2020年3月15日日曜日

コロナ患者の入院先が特定、病院名が流出しざわつく事態に―【私の論評】自己完結型組織である自衛隊病院だからこそ、他の病院に先駆けて患者を受け入れられた(゚д゚)!

コロナ患者の入院先が特定、病院名が流出しざわつく事態に

自衛隊中央病院
日に日に新型コロナウィルスの患者が増え、日本全体に不安が広まり自粛ムードとなっています。自分の住んでいる地域ではどのくらいの患者がいるのかと、ニュースを見て気にする人も多いのではないでしょうか。新型コロナウィルス患者を受け入れている入院先の病院名や受け入れ人数などはテレビなどでは報道されていませんが、河野太郎防衛大臣が自衛隊病院の新型コロナウィルス患者の受け入れ状況をツイッターで報告したのです。

自衛隊病院で感染者受け入れ陸・海・空3自衛隊の共同機関として防衛省が設立・運営する病院である自衛隊病院では、新型コロナウィルスに感染した患者を受け入れており、河野太郎防衛大臣が受け入れ状況のほか、退院や転院状況についても詳細に報告するツイートを発信しました。

テレビではあまり報道されていない退院数についても報告してあることに対し、次のような意見がTwitter上に寄せられています。
「自衛隊の医療チームは素晴らしい」「感染者の大半が普通に退院されていることを知り、安心します。」「目に見える情報を発信してくださるのは、非常に心強いです。」と、ネット上にコメントが寄せられていました。

また、河野太郎防衛大臣は自衛隊病院の新型コロナウィルス患者受け入れ状況だけでなく、日本の新型コロナウィルス患者の状況について日々ツイートをしています。
目に見える情報をツイートしていることに感謝し、安心している方も多い事が伺えます。

新型コロナウィルスの影響で、浜松市のアノ銘菓が生産中止に追い込まれる事態になったことも話題となりました。

【私の論評】自己完結型組織でもある自衛隊病院だからこそ、他の病院に先駆けて患者を受け入れられた(゚д゚)!

新型コロナ肺炎の患者さんたちは、どのような病院で受け付けているのかと、思っていましたが、かなりの部分は自衛隊病院で受け付けていたということです。

自衛隊病院の行動は、以下の点で称賛に値します。

1 初期の大量患者発生(PCR陽性の軽傷者含む)の病院収容(受け入れ時に感染対策は必要)という難しいミッションを淡々と行ったこと

2 多くの病床、医療者の人力の運用を迅速におこなったこと(普通の病院では難しい)

3 受け入れ前に訓練を行い、病院医療従事者に院内感染を起こしていないこと(訓練の賜物)

4 死亡者を出していないこと

5 ほとんどの人をしっかり退院させていること

6 結果初期に起きる医療崩壊を防いだこと

(7 地域?の感染症担当医に今回の患者診療のノウハウを講義してさらに崩壊を防ごうとしたこと)

以上は、自衛隊の仕事ですから、大々的に褒めてくれとは言わないですが、かなり努力していることは報道に値すると思います。ダイヤモンド・プリンセスの時の自衛隊の活動もも掲載したのは自衛隊の新聞である、朝雲だけでした。

ただ今の日本のコロナウイルス対策に自衛隊衛生の力があったこと、そして医療崩壊を結果的に防いだことを日本の国民に知っていただければ幸いです。

この自衛隊病院とはどのような病院なのでしょうか。

自衛隊病院(じえいたいびょういん)とは、防衛省が設置・運営する陸・海・空自衛隊の共同機関であり、自衛隊中央病院や陸海空幕僚長を通じて指揮監督を受ける自衛隊地区病院の総称です。共同機関以外に防衛省が設置する病院として防衛医科大学校病院があります。

共同機関の自衛隊病院には自衛隊中央病院と陸・海・空それぞれの幕僚長を通じて指揮監督を受ける自衛隊地区病院(15病院)があります。

基本的に利用対象者を防衛省職員とその家族、つまり防衛省共済組合の被保険者に限定していました。中央、札幌、福岡の3自衛隊病院では、2006年10月から、前述の防衛省職員・家族以外の一般外来受診を開始し、防衛医科大学校病院、自衛隊横須賀・富士・阪神・福岡病院も一般外来受診を行っています。

2009年、防衛省は全国に16カ所ある自衛隊病院を10カ所に集約した上で、現在は一部に限定している自衛隊関係者以外の一般国民の利用をすべての病院で認めることを決めた。具体的な時期は今後検討するとしています。

     自衛隊札幌病院(病院長・大鹿陸将)は、2018年11月12日から16日の間、
    「世界糖尿病デー」のイベントを開催した。
2018年現在、15病院(陸:7院、海:5院、空:3院)が設置されています。

陸上幕僚長を通じて指揮監督を受ける病院
自衛隊札幌病院 - 真駒内駐屯地北海道札幌市札幌市
自衛隊仙台病院 - 仙台駐屯地宮城県仙台市宮城野区
自衛隊富士病院 - 富士駐屯地静岡県駿東郡小山町
自衛隊阪神病院 - 川西駐屯地兵庫県川西市
自衛隊福岡病院 - 春日駐屯地福岡県春日市
自衛隊熊本病院 - 熊本駐屯地熊本県熊本市東区
自衛隊別府病院 - 南別府駐屯地大分県別府市) 
海上幕僚長を通じて指揮監督を受ける病院

海上自衛隊員の集中する主要な基地は、地方総監部の所在地となっているので、各地方総監部所在地に1つずつ、海上幕僚長を通じて指揮監督を受ける自衛隊地区病院が置かれています。
自衛隊大湊病院 - 大湊基地青森県むつ市
自衛隊横須賀病院 - 横須賀基地神奈川県横須賀市
自衛隊舞鶴病院 - 舞鶴基地京都府舞鶴市
自衛隊呉病院 - 呉基地広島県呉市
自衛隊佐世保病院 - 佐世保基地長崎県佐世保市
航空幕僚長を通じて指揮監督を受ける病院
自衛隊三沢病院 - 三沢基地青森県三沢市
自衛隊入間病院(仮称)-入間基地埼玉県入間市)(2021年度開設予定)
自衛隊岐阜病院 - 岐阜基地岐阜県各務原市
自衛隊那覇病院 - 那覇基地沖縄県那覇市
後の防衛大臣のツイートにある、3月10日時点でこれまで感染者122名を受け入れ、114名退院、2名転院、6名が現在、入院中というのは、無論これらの病院の全体で受け入れたものの合計なのでしょう。

地震があった日の札幌自衛隊病院 耐震設備があるので無傷であった

こちらは、札幌なので、札幌自衛隊病院について、特に地域貢献について掲載します。
●月に2回、札幌市の救急輪番を担任し、地震(ブログ管理人注:北海道胆振東部地震

)

が発生した9月5日(水)夕~ 6日(木)朝も救急態勢を維持
●災害発生時の受入病院として被災者診療を行い、発災以降、地震関連患者のべ71名の診療及び11件の手術を行い、26名が入院(9月13日2400現在)
●入院患者26名のうち6名は、人工呼吸器等を装着して療養中の患者や頻回に吸痰を要する患者を道内の停電に伴い受入れたもの
●厚真町総合ケアセンター「ゆくり」に救護班等を派遣(9月18日に活動終了)
●北千歳駐屯地及び南恵庭駐屯地の医務室に医官を派遣(同日に活動終了)
 地域の自衛隊病院は、地域の災害の時には現地に救護班も派遣しているのです。以下に一昨年の北海道胆振東部地震のときの札幌自衛隊病院救護班の派遣に関連する写真を掲載します。


自衛隊は縁の下の力持ちで頑張っています。特にコロナウイルス患者受け入れに関しては、全感染者が数百人という規模ですから、おそらく自衛隊病院が最大なのではないでしょうか。

このように一つの系列の病院で、これだけの患者を受け入れ、治療し多くを回復させた経験やノウハウは、自衛隊病院という組織に蓄積され、貴重な資産となるでしょう。さらに、これらが他の医療機関に伝えられることにより、その経験やノウハウが日本全国で共有されることになるでしょう。

そうして、報道では「自衛隊や軍隊は『自己完結型の組織』だから」災害に強い、と紹介されています。「自己完結型の組織」とは、何を指しているのでしょうか。

自衛隊や軍隊は、武力攻撃に対して武力を行使することで対抗し、戦闘を通して敵対勢力を排除する……という任務を帯びています。戦闘中は、基本的に外部組織からの支援を受けることはできません。お腹がすいたからといって、戦場まで出前してくれるお店とかはありませんからね。できる限り、自分達でなんとかしないといけません。

特に陸上自衛隊や陸軍、そして海兵隊は、飛行場という基地を基準に活動する航空自衛隊や空軍、船という「移動する基地」が基準となる海上自衛隊や海軍と違い、戦場のいたる所で拠点を作って活動する必要があります。自分達で寝泊まりする「宿営地」を作らなくてはいけませんし、それにともなって建設機械など、様々な装備を保有することになります。これがそのまま被災地における復旧作業に転用できるんですね。また、戦場で行方不明になった隊員や兵士を捜索したり、けが人や病人を治療する装備や技術も保有しているので、これも被災地での活動に役立ちます。

このような自己完結型の組織の一員でもある、自衛隊病院が多くの地域にあることが力強いです。防疫体制に関しても、戦地や被災地では、感染症が発生する率は高いので、普段から訓練したり、設備、装備的、ノウハウ的に備えができているのでしょう。そうした自己完型の組織である、自衛隊病院であるからこそ、新型コロナウィルスの患者を他の病院に先駆けて受け入れる事ができたのでしょう。

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2020年3月14日土曜日

中国の情報隠蔽裏付け、香港紙「最初の患者は11月」―【私の論評】中国の武漢ウイルス感染者数の統計は「政治的メッセージ」である(゚д゚)!



