高橋洋一氏 |
Z省の暗黒史は小泉時代。増税はストップで、特殊法人民営化で天下り先はなくなるから、踏んだり蹴られたり。民営化は株式売却収入だけではなく、補助金機関が納税法人に転化するので、財政収支好転で増税勢力には不都合。民営化反対勢力と増税勢力に親和性があるのは意外と知られていない
— 高橋洋一(嘉悦大) (@YoichiTakahashi) 2014, 7月 21
先日ツイッターで、「Z省の暗黒史は小泉時代。増税はストップで、特殊法人民営化で天下り先はなくなるから、踏んだり蹴られたり。民営化は株式売却収入だけではなく、補助金機関が納税法人に転化するので、財政収支好転で増税勢力には不都合。民営化反対勢力と増税勢力に親和性があるのは意外と知られていない」と書いた。もちろん、Z省は財務省のことで、いろいろなコメントが来た。
小泉政権時代と「増税なしで財政再建」
その中で、面白かったのは、私の見立てとは逆に、「マスコミでは、小泉首相が財務省の『後ろ盾』として予算を削減して、小泉政権時代は財務省にとっては財政改革が進んだ『よき時代』と思っている」というものだった。
しかし、 この「増税なしで財政再建」という事実は、財務省にとって不都合だ。多くのマスコミはこの事実を忘れ、財政再建のためには増税やむなしというが、それを根底から覆す話だ。また、小泉政権時代、筆者は特殊法人民営化とともに特別会計の埋蔵金発掘もやらせてもらい、大いに財政改革をやりながら「増税なし」に貢献したはずだが、財務省の諸先輩からは「それを行ったから財務省を裏切ったと言われるのだ」と再三にわたって注意を受けた。
「財務省が財政改革をするはず」?
マスコミ諸氏のいうように、財務省にとって小泉時代が「よき時代」なら、当時の政府資産売却反対、埋蔵金取崩反対は何だったのだろうか。マスコミは、財務省が財政改革をするはず、というか財務省にそうしたレクを受けて信じ込んでいるにすぎない。
現在財務省は増税路線を遮二無二進めている。政権運営に不慣れな民主党時代に消費税増税法案を成立させ、安倍政権で8%への増税をまず実現させ、さらに10%への再増税(2015年10月)について、今年(14年)12月には、最終判断が予定されている。さらに、次の10%超への消費税増税に向けて動き出したらしいという噂がある。そこでは、経済成長、資産売却や埋蔵金の話などは、再増税、再々増税に不都合なので一切出ない。ひょっとしたら、消費税増税後の今の景気の落ち込みさえ、再増税の口実にするのかもしれない、という予感さえする。
今と小泉時代のどちらを財務省がいいと考えているのか、答えは明らかだろう。
上記は、要約記事です。この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!
【私の論評】このままでは、いずれ財務省は解体される、組織として本当は何をどうすれば良いのかよく考えて立ち直っていただきたい(゚д゚)!
デフレの最中に消費税増税をすると、消費がさらに冷え込み、税収の源泉である国民所得が減り、課税対象そのもが大幅に減ることが予想されます。消費税増税によって、消費税による税収は増えますが、国民所得を源泉とする所得税・法人税などが大幅に減少し、結局それが消費税増加分より上回り、全体として税収が減るおそれが十分にあります。
もしそうなれば、税収そのものが減ってしまうわけで、そうなれば、財政再建などできなくなるおそれが十分にあります。昨年辺りでは、イギリス、イタリア、スペイン、ポルトガルなどのEU諸国が、財政再建を目指すという目的で、日本でいうところの消費税増税をしましたが、これらの国々すべてにおいて、税収総額が減り、増税は、結局財政再建にはマイナスの効果しかありませんでした。
日本においても、過去の2回の消費税増税のときは、結局消費の冷え込みにより、国民所得が小さくなり、所得税収などが減少し、それが消費税増税分を上回り、全体の税収ではマイナスになりました。
ただし、前二回の増税時には、日本はまだデフレではなく、賃金が下がっている状況ではなく、わずかながらも上昇している最中での増税でした。今年5月には、消費などの景気指標が一気にかなり悪化しています。
日銀は小泉内閣の時期にだけ例外的に、金融緩和をシましが、その後第一次安倍内閣になってから、金融引締めに転じましたが、それでも、日本はまだデフレではありませんでした。
しかし、今回は日銀は金融緩和をしているものの、まだ日本はデフレから脱却しきっていない時期の増税ですから、今回の消費税増税はかなり大きな悪影響を及ぼすことは明らかてす。
もともと、デフレ期の消費税増税は、財政再建には役立ちません。逆の効果を及ぼします。そうして、増税などとは全く関係なく、財政再建の方法はあります。それに関しては、私が解説するより、これも、高橋洋一氏が解説したいた記事がありましたので、そのURLと一部を以下に掲載します。
消費税増税せずとも財政再建はできる――嘉悦大学教授 高橋洋一
増税なしの財政再建策は、アベノミクスによるデフレ脱却すなわち名目GDP成長率アップと、歳入庁創設や消費税のインボイス制度導入による不公平是正かつ増収策である。
これによって財政再建が可能なのは、一部を行った小泉政権でさえ財政再建の実績があることから明らかだろうが、これまでの連載コラムに書いたものからも数量的に確認できる。5月30日付け連載コラム『経済財政諮問会議が放ったとんでもない“矢” 「財政健全化を第4の矢に」は正しいか』では、アベノミクスの数量分析をしている。同コラムのグラフ3から、今のアベノミクスの金融緩和によって2年後は名目GDP成長率は4%程度超になる。となると、同コラムのグラフ2から、その時の基礎的財政収支対名目GDP比は悪くても▲1.2%程度である。
