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2015年2月23日月曜日

高橋洋一「ニュースの深層」「ピケティ格差解説」TV番組に出たら、出演者がみんな「所得トップ1%に入る年収」だった―【私の論評】ピケティ氏の理論を精査せず鵜呑みにすれば、ただブームにのる脳味噌のうっすいバカの展覧会の展示物になるだけと心得よ(゚д゚)!

高橋洋一「ニュースの深層」「ピケティ格差解説」TV番組に出たら、出演者がみんな「所得トップ1%に入る年収」だった


先週土曜日(21日)、面白い体験をした。その日は、たまたま2件、テレビとラジオの出演があった。ともに、格差問題で、ピケティ本に関する話だった。筆者が、ピケティ本の解説本(『【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める! 』http://www.amazon.co.jp/dp/4860637402/)を書いているから、お呼びがあったのだろう。

テレビはBS朝日『Live Nippon』(18:54~20:52)でテーマは「景気回復は本当か?格差問題は?」、ラジオはJ-WAVE『Prime Facto』(21:00-24:00)でテーマは「もしアイドルがピケティを読んだら?」だった。

BS朝日では、最近の格差拡大を意味する以下の図がでてきた。



これをベースにして、トップ1%の人のシェアが最近拡大しているという話だ。実は、ピケティ本の各国の格差のデータは、上の図の引用元のWorld Top Incomes Database(http://topincomes.parisschoolofeconomics.eu/#Database:)からのモノが多い。

土曜日のBS朝日では、おそらく出演者どころか、番組関係者の誰もピケティ本をきちんと読んでいなかったようだ。

それにもかかわらず、上の図で、まあいいたいことをみんな言っていた。

時間が許せば、ピケティ本でのトップ所得のシェアというのは、トップ所得者の所得が国民所得に占める比率であること、例えば、トップ1%は20歳以上の人口の中で所得が上位1%に相当する個人だ、といいたかった。しかし、そうした時間はテレビでないので、日本でトップ1%とは年収いくらなのかについて、年収1300万円とだけ言った。

そうしたら、出演者すべて、さらにはスタジオの多くの人が自分はトップ1%だと認識したようだ。

トップ10%に入る年収は576万円

男性の解説者が何か関係のない話にふったので、そのままスルーした。ただし、事前の進行では、富裕税の話が強調される感じだが、その勢いがそがれたみたいだった。

ラジオでも同じ話をした。ところが、ラジオでは担当者もトップ1%に入っていないといい、スタジオでは「へー、そーなんだ」という驚きはあったが、テレビとは違う反応だった。

トップ1%が年収1300万円というのを、正確に言おう。先のWorld Top Incomes DatabaseのJapanのところをみれば簡単に数字は出てくる。トップ1%の年収は1280万円。ついでに、トップ10%、トップ0.1%、トップ0.01%の年収はそれぞれ576万円、3261万円、8057万円だ(いずれも2010年)。

BS朝日の出演者は、トップ1%を3000万円くらいと思っていたのかもしれない。マスコミが高給取りというだけではなく、ピケティ本という学術書の性格を知らないことも理由かもしれない。というのは、トップ1%は20歳以上の人口の中で所得が上位1%に相当する個人だ、とテレビではいえなかったことを書いたが、働かないで所得のない人も含めた上で、その1%なのだ。給料をもらっている人の中での1%ではないのだ。

ピケティ本のように、すべての人の所得分布を表す日本の統計もある。厚労省による所得再配分調査は、世帯の所得分布と等価所得という個人ベースの所得分布について所得再分配前後のデータがある。以下の図は、等価所得の所得再配分前の所得分布だ。



最高税率は先進国で最高水準

他の統計では、給与をもらっている人の中でトップ何%なのかというデータが多い。例えば、国税庁の民間給与実態統計調査は、毎年出されている統計でしばしば利用されるが、これは給与をもらっている人しか調べていない(下図)



これによれば、トップ1%は年収1500万円、トップ4%で年収1000万円である。ただし、いずれの統計でも、マスコミやそこに出演する多くの人はトップ1%に入っているだろう。

格差問題について、マスコミで議論すると、ほぼ格差を是正すべきという論調になる。もちろん、筆者も所得再分配をある程度は行うべきと考えている。ただし、それはあくまで海外と比較しながらである。日本の格差は、米英のアングロサクソン国に比べれば、たいしたことなく、高齢化でも説明出来る程度だ。

