テレビ出演した石平氏 |
先月25日、中国浙江省温嶺市第1人民医院で驚くべき殺人事件が起きた。当医院の耳鼻咽喉(いんこう)科で手術を受けた患者の1人が手術の効果に対する疑問から医院といざこざを起こし、医者の1人を殺し、2人を負傷させた。
数日後、浙江省内の各医院から数百人の医療関係者が温嶺市に駆けつけ「医療暴力反対」の抗議活動を行い、全国数百の医院からも声援する声が寄せられた。1件の医者殺しに対し、全国の医療界がそれほど激しく反応したのには理由があった。今、全国各地で、患者やその家族による医者への暴力事件が多発しているからである。
・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・
これに関し、北京中米連合医院の陳中華院長は最近、暴力事件多発の最大の原因が医院と医者の「医療腐敗」にあると指摘した。腐敗する医院や医者の理不尽によって追い詰められて暴力行為に及んだ患者やその親族にはむしろ同情すべきだと彼はいう。
陳氏曰(いわ)く、中国の多くの病院では今、医者が手術する度に患者やその家族に法外な「袖の下」を強要したり、増収のために患者に不必要な薬を高く売りつけたりするような「医療腐敗」が横行している。その結果、患者と家族は医者に対し普段から不信感をもっており、患者の身に何かが起きれば、本人や親族の憤懣(ふんまん)は医者と医院に向いてしまうのである。
自分自身が医院の経営者であり、医者でもある陳氏がこう語るのだから、かなりの説得力があろう。実際、中国の医療界の腐敗には目を覆うばかりのひどさがある。
たとえば今年8月、陝西省渭南市富平県の産婦人科医院で、医師が「赤ちゃんに先天的な伝染病や障害がある」と母親や家族に告げ、生まれたばかりの健康な赤ちゃんを人に売った事件が起きた。
9月には、北京市海淀区にある病院で、患者が逆に医者から暴力を振るわれ、医者・病院職員と患者家族との大乱闘が起きるような出来事もあった。
とにかく中国では今、医者や医院が患者とその家族を食い物にする腐敗が広がる一方、患者と家族の医者・医院に対する不信感と憎悪が高まり、それが結局、人の命を救うための医院を暴力と殺人の場にしてしまった。
腐敗に手を染める医者、暴力に訴える患者、どちらにしても、病んでいるのは「心」の方であろう。医院での暴力事件の多発は、この国全体がかかっている深刻な「社会病」の象徴なのである。
近代中国の大文豪・魯迅は若い頃医者を目指していたが、中国人の最大の病気は「心の病」だと悟って、それを治すための文学の道へと転身したという。
この国が今、もっとも必要とするのは、やはり「魯迅」ではないだろうか。
【私の論評】魯迅先生も望んだであろう速やかな社会構造変革を早急に実施しなければ、中国は巨大な悪辣総合商社人民解放軍や愚連隊公安警察、城管などと諸共に崩壊する!!
魯迅先生 |
魯迅先生が生きておられて、今の中国をみたら本当にがっかりされると思います。今の中国は、魯迅先生が生きていた頃の中国とさほど変わっていません。政治体制など随分変わり、共産主義から、現在の国家資本主義になりましたが、全体主義ということではほとんど何も変わっていません。そうして、社会構造も一歩も進んでいないどころか、後退しています。
もし、魯迅先生が生きておられたら、何をさておいても、中国の社会構造変革が必須であることを説かれたでしょう。今の中国、結局等鄧小平の改革・開放路線から一歩も進んでいません。鄧小平氏のスローガン通りの「富めるものから富め」のままで、政府の要人や、政府に人脈を持つ人たちはどんどん富みそれ以外の人は置き去りです。そうして、官僚は上から下まで腐敗しています。
中国では、一応資本主義のような体制をとっていますが、未だに国家を主体とした、国家資本主義であり、国家が中心の体制です。そこには、普通の国における政治家も民間人も存在しません。無論一般民衆は、民間人ですが、少しでも地位があがれば、そこから先は、全部官僚です。医者だって、一人の例外もなく、全員官僚です。現在の中国の指導層も、すべて官僚であり、先進国でいうところの政治家など一人も存在しません。そもそも、まともな選挙制度がありません。そうして、中国の官僚のほとんど腐敗しています。そうしたなかで、官僚でもある医師だけが、腐敗しないということは理屈上あり得ません。
現代中国の医師の酷さについて、日本人で中国に在留している方が、書いています。その記事のURLを以下に掲載します。
<日本人が見た中国>病院が怖い―高額なのに不適切治療も
詳細は、この記事そのものをご覧いただくものとして、この方も魯迅先生をひきあいに出されていますのでその部分を以下にコピペさせていただきます。