そこで、歳入庁創設で10兆円(名目GDP比2%)や消費税インボイスで3兆円(名目GDP比0.6%)の増収があることを考えると、基礎的財政収支対名目GDP比は、▲1.2+2.6=1.4%以上もプラスになる。これで財政再建は終了だ。
社会保障費が毎年1兆円増えて大変という話も基礎的財政収支の中に含まれている。債務残高がGDPの2倍になっていて大変という話も、5月30日付けラムで数式で説明しているように、基礎的財政収支対名目GDP比がプラスになれば何の心配もいらない。
歳入庁創設や消費税インボイスは、公平な社会保障政策を実施したり、公正な税執行を行うために必要な社会インフラだ。これらはどのような社会保障政策、税制をとるにしても必須なので、これらは増税派でも否定できないものだ。それらをやらずに、消費税増税をするのでは、官僚の歳出権を増やすだけで、経済成長にも財政再建にもつながらない。私は、実はこの記事のタイトルには賛成しかねます。この記事のタイトルは、「消費税増税せずとも財政再建できる」とありますが、これでは、あたかも消費税増税をすれば、財政再建ができるが、消費税増税しなくても、財政再建ができる方法があるという意味に受け取れます。
高橋洋一しも、無論そんなことはなく、増税すれば、財政再建はますます困難になることを知って折られると思います。
であれば、上の記事のタイトルは本来、「消費税増税をすれば、ますます財政再建は遠のく、本来の財政再建のあり方」などというようなタイトルにすべきだったと思います。
私は、皆さんが、この記事を読む際には、本来は、私が提案したタイトルのほうが、相応しいということを念頭に置いて読んでいただけたら幸いです。
仮に、来年から10%増税をした場合、今年の5月でも経済指標がかなり、落ち込んでいるので今年も経済が悪化することが十分予想できるのですが、来年になるとさらに悪化することが懸念されます。懸念というより、経済の落ち込みは確定したようなものです。
そうなると、デフレはさらに深化して、昨年あたりの景気の良さなど帳消しになると思います。そうなると、また財務省は15%増税を打ち出すことでしょう。
15%にすれば、景気はまた落ち込み、税収が減り、今度は20%増税を打ち出すことになります。
これでは、きりがありません。50%増税にしても、ますます景気は冷え込むばかりです。
しかし、そうなると、国民も馬鹿ではないので、政府や財務省に対して批判的になります。その時に、昔の大蔵省解体のようなことがおこるかもしれません。これは、単なる空想にも過ぎないようにもみえますが、このまま増税を幾度なく繰り返すとなれば、そうなります。
財務省としては、大蔵省が解体されたように、財務省も解体されることを望んでいるのでしょうか。国民の憤怒のマグマが財務省や政府に向けられ大変なことになっても良いのでしょうか。
そんなはずはないと思います。財務省は、常識的な道を歩むべぎてす。それはどういう道かといえば、公共工事の供給制約がある現在においては、公共工事が経済に及ぼす影響も少ないため、所得税減税、給付金政策、それも再配分的にこれらを行うことです。
これで、直近の貧困問題など緩和しつつ、日銀には金融緩和政策を継続してもらい、こんごなるべくデフレから一刻も早く脱却して、マイルドなインフレになるようにします。
そのままにしておけば、いずれ、インフレが亢進するようになります。インフレが亢進したときには、財務省は、増税を実施して、過度のインフレを是正すれば良いのです。
そうすれば、まともな政策を実施している財務官僚の評価も高まり、財務省も国民から感謝され、官庁のなかの官庁として、君臨することができるようになります。こうなれば、国民も財務省を信頼し、官庁の中で君臨しても、当然のこととして受け止めるようになると思います。
今のままでは、過去の大蔵省がそうであったように、財務省もこのまま増税路線に突っ走れば、いずれとんでもない破局の憂き目に合うと思います。もし、そうなったら、財務省など5つくらいに分割され、分割された部署などは、官庁の中でも、小さく非力な存在となり、他省の後塵を拝する、あまり重要でない役所に成り下がると思います。
以前は『大蔵省解体論』という書籍があったが、実際に解体 されたため、現在てはこのような書籍が販売されている |
エリートが行くところではなく、一応お役人という立場に甘んずるしかなくなる可能性も大です。現在の財務省のトップクラスにある人々はそれでも良い天下り先に行ける可能性があるので、良いかもしれませんが、もっと若い層の人々かそうした憂き目にあうかもしれません。
財務省の有能な若手官僚の方々、それで良いのですか?大蔵省がなぜ解体されたか、今一度思い起こすべきです。
私はそんなことは、国民にとっても、財務省にとっても良いことでは無いと思います。
財務省、組織として、本当は何をどうすれば良いのかよく考えて立ち直っていただきたいものと思います。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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