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2016年6月14日火曜日

【舛添氏公私混同疑惑】「国民の常識から離れていることに気づいているのか…」 民進・山尾志桜里政調会長がテレビで舛添要一都知事を突き放すも視聴者は「あなたの疑惑どうなった?」―【私の論評】なぜ山尾は責められず、舛添は責められるのか?


山尾志桜里政調会長
民進党の山尾志桜里政調会長は13日夜のBSフジ番組「プライムニュース」に出演し、舛添要一東京都知事の政治資金「公私混同」疑惑について「(舛添氏の)説明を聞いて、自身で辞職をされるのが最も適切だろうということは、わが党としても申し上げている」と突き放した。

山尾氏は「次から次と、一つ一つ出てくるエピソードが国民の暮らしや常識から離れていることに自身が気づいているのかどうかも国民からすると、よく分からない」とも指摘。その上で「『説明すればするほど…』という状況になってしまっているのではないか」と解説した。

ただ、山尾氏自身も“常識外れ”の多額のガソリン代やコーヒー代の支出など「政治とカネ」をめぐる数々の疑惑が指摘されている。

番組の最後、視聴者から「舛添氏の疑惑追及もいいが、ガソリン疑惑の説明はどうなったのか」と質問を受ける流れで、山尾氏は初めて「改めて自分の襟をたださなければ、と思っている」と言及した。

ガソリン代について不適切な処理を行った可能性が高いと説明していた元公設秘書との交渉に関しては「それぞれが弁護士を立てて協議をしている。その顛末もしっかりと説明させていただきたい」と述べた。

【私の論評】なぜ山尾は責められず、舛添は責められるのか?

政治資金規正法がザル法であるということが、山尾志桜里や舛添要一のような政治家を生み出す原因であるということを正論すぎる松井大阪府知事の主張の動画を以下に掲載します。


それにしても、舛添知事への追求はかなり厳しく行われています。本人も辞任の決意をしているようですが、9月のリオ五輪まで待ってくれなどと語っています。

しかし、それにしても不思議なのは、同じように政治資金の疑惑で追求された山尾志桜里民主党政調会長がまるで何事もなかったかのように追求されないことです。

産経新聞も今日はブログ冒頭の記事を報道しましたが、他の新聞はスルーです。テレビでもほとんど追求されません。

この違いは一体何なのでしょうか。まずは、識者の声を拾ってみたところ、高須クリニックの院長がなぜ舛添さんがこのように批判を受けるのか、面白いコメントをしていたので、以下にその記事のリンクを掲載します。
【Yes!高須のこれはNo!だぜ】孤立無援の舛添都知事 イメージしやすい疑惑だから批判の声も大きいんだよ
高須クリニック院長
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部分を引用します。
 東京の予算や経済規模が他県と比べてかなり大きいのはいうまでもないよね。都知事の権限は途上国の国家元首に匹敵するほどのものなんだけど、疑いが持たれているのが千葉県の温泉施設などでの宿泊費だったり、回転寿司屋での食費だったりと、金額も含めて一般人にとって身近でイメージしやすいものばかり。「これくらいの金額なら大丈夫」と油断していたのかもしれないね。 
 だとしたら大間違いだ。誰でもイメージしやすいからこそ批判の声が大きいんだよ。逆に「パナマ文書」みたいに金額の規模があまりにも巨大だと、人ごとみたいに感じられて関心を持つ人が少ないよね。
 確かに、こういう面は否めないとは思います。しかし、これが理由で舛添氏が徹底的に追求されるというのなら、山尾志桜里政調会長も同じく、追求されても良いのではないかと思います。

