2019年10月10日木曜日

「タイトルがヘイトだ」 アイヌ新法に疑義呈する講演会めぐり小競り合い―【私の論評】アイヌを利用した差別利権の温床になる「アイヌ新法」(゚д゚)!


  アイヌ新法に疑義を呈する講演会の会場前で、一部の参加者と「ヘイトスピーチだ」と
  主張する人々との間に割って入る北海道警=札幌市白石区 

アイヌ新法に疑義を呈する講演会をめぐり、参加者の一部と「講演会のタイトルがヘイトスピーチだ」と主張する反ヘイト団体のメンバーらとの間で小競り合いが発生、警官が出動する騒ぎに発展した。現場は、会場となった貸しホールのある札幌市白石区民センター前の歩道。開催前に反ヘイト団体が市に対して利用制限を求め、当日は約20人が「アイヌ差別は違法」と書いた横断幕などを掲げていた。(筆者注:講演会が行われたのは9月21日)

「アイヌになれる?」

 一方が「やれるものならやってみろ」と叫ぶと、もう一方が「触ってない」と怒鳴り返す。講演会開始の約1時間前。公道上に怒号が響く中、講演会の趣旨に賛同して街頭演説をしていた女性が声を張り上げた。

 「意見の違う者に言論の封殺をしてくるのはなぜなのか。私たちは警察の許可を得て街頭演説をしている。もめごとを誘発するのはご遠慮いただきたい」

 講演会のタイトルは「あなたもなれる? みんなで“アイヌ”になろう?」。憲法改正の実現などを目指す日本会議北海道本部が主催して9月21日夜に開かれ、「アイヌ先住民族、その不都合な真実20」などの著書がある医師の的場光昭氏と、元道議の小野寺秀(まさる)氏が講師を務めた。

アイヌ新法めぐる議論

 アイヌ問題をめぐっては、アイヌ文化を生かした地域振興のための交付金創設を柱とするアイヌ施策推進法(新法)が5月に施行され、初めて「先住民族であるアイヌの人々」と明記された。しかし、新法が土地や資源などに関する先住民族としての権利に触れていないことを課題とする意見もある。新法には「アイヌの人々」の定義に関する規定がなく、「アイヌの定義があいまいだ」と疑義を呈する人々もいる。

 主催団体の日本会議北海道本部に対し、事前に抗議や中止要請を行った団体はなかったが、道本部によると、個人から開催に反対するメールが1件あったほか、講師2人を名指しして危害を加えることをにおわせる手書き文書1件がファクスで届いたという。
市の承認に賛否23件

 一方、ヘイトスピーチ反対活動を行う団体「クラックノース」は9月12日、札幌市に対し、利用承認を取り消すか、条件付きにするよう要望書を提出した。

 新法4条のアイヌ差別禁止規定を根拠に挙げ、「題目は、アイヌの独自の民族としての一体性を否定し、誰でも“アイヌ”というものになれるのだと民族的アイデンティティーを剥奪したヘイトスピーチだ」などと主張している。

 会場は先着順や抽選で利用者が決まる有料の貸室の一つで、講演会や発表会、音楽活動などに利用できる。道本部の講演会は予定通り行われ、市は「貸室であり、承認時に講演会の内容までは確認しない。今回は不承認の要件に該当するという判断には至らなかった」としている。

 市白石区地域振興課によると、開催前にメールなどで市に寄せられた意見は計23件。このうち「使用させるべきではない」という趣旨は17件で、「利用承認を取り消すべきではない」も6件あった。

会場内も騒然

 講演会には参加費1000円(学生無料)を払えば誰でも入れるため、当日は反ヘイト側や多数の報道機関も入場した。

 講演会では、的場医師が「(アイヌを先住民族と初めて明記した)アイヌ新法ができて、(差別禁止規定の)第4条によって、アイヌが先住民族であることを否定すると『ヘイトだ』といわれるようになった」。小野寺元道議は「騒いでいる方たちは厳密な定義があるというが、実際は結婚するとアイヌになれる」などと持論を展開した。

 質疑応答の場面では、意見を表明する反ヘイト側に対し、他の参加者から「質問をしろ」と抗議する声が上がり、会場は約5分間にわたって騒然となった。

【私の論評】アイヌを利用した差別利権の温床になる「アイヌ新法」(゚д゚)!

政府は、アイヌ民族を先住民族と初めて明記した「アイヌ新法」の案を、2月15日に閣議決定しました。政府は、アイヌ文化の振興を外国人観光客の増加にもつなげたい考えで、今の国会で法案を成立させる方針だとされています。

FNNの報道によると、この法案は、北海道などに先住してきたアイヌを、初めて「先住民族」と明記したうえで、「アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現」を掲げている。そのうえで、サケなどの伝統的な漁法の規制緩和や、アイヌ文化を振興する新たな交付金の創設が盛り込まれています。

この「アイヌ新法」にはさまざまな問題点が指摘されており、最近、論壇誌やインターネットTVなどでも取り上げられ、話題となっています。

その中で、この問題について以前から警鐘を鳴らしてきた札幌在住の工芸家・砂澤陣氏が、2016年に出版した『北海道が危ない!』という本が注目されています。



ちなみに砂澤氏は、「いわゆるアイヌ系」の血を引く方であり、自らを日本国民と称すされる、世界的に有名な彫刻家である砂澤ビッキ氏の長男です。  

砂澤氏は、『北海道が危ない!』の中で、「自分たちの利権のために現代アイヌを『先住民族』に仕立て上げても、健全な形での文化継承など望めない」と訴えています。それはなぜなのか、ここで紹介します。

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なぜ差別を再生産するのか

 観光地で「見る」アイヌは、神秘的であったり、自然の中で穏やかな生活をしているイメージを持つ人が多いだろう。

観光地でみるアイヌ

 しかし、それは大きな錯覚である。

 特にアイヌ協会に所属するアイヌは、いわゆる税金依存の落ちこぼれアイヌ、アイヌコンプレックスの集団であると断言してもよい。このようなことは昨日今日のことではない。遡れば昔々、江戸時代松前藩お抱えアイヌの頃からある。

 アイヌ内の差別は一般常識では到底理解できない領域にある。

 不正がメディアで報道されても、自分たちが処分されないことをいいことに横暴を繰り返す。立派な公金横領であろうと、詐取したお金の返還命令だけで終ると高を括り、内側への辱めと行政への恫喝をしながら外では、弱者を謳うのである。

 アイヌは自分たちの歴史への無知と腐敗体質を改善する力のなさを棚に上げ、行政やあらゆる場所で恫喝したり弱者を装ったりしながら、ありもしない差別をでっち上げ、「差別の再生産」を繰り返している。これをやられると相手側は面倒を嫌い、アイヌの要求に従ってしまう。このようにして差別利権が生れるのだ。

 アイヌ協会札幌支部などは、横領を行なった者たち自らが記者会見を開き、自分たちの不正を行政に擦り付けようとし、マスコミもそれを「人権擁護」とばかりに取り上げる。結局、正しい調査も改善策も出されるはずもなく、中途半端な道庁の調査と知事の「二度とこのようなことがないように……」といったおきまりのコメントで幕引きである。

 本来アイヌ政策は、アイヌ協会など通さなくとも市役所などの窓口に行けば受けられるのだが、そうしたことすらも行政の怠慢によって行われず、アイヌ協会役員の特権となっているのだ。泣きを見るのは、長年にわたるアイヌ協会の不腐体質の改善に一部の望みを託し、協力してくれたアイヌのお年寄りたちなのである。

 アイヌ生活支援政策を受ける時、ほとんどは協会役員の印鑑が必要だったり、歌や踊りの保存会に所属する場合でも同じだ。それが、俺の言う事に従わないと政策を受けさせないという暗黙の圧力にさえなっている。

 こうしたお年寄りや、まともなアイヌたちは、差別を受けながら協会内で我慢して過ごす以外に道は残されていないのである。

 アイヌ自立支援政策だ、文化保存政策だというものの、客観的な現状調査もなされず、歴史認識もあいまいな中での税金による助成は、自立を拒む者を生み出すだけだ。自立する意思を失わせることは弱者を虐げることにしかならない。

 アイヌ協会が行っていることは、弱者の自立心を奪い、補助金漬けにしながら、彼らを利用し、「まだまだ差別が存在する」と弱者利権を貪っているのである。

 私は思うのだが、本当に弱者を救済するということは、日本に昔からある「弱気を助け強気を挫く」という日本人の気質にこそあるのではないだろうか?

 古くさく任侠気質の言葉だと思う人もいるかもしれないが、こうした言葉の教育の方が、「人権擁護」「差別撤廃」などという看板を掲げて、ウラで利権を貪るようなやり方よりも、どれだけ多くの人を救えるかと私は思わずにはいられない。

 こうして書くと、「アイヌの事なのにシャモに何がわかるか! 何が日本人の気質だ」という声が聞えてきそうだが、それこそが甘えであり、自立しない逃げ口実にしか過ぎない。いわゆる「アイヌ」も同じ日本国民であり、意思伝達ツールも日本語である。アイヌ側の甘えとそれを放置し、同じ「人」として対等に扱わないことこそ「差別」というのではないだろうか。

 その意味で、行政や知事の対応は、アイヌに理解を示しているのではなく、差別再生産に加担しているとしか思えない。

これは日本国民全体の問題だ

 自分たちの不正行為の入り口に「アイヌ」の看板を掲げ、アイヌと日本の誇りに泥を塗るのはもうやめてもらいたい。

 そして読者のみなさんには、このアイヌ問題を、「北海道の問題」という概念で捉えないでいただきたい。沖縄と同じで、「日本の問題」であると考えてもらいたいのだ。

 アイヌ政策には国費も大量に使われており、その活動は北海道に留まらない。彼らは税金をわが物顔で使い、しかも領収書の偽造、不正経理は一向に減らず、国内外で活動を続けている。これらは紛れもなく「犯罪」であり、アイヌだからと言ってこれを見過ごすことこそ、「差別」なのではないだろうか。

 「アイヌとは何であるか」すら明確にせず、補助金や自治権を要求し、日本人とアイヌの分断を画策するかのごとき振る舞いを、アイヌの血を引く日本人として絶対に許せるものではない。私は自分の出自・郷土・国を信じ、これからも声を挙げていく覚悟だ。

アイヌの「誇り

 繰り返す。自分たちの利権のために現代アイヌを「先住民族」に仕立て上げても、健全な形での文化継承など望めない。アイヌ文化を守ることは、北海道の文化を守ることであり、幅と奥行きのある日本文化を守ることでもあるという意識を持ってこそ、すべての道民、国民の積極的で自発的な理解と協力が得られるのである。

