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2016年7月2日土曜日

不穏な中国軍 参院選投票日狙い尖閣上陸の可能性 ネットに訓練写真を掲載―【私の論評】「マラバール」と「米上院議員尖閣上空飛行」で中国大パニック(゚д゚)!


中国軍の上陸訓練を伝える中国中央テレビの
映像。沖縄県・尖閣諸島を狙っているのか
東シナ海をめぐり、看過できない動きが明らかになった。中国軍による戦闘機や艦船による挑発的行動が続くなか、中国のインターネットメディアに6月末、大型揚陸艦による「上陸作戦」の訓練写真が多数掲載されたのだ。日本が参院選(7月10日投開票)で忙殺されるなか、中国軍は沖縄県・尖閣諸島などへの上陸を狙っているのか。日本は「領土を守る」という覚悟を示し、厳重に警戒する必要がありそうだ。

 中国に関するニュースを報じるインターネットサイト「世界論壇網」(=原表記は簡体)に、中国人民解放軍海軍の071型揚陸艦「長白山」をはじめとする15枚の写真が掲載されたのは6月27日のこと。うち9枚には国営メディアのクレジットが入り、複数の水陸両用車などが陸(島?)に向かう様子が映し出されていた。

 071型揚陸艦は、基準排水量が約1万2300トンとされ、海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「ひゅうが」(同排水量約1万3950トン)に匹敵する。輸送ヘリコプター2機や、艦尾ドックから発進するエアクッション型揚陸艇4隻などを収容。兵員も500~800人程度は輸送可能とみられる。

071型揚陸艦「長白山」
中国問題に詳しい元警視庁通訳捜査官で作家の坂東忠信氏は「写真はタイとの合同演習時の際に撮影されたもので、今年5月21日、国営メディアで公開された。尖閣諸島と直接関係するわけではないが、人民解放軍が上陸作戦訓練を行っていることを中国政府が認めたことになる」と語る。

 気になるのは、すでに国営メディアで報じられた上陸作戦の写真が、なぜ、6月27日に「世界論壇網」に再掲載されたかだ。この時期、中国軍は東シナ海での行動をエスカレートさせていた。

 中国海軍のジャンカイI級フリゲート艦が6月9日、尖閣周辺の接続水域に侵入した。中国の軍艦として初めてだった。さらに、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦が同月15日、鹿児島県・口永良部島(くちのえらぶじま)の西方海域の日本領海を侵犯した。

 海だけではない。

 自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は同月30日の記者会見で、今年4~6月に日本領空に接近した中国軍機に対する航空自衛隊戦闘機の緊急発進(スクランブル)の回数が、昨年の同時期に比べて80回以上増え、過去最多の約200回となったことを明らかにした。

 河野氏は「海上においても空においても中国軍の活動範囲が拡大し、活発化している。エスカレーションの傾向にある」と強い危機感を示した。

 一方、元空自航空支援集団司令官の織田(おりた)邦男元空将が同月28日、「東シナ海上空で、中国機が空自機に対して攻撃動作を仕掛け、空自機が離脱した」とする記事をインターネット上で発表したことについて、河野氏は「(中国機が)攻撃動作をとった事実はない」と否定した。

赤外線誘導ミサイルから回避するためのフレアの発射訓練をする自衛隊戦闘機
ただ、空自機が離脱する際に「自己防御装置を使用した」と織田氏が指摘した点については、「使ったか使っていないかは言及しない」と明言を避けた。

 織田氏の指摘が事実なら、中国機の行為は軍事衝突に発展しかねない危険極まる行為といえる。

 日本が現在、参院選のまっただ中というタイミングも気になる。

 前出の坂東氏は「これまでは、日本の選挙期間中に軍事行動を活発化させれば、保守政党が支持を伸ばし、親中派のリベラル政党のマイナスになるため、中国軍は目立った行動はしなかった。今回は違う。軍事行動のレベルを上げ、メディアでもアピールしている。『いまなら東シナ海の覇権を握れる』と踏んで行動しているのではないか」と分析し、続けた。