以下に、山尾志桜里政調会長の政治資金疑惑を振り返っておきます。


まずは、上のチャートにも掲載されているように、ガソリン代疑惑、寄付金疑惑がありました。

さらに、以下のような疑惑もありました。


舛添都知事のように、みみっちくてせこい、花代などというのもありました。これは、いくらだったか覚えていません。

さらに、衆院選直前に不可解な「500万円の移動」というのもありました。これは、このブログにも以前掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。
山尾氏、今度は衆院選直前に不可解な「500万円の移動」 週刊新潮報道 ―【私の論評】献金問題と同じく匿名ブログに基づく議論も指弾されるべきだ(゚д゚)!
 民進党の山尾志桜里政調会長(41)に、新たな疑惑が浮上した。2014年末の衆院選直前、500万円もの大金が同日中に「山尾氏→選挙区総支部→山尾氏」と移動しており、週刊新潮が「脱税」の疑いを指摘したのだ。山尾氏は、プリペイドカードを使った多額のガソリン代を政治資金収支報告書に記載しながら、根拠も示さず「秘書が不正をした疑いがある」と釈明したばかり。一体、どうなっているのか。
 
 14年11月21日に、民主党(当時)から山尾氏は「公認料500万円」を受け取り、10日後の12月1日、山尾氏から総支部に「寄附金」として500万円を計上した。ところが、同じ12月1日、今度は総支部から山尾氏に「選挙費用」として500万円が移動している-というのだ。 
 夕刊フジでも報告書を調べたところ、500万円の移動が確認できた。
花代はせこかったのですが、確かにこうして並べてみると、舛添氏よりは大掛かりのようではあります。 それにしても、パナマ文書がらみの、数千万円とか、億単位ではないので、一般人にも容易に想像できる範囲のような気がします。

にもかかわらず、舛添要一都知事が徹底追求され、山尾志桜里政調会長のには、何か背景があるはずです。

実は、両者の徹底的な差異がありました。それは、舛添要一氏が、保守陣営からも嫌われていたという事実があるということです。山尾志桜里政調会長は一応革新陣営からは少なくとも嫌われていません。

舛添要一氏は、保守、革新からも嫌われているという違いがあります。保守側(一応旧来の保守・革新という分け方のつもりです)からは、元々嫌われており、このところの追求で革新側も嫌っていました。

これについては、若干の説明が必要でしょう。

まずは、舛添要一氏は、もともと安倍首相および保守派自民党議員とは政治思想が合わず、犬猿の仲であることがあげられます。自民党時代から、安倍晋三氏らや保守派議員らの改憲勢力や政策をさんざん批判しまくっていたため、保守派議員や保守派論壇ネトウヨなどから好ましく思われていないというか、嫌われていました。

舛添氏は、もともと東大で助教授を務めていた政治学者でした。しかも、 パリ大学現代国際関係史研究所客員研究員だったこともあるほど、フランスかぶれの近現代的というか革命的な政治思想の持ち主で、安倍氏らのような保守派とは基本的に考えが合わない上に、彼らをちょっと軽蔑しているようなところさえありました。しかし、学者として優れていいということと、政治家としている優れているということは無論、全く別次元の問題です。

実際、舛添氏は政治家としては優れているとはいえませんでした。特に年金問題で「最後の一円まで帳尻をあわせる」というような趣旨の発言をしたときには、私自身はあまりに愚かだと思い、これもかなり驚愕しました。

さて、舛添氏のやんちゃぶりの事例をここにあげておきます。

安倍首相は前政権の時、07年の参院選で惨敗しながらも、当日の夜、すぐに続投宣言しました。

その時に、舛添氏があまりにも辛らつな安倍批判を行なっていたので、私自身驚愕でした。

以下に、『2007年の週刊文春 8月9日号 特集記事 安倍自民37議席の「天罰」』より舛添氏の言葉を含む記事を引用します。 
 まだ開票作業がはじまって間もない21時30分。ニュースで「安倍首相、続投の意向」との一報が流れた瞬間、舛添要一氏は次のように吐き捨てた。
「バカだよなー。まだたたかっている候補がいるのに、なぜこの段階で言う。(自民党は)安倍のために政治をやっているんじゃない。知恵をつける奴がいない。バカにつける薬はないよ!」』 
『安倍内閣を「バカ社長にバカ専務」と言った気持ちは全然変わっていません。ボンボンでもなんでも社長に祭り上げるのはいいわけですよ。どこでも二代目社長、三代目社長はいる。そういう会社は、(社長が)バカだとわかっているけど、周りの専務たちがしっかりしているからもっているわけです。だけど、ボンボンのうえに周りの番頭たちも駄目だから駄目なんです。いまやらなければならないのは、それを替えることに尽きます。』
2007年の通常参院選の結果を報じる新聞 自民は歴史的惨敗を喫した。そのごはねじれ国会に。
このように、自分の能力にかなり自信を持っている舛添氏は、安倍氏らのような世襲の二世、三世政治家を快く思っていないところがあり、彼らを批判することも多かったのです。

