[ 高橋洋一「ニュースの深層」 ]
「日経平均1万5000円」も実現できる安倍政権のリスク要因は麻生蔵相ら経済閣僚の「危うい見識」
「日経平均1万5000円」も実現できる安倍政権のリスク要因は麻生蔵相ら経済閣僚の「危うい見識」
[高橋 洋一]
安倍首相の年頭所感は「デフレと円高からの脱却による経済の再生だ」として、経済の他にも教育、外交を立て直す方針を掲げ、「一つ一つ『結果』を出していくことにこだわり続ける」と決意を表明した。
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【私の論評】金融政策の重要性を理解すべし!!それに、共産主義がうまくいかなかったことも銘記すべし!!
増税を決めた三党合意 |
上記の記事、麻生財務大臣に対する批判をしています。しかし、この批判は麻生氏もそうですが、現在の政治家には大部分の人に対する批判でもあると思います。なぜなら、過去20年にもわたって、日本はデフレだったわけで、結局自民、民主、与野党を問わず多くの政治家もこれを放置してきたわけです。それに、デフレの最中であるというのに、自民公の三党合意で増税を決めたのですから、ほとんど全員が経済オンチであったわけです。
安倍総理だって、前回総理だったときには、戦後レジームからの脱却ばかり、前面に押し出して、経済対策は、あまり積極的ではありませんでした。しかし、今回は、経済対策、その中でも、特に金融政策に力を入れていることは評価できると思います。
そういった観点から、上の高橋氏の記事の中から気になる点だけピックアップして、説明させていただきます。
まず、第一点目は、 「90年代以降円高になっているが、輸出は伸びているので、円高は問題でない」ということはなく、外国と比較すれば、円高では輸出は伸びていなかったということです。
これは、日本だけを見ているとわかりませんが、グラフをみると一目瞭然です。やはり、円高では、輸出は伸びにくいというように受け取るべきと思います。
2番目は、やはり、金融政策の軽視は絶対に駄目ということです。これは、マンデル・フレミング効果について、以前のこのブログにも掲載しました。そのURLを以下に掲載します。
【産経・FNN世論調査】増税法案成立後に解散を57%―【私の論評】これから選挙に打って出ようとする人へのアドバイス"次の選挙では、何を争点にすべきか?何を主張する政治グループに属するべきか!!"
詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、マンデル・フレミング効果についてのみ掲載します。
経済では、マンデル・フレミング効果ということがいわれています。開放経済の小国で変動相場制の下では、金融政策は有効ですが、財政政策は無効であるとい うものです。閉鎖経済のケインズ体系であるIS-LMモデルを開放経済に拡張した「マンデル=フレミング・モデル」によって導かれるものです。
マンデル=フレミング・モデルでは、IS-LM分析に国際収支の均衡を表すBP曲線を加えて、「経済政策の有効性」を考えます。
難しいことはさておき、小国で、変動為替相場制の国であれば、経済対策としての財政支出はほとんど効果がなく、金融政策のみが有効であるというものです。日本は、経済的にみて大国ですから財政政策は無効とうことはないですが、それにしても、効かない局面もあるということです。だから、金融政策をないがしろにはできないということです。
それから、最後に気になったは、やはり、「産業育成のためのTARGETING POLICY」ということです。これは、政府が、成長産業分野をみつけだし、後押しするというものです。高橋氏も、「TARGETING POLICYなどは、途上国での幼稚産業育成くらしか当てはまらず、先進国ではほとんどあり得ない政策だ。TARGETING POLICYなどは経産官僚のおもちゃでしかなく、予算獲得のための隠れ蓑である」としています。私も、そう思います。
このことについても、 以前このブログに掲載したことがあります。そのURLを以下に掲載します。
【日本の解き方】あまりにヒドい政府の“日本再生戦略”―【私の論評】今の政府や政治家は、自分の頭の上のハエを追えない人が、他人の世話を焼いているようなもの、自分がやるべきことに専念せよ!!
詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、この記事では、実は、あのノキアが、iPhoneや、iPadとほぼ同じようなものをアップルがこれらを発表する数年前から開発ずみであったものを市場に投入する機会を逸したことを例にあげて、以下のように論評しました。
NokiaのCM、なぜ女性のランジェリーなのか? |
民間企業ですら、このような失敗をすることがあるわけですから、政府が成長する産業を見極めることなどほとんど不可能です。特に自由主義経済下では、そのようなことは誰もわからないというのが事実です。いろいろなタイプの企業が種々様々な工夫をして、その結果いずれかの事業がその時々の市場に適合うして、それが産業として伸びて行くというのが普通です。
スマホは、アップルがiPhoneで、現在の原型をつくりあげ、それを市場に投入しました。これが、たまたま、市場に適合していたため、それが、大ヒットして、今日につながっています。そうして、今では、iPhoneだけではなく、Android携帯なども様々の種類のものが、開発され、一大産業となっています。しかし、その影て、ノキアに限らず、ブルーベーリーその他、失敗しているところたくさんあります。それに、私としては、これら携帯電話に限らず、いまでは完璧に姿を消したPDSだって、電話機能さえつければ、現在のスマホと変わりないものがいくつもありました。
スマホの例でもわかるように、どの産業でも、いくつもの会社が、いくつもの新しい次世代のものを開発しており、そのうちの本の数社、場合によっては、1社だけが、次世代の産業を担って、大きく発展していのです。今日確かにアップルは大成功を収めましたが、何かがどこかで違っていれば、アップルがノキアのような目にあっていたかもしれないのです。
そんな自由主義経済下の競争において、政府が発展する産業を見抜けるわけはありません。政府はもともと、そのようなことをする機関ではありません。城山三郎氏の小説「官僚たちの夏」では、あたかも、通産省が日本の産業を主導してきたような扱いですが、あれは、幻想にすぎません。現実には、通産省主導で行ったことは、何一つ成功していません。大成功したのは、先送り戦術だけです。
この自由主義経済下においては、いくつもの民間企業が、競争環境の中で、その時々で様々な努力をして、その時点ではうまくいくかどうかもわからないですが、数年後には、決着がつくといった具合で、政府が主導で、成長産業を見つけることはほぼ不可能ということです。
共産主義は魅力的にみえたが結局うまくいかなかった!! |
それが可能だと信じて、頑張った国々が過去にありました。そうです。共産主義の国々です。これらの国で、優秀な人が計画経済を立案して、それを実行すれば、成功し国が反映するといわれていましたが、現実はどうなりましたか?
全部破綻して、結局はうまくいかず、今では、共産主義国などなくなりました。だから、 「産業育成のためのTARGETING POLICY」など成り立つわけてがないのです。
TARGETING POLICYがうまくいくのなら共産主義だってうまくいったはず!! |