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2018年1月27日土曜日

韓国は在韓邦人を「人間の盾」にするつもりかもしれない―【私の論評】日米の対北対応について、韓国は蚊帳の外に置かれることになる(゚д゚)!

韓国は在韓邦人を「人間の盾」にするつもりかもしれない

有事の自衛隊受け入れを認めないのなら

長谷川 幸洋 ジャーナリスト 東京新聞・中日新聞論説委員 プロフィール

北の思惑通りに動く韓国

安倍晋三首相が平昌五輪の開会式に出席するため、韓国を訪問する。訪韓に反対意見も強かった中、何が首相の背中を押したのか。五輪後の朝鮮半島情勢を睨んで、在韓邦人の退避問題が重要案件になっていたからではないか。

安倍首相の開会式出席をめぐっては、自民党内に出席を促す声もあった一方、文在寅(ムン・ジェイン)政権が慰安婦問題を事実上、見直す考えを表明したのを受けて「首相は出席を見合わせるべきだ」という意見が強まっていた。

2015年12月の日韓合意後、日本側は韓国が設立した「和解・癒やし財団」に約束した10億円をすでに拠出したが、韓国側は在韓日本大使館前に置かれた慰安婦像を撤去していない。約束したような撤去する努力も見えない。

それどころか、釜山の日本総領事館前に新たな慰安婦像が置かれるありさまだ。韓国ではバスの中にも慰安婦像が置かれる異様な事態になっている。にもかかわらず、文政権は安倍首相に対して、新たな謝罪の手紙を書くよう求めた。

一方、北朝鮮に対して文政権は宥和路線に走っている。1月17日に開かれた南北次官級会談では、女子アイスホッケーの合同チーム結成、開会式での合同入場行進、北朝鮮の応援団・芸術団派遣、北朝鮮のスキー場で合同練習実施などで合意した。

このうち、女子アイスホッケーの合同チームは国際五輪委員会(IOC)と韓国、北朝鮮の五輪委員会、平昌五輪組織委員会の会議でチームの登録人数を北朝鮮12人、韓国23人の計35人とした。試合に出るのは22人だが、その中に北朝鮮選手が3人入る。

他の国は登録選手の上限が規定通りの23人なので、あきらかに優遇だ。登録選手が増えれば、それだけ疲労回復面で有利になる。IOCのバッハ会長は「五輪精神が双方にもたされる素晴らしい日」などと言っているが、ルール無視もいいところである。

さらに、韓国の康京和外相はカナダで開かれた北朝鮮問題をめぐる外相会議で、北への人道支援再開を繰り返し訴えた。日米などが強く反対して議長声明には盛り込まれなかったが、北の宥和路線は一段と鮮明になっている。

日本に対する慰安婦合意の追加要求と北朝鮮に対する宥和強化は「セット」になっているとみていい。北朝鮮から見れば、いずれも日米韓の北包囲網から韓国を引き剥がす効果がある。文政権はそんな北朝鮮の思惑にぴったり沿って行動しているのだ。

在韓邦人は退避できるのか?

文政権について、私はかねて「中国とロシアの手先」と指摘してきた(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52283)。「米韓合同軍事演習と核・ミサイル開発の同時凍結」という中ロの主張を最初に言い出したのが文政権だったからだ。つまり「中ロの露払い役」を担っていた。

ここへきて、文政権は中ロへの肩入れにとどまらず、北に直接接近する意図を隠さなくなった。それだけ緊張が増してきたからだ。そんな姿勢に「韓国は本当に北朝鮮を押さえ込んで、核とミサイルを断念させるつもりがあるのか」という疑念が高まっている。

米国のトランプ政権は平昌五輪・パラリンピック期間中の軍事行動停止に同意した。だが、その後の米韓合同軍事演習は実施する構えだ。一部には「演習からそのまま実戦に移行するのではないか」という観測も出ている。

パラリンピックが終わる3月18日以降は、何が起きてもおかしくない状況と言える。文政権はあくまで宥和路線に固執するなら「韓国は演習に参加しない」と言い出す可能性さえあるかもしれない。軍事力行使のブレーキ役を目指しているのは間違いない。

そんな韓国に日本はどう対応すべきか。いまや焦眉の課題になったのは、ソウルをはじめ韓国各地に在留している日本人の退避問題である。

日本政府は有事となれば、自衛隊を動員して約6万人とも言われる在韓邦人を日本に退避させる方針だ。

ところが、韓国側は自衛隊の韓国上陸や港への自衛艦接岸を容認していない(1月16日付読売新聞、http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180115-118-OYT1T50129/newstop)。

どちらの側に立つのか

安倍首相は開会式出席に合わせて日韓首脳会談を求める方針だ。

産経新聞のインタビューで、首相は「在韓邦人の安全を守るためにも日韓の協力が不可欠」と語っている(http://www.sankei.com/politics/news/180124/plt1801240006-n2.html)。この一言が物語るように、安倍首相は首脳会談で慰安婦問題で日本の毅然とした態度を伝えるのは当然として、文大統領に直接、有事の自衛隊受け入れを求めるだろう。

これは文政権の姿勢を占うリトマス試験紙にもなる。試されるのは、韓国は日米の側に立つのか、それとも北朝鮮の側に立つのか、だ。もしも文政権が日本の要請を断るなら事実上、日本人を「人間の盾」として使う思惑があるとみていいのではないか。

北朝鮮は米国が攻撃すれば、報復で「ソウルを火の海にする」と公言している。日本人が退避していなければ、米国が攻撃をためらう理由になる。つまり、在韓邦人の存在が米国の攻撃をけん制する効果がある。文政権はそこを狙っているかもしれない。