しかし、舛添氏が何よりも超保守派やネトウヨに敵視されたのは、同氏が保守的な思想、憲法観を否定し、表立ってて強い批判を繰り返していたからでしょう。

自民党は結党50年を迎えた05年に、憲法改正草案を発表することを計画。改憲・命の中曽根康弘氏を筆頭に、保守派の議員が中心になって、何年もかけて原案を作成しました。ところが、舛添氏らが中心になって、多くの条項や表現を大部分カットしてしまったため、彼らの恨みを買うことになったのです。

このあたりのことを『Wikipedia』から引用します。
 自身は憲法改正に前向きな姿勢を示しているが、自民党改憲案の取り纏めでは民主党や国民に受け入れられることを重視し、保守色を薄めるべく調整にあたった。元首相中曽根康弘が中心となって作成した自民党憲法草案の原案から、「日本の国柄」を明記した箇所を当時の自民党総裁小泉純一郎の了承を得て削除させたのは舛添である。
『毎日新聞・憲法前文の行方  2006年3月13日』から引用します。
 「日本国民はアジアの東、太平洋と日本海の波洗う美しい島々に、天皇を国民統合の象徴として古より戴き、和を尊び…」で始まる。「国を愛する国民の努力」という言葉もある。この原案は、前文小委員長・中曾根康弘が筆をとったとされる。思い入れの溢れる文章だった。 
  だが、この前文原案が10月28日の起草委員会の全体会議に提出されたとき、まったく別のものに差し替えられていた。舛添は、憲法に個人の歴史的解釈を入れてはいけないとして、「和を尊び」は中曾根の個人的歴史観であると切って捨てた。「現職の自民党総裁が違憲になりかねないような表現を、自民党の草案に採用することは絶対にできない」とも。
舛添氏はその後も安倍氏や兄貴分である麻生元首相など自民党の幹部クラスを大批判して、2010年に自民党を離党しました。そうして、14年に無所属で都知事選に出馬しました。安倍首相やその周辺をはじめ、自民党の中には、内心では舛添氏を嫌悪していた人が少なからずいたものの、東京都や五輪への影響力を保持したいがために舛添氏を支援しました。その結果舛添氏が当選しました。

この時には、保守系の識者や一部の政治家、ネトウヨは「何で舛添を支持するのか。(同じ思想の田母神を支持すべきだ)」と強い反発を示していました。結局今となっては、政治資金規制法で逮捕された田母神氏支持は間違いであったことは明らかです。もっとまともな候補者はいなかったのかと、思ってしまいます。

ところが、舛添氏は当選直後に行なった就任会見でも、自民党の新しい改憲草案を否定。同年には、憲法改正に関する本を出版し、その後もずっと安倍政権や超保守派の思想を批判し続けていたのです。

以下に、毎日新聞14年2月14日号から引用します。
 東京都の舛添要一知事は14日、就任後初の定例記者会見で、選挙で支援を受けた自民党の憲法改正草案について「立憲主義の観点から問題がある。今のままの草案だったら、私は国民投票で反対する」と述べた。 
 舛添氏は2005年に自民党がまとめた第1次憲法改正草案の取りまとめに関わった。会見で野党時代の12年に出された第2次草案について問われると「学問的に見た場合、はるかに1次草案の方が優れている」と指摘。2次草案の問題点として(1)天皇を国の「象徴」から「元首」に改めた(2)家族の条文を設け「家族は互いに助け合わなければならない」と規定した(3)「国防軍」の創設を盛り込んだ--点などを挙げた。 
 また国民の権利に関し、1次草案の「個人として尊重される」を2次草案で「人として尊重」と変えたことに触れ「憲法は国家の対抗概念である個人を守るためにある。人の対抗概念は犬や猫だ」と厳しく批判した。