どこの国でも医者や病院というのは、「おまえの生死を握っているんだぞ」と言わんばかりの態度が目につくが、中国の場合はそれが特に目に余る。おまけに中国の場合、必ずしも適切な治療を受けられるわけではないので、どうにも許せない。おまけに、人格に問題があるのでは?と疑いたくなるような人間が、偉そうにしていたりする。医者とは、信用商売でもあるというのに。生涯、中国人のいいかげんさを指摘し続けた魯迅が、今も苦々しい顔をしていることだろう。「俺があれだけ言ったのに、やっぱり中国人はいいかげんだ。」と。社会構造が遅れている国々の国民は、魯迅先生が指摘したように、いいかげんになりがちです。中国に限らず、それは他の遅れた社会の国々では良く見られることです。いいかげんだからこそ、社会構造の変革が必要不可欠なのです。日本だって、西欧だって、全くいいかげんな頃もありました。しかし、近代以降先進国では、そのままいいかげんをしていれば、経済も社会も発展しないので、そこから決別しようとしました。そうして、まがりなりにも中国よりもはるかに進んだ社会を構築し、それを前提として経済も発展し現代に至っています。しかし、中国はこのようなプロセスを欠いたまま、遅れた社会構造を温存したまま、経済だけ発展してしまいました。というより、社会はなおざりにして、経済だけ発展させました。
このような国は、先ほど述べたような変革を行わなければ、どんどん社会が遅れ、官僚の腐敗が増えるのは自明の理です。これは、かつてのアジアの大部分や、現在のアフリカかなどでも良く見られることです。とにかく、遅れた体制の、独裁主義の国と結局同じです。中国とこれらの国々の違いが何かといえは、とにかく中国は図体が大きく、人口が多いというだけです。それと、民族も、伝統・文化、習慣も全くことなるいくつもの省がむりやり合体して、国家を形成しているということくらいで、後は実質的に何ら変わりません。
中国の看護婦さんたち。日本では廃止されたナースキャップが懐かしい! |
いわゆる、現在の先進国と言われる国々では、日本は数十年で、西欧諸国の大部分は数百年かけて、社会構造変革の変革を行い、その結果として経済的な中間層の数を増やし、それらが活発に経済社会活動を行いことにより富を創造し、豊かな社会を実現してきました。もちろん、先進国にだって、社会問題はあります。何もかもが薔薇色というわけではありません。そのため、社会事業も盛んに行われています。しかし、それでも、現在では、中国の遅れた社会構造からみれば、はるかに進んでいます。そうして、何らかの背景で日本に来て生活している中国人にとって、日本は祖国から比べれば、薔薇色で輝いて見えることでしょう。
日本人の普通の人は、ごく最近まで中国の社会構造を日本と何となく似かよったものと考えがちでした。しかし、尖閣をめぐる中国の異常ぶりなどを知ってから随分変わってきています。しかし、たとえは、現代中国の臓器売買とか、裸官とか、城管など実態を知ると驚いてしまいます。これらを知って、はじめて中国社会構造が日本などと比較すればはるかに遅れていることを理解できます。
城管については、下の動画が良くまとまってわかりやすいので、是非ご覧になって下さい。
中国の社会は未だに簡単明瞭であり。富める者と、富んでいない者の二種類しかありません。経済的中間層は無視しえるほどに少ないです。そうして、富める者と、富んでいない者差がさらにひろがりつつあるという状況にあります。
このような状況では、今までは、何とか日本などの海外からの資本や技術の流入より、うまくいってきましたが、もうそれにも陰りが見えてきたことと、どこの先進国でも通り抜けてきた道でもある、社会構造変革による中間層の増加による、経済発展と社会の繁栄という道筋をこれっぽっちも歩もうとは考えない現中国政府には、多くの国々が失望しています。そうして、資本など引き揚げつつあります。
貧困中国の実体。統計により所得基準が上がった中国で は、貧困層は以前の3000万人から、1億人に膨れ上がった |
今後も、中国が社会構造変革に全く手を付けないというつもりなら、日本をはじめとする先進国のほとんどは、中国に投資なども全くしなくなることと思います。そうして、現にそうなりつつあります。その行き着く先は、中国の分裂です。
私は、10年ほど前からこのようなことを主張しており、ブログでは7年ほど前から、このようなことを掲載してきました。しかし、まるで私がオオカミ少年でもあるかのように、今までは、中国は分裂はしませんでした。どうして、このようなことになったかといえば、私自身が中国について半端な知識しかなかったということです。
貧困中国の実体 |
