2016年8月17日水曜日

中国人民解放軍内部文書「日本は2000発の核弾頭製造可能」―【私の論評】日本の核武装の意図は、それだけで外交カードになる(゚д゚)!


 『国防参考』の表紙
7月の参議院議員選挙で、非改選を合わせて自民党を含む改憲勢力が3分の2を占めたことで、中国は安倍政権の憲法改正の動きに警戒を強めている。

 そんななか、ジャーナリストの相馬勝氏は「日本では右翼勢力が台頭しており、近い将来、核武装に踏み切るのではないか」などと予測する中国人民解放軍の内部文書を入手した。

 * * *

 中国人民解放軍の内部文書は「日本の核武装に警戒せよ、世界平和に大きな影響」と題し、人民解放軍機関紙「解放軍報」を発行する解放軍報社傘下の軍の内部部門である「国防参考」が出版。

 「国防参考」は軍の幹部を対象に、軍事情勢を中心にした中国内外の重要なニュースや時事解説、解放軍中枢からの重要指示などを伝達するものだ。

 中国の傅聡軍縮大使が昨年10月の国連総会で、日本の「核武装論」を非難している。今回の参院選の結果を受けて、中国が日本の核武装論をテコに再び対日批判を強めることが予想されるが、その動きは、この「国防参考」の内容からある程度、予測できるだろう。内部文書の主要部分は、以下の通りだ。

 日本では原子力発電所の稼働によって、核兵器を製造するための原料であるウランやプルトニウムといった核物質を豊富に保有している。同時に、核兵器を持たない国のなかでは唯一、ウランの濃縮や使用済み燃料の再処理によるプルトニウムの製造技術といった、核兵器に転用可能な核物質を製造する一連の技術も保有する。それゆえ、日本は「2000発の核弾頭を製造できる」とし、それも「短期間で」と付け加えている。

 さらに、文書は日本の核兵器製造をめぐる歴史的経緯や政治・経済動向、科学的な裏付け、日本の核武装正当化のための国際関係や領土問題に加え、日本の核武装を阻止するための中国の対応についても詳しく解説している。

 ●そうま・まさる


【私の論評】日本の核武装の意図は、それだけで外交カードになる(゚д゚)!

このブログでは、中国人民解放軍の脆弱性を何度か掲載してきました。特に、海軍力では天と地との差があります。日本の潜水艦は、航行時の静寂性から、中国の最新鋭の原潜に対しても圧倒的な強みを発揮します。

日本の潜水艦が、ほとんど音を出さず、隠密行動ができるのに対して、中国の潜水艦は工作技術があまりに劣るため、まるで水中をドラム缶を叩くような「ドンドン」と音をたてて、水中を航行するので、すぐに発見できますが、日本の潜水艦を中国側は探知することができません。

中国の戦略型原潜
対潜哨戒能力においても、日本の海上自衛隊は、世界トップの紹介能力を誇るのに対して、中国の対潜哨戒能力は世界でも、他の先進国などと比較すれば、最低レベルです。最近の、海戦は、潜水艦によって決まるとも言われているくらい、潜水艦の重要性が増しているにもかかわらず、中国はこのレベルなので、どうあがいても、中国海軍には日本には勝てません。

さらに、空軍力はどうかといえば、これも日本にはかなり劣っています。そもそも、中国の戦闘機など、かなり稼働率が低いのと、先進国なら戦力外の旧式の航空機もかなり大量に使っています。

これらを総合的に勘案して、日本の戦闘機と、中国の戦闘機を戦力外のものを外し、さらに稼働率によって、実戦配備数を計算してみると、なんと、日本の航空自衛隊は 300機以上、中国は50機に過ぎないことがわかります。これについては、以前このブロクでその計算過程など、掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
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中国の戦闘機「J-11」
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国の実機稼働機数は50機です、日本の航空自衛隊のそれは315機です。これでは、勝負ははっきりしています。中国の空軍は、日本と真正面から衝突した場合、6倍の航空兵力に挑まなければならないのです。

さて、そのような中国人民解放軍ですが、いくつかは、日本より優れているところがあります。まずは、陸軍です。この陸軍は、兵力も武力も結構なもののようで、全体では日本の陸上自衛隊を上回っています。

しかし、これは、日本の自衛隊が中国に侵攻するなどということは全く想定していませんし、さらに、日本の陸上自衛隊が人民解放軍の陸軍と戦うとすれば、中国が尖閣諸島や、沖縄などの攻め込んできたとき以外に考えられません。

