2017年2月25日土曜日

正男氏暗殺は日本でも容易 朝鮮学校に補助金支給する地方自治体も…独裁者に忠誠を尽くす理由―【私の論評】「テロ等準備罪」に真っ向から反対するのはテロリストやその支援者?


8日付のマレーシア紙ニュー・ストレーツ・タイムズの表紙より
写真はブログ機管理人挿入 以下同じ
 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏が、13日の白昼堂々、マレーシアのクアラルンプール国際空港で暗殺された。

 監視カメラがとらえた、わずか2秒ほどの犯行時の映像は、まるでスパイ映画のワンシーンのようだった。報道番組だけでなく、ワイドショーやバラエティー番組でも、事件を連日、長時間取り上げている。

 私も出演した19日放送の読売テレビ系「そこまで言って委員会NP」で、北朝鮮専門ニュースサイト「デイリーNKジャパン」を運営する高英起(コウ・ヨンギ)氏は、金一族である正男氏の暗殺命令は、最高指導者の正恩氏以外には出せないと語った。

高英起(コウ・ヨンギ)氏
 確かに、正恩氏の許可なく異母兄を暗殺し、それがもし独裁者の逆鱗に触れたなら、暗殺犯や黒幕は確実に粛清される。

 正男氏や正恩氏の叔父であり、一時は正恩氏の後見人と目されていた張成沢(チャン・ソンテク)氏は2013年12月に失脚し、粛清された。機関銃の弾を数十発撃ち込まれ、遺体は火炎放射器で跡形もなく焼かれたとの情報もある。

 「まるで映画だ」などと、のんきに話している場合ではない。正恩体制になってから、北朝鮮は完全に歯止めが利かない国になった。猜疑心が強く、義理人情や忍耐に欠ける若い独裁者には、諫言など不可能だ。

 尊崇の証か、粛清への恐怖心のせいかに関係なく、正恩氏に忠誠を誓う僕(しもべ)の行動は、日本や米国の国益に反する。核開発を続けつつ、数多くのミサイルを日本海に撃ち込んだ北朝鮮に、実は、日本の先端技術や研究情報などが持ち込まれた可能性は高い。だが、日本にはスパイ防止法がない。

 13年1月、日本に帰化した元北朝鮮籍の男性が、暗号を用いた軍事リポートを北朝鮮に送信していたことが発覚した。昨年5月2日の産経新聞によると、京都大学原子炉実験所の韓国籍の男性准教授は、北朝鮮や朝鮮総連と密接な関係がある「金万有科学振興会」から、核技術に関する研究で奨励金を得ていたという。

 産経新聞は昨年9月20日、朝鮮大学校が同年5月、日米壊滅を目指す手紙を正恩氏に送っていたと報じた。いまだに、朝鮮学校に補助金を支給する地方自治体があることが理解できない。

 正男氏暗殺事件は、要人暗殺テロが日本でも容易なことを証明した。そもそも、日本はオウム真理教による大規模テロの発生現場である。

 スパイ防止法やテロ等準備罪に反対する人々は、何に忠誠を誓い、何を守りたいのだろうか。

 ■ケント・ギルバート

【私の論評】「テロ等準備罪」に真っ向から反対するのはテロリストやその支援者?

上の記事で、高英起が言うように、今回の事件は金正恩が出した暗殺命令によってなされたことは間違いないです。

そもそも、すでに以下の写真のように、金正男氏殺害に関わった北朝鮮関係者が氏名、写真ともに明らかになっています。




これだけの北朝鮮の人間が関わっていたわけですが、これは北朝鮮が関わっていたことは間違いないわけで、そうして北朝鮮の最高責任者は誰かということになれば、それは金正恩であるわけですから、当然この暗殺は金正恩氏の指令によるものであることは明らかです。

安倍総理が訪米中に北朝鮮がミサイルを発射し、その後に北朝鮮によって金正男氏が暗殺されたというまさにこのタイミングで国会では、テロ等準備罪の審議が行われているわけです。

ブログ冒頭の記事で、ケント・ギルバート氏は、「正男氏暗殺事件は、要人暗殺テロが日本でも容易なことを証明した。そもそも、日本はオウム真理教による大規模テロの発生現場である」としています。まさにそのとおりです。

日本に不法入国を図り、身柄を拘束され、強制送還される北朝鮮の
故金正日総書記の長男、金正男氏=2001年5月4日、成田空港
実際金正男氏は、来日したこともあります。金正男氏は2001年5月に日本に不法入国しようとして、成田空港で東京入国管理局に身柄を拘束され、強制送還されました。公安当局によると、入管での聴取の際には「ディズニーランドに行きたかった」などと日本語で話していました。

金氏は01年5月1日にシンガポールから成田空港に到着し、ドミニカ共和国の偽造パスポートで入国しようとしたところを東京入国管理局に身柄を拘束されました。4、5歳ぐらいの男児と女性2人と一緒でした。