 ところがプロ・アイヌたちは、アイヌ文化を日本文化から切り離して敵対させ、利権のために独占しようとする。あいつはシャモ(和人)だ、あいつの踊りは嘘だ、刺繍の図柄は盗んだものだ――と、彼らは非アイヌの人々がアイヌ文化に関わることを極度に嫌うが、そのような不寛容な姿勢で本当の文化継承ができるだろうか。

 私の闘いは終わらない。今後もアイヌ協会や諸団体の不正、そして行政システムの歪みを指摘し続けようと思っている。

 とはいえ、私が個人で動いても、いつも市・道・国という行政の壁にぶち当たる。市議や国会議員に相談に行くと、触らぬアイヌに何とやらで、いつも適当な逃げ口実ばかりだ。真相を追及して改善しようという勇気を持つ政治家には出会えない。そのため、あと一歩というところで詰めを欠いている。

    だが、負けるわけにはいかない。今後、アイヌ政策は国に委ねられ、全国的に「似非アイヌ」が出現し、国民の税金を我が物顔で搾取する不正が広がるのは確実だからだ。

 私は、この問題を取り上げてくれる勇気ある方がいるなら、何処へでも足を運び現状を訴えたいと思う。アイヌが本当の「誇り」に目覚めるまで。

砂澤陣(すなざわ・じん)氏


砂澤陣(すなざわ・じん)

 昭和38(1963)年生まれ。彫刻家砂澤ビッキの長男。ビッキ文様を継承するとともに、ビッキ作品の修復・保全活動、さらに自らも木工製品の制作を手がける他、注染で仕上げる「日本手拭い」の図案も手がけている。ブログ「後進民族アイヌ」でアイヌの自立を訴え、アイヌ利権とアイヌ史研究の偏向性の問題を告発し続けている。著書『北海道が危ない!』(育鵬社)が話題となっている。
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いわゆる「アイヌ問題」に関して、知らない方が、その問題の全容を知るためには、この書籍は格好の書籍だと思います。特に現状のその危険性について知るには、他に勝るものはないと思います。

アイヌ新法において、アイヌと認定するのは国でなく、公益社団法人北海道アイヌ協会が認定しています。アイヌ協会の理事長が承認すれば、アイヌと認められ、補助金等を受けられのです。

アイヌ協会は、「アイヌの血を引くと確認された者」のほか、その家族・配偶者・子孫、養子縁組による者にまでアイヌと認定しています。アイヌの血を引いていなくともアイヌと認定されれば、異常に手厚い社会保障の特権を受けることができるのです。

昭和63年(1988年)の調査では、東京在住のアイヌが2700人と推計されました。ところが、今は7万5000人と急増しています。アイヌ協会が認定すれば、誰でもアイヌになれるから、補助金目当てのにせアイヌが増えていると見られるのです。

北海道アイヌ協会には、アイヌ系日本人が全員加入しているのわけではありません。加入しているのは、全体の1割程度であり、約9割のアイヌ系日本人は、協会に加入していません。大多数のアイヌ系日本人は、真面目に日本人として生活しています。問題は、特権を悪用する一部のアイヌ協会員なのです。

北海道では、アイヌの文化や伝統の保護のために、アイヌ協会に対して、毎年多額の補助金や委託金が支出されています。もとは皆さんの税金です。ところが、公金の不正支出や不正受給など、多くの問題が指摘されています。補助金等が一つの利権となっているのです。これをアイヌ利権といいます。

平成22年(2010年)9月に、アイヌ協会の役員が補助金を水増し請求し、不適切な支給を受けていたことが発覚しました。ところが、逮捕も訴追もされませんでした。その後もこの種の問題が起こっています。

北海道では、経済的な理由で大学進学が出来ないアイヌの子弟とされる学生に年間で最大100万円を貸し付ける制度があります。修学資金貸付制度といいます。平成24年(2012年)の時点で、利用総額24億9千万円のうち、返還に応じたのは、160万円だけでした。これは0.06%に過ぎないです。

以後も、ほとんど返還されていません。アイヌ協会の役員が一族で修学資金を受け、月に計100万円以上を受け取っていたケースもあります。

また、アイヌを対象とした就職支援制度があります。職業訓練受講生に対し、月に13~14万円が支給されます。通常は一度訓練を受けたら就業するのが普通ですが、複数回の受講を行っている例があります。1年おきに10年受け続けたケースもあり、支給額は5年分で780万円以上にも上ります。

また、アイヌと認定された人々には、住宅購入資金の貸出制度があります。これも非常に杜撰な状態で貸し出されており、そのほとんどが返還されていません。税金で貸し付けを受けて建てた家を転売していたケースすらあります。

ここまでいくと、「たかり」といっても過言ではありません。なお、アイヌ協会の会員には、創価学会員が多いとも聞きます。

このようにアイヌ協会には、様々な不正支出・不正受給が指摘されているのですが、道もマスコミもその問題を追及しようとしません。そのため、多くの道民はアイヌ協会の問題点を知らされていないのです。

実際、北海道に長年住んでいる私もこの問題については数年前までは知りませんでした。多くの道民もそうだと思います。

何しろ、もうすでにアイヌ民族とはお目にかかったこともなく、お目にかかったことのない民族を差別することは無論できないですから、アイヌ民族が差別を受けているというい話は、学校でも、職場でも聞いたこともありません。

ただし、アイヌ系の血が入っているという人は、何人か知っています。ただし、そういう人たちも、日本人であり、日本人と同じ価値観と、生活様式で生活しています。

無論こういう人たちは、アイヌ民族などとは呼べず、日本人としか呼びようがありません。あえて区別するとしたら、アイヌ系日本人というところでしょうか。しかし、わざわざ「アイヌ系日本人の○○」ですなどと自己紹介する人などいません。無論、これらの人がアイヌ系日本人であるがゆえに差別されたとか、いじめらたことがあるとも言っていたことはありません。

無論他の理由で学校いじめられたことがあると言っていた人はいるように記憶していますが、「アイヌ系」だからというのはないです。

こうした生活実感からすると、やはり「アイヌ問題」とは後から人為的に作られたものといわざるを得ません。

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2019年10月9日水曜日

中国より日本のほうがマシなことに気づいたロシア―【私の論評】日米にはいずれ中露にくさびを打ち込める時が訪れる(゚д゚)!


岡崎研究所

 ロシアの独立系評論家イノゼムツェフが、4月24日付 Moskovsky Komsomolets紙掲載の論説で、ロシアにとって中国は頼りにならず日本の方がましであるとして、これまでの対中関係の見直しを提唱しています。論説の要旨は次の通りです。

イノゼムツェフ氏

 これまで、ロシアは中国との提携を重視して米国に対抗してきた。しかし、今回の米中首脳会談では、中国にとってはロシアより米国の方がはるかに重要であることが明白となった。中国は、対米経済関係を守るためなら、米国の言うことでも聞くのだ。

 中国はロシアを資源供給国と見下げ、製造業に投資しない。ロシアの企業の株を買い占めるだけである。

 カラガーノフとその一派(代表的オピニオン・リーダー。政権に近い)は中ロの蜜月は不変だと繰り返しているが、中国はロシアを支えることに対して、いつも恩着せがましく対価を要求する。

 日本はサハリンの石油ガス資源を開発してくれたし、トヨタ、日産は工場も建てた。日本は経済成長を支えている海洋諸国家への出口でもある。また「東」でありながら、西側の一部でもある。

出典:Vladislav Inozemtsev,‘Pundit sees Japan as better bet for Russia than China’(Moskovsky Komsomolets, April 24, 2017)

中ロ間に走った亀裂

 この1、2カ月、中ロ間にかすかな亀裂が走った感があります。それは、この論調が指摘するように、3月の米中首脳会談以後、中国が米国に協力的な態度を目立たせていることに起因します。国連安保理では、シリアの化学兵器、北朝鮮非難の双方で、中国が米国寄り、あるいは棄権の態度を取り、米国のイニシアチブをつぶそうとするロシアを孤立させました。

 これはおそらくプーチンの反発を呼んだのでしょう。習近平は4月26日に自らの最側近、共産党中央弁公庁主任の栗戦書に自分のメッセージを持たせて訪ロさせ、プーチンはこれと会談しています。クレムリンのホームページには、栗が「中国のロシアに対する関係には何の変化もない」ことを習近平のメッセージとして繰り返した旨、記載されています。中国は5月14、15日に北京で「シルクロード首脳会議」を開きましたが、プーチンに欠席されるようなことがあれば、面子丸つぶれになっていたところです。

 プーチンは、そのような中国を尻目に、ロシアの国際的立場維持のための措置を立て続けにとりました。5月初め、メルケル・ドイツ首相、エルドアン・トルコ大統領と相次いで会談、トランプ大統領に電話して同大統領との関係を維持、シリア情勢平定化に向けて立場をすり合わせると同時に、北朝鮮については話し合いによる解決を慫慂するなど、ロシアを世界政治の舞台にしっかりと位置付けて見せました。

 この10年余、中ロは提携を強めて米国による干渉を防ぎ、2008年金融危機以降は「米国の時代は去った。これからは多極化世界の時代だ」との宣伝を行ってきましたが、上記の経緯が示すように、最近、ものごとは再び米国を軸に動き始めた感があります。そして、中ロの間では、以前から指摘されてきた摩擦要因が頭をもたげてくる可能性があります。北朝鮮情勢で中国が陸軍の重要性を再認識し、これまで海軍・空軍に重点配布してきた国防費を陸軍に回すようになれば、中国の関心はこれまでの海洋から内陸部に向き、それはロシアとの摩擦を大きくするでしょう。

 本件論調は日本にとって歓迎するべきものではありますが、筆者のイノゼムツェフは政権側の人物ではありません。論調がどこまで政権内部の動きを反映したものかは分かりません。

【私の論評】日米にはいずれ中露にくさびを打ち込める時が訪れる(゚д゚)!
中国を支配したモンゴル帝国による13世紀のロシア支配(いわゆる「タタールのくびき」)や、19世紀のロシアによる清朝からの領土(現在の露極東沿海地方)の強引な割譲など、長大な国境線を有する両国には歴史上、侵略や領土紛争が絶えませんでした。

そうした対立は、両国が共産主義体制を敷いた現代に入っても続きました。旧ソ連時代には、共産陣営内での主導権争いや領土をめぐって大規模戦争が起きる寸前に至ったこともありました

しかし冷戦終結やソ連崩壊などを経て、互いの技術や資本を欲した両国の関係は改善。2001年には両国間で善隣友好協力条約が締結されました。その後もアムール川(中国名・黒竜江)の中州の領有権をめぐる長年の紛争が解決され、両国の国境が画定されました。