香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP、電子版)は13日、現段階で確認されている新型コロナウイルスの最初の感染者は、湖北省で昨年11月17日に発症したと伝えた。中国政府の非公表資料に基づくとしている。中国政府は最初の感染者が12月8日に発症したと説明しており、報道が事実であれば、当局側の初動の遅れや情報公開の不透明さを裏付けるデータといえそうだ。

 中国当局は12月31日、「原因不明のウイルス性肺炎」を27人が発症していると初公表。専門家が「人から人」への感染を認めたのは1月20日だった。

 一方、SCMPによると、最初の感染者とみられるのは湖北省の55歳で、11月には少なくとも39~79歳の男女9人が感染。感染者は12月31日に266人、1月1日には381人に達したという。感染者数には後からさかのぼって確認した人も含まれるもようだ。ただ、昨年末には「人から人」感染を裏付ける爆発的な増加が起きていたことを示すデータといえる。

 実際に武漢では当時、多くの医師が強力な感染力を持つウイルスへの警戒を呼びかけていた。中国誌・人物(電子版)が11日に公表した記事によると、武漢中心病院の艾芬医師は12月30日、肺炎の原因を「重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス」と判断した検査報告書をみて危機感を抱き、その写真を知人の医師に送信。医師8人がグループチャットに転送し、情報が拡散した。このうちの一人が2月7日に死去した同病院の眼科医、李文亮氏(33)だった。

 警察当局は「デマを流した」として李氏ら8人を処分。艾氏も病院幹部から強い叱責を受け、肺炎については自分の夫にすら何も話すなと口止めされた。「まるで武漢市の発展を私一人が破壊しているように」指弾されたという。

 この記事は公表直後に削除された。同様に削除された財新(電子版)の記事によると、武漢中心病院に送られた報告書は北京の民間機関が遺伝子情報を分析したものだった。検査の一部に誤りがあり、新型コロナウイルスに似た遺伝子構造を持つSARSと判断されたという。

【私の論評】中国の武漢ウイルス感染者数の統計は「政治的メッセージ」である(゚д゚)!

中国の感染者数の公表は、上の記事にもあるように、当初から信頼できないものでした。そうして、最近では終息しつつあるような公表がされていますが、これも信用できません。

なぜなら、中国の統計データは先月に3度も統計変更があったのですが、通常は変更後と変更前の複数時系列が発表されるべきところ、そうした措置は見当たらず、信用ができないです。習近平主席の発言にあわせて統計数字が作られているふしもあります。

中国の統計は元々信用のできるものではありません。たとえば、GDPに関しても、出鱈目であることは、このブログに何度か掲載してきました。中国各省のGDP合計が、中国共産党中央政府が公表した、全体のGDPよりも小さいということは何度もありました。

最近では、このようなことはさすがに見られなくなりました、ただし、これは中国の統計が正しくなったのではなく、中央政府と各省の統計をすり合わせて、矛盾が出ないように調整した結果であると私は思っています。

高橋洋一氏などは、輸出入などの推移から、GDPを推計値を出していますが、やはり乖離があるそうです。GDPはごまかせても、輸出入の数値は、相手があることですから、ごまかせません。

この状況を私は、このブログで中国の統計は、統計ではなく「政治的メッセージ」であるとし、揶揄したことがあります。中国の武漢ウイルス感染者の統計は、その程度のものであると解釈すべきです。


中国では、これだけではなく、もっと疑念のわくようなことが行われています。

Twitterでは3月4日「日本肺炎」がトレンド入りしました。情報を総合すると、中国大使館が2月27日、公式サイトで日本に暮らす中国人に宛てたメッセージがもとになっていました。

そのメッセージは漢字でこう書かれていました。「目前、日本新型冠状病毒肺炎疫情不断変化、我在日同胞対此高度関注」(日本語の漢字に直しています)。

この冒頭部分の「日本新型冠状病毒肺炎」から、「日本肺炎」という名称が生み出されたとみられます。

ところが、これは初歩的な誤訳です。文中の「日本」は「疫情(感染の状況)」にかかっているため、正しくは「日本での新型コロナウイルスの感染の状況が常に変化しているため、我々の日本に住む同胞から高く注目されている」と訳すべきです。

この「日本肺炎」という言葉が一人歩きし、「中国がやりそうなことだ」などと日本国内で反感が広がっています。こうした投稿に対し、中国大使館がリプライで誤訳を指摘する事態にまでなっています。

この誤訳について、筆者は複数の中国人にも確認した。彼らはいずれも「日本肺炎とは読めない」と指摘しました。Twitterでは、誤解を招きかねない表現だとする意見もありますが「中国人なら読み間違えるはずがありません」「その指摘には無理があります。そう思う人はいないでしょう」とのことでした。

また誤読からデマが広がっていることに関しては「大丈夫です、デマはいつかデマだと分かりますから」と話していました。

武漢ウイルス感染症については、COVID-19という名称がつけられました。WHO(世界保健機関)は、2015年に制定されたガイドラインに沿って「地理的な場所や動物、特定の個人や集団を指していないこと」が重要視されたと説明しています。

中国外務省の趙立堅副報道局長は13日、世界中で感染が拡大している新型コロナウイルスの発生源が米軍の研究施設だと推測する記事をツイッターで紹介し、拡散するよう呼び掛けました。趙氏は12日夜には「(湖北省)武漢市にウイルスを持ち込んだのは米軍かもしれない」と主張しました。

中国外務省の趙立堅副報道局長

新型コロナウイルスは、野生動物から人間に感染したとみられており、武漢市から世界中に広がったとされています。しかし、趙氏が紹介した国際ニュースを扱うサイトの記事は、昨夏に閉鎖された米メリーランド州の米軍施設にあったウイルスに感染した米軍人がスポーツ大会に参加するため昨年10月に武漢市を訪れ、「数千人の市民に感染させた可能性」があるとしています。

趙氏はツイッターで「米国はデータを公開せよ!」と訴えました。しかし、この記事は米軍施設のウイルスが発生源だと断定する具体的な根拠を示していません。筆者は、上海在住で復旦大学の客員教授を務めるラリー・ロマノフ氏とされています。

趙氏のツイッターに対しては「デマ」「共産党の宣伝」などと批判的なコメントが多いです。中国外務省の耿爽副報道局長は13日の記者会見で、趙氏の主張が中国政府の見解かどうかについて言及を避け、「ウイルスの発生源(がどこか)は科学的な問題としています。
この非現実的な主張は、恐らく、イラン、イタリア始めヨーロッパで大拡散している隙を見て、得意の情報操作を始めたということの証左かもしれません。
このような状況でも、日本の親中派は、のほほんとしています。自民党の二階幹事長も「この騒ぎが収まったら中国にお礼に行く」と愚かなことを語っています。
2月の下旬習近平は、「コロナウイルスの発生源を全面的に明らかにせよ」と科学者らに指示したことされています。

感染研究所を訪問した習近平(中央で指を差している人物)

これは各専門家に何か手を打てと命令を出したものです。専門家らは、これらを指示を忠実に実行しはじめたということでしょう。

日本軍による「南京大虐殺」もこのような情報操作により創作されました。日米とも、注意しないと危険です。中国は、執拗に世界中に情報操作をして、50年後ぐらいには「武漢肺炎」が「美国(中国語で米国のこと)肺炎」や「日本肺炎」になってるかもしれません。

ただし、世界中に情報ネットワークが張り巡らされた今日ではそのようなことはなかなかできないかもしれません。ただ、時間の経過で世界の人々から記憶が薄れたときに、WHOは無論の事、世界中の報道機関を金で抱き込み操作して、「美国肺炎」か「日本肺炎」になっているかもしれません。

そのようなことになる前に、日米は、中国共産党を崩壊させるか、経済的に追い込み、現在のロシアのように韓国なみの経済になるまで弱体化させ、経済的に無価値な国にしたほうが良いでしょう。50年後にも、中国共産党が情報操作できるようであれば、この世は、暗黒世界になっているでしょう。

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2020年3月13日金曜日

トランプは見事に「コロナウイルス検査」に合格:グッドウィン―【私の論評】トランプ大統領は「狂ったピエロ」ではない(゚д゚)!