 「参院選の最中に、尖閣諸島の魚釣島や、周囲の岩礁に上陸する可能性もあるのではないか。やるとすれば、日本政府が対応を取るのが難しい投開票当日が危ない。上陸後は危険を避けるため、すぐに立ち去るだろうが、石碑などを残していき『自分たちの主権がこの島まで及んだ』と国際的にアピールするかもしれない。中国は、韓国が不法占拠している島根県・竹島を念頭に置いているようだ」

 中国軍の尖閣上陸は、軍事的に可能なのか。

 軍事ジャーナリストの竹内修氏は「上陸自体は、物理的には十分可能だ。まずは小型艇で特殊部隊を送り込むことが考えられる。もし、この部隊と自衛隊が交戦状態になったなら、中国は『わが国の領土、軍隊を攻撃した』と主張し、揚陸艇など大規模な部隊を送り込み実効支配に移る。中国が考えるのはこうしたシナリオだろう」と指摘する。

 自衛隊は現在でも、24時間、365日、日本の領土・領海・領空を守り、国民の生命と財産を守っている。常識が通用しない中国軍をこれ以上増長させないためにも、さらなる警戒が必要だ。

【私の論評】「マラバール」と「米上院議員尖閣上空飛行」で中国大パニック(゚д゚)!

上の記事でも指摘しているように、先月になってから、東シナ海での中国軍の活動が活発になっています。

これについては、以前このブログに述べたように、日本の南西諸島で日米印の共同訓練「マラバール」が実施されたことへの中国側の牽制であることは、このブログにも掲載しました。

しかし、これだけだと、上記のような中国の先月からの異常な戦闘機や艦船による示威行動は説明がつかないかもしれません。

やはり、中国側にとっては、アメリカのマケイン上院議員の尖閣上空の飛行はかなりの脅威なのだと考えられます。

「マラバール」プラス「米常喜院議員尖閣上空飛行」が中国をパニックに陥れているのだと思います。

マケイン上院議員による、尖閣上空の飛行については、ツイッターでは掲載したことがありますが、ブログには掲載したことがなかったので、以下にその内容を掲載します。
米大物議員が尖閣諸島上空を飛行、中国は領空侵犯と抗議―米紙 
尖閣上空を飛行したとされるジョン・マケイン議員
2016年6月25日、環球網は記事「米議員、チャーター機で尖閣諸島上空を飛行、中国側は強く抗議」を掲載した。  
24日付の米紙ワシントン・ポストによると、米国のジョン・マケイン議員は6月初頭に台湾を訪問し、その後、チャーター機で東京へ向かう途中、尖閣諸島上空を飛行したという。同紙によると、駐米中国大使館は領空侵犯だとして米上院に抗議の書簡を送ったという。  
マケイン議員は23日に声明を発表し、中国公船の尖閣近海への侵入は東シナ海情勢を緊迫化させていると主張。また尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲だと米国政府の立場を強調した。
 この内容は、日本ではほとんど報道されませんでした。わざわざ、上院議員の搭乗したチャーター機が、尖閣上空を飛行したわけですから、これは当然のことながら「政治的メッセージ」含んでいます。無論、中国側は、日米ともに「日中には領土問題は存在しない。尖閣は日本固有の領土である」という政治メッセージであると受け取ったことでしょう。

最近では、米国は「マラバール」を日本の南西諸島で実施したり、上院議員が尖閣上空を飛行してみたりで、日本の尖閣問題にも積極的に関与するようになりました。これに対して中国はかなり神経を尖らせるどころかパニックに陥っているようです。

だからこそ、ブログ冒頭の記事のように、東シナ海でも航空機や艦船の動きを活発化させ、さらにインターネットサイト「世界論壇網」中国人民解放軍海軍の071型揚陸艦「長白山」をはじめとする15枚の写真が掲載され、尖閣奪取を匂わせるような報道をしたのだと考えられます。

オバマ大統領は2014年4月23日に国賓として来日するのを前に、21日夕方(米国東部時間)に読売新聞の書面インタビューに以下のように回答しています。

米国のオバマ大統領は書面インタビューで、沖縄県の尖閣諸島について「日本の施政下にあり、それゆえに日米安全保障条約第5条の適用範囲内にある」(are administered by Japan and therefore fall within the scope of Article 5 of the U.S.-Japan Treaty of Mutual Cooperation and Security)と述べました。第5条は米国の対日防衛義務を定めており、歴代の米大統領が尖閣に対して安保条約の適用を明言したのは初めてでした。