中国は、他の国とは全く異なります。もし、中国が他の国と同じような国であれば、とっくの昔に崩壊しています。なにしろ、中国では、建国以来平均して毎年2万件の暴動が発生していました。ここ数年では、毎年8万件以上の暴動が発生してます。300人未満の、暴動まで含めると、さらにこの数字はかなり増えると言われています。このような国は、普通ならもうすでに崩壊していると言っても良いと思います。しかし、何とか国体が維持されているという不思議の国中国です。
その背景には、そうならないようにする仕組みが彼の国にはあります。そうです、軍隊のように強大な軍事力を持っているにもかかわらず、単なる地方共産党の私兵にしか過ぎない、人民解放軍という暴力装置があります。彼らの本質は、総合商社です。
現代兵器や、核兵器も持つ、軍隊という特性を活かしながありとあらゆる商売を行い共産党の幹部の富を築く一方で、人民が反発すれば、容赦なく弾圧します。これだけ強大な鎮圧組織は、古今東西どこにもありません。中国が最大です。他の国では、このような私兵集団などありません。軍隊はあくまで、国民の安全保障のためにあります。軍隊が治安の維持にあたるときもありますが、その任務は国民国家の防衛です。国民とはもともと、敵対するものではありません。
中国では、軍に入ったり、軍の人脈をつかむことが、富創造の早道です。これでは、政治と経済の分離などといっても、中国人には何のことかわかりません。政治、軍事、経済が不可分に結びついています。
中国人民解放軍による鎮圧 |
それに、無論のこと、公安警察(日本でいうところの警察)も武装集団であり、これらも鎮圧にあたります。彼らも普通の国では、軍隊がやると思われるようなことをバリバリ実行します。SWATなど霞むような重装備で、大規模な攻撃もできます。こんな連中に人民が立ち上がっても、なかなか勝つことはできません。公安警察が駄目なら、先に述べた人民解放軍がさらにスケールの大きい攻撃をします。
情報面でも、あらゆる情報統制、情報収拾、攻撃などや、古典的なハニートラップまで、ありとあらゆる手段で人民の情報を収拾して攻撃・鎮圧する情報部隊が、人民解放軍や、公安警察にも存在します。これらが、常時人民を監視し、彼らのほうから不適切と判断した場合、すぐに情報を遮断したり、寸断したりはなはだしくは削除します。
人民解放軍の女性たち |
さらには、城管という愚連隊が、さらに人民を取り締まります。このように、実数もかなり多く、幾重にも張り巡らされた、鎮圧組織が中国にあります。これらは、普通の国では考えられないような行動をとります。なぜなら、中国では、民主化も法治国家かもされてないので、高級官僚の思い通りに好き勝手に鎮圧できるからです。こんな国で、民主化とか、法治国家化などと叫んでみても、すぐに鎮圧され、言うことを聴くか、さもなくば殺されるか、人格を崩壊させられるかのいずれかの道しかありません。
中国の治安部隊 |
こんな強大で数も多い鎮圧組織を持っているということを頭の中になかった過去の私は、中国は今頃完璧に崩壊するだろとうと踏んでいたわけですが、そうはならなかったわけです。
城管による取り締まり |
普通の人なら、こんな恐ろしい連中に挑むことはできません。しかし、現代中国には、死ぬか、反抗するしかないという次元まで追い詰められた人民も増えています。特に、ウイグル、チベットの人民はそうです。それ以外にも中国各地にそのような人民や、貧民、少数民族はいくらでも存在します。反抗しなければ、民族浄化の対象になりかねないほど状況は切迫している民族も多数存在します。
最近では、あまり酷いことをする城管が、人民に取り囲まれて、なぷり殺されたり、車両に火を放たれるという事件も多発しています。今は城管に対するものですが、いずれもっと体系的に組織的に、公安警察に挑む人民も出てくるでしょう。実際、公安警察と大銃撃戦をしたという事例もでてきています。そうして、さらに大きく組織化されれば、人民解放軍にも挑んだり、たらしこむということも可能になってくるでしょう。なにせ、人民解放軍は人民の軍隊ではないので、もともと士気は高くもないし、上層部に対する忠誠心も低いです。とにかく、日本の常識では中国の実体は計り知れないです。
人民に火を放たれ炎上する城管の車両 |
これから先中国は今のままでは、急速に経済発展することもなままなりません。貧富の差は広まるばかり。秩序は乱れ放題で、それを無理やり鎮圧することの繰り返しです。こんな不安定なことが、長続きするはずがありません。そうなれば、いずれ、かつて中国大陸で何回となく繰り返されてきた、大帝国分裂への道を現代中国も歩むしかなくなります。最近の、天安門広場への自家用車の突入事件や、山西省の連続爆発事件など、その前兆かもしれません。
私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?
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