トランプは見事に「コロナウイルス検査」に合格:グッドウィン

<引用元:ニューヨーク・ポスト 2020.3.12>マイケル・グッドウィン氏による寄稿

大きくて大胆、楽観的で心がこもっていた。トランプ大統領の大統領執務室からの演説はまさに米国が聞く必要のあるものだった。



これは大統領が危機に真っ向から立ち向かおうと奮起する姿だ。

全国に不安とパニックが広がり景気後退の恐れがある中で、トランプは大統領となって最大の試練に直面している。民主党、偏向メディア、そして敵対国との荒々しい戦いでは百戦錬磨であっても、トランプはコロナウイルスによって違った重大性を持つ問題を提示されている。

それは米国に戦争を宣言した世界的な厄介者だ。正直に言うとここ数週間の中で、大統領がやる気のないの最高司令官に見えたこともあった。

ありがたいことに、11日の夜の時点でそのやる気のなさは過去のものとなり、疑う余地なくこの命にかかわる災難との戦いに全面的に取り組んでいる大統領となっている。

流れを変えてこの勝負にさらに力を入れようという意欲は、これが国にとっても自身の大統領としての立場にとっても、重大な瞬間であることの理解を映し出している。「歴史が何度も繰り返して証明しているように、米国人は常に困難にうまく対処して逆境を乗り越えている」とトランプはある時点で述べた。自身が目前に迫る危機の深刻さを認めていると強調するためであるかのように。

嫌う人は認めないだろうが、トランプの今の瞬間に対応する能力は、彼が選挙で選ばれて、偉大な米国の雇用の仕組みを前例のない極みに導くことに成功した理由について思い起こさせるものだ。唯一のなぞは、なぜ左派の知性があるとされる人たちが、何百万人もの同胞が4年前より暮らし向きが向上している事実から目を背けるのかということだ。

その問題は11月に決着がつけられるだろうが、今のところ全国はこの無言の敵に対抗する活動に団結するべきだ。その目的を達成するためには、演説は成功だった。というのもコロナウイルスの拡大を止めるのに役立つ具体的行動と、被害を受けた個人と企業に対する援助の約束があったからだ。

欧州からの30日間の渡航禁止は確かに最も強力な対策だが、そこでの、特にイタリアでの病気の広がりは、ここで起こり得ることに関する教訓である。いちかばちかの賭けは無責任であるため、門戸を閉ざすのは賢明だ。

イタリア感染地図

思い出してほしいのだが、1月にトランプがほとんどの中国人の入国を止めたのは正しかった。実のところトランプ批判者の多くはまだ認めることができないでいる。それでも彼らは間違っている。

大統領は最高司令官の役割も果たさなければならず、中小企業ローンや他の措置の概要を説明することでそれを行った。その中には曖昧で今後まとめる必要のあるものもあった。また実際的に役立つ詳細を省略せずに、人々に手を洗うよう促した。それは大統領執務室では初めてのことかもしれない。

しかし、最も重要な課題は、自身の指導の下で米国民に信頼感を与え、国を反対側に導こうという決意を示すことだった。トランプが団結と党派を超えた姿勢を求めたのはその約束の一環だが、現実を受け止めればそれが起こる見込みはほとんどない。

ワシントンには非常に大きな反目があり、民主党幹部、ナンシー・ペロシ下院議長とチャック・シューマー上院少数党院内総務は、トランプのコロナウイルスに対する初期対応を容赦なく非難することでさらに「井戸に毒」を入れた。全くしょっぱなから、彼らは解決策を見つけるのに協力するのではなく再び大統領を弾劾したいかのように思われた。

そのため彼らもまた幹部に対する批判を受けている。彼らはこの命にかかわる病気との戦いに協力して国を落ち着かせようとするだろうか?それとも管理責任を放棄し続けて、国の健康と安心よりも自分たちの党派的利益を先立たせるのだろうか?

彼らが何を決めても、米国は今勝利に向けて尽力する大統領がいることを知っている。それが最も重要なことだ。

【私の論評】トランプ大統領は「狂ったピエロ」ではない(゚д゚)!

このブログでは、以前から人口の異なる国々の感染の度合いを、感染者数で測るのは間違いであることを指摘してきました。米国の人口は3.272億人です。日本は、1.268億人です。中国は13.86億人です。韓国は、5147万人です。これだけ人口が違うのに、日本の新聞やテレビは、感染者数を出すことにより、視聴者に大きな誤解を与えています。

米国も例外ではないようで、上の記事では、感染者が1000万人を超えたことを一つの区切りにしているようです。

10万人あたり、感染者数については、昨日もこのブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。

イタリア 感染者が1万人超える 新型コロナウイルス―【私の論評】日本は感染国ではない!見通しを示さず客観性に欠けたマスコミ報道が日本の悪いイメージをつくった(゚д゚)!
衆衛生学では、感染者数を人口10万人あたりでみるのが普通(感染者数➗人口✖10万人)です。そうすると、韓国11・0人▽中国本土5・6人▽イタリア5・1人▽イラン3・6人▽シンガポール1・9人▽香港1・4人▽スペイン0・5人▽フランス0・4人▽ドイツ0・3人▽日本0・3人▽米国0・1人です。 
どちらのデータを見ても、日本が感染国とはいえないです。乱暴ですが、あえてクルーズ船の感染者数を日本に含めたとしても0・8人であり、感染国とはいえないという結論に変わりはないです。はっきりいえば、政府が手をこまねいているうちに、マスコミ報道で日本の悪いイメージができあがったというだけなのです。以下にグラフを掲載します。(以下のグラフの日本には、クルーズ船の感染者は含まれていません)

上で示した数値は、5日現在、グラフは8日現在のものです。さて、米国における、感染者数1000人とは、感染者数を人口10万人あたりでみる見方ではどうなるのでしょうか。

1000人➗3.272億人✖10万人=0.3ですから、10万人あたりでは、0.3人です。これは、かなり少ないです。米国は現時点では、感染国とはいえないです。感染国といえるには、少なくともこの数値が1人でないと言えなです。

それにしても、5日現在では、0.1人だったものが、0.3人を超えたわけですから、やはり軽快を強める必要はあると思います。

だからこそ、トランプ大統領が、大統領執務室からの演説をすることを決めたのでしょう。そうして、このトランプ大統領の演説は、ニューヨクポストのマイケル・グッドウィン氏によれば、素晴らしいものであったようです。

本日は、今朝ワイドショーをみていると、パックンなどか登場して、トランプ大統領が東京オリンピックは延期した方が良いかもしれないという発言に関して、さんざんトランプ大統領をこき下ろしていました。



トランプは「専門家の言うことを絶対に聞かない」「その自信が危機を招く」「バイデンのほうがまとも」など様々な批判が飛び交い、なにやら、この話だけを聴いていると、トランプ大統領はさながら、「狂ったピエロ」のような印象でした。

しかし、これには以前からこのブロクで主張していたように、米国のメディアのほとんどがリベラルで占められていて、大手新聞は全部リベラル、大手テレビ局はフォックスTVだけが、保守系であり、残りの大手放送局はすべてリベラルであることが影響しているようです。

パックンは米国人ですが、彼の普段の発言を聴いていると彼は、生粋のリベラルのようです。だから、ある意味トランプ氏をこき下ろすのは当然なのです。そうして、日本のメディアはトランプ氏に関しては、米国のリベラルメディアの受け売りをしているだけです。

そのため、日本ではトランプ大統領が誕生することをいずれのメディアも予測できませんでた。最後の最後まで、ヒラリー大統領誕生の姿勢を崩しませんでした。

今回の武漢ウイルスへの対応も、日本のメデイアだけを見ていると、トランプ氏のやりかたは「狂ったピエロ」としか思えないでしょう。

やはり、複数のメディアにあたることと、客観的データを見ながら判断すべきです。そうでないと、何も見えなくなります。

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2020年3月12日木曜日

「特措法」改正で野党の微妙な立場 緊急事態宣言に「改憲」への懸念も 民主党時代の法律否定もできず ―【私の論評】安倍総理が主張するように、いますぐ「緊急事態宣言」を出す必要はない(゚д゚)!

高橋洋一 日本の解き方

左から立憲民主党・枝野幸男代表、福山哲郎幹事長
新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案は最速で13日にも成立する見通しとなっている。今回の新型コロナウイルスを対象に加える法改正によって、何ができるのか。「緊急事態宣言」について懸念する声もあるが、どのような問題があるのだろうか。

 新型インフル特措法は、民主党政権下の2012年に制定された。同法32条により、内閣総理大臣は「新型インフルエンザ等緊急事態宣言」を行うものとしている。

 今回の場合でも、安倍晋三首相は「新型コロナウイルス緊急事態宣言」を行うことができるようになる。また、現在、事実上政府より行われている外出自粛要請や興行場、催物等の制限等の要請・指示についても法的根拠となる。生活関連物資等の価格の安定(国民生活安定緊急措置法等の的確な運用)も規定されており、マスクに関する政府措置の法的根拠にもなる。

 さらに、政府関係金融機関等による融資が規定され、国や都道府県による費用の負担のほか、損失補償や損害補償等の財政負担についても規定されている。これらは今回の新型コロナウイルスの場合にも適用される。

 ただし、財政措置については、現行法は医療関係に限定されているので、改正法案では学校休校などに伴う補償措置なども盛り込まれるだろう。

 新型インフル特措法は民主党政権で成立したものだが、個人の自由や権利の制限につながる恐れもあることから、日本弁護士連合会や日本ペンクラブは反対していた。当時、野党だった自民党ですら、恣意的な緊急事態宣言への懸念を表していた。

 ところが、今回は攻守所を変えて、与党の自民党が攻めている。興味深いのが、自民党は憲法改正において緊急事態条項を掲げていることだ。緊急事態宣言と緊急事態条項は名称は似ているが、前者は法律事項、後者は憲法事項という違いがある。

 ほとんどの国の憲法には、緊急事態条項がある。ワイマール憲法での緊急事態条項がナチス政権の暴走を招いたとされるドイツでも、戦後ナチス再来を防ぐために、緊急命令権をなしとするなど工夫して緊急事態条項をドイツ連邦共和国基本法(憲法)中に規定した。しかし、今の日本国憲法にはそもそも緊急事態条項がないため、自民党では憲法改正によって盛り込もうとしている。

 もっとも、憲法の範囲内で国民の権利制限が可能となる例として、災害対策基本法、国民生活安定緊急措置法、新型インフルエンザ等対策特別措置法などがある。

 そこで自民党は、憲法の範囲内で緊急事態宣言を行おうとして、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正という「変化球」を投げ込んできた。

 しかし、これは、野党にとっては憲法改正への一里塚に見える。野党としては、憲法改正への機運が盛り上がると困る。かといって、民主党時代の法律を否定もできないという微妙な立場になる。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】安倍総理が主張するように、いますぐ「緊急事態宣言」を出す必要はない(゚д゚)!