ピケティ本を見ると、格差是正のための所得税や相続税について、それぞれ最高税率の推移について各国のものが出ているが、日本は図に書かれていない。そこで、筆者の解説本では、日本の最高税率推移を書いておいた。特に、2015年から所得税と相続税の最高税率は先進国の中では最高水準である。

こうした海外事情にもかかわらず、所得税や相続税の最高税率をさらに引き上げるのは、あまり賢い選択ではない。

テレビでは格差問題の議論は綺麗事すぎてつまらない。何しろ議論している人のすべてがトップ1%なのに、そろいもそろって金持ちから増税、格差是正といったら、テレビ視聴者から見れば片腹痛しだ。しかも、自分が増税対象だとわかると、ひるむようでは視聴者に見透かされるだろう。

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】ピケティ氏の理論を精査せず鵜呑みにすれば、ただブームにのる脳味噌のうっすいバカの展覧会の展示物になるだけと心得よ(゚д゚)!

この番組私もたまたま視聴しました。この番組を視聴した私にとっては、上の内容はかなり理解しやすいのですが、視聴しなかった人にとっては、理解しにくい面もあるかと思いますので、以下に若干説明したいと思います。

要するに、ピケティのいう年収トップ1%とは、20歳以上の人で、働いていなくて所得がない人、たとえば大学生や、定年退職した人も含めての20歳以上の人口の中で所得が上位1%に相当する個人ということです。さらに、それを職業としている人は別にして、株式投資とか、他の間接投資などで儲けたお金は所得とはいいません。

ということは、年収一千万を超えれば、上位1%に入る可能性が非常に高いわけです。

しかし、一般の人そうして、この番組に出演していた人たちも、そのことを理解せず、自分たちはピケティのいう所得上位1%にはあてはまっていないと誤って認識して、当然のこととして格差是正のため富裕税などをもうけるべきと主張しがちであることを諌めているわけです。

そもそも、欧米ではこのことは十分理解されていて、それでかなりの物議をかもしたわけです。そうして、反対する人もかなり多かったのです。

しかし、日本ではなぜかあまり物議が醸されることもなく、何やらピケティの理論がすんなりというか、当たり前であり、あっさり何の吟味もされず受けいられられ、それをもとにして格差問題が議論されていることに警鐘を鳴らしているのです。

私も、これに関してはこのブログで、結構はやい時期に警鐘を鳴らしました。その記事のURLを以下に掲載します。
ピケティ氏の陰鬱な「資本論」 ウォール街に警戒―【私の論評】日本はピケティ氏からみれば、理想の国! 余計なことをせず、デフレから脱却しさえすれば日本が世界で一番繁栄する国となるだろう(゚д゚)!
トマス・ピケティ氏

高橋洋一氏も述べているように、日本の格差は、一般にマスコミや左派勢力が喧伝しているように、とんでもない酷い格差というほどではく、米英のアングロサクソン国に比べれば、たいしたことなく、高齢化でも説明出来る程度のものです。要するに、高齢化すれば、資産は増えるのが当たり前で、資産を持たない若者と高齢者の間で格差を生じるのはある程度は、当然といえば当然です。

また、左派系などの語る格差問題で大きく見逃されているのは、デフレです。デフレを放置しておけば、そもそも雇用が悪化して格差が大きくなるのは当たり前であり、まずはデフレを解消しないことには、格差がどうのこうの語ってもはじまらないわけです。

そうして、高橋洋一氏も所得再分配をある程度は行うべきとしています。私もそう思います。

特に、デフレの真っ最中や、現状のように昨年4月の8%増税の悪影響があり、追加金融緩和の時期があまに遅すぎて本格的に効果があらわれるにはもうすこしたってからという状況で、しかも公共工事の供給制約がある現状においては、減税や、給付金政策、それも再配分的な政策が必要不可欠であることをこのブログにおいてもかねて主張してきました。

しかし、このような問題と、ピケティ本に影響されて、日本の状況を良く考えもしないで、富裕税をすぐに導入すべきなどいう主張は間違いです。特に、2015年からは、所得税と相続税の最高税率は先進国の中では最高水準にあります。にもかかわらず、格差是正のために所得税や相続税の最高税率をさらに引き上げよと単純に主張するのは間違いです。