さらに現在は、両国にとって“共通の敵”である米国の存在もあり、ロシアと中国の関係は一般的に良好とされています。実際、昨今の中露両国は共同歩調が目立ちます。

習近平・中国国家主席による今年6月5~7日のロシア訪問は、5月下旬のトランプ米大統領の訪日を思わせる手厚い歓待でした。

サンクトペテルブルク大学名誉博士号を授与される習近平

中露は昨年、露極東で大規模な合同軍事演習を行うなど、軍事面でも関係を深めています。プーチン氏は首脳会談で「両国の戦略的パートナーシップは、かつてないほどの高水準に達している」と強調しました。

両首脳は、イランや北朝鮮といった問題はもちろん、第5世代(5G)移動通信システムの分野でも連携することで合意。プーチン氏は、米国が排除に動く中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)について、「前代未聞のやり方で世界市場から排除されようとしている」と中国の肩を持ちました。

中露首脳は、14日にキルギスで行われた上海協力機構(SCO)首脳会議のほか、大阪で行われた20カ国・地域(G20)首脳会議でも顔を合わせました。

中露両国についてはこれまで、米国に対抗するための「政略結婚」にすぎず、「蜜月」は長続きしない-との見方が語られてきました。

しかし、米中対立の深まりとともに、中国はロシアを自陣営に抱き込む動きを強めています。中国にとって、豊富な地下資源と軍事力を擁する隣国はありがたい存在です。ロシアも、米国の「一極支配」を打破し、国際舞台での影響力を高める上で中国と組むのが得策だと考えているようです。

ただし、ロシアには、4千キロもの国境を接する中国に対して潜在的な警戒心があります。

ロシア極東で中国と4千キロもの国境を接する

ソ連時代とは立場が逆転し、今や中国の経済規模はロシアの8倍以上もあります。対して、現在のロシアの経済は韓国並です。

広大なロシア極東部の人口が600万人にすぎないのに対し、隣接する東北3省には1億3千万人が住む。うかうかしていれば、中国の人とカネに国土を席巻されかねないのです。

だからこそロシアにとって、中国との関係は死活的に重要なのです。ウクライナ介入で米欧に対露制裁を科されている状況では、なおさら中国に依存せざるを得ないです。ロシアとしては、自国の「裏庭」と考える中央アジア諸国が、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」にのみこまれるのを抑制する必要もあります。

ロシアは、国際政治の「極」の一つでありたいと望んでおり、中国の弟分として埋没したくはないようです。将来的に、ロシアが対中関係を改める可能性は十分にあります。しかし、その機はまだ全く熟しておらず、日本が中露にくさびを打ち込めると考えるのは楽観的にすぎるでしょう。

最近、インドのモディ政権が日露両国に対し、経済を中心に3カ国で協力する枠組みを提案していることが判明しました。関係国の複数の外交筋が明かしました。


米国と中露との対立が先鋭化する中、インドはこの対立軸とは異なる新たな枠組みを持つことで両陣営の間でバランスを保ち、外交や経済活動の選択肢を広げる狙いがあります。ロシアは提案を前向きに受け止めていますが、日本は対米関係にも配慮し慎重に検討していく構えです。

以前からこのブログに掲載しているように、米国がさらに対中国冷戦を継続しつつ強化すれば、中国経済は弱体化し、そのときにはロシアの中国に対する不満が爆発し、ロシアが中国との関係を改めることは十分にありえます。

さらに、中露の対立が激化したときには、日米が中露にくさびを打ち込み、ロシアを対中国冷戦の一角に据えることも可能になるかもしれません。

さらに、中露対決が激化すれば、その時こそ日本にとつて、北方領土交渉かかなり有利なるのは間違いありません。

現在日本は、そのことも考え合わせ、対中冷戦に加担すべきなのです。来年、習近平を国賓待遇で迎えいれるなど、とんでもないです。

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2019年10月8日火曜日

池上彰さんへ、消費増税について議論しませんか 政府の主張を代弁?財政危機あおる解説に疑問 ―【私の論評】野党は、臨時国会を「三点セット」(関電、あいちトリエンナーレ、NHK)で終わらせるな(゚д゚)!

池上彰さんへ、消費増税について議論しませんか 政府の主張を代弁?財政危機あおる解説に疑問 


池上彰氏

消費増税に絡んで、国の借金や財政破綻の懸念に関する話が出てきている。消費税と国の財政の関係はどうなっているのか。

10月1日の消費増税の前に、テレビで各種の番組が組まれた。筆者も9月28日、大阪・朝日放送の情報番組「教えて!ニュースライブ正義のミカタ」で解説した。

そこでは、(1)米中貿易戦争など世界経済が危ういタイミングでの消費増税は最悪(2)消費税を社会保障に使う国はなく、社会保障が心配なら歳入庁を設置して社会保険料の漏れをなくすことが先決(3)軽減税率は不合理なので給付付き税額控除で代替(4)新聞の軽減税率対象はエコひいきで、裏には財務省からの天下り(5)マイナス金利の活用で5兆円程度の財源捻出可能(6)いっそのこと全品目軽減税率適用を(7)これらを10月4日からの臨時国会で議論すべきだ-と、これまで地上波で言えなかった話をした。もっとも、本コラムの読者ならおなじみの話だろう。

この番組は関東では放送されないが、好評で視聴率も高かったらしい。

同じ日に、テレビ朝日で放送された「池上彰のニュースそうだったのか!!」でも、ジャーナリストの池上彰氏が消費税について解説していた。その内容は筆者には「いま財政が危ないので消費増税」という財務省のプロパガンダのように思えた。

池上氏は番組で「とりあえずは大丈夫でも、借金がひたすら増え続ければ、いずれ財政破綻する危険性が高まる」と話していた。しかし、借金だけをみるのは不十分で、資産を同時に考慮すると日本の財政は危なくない。実際には財政破綻の確率は5年以内で1%程度しかなく、先進国の中で最低水準だ。

さらに、池上氏は説明の中で「政府と日本銀行は全く別のもの」と述べた。形式的には、日銀は政府と別法人であるが、理論上、政府の連結子会社だ。財務を見るときには、グループ企業は一体で連結して分析する。政府と中央銀行を一体連結して考えるのは、経済学で「統合政府」という考え方もあるくらい当然のことで、池上氏の説明は不正確だといえる。

筆者にとって、番組での池上氏の発言は、政府の主張を代弁しているように聞こえてしまう。そしてその説明は間違いだとしかいいようがない。

池上氏の番組には経済の専門家は出演しておらず、池上氏が居並ぶタレントに語りかける形式だった。タレントは池上氏に同意する役割のようにみえる。

池上氏をめぐってはかつて、専門家らに取材したことを明示せずに番組内で使うという問題が指摘されていたが、今回の場合、取材先は財務省関係者だったのだろうか。

筆者は、いまの状態で財政危機をあおるのは不見識だと考える。財政危機なのかどうかについて、“破綻論の家元”ともいえる財務省との公開討論にいつでも応じる用意がある。しかし、財務省側は逃げ回るだけで、決して応じない。

この際、池上氏の番組に筆者を呼んでくれれば、国民にとって有意義な議論ができるはずだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】野党は、臨時国会を「三点セット」(関電あいちトリエンナーレNHK)で終わらせるな(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の記事の内容の繰り返しになってしまいますが、本が財政破綻しようもないことや、政府と日本銀行は一体であり一帯としての呼称は一般的に統合政府と呼ばれていること、社会保障は保険として扱うべきであり、消費税等とはもともと関係なく、財源は保険料として徴収すべき性格のものであることなど、このブログの読者であれば、ほとんど常識といっても良いくらいのものです。

さらに、もう増税が決まってしまったのですから、それであれば、今更増税のすべきではないと言っても手遅れなので、現状の国債金利がマイナスであることを最大限に活用して、国債を大量発行して経済対策に当てることも、常識中の常識です。

何しろ金利がマイナスということは、政府がカネを借りる手段である、国債を発行すれば、政府はマイナス金利分儲かるということなのですから、発行して経済対策に当てれば良いのです。

さらに、経済対策をするというのなら、複雑な軽減税率などやめて、給付金などで低所得層などを支援するような対策を打てば良いのです。さらには、全品軽減税率ということにすれば良いのです。

しかし、これらが日本常識にならないのは、このブログでも過去に主張してきたように、財務省の増税キャンペーンにと、それの尻馬に乗るマスコミによるものであることも、このブログで過去に何度か主張してきたことであり、これもこのブログの読者であれば、ほんど常識になっているものと思います。

そうして、尻馬に乗るマスコミの代表が、池上彰氏であると言っても過言ではないです。
さて、上の高橋洋一氏の記事にも指摘されている、池上彰の消費税に関する報道の動画を以下に掲載しておきます。


さて、直近の日本経済はどうなっているのでしょうか。現状では8月が最新のものです。

https://www.boj.or.jp/statistics/tk/tankan09a.htm/9月日銀短観、大企業・製造業DIはプラス5 3期連続で悪化2019/10/1。 https://nikkei.com/article/DGXLASFL01H8X_R01C19A0000000/… 8月の景気指数、4カ月ぶり「悪化」に2019/10/7 。https://nikkei.com/article/DGXMZO50683810X01C19A0MM8000/…

と軒並み悪い結果が出ています。

明日は、景気ウォッチャー調査の結果もでますが、この状況だとこれも悪くなりそうです。

今月の月例経済報告はいつやるか未定ですが、しれっと景気判断が悪化でしました等と発表するだけで終わるのでしょうか。すでに臨時国会も始まっていますから、本来は景気対策しか手がないように思えるのですが。

ただし、麻生さんは追加経済対策は必要ないと言ってましたが、今のうちに本格的な対策を打たないととんでもないことになりそうです。

これだけ、経済指標が悪いにもかかわらず、増税をしているわけですから、本来ならば、野党の攻め時なのに「三点セット」(関電あいちトリエンナーレNHK)というのであれば全く心もとないてす。

無論この「三点セット」を無視せよとまではいいませんが、現状の財政問題と比較すれば、小さいです。

消費増税を最初に打ち出したのは自公政権での税法改正だったことは歴史的事実です。しかし、それにそそのかされ、政権与党として自公と協力してマニフェストにもない増税法を成立させた2012年時点の民主党政権は誤っていました。

猛省が必要です。そしてその後、2014年と今回と2度の増税の判断をしたのは自公政権でした。与党内での真剣な議論の中で鈴木洋一元衆議院議員(民主党)が、増税法に入れ込んだ「景気(弾力)条項」は、増税延期を財務省がのむ交換条件として自民公明政権が法律改正をして消し去ってしまいました。