新型コロナウイルスの感染拡大に備え「緊急事態宣言」を可能にする新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案は12日、衆院本会議で賛成多数で可決され、衆院を通過しました。自民、公明の与党に加え、立憲民主党、国民民主党などの野党も賛成した。13日の参院本会議で成立する見通しです。

緊急事態宣言といえば、すでに北海道ではだされています。しかし、留意すべきは、北海道の緊急事態宣言には法的根拠がないことです。あくまでも自主的な呼びかけに過ぎず、国民(北海道民)や企業に対する強制力はありません。

一方、法整備が検討されている新型インフルエンザ対策特別措置法の改正案に基づく緊急事態宣言には、強制力があり、その前提の違いを正しく認識する必要があります。すなわち、法律に基づく「緊急事態宣言」では、自粛ではなく強制的な企業活動の縮小・停止、外出の禁止といった事象が発生する可能性があるということになります。

緊急事態宣言の流れを以下に掲載します。


立憲民主党の山尾志桜里衆院議員は12日、同党などでつくる野党統一会派の会合で、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、首相による「緊急事態宣言」を可能とする改正案の採決で反対することを表明しました。同日の衆院本会議で同党は賛成する方針で、山尾氏が造反を宣言した形です。

「緊急事態宣言」をめぐって、野党は、権限行使に一定のハードルを設ける必要があるとして、改正案に「国会による事前承認」(緊急時は事後承認)を明記する修正を求めていました。

ところが、与野党の断続的な協議を経て、立憲や国民民主党は改正案の付帯決議に「国会に事前に報告する」という文言を盛り込むことで妥協。党としては、賛成に回ることを決めました。

 立憲執行部の内実を暴露する山尾議員。指摘された安住国対委員長は背後からニラミつけた。
 =12日12時45分頃、衆院第4控室
この、「緊急事態宣言」を可能にする新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案は明日にも成立しそうですが、成立したからといってすぐに「緊急事態宣言」が出されることはないでしょう。

なぜなら、このブログでも昨日示したように、日本はどう考えてみても現時点で深刻な感染国とはいえないからです。

その記事のリンクを以下に掲載します。
イタリア 感染者が1万人超える 新型コロナウイルス―【私の論評】日本は感染国ではない!見通しを示さず客観性に欠けたマスコミ報道が日本の悪いイメージをつくった(゚д゚)!
この記事から一部と、グラフを引用します。
各国の感染者数は、5日現在で、中国本土8万272人▽韓国5621人▽イタリア3089人▽イラン2922人▽その他(クルーズ船)706人▽日本331人▽フランス285人▽ドイツ262人▽スペイン222人▽米国153人▽シンガポール110人▽香港105人なです。 
ワイドショーなどでは、感染者数だけ報道し、結局脅威を煽るようなことになっていますが、これは以前のこのブログの記事でも示したように、もっと客観的に見るべきです。人口の多い国が、感染者が多くなるのは当然のことで、人口の多い国も少ない国も、感染者数だけでみたり、比較するのはあまり意味がありません。 
公衆衛生学では、感染者数を人口10万人あたりでみるのが普通(感染者数➗人口✖10万人)です。そうすると、韓国11・0人▽中国本土5・6人▽イタリア5・1人▽イラン3・6人▽シンガポール1・9人▽香港1・4人▽スペイン0・5人▽フランス0・4人▽ドイツ0・3人▽日本0・3人▽米国0・1人です。 
どちらのデータを見ても、日本が感染国とはいえないです。乱暴ですが、あえてクルーズ船の感染者数を日本に含めたとしても0・8人であり、感染国とはいえないという結論に変わりはないです。はっきりいえば、政府が手をこまねいているうちに、マスコミ報道で日本の悪いイメージができあがったというだけなのです。以下にグラフを掲載します。(以下のグラフの日本には、クルーズ船の感染者は含まれていません)


上で示した数値は、5日現在、グラフは8日現在のものです。少し古いので、日本だけ本日の最新の数値で計算してみます。本日は、日本の感染者数は649人ですから、10万人あたりでは、0.6人です。これでは、どう考えてみても現状で「緊急事態宣言」を出すような状況ではありません。これが、1人、2人と増えた場合、もしくはそこまでいかなくても、急速に増えた場合には「緊急事態宣言」を出すべきでしょう。

実際、国会で、新型コロナウイルスをめぐる現状について、安倍首相は、自治体による外出自粛の指示などが可能となる「緊急事態宣言」を出すような状況ではない、との見解を示していました。

政府は今後、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、重大な影響が出そうになった場合、「緊急事態宣言」を出して政府や自治体が、外出自粛の指示などの強い措置をとれるようにするため、『新型インフルエンザ等特別措置法』の改正を目指しているのです。

こうした中、参議院予算委員会で野党議員は「すでに緊急事態ではないか」と安倍首相を追及しました。

日本維新の会・松沢成文議員「世界的な蔓延、つまり、パンデミック宣言、もうせざるをえないっていうところまで来てるんですよ。緊急事態だということを、なぜ言えないんですか」

安倍首相「(現状は)緊急にさまざまな対応をしなければいけない事態ではありますが、法的に『緊急事態』であるかどうかということについては、感染のスピードが急速に拡大しているということではまだないわけでございまして」と説明していました。

10万人あたり感染者数から判断すると、まさに安倍総理の考えは正しく、野党の追求は頓珍漢です。野党は、追求しようとするなら、明確なエビデンスにもとづき追求すべきです。過去の「もりかけ桜」も、明確なエビデンスではないもので、追求していましたが、野党はこのようなことばかりを繰り返してきたので、国会でまともに追求することもできないようです。

日本のマスコミも頓珍漢なのですが、政府のほうも10万人あたりの感染者数を開示するなどして、国民に対して客観的な正しい情報を伝えていくべきと思います。

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2020年3月11日水曜日

イタリア 感染者が1万人超える 新型コロナウイルス―【私の論評】日本は感染国ではない!見通しを示さず客観性に欠けたマスコミ報道が日本の悪いイメージをつくった(゚д゚)!


イタリアの国旗柄のビキニ

新型コロナウイルスの感染が急速に広がるイタリアでは、政府が全土で不要不急の外出を控えるよう求める措置を打ち出しました。しかし、感染者は10日も1000人近く増えて1万人を超え、新たな対策が感染の封じ込めにつながるか注目されます。

イタリア政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためとして10日から来月3日まで全土で不要不急の外出を控えるよう求めたほか、屋外の集まりを禁止する措置に踏み切りました。

首都ローマでは人通りや交通量が大幅に減ったほか、ふだんは観光客でにぎわうバチカンのサンピエトロ広場が閉鎖されるなど街は一変しています。

こうした中、イタリア政府は10日、新型コロナウイルスの感染者が新たに977人増えて1万149人になり1万人を超えたことを明らかにしました。

また、亡くなった人は168人増えて631人に上ったとしています。

感染症予防に当たっている国立衛生研究所のブルザフェッロ所長は、NHKの取材に対し、北部では感染が広がっているものの南部での感染は限定的だとしたうえで「今、取られている対策はほかの地域に感染が広がらないようにするためだ」と強調しました。

政府が打ちだした新たな対策で、感染を封じ込めることができるか注目されます。

隣国オーストリア イタリアからの入国禁止

イタリアで新型コロナウイルスの感染が拡大する中、イタリアと国境を接している隣国オーストリアでも10日、感染者が前日より50人以上増えて182人となるなど、広がりをみせています。

こうした中、クルツ首相は10日、記者会見を開き、イタリアからの人の入国を停止する措置を取ると明らかにしました。

イタリアからの航空と鉄道の旅客便を止めるほか、陸路で国境を通過する車両については、オーストリア国内で途中下車しないことを確認できれば、通行を認めるということです。

また、オーストリア国内では来週16日から大学が休校になり、企業に対してもテレワークを推奨するとしています。

さらに、オーストリア国内の100人を超える屋内の行事も中止にするということです。

これを受けて、ウィーンの国立歌劇場は今月31日までオペラやバレエなどすべての公演をキャンセルすると発表したほか、ウィーン少年合唱団も29日まで公演を中止するということで、観光への影響も広がっています。

ヨーロッパ各国で感染拡大歯止めかからず

ヨーロッパでは、イタリアに続き、フランスやスペインでも新型コロナウイルスの感染の拡大に歯止めがかからない状況です。

このうちフランスでは、10日、新たに北部と南部の2つの町で集団感染が見つかり、感染者の数はこれまでに1784人とイタリアに次いで多く、死者も33人に上っています。

また隣国のスペインでは、感染者が前の日に比べて400人以上増えて1639人となり、死者も36人となっています。

特に首都があるマドリード州で感染者が急増していて、スペイン政府は州内のすべての学校を11日から休校にしたほか、国内で行われるスポーツの試合は、すべて観客を入れないで行うことを決めました。

さらに議会では議員1人の感染が確認されたことから、上下両院とも今後1週間は議事を行わないことにしています。

ほかにもドイツで感染者が1000人を超えるなどヨーロッパでは感染の拡大に歯止めがかかっていません。

【私の論評】日本は感染国ではない!見通しを示さず客観性に欠けたマスコミ報道が日本の悪いイメージをつくった(゚д゚)!