そんなことをすれば、年収1千万を少し超えた程度の人にも、税金がさらに賦課され、富裕層は海外に国籍を移し、相続税の減税をしようとし、お金が海外に逃げるだけです。

それにしても、マスコミや評論家など、このあたりをほとんど理解しないで経済を語っています。それに左派など、ピケティ氏の理論を変な方向にもっていき、それで安倍総理を非難しようした動きもありました。

さらに、反リフレ派など、ピケティ氏の理論を変な方向に展開させ、アベノミクスが無効であるとの主張の根拠にしようとした動きさえあります。

増税派も、何とかこのピケティ氏の理論をあらぬ方向に展開させ、増税の正当化を図ろうとしました。

それに関しは、以前のこのブログにも掲載したことがあります。
ピケティ氏、消費増税に「ノー」 都内の討論会で発言―【私の論評】ピケティ氏の理論を利用して増税推進を正当化してみたり、イスラーム国人質事件で政府批判をする輩は、私達の生活を実質的に脅かす者共であると自覚せよ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとしして。このような危惧は、経済学者の田中秀臣氏も、ピケティ氏の理論のおかしげな展開に関する危惧を先月ツイートしていて、この記事にも掲載したのですが、以下に再掲させていただきます。


まったく田中秀臣氏の言うとおりです。

テレビなどても、高橋氏や田中氏が指摘するように、浅薄な論議がなされています。この浅薄さが、マスコミを増税キャンペーンなどに駆り立てさせたのかもしれません。

そもそも、給料が高ければ、多少税金があがったとしても、痛くも痒くもありません。マスコミは、自分たちが富裕層であると認識しなければ、これからどんどん衰退し敗退し、いずれ、テレビも新聞もラジオ程度のメディアになると思います。その危機は、もう迫っています。気づかないのは当のマスコミの人間だけかもしれません。これについては、以前このブログにも掲載した事があるので、以下にその記事のURLを掲載します。
“テレビ画面“を奪い合う、戦争が始まる ネットフリックスの衝撃。テレビ局の猶予はあと5年だ テレビの「今、目の前にある危機」―【私の論評】どんなメディアであっても、ユーザーからそっぽを向かれれば、存立の基盤がなくなるという危機感がなければ、容易に腐敗する!その一旦は間違いなく、私達も担っていると心得よ(゚д゚)!


詳細はこの記事をご覧いただくものとして、ネトフリックスが日本に進出してくれば、テレビ局はとんでもないことです。

いずれにしても、テレビは、高給をもらって、浅薄な判断で反日、増税キャンペーンを繰り返しています。このような、メディアがいつまでも隆盛を極めることなどないと思います。私は、おそらく今のままのテレビ局も、ある程度残るには、残るとは思いますが、現状のラジオ局並みのメディアになると思います。その日は案外近いと思います。

それにしても、テレビ局にかぎらず、ピケティ氏の理論はきっちり精査すべきと思います。外国と日本との違いなど無視して、!鵜呑みにすれば、田中氏が指摘しているように、ただブームにのるだけの脳味噌のうっすいバカの展覧会の展示物になるだけと心得るべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年9月10日水曜日

年収と幸せは比例しない!? 年収600万円でも不幸だと嘆くサラリーマンの実像-【私の論評】ちょっと待ってくれ、高収入でも幸せになれなくなっのは、長引くデフレのせいではないのかい(゚д゚)!

年収と幸せは比例しない!? 年収600万円でも不幸だと嘆くサラリーマンの実像

苦悩するサラリーマン

まったく増える気配のないボクらの年収。吐き気がするほどの薄給に嫌気がさしている人も多いだろうが、一方で、「年収が高ければ高いほど幸せというわけではない」という考え方もある。

身を粉にして働き、やっと手にした「そこそこな年収」が、なぜ幸せと直結しないのか? 経済ジャーナリストの木暮太一氏はこう解説する。

「商品に原価があるように労働にもコストがあり、『商品=利益』ではありません。あくまでも所得は売り上げ、それを得るためにかけた『肉体的・精神的コスト』をマイナスにしなくてはならない。いくら高年収でも激務でコストが甚大になった結果、それが赤字ならば、幸せになれるはずがありません」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

9/9に発売された週刊SPA!に掲載されている特集『[年収400万円の幸せ]と[年収600万円の不幸]の境界線』では、上記のような「そこそこな年収でも不幸だと嘆く人々」だけでなく、「年収400万円でも幸せと断言する人々」が多数登場。決して強がりではない「年収400万円」の幸せも克明にリポートしている。

また、「最も幸福度の高い年収はいくらなのか?」「年収400万円でも幸せに生きる方法」にも言及。ボクらの年収にまつわる悲喜こもごもを大特集している。 <取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>

【私の論評】ちょっと待ってくれ、高収入でも幸せになれなくなっのは、長引くデフレのせいではないのかい(゚д゚)!