わが国には所得の再分配が必要です。政府はそのための財源がないと言い張りますが、それは誤っています。緊縮財政を離れて再分配を行う財源はすでに目の前にあります。

すでに述べたように、国債を新たに発行して、あるいは格差を是正する目的で税金を集めて、それを全額日々の暮らしに追われている就職氷河期世代をはじめとする国民、若者たち、子育て世代に給付金として直接再分配すればいいのです。

必要なのは財源ではなく、政治的決断です。これまでそうした決断を下せる政党がなく、政治が政治としての役割を果たしていないから問題が起きているのです。

このブログでは、デフレ脱却の実現、緊縮財政への反対、就職氷河期世代への支援を主張してきました。これは、これからのわが国に絶対に必要な政策です。どれほどさえぎる壁が厚くても景気をよくし、賃金が上がるようにしていかなければなりません。

本来ならば、野党はこのようなことを主張すべきなのです。増税に関して、野党(現役議員という意味)で増税に関してまともな発言をしているのは現在は、昨年暮の補欠選挙で返り咲いた馬淵澄夫氏と、令和新選組の山本太郎氏くらいかもしれません。

馬渕議員は、「日本の借金1000兆円という数字自体を疑ってみる必要がある」ということと「消費税を引き下げよ」ということを昨年下野していたときに語っていました。

https://wpb.shueisha.co.jp/news/politics/2018/11/28/107637/

馬渕は民主党政権時代から、このようなことを語っていたのですが、当時の民主党の幹部らは聞く耳をもちませんでした。その後、民主党政権が崩壊した後の馬渕氏が所属していた幹部も右に習えでした。現在馬渕議員は無所属ということもあって、残念ながら、いくら正論を語っても大きな声にはなりません。

一方令和新選組の山本太郎氏は、上で紹介した池上氏の番組内容を真っ向から論破しています。それは以下の動画をご覧いただくとご理解できると思います。



このことに関して、ブログ記事にしている人もいます。そのブログの記事のリンクを以下に掲載します。


ただし、このブログは反安倍の立場から書かれているので、首をかしげざるを得ないことも買いてあります。私は、安倍政権に関しては、是々非々で、賛成するところも多々ありますが、反対するところもあります。無論、増税は大反対です。ただし、外交政策や、憲法改正に向けての努力に関しては、こころもとないとこもありますが、概ね賛同しています。そうして、両手をあげて賛成ではないのですが、それにしても野党があまりにだらしなく、今のところ安倍政権に変わる政権はないと考えています。

いずれにせよ、山本太郎氏は、財政に関しては、まともなことを言っています。この程度のことなら、このブログの読者の方々なら常識の範囲だと思います。さらに、このくらいのことは、本来高校でまともに政治経済を勉強した人なら誰でも知っていることです。

山本太郎氏に関しては、増税反対とか、日本が財政反対するはずがないということに関しては、賛成ですが、他の事柄についてはとても賛成するわけにはいきません。

しかし山本太郎氏もこのことに気づいたのですから、他の野党の議員、特に野党の幹部の人なら、財務省のキャンペーンがいかに強力であったにしても、やはり財政に関しては、もっとまともな考えを持つべきです。

さらに、野党が単純な反権力=反安倍というスタンスではなく、国民の立場に立って、論理的に筋道をたてて、高橋洋一が主張しているような、経済対策を実行するように国会で主張して、政策案を提出すれば、自民党の中にも反増税がいますから、それこそ財務省主導の際限のない増税キャンペーンを阻止することができるかもしれません。

ちなみに、増税反対の政策であれば、どの政党であれば、高橋洋一氏や、田中秀臣氏、情念司氏のような人たちも、政策立案に喜んで助け舟を出すと思います。そのような良心的な評論家、エコノミストはこの日本に大勢いると思います。さらに、野党は、鈴木洋一元参議院銀や、馬渕議員などにの声にも耳を傾けるべきと思います。

増税見送りもあり得ると語っていた萩生田光一文部科学相

野党の攻撃により、増税の悪影響を取り除くために、大きな経済対策が導入されることになれば、それこそ、麻生財務相は辞任ということになるかもしれません。そこまでいかなくても、次の組閣で麻生氏が財務大臣でなくなれば、野党の大勝利です。そうなれば、有権者も野党に振り向く人も現れるかもしれません。

有権者としては、財政や安保なども含めて、野党がまともな政策を打ち出せば、別に自民党ではないと考える人もでてくるでしょう。そうなれば、与党も財務省にやすやすと籠絡されることもなくなるかもしれません。そうして、与野党が切磋琢磨して、国民のために努力する体制ができあがるかもしれません。

それができたときに、日本の野党ははじめてまともな仕事をしたと国民から一定の信頼を勝ち得ることができるかもしれません。

それをせずに、臨時国会を「三点セット」(関電あいちトリエンナーレNHK)で終わられせば、国民からの信頼はまた地に落ちることでしょう。そうして、有権者からは大馬鹿と思われ、二度と這い上がることはできないかもしれません。

そうなると、安倍政権もこれから先、経済がますます悪化した先には、有権者の信頼を失うかもしれません。その後は、財政政策を根本的な変えない政党が政権与党になったとしても、短期政権で終わることになり、財務省はぬか喜びし、10%増税はおろか、20%増税、25%増税にまで突っ走ることになるかもしれません。

このまま増税して、まともな経済対策も打たないということになれば、与野党ともに疲弊することになるのです。特に野党はますます疲弊することになるでしょう。

自民党は、増税を決めてしまったので、自民党議員がいまさら自ら先頭に立って増税に反対するわけにもいきません。それは野党の役割です。今こそ野党は、国民のため、日本の政治主導のため、そうして自分たちのために、決起すべきなのです。

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2019年10月7日月曜日

台湾問題だけでない中国の南太平洋進出―【私の論評】海洋国家を目指す大陸国家中国は、最初から滅びの道を歩んでいる(゚д゚)!

岡崎研究所

 10月1日の中華人民共和国建国70周年を前に、中国は南太平洋の島嶼国、ソロモン諸島、キリバスの二か国に対し、立て続けに台湾と断交させ、中国との国交を樹立させた。ソロモン諸島と台湾の断交は9月16日、キリバスは9月20日であった。台湾を承認している国は今や世界中で15か国のみとなってしまった。蔡英文政権成立時の22か国から3年半の間に、実に、7か国が減少したことになる。


 台湾との外交関係の切り崩しは、中国の建国70周年に合わせて行われた。その意図は、習近平体制にとっては、米中貿易紛争の出口がはっきりしない上に、香港をめぐる大規模デモの継続に収束のめどが立たない状況下で、何とか自らが「核心的利益」と位置付ける台湾問題に対し、効果的な圧力を加え、台湾を追い詰めていることを、内外に誇示したいというのが本音であろう。

 中国としては、来る1月11日の台湾総統選において民進党・蔡英文に対する圧力をますます強化し、台湾の生存する国際空間をどんどん狭めたいところであろう。蔡英文自身は、ソロモン諸国の決定は中国が1月の総統選挙に介入しようとする新たな証拠であるとして、「ここ数年、中国は金銭や政治的圧力で台湾の国際社会での場を抑圧してきた」と批判した。

 ソロモン諸島が台湾と断交し、中国と国交を樹立した直後、一週間もたたずしてキリバスも台湾と断交した。この時の断交について、蔡英文政権の呉外相は「キリバスは最近、台湾の民用機の購入費用の贈与を要求し、台湾側が提案した商業ローン方式を拒否した。中国は複数の航空機や船舶の贈与を約束したという」と述べた。これは、中国の南太平洋諸国に接近する場合の台湾切り崩し策の典型例であろう。

 台湾の国家安全会議は9月25日、中国が来年1月の総統選挙に影響を与えるべく今後取ると想定される措置・策略について報告書を公表したが、その中で、年末までにさらに1~2カ国との断交に追いやられる恐れがある、としている。今回の台湾と断交しなかった太平洋の島嶼国の中から、総統選の直前のタイミングで外交関係を台湾から中国に切り替える国が出てくるということは、あり得そうな話である。中国による「金銭外交」の形をとった圧力強化が、台湾の総統選挙において、民進党、国民党、その他政党のいずれに有利に働くかは予断を許さないところである。

 なお、南太平洋のバヌアツは中国承認国であるが、最近、ここに中国が軍事拠点を作るのではないかとの噂が絶えない。もしそのような動きが加速されるようになれば、それはオーストラリアの裏庭に当たる場所であり、中国の言う「第2列島線」の中での軍事拠点化になり得るものである。「自由で開かれたインド太平洋」の構想に賛同する米国、豪州、日本などの国々にとって、そのような中国の動きは断じて無視できないものである。中国の太平洋島嶼国への浸透は、台湾外交の問題にとどまるものではなく、はるかに広範な地政学的意味を持っている。

【私の論評】海洋国家を目指す大陸国家中国は、最初から滅びの道を歩んでいる(゚д゚)!

「一帯一路サミット」が4月25~27日に北京で開催されました。今年のサミットは、150カ国以上が参加し、出席する首脳の数も増えました。

興味深いのは王毅国務委員兼外相の発言でした。サミットを前にした19日、記者会見を行い、「一帯一路は、地政学的なツールではなく、参加国に債務危機をもたらすものではない」とわざわざ断ったのです。

敢えてこうした発言をしたのは、「地政学上のツール」でしかなかったということが誰の目にも明らかになってきたからでしょう。

地政学者で海軍戦略家のマハンは「海を制する者は世界を制する」と述べましたが、マハンのシーパワー論に学ぶ中国は、西はジブチ、ギリシアのピレウス港、東はスリランカのハンバントタ港、オーストラリアのダーウィン港など、着々と海洋進出を固めています。

今後中国の触手が伸びていきそうなのが、南太平洋島嶼諸国です。

ハドソン研究所のシニア・フェローであるジョン・リー氏がこの問題を論じているので、そのレポートの要点を紹介します。



南太平洋島嶼諸国は貧しい国が多く、外部からの商業ベースでの投資を呼び込むのが難しいです。このため海外のODAに依存する国が多いのですが、そのなかでも中国のODAに依存するケースが後を絶たないのです。

たとえばフィジー共和国の人口は85万人。同国に対して2006から2013年の間に提供されたODAのうちの約50%が中国からのものです。

中国は、フィジー共和国、クック諸島、サモア独立国、トンガ王国、バヌアツ共和国等の島で、軍事的にも使用可能なインフラ施設を建設しています。

中国は、日本列島から台湾、フィリピン、南シナ海に至る第一列島線を絶対防衛ラインとし、東シナ海、南シナ海を聖域化し、いずれは伊豆・小笠原諸島からグアム・サイパンなどを結ぶ第二列島線まで進出し、第二列島線の外にアメリカを追いやることを目標としていますが、この列島線上に親西側諸国が並んでいると、第一列島線、第二列島線を突破できません。