イタリア政府は10日、武漢ウイルスの感染の急速な広がりを受け、全土で個人の移動制限を発動しました。9日の感染者数は9172人と中国に次いで2番目に多いです。欧州で突出して感染者数が多い理由を探ると、医療現場の混乱などいくつかの可能性が浮かび上がってきます。

コンテ首相は9日「国民全員が協力して、厳格な規制に対応してほしい」と呼びかけました。外出を避けるよう求め、飲食店は夜間の営業を禁止しました。ただし、仕事や健康上の理由での移動は認めます。移動制限は4月3日まで続けます。



感染者が急増した理由に挙がるのが医療現場の混乱です。イタリアは、これまでに新型コロナの検査を5万4千件以上してきました。感染者を確定させる狙いでしたが、軽症の患者も徹底的に検査したため、病床が満杯になりました。医師や看護師の不足に拍車がかかり、感染が一気に広がった可能性があります。

米ブルームバーグ通信は世界保健機関(WHO)関係者の話として「検査をやり過ぎて害を及ぼしたようにみえる」と伝えました。無症状の人は自力で回復できた可能性があると指摘しました。

このイタリアの現状をみて、全国民に一刻も早くPCR検査と言っていた人はどう言い訳するのでしょうか。テレビなどのワイドショーではほとんどいいませんが、PCR検査は、誤判定が3割以上もあるという事実は認識しておくべきです。

イタリアは欧州連合(EU)が求めた財政緊縮策として医療費削減を進め、医療機関を減らしてきました。政府は引退した医療関係者の現場復帰を呼びかけ、軍事施設の活用など対策を急いでいます。

中国人観光客の多さも新型コロナのまん延のきっかけになったとの声もあります。イタリアを訪れる中国人は年320万人を超え、国別では5番目に多いです。イタリアは2019年3月、主要7カ国(G7)で初めて中国の広域経済圏構想「一帯一路」に参画する覚書を締結し、その後に中国人は一段と増加しました。

感染症が専門のミラノ大学のガリ教授は伊メディアに対し「疫学のデータを分析すると、イタリアでは武漢ウイルスは既に1月末ごろから出回り始めていた」と話しています。

明るく友好的な国民性が関係している可能性もあります。イタリア人は家族や友人との時間を重視し、週末などに食事やカフェを一緒に楽しむのは日常茶飯事です。あいさつでも相手のほおに自分のほおを寄せるのが一般的で、人と人が身体的に近寄る機会が多いです。伊市民保護局のボレッリ局長は「イタリア人の感情をあらわす気質が武漢ウイルスの拡大につながった可能性がある」と指摘します。

ローマ。週末のレストランでの食事

現在、ミラノなどイタリア各地は静まりかえっています。一時的とはいえ、全土での移動制限は経済へのマイナスの影響が大きいです。外出の自粛や飲食店の時短営業で消費が低迷するのは確実です。20年1~3月期の実質経済成長率は2四半期連続でマイナスとなるとの見方が強まっています。ユーロ圏で3番目の経済規模を持つイタリアは景気後退に陥る可能性があります。

日本が感染国というイメージになっていますが、これはマスコミの責任が大きいです。なぜなら、多くの国内メディアでは、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の感染者約700人を含めて、日本の感染者数として報じています。そうした国内報道がそのまま海外で報道されるので、日本は感染国とされてしまうのです。

各国の感染者数は、5日現在で、中国本土8万272人▽韓国5621人▽イタリア3089人▽イラン2922人▽その他(クルーズ船)706人▽日本331人▽フランス285人▽ドイツ262人▽スペイン222人▽米国153人▽シンガポール110人▽香港105人なです。

ワイドショーなどでは、感染者数だけ報道し、結局脅威を煽るようなことになっていますが、これは以前のこのブログの記事でも示したように、もっと客観的に見るべきです。人口の多い国が、感染者が多くなるのは当然のことで、人口の多い国も少ない国も、感染者数だけでみたり、比較するのはあまり意味がありません。

公衆衛生学では、感染者数を人口10万人あたりでみるのが普通(感染者数➗人口✖10万人)です。そうすると、韓国11・0人▽中国本土5・6人▽イタリア5・1人▽イラン3・6人▽シンガポール1・9人▽香港1・4人▽スペイン0・5人▽フランス0・4人▽ドイツ0・3人▽日本0・3人▽米国0・1人です。

どちらのデータを見ても、日本が感染国とはいえないです。乱暴ですが、あえてクルーズ船の感染者数を日本に含めたとしても0・8人であり、感染国とはいえないという結論に変わりはないです。はっきりいえば、政府が手をこまねいているうちに、マスコミ報道で日本の悪いイメージができあがったというだけなのです。以下にグラフを掲載します。(以下のグラフの日本には、クルーズ船の感染者は含まれていません)


先にも述べたように、マスコミは不安ばかり煽りこれからの見通しなど示しません。ここでは、現在まで得られた知見から、ある程度の見通しを述べたいと思います。

この感染症の診断はPCR検査によって行われています。PCR検査は感度については良好ですが、鼻咽頭粘膜などの検体採取部に武漢ウイルスが存在しない場合、感度をいくら上げても陰性と出る可能性が大きいです。

そのため検査陽性の場合は感染ありと断定できますが、陰性の場合は信用ができない可能性があります。PCR検査を希望者全員に行うことは感染者の数を爆発的に増やすことにつながります。

この場合、無症状や軽度の症状の人もまとめて武漢ウイルス感染症と診断されるので、指定感染症である以上、多くの人が措置入院ということになります。そうすると、感染症指定医療機関はすぐに満杯となり、そうではない一般の医療施設でも入院させざるを得ない状況になり、そうなると逆に院内感染を拡大させる可能性が増してきます。それが、まさにイタリアや韓国の状況であったと考えられます。

いつの日か、本感染症を指定感染症から解除する時がやってくると思われるのですが、そうなると通常のインフルエンザと同様に軽症の場合は自宅待機を勧めることが可能になり、医療における混乱が生じる可能性は減少します。

これからの1カ月間の感染の動向により武漢ウイルス感染症への基本方針が大きく変わる可能性が高いと思います。新規感染者より回復者の方が多くなれば指定感染症の枠から外し、季節性インフルエンザと同じ診療方針で行えば良いです。

新規感染者がなお回復者を大きく上回っているのであれば、感染ルート探索のために全力を挙げ、個別の調査により感染源を完璧に絶たなければいけないです。結果が前者であってほしいと強く望んでいます。

このように見通しのもとで、政府の発表などをご覧になれば、マスコミ報道に煽られたり、いたずらに脅威を感じたりすることはないと思います。

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2020年3月10日火曜日

FRBの利下げと米大統領選、日銀が動かなければ円高に 実質金利下げる量的緩和を ―【私の論評】緩和に踏み切らなければ、日本は雇用が悪化、韓国は奈落の底に落ちこの世の生き地獄状態に(゚д゚)!


高橋洋一 日本の解き方

緊急利下げについて記者会見するFRBのパウエル議長=3日、ワシント

 米連邦準備制度理事会(FRB)は3日、金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)を定例会合の17、18日を待たずに緊急開催し、政策金利0・5%の引き下げを行った。

 しかし、3日の株式市場は反応せず、ダウ工業株30種平均は785ドル安だった。それほど、新型コロナウイルス・ショックは米国人に脅威なのだろう。

 米市場では、今後30日間の株式市場の予想変動範囲を算出し、恐怖指数と呼んでいる。過去にはリーマン・ショック時に90近くまで上昇し、米中枢同時テロやアジア経済危機、ギリシャ危機などの際には50近くまで上昇した。

 今回の新型コロナウイルス騒ぎでも、2月末に50近くまで上昇した。この意味で、リーマン・ショックほどではないが、これまでの大きな経済危機並みに、米国の投資家を恐怖に陥れているといえるだろう。

 トランプ大統領は、コロナウイルスを過度に心配している。11月に大統領選を控え、対応に不手際があると再選が危うくなるからだ。国民の生命に関わる話なので、こうした危機管理に政治家はより細心の注意を払うのだ。

 FRBもそうした政治家の機微に触れる話で躊躇(ちゅうちょ)はなく、今回の緊急利下げを行った。さらなる利下げもあり得る状況だ。

 これが日本に与える影響は、為替だ。今回のFRBの利下げは、日銀が金融政策を変更しなければ円高要因になる。

 本コラムでは、為替決定理論を繰り返し説明してきた。大ざっぱにいえば、円相場は長期的には日米のマネタリーベース(中央銀行が供給するお金)の比率でだいたい説明できるということだ。もちろん、この動きを中期的には日米の実質金利差を使って説明することもできるが、これはともに矛盾しないばかりか、理論的には同じことの言い換えである。

 この理論は、為替の動きをかなりうまく説明できる。日銀は白川方明(まさあき)総裁時代、リーマン・ショックの際に金融政策を変更しなかったが、FRBは量的緩和を行った結果、円高になった。2013年に黒田東彦(はるひこ)総裁になってから、「黒田バズーカ」と呼ばれる量的緩和を行ったので、円安になった。

 しかし、16年9月から黒田日銀は量的緩和からイールドカーブコントロール(長短金利操作)に移行し事実上、金融緩和をやめた。一方、FRBも出口戦略で金融緩和から脱しつつある。このため為替相場は安定してきた。

 しかし、今後FRBが再び金融緩和基調になるのであれば、日銀も為替を動かさないように、金融緩和して同一歩調を取らなければならない。

 もちろん、日本は名目金利はゼロまたはマイナス金利なので、実質金利を下げるように、日銀は再度量的緩和を行う必要がある。

 ここで日銀が名目金利に言及し、「金融緩和の余地がない」という言い訳をしたら、失望だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】緩和に踏み切らなければ、日本は雇用が悪化、韓国は奈落の底に落ちこの世の生き地獄状態に(゚д゚)!

