2009年4月6日月曜日

低価格コンビニ弁当続々 味落とさず、300円台も―ただの安売りではなく消費者の変化に対応か?

低価格コンビニ弁当続々 味落とさず、300円台も(この内容すでにご存知の方は、この項は読み飛ばしてください)
コンビニエンスストアに、低価格の弁当やパスタが続々と登場している。味は落とさず価格は手ごろな300円台の商品も出てきた。

 デミグラス仕立てのミートソース、たっぷりソースの粒々メンタイ風味――ローソンに3月上旬から登場した6種類のパスタは、税込み398円。中心価格を これまでの435円から引き下げた形で、めんは前年発売のパスタよりも10%も多く入る。「小麦の価格高騰の落ち着きなどでコスト削減できた」

ローソンの398円のパスタ類

 「飲み物と合わせて500円以内でおさまるので助かる」と話すのは、東京都内の店で買った女性会社員(28)。ローソンは「生活防衛意識が高まっ ており、値ごろ感を出したい」と、低価格の商品開発に力を入れる。10日に398円の豚カルビ弁当を15%増量したところ、売上数量は従来品の5割増に。 160円のフライドチキンは24日から、業界最安値となる128円の商品に入れ替えた。

 ファミリーマートは31日、おにぎりの主力商品の「紅鮭(じゃけ)」と「焼たらこ」(各135円)を量や質を変えずに128円にする。「仕入れや製造工程でのコスト減で実現した」(同社)という。

ファミリーマートの愛情むすび「紅鮭」128円

 サークルKサンクスも来月14日から、500円前後で販売してきた弁当を「元気応援弁当」として380円で発売する。同社は「米飯はコンビニの命」(中村元彦社長)として、おにぎりなどを時間帯や曜日ごとに値引きする検討も始めた。

これは現在売られている弁当。これと同程度のものが「元気応援弁当」として380円程度で販売される見込み

 ミニストップは1月から395円の弁当を2種類発売。売上数量は昨年11月に投入した430円の商品では伸びなかったのに、ほぼ前年並みに戻して きた。前田昭彦常務は「昨年11月以降、弁当の売り上げが極端に落ち、節約志向の高まりを感じた」とねらいを話す。


セブンイレブンでも、300円台のお弁当類が増えてきた

ただの安売りではなく消費者の変化に対応か?
コンビニ各社は、低価格のお弁当を強化しているようだが、これは、従来のただの安売りとは違い、かなり戦略的なものであると思います。

このブログにも掲載してきましたが、日本の経済は本来的にはかなり底力があり、しかも、貿易立国などというのは単なるマスコミのまやかし(日本では、輸出はGDPの16%に過ぎない、他国では40%を超の国も多くある)であり、本来的に国内市場がかなり大きいため、内需立国であるということを考えれば、本来は世界的な金融恐慌などあまり関係ないはすです。日本の株価は低迷していますが、それも理屈としては、日本産業の主流ではない輸出型製造業が株式市場に多く上場しているからです。

これら、輸出型産業も従来は国内を大事にしてきました。国の需要を喚起して、日本国内を固めてから海外へという感じでした。事実10年以上前くらい前まで、GDPのほんの8%が輸出でした。これでは、輸出立国とはいえません。私は、10年以上前に、「本当は多くの企業の商売にとって海外のことなどあまり関係ないのでは?」という素朴な疑問を持ってあるえらい先生に聞いてみたところ「今のようなグローバルな時代に、何を言うか、為替の問題など、現在は海外と日本の企業は密接に結びついているのであり、
海外と関係ないなどということはあり得ない」と一蹴されてしまいました。しかし、今思えば、私の考えのほうが、正しかったのだと思います。今は、貿易の比率もあがっていますから、私の若い頃のようなわけにはいかないとは思いますが今でも日本は諸外国から比較すれば内需型であることは間違いありません。

日本で完全な内需型の産業である、たとえば、このブログにも以前掲載した"Shibuya Girls Collection"に出品するような会社は、未だ規模が小さく上場するに至っていないところが多いです。これらの会社は今のところ外国とはほとんど関係なく(実際は仕入の部分では関わってきますが)、日本国内のお客様に向けて販売しています。その販売の仕方も従来のファッション業界とは全く違います。これらの新しいファッションは、リアル・ファッションといい、ファッションショーに出品するものも、すべてすぐにお客様に着てもらえる形で出品します。

