が何もかも間違いなどというつもりも毛頭ありません。そういう言い方をしてしまえば、現在のリベラル・左派の上から目線と同じことになってしまいます。それは決して生産的なことではありません。

しかし、ここ数十年においては、あまりにリベラル・左派の考え方が、特に米国では強くなりすぎました。あまりに強くなりすぎれば、揺り戻しがあるのは当然です。この揺り戻しが、現在米国で起こっていることなのです。

その揺り戻しのを象徴するのが、今回の米国の大統領選の結果なのです。この背景を理解していなければ、これからのアメリカの政治・経済そうして社会の変化は、全く理解できません。

さて、アメリカ大統領選挙において、トランプ氏が勝利したため、アメリカの人口の半分くらいは存在する保守派の存在が明らかになったと思います。

しかし、これは選挙でそういう結果が出たというだけであって、現在の時点ではまだまだ、アメリカではリベラル・左派の考えが主流です。

アメリカの国民の半分を占める保守派の声は、現在のアメリカ社会ではまだ浸透していません。職場でも、学校でも、メディアの世界でもリベラル・左派的な考え方が主流です。

ただ、政治の世界だけが、大統領がリベラル・左派のオバマ氏から保守派のトランプ氏に変わります。議会も、概ね保守派の共和党が主流派になります。ただし、共和党が全部保守というわけでもありません。それは、日本の自民党の中も保守だけではなく、リベラル・左派の議員も存在するのと同じです。

そういう状況の中では、保守派でトランプ支持派の人々も、自分の職場や学校などの周りの人に配慮して、自分は保守派で、トランプ氏支持派であるとは、面と向かって言い難い雰囲気があるのだと思います。

だからこそ、トランプ氏の就任演説のときの聴衆はオバマ氏のときと比較して少ないのでしょう。

「LOVE TRUMPS HATE」と書かれたTシャツを着た選挙当日のガガ
また、このような変化を理解できない人々が、トランプ大統領反対デモを開催したり、それに参加したりするのです。そうしていわゆるセレブの反トランプデモですが、それをやるなら自分の収入の大半を経済的困窮者に寄附せよと言いたくなります。これは、日本国内での自称インテリが一銭も金を出さずに「文楽を守れ!」と口だけでカッコつけていたのとよく似ています。空虚な言葉より行動をという、トランプ大統領の就任演説の言葉が身に染みます。

しかし、トランプ大統領が登場して時がたてば、まずはマスコミが報道姿勢を変えざるを得なくなります。なぜなら、トランプ大統領の考えは保守的であり、それを報道しなければ、報道機関としてまともに機能しているとはいえません。

そうして、現在米国ではトランプ氏のツイッター発信にメディアが大慌をしています。なぜならオバマ氏とメディアのリベラル・左派同士の協調関係がなくなり、これからは取材力・評論力による完全実力競争時代に突入するからです。以前のように上から目線の取材ではトランプ大統領は納得しないでしよう。ある程度以上の力がなければ記事を作れなくなるのです。

米国メディアは、これからは変わらざるをえないでしょう。米国保守を無視した報道はできなくなります。また、米国の保守は、リベラル・左派の失敗を繰り返すべきではありません。右だろうが、左だろうが、その時々において、良いものは良いし、悪いものは悪いのです。また、良いものが永遠に良いはずもなく、その逆に悪いものが、永遠に悪いものであり続けるということもないのです。

そうなると、一般社会も保守派の考え方にも耳を傾け、良いもの、まともなものは受け入れられるようになると思います。これから、本当の対話が始まるのです。トランプ大統領の登場により、分断したアメリカは、はじめて対話の緒をつかむことができたのです。もしトランプ大統領が登場しなければ、そのような機会はさらに遠のいたことでしょう。

リベラル・左派の人々も、トランプ登場をそのように考え、自分たちの考え方だけが、絶対善であるというような考え方はやめて、保守の人々とまともに対話をすべきです。そうでなければ、この変化についていくことはできません。態度を変えなければ、変化についていくことの出来ないただの認知症で妄想を信じる老人と同じです。

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