このブログでは、円相場というか為替についても何度か掲載してきました。簡単に言ってしまうと、米国が金融緩和をして、市場に出回るドルが増えたにもかかわらず、日銀が金融緩和をしなければ、相対的に円高になります。日銀も金融緩和をすれば、相対的にドルと円の価値は変わりなくなるので、円高にはなりません。

円高になるのは、相対的にドルが多くなり、円が少なくなるからです。物の値段も、相対的に物が多くなれば、安くなり、少なくなれば、高くなります。通貨も同じことです。これは、常識を働かせれば、小学生でもわかる理屈です。

しかし、驚いたことに、金融機関の人でもこのような簡単なことがわからない金融アナリストなるが人が日本には、大勢います。円相場に関して、そのような人は、日米の金融政策のことなどおかまいなしに、様々な世界情勢の変化、しかも数ヶ月単位のことしかいわず、もっともらしいことをしたり顔で言うのですが、まるで意味をなしません。情けない限りです。それどころか、日銀の官僚も理解していない人が多いのではないでしょうか。

そうでなければ、日銀が白川方明(まさあき)総裁時代、リーマン・ショックの際にFRBなどはじめ、世界中の中央銀行が、量的緩和を行ったにもかかわらず、金融政策を変更しなかったことの説明がつきません。理解してやっているとしたら、どこかの外国の回し者であったのかもしれません。

中央銀行の資産は金融緩和の度合いに比例する、リーマン・ショック後日銀は緩和しなかったことがわかる

それどころか、日本では金融政策=雇用政策であるということも、一般社会人の常識になっていないようです。そのためでしょうか、枝野氏など金融緩和などはせずに、再配分をすべきということを語っています。これでは、金融緩和せずに最低賃金だけをあげた韓国の文政権のように、雇用を劇的に悪くするだけです。

今回のように、FRBが利下げしても、日銀が何もしなければ、景気が悪化するだけではなく、雇用も悪くなります。それに現状では、物価目標すら達成できていません。日銀は、従来の異次元の金融緩和に戻すべきなのです。

ここは、武漢肺炎がどうのこうのということとは、別にして、とにかくFBRが利下げするというのですから、ゼロ、もしくはマイナス金利の日本としては、量的緩和をするしかないのです。

そうしないと、日本は確実に、円高・デフレにまい戻ることになります。平成年間のほとんどを日銀は、金融引締政策を取り続け、日本をデフレ・超円高の状況に陥れてしまいました。せめて、令和年間には、まともな金融政策で日本を少なくとも、デフレ・円高状況に陥れないようにしていただきたいです。

金融に関しては、この状況ですが、財政に関しては本日は以下のようなニュースが舞い込んできています。

麻生太郎財務相は10日の参院財務金融委員会で、新型コロナウイルス感染拡大で国内の景気が悪化していることに関し「景気対策としての減税は1つの案だ。反対するつもりはない」と述べ、景気対策の一環で、今後何らかの減税に踏み切ることに含みを残しました。

質問した日本維新の会の音喜多駿議員は、昨年10月に消費税率が10%になって以降「日本の景気は悪化局面に入っている」と指摘し、消費税の減税を求めましたが、麻生氏は「消費税(減税)の話をしたのではない」と、くぎをさしました。

新型コロナウイルス対策で米国などが緊急経済対策に着手する中、日本も同様の措置を取るよう求められた麻生氏は「他国のように急にやるのとは違う。我々は細かくやっている」と理解を求めまし。音喜多氏は「リーマン・ショックかそれ以上になるかもしれない、国家の一大事だ」として、早急な対応を求めました。


麻生財務大臣は、消費税については釘をさした形ですが、それでも減税に反対するつもりはないとしています。武漢肺炎であろうが、増税のせいであろうが、景気が悪くなれば、減税の一つの方法であり、これを実行すれば、景気対策になります。その意味で期待できます。

しかも、以前このブログで述べたように8%に減税することは、軽減税率を全品対象にするということですぐに実現できます。8%未満にするには、法律を改定するか、新たに作成する必要があり、ある程度の時間がかかりますが、これも必要とあれば、時間が多少かかっても実行していただきたいものです。

もし、財務省が減税に踏み込めば、日本の景気を悪くしているのは、日銀だけということになります。日銀は、リーマン・ショック時の過ちを二度と繰り返すべきではありません。

さて、FRBの利下げに、日本以外の国々はどう対処するのでしょうか。おそらく大部分の国は、利下げができるところは利下げをし、ゼロ金利に近い国は量的緩和に踏み切るでしょう。

日本は、今のところどうなるかは、わかりませんが、FRBが利下げをしても、絶対に金融緩和しない国が一つあります。それは、韓国です。

韓国は、なぜかひところの日本のように、不正行為撲滅のような構造改革にばかり着目し、なぜか金融緩和、特に量的緩和はしません。ここ数年は、金融緩和せずに、最低賃金を下げるという愚行をしてしまい、雇用が激減するという致命的な大失敗をしでかしました。

韓国は、まもなく奈落の底に落ちこの世の生き地獄状態に。映画『パラサイト』より

おそらく、韓国は今回FRBが利下げをしても、金融緩和策はとらないでしょう。何らかの財政措置はとるものの、金融緩和をせず、雇用は確実に悪化するでしょう。そうなると、どうなるかといえば、現在ですら雇用がかなり悪化しているのに、雇用がさらに悪化して、しかも武漢肺炎がかなり蔓延しているので、とてつもないことになり、奈落の底に落ち、この世の生き地獄状態になるでしょう。

日本の場合は、現状でも控えめながらも緩和策を続けているので、韓国のように酷いことにはならないでしょうが、それにしても、量的緩和を拡大しないと、雇用がかなり悪化するのは必定です。

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2020年3月9日月曜日

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景気大打撃は確実だが…新型コロナからの「日本復活の秘策」はこれだ

経済政策こそが生命を守る

各国の感染者数「最新の状況」

先週、海外ニュースや海外市場は、新型コロナウイルスの世界的な広がりで大混乱だった。

先週の本コラムでは、各国の感染者数と武漢との距離を表すために次の図を出したが、国別の感染者数では韓国が突出しており、多い順にイタリア、イラン、日本であった。


今週これを更新すると、次の図になる。


感染者数で韓国、イラン、イタリアが図抜けているが、フランス、ドイツ、スペインが日本の上になっている。

相変わらず日本のマスコミは、日本の感染者にクルーズ船の乗客を含めて、過大な数字にして報道しているが、クルーズ船の感染者数はWHOの統計上も日本の感染者ではない。日本とクルーズ船の数字を合わせて報じるのは、誤報ともいわれかねない。

現在はアメリカのカリフォルニア沖にクルーズ船があり、船内感染が起きている模様だが、この数字をアメリカの感染者数に含めて報道したら、アメリカ大使館から抗議が来るだろう。それくらい、日本のマスコミ報道はおかしい。

不安が引き起こす「市場の混乱」

ちなみに、感染者数ではなく人口10万人あたりの感染者率でみると、次の図のようになる。

日本は感染国とは言えないほどの数字だ。


なお、中国の発表する感染者数が増えていないので「すでに中国では終息している」という報道もある。

しかし、中国の統計データは先月に3度も統計変更があったが、通常は変更後と変更前の複数時系列が発表されるべきところ、そうした措置は見当たらず、信用ができない。習近平主席の発言にあわせて統計数字が作られているふしもある。筆者の推計値とも乖離があるので、信用していない。


いずれにしても、世界中が新型コロナウイルスを恐れている。新型コロナウイルスの致死率は、かつてのSARSほど高くなく、例年のインフルエンザより少し高い程度といっても、人々は恐れる。1年もすればワクチンができると言っても、やはり恐れる。それが、市場の混乱を引き起こしている。

「恐怖指数」は同時多発テロ並み

筆者は仕事柄、欧米のニュースを日頃見ているが、連日新型コロナウイルスの話ばかりだ。スポーツ番組でも、7月の東京五輪ができるかどうかという話題だ。プロ野球や大相撲が無観客試合になったことも報じられている。

こうした雰囲気を受け、アメリカの株式市場は乱高下だ。

FRBは、金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)について、定例の17、18日を待たず3日に緊急で開催し、政策金利0.5%の引き下げを行った。

これに対して株式市場は反応せず、ダウ平均は785ドル安だった。それほど、新型コロナウイルスはアメリカ人にとって脅威なのだろう。


アメリカ市場では、今後30日間の米株式市場の予想変動範囲を算出し、それを「恐怖指数」と呼んでいる。

過去のリーマンショック時には90近くまで上がった。NY同時多発テロ、アジア経済危機、ギリシャ危機などの時には、50近くまで上昇した。今回のコロナウイルス騒ぎでも、2月末に50近くまでにあがった。

この意味で、今回はリーマンショックほどではないが、過去の大きな経済危機並みに、アメリカの投資家心理に影を落としていると言えるだろう。

トランプ大統領は、コロナウイルスを過度に心配している。11月に大統領選が控えているいま、対応に不手際があると、再選が危うくなるからだ。こうした危機管理は国民の生命に関わる話なので、政治家は細心の注意を払うのだ。

ようやく尻に火がついた

実は日本でも、アメリカの恐怖指数と同様の数値「日経平均VI」がある。市場が予想する日経平均株価の将来1ヵ月間の変動の大きさ(ボラティリティ)を表す数値だ。


これを見ても、過去10年間で株式市場は最もナーバスになっていることがわかる。

現在は、安倍政権にとっても最大の試練になっている。どこの国であれ、危機管理ができない政府は国民から見捨てられるのが運命だ。

本コラムでは、安倍政権の初動、特に1月28日の感染症指定のミスを厳しく批判してきた。これを上手くこなせなかったために、水際阻止ができず、結果として中国からの全面的な入国制限やクルーズ船入港阻止もできなかったからだ。

ただしここにきて、ようやく安倍政権の尻に火がついたようだ。習近平主席の訪日延期は当然だ(2月10日付筆者コラム「新型コロナウイルスで『習近平訪日は中止』か…状況はかなり厳しい」)。