"Shibuya Girls Collection"で発表された、リアル・ファッションは、ほぼ同時にインターネット(PC、携帯両方)のサイトに掲載され販売されました。今舞台で発表されているそのファッションがもう、すぐに購入できるのです。だから、会場に来ている女の子たちも、舞台に出てきたファッションが気に入れば、その場で携帯電話で注文をして購入してしまいます。普段でも、企画してから、海外に発注してお店に並ぶのは2週間後くらいです。そうしてお店に並んで最新ファッションである期間は2ヶ月くらいです。

金融危機以来、日本では銀行などの大きな金融機関が破綻したなどという例はありませんが、現在他の多くの国では当たり前のように大きな金融機関が破綻して、政府の管理下に入っています。このこと自体を考えても日本はあまり大きな影響を受けていないことは、はっきりしています。リアル・ファッションのリアルは、こういう意味もあるのです。

こういう販売方式をしている会社は、まるで不況知らずです。中には、この数年倍々ゲームで売上を伸ばしているところもあります。これらの会社は金融危機により、海外工場からの仕入がかなり安くなってるため、金融危機は何の問題もないのだと思います。まさに、旺盛な内需は日本国内に確実に存在しているのです。

私は、このブログで「実感なき経済成長」ならぬ、「実感なき不況」という言葉をあげたことがあります。まさに、上記のような企業にとっては、「実感なき不況」なのだと思います。商売は目の前のお客様に気に入られれば伸びるのであって、目の前のお客様に気に入られなければ失敗する、というだけで、好景気、不景気など関係ありません。

では、そのような事業はほかにもあるのでしょうか?もちろんあります。共通するのは、価格がお手ごろだということです。従来のファッションのオートクチュール(オーダーメード)など有名なデザイナーが手がけると数十万というものも珍しくはありません。しかし、リアル・ファッションであれば、高くて数万、安ければ数千円です。

これと同じように、価格が非常に低くても従来品と同じか、あまり低くなくてもその価格からすると、非常に品質が良いことがはっきりしているようなサービスや商品がやはりリアル・ファッションのように飛ぶように売れています。ユニクロも、リアル・ファッションで大成功していますね。

たとえば、地方スーパーなどで、そんなことが見られます。特にお弁当ではそのような例を良く見ます。従来であれば、800円くらいはするお弁当を400円台で販売して大成功しているような例がたくさんあります。一度、その例をテレビで見たのですが、やはりお弁当を企画する人がお客様の声を丹念に吸収したり、高品質・低価格を実現できるような仕組みを構築しています。

さらに、驚いたのは、現場の力です。なんと、たくさんのお弁当を2人のパートの人で作っていました。お弁当づくりのエキスパートのパートの女性が二人で役割分担をして、素晴らしい速度でお弁当を作っていました。一つのお弁当をつくるのに、数十秒しかかからないという感じて、びっくりしました。ものすごい勢いで、一種類のお弁当を二人で作り上げます。モノの配置や動線なども徹底的に考え抜かれているのだと思います。しかし、パートの方々、決してそれを嫌がってはいません、喜んでやっていました。しかも、清潔な環境でそれを実行しています。

そうして、従来のお弁当を400円台の価格で販売しています。速く作っているからといって、手抜きは一切ありません。だから、美味しいくて低価格なのだと思います。だから、店頭でどんどん売れます。テレビでは、から揚げ弁当の現場しか、写りませんでしたが、他のお弁当もこのようなつくり方をしているのだと思います。ただし、この二人のパートの人たちは、きっと、仕込みなど他の人たちがやっていることにも支えられているのだと思います。こうした創意工夫をして、地方スーパーは目の前のお客様に気に入られる商品を提供して成功しているのです。こういう、地方スーパーはたいていは株式市場に上場していません。でも、活気あふれる内需の実体を示しているのだと思います。