このため、第二列島線上に位置する南太平洋島嶼諸国に軍事拠点をつくることで、ここから西側の影響力を排除し、第二列島線を突破することを考えています。

島嶼諸国の中でもバヌアツ共和国のケースは深刻です。中国とバヌアツは、ルーガンビル埠頭に軍事基地を造ることを協議しているといいます。この埠頭は、中国が54万ドル(約6000万円)の政府ローンを組み、2017年の半ばに建設されています。

冒頭の記事にもあるように、中国の島嶼諸国に対する援助によって、台湾との国交を断絶する国も増えました。
昨年11月に行われたAPECで、日米豪の3カ国は、アジア太平洋地域に対して民間資金による投資推進を行う覚書を結びました。こうした民間資金に加えてODAも重要です。

米国は、2017年の国家安全保障戦略、2018年の国防権限法で示された目標を実現するために、ODAを戦略に組み込むべきです。

中国は「先民後軍」の戦略で、ひも付きのインフラ整備を行い、債務の罠に陥れて、その国の港湾などを横取りする作戦を行ってきました。

ペンス副大統領やポンペオ国務長官らが幾度となく「中国の借金に頼るのは危ない」と警告しても、南太平洋島嶼諸国にとって、中国のお金はのどから手が出るほど欲しいものとなっています。島にはこれといった製造業もなく、若者の流出は続いているためです。逆に言えば、最貧国の足元に付け込む戦略を持っているのが中国です。

このまま放置すれば、ジブチのように中国によって軍港が築かれる日も遠くないです。

日本は、外務省と防衛省との縦割り行政で、安全保障の観点からODAを戦略的に運用する発想に欠けています。

フィジーの人口は約85万人で、南太平洋島嶼国で最大の人口を擁していますが、これは東京の世田谷区よりも少ないです。日米豪で戦略的なODAの支援を行えば、南太平洋島嶼国に軍港が築かれるのを防ぐことができるはずです。ODAを戦略的に運用することは、日本が最初に提唱したインド太平洋戦略を推進するものとなりえます。

ODAは人道的な支援に限定されるべきではないです。2018年のアメリカの国防総省の年次報告で、一帯一路は、「グローバルな覇権戦略」と言われています。いま必要なのは「挙国一致」で、中国の覇権戦略を先回りして阻止することです。

ただし、中国の南太平洋進出が吉と出るか、凶と出るかということになれば、凶と言わざるを得ません。

中国の未来を地政学的に見てみると、国家方針たる一帯一路(海陸のシルクロード)はランドパワーとシーパワーの確保があって初めて可能になることに注意しなければならないです。思い出されるのは『海上権力史論』を唱えたアルフレッド・マハンのテーゼです。彼は「大陸国家であることと海洋国家であることは両立しない」と述べ、両生国家の在り方を否定しています。

このテーゼは、他の史家も唱えるところで、大陸国家たるモンゴル帝国の経済的弱点は陸上輸送のコストは海上輸送のそれよりもはるかに大きいことでした。大陸国家は陸続きであるために、必然的に強大な陸軍が求められ、現中国を例にとっても115万もの陸上兵力を有しています。これを日本の14万、アメリカの49万と比較すると膨大な数です。しかもこの数は、近年の兵力削減を済ませた後の数なのです。

他方で、海上国家は防衛にかけるコストが少ないです。また、膨張する場合でも、大陸国家に見られるような他国領をすべて治める必要はなく、シーレーンのチョーク・ポイント(要衝)のみを押さえておけばそれで済みます。とりわけ、地政学的な要衝と物資の集まる集積地を押さえれば、相手の死命を制することが可能となります。大英帝国はこのようにして7つの海を支配しました。現在の中国はまさに、これを狙っているのです。

では、大陸国家と海洋国家が衝突すれば、どうなるのでしょうか。 両国家がきわめて相性が悪いことは、ハルフォード・マッキンダーの次の言葉からもよく分かります。「人類史は、ランドパワーとシーパワーの衝突の歴史である」 と。

このテーゼは、両者(海洋国家と大陸国家)の性格傾向から見て正鵠(せいこく)を射ているように思われます。そのテーゼをさらに深めたのが、ニコラス・スパイクマンのリムランド論です。「リムランドを支配するものがユーラシアを制し、ユーラシアを支配するものが世界の運命を制する」とした上で、スパイクマンはこう述べています。


「自分たち(米国)の安全を守るためにはヨーロッパとアジアの政治に積極的に協力しなければならない」(『平和の地政学』)と。海洋国家は、リムランド制圧に動く大陸国家の動向を見過ごすことはできないのです。日米が中国の海洋進出に対抗して「開かれたインド太平洋自由構想」をぶつけている現状は、まさにそのことを示しているのです。

そもそも、中国にはこれといった同盟国がいません。とりわけ、大国は皆無です。ロシアが唯一それに当たりますが、そのロシアは軍事的には侮れないとはいいながら、現状のGDP は韓国なみであり、とても大国とはいえません。

そのロシアを離反させれば、ほぼ同盟国は皆無となります。EUは中国と経済的利害をもってつながっていましたが、2012年あたりから関係が冷え込み始めました。

中国の弱点は、他国に輸出できるソフトパワーを持っていないことです。人民中国が思想的に唯一輸出できたものは毛沢東思想であったのですが、その毛思想は中国の伝統をことごとく壊してしまい、かつその毛思想も自ら放棄したため、今や文化的に誇れるものは皆無です。かつてのローマ帝国と比較すれば、さらに実態が明らかになります。

「ローマは3度世界を征服した。1度は武力で、1度はキリスト教で、1度は法で」(ドイツの法学者イェーリングの言葉)。では、現中国はどうでしょうか。上の言葉で言えば、武力しか持っていません。キリスト教(宗教・思想)や法(普遍的法体系)に当たるものがまるでないのです。これは、他国を真に魅了するものがまったくなく、経済と軍事のみで自己アピールしなければならないことを意味しています。

ここが、過去の中華帝国とまったく違います。かつての中華帝国も周辺国への恫喝と侵攻を繰り返したのですが、その高度な文明の故をもって尊敬も勝ち得ていました。それが現中国にはないのです。これは、世界帝国として台頭するには致命的な欠陥となるでしょう。

現在の中国は鄧小平が劉華清(中国海軍の父)を登用し、海洋進出を目指した時から両生国家の道を歩み始めました。そして今、それは習近平に引き継がれ、陸海併せ持つ一帯一路戦略として提示されるに至っています。しかしこれは、マハンの「両生国家は成り立たない」とするテーゼに抵触し、失敗に終わるでしょう。

劉華清(中国海軍の父)

事実、両生国家が成功裏に終わった例はありません。海洋国家たる大日本帝国は、大陸に侵攻し両生国家になったため滅亡しました。大陸国家たるドイツも海洋進出を目指したため2度にわたる世界大戦で滅亡しました(ドイツ第2、第3帝国の崩壊)。ソビエト帝国の場合も同じです。よもや、中国のみがそれを免れることはないでしょう。一帯一路を進めれば進めるほど、地政学的ジレンマに陥り、崩壊への道を早めてゆくことになります。

とはいいながら、先にも述べたように、日米はやはり南太平洋の国々に対して、OADなどで支援をするべきでしょう。日米がこれを実行すれば、中国はさらにこれらの国々への支援を増やさなければならないことになります。それは、中国の崩壊への道を早めることになります。

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2019年10月6日日曜日

ダライ・ラマ継承「本人が決定」 チベット人会議決議、中国介入を拒絶―【私の論評】驕り高ぶりの頂点に達した中共指導者習近平主席は国賓に値しない(゚д゚)!

ダライ・ラマ継承「本人が決定」 チベット人会議決議、中国介入を拒絶 

インド北部ダラムサラで法話を行うダライ・ラマ14世=2月

 インド北部ダラムサラで世界の亡命チベット人の代表を集めた特別会議が3日間の日程で開かれ、5日閉幕した。会議ではチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世(84)の継承のあり方はダライ・ラマ本人が決めるとする決議を採択。中国が後継者の選出に介入することを明確に拒絶した。

 特別会議は2008、12年に続き3回目。今月3日から始まり、世界24カ国から約340人が参加した。

 チベット仏教では「輪廻転生(りんねてんしょう)」の考えに基づき、高僧らが死去した際、生まれ変わりを探し出す伝統がある。ダライ・ラマが世を去った場合、中国政府は自らの影響下にある「ダライ・ラマ15世」を擁立し、チベット統治に利用することが懸念されている。ダライ・ラマは中国の介入とチベット人の混乱を避けるため、伝統とは異なるものの、生前の後継指名の可能性などに言及している。

 決議では「チベット人が存続する限り輪廻転生の伝統は存在するだろう」として、制度の継続を要求。その上で、継承の方法やあり方に関する決定権はダライ・ラマ本人にあることを強調した。中国政府が07年に決定した「チベット仏教における輪廻転生には(中国)政府の承認が必要」という規定については「チベット人の総意」として明確に拒絶した。

 ダラムサラでは11月中にもチベット仏教の高僧による会議が予定されており、同様の意見表明がなされる見通しだ。

 ダライ・ラマは1959年3月のチベット動乱後、ダラムサラに亡命。インド国内や海外で精力的に活動をこなすが、今年4月には肺の感染症と診断されて入院しており、亡命チベット人からは体調を心配する声が上がっている。

【私の論評】驕り高ぶりの頂点に達した中共指導者習近平主席は国賓に値しない(゚д゚)!

