2015年10月9日金曜日

米海軍の艦艇、南シナ海の中国人工島に急派へ 英紙FT「大きな衝突に発展も」―【私の論評】衝突してもすぐ決着がつき中国軍の弱体ぶりが世界にむかって曝露されるだけ(゚д゚)!


米海軍のイージス巡洋艦

 中国が、南シナ海の岩礁を一方的に埋め立てて軍事基地化している問題で、オバマ米政権が近く海軍の艦艇を、中国が「領海」と主張する人工島の12カイリ(約22キロ)内で航行させる見通しであることが分かった。先月末、ワシントンで行われた米中首脳会談は、南シナ海やサイバー攻撃の問題でほぼ平行線に終わった。オバマ大統領もやっと、中国に断固とした姿勢を示すのか。

 注目のニュースは、英紙フィナンシャル・タイムズ電子版が8日、米政府高官の話として伝えた。2週間以内に踏み切る可能性があるという。

 人工島を中国の領土と認めない米国の立場を行動で示し、海洋進出を活発化させる中国をけん制するのが狙いだ。

 中国は現在、南シナ海のほぼ全域を囲む9つの線からなる「九段線」(赤い舌)を引き、国際法を無視して南シナ海の大部分を「自国の領海だ」と主張。領有権を争うフィリピンやマレーシア、ベトナムなどの周辺国を力で恫喝し、岩礁を埋め立てて軍事基地を建設している。

 この問題が浮上した今年5月末、バイデン米副大統領は、メリーランド州アナポリスの海軍士官学校卒業式で、「公平で平和的な紛争解決と航行の自由のために、米国はたじろぐことなく立ち上がる」「米国が(中国の)領有権の主張に特権を与えることはない」と演説した。

 中国の暴挙に対する「重大警告」であり、米国防総省は米海軍の艦艇や航空機の派遣・出撃を検討してきた。

南シナ海で中国が埋め立て、滑走路を整備した人工島

 先月25日の米中首脳会談でも、この問題は大きな焦点となった。

 オバマ大統領が南シナ海での人工島建設に「重大な懸念」を伝えたのに対し、中国の習近平国家主席は「古代からこれらの島々は中国固有の領土」だと強く反論した。米国を軽んじたといえる。

 サイバー攻撃の問題も同様だった。オバマ氏が再三中止を求めても、習氏は「中国も被害者だ」とシラを切った。チベットやウイグルの人権問題についても、習氏は「各国の事情」と取り合わず、米国側を激怒させた。

 今回、米艦艇を人工島の12カイリで航行させることは、「公海である南シナ海の『航行の自由』を脅かすことは受け入れられない」とのメッセージを中国に送ることになる。

 中国が反発するのは必至で、米中の緊張関係が一層高まりそうだ。

 国際政治学者の藤井厳喜氏は「米国は本来、米中首脳会談の前に艦艇を送り、サイバー攻撃への制裁をすべきだった」といい、続けた。

 「オバマ氏は『やりたくない』と先延ばしにした。首脳会談で、習氏は『協力する』と言ったが、何も実行されず、南シナ海の岩礁の軍事基地化は着々と進んでいる。このままでは、中国の国際法違反を事実上認めることになりかねない。軍からの突き上げもあったのだろう。米艦艇を派遣すれば、当然、中国側は警告を発する。米艦艇はそれを無視するから、小さな発砲もあるかもしれない。大きな衝突に発展する可能性もある。日本は『公海の航行の自由』を守るためにも、フィリピンやベトナムとともに米国を支持すべきだ」

【私の論評】もし衝突しても、すぐ決着がつき中国軍の弱体ぶりが世界にむかって曝露されるだけ(゚д゚)!

すでにレームダックかして、外交をおざなりにしてきたため、中国にいいように、小突き回されてきた及び腰オバマも、今度ばかりはとうとう、軍やアメリカ議会などにさらに小突き回され、いやいやながら、イージス艦の派遣も認めたのでしょう。

及び腰オバマ

そもそも、南シナ海の問題は、無論中国に大きな責任があるのは間違いのないことですが、これを誘発し、さらには拡大させてしまったのは、オバマの責任です。日本の尖閣問題もオバマがより複雑化してしまいました。

それに及ばず、ISの台頭や、シリア問題の複雑化、ウクライナ問題などもオバマの及び腰によるところが大きいです。これらも、問題が複雑化する前に外交や軍事的手段をはやめにとっていれば、あれほど大きな問題にはならなかったはずです。

なぜこのようなことを確信を持って言えるかといえば、過去の大統領はオバマのように及び腰ではなく、場合によっては中国に対して軍事行動も実行したことがあるからです。

それは、たとえば過去の第三次台湾海峡危機の時でも実証ずみです。1995年-1996年台湾海峡危機又は1996年台湾危機とも呼ばれる第三次台湾海峡危機は、1995年7月21日から1996年3月23日まで台湾海峡を含む中華民国周辺海域で中華人民共和国が行った一連のミサイル試験の影響でした。

1995年半ばから後半にかけて発射された最初のミサイルは、一つの中国から中華人民共和国外交政策を引き離すものと見られていた李登輝の下の中華民国政府に対する強力な信号を送ろうとしたものです。第二波のミサイルは、1996年初めに発射され、1996年中華民国総統選挙への準備段階の台湾総統選挙に対する脅迫の意図がありました。