2014年日本を国賓として訪問したオバマ大統領は安倍総理と寿司屋で酒をくみかわした
ただし、日米安保の5条は、アメリカ議会が武力使用を了承すれば武力で守るというものです。従来は、アメリカ議会が了承するかどうかは何ともいえないところがありましたが、マケイン上院議員の尖閣諸島上空の飛行は、その後アメリカ議会でも何ら問題になった様子もないことから、アメリカ議会の意思を表明したものといえます。

米国議会はシリア、ウクライナの轍を踏むことはないという強烈な意思表示であると考えられます。確かに、日本が中国の傘下に入ってしまうようなことがあれば、米国にとっては一つも良いことはありません。日中合同の軍事力や、経済力は米国にとってかなりの脅威になるはです。

米国議会では、2014年あたりから、対中国強硬論が日増しに強くなっていました。これについては、このブロクでも取り上げたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
米国議会で日増しに強くなる対中強硬論―【私の論評】世界は複雑だ!米中一体化、G2など中国の妄想にすぎない!しかし、日本にとってはこの妄想につけこむ絶好のタイミングかもしれない(゚д゚)!
米国国会議事堂
 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、当時米国では対中関係は以下のように総括されていました。
 「中国に対して、米側には伝統的に『敵扱いすれば、本当に敵になってしまう』として踏みとどまる姿勢が強く、中国を『友好国』『戦略的パートナー』『責任ある利害保有者』『拡散防止の協力国』などと扱ってきました。だが、そうして40年も宥和を目指してきたのにもかかわらず、中国はやはり敵になってしまったのです」(元国防総省中国担当、ジョー・ボスコ氏)
これは、明らかに外交は全く不得手な及び腰のオバマ大統領に対する批判です。安倍総理は、アメリカ議会などに先駆けて、対中国強硬論を提唱していましたが、これにアメリカも対強硬論を唱えはじめたのです。

そうして、その流れで、先月の「米国上院議員の尖閣上空の飛行」+「マラバール」という状況になったわけです。

以上のように中国の立場にたってみれば、なぜ東シナ海でブログ冒頭の記事のように、挑発を頻発させるようになったのか理解できます。

しかし、日米をこのようにさせたのは、元々中国が南シナ海や、東シナ海で傍若無人な態度を撮り続けたからです。

私自身は、 「世界論壇網」への上陸作戦の写真の掲載も、中国による日米同盟への牽制であり、すぐにも尖閣諸島への上陸奪取ということはないとは思っています。

しかし、このブログにたびたび示しているように、中国は現在権力闘争の真っ最中にあります。その典型的なもののリンクを以下に掲載します。
【石平のChina Watch】習主席、頓挫した「独裁者」への道 衆人環視の中で目撃された異様な光景 ―【私の論評】刎頚の友で、独裁者になりそこねた習!だが、中共の本質は変わらない(゚д゚)!
習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけた王岐山氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一時は反腐敗運動で勝利を収めつつあるようにもみえた習近平の権力闘争ですが、そうではなかったことがこの記事をご覧いただければ、おわかりになると思います。

中国が未だ権力闘争のまっただ中ということであれば、中国という国は対外関係も自らの国内事情によって動く国ですから、中国軍による尖閣上陸も十分にありえます。

権力闘争のまっただ中ということは、習近平や半習近平派のいずれもが未だ中国内で十分に統治の正当性を獲得していないということです。

どちらかの派閥が統治の正当性を圧倒的に強めることができれば、権力闘争に勝つことができます。現在の中国では、経済的にも社会的にも統治の正当性を高められるような事案はほとんどありません。

そうすると、当然海外に目をつけることになります。尖閣など非常に良い材料です。尖閣に上陸して、実行支配することができれば、中国国内でも強力なデモンストレーションとなり、統治の正当性を高めることができます。

中国には互いに権力闘争を続けるいくつかの派閥があります。いずれかの派閥が、尖閣上陸実行支配という冒険に出ることは十分に考えられます。派閥配下の人民解放軍や、海上民兵やその他の組織もあります。