ダライ・ラマ継承「本人が決定」とチベット人会議が決議決議したということは、当然のことながら、中国共産党が現ダライ・ラマ逝去後の後継者に偽の転生化身の指名を計画しているということが発覚したからです。"Bitter Winter"誌はこの事実を本日伝えていました。

Bitter Winterは、中国の 信教の自由人権 について報道するオンライン雑誌として2018年5月に創刊されました。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(Center for Studies on New Religions、略称CESNUR)が、毎日8言語でニュースを発信しています。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えています。

その記事を以下に引用します。
チベットの指導者がダラムサラに集結し、中国共産党が現ダライ・ラマ逝去後の後継者に偽の転生化身の指名を計画しているとして全世界に警告を発した。
ダラムサラで行われた第3回特別総会の開会式。チベット政策提言機関提供。

10月5日、インドのダラムサラで開かれていたチベット人の第3回特別総会が閉会した。この会議を招集したのはカシャグ、すなわちチベット亡命政権とチベット亡命議会である。会議では緊急課題である 中国共産党 の計画に焦点があてられた。在位中のダライ・ラマ14世は84歳で健康上の問題を抱えており、彼の逝去後には北京が統制する偽のダライ・ラマを新たに指名しようとする動きがあるのだ。 
Bitter Winterは過去に2005年の異様な第5命令について報じている。これは仏教徒のラマのうち誰が化身であるかを決定し、化身を選定を行う手順を管理し、化身を本物として認めることについて、中国共産党が独占的な権限を持つことを定めた中国の規制である。無神論主義の党が、転生者を選定するという事態に西洋諸国は冷笑するかもしれないが、この措置の政治目的はあまりにも深刻だった。化身ラマはチベット(とモンゴル)仏教の最上位を占める。中国のチベット侵攻以前に亡くなった高僧の化身と認められた僧のうち、存命者は全員高齢になっている。彼らが次々と死去する中、中国共産党は少年たちを彼らの化身に認定して後継者を選び、党の操り人形として教育することを望んでいる。 
中国共産党は、チベット仏教ゲルク派においてダライ・ラマに次ぐ高位のパンチェン・ラマ11世の認定の際に、実際に行っている。パンチェン・ラマ10世が1989年に死去すると、現在のダライ・ラマは1995年に6歳の少年、ゲンドゥン・チューキ・ニマ(Gedhun Choekyi Nyima)を10世の転生として認定した。この少年は中国政府に誘拐され、中国共産党とダライ・ラマは彼が生きていると主張しているものの、消息は不明のままである。その後、中国共産党は当時5歳だったギェンツェン・ノルブ(Gyaincain Norbu)の認定を進めた。彼は中国共産党認定のパンチェン・ラマ11世、および中国における中国共産党に忠実な仏教徒の公式の代表になるよう育てられた。この偽のパンチェン・ラマは世界を回り、中国に盾突くことのできない団体や国々からは本物として扱われている。

真のパンチェン・ラマの支持を表明するポスター。 (John HillCC BY-SA 4.0)

1995年のパンチェン・ラマ問題以降、ダライ・ラマ14世が亡くなった後に自らダライ・ラマを任命することが中国共産党の最終目的であることが明らかになった。総会には24か国から離散中のチベット人の代表340人が出席し、親北京の外交員が世界各地に散在していて、中国共産党の計画は既に整っているとして注意を促した。在位中のダライ・ラマが亡くなれば、中国共産党はすぐさま自ら転生者を選定するだろう。 
実際、総会が指摘したとおり、現在のダライ・ラマが住むインドでは、中国共産党の選んだダライ・ラマ15世を受け入れさせようとする説得が既に始まっている。中国の「専門家」はインド政府に対し、「中国政府が正当なダライ・ラマ(の継承者)を認定した際にインド政府がそれを認めなかった場合、中印関係に影響を及ぼすほど政治的不和となるであろう。ダライ・ラマの転生は中国の重要問題であり、中国の盟友ならば本件について中国への介入や干渉を行うべきではない」と警告している。中央チベット亡命政府の首相、ロブサン・センゲ(Lobsang Sangay)博士は総会で「次期ダライ・ラマの選定に介入させないため、中国はインドに対して脅迫を続けています。インドのような新興の超大国を脅かすことができるならば、他の小国が受ける影響の大きさは言うまでもありません」と語った。 
現状、中国が偽のダライ・ラマを選ぶことに断固抵抗する気配があるのは1か国のみである。米国では、2019年9月に、超党派の中国問題に関する連邦議会・行政府委員会の議長と副議長をそれぞれ務める、ジェームス・マクガバン(James McGovern)下院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とマルコ・ルビオ(Marco Rubio)上院議員が、2002年のチベット政策法を更新、強化する規制「2019年チベット政策および支援法」(H.R. 4331S.2539)を提出した。この法案は、中国共産党がダライ・ラマの転生に関わる判断に介入することは チベット仏教 徒とチベットの人々の基本的な信教の自由を侵害していると述べている。さらに偽のダライ・ラマ15世の指名、任命に加担した中国政府の高官に対する制裁措置を呼びかけ、米国の公的機関に中国共産党が管理する偽の転生者を真のダライ・ラマとして一切認めないよう命じてもいる。 
しかし、中国共産党による偽のダライ・ラマ15世任命計画に反対する世界的な世論形成キャンペーンを今すぐに始め、十分な勢いをつけない限り、アメリカ以外の国々や仏教団体は中国に抵抗するだけの独立性や資力をもちえない可能性がある。
中国共産党が現ダライ・ラマ逝去後の後継者に偽の転生化身の指名を計画しているということは、由々しきことです。

これを日本にあてはめれば、日本に米軍が進駐したときに、司令官のマッカーサーが昭和天皇の次の天皇を任命するようなものです。そのようなことは、マッカーサー元帥は全く考え及びもつかなかったでしょうし、当時の米国の幹部もそのようなことは考えなかったでしょう。

チベットの精神的最高指導者であるダライ・ラマの化身認定についての中国の主張に対し、米国議会も、ダライ・ラマ法王の化身認定はダライ・ラマ法王のみが正当な権限を有することに議論の余地はないとしたうえで、ダライ・ラマによる指針のみに従うと発表しました。

「ここに明言します。米国議会は中国が選んだダライ・ラマを認めることは決してありません」 コリー・ガードナー上院議員は、上院外交委員会の東アジア太平洋・国際サイバーセキュリティ政策問題小委員会の公聴会で、こう述べました。同小委員会は、アジアにおける米国の政策を監督する重要な議会機関であり、カードナー議員が委員長を務めます。

コリー・ガードナー上院議員

米国議会は、中国の不当な主張に対抗する形で、ダライ・ラマの化身制度についてはダライ・ラマ法王が示す指針のみに従うことを宣言しました。「ダライ・ラマ法王はご自身の転生者について指針を示された。アメリカはそれに従う」

チベットの現状とそのインド太平洋地域への影響に関する公聴会で証言した「チベットのための国際キャンペーン(International Campaign for Tibet、ICT)」副会長ブチュン・K・ツェリン氏は、中国によるダライ・ラマ化身認定を管理する計画は、チベット本土内外ともにチベット仏教徒には受け入れられないものであると述べました。

ダライ・ラマ法王14世は、2011年にチベット仏教の伝統である化身認定制度の歴史とご自身の転生者について、次のように声明を発表しています。

「明確なガイドラインがないがゆえに、ダライ・ラマの化身認定制度が継続されるべきであるという声が高まっており、政治的目的を達成するためにこの制度が誤用されてしまうおそれがあるのは明らかです。したがって、私が身体的、精神的にいたって健康である今のうちに、次のダライ・ラマを認定するためのガイドラインを作り、問題や策略などが将来的に決して起こる余地のないものとすることが大切であると思われるのです」

「もし引き続きダライ・ラマの転生者が必要であるということになり、第15世として再臨者を認定しなければならない時期が来たときには、その任務の責任は主としてダライ・ラマのガンデン・ポタン基金財団の役員たちにあります」

ダライ・ラマ法王はさらに、こう述べている。「このように正しく、論争の余地なしに認定される化身以外には、たとえ中国人民共和国の権力者などの如何なる政治権力を有する人物が政治的必要性を満たす目的で次の化身を選出することがあったとしても、その人物をダライ・ラマの化身と認定する必要はありませんし、それを受け入れて信仰する必要もありません」

声明文の全文サイトへ

最近の NHKジャパンのインタビューの中で、ダライ・ラマ法王は、ダライ・ラマの化身認定が今後行われるかどうかは、チベット人が決めることであると1969年にすでに明言したと述べた。「次期ダライ・ラマをどのように選ぶかよりも、それを決めるのが先なのです。」

日米をはじめ、先進国は信教の自由を当然の権利として認めています。先進国でない国々も、ほとんどの国が信教の自由を認めています。中国が現ダライ・ラマ逝去後の後継者に偽の転生化身の指名をしたとしたら、チベット族は反発するのは当然のことながら、全世界から反発されるのは必至です。

特に米国における信教の自由とは他国とは異なった特別な意味を持っています。これについては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「信教の自由」でも衝突する米中―【私の論評】米国政治で見逃せない宗教という視点(゚д゚)!
ドナルド・トランプ大統領と共に祈るためにホワイトハウスの大統領執務室を
訪れた米国の福音派指導者ら=2017年12月11日
以下のこの記事より、米国の信教の自由に関する部分を引用します。

ご存じの方も多いと思いますが、米国では大統領が就任式で宣誓するとき、聖書に手を置いてこれを行います。日本では絶対にありえない光景です。日本では首相が般若心経やコーラン、あるいは仏典の上に手を置いて就任式をする光景はないです。
トランプ大統領は就任式で、左手を聖書に置き、右手を挙げて恒例の宣誓をした

ところが、米国ではこれは当たり前のことになっています。それは、米国において「宗教(主にキリスト教)」は政治に関与することが大いに奨励されているからです。そもそもWASP(白人でプロテスタント信仰を持つアングロサクソン系民族)と呼ばれる人々は、キリスト教信仰に基づいた国家を建設しようとして、米大陸に乗り込んできたやからです。だからキリスト教精神に則って政治が行われることは、至極まっとうなこととなのです。そのため、彼らの意識としては、政治と宗教は親和性の高いものとなっているのです。 
これを端的に表しているのが、「Separation of Church and State」という考え方です。これは詳訳するなら「特定教派と政治の分離」となります。一方、日本をはじめ他の先進諸国が使用している形態は、「Separation of Politics and Religion」です。同じく詳訳するなら「政治と宗教の分離」です。この土台が異なっているため、日本では、当福音派クリスチャンですら二重の意味で混乱を来すことになるのです。そうして、非キリスト教以外の人々にも誤解や混乱をもたらしてるのです。
一つは、日本国民として「政治の中に宗教性を持ち込んではダメ」と思っていることです。もう一つは、「キリスト教はあくまでも心や精神的癒やし(解放)を目指すものであって、政治とは相いれない」と思い込んでいることです。 
しかし米国においては、このいずれも決して自明なことではありません。もちろん政治的発言を控えるという風潮や、そういう考え方を訴える福音派の牧師もいます。しかし同じ「福音」の捉え方にしても、やはり国が違えばその強調点、濃淡に差異が生じやすくなるのです。 
多くの日本の福音派教会は、米国の宣教師からのDNAを受け継いでいます。宣教師になるくらいですから、米国にいながらどちらかというと政治よりも個々人の精神性に重きを置く傾向がある人々であることは否定できないでしょう。
日本的な「政教分離(政治と宗教の分離)」の原則と、日本にクリスチャンが1パーセント未満であるということ、そして海外からもたらされた形而上学的側面を強調する「キリスト教」が相まって、米国の「政教分離(特定教派と政治の分離)」を理解しにくくしているという一面があることは、覚えておく必要があります。
この記事には、米国福音派についても述べてあります。興味のある方は是非ご覧になってください。

