2012年10月14日日曜日

VolvoのFacebookアプリを利用したキャンペーン「You Inside」―【私の論評】SNSのキャンペーンは、社会を変える!!

VolvoのFacebookアプリを利用したキャンペーン「You Inside」:


ソシエタでは、これまでアウディフォルクスワーゲンなど自動車会社のキャンペーン事例を取り上げることも多くありました。今回紹介するものも、自動車メーカー「Volvo」のキャンペーン事例です。 内容はいたってシンプルで、Facebookのアプリを利用して車の中に何を持ちこんでいるかを写真を投稿して参加者同士で見せるというもの。

キャンペーン名はその名の通り「You Inside」。 手順はいつもVolvoに持ち込んでいるものを写真でアップするだけ。例えば、本だったり、ぬいぐるみだったりと、その人によって個性が出るので、一覧で見たときに面白い体験ができるかもしれません。そしてユーザーは、投稿後に世界中の何人もしくは何%が同じものを持ち込んでいるかというデータを見て、比較することもできます。


このキャンペーンを通じて、自分が何を持ち込んでいるのかを改めて振り返ってみる。それと同時に、他の人が車に何を持ち込んでいるのかも気になると思うので、ぜひチェックしてみてください。
[You Inside via creativity online]
(佐藤慶一)

【私の論評】SNSのキャンペーンは、社会を変える!!

この、キャンペーン素晴らしいです。Facebookをご利用の方は、ぜひVolvoのページを探して、「いいね!」を押していただき、このキャンペーンをご覧いただきたいものです。このキャンペーン、無論販売促進としても十分優れものですが、車を開発する際の、調査としても優れていると思いました。



このキャンペーンをみていて、私が思い出したのは、10年ほど前にもなりますか、テレビなどでも放映されていた、新しい軽自動車の開発です。軽自動車は、20年ほどまえから、デフレ傾向のため、車自体の価格が安いとか、燃費が低いとかで、結構売れ筋となっていました。

ただし、最近では、昔と比較すると、車の買い替えをせず、一度購入すると、しばらく乗り続けるというドライバーも増えていました。そんなとき、売れ筋の軽自動車をさらに売れるようにしようということで、メーカーが様々な努力をしていました。




ある車のメーカーの開発者たちは、徹底して軽自動車が使われているシーンを街に出て、観察しました。それで、わかったことは、軽自動車だから、あまり荷物を積むようなことは想定していなかったのですが、実際には、主婦がスーパーに買い物に行き、買い物を積むとか、自宅から親の家や、知人・友人のところへ物を運ぶとかで、かなり荷物を積でいることがわかったとか、あるいは、多くの人が、軽自動車であっても、できれば、広い居住空間を望んでいることなどがわかりました。

そのため、それまでの普通の軽自動車を改良して、荷物を積みやすくするとか、なるべく居住空間を広くするため、車高を高くするなどのことをしました。そうして、それプラスさらに燃費を下げるなどしました。これについては、下の動画などご覧いただくと良くわかります。こうすることにより、開発者らは、軽自動車の販売台数をさらに伸ばすことに成功しました。そうして、他の自動車メーカーもこの動きに追随して、日本軽乗用車は、従来から比べると、格段に使いやすくなりました。

 

軽乗用車の開発も、やはり、実際にユーザーがどのように使っているのか、本当に欲しい機能は何なのかを探らないとできないということです。Volvoも今まで通りの安全一辺倒の車というだけでなく、本当にユーザーが欲しがる機能を探りだし、それを参考にして新たな車づくりに生かしたいと考えているので、上記のようなキャンペーンを実施しているのだ思います。

10年前には、Facebookなどまだ存在していませんでしたし、当時存在していたサイトなど、まだまだ、低機能で、上の記事のようなVolvoのようなキャンペーンはなかなかでかなかったと思います。考えてみると、こうしたキャンペーンをスムーズに行うためには、今では当たり前になっている、クラウドの同期と共有の機能は不可欠です。

クラウドの環境が整い、今では、スマホが当たり前になっています。これで、ユーザーは、いちいち面倒なことを考えずに、車に乗ったときに、撮影して、すぐに投稿することができます。このようなことができようになり、さらに、Facebookというプラットフォームが整い、現在ではこのようなキャンペーンがいくらでも、できるような環境が整いました。

それと、今では、Facebookというインフラが、何と、10億人もの人々に使われています。わずか、5年くらい前だと考えられないことです。少し前まで、SNSというと、オタクが使うものとか、少し変わった人などの印象もあったと思いますが、今は、まったく当たり前のこととなりました。ちなみに、以下にFacebookのインフォグラフを掲載します。


日本は、まだFacebook利用者が少ないといわれていますが、伸び率は高いです。今年の9月では、1500万人に迫る勢いで、これは、日本のネット利用者の24%だそうです。Facebookは、実名制なので、匿名がほとんどの日本のネット界では、流行らないと揶揄されていましたが、そんなことは、ありません。実際、9月時点で、mixiを追い抜いています。


SNSというと、後発のGoogle+も、かなり健闘していて、これもことしの9月時点で、世界で4億人を超えました。これは、後発としては、驚異的な伸び率です。日本では、今年9月にPCベースで400万人のユーザがいるとされています。

これからも、FBもG+も、今後伸びが相当期待できますから、日本でもキャンペーンのやりかたが変わると思います。現在では、テレビのCMの効果はかなり低くなっていますし、新聞の購読率も、テレビの視聴率も下がっています。それに、既存メディアでは、なかなか上記のように、ユーザーの観察などもできません。

上記のVolvoのキャンペーンにより、ユーザーが車の中に持ち込むものが理解できた場合、Volvoはこの情報を活用して、車の中の備品を増やすかもしれません。あるいは、増やさないまでも、車の中に持ち込みやすくするとか、持ち込むことで、車自体の構造ともあいまって、相乗効果をだせる仕組みを導入するかもしれません。

そうなれば、このキャンペーンは、プロモーションだけではなく、社会を変えることにもつながります。社会を変えること、これすなわち、このブログでも紹介してきたように、イノベーションです。このような、キャンペーンで、日本でも様々なイノベーションを起こすことを期待したいです。そう思うのは、わたしだけでしょうか?皆さんは、どう思われますか?

 


【関連記事】

福島県のFacebookページ、開設から3週間で1万以上の「いいね!」を獲得―【私の論評】日本でもスペンドシフトが加速か!!

【調査結果】Facebookファンの顧客価値の高さとその重要性―【私の論評】何か、これって、当たり前といえば当たり前でないか?

Facebook売上前年同期比の2倍へ―【私の論評】Facebookの売上って一体何?

Facebook新機能『宣伝広告』の可能性!―【私の論評】宣伝広告機能は、社会的イノベーションを加速するか?

Google+、ウィジェット重視の新UIはアプリ追加への布石か―【私の論評】Googleの収益の90%以上が、今だに広告によるものであることを忘れるな!!


0 件のコメント:

「河村たかし前市長の政策と理念を引き継ぐ」名古屋市長選で広沢一郎が当選 自・立・国・公推薦の大塚耕平さんら破る―【私の論評】名古屋市長選の勝因と敗因:広沢氏の戦略とメディアの責任を問う

「河村たかし前市長の政策と理念を引き継ぐ」名古屋市長選で広沢一郎が当選 自・立・国・公推薦の大塚耕平さんら破る  河村市政15年の評価などが争点となった名古屋市長選挙が11月24日、行われ、新人で元副市長の広沢一郎さんが当選を果たしました。 【動画で見る】「河村たかし前市長の政...