これでは、まるで天に唾するとか、後ろ足で砂をかけたというような仕業です。

なぜこのような仕業をしたかといえば、先に述べたようにまずは、自分の能力を過信していたということです。そうして、フランスかぶれの近現代的というか信の意味での(日本でいうところの保革の区別ではない)革命的な政治思想の持ち主だったことが災いしています。保守派と革命という過激な手段で、近代政治を導入したフランスにかぶれた思想とは、元々水と油です。

フランスかぶれの思想を通したければ、元々自民党になど入らなければよかったのです。このようなことでは、自民党からもいざというとき助けてもらえないのは、当然といえば当然です。身から出た錆です。

これに比較すると、山尾志桜里政調会長は、少なくとも民主党の幹部を批判するということはしていません。

しかし、だからといって、舛添氏ばかりが批判されて、山尾氏が批判されないというのでは、あまりにもバランスを欠いています。

やはり、政治資金規正法がザル法であるということが、舛添要一氏や山尾志桜里氏のような政治家を生む土壌になっていることは明らかです。

ザル法といわれる、政治資金規制法のその所以を以下については以前のブログにも掲載したことがあります。そこから、一部分を以下にコピペします。
政治資金規正法では、寄付をする企業などの側は、補助金を交付されることが決まったと通知を受けてから1年間は、原則として、国会議員に寄付をするだけで「違法」となります。議員の側も、この規定に違反する寄付と知りながら受け取ると罪を問われます。 
すなわち、これが、同法が「ザル法」と批判される典型的な場面ですが、議員は、寄付を受け取った企業などが補助金を受けていたと「知らなかった」場合には、「違法」にはならないのです。

そもそも企業・団体による献金については、平成6年に政治改革関連法が成立し、国民一人当たり250円の税金で政党を支える「政党交付金」の仕組みが導入された際、代わりに将来的に廃止することが決定しました。しかし、今年も政党交付金は共産党を除く10政党に配分されるのに対し、企業・団体による政治献金は、いまだに廃止されていません。
さらに、以下のような論点があります。
現在考えられる論点(あいまいな部分)
  • 立て替え金の処理方法
  • 寄付をした者とは 
  • 借入金と寄付の区別基準 
  • 会費と寄付の区別基準 
  • 寄付金控除のための書類の交付後の取扱 
  • 政治団体の代表者の責任 
  • 現物寄付を受けた場合の記載方法 
  • ダミーの政治団体とは
  • 虚偽記載と記載ミスの区別基準 
総務大臣届出各種政治団体だけに限ってみても、過去に、非常に多くの団体が政治資金収支報 告書の訂正を行っています。 記載ミスとして訂正が認められるのはどのような場合で、虚偽記載と認定されるのはど のような場合かがあいまいです。 
つまり、上記の訂正団体がすべて虚偽記載の罪に問わ れる可能性があり、全ては捜査当局の裁量に任されているのです。
このような状況では、これからも舛添要一や山尾志桜里のような政治家がでてくるのは、当然と言えば当然です。

そもそも、政治資金規正法とは政治家が立法しているものです。政治家が政治家に有利にこの法律を定めるのは当然のことです。

山尾詩織政調会長があまり責められないのは、自分の所属する政党の幹部に対して痛烈な批判はしていないこと、さらに弁護士の資格をもち元検事ということはありましたが、舛添要一氏のように特定の分野で特に優れていたということはなく、弁護士資格を持つ議員など民主党にも大勢いるため、舛添氏のように政治家としても自分が周りの人間よりははるかに優れているというような幻想は持っていないことによるものと考えられます。

しかし、同じようなことをして、山尾氏が追求されないというのは、理不尽なことです。このような状況を許容しておけば、いつまでたっても、政治資金規制法はザル法として放置されることになります。

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