習近平主席の訪日延期がようやく決まったのが3月5日。これは、天皇謁見は30日前までに申し込まねばならないという「30日ルール」があり、さすがに1ヵ月前には予定を立てざるを得なかったのだろう。

急に始まった対策の数々

そして習氏の訪日延期発表の3時間後に、ようやく中国と韓国からの全面的な入国制限を実施することが決まった。遅きに失したとはいえ、やらないよりマシだ。

その後、安倍政権は吹っ切れたようだ。次々に対策が出てきた。

筆者は様々なメディアにおいて、日本政府がやるべき対策を述べてきたが、完全ではないものの、安倍政権はそれらの対策を矢継ぎ早に決定している。

筆者は3月4日、「生活用品の買い占め対策には、買い占め売り惜しみ防止法や古物営業法を使え」と言った。そうしたら翌5日、〈マスクの買い占め ネット転売禁止へ 政府総合対策取りまとめ〉と報道された。

買い占め防止には現行制度でも様々な方法があり、役人出身の筆者にとって対策をあげるのは難しくない。重要なのは、それを行う政治的な意思である。こうした対策について、国会議員からも質問主意書が出ている(2月10日、「マスクの買い占め・転売行為に対し、物価統制令、国民生活安定緊急措置法、買い占め防止法等を活用することに関する質問主意書」)。

政府は2月21日に「そうした状況でない」と答弁していたが、3月5日には一転して対応を始めた。安倍政権も追い込まれた上の決断だ。

残すは「消費減税」か

また新型コロナウイルスにより打撃を受けている旅行業界、観光業界、イベント業界、飲食業界などでは、緊急融資制度が必須になる。中国人観光客が来ず、国内のイベントも3月末までは中止が相次いでいるので、関係業界の経営は深刻である。

筆者は緊急融資制度について、「マイナス金利を活用して行うべき」と3月2日から言っている(https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/1234395211410788352https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200306/dom2003060004-n1.html)。

すると3月7日、〈中小・小規模事業者などに実質無利子・無担保融資〉という報道があった。これは、マイナス金利とはいかないが、それでも従来の緊急融資制度より一歩前進するものだ。

これまで筆者が提言した政策で、残されたものは「消費減税」である(「日本経済『コロナ恐慌』回避への“劇薬政策”投入あるか 日銀談話の影響は限定的 識者『10兆円補正』『消費減税』提案」)。

5月18日に1-3月期GDP速報が発表されるが、マイナスになるのは確実である。10-12月期もマイナス(3月9日に2次速報の公表)で、2期連続のマイナスだろうから、2020年度補正予算が必要となっているはずだ。

幸いにも、4月の習近平主席訪日が延期となったので、国会日程はかなり楽だ。もともと4月以降に通すべき重要法案もあまりないので、補正予算編成の絶好のチャンスだ。

経済政策は国民の生命を守る

政府は、2年を限度に新型コロナウイルスを新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象に加える改正案を準備し、10日に国会に提出し、13日の成立をめざす。そこでは、財政措置は最小限度のはずなので、本格的な景気対策は4月以降になるだろう。そこで、何とか、新型コロナウイルスがもたらす景気後退を防がなければいけない。

経済政策こそ、国民の生命に関わる問題である。

公衆衛生学者デヴィッド・スタックラーと医師サンジェイ・バスが著した『経済政策で人は死ぬか? 公衆衛生学から見た不況対策』という興味深い書がある。いくつかの事例から、不況や経済危機における政府の政策対応如何により、人々の健康状態、ひいては生死に大きな影響が及ぼされるという主張だ。経済政策はどんな薬、手術、医療保険よりも命に関係するという彼らの言葉を、経済政策を研究する筆者も首肯したい。
新型コロナウイルスには、経済政策までやって初めて打ち勝てるのだ。
【私の論評】日本は的確な経済・金融政策を実行し、年間自殺者数2万未満の現状を維持せよ(゚д゚)!
日本では今、武漢肺炎対策としての経済対策が話題になっています。現状で世界中の国々が、防疫によりウイルス封じ込めに躍起になっています。そうして、このウイルスの蔓延が終息しようとしまいと、経済に与える悪影響は免れることはできず、これに対する経済対策が実行されることになるでしょう。

いずれの国でも、ウイルス対策に限らず、不況に陥ると経済政策をどのようにするべきか、議論されます。しかし、結局のところ、どのような政策が良いのでしょうか。そして、その決断を、イデオロギーや経済理論だけを頼りに行って、良いのでしょうか。

このような疑問に答えてくれるのが、冒頭の高橋洋一氏が紹介している『経済政策で人は死ぬか? 公衆衛生学から見た不況対策』という興味深い書籍です。

『経済政策で人は下か?』の表紙

世界規模の不況に陥ったとき、国ごとに経済政策は異なり、それによって国民の運命も異なる方向に動かされてきました。公衆衛生学者と疫学者である本書の著者は、そのことを利用して政策の優劣を比較しました。

つまり、過去の各国の政策選択とその結果のデータを、世界恐慌からソ連崩壊後の不況、アジア通貨危機、そしてサブプライム危機後の大不況まで調査し、比較したのです。

ソ連崩壊後の不況に関しては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
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詳細は、この記事をご覧いただくものとて、この記事にはロシアの平均寿命の推移(上グラフ)を掲載しました。

このロシアの例では、ソ連崩壊後の不況においては、ロシア人男性の平均寿命が57.6にまで下がったことがあったことがわかります。経済政策のまずさによっては、人は死ぬのです。

比較の指標は、国民の生死です。政策の違いによって、国の死者数は増えたのか減ったのか、健康状態や平均寿命などがどう変化したかを比較しました。経済政策は、国の借金返済や構造改革、景気刺激など、さまざまな目的で行われますが、そもそも国民に死を強いるようでは元も子もありません。結果はどうだったのでしょうか。

実は数多くの人が、緊縮策の悪影響によって死んでいたのです。

著者らの研究によれば、不況下で危険な「緊縮政策」を選択した影響で増加する死亡数は、まさに驚くべきものです。最も悲惨なのは、ソ連崩壊後のロシアで、1990年代に経済政策の失敗により数百万人の男性が死んだ(主に自殺とアルコール関連の死亡)と考えられるといいます。

アジア通貨危機後にIMFに緊縮財政を強いられたタイでは、感染症対策支出を削らされたせいで、感染症による死亡率が大幅に上昇しました。緊縮財政をとったギリシャでは、これも対策費の削減によりHIV感染が拡大したほか、医療費カットで医療制度が崩壊し国民の健康状態はひどく悪化しました。

著者たちは次のように述べています。

民主的な選択は、裏づけのある政策とそうでない政策を見分けることから始まる。特に国民の生死にかかわるようなリスクの高い政策選択においては、判断をイデオロギーや信念に委ねてはいけない。…正しくかつわかりやすいデータや証拠が国民に示されていないなら、予算編成にしても経済政策にしても、国民は政治家に判断を委ねることができない。その意味で、わたしたちはこの本が民主化への第一歩となることを願っている。

本書をきっかけに、政策論争がイデオロギーを離れ、データに基づいたものになることを願っています。

以上では、ロシアなどの例をあげていますが、日本でも、経済政策のまずさで人が死んだといえるエビデンスがあります。

厚生労働省と警察庁は1月17日、2019年の全国の自殺者数(速報値)が前年より881人少ない1万9959人となり、10年連続で減少したと発表しました。

速報値が2万人を切るのは初めてです。3月に発表される確定値では、警察による捜査で自殺と判断された数百人が加わる見通しが、統計を開始した1978年以降で最も少なかった2万434人(81年)を下回る可能性が高いといいます。


このグラフで着目すべきは、自殺者が3万人台を超えていた期間です。この期間は、ほとんど全期間にわたって日銀が金融引締を実施した時期にあたります。この期間には、さらに追い打ちをかけるように、増税という緊縮財政が繰り返し行われました。

そのため、平成年間のほとんどの期間、日本はデフレと円高に悩まされました。この時期に自殺者が3万人を超えていたのは、やはりこうした経済政策による悪影響もあったとみるべきでしょう。

2014年には、消費税増税をしていますが、金融緩和政策は継続されていたので、雇用は改善され続けました。雇用が良くなったこと、政府の対策などが奏功してこのような結果になったのでしょう。

しかし、現在では10%への消費税増税が実施された他、武漢肺炎による経済の悪化もあります。せっかく、自殺者が2万人を切るような良い状況になったのですから、政府はこの傾向を今後も継続するため、的確な経済対策を実行していただきたものです。

自殺者の数をみていると、現状の武漢肺炎による死者よりもはるかに多いことがわかります。

「経済政策はどんな薬、手術、医療保険よりも命に関係する」という言葉の重みを感じます。

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2020年3月8日日曜日

日本は韓国を“反面教師”に脱中国を進めよ! 国際社会は結局「自国第一主義」 識者「日本国民を売って自らの利権を確保する政治家らに裁きを」 ―【私の論評】日本人の武漢肺炎ウィルスへの脅威が、「脱中国」を促す(゚д゚)!