このように米国においては、政治と宗教は親和性の高いものとなっています。その米国からみれば、ダライ・ラマの後継者を中国が定めるなど驚天動地の蛮行であり、これは絶対に許せるものではないと考えるのが当然のことです。米国は、ますます対中国冷戦を完遂する意思を固めたことでしょう。

そうして、日本人からしても、中国のこの蛮行は、日本でいえば先程も述べたように、天皇の後継者を中国が定めるようなものであり、とてつもない蛮行と受け止められるでしょう。

他の「信教の自由」を認める国々でも、蛮行として受け止められるでしょう。このようなことを計画する中国は、驕り高ぶりの頂点に達したと言っても過言ではないです。

このようなことを平気で実行しようとする中国共産党はもはや人類共通の敵です。日本では、来年習近平を国賓として迎えようとしていますが、とんでないです。

7月発表の中国国防白書でも「自国の軍事力は防衛と平和のため」だと主張し、「アジア太平洋諸国は運命共同体」で、「南シナ海は安定している」と述べています。

世界一の軍事強国を目指し覇権国家を確立すると言いながら、自国は平和勢力で運命共同体だと言い募る欺瞞を真に受けられるでしょうか。さらには、ダライ・ラマの後継者を中共が定めるなどとは、傍若無人以外のなにものでもありません。

こうした虚言で言いくるめた中共の真意を見逃して、日本が習政権を歓迎するようなことがあっては、国際社会の指弾を受けること必定でしょう。

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2019年10月5日土曜日

韓国騒然!反文デモに“300万人”集結 「文氏を大統領の座から引きずり下ろす!」声を上げた退役軍人 識者「文政権の実態がバレ始めた」―【私の論評】文在寅政権は早急に雇用を改善しなければ、朴槿恵政権と同じく崩壊!その後の政権も同じ(゚д゚)!


 「反文在寅政権」を掲げる大規模デモ。ソウル中心部の青瓦台周辺を人の
 波が埋め尽くした=3日クリックすると拡大します

 韓国の首都ソウルで、想像を絶する大規模集会が開かれた。最大野党「自由韓国党」が3日、チョ国(チョ・ググ)法相の辞任や、文在寅(ムン・ジェイン)政権の打倒を訴える集会を開いたところ、「300万人以上」(同党広報室)が集まったというのだ。退役軍人会や、キリスト教団体、大学教授、学生らも参加した。チョ氏周辺のスキャンダルや、韓国経済の危機的現状、北朝鮮主導の「赤化統一」への警戒・拒否感から、文政権への批判が一気に高まっている。識者は「文政権崩壊の時限爆弾に火を付けた」と語る。隣国はまた動乱期に突入した。 


 「むいてもむいても(疑惑が)出てくる『タマネギ(男)』に、法相の資格があるのか!」

 自由韓国党の黄教安(ファン・ギョアン)代表は3日の大規模集会で、チョ氏絡みの疑惑が次々と浮上していることを受け、こう辞任を要求した。

 文政権が、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を一方的に決定したことについても、黄氏は「氏から関心をそらすためだったのではないか」と訴えた。北朝鮮が当日朝、新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射するなど、国民が自国の安全保障に不安を感じていることを踏まえた発言といえる。

 大規模集会は、ソウル中心の光化門(クァンファムン)広場で行われた。韓国の建国記念日「開天節」で祝日だったこともあり、中央日報(日本語版)などによると、光化門からソウル駅まで続く、長さ約2・1キロの10~12車線道路が開放され、「文政権打倒」「チョ法相辞めろ!」などを訴える人々で埋め尽くされたという。

 「300万人」といえば、茨城県(約290万人)や大阪市(約270万人)の人口より多く、実際より過大に見積もったとの見方が大勢だ。ただ、集会の写真を見る限り、日本では考えられない規模なのは確かだ。

 この大規模集会に、元韓国国防省北韓分析官で、拓殖大学主任研究員の高永チョル(コ・ヨンチョル)氏は「退役軍人」として参加した。

 高氏は「地元の左派系テレビは『3000人程度』と報じたが、とんでもない。150万人はいた。全国からバスが連なり、家族ぐるみで参加していた。人々は『文在寅、打倒!』を叫び、大統領府(青瓦台)まで行進した。800人程度が『決死隊』を名乗り、『命をかけて、文氏を大統領の座から引きずり下ろす』と声を上げていた。退役軍人も高齢者ばかりではなく、3分の1は兵役を終えて間もない20~30代だった。現場では『文氏が戒厳令を敷くかもしれない』と噂が流れたほどだ」と振り返る。

◆文政権の実態がバレ始めた

 ソウルでは先月28日、文政権が進める検察改革を支持する左派の大規模集会も開かれた。主催者は当時、参加者を「80万人」と発表した。中央日報は、今回の保守派集会の方が人数が多いと報じている。

 これまで、「反日」が目立った韓国だが最近、デモや集会の様相が変わってきているという。

 これは、文大統領が先月9日、娘の不正入学疑惑や、息子の兵役逃れ疑惑、私募ファンド投資疑惑などが連続炸裂(さくれつ)していたチョ氏を法相に強行任命してからだという。

 先月後半、ソウルのデモ・集会を取材してきたフォトジャーナリストの山本皓一氏は「超学歴中心社会や、兵役制度に苦しんでいる学生や若者たちの神経を逆なでし、激怒させたようだ」「赤化統一を進める文政権の実態もバレ始めた」という。

 山本氏は、ソウルの日本大使館前で、日韓関係の悪化を懸念する70~80人の中年女性によるデモも目撃したという。山本氏が撮影した写真を見ると、女性たちは「文政権は日本政府に謝れ!」と書かれた横断幕を掲げており、参加者が持つ紙には「文在寅は責任をとれ!!」「韓米日三角同盟解体するな」「亡国的反日扇動はもうやめろ」という言葉も踊っていた。

 保守派が3日の大規模集会を成功させたことで韓国は大きく動くのか。

 前出の高氏は「文政権は、今回の大規模集会で相当参ったはずだ。これまで文政権を支持していた人々も、『ウソつき政権』『詐欺政権』と言い出すなど大きく変わってきた。毎週土曜日には『反文』デモ・集会が行われており、今後も勢いを増すだろう。3日の大規模集会は、文政権崩壊の時限爆弾に火を付けたターニングポイントになった。朴槿恵(パク・クネ)前大統領が倒れたときと同じで、国民は『文政権もいずれ崩壊する』と肌で感じた」と語っている。

【私の論評】文在寅政権は早急に雇用を改善しなければ、朴槿恵政権と同じく崩壊!その後の政権も同じ(゚д゚)!

今日このようなことになることは、結構多くの人たちが予め予想していたのではないでしょうか。私もその一人です。実際このブログでも早い時期からそれを予想していました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【韓国新政権】文在寅政権の最重要課題は経済や外交 韓国メディア「対日政策、全般的に見直し」と展望―【私の論評】雇用を創出できない文在寅もスキャンダルに塗れて自滅する(゚д゚)!

大統領に就任したばかりの頃の文在寅氏
この記事は、文在寅氏が大統領選挙に勝利して間もない2017年5月10日のものです。私は、この頃から文在寅氏はいずれスキャンダルに塗れて自滅すると予想していました。

これは、当てずっぽうではありません。なぜそのような予想をしたかといえば、当時発表した文政権の新経済対策を読んだところ、朴槿恵政権時代と変わらず、めぼしい金融緩和政策をしないということとを理解したからです。

金融緩和をしないということは、雇用を拡大しないと宣言しているのと同じです。日本でも、雇用=金融政策ということを理解しない政治家も多いですが、文在寅大統領も同じく全くそれを理解していません。

韓国では朴槿恵政権の頃から雇用がかなり悪化していたわけですから、新政権としては、いちはやく大規模な量的金融緩和を実行すべきでした。そうすれば、雇用は改善されたはずです。

であれば、韓国では根本的な雇用の改善は期待することもできず、結局それを実現できなかった朴槿恵政権といずれ同じ運命をたどるということは、予め予測できました。

ところが、文在寅政権は、その予測をはるかに上回りました。なんと、文在寅大統領は、金融緩和をしないどころか、最低賃金を上げるという政策を始めたのです。これは、さすがの朴槿恵政権も実施しなかったことです。

これは、金融緩和はせずに、再分配を拡大するという、日本でいう立憲民主党代表の枝野氏と同じ政策です。

この政策を実行したため、韓国では、雇用が回復しないどころか、激減してしまいました。こうなることは、最初からわかりきっていました。それについては、このブログでも何度か警告を発しました。

冒頭の記事では、金融政策などについては一言も触れず、今日の事態を招いた原因を、文政権の実態がバレ始めたからとしていますが、私はそのようなことよりも、文政権が雇用政策に大失敗したことが真の原因だと思います。

特に、朴槿恵政権でもみられなかった、金融緩和をせずに最低賃金をあげて、雇用を最悪にしてしまったことが最大の原因だと思います。

韓国では最低賃金そのものは本年も上昇しているが、引上げ率は引き下げざるをえなくなった

上のグラフは、韓国の最低賃金(時給)の推移です。2019年は引き上げ率はマイナスになってますが、最低賃金額そのものは上がっています。

これでは、最悪の事態を招くだけです。本来金融緩和をすれば、最初はパート・アルバイトや新人正社員の雇用が増えるので、最低賃金は下がることになります。韓国では逆になっています。金融緩和をしないというなら、最低賃金を下げたほうが多少は雇用は改善するはずです。

このようなことになるのは、何もマクロ経済理論を持ち出さなくなても、経済状況が何も変わらないのに、最低賃金だけをあげたらどうなるか理解できるでしょう。企業としては、売上を変えずに賃金だけ上げざるを得ないというのなら、何をするかといえば、新規採用を控えたり、リストラするしかなくなります。

日本では、金融緩和をはじめてから少しの間は、賃金が下がったので、立憲民主党の枝野代表などの野党の面々は「最低賃金ガー」などといって大騒ぎしていました。これでは、経済政策は文在寅と同レベルを言わざるを得ません。

いずれの国でも、他の政策がどうであれ、経済政策がうまくいっていれば、大多数の国民は政府を支持します。特に経済政策の中でも、雇用がある程度良い状態にあれば、多くの国民は政府を支持します。

雇用状況が満足できる状況であれば、他の政策が一切駄目でも、政府の成績は60点くらいにはなるでしょう。しかし、逆に雇用が駄目であれば、他の政策がどんなに良くても、国民にとっては落第点しかつけられません。