上の写真は、不法入国しようとして国外退去処分となり、北京行きの全日空機に乗り込む北朝鮮の故金正日総書記の長男、金正男氏です。(中央、腕をまくった人物)=2001年5月4日、成田空港

不法入国しようとする1カ月ほど前に、法務省などに入国する可能性があるとの情報が海外の情報機関から寄せられていました。警察庁は入管側に不法入国で警察に刑事告発するよう求めたのですが、外務省などの意向で告発は見送られ、国外退去処分となりました。当時の外務大臣は田中真紀子氏です。

ところで、本件に関しては、自民・自由・民主・保守・無所属の会など超党派の国会議員10人が声明を発表し、金正男氏らを北朝鮮の日本人拉致問題の取引材料として拘束すべし、あるいは常習犯であることが明かであるから刑事処分を実施すべしといった主張を行ない、政府の対応を批判しました。「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」も同様の声明を発表しました。

拉致問題被害者の方々の感情を察すれば、当時は次期北朝鮮指導者の候補の一人とも見らていた金正男氏を「刑事処分」の名の下に拘束し、「人質外交」を展開するということもできたかもしれません。

これ以前にも金正男氏ら金氏一家は既に何度か我が国に不法入国しており、そしてその度に警察庁はこれを厳重な監視体制の下に置いて尾行を続けてきていたとされていました。

そして、それが事実だとすれば、その公安側の「秘密作戦」を知らされていない現場の入国審査官が「真面目に仕事をした」結果、法務省の入国管理当局や外務省が金正男氏らの「密入国」を知るところとなり、情報が漏洩したため「やむなく」強制退去処分になったのではないでしょうか。

北朝鮮の金正男氏は、故・金正日総書記の長男として一時は後継者候補に取り沙汰されたこともあったのですが、日本からの強制退去に金正日総書記の怒りを買い、後継レースから脱落したとみられていました。

04年に中国の北京国際空港で、身分も隠さず日本人記者団の質問に答えるなど、フランクな人柄をのぞかせました。日本のメディアなどで3代世襲を批判、北朝鮮の改革・開放を支持していたとされ、金正恩体制の発足後は北朝鮮から遠ざかっていました。

スイスで学生時代を過ごし、マカオなどを拠点に海外で活動。日本文化にも関心があったとされ、強制退去処分前にも複数回、東京を訪れ新橋など都心のホテルを拠点に観光などをしていました。

母は金総書記の2番目の夫人だったとされる成 蕙琳(ソン・ヘリム)で、02年に療養先のモスクワで病死した。息子のハンソルさんはフランスの名門校、パリ政治学院で学び、メディアとのインタビューで金正恩朝鮮労働党委員長を「独裁者」と呼ぶなど北朝鮮の現体制に批判的な姿勢を示していました。

キム・ハンソルさん
このようなことがあったため、金正男氏が再び来訪することはなかったでしょうが、もしこのときにも入国管理当局が気が付かなかったか、警察庁の連絡が入っていて、気づいても無視していたとしたら、その後日本にも何度も不法入国したかもしれません。

もし、そうなっていたとしたら、今回の暗殺の舞台は、マレーシアではなく、日本になっていたかもしれません。それは十分にありえることです。

しかも、当時の日本が明らかな不法入国であり、さらに拉致問題があるにもかかわらず、金正男氏を拘束することもなく、国外退去処分にしたことは、かえすがえすも残念なことです。もし、このとき拘束して日本の法律で裁くというようなことを日本がしていれば、その後の北朝鮮に対して強力な外交カードを持ち得たかもしれません。

これによって、完璧に日本は北朝鮮からなめられ、何があっても北朝鮮に対しては、なかなか強い措置を実施することはできないだろうと思われたに違いありません。

今後、このような事件があったことから、世界の国々は、このようなテロに対する取締が厳しくなることでしょう。

そんな中にあって、現在日本はテロ等準備罪の審議を国会で行っているわけです。このようなことがあったので、テロ等準備罪に関する時事通信の世論調査では以下のような結果になっています。
「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を創設する組織犯罪処罰法改正案を今国会に提出する政府方針に対しては、賛成66.8%、反対は15.6%だった。 
調査は全国の18歳以上の男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は61.7%。(2017/02/17-15:05)
これは、当然の結果ともいえると思います。世界の他の国々で、マレーシアで金正男氏暗殺テロがあったことから、テロの取締が厳しくなるなか、日本だけが従来のままであれば、とんでもないことにもなりかねません。

日本だけが、取締が甘いということになれば、日本が暗殺テロなどのやりやすい国ということになり、各国要人が日本に滞在している間に、暗殺されるということが頻発するかもしません。そうなれば、他国の要人は誰も日本に立ち寄らなくなるということも十分に考えられます。

そんな事態を招かないためにも、テロ等準備罪は絶対に必要です。現時点で「テロ等準備罪」に真っ向から反対し、これを必要なしと主張するのはテロリストやその支援者であると疑われても致し方ないと思います。

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