宮崎県でこんなことに・・・・ 上は、偽装が発覚した瞬間の動画。
農水省がこのほど、九州4県と合同で、10数業者に立ち入り検査を行った。現在も調べが続いているが、業者は偽装を認めているという。 国産ウナギと台湾産ウナギでは、流通段階で1キロ当たり300円から400円の価格差があり、「国産」と偽装するだけで大きな利益を得る。とくに宮崎県は、"東国原効果"もあってか、国産ウナギの産地として急成長しており、全国3位に浮上している。
そうしたなかで、台湾産ウナギの加工品に、東国原知事のイラストが描かれた「宮崎県産シール」を張って売られている疑惑も出ている。このシールは3万円出せば1年間誰でも自由に使えるもので、知事のお墨付きであるシールが「産地偽装ロンダリング」の道具に使われた疑いがあるというものだ。
当の東国原知事は「偽装があるかどうか、まだはっきりしない。事実なら国と連携し対応を取りたい」と以前の勢いはどこへやら。
もし事実なら、偽物を本物と偽って利益を得ている日本の養鰻業者は悪質だが、中国の業者も本物のメーカーから言わせれば悪質極まりないはず。
上は「ハインツの歴史的瞬間」というCMの動画
さて、話は変わって、近代ブランドの話にします。私からいわせると、東国原知事、中国(ここでは、特に中華人民共和国)当局者も著しい勉強不足だということです。
まさに、歴史は繰り返しているのであって、最近の偽装疑惑のようなものは大昔から存在しました。
あまり、詳細と正確にではありませんが、大雑把にでも、近代ブランドの発祥の歴史を紐解けば、判ることです。特に欧米では、産業革命以前は、食料品はほとんどすへで、自分の家の近所から購入していました。牛乳は酪農家に分けてもらうとか、野菜は農家から買うなどしていました。市場があったとしても非常に規模が小さいもので、生産者の顔がわかる範囲のものでした。
しかし、産業革命以後分業化が進み、生産者の顔が見えなくなってきました。その頃、さまざまな偽装がおこりました。品質、数量、生産地、その他ありとあらゆる偽装が起こり、消費者は恐慌状態に陥りました。そのころ、いわゆる食品ブランドがおこりました。ハインツ、マギー、クノール・・・・・・、その他、いわゆる食品の有名ブランドが誕生し、消費者に対して、品質を保証する食品を提供しはじめしました。
消費者は、ブランド商品であれば、品質に問題はないという安心感が得られ、メーカーはその信頼を失わないように努力するという良い関係が構築されました。これは、日本ではいわゆる「暖簾(のれん)」ということです。
暖簾やブランドは、もともとそうしたものです。日本国内では、古くから暖簾という考え方が発展していたので、近代ブランドという意味では、明治からということになりますが、暖簾という考え方であれば、欧米諸国よりずっと古くから、同じような考え方を持っています。
現代、経営学などでブランドに関して、小難しい理論などをあげていますが、その基本的考え方は日本に古からある暖簾とほぼ同じです。ただし、ブランド戦略などといって、たとえば、従業員に対して「あなたは何のために働いているんですか」と問われて、「ブランドを守るため」と自発的にこたえさせるように教育するなどは、最近では欧米の方が日本企業より優れているかもしれません。現在の日本企業は暖簾の考え方を忘れているのかもしれません。
近代ブランドの考えたにせよ、暖簾の考えかたにせよ、東国原知事も、中国も酷い勉強不足かもしれません。もし、東国原知事が自分の似顔絵まで、印刷されてた「宮崎産シール」を、こうしたブランドや「暖簾」と同等に考えていたら、業者の善意だけに頼るなどということはしたでしょうか?近代ブランドを持つ会社は、他の会社が生産したものに自社ブランドをつけて、販売することにでもなれば、信頼性は必ずチェックするはずです。老舗の日本のお店(たな)でも、暖簾分けということになれば、長年自分の手許で働いてきた、信頼のおける者にしか分け与えなかったはずです。
中国にいたっては、食品ブランドという考え方が欠如しているのではないかと思います。中国といっても、大きな国で各県が一つの国のようでもあります。全部の県の食品が全部だめなのでしょうか?いや、同じ県でも、地区によって、あるいは、企業によって、あるい同じ企業の中でも生産工場によって違うのではないでしょうか。今、中国製品の対して、日本国内では、ちょうど欧米の近代ブランドが発祥したときと同じような、恐慌と混乱が起きています。中国でもキチンと近代ブランドを構築し、そのブランドであれば、安全性に問題はないとの、認識を日本の消費者にも植え付け、まっとうな商売をする時期になっていると思います。