それらのうち、いずれかが冒険に出るというシナリオは、十分にあり得ます。

これに対処する方法もこのブログで以前掲載したことがあります。それを以下に再掲します。
これを防ぐための手段は、政府は、政治、外交、軍事を含む総合的で戦略的な対応を早急に取るべきであるとともに、実際に中国軍がどのような行動をとれば、日本が武力を用いて中国軍を排除するに至るかをはっきりさせ、それを中国および世界の各国に向かって予め周知しておき、中国軍がそのような動きを見せれば実行することです。 
さらに、これを実行に移すには、ルトワック氏の著書『中国4.0』にある提言が参考になると思います。 
どうなるか分からない不安定さを持つ中国に対応するために、無理に大局をみるより現実的な個々の事象に個々の組織が対応するべく準備せよというものです。 
日本側が、独自かつ迅速な対応を予め用意しおくように進言しています。しかも、各機関相互間の調整を重視するよりも、各機関が独自のマニュアル通りに自律的に行えるようにしておくべきとしています。 
たとえば、海上保安庁は即座に中国側の上陸者を退去させ警戒活動にあたり、外務省は諸外国に働き掛けて、中国の原油タンカーやコンテナ船などの税関手続きを遅らせるという具合です。とにかく、「対応の迅速さを優先させる」ことを強調しています。
陸海自衛隊による島嶼防衛訓練
各機関が、このようなマニュアルを用意しておき、即座に動くことが肝要であることをルトワックは主張しているのだと思います。各機関が綿密に共同して行動していては、迅速さに欠けて、あれよあれよという間に、南シナ海で中国が実施したように、いずれ軍事基地化され、既成事実をつくられてしまってからは、これを取り消すことは至難の業になるからでしょう。 
各機関が独自に動けば、初期の対応はかなり迅速にできるはずです。無論、海上自衛隊も、マニュアルに従い、独自に動き、尖閣有事の際には、別行動をしている海上保安庁の巡視船の行動を見守り、それではとても歯がたたないまでに、事態が悪化した場合、迅速対応するという形になるでしょう。 
そうして、中国側は、日本の迅速な対応に拒まれ、結局何もできないうちに、なし崩しになって終わってしまうということになると思います。 
こうした、迅速な初期対応が終わった後に、その後の対応に関して、各機関が綿密に共同して行動すれば、良いということです。とにかく迅速さが一番ということだと思います。多少拙速であったにしても、中国側に既成事実を作られるよりは、遥かに良いということです。
現在の中国は、激烈な権力闘争の最中にありながら、対外的にも南シナ海、東シナ海に手を出しているという、特異な状況にあります。国内で権力闘争を継続しながら、日米印、ASEAN諸国などと対峙し続けるという状況にあります。そうした中での「マラバール」+「米上院議員尖閣上空飛行」は、私達などが想定する以上に中国にとってかなりの脅威です。

権力闘争がなく、習近平なり他の誰であろうが、為政者が権力を完全に手中に収め、中国を完璧に統治していれば、中国は尖閣上陸奪取をすぐに実行するなどというような冒険はできなかったかもしれませんが、今はそのような状況ではなく、いつ上陸してもおかしくはないです。誰が、自分の属する派閥の統治の正当性を高めるため、尖閣上陸を企てるかわかったものではありません。

政府は、このようなことを予め想定して、それに対する備えを十分に備えていただきたいものです。私達国民としては、中国の尖閣奪取などのことは十分起こりえることであると、覚悟を決めておく必要があります。そうなってから考えるのではなく、今そこにある危機として、日本はどうするべきなのか、予め冷静に判断しておくべきです。

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2016年6月9日木曜日

政府 中国軍艦艇の接続水域入り受けNSC開催へ―【私の論評】日本の南西諸島付近の日米印演習「マラバール」に対する牽制か?