しかし、もう一度考えてみると、このような業態他にもありました。いわゆる街の定食屋さんです。上は、北大水産学部の学生なら誰でも知っている函館港町にある港食堂の「骨ぬきから揚げ定食」です。ものすごいボリュームで、確か600円台だったと思います。この定食屋随分前からやっているようです。今も昔と変わらぬ人気です。やはり、目の前のお客(ここでは北大生)の懐や、好みに合わせて、提供しているので、金融危機などあまり関係ないようです。今のコンビニは、港食堂のようなことをシステム的に実施しようとしているのだと思います。

上では、リアル・ファッションや、お弁当の事例などあげましたが、他にもきっと内需で潤っている企業はたくさんあるのだと思います。IT業界にも「初音ミク」などを生み出した中小企業もあり、きっとユニークな内需に対応した企業もたくさんあるのだと思います。そうして、こうした企業は上場していないとか、輸出産業でもないため、今は目立たない存在なのだと思います。きっと、いろいろな分野でこのような商売をやっているところがたくさんあるのだと思います。

そうして、日本のコンビニエンス・ストア業界も、上のような事実に気がつき、ただ低価格にするのではなく、いろいろな工夫をして、安くしても利益が出る体制にして戦略的に新たな事業に取り組んでいるのだと思います。同じように低価格だとしても、ただの安売りをするところは、発展性はないでしょう。リアル・ファッションの場合従来のファッションとは根底からその考えが違います。結果として、安価になっているだけです。お弁当・惣菜の低価格でも、同じことがいえると思います。

さて、日本の内需に取り組んでいる企業で、上のような小さな企業が成長し大きな企業になったらどういうことになるでしょうか?おそらく、それが株式市場に上場し、今は上場していても体質が古くなった事業を展開している会社と入れ替わるのではないでしょうか?そうして、これらの企業の中から将来の輸出産業も出てくるのではないでしょうか?

たとえば、リアル・ファッションなども海外からかなり注目されています。あのファッションの都パリからデザイナーたちが毎年渋谷のファッショを見学に来ています。いずれ、日本のリアル・ファッションが大々的に販売されるような時代がやってくることでしょう。そのほかにも、現在の状況にうまく適用している内需に特化して成功している企業が多数存在すると思います。その中から、将来の輸出企業が出てくると思います。今や、世界の人々は車や、家電製品などに日本の高い技術力など期待していないと思います。私は、私たちが思っても見ないような産業がこれから大きく育っていくのでないかと期待しています。

忘れていましたが、ユニクロは、リアル・ファッションで成功している上場企業ですね。他の大手が失敗していたり、大型施設を持つ流通大手がことごとく苦戦しているなか、価格もお手ごろのリアルファッションが大人気で業績を伸ばしています。

ユニクロは、TOKYO FASHION MAP をサイトに掲載している。ユニクロのお得意のフリースがどのように都内でリアル・ファッションとして人々に取り込まれているのか、幅広く紹介している(画像をクリックするとサイトに飛びます)

さらに、これは少し手前味噌になってしまいすが、ピザ・テンフォーに関しては、創業の頃から、低価格であること、さらに食べていただければわかると思いますが、チーズをはじめとする食材など、低価格であっても決して手を抜いていないどころか、良い品質のものを吟味させていただいています。そうして、月一回のキャンペーンを実施するなどのことを随分前からしています。月一回のキャンペーンを定期的に行うピザ宅配業はほかにはないと思います。また、店の中では、すべての従業員がすべての作業ができるように訓練して、無駄なコストを排除しています。

もちろん、私たちも、これからいろいろ工夫をしていかなればいけないのですが、それ以前に私たちの事業の基本は、今の世の中の趨勢にあっているのではないかと思います。というより、創業の頃から実践してきたことが、今まさにお客様にご理解いただける時代になってきたのではないかと思います。だからこそ、まがいなりにも日本国内のお客様からご支援をいただけるのであって、今のこの時代にあって、業績を落とすことがないばかりか、伸ばしていけるのだと思います。本当にありがたいことだと思っています。私たちをご支援下さっているお客様には、何度御礼しても感謝しすぎることはないと思いつつも、お客様の支援をいただくために、これからも知恵を絞っていかなくてはいけないと思う今日この頃です。

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