それは、まともに考えれば誰にでも理解できるはずです。雇用情勢がある程度良ければ、若者は先に希望が持てます。逆に雇用情勢が悪ければ、民主党政権時代の日本のように、悲惨な就職活動でいくら頑張っても内定がとれずに、多くの若者が希望を失ってしまいます。

そうして、このように雇用がかなり悪化していると、多くの人々が他の勢力によって容易に扇動されやすくなります。日本も戦後間もなく、雇用や経済状況が悪い時には、当時のソ連にかなり影響を受けましたが、経済・雇用がよくなってからは、ソ連の勢力は日本から一掃されました。

雇用を改善できなかったために、朴槿恵政権は様々な反朴槿恵勢力(当然北朝鮮の工作員やそのシンパを含まれる)によって崩壊しました。文在寅も雇用を改善しない限りそのような運命が待っているでしょう。

朴槿恵大統領退任要求の大規模デモ。主催者推定10万人を超える人数が集まり収拾付かなくなった。

それほど雇用は重要なのです。現在日本では、10月1日より消費税があがり、日銀はイールドカーブコントロールを導入して以来、金融引き締め気味ですが、それにしても緩和していることには変わりがなく、雇用情勢は悪化していません。そのためもあってか、安倍政権の支持率は悪化していません。

これからは、どうなるかわかりませんが、少なくとも文在寅政権のように、金融緩和せずに最低賃金だけあげて雇用を破壊するという馬鹿真似はしないでしょうから、文在寅政権や、日本の民主党政権の末期のようなことにはならないでしょう。

もし、文在寅政権が、政権設立直後から、金融緩和策を積極的に推し進めていれば、このようなことにはならなかったと思います。

そうして、今後いかなる政権が樹立されようとも、雇用を改善できない政権であれば、朴槿恵政権や文在寅政権と同じ運命をたどることになります。

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2019年10月4日金曜日

【有本香の以読制毒】「表現の不自由展・その後」に“補助金詐欺”の疑い 津田大介氏も知っていた「隠して出す」中垣氏の出品経緯説明が事実なら大問題―【私の論評】隠して出品が本当なら、明確な「補助金適正化法違反」(゚д゚)!

【有本香の以読制毒】「表現の不自由展・その後」に“補助金詐欺”の疑い 津田大介氏も知っていた「隠して出す」中垣氏の出品経緯説明が事実なら大問題
公費支出は…「表現の不自由展」


展示物をめぐって大村愛知県知事(右)に反発する河村名古屋市長(左)

昨日、北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射や、中国の軍拡について関係者を取材している最中、別のとんでもない情報が聞こえてきた。

 8月に本コラムでお伝えした、愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展「不自由展・その後」についてである。

 本件では最近、文化庁が補助金の不交付を決め、これに愛知県の大村秀章知事と、一部の文化人とマスメディアが色をなして噛みついている。大村氏は中止していた企画展を再開すると鼻息を荒くする一方、主催者側の一人、名古屋市の河村たかし市長は知事の方針に大反対、と一見、泥仕合の様相だ。

 だが、この件への一般国民の評価は意外なほど明確である。

 夕刊フジが実施したツイッター上のアンケートでも、マスメディアの誘導とは真反対の「河村支持9割以上」という結果が出た。

 筆者は職業柄、「表現の自由」を大事と考える者だが、多くのツイッター民と同様、国の補助金不交付の決定と河村市長の考えを支持している。理由は本紙で幾度も述べたとおり、本件が実は「表現の自由」の問題ではないからだ。

 筆者含む日本国民の多くは、国や県、市の補助金などもらわずとも「表現の自由」を十二分に謳歌(おうか)している。そして、その自由は、自分とは価値観の異なる人にも等しく保障されるべきものと認識している。

 だから、昭和天皇の写真をバーナーで焼き、その灰を足で踏み潰すような、筆者にとっては不快極まる映像でも、それを誰かが作り見せることを阻止しようとまでは思わない。

 ただし、そこへ公金が注ぎ込まれるとなれば、話はまったく別である。

 こんな当たり前、至極簡単な話が、大村知事と彼を擁護する文化人、そして一部マスメディアにかかると、ひどく難しい問題にされる。

 彼らの欺瞞(ぎまん)にイライラしながらも、本件の「決め手」となる情報はないかと、この2カ月、ウオッチしてきた。

 ところが、実はその「決め手」が8月7日、すでに世に出ていたのだ。

 名古屋市が9月20日、大村知事宛てに出した「公開質問状」に、次のとおり書かれている。

 「7 実行委員会が本件企画展の内容を『隠して出す』と言って、作者に出品を勧誘したのは事実か」

 これは、企画展中止4日後の8月7日、出品者の一人である中垣克久氏(造形作家)のネット番組でした発言について、知事に質した部分だ。中垣氏は出品の経緯について、番組で以下のように説明していたのだ。

 「最初、表現の不自由展実行委員会から私のところに(作品を)出してくれと。ただし、普通には出さない。隠して出す。そう言われたときに、『それはおかしいんじゃないか。堂々と出したらどうか』と言ったら、『中に慰安婦の像がある。これは今出したら問題だから』と言われた」

 納得いかなかった中垣氏は、芸術監督の津田大介氏に電話をし、津田氏から「後で必ず出す」と確約を取り付けたことも明かしている。

津田大介氏

 中垣氏のこの発言は筆者もノーマークだったが、経緯が事実なら大問題だ。表現の自由どころか、“補助金詐欺”の疑いすら出てきはしないか。

 この2カ月、「被害者」のごとき風情を醸し出し続けてきた芸術監督の津田大介氏と、実行委員長の大村秀章知事には、ぜひともこの「疑惑」について、真摯(しんし)なお答えをいただきたいものである。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『リベラルの中国認識が日本を滅ぼす』(産経新聞出版)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』(産経新聞出版)など多数。

【私の論評】明らかな「補助金適正化法違反」か?

「表現の不自由展」に関しては、今までこのブログにはあえて掲載してきませんでした。それは、やはり、展示内容が極めて不愉快なものであり、とても論評などする気になれなかったからです。

特にも問題は以下の動画にもあるように、昭和天皇の写真を焼く動画という展示があったからです。これについては、今にいたるまで、ほとんどの大手マスコミが報道しません。

この動画を掲載するのは、非常に不愉快なのですが、そのあまりの酷さをご理解いただくため、あえて掲載させていただくこととしました。


国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後」に関連し、国が愛知県への補助金を交付しないことを決定しました。

愛知県が文化庁に対し、安全面に対する懸念を事前に申告しないなど、交付申請の手続きが不適当だったことが理由です。これについて、左派マスコミを中心に「検閲に当たる」との批判があり、愛知県の大村秀章知事も、補助金打ち切りについて、「係争処理委員会で理由を聞く」としています。

本当に、狂っているとしか思えません。上の有本さんの記事で主張しておられるように、だから、「昭和天皇の写真をバーナーで焼き、その灰を足で踏み潰すような、筆者にとっては不快極まる映像でも、それを誰かが作り見せることを阻止しようとまでは思わない。ただし、そこへ公金が注ぎ込まれるとなれば、話はまったく別である」としています。

まさに、そのとおりです。芸術と公金のあり方は、どうあるべきなのでしょうか。左翼計の評論家等は、これを検閲としていますが、「検閲」とは発表前に精査し不適当なものを発表禁止にすることを指すのですから、今回は発表後なので「検閲」とはいえません。

愛知県は9月25日、中間報告を出したましたが、その内容はお粗末といわざるを得ないものでした。

91ページの報告書の中で、肝心の芸術と公金との関係については、「アートの専門家がアートの観点から決定した内容であれば、政治的な色彩があったとしても、公立美術館で、あるいは公金を使って行うことは認められる(キュレーションの自律性の尊重)。これは、国公立大学の講義で、学問的な観点からである限り、政府の批判をすることに全く問題がないことと同じである」と簡単な言及しかありませんでした。

一般論として、芸術文化は、純粋私的財ではないので、最適な社会的供給のためには公的支援の必要性が正当化されます。しかし、社会的な判断をも要求されます。

表現の自由があるから、公費支出が当然というわけでありません。特定の芸術作品を公金による助成の対象にしないということは、必ずしも表現の自由の侵害にはならなりません。

報告書は、公費で問題ないとする論拠として、国公立大学の講義を持ちだしていますが、これらは「準公共財」や「価値財」の典型例で、その背後には当然国民の納得・了解につがなければなりません。報告書は、これについては何も言及していません。

すべての公費は民主主義プロセスが必要であり、そのためには国民の納得・了解が必要になってくるはずです。こうした公費の大原則について、中間報告では考慮されておらず、公費支出は当然という立場で書かれています。

公費支出が民主主義プロセスを経て行われる以上、国民がその内容を理解してしておく必要があります。左派マスコミは、公費支出を当然といいますが、芸術とされ、展示されていた昭和天皇の肖像が燃える映像作品などについてはほとんど映像を流していません。こうしたものを不快と思う国民が多ければ、公費支出が認められなくても当然です。

芸術文化への公費支出が容認されるのは、いい絵画を金持ち1人が見るよりも、多くの人が見て幸福感を味わうという「外部性」があるからです。逆に、多くの人にとって不愉快な作品は「外部不経済」なので規制してもいいくらいです。

なお、愛知県の中間報告は、昭和天皇の肖像が燃える映像作品について、作者の意図が伝わっていないなどと言い訳ばかりで、国民の批判に応えていません。まるで、芸術利権の代弁者のようです。

この報告の正式名称は、『あいちトリエンナーレのあり方検証委員会 中間報告書』といい、以下のリンクからご覧になることができます。

山梨 俊夫 (あいちトリエンナーレのあり方検証委員会座長)
独立行政法人国立美術館 国立国 際美術館長

今回は補助金適正化法違反のおそれすらあります。上の有本さんの記事にある「中垣氏は出品の経緯の、

「最初、表現の不自由展実行委員会から私のところに(作品を)出してくれと。ただし、普通には出さない。隠して出す。そう言われたときに、『それはおかしいんじゃないか。堂々と出したらどうか』と言ったら、『中に慰安婦の像がある。これは今出したら問題だから』と言われた」

というのが、本当であれば、これは完璧に「補助金適正化法違反」です。

補助金を申請するには、補助事業の目的や内容、補助事業に関わる経費に内訳などを記載し、その書類を各省庁の長に決められた時期までに提出します。そして、各省庁の長は申請内容が正しいか、適切であるか、金額の算定に誤りがないか調査をして上で補助金の交付の決定をします。

中垣氏の作品や、慰安婦像、さらに他の作品も、出品することを隠していたとすれば、これは完璧に法律に違反した行為です。


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