もう1点。安倍首相が首脳会談で日本人退避問題を取り上げれば、北朝鮮と韓国に対するけん制にもなる。日本人の退避が議題になるのは、まさしく有事を前提にしているからにほかならない。つまり「米国は本気だぞ」というメッセージになるのだ。

同時に、安倍首相のメッセージは文政権の親北容共体質を考えれば、水面下で北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長にそのまま伝わる可能性もある。今回の首相訪韓は、それも織り込んだうえでの決断だったかもしれない。いわば「最後通牒」だ。

韓国は北朝鮮包囲網の一員として、もはや完全には信頼できない。今回の首相訪韓は五輪後に迎える危機本番を前に、文政権の本質を見極める絶好のチャンスである。以上の点から考えれば、慰安婦問題を理由に訪韓を見送るのは必ずしも得策とは言えない。

最後に一言。もしも私がいま韓国駐在の立場だったら、政府の支援を受ける前に、家族のために五輪・パラリンピック後の帰国航空便のチケットを予約する。事が動き始めてからでは遅い。

【私の論評】日米の対北対応について、韓国は蚊帳の外に置かれることになる(゚д゚)!

上の記事、要約すると、分在寅は在韓邦人の存在が米国の攻撃をけん制する効果があると考えており、在韓邦人を「人間の盾」にするつもりであるようなので、それを安倍総理は防ぐために、平昌五輪に参加する意向を決めたということです。

映画「マッドマックス・怒りのデスロード」にでてきた人間の楯
そうして、日韓の間で、日本人の退避が議題になることは、まさしく有事を前提にしているからにほかならないことを示すわけで。これは、「米国は本気だぞ」という北朝鮮へのメッセージになるということです。

昨日も、安倍総理が平昌に行く理由を掲載しまし、背後にはトランプ大統領による韓国の対北融和姿勢を打ち砕くため、踏み込んだ決断をしたと結論しました。そうして、そのような決断をするに至った韓国の対北への融和的姿勢について述べました。

しかし、その融和的姿勢の中に在韓邦人を「人間の楯」にすることまでは掲載しませんでした。

そもそも、文在寅が在韓邦人を「人間の楯」にするという考え方は、なかなか考えにくいです。普通の人なら、在韓邦人を「人間の楯」にしたとして、何になるのかと考えてしまいます。たとえ、「人間の楯」にしたとしても、金正恩には全く関係ないと思ってしまうと思います。

しかし、その考えは、そもそも韓国が日米と同じ位置にいると考えているから、そうなるのであって、文は「在韓邦人」を、北を米国の攻撃から守るための楯にしようと考えているということなのですから、もうこれは驚天動地の大異変としか思えないです。

トランプ大統領もまさか、米国が北に攻撃するなどの緊急事態になれば、自衛隊が韓国の領土に一時的に入り、邦人を救出にあたることくらいは韓国は認めるだろうと思っていたのでしょうが、そうではないことを知り愕然としたに違いありません。

トランプ氏としては、以下の図ような日米共同での在韓米・邦人の退避のイメージもあったと思うのですが、これが韓国のおかげでできなくなるのです。


たとえ、「日韓合意」などで韓国がこれに対する新方針を決めるなどしていたにしても、トランプ大統領からすれば、北の脅威に対抗することと、これとは別次元の問題であると考えているところに、「人間の楯」問題が浮上して、文在寅のとんでもない意図を感じ取り、文在寅の対北融和的な態度の異常さに目覚めたのでしょう。

そうして、北と韓国との融和の象徴のようになったオリンピックの開会式の前々日に、トランプ大統領は中韓に対して、通商法201条に基づく緊急輸入制限(セーフガード)を発動することにしたのです。

中韓ともに、北に対しては融和的であるため、トランプ大統領はこの措置に踏み切ったのでしょうが、北の融和的な態度のほうが、より危機的とみたトランプ大統領は、自らの考えを良く理解している安倍総理を韓国に対する最後通牒を告げる役割として選んだのでしょう。

本来なら、自らこれを実行したいとも思ったでしょうが、外交経験もほとんどなく、韓国情勢についても、さほど詳しくない自分が、この重要な役割を担えば、言質をとられかねないと考え、満を持して、この役割を安倍総理に託したのでしょう。

ただし、マイク・ペンス副大統領も今回の交渉に安倍総理とともに臨むということで、安倍総理が交渉をやりやすくしたのだと思います。

ペンス副大統領
そうして、今回のオリンピックに安倍総理とペンス副大統領が参加し、文在寅に最後通牒を言い渡すとともに、オリンピック終了後も韓国が対北融和的な態度を改めなかった場合には、その後は韓国を外して日米の強力な協同のもとに北の脅威にあたることになるでしょう。そうして、その可能性はかなり高いです。

その後韓国は日米の対北対応について、韓国は蚊帳の外に置かれることになります。それは仕方のないことです。日米韓で対北対応をすれば、日米の動きは韓国を通じて金正恩に筒抜けになるからです。

そうして、米国が北を攻撃するときには、韓国には事前に伝えることなく、攻撃を始めるでしょう。韓国へは事後通知ということになるでしょう。そうして、北朝鮮と交戦中にも、日米の動きは韓国には知らされず、完璧に蚊帳の外に置かれることになるでしょう。

米軍は、これから韓国と共同訓練もしなくなるかもしれません。そうなれば、米軍による北朝鮮への攻撃は本番に限りなく近づいたとみなすべきでしょう。

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