しかし、そのためには、中国は陸上兵力を船などで運ばなければなりません。そうなると、先ほど述べたように海軍力では、かなり劣った中国ですから、中国から陸上兵力を日本に運ぶ途中で、海の藻屑と消えてしまうことになります。これでは、勝負になりません。

中国が、尖閣諸島付近でいろいろと示威行為をするものの、さとりて尖閣諸島を奪取して、南シナ海の環礁のようにしてしまうなどの行動をなかなかしないのは、いろいろ理由があるでしょうが、結局中国が海軍力、空軍力で日本にまだ相当に水を開けられているということを認識しているからです。

人民解放軍が、尖閣諸島や、沖縄を奪取したとしても、それを守り通すことはできず、あっという間に日本に奪還されてしまうからです。

最近尖閣諸島付近の水域に出没した中国漁船と公船 以下のリンクから動画をご覧いただけます。

このようなことがあるので、今までのところ、中国は尖閣などの奪取はしないで、尖閣諸島を含めた東シナ海に公船や漁船を多数展開して、いずれこの海域を自由に航行できるようにしようとの腹であるとみえます。

しかし、こんな人民解放軍でも、まだ優れているところが一つだけあります。それは、中国が核兵器を所有しており、日本はしていないということです。しかし、これとても、日本は米国の核の傘に守られてるため、おいそれと手出しできません。

しかし、日本が核武装していないということで、中国はかなり有利であることは間違いないです。日本が核武装していないので、米国の直接の利害の及ばない範囲であれば、中国は核を散らつせて、日本に迫ることができます。

たとえば、本来内政干渉にすぎない、閣僚の靖国詣でなどにいちゃもんをつけることができます。さらには、尖閣諸島付近で示威行動をすることもできます。さらに、航空機を頻繁にこの海域の上空に派遣することもできます。いずれこの海域や空域を自分たちの海や空のように自由に往来できるようにすることを目論でいます。

今年の8月15日靖国神社を参拝した二閣僚 左より丸川五輪担当大臣、高市総務大臣
こういうことが、出来るの、あるいは出来そうなのは、一重に中国が核武装をしていて、日本が核武装をしていないからです。借りに、中国が核武装をしていなければ、端から、尖閣の問題など生じていません。仮に、中国がそのような素振りをみせれば、外交で脅せば、中国はすぐに折れることでしょう。

しかし、このブログ冒頭の記事のように、日本が核兵器を持てば、この前提はことごとく崩れてしまいます。

このブログで昨日は、米国のバイデン副大統領が、大統領選の集会でヒラリーを応援する際に、「日本国憲法は、米が書いた」と発言したことを伝えました。さらに、バイデン副大統領は今年の7月1日に、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との会談で、「日本は一夜で核兵器製造が可能」と発言したことを自ら明かしました。

8月15日にクリントン氏の応援演説をするバイデン副大統領
詳細は、昨日の記事をご覧いただくもとして、私はこの2つの出来事から、トランプだけではなく、民主党も含めて、米国は場合によっては、日本の戦術核を容認する用意があると結論づけました。

バイデン副大統領や、トランプ氏などは、一切「戦術核」などとは言っていないので、中国側は、日本が一夜にして大量の戦略核、戦術核を持つことも十分可能であると受け取ったことでしょう。

そうなると、中国は将来の国家戦略を根底から変えなけれはならなくなります。特に核戦略には大きな変更を迫られることでしょう。そのような危機感の現れが、ブログ冒頭の「国防参考」の記事のような形で表にでてきたということです。

それにしても、バイデン副大統領は、賢いです。中国に対して、日本核武装を外交カードとして切っています。バイデン大統領は、中国が北朝鮮を懐柔すべしという提案とともに、この話を習近平にしています。

中国が実際にそうするかどうかは、わかりませんが、借りに中国がそうしたとすれば、バイデン副大統領は大成功ですし、失敗したとしても、元々日本の核武装を外交カードにしているため、バイデン大統領自身も米国も何も失うものはありません。

しかし、日本の核武装という、この外交カード、日本も上手に使うべきと思います。中国が傍若無人な態度に出れば、日本は「核武装」するかもしれないという、外交カードを切れば良いのです。

この外交カード、米国などの核保有国は使えません。しかし、日本は使えます。そうして、使おうと使うまいと、核兵器はないわけですから、そのカードが有効だろうと、無効になろうとも、日本にとっても失うものは何もないわけです。

それでいて、中国をかなり威圧できます。このカード日本も、バイデン副大統領に使わせるだけではなく、上手に使うべきです。

そうして、日本も核武装について、国内で真摯な議論をすべきです。私自身は、北朝鮮のら拉致問題など、日本が核武装でもしなけば、なかなか解決しないだろうと思っています。

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