政府 中国軍艦艇の接続水域入り受けNSC開催へ

本日の産経新聞の号外 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

政府は、中国海軍の艦艇が沖縄県の尖閣諸島周辺の接続水域に初めて入ったことを受けて、9日夜、NSC=国家安全保障会議の4大臣会合を開き、情報の分析結果などについて報告を受けたうえで、警戒・監視に万全を期すことなどを確認する見通しです。

9日午前0時50分ごろから午前3時10分ごろにかけて、沖縄県の尖閣諸島の周辺海域で、中国海軍のフリゲート艦1隻が日本の領海のすぐ外側にある接続水域に入ったほか、ロシア海軍の駆逐艦など3隻も8日夜から9日未明にかけて付近の接続水域に入りました。

尖閣諸島の領有権を主張する中国の軍の艦艇が接続水域に入るのは初めてで、政府は、安倍総理大臣が訪問先の山形県から戻りしだい、午後7時ごろからNSC=国家安全保障会議の4大臣会合を開くことを決めました。会合では、外務省や防衛省から、中国海軍の艦艇が接続水域に入った状況や、日本側がとった対応などに加えて、これまでに入っている情報の分析結果などについて報告を受け、情報の共有を図ることにしています。そして、会合では、安倍総理大臣の指示を踏まえ、アメリカなどと緊密に連携して、不測の事態に備え警戒・監視に万全を期すことなどを確認する見通しです。

中国国防省 「合法」と主張

中国の国防省は9日午後、中国海軍の艦艇が沖縄県の尖閣諸島周辺の接続水域に入ったことについてコメントを発表しました。この中で、尖閣諸島について「中国固有の領土だ」としたうえで、「中国軍の艦艇が自国の管轄海域を航行することは、合理的かつ合法であり、ほかの国がとやかく言う権利はない」と主張しました。

中国政府は、今回の航行の目的など詳しいことは明らかにしていません。ただ、中国政府は、南シナ海での急速な海洋進出を日本がアメリカと共に強く批判していることなどにいらだちを募らせており、今回、尖閣諸島周辺の接続水域内に海軍の艦艇を派遣することでこの海域への自国の主張を強め、日本をけん制するねらいがあった可能性があります。

東シナ海の上空では7日に、中国軍の殲10戦闘機2機が、アメリカ海軍の偵察機RC135の飛行を妨害し、このうち1機が急接近したとして、アメリカ軍が中国側に危険な行為だと抗議しています。

ロシア大使館「中国と関係ない」

ロシア海軍の駆逐艦など3隻が沖縄県の尖閣諸島周辺の接続水域に入ったことについて、東京にあるロシア大使館はツイッター上で、「誤解がある」としてコメントを出しました。この中で、「当海域では、中国と関係なく、ロシア海軍が定例の演習を行い、日本の領海に入ることは当然ない」と説明しています。そのうえで、「ほかの諸国、ならびに日本とアメリカも主張する『航海の自由』の原則どおりで、心配はない」として、中国が実効支配を強める南シナ海にアメリカ軍の艦艇を派遣する「航行の自由」作戦を引き合いに出して、ロシア海軍による航行には問題ないと主張しています。

中ロの艦艇は以前にも日本周辺を航行

今回、尖閣諸島沖の接続水域を航行した艦艇は、以前にも、日本周辺海域での航行が確認されています。

このうち中国海軍のジャンカイI級フリゲート艦は、去年12月、沖縄本島と宮古島の間の公海上を東シナ海から太平洋に向けて航行しているのが確認されています。

ジャンカイI級フリゲート艦
また、ロシア海軍の艦艇のうち1隻はウダロイI級ミサイル駆逐艦で、ことし3月、対馬海峡を南下し、日本海から東シナ海に向けて航行しているのが確認されています。

ウダロイI級ミサイル駆逐艦
中ロ艦艇の航行目的は

尖閣諸島を巡っては、中国側が領有権を主張しているのに対し、ロシア側は領有権を主張していないため、防衛省は、中国とロシアの艦艇では、接続水域を航行することの意味は異なるとしています。

防衛省によりますと、ロシア海軍の艦艇は、過去にも尖閣諸島の沖合の接続水域を通過したことがあるということです。

一方、今回、中国海軍の艦艇は、ロシア海軍の艦艇の動きに対応して接続水域を航行した可能性もあるとみられ、尖閣諸島の領有権を主張する中国側が、今回、どのような目的で艦艇を航行させたのかについて分析を進めています。