マスクを生産する中国・青島市の労働者。日本は過度な中国依存から脱却する必要がある

政府は新型コロナウイルス感染が拡大している中国と韓国に対する入国制限を決めた。だが、習近平政権への配慮から当初の対応が甘く、遅きに失した感は否めない。国際社会の「自国第一主義」があぶり出されるなか、国際投資アナリストの大原浩氏は寄稿で、日本は韓国のような中国依存の脆弱(ぜいじゃく)な構造の国を反面教師とし、ビジネス面でも脱中国を進めるべきだと強調する。


 安倍晋三首相の要請による小中高校などの一斉休校については、要請そのものを考えれば、それなりに妥当な判断だと思う。また、5日には中韓からの入国制限を公表したのだが、もっと前から「中国からの入国全面禁止」を行うべきだったという非難から免れることはできない。

 法律うんぬんで官僚が頑強に抵抗したという議論があるが、それならば習主席に「団体旅行だけではなく、個人旅行やビジネスでの訪問も禁止」にするよう要請すればよかったのだ。当時の状況で、「国賓招待」との交換条件なら、習氏も断れなかったはずだ。

 現状は、燃え盛る家から自分の家に飛び火するのを傍観していて、燃え移るのを確認してから命がけで消火活動を行っているようなものである。

 マスク売り切れ騒動も「転売屋」やドラッグストアの抱き合わせ販売が非難されているが、本当の問題点は過度の輸入依存だ。2018年に日本で約55億枚流通したマスクのうち、国産は約11億枚で残りの約44億枚は輸入品だ。輸入比率がなんと80%にのぼる。輸入品の多くが「メイド・イン・チャイナ」と推定されるが、彼らが自国の緊急事態において「思いやり精神」や「恩返し」で日本への輸出を続けているだろうか。

 その他の国も「自国民優先」が当然であるから輸出に回すとは考えられない。このような状況で、共産主義中国や韓国に、「日本国民の安全・安心・生命」を犠牲にして、血税で備蓄していたマスクどころか防護服まで贈呈する政治家、官僚、役人、企業は、「日本国民を売って」自らの利権を確保しているとしか言いようがない。緊急事態が終わった後に、彼らは日本国民から厳しく裁かれるべきである。

 政府はメーカーに大増産を依頼しているというが、供給の80%が消えたと考えられるから、日本メーカーがこれまでの5倍のマスクを生産して通常の需要をやっと賄えるに過ぎない。極度に需要が増加した現在の需要を満たせるはずがないのは当然だ。

 問題は、マスクに限らない。2018年度の食料自給率は、カロリーベースでは37%にとどまっている。生産額ベースでは66%というのも決して高い数値ではない。

 もちろん、現代の農業は産業化されており、農業機械の稼働や食糧を運ぶトラックなどのガソリン、化学肥料、農薬が入手できなければ生産・供給を維持できなくなる。

 1973年の第1次オイルショック後、日本が世界をリードする省エネ国になったのも、この時経験した「石油供給が途絶する恐怖」のトラウマの結果である。

 日本の目の前に反面教師もいる。フッ化水素などの3品目の「輸出管理の強化」を日本の国防上の必要から限定的に行っただけで、大騒ぎをした韓国である。半導体製造装置や各種材料など、韓国経済が日本に依存した脆弱な構造であることは明らかだ。

 対中国において、製造業の先端技術分野では、おおむね日本が輸出側で優位に立っているが、原油を始めとするエネルギー資源や鉱物資源では弱い立場だ。特にレアアースの生産は中国に偏っており、政治的に利用されて日本企業が大変困ったこともあった。

 グローバル化は「お互いに助け合う」スタンスでなければ成り立たない。「いいとこどり」をして「恩をあだで返す」国々が、世界貿易の枠組みに紛れ込んで来れば維持できなくなるのは当然だ。その意味で、「トランプ米大統領が『国民ファースト』の政策を推進し、自由貿易を破壊する国々にお灸をすえた」のは正しかったといえる。

 すでに米国は、コストうんぬん以前に戦略上重要な製造業を国内回帰させる方針であることを明言している。日本もこれに遅れてはならない。

 経済・社会の基本単位が「国家」であることはこれから、ますます意識されるであろう。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

【私の論評】日本人の武漢肺炎ウィルスへの脅威が、「脱中国」を促す(゚д゚)!

大原浩氏が上の記事で語っていることは正しいです。ただし日本人としては、その前に若干理解して置かなければならないことがあります。

中国発の新型コロナウイルスが今まさに日本でも猛威を振るおうとしていた矢先の2月17日、免税家電量販店のラオックスが「希望退職者を募集する」と発表した。その数、全従業員の20%にあたる140人(子会社のシャディを含めると160人)。

ラオックスと言えば、昔は激安のパソコンショップとして名を馳せた企業ですが、不況の影響で10年程前に中国企業である蘇寧(そねい)の傘下に入り、社長も中国人の羅怡文氏が務めています。

LAOX THE DIGITAL館がオープンして大賑わい(1999年10月)約3年後の2003年1月13日、様々な事情に
より閉店してしまいました。現在はパチンコ店と飲食店が入居する複合ビルとして営業

昨年から既にインバウンド需要に翳りが見え始めていましたが、ここに来て、中国で伝染病が発生したため、更なる企業業績の悪化は避けられないとの判断なのでしょう。インバウンド需要の変化(減少)は一過性のものではなく、ある程度は長期化すると見越した上での人員削減なのだろうと思われます。

日本経済はバブル崩壊後、「失われた30年」とも言われ、バブル期には土地や株式などの資産価格は上昇していたものの、一般物価の値上がりさほどでもなかったにも限らず、その当時の、とち狂った日銀が、金融引締に展示、その後も平成年間のほとんどの期間を引き締め続け、これに輪をかけてとち狂った財務省が、増税などの緊縮財政を続けたため、日本は深刻なデフレに陥りました。

日本は誤った財政・金融政策のためGDPは横ばいだった

当然のことながら、将来の先行き不安から多くの人々が財布の紐を固く締め、お金を散財しなくなりました。一方で、バブル経済の真っ只中にあったお隣の中国人の一部は、どんどんとお金持ちになり、日本に訪れて、高性能で安全な日本の商品を日本人に成り代わってゴッソリと購入しました。

その景気の良い姿に気を良くした日本の商売人達は「お客様(中国人)は神様」と言わんばかりに、我先にと中国人旅行者の獲得に努めました。

日本のバブル期を彷彿とさせる中国人の購買姿勢は、いつしか「爆買い」と呼ばれるようになり、「インバウンド消費」という言葉がテレビや新聞のタイトルとして踊り、お茶の間を賑わせました。識者の中には、景気浮遊=インバウンド消費であるかのように、したり顔て語る識者も大勢いました。

デフレ真っ只中の日本では、日本の製造業が日本で製造して日本国内で販売するよりも、中国や韓国で製造したものを輸入して日本国内で販売したほうが、コスト的に優位という異常事態が発生しました。

そのため、日本企業は中国と合弁企業を設立して、中国人従業員を大量に雇用して、中国で商品を製造し、日本に輸入するという方式をすすめました。そのため、中国は随分と潤ったわけです。

そうして豊かになった中国の富裕層や準富裕層などが、日本を訪れ爆買をしたのです。政治的には、日本の尖閣諸島を乗っ取ろうという思惑を抱いた中国に「ノー」を突き付けても、日本企業は中国に進出し、中国を豊かにし、さらにその中国からの一般旅行客は別物とばかりに「ヨイショ」するというような異常な事態が繰り広げられていたのです。

政治と経済で明らかな二重基準(ダブルスタンダード)を貫いてきた日本でしたが、今回の新型コロナウイルス騒ぎによって、その二重基準は改められようとしているかに見えます。

多くの日本人には、唯物論者が多いせいもあるのでしょうか、殊更に目に見えないものを恐れる傾向があります。原発の放射能と同じように、ウイルスも目には見えません。

こういう場合、正しい判断をするには科学的に冷静になることが求められるのですが、原発事故の時に判明したように、日本では、人体に全く悪影響が無い微量な放射線でも頭から、と言うよりも、脊椎反射で科学的事実を受け付けないという人が大勢いました。無論、それは過去形ではなく、現在進行形で存在しています。

今回のウイルスも放射能と同じような感覚で、脊椎反射で否定する人々は大勢出てくるものを思われますし、既にそういった人々は存在しています。

彼らが抱いている恐怖は、ウイルスだけでなく、ウイルスを運んでくる中国人や中国という国そのものにも向いています。

尖閣諸島を乗っ取ろうとする中国、核兵器で日本を狙っている中国、組織的で体系化された中国の反日教育等にはあまり危機感を抱かなかった人々が、ウイルスを日本国内に持ってくる中国には断固として「ノー」を突き付けています。特に、中国政府が当初武漢肺炎の感染を隠蔽していたことに、不条理を感じている日本人は多いでしょう。

実に皮肉な現象ですが、多くの日本人は自分自身に被害が直接及ぶと思われるもので、目に見えるものにはそうでもないのですが、目に見えないものには実に厳しい態度に変化します。それに気づいていないのは、日本の政財界の愚かな親中派どもだけです。

最近では、自分達に直接害を与える国のリーダー習近平が日本国賓で訪れるというスケジュールをなかなか変えず、多くの日本人が不信感をつのらせていました。さらには、中国全域からに日本への入国制限を安倍政権はなかなか実施しませんでした。その結果安倍政権への支持率が低下しました。



遅きに失した感はあったものの、習近平の訪日は延期され、結局中国全域からの日本への入国制限は実行されることになりましたが、中止ではなく延期であること、やはり遅すぎた入国制限などで、安倍政権の支持率の低下はすぐに解消されるかどうかは、不透明です。

これを機会に多くの識者が中国の真の脅威を説けば、中国に対して危機感を抱くだけではなく、不条理を感じる人も多くなるのではないかと思います。そうして、その不条理は、放射能への恐怖とは異なり正鵠を射たものなのです。

安倍政権としては、支持率が落ちたことを真摯に反省し、党内政治等のために党内親中派や財界親中派に忖度し続けるのか、それとも国民の声を聴くべきなのか、選択を迫られているとと捉えるべきです。

日本は、政治的にも経済的にも、ようやく「中国依存」から「脱中国」に舵を切ろうとしているようです。それは、短期的には大きな衝撃ですが、長期的には良いことです。

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