アメリカ合衆国政府はベトナム戦争以来の最大級の軍事力を行使して反応した。クリントン大統領は1996年3月にこの地域に向けて艦船の増強を命じた。ニミッツを中心とした二つの航空母艦群や第7航空母艦群、インディペンデンスを中心にした第5航空母艦群が、この地域に存在し、台湾海峡に入ったと公式発表しました。これ以降、中国はミサイルを発射しなくなりました。

今日の南シナ海、東シナ海、尖閣などの問題は、最初に中国が行動をおこした時に、オバマが激しく中国を非難し、非難するだけではなく、実際にイージス艦や空母を派遣するなどのことをして、はっきりと「中国の好き勝手には絶対にさせない」とのメッセージを送れば、中国が増長することもなく、現状のような傍若無人な振る舞いはしなかったことでしょう。

それにしても、オバマの及び腰が、残り少ないとはいいながら、まだある任期中にさらにアメリカの国益や、アメリカの同盟国の国益をこれ以上失うことがあってはいけないと思います。

こんなことを招かないための方法について、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

【主張】米中首脳会談 南シナ海の懸念強まった―【私の論評】口先オバマと中国に侮られぬよう、日本とアメリカ議会と有権者はオバマの動きを牽制せよ(゚д゚)!
オバマ習近平会談
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に結論部分のみ引用します。
オバマは、習近平から「サイバー攻撃しない」との約束を取りつけた上で4.5兆円の飛行機の爆買いもさせました。その一方、習近平が喉から手が出るほど欲しかった「中国と新型大国関係でいくぞ」との一言を絶体口にしませんでした。 
ただし、オバマは口先オバマといわれる通りに、今後も具体的な行動を起こす段になれば、逡巡して、さらに中国を勢いづけるかもしれません。
口先だけで世界は動かないことを実証した口先オバマ
しかし、今度は、アメリカ議会と有権者が、それを許容しないことでしょう。 
いずれにせよ、無能なオバマが、大統領のうちは、議会がこれを牽制し、アメリカと日本を含む他の同盟国の利益をこれ以上失われないようにすべきです。
次の大統領には、中国に厳しい対応してもらいたいです。南シナ海と東シナ海に空母を派遣して、中国を牽制するくらいの胆力のある人が大統領になっていただきたいものです。 
そうして、日本としては、アメリカの議会と有権者の動きを睨みながら、徹底的に中国に対峙して、日本とアジアと世界の平和と安定のために、中国の海洋進出の野望を粉砕すべきです。
今回のアメリカの南シナ海へのイージス艦の派遣の検討は、オバマの及び腰を牽制するための、アメリカ議会の圧力によるものと思います。さらに、上でも述べたように、軍の突き上げもあったことでしょう。

イージス艦派遣に関しては、オバマがどのような態度をみせてたしても、議会で決定されれば、可能になることと思います。

過去のオバマを見ていれば、今回も実際に派遣することとなると、逡巡して、とりやめということも十分ありえます。そんなことをすれば、また中国が増長するだけです。そんなことにならないように、アメリカ議会に頑張っていただきたいものです。

イージス艦を数隻派遣すれば、中国は海洋進出の野望を諦めることになると思います。なぜなら、アメリカの最新鋭のイージス艦には、中国は何をもってしても全くかなわず、歯がたたないことを彼ら自身が知っているからです。

そもそも、中国と米国の軍事技術には赤ん坊と、大学院生くらいの差異があます。中国の最新鋭の艦船でも、米国の数十年前の技術水準に過ぎません。最初から勝負にも何にもなりません。勝負をするというのなら、ある程度の水準になっていなければ、できません。

しかし、中国の艦船の建造技術は、アメリカの数十年前の水準です。航空機も、アメリカが第五世代戦闘機を導入しつつあるというのに、中国の最新鋭戦闘機「殲20」は第三世代の技術水神のものです。その他、ミサイルやレーダーなどの技術もアメリカの数十年前の水準です。

 中国の最新鋭戦闘機「殲20」

中国が何らかの軍事行動を起こした場合、米国の思う壺です。ほとんど何もしないうちから、艦艇は即座に海の藻屑と消えます。航空機も、あっという間に撃ち落とされ、全く勝負にならないことでしょう。

ブログ冒頭で、英紙FT「大きな衝突に発展も」と懸念を表明していますが、米軍と中国軍との軍事能力にはあまり開きが大きいため、中国はいくら頑張っても大きな衝突はできません。あっという間に、決着がつき中国軍の弱体ぶりが世界にむかって曝露されるだけです。

そもそも、中国は最初から完膚なきまでに負けることがわかっている、戦いに挑むことはないでしょう。そんなことをすれば、弱い中国軍のイメージがついてしまい、他国に侮られそれこそ、中国の核心的利益に反することになります。何が何でも避けることでしょう。

そうして、日本としてはブログ冒頭の記事で藤井厳喜氏が主張しているように、公海の航行の自由』を守るためにも、フィリピンやベトナムとともに米国を支持すべきです。当然のことながら、米国のイージス艦を日本の港にも寄港させるなどの集団的自衛権を発揮して、協力すべきです。

そうすることにより、尖閣問題にも良い影響が及び、中国の傍若無人ぶりも是正されることになると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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