統合幕僚長「事態のエスカレーション避けたい」

自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は9日の定例の記者会見で、「事態をエスカレーションさせることは避けたい」と述べました。

会見で、河野統合幕僚長は「今回のことは、緊張を高める一方的な行動であり、深刻な懸念を持っている」と述べました。一方で、河野統合幕僚長は「中国側が、日本側の今回の抗議を真剣に受け止めることを期待している。外交ルートで解決するのがベストであり、自衛隊として、事態をエスカレーションさせることは避けたい」と述べました。

元海将 日米のリアクション

今回のケースについて、金沢工業大学虎ノ門大学院の教授で、海上自衛隊で呉地方総監を務めた伊藤俊幸元海将は、「海軍の艦艇を航行させており、国家としての意思を反映したものと言える。中国の海洋政策に対し、日米が『間違っている』と主張していることに対するリアクションとも受け取れる。中国当局の船による領海への侵入にとどまらず、今後、軍艦による航行へと既成事実を積み重ねながら、仮に中国側が事態をエスカレーションさせていくとすれば非常に危険なことだ」と指摘しました。

一方で、今後の対応について、「国際法上は問題のない海域での航行なので、冷静に対応すべきだ。同時に、中国側は、日米がどのような反応を示すのかを見ており、日本はアメリカをはじめ広く国際社会に、今回のような中国側の行動が受け入れらないものであると訴え、事態のさらなるエスカレーションを中国側に踏みとどまらせる必要がある」と話しています。

【私の論評】日本の南西諸島付近の日米印演習「マラバール」に対する牽制か?

さて、この中国の軍艦の動き、そうしてもしかするとロシアの軍艦の動きも、先日このブログでも掲載した、今月の10日から17日まで、日本の南西諸島付近で行う、日米印で行う演習である「マラバール」と関係しているのではないかと思います。

「マラバール」に関連した今月7日のこのブログの記事のリンクを以下に掲載します。
海自が米・インドと共同訓練、中国にらみ沖縄の東方で―【私の論評】南西諸島における海自による「航行の自由作戦」の予兆か(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、海上自衛隊は7日、米国、インドの海軍と沖縄本島の東方海域で共同訓練を行うと発表したことを掲載しました。これは、10日から17日まで、昨年10月のインド洋に続き、日本の南西諸島周辺で3カ国が共同訓練「マラバール」をすることで、海洋進出を強める中国をけん制をするというものです。さらにこの記事では、昨年までの「マラバール」についても詳細を解説しました。

中国側からすれば、今回の「マラバール」が尖閣列島も含まれる南西諸島周辺で行われること、さらには昨年の「マラバール」の直後には、米国は南シナ海で「航行の自由作戦」を開始しているという事実もあり、当然のことながらこの演習には神経を尖らせているはずです。

ブログ冒頭の記事には、掲載されていませんが、日本政府が中国軍の艦艇がこの水域に入ったことに神経を尖らすには、それなりの理由があります。

その理由とは、その部分をこの記事から以下に引用します。
さて、尖閣といえば、読売新聞は今年の1月12日付で、日本政府が、中国軍艦が尖閣諸島周辺の12海里(22キロメートル)以内の領海に侵入することに備える新たな措置として、国際法上許容されている無害通航権を認めず、すぐに海上警備行動を発令する方針を決めたことが確認されたと報じました。今後、中国軍艦が尖閣諸島周辺12海里以内へ侵犯すれば、海上自衛隊がすぐに現場に投入され、即刻退去を要求することになります。 
現行の国際海洋法条約によると、軍艦を含むすべての船は、その国の平和、安全、秩序などを脅かさない限り、他国の領海を自由に航行できる無害通航権が認められていますが、日本は中国の軍艦に対してこれを認めないことにしたのです。日本政府関係者は、「中国が無害通航権を主張することは、日本の尖閣諸島領有を認めることと同義になる」とし、中国がこれに対して抗議する可能性はないと見ています。 
日本政府がこのような方針転換に乗り出したのは、昨年11月に中国海軍の情報収集船が尖閣諸島周辺の接続水域(陸から24海里以内)を一日かけて東西方向に反復航行するなど、最近になって中国海軍の不審な動きが急激に増えたからです。海上警備行動が発令されると、自衛隊は正当防衛に当たる場合などには、武器を使用できるようになっており、日中海軍間の偶発的な衝突が発生する可能性もあります。日本でこれまで海上警備行動が発令されたのは、1999年に北朝鮮の工作船と推定される船が日本の海岸に姿を現した場合など、3回しかありません。
菅義偉・官房長官は12日の定例記者会見で、「昨年5月に閣議決定している。日本領海で無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対処に関し、海上警備行動を発令し、自衛隊の部隊により退去要求と措置を行うことを基本としている。昨年11月に中国海軍の情報収集艦が尖閣諸島周辺を反復航行した際には、外交ルートを通じた関心を表明をした。具体的な内容については(言及を)控えたい」と述べました。
このように、日本政府は、中国軍艦が尖閣諸島周辺の12海里(22キロメートル)以内の領海に侵入することに備える新たな措置として、国際法上許容されている無害通航権を認めず、すぐに海上警備行動を発令する方針を決めたことと、今月10日から尖閣列島を含む、南西諸島付近で「マラバール」を実行するわけですから、これは中国にとって脅威です。

その直前に中国軍の艦船が、尖閣諸島周辺の接続水域に初めて入ったわけですから、これは当然のことながら、中国側の牽制とみるのが自然です。

ロシアに関しては、情報が少ないので何ともいえませんが、少ない情報の中から考えられることは、かつては旧ソ連との関係が強かったインドが、最近ではアメリカとの関係を強化、さらに日本とも強化し、日米印の共同訓練「マラバール」を日本の南西諸島付近で実行するというのですから、それに対する牽制という意味があるのかもしれません。

さらに、中国は、実際に接続水域に中国の軍艦が入った場合、日本がどのような行動をするのか、試しているというところがあると思います。接続水域に軍艦を派遣しても、日本が抗議をするだけで、実行動を起こさなければ、さらに何度も軍艦を派遣して、いずれ軍艦を派遣するのは当たり前であるかのような状況をつくりだそうとしているのかもしれません。

しかし、現状でも尖閣付近領海を侵犯はしていません。ここを侵犯すれば、中国の艦船が待っているのは、2001年に北朝鮮の工作船が領海侵犯ときのような運命をたどることでしょう。この工作船は、ご存知のように、海上保安庁の船に追跡され、銃撃され最終的には逃げきれないと判断して自爆しました。以下にそのときの顛末が掲載された動画を掲載します。



この時は、相手が不審船であり、軍艦ではなかったので、海上保安庁の巡視船が不審船に対して銃撃をしました。今回は中国は、公船ではなく、軍艦を派遣してきているわけですから、これは当然のことながら、海上自衛隊が対峙することになります。

もし中国が軍艦の派遣を繰り返すなら、当然のことながら、日本も海上自衛隊の護衛艦および潜水艦や対潜哨戒機も派遣することになります。

そうなると、中国は海軍力では日本にはかなり劣っているので、中国側はなす術がなくなります。特に潜水艦の能力と、対潜哨戒能力は日本に比較するとかなり劣っています。もし、領海を侵犯すれば、間違いなく撃沈ということになります。

日本側としては、中国側が領海を1mmでも侵犯したら、すぐに撃沈すべきでしょう。この記事でも、掲載したのですが、中国の軍艦が接続水域を頻繁に航行するようになれば、日本もこれに対抗せざるを得ないことになるでしょう。

いずれにせよ、中国にとっては、このような状況は最も避けたかったことでしょう。中国にとって、一番忌避したいのは、安倍総理が軍事力によって、この海域から中国軍を排除することです。

今後の中国の動きに注目したいです。今後も頻繁に接続水域などに軍艦を派遣するならば、日本の海上自衛隊による南西諸島付近での、「航行の自由作戦」が実行されるようになることでしょう。「マラバール」実施中に、中国が接続水域に軍艦を派遣するようなことでもあれば、海上自衛隊による定期的なパトロールは必ず実施すべきです。

我が国としては、尖閣列島などを中国に実行支配され、南シナ海の環礁のように軍事基地化され、沖縄侵攻のための前進基地などにされてはたまったものではありません。絶対阻止です。

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