どの機関が調査したのか、また詳しい内容も忘れてしまいました。数年前に、あるアメリカの機関が、年収が増えると幸福感が増すのは、どのくらいの水準までか、という調査を行っていました。

その結果わかったのが、年収600万くらいまでは、大多数の人が年収が増えると、それに比例して幸福感を感じるのだそうですが、それを超えるとそうではなくなるということでした。

それを思うと上の記事で、600万円を境にしてものを語っているのは、それなりに信憑性があると思います。

最盛期には、アメリカをも上まわっていた時期もあったのですが、今や、日本は年収がそれほど高い国ではなくなりました。

年々下がり続けるサラリーマンの年収。だが、600万を超えても幸福感を感じられない人もいる。


しかし、それにしても、世界水準では、600万円以上では、年収が増えても、それに比例して幸福感を感じないというだけで、不幸だと感じるわけではないと思います。

上の記事では、以下のようなことが言われています。

「商品に原価があるように労働にもコストがあり、『商品=利益』ではありません。あくまでも所得は売り上げ、それを得るためにかけた『肉体的・精神的コスト』をマイナスにしなくてはならない。いくら高年収でも激務でコストが甚大になった結果、それが赤字ならば、幸せになれるはずがありません」

要するに、所得が600万円を超えても、『肉体的・精神的コスト』があまりに大きく、これが所得があったとしも正味ではマイナスにならなければ、幸せとはいえないということです。

別の言い方をすると、年収が少なくとも、『肉体的・精神的コスト』があまりに大きくなければ、正味ではプラスになり、幸せを感じるということだと思います。

年収が高くても、肉体的・精神的コストを計算に入れると・・・・

日本の場合は、このコストが大きく、所得が600万円を超えても、幸せに感じられないどころか、不幸に感じるということだと思います。これに関しては、現実にそうなのかは、先の調査結果くらいしかないので、本当に大多数の人がそうなのかということはわかりません。

しかし、これが仮に正しいものとして推論を進めます。

では、なぜこのようなことになっているのでしょう。

個々人の心がけが悪いのでしょうか。会社が悪いのでしょうか。上の記事では、その答えはありません。



私は、ここで、マクロ的な観点からこれに答えを出していこうと思います。結論からいえば、やはりデフレがその根本原因です。

実体経済と、人々の幸福感にはある程度の相関関係があります。それが全部とはいいませんが、やはりデフレという異常状態は、社会に悪影響を与えるのは、はっきりしていまます。

私がなぜ、そのような結論を出したのか、その元となる情報を以下に示します。それは、過去のこのブログの記事です。そのURLを以下に掲載します。
インフレのある暮らし - 15年ぶりの1ドル80円時代に思うこと―【私の論評】「インフレっていいものですよ!!」は、本当だ!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は、2012年8月16日のものであり、約2年前のものです。この頃は、白川体制であった、日銀の金融政策が良くなかったため、日本は超円高であり、デフレスパイラルの泥沼に深くはまっていました。

米国はゆるやかな3%程度の、インフレ状況でした。この論評記事の元記事となった、ブログを書いている人は、アメリカのシリコンバレーに長らく生活している邦人女性です。

この方は、あまり経済にも詳しくない方のようですが、実体験から当時のアメリカと日本の違いを述べているため、日本の怪しげな、似非識者などより、よほど真実に迫っています。

アメリカン・ドリームもゆるやかなインフレでは、成立するが、デフレ下では全く無理

この記事では、もともと論評のもとになる記事の引用部分がほとんどないので、インフレに関する部分のみ以下に引用させていただきます。
さて、アメリカの方のインフレも年間3%くらいでしかないのだが、それでも15年たつとモノの値段が5割高になる。これはつまり、去年と今年の値段の差は誤差の範囲だが、10年、20年たつと目に見えて高くなる、というレベル。 
経済の教科書的に、インフレとデフレの消費者行動の違いは、
・インフレ=借金してでも買おう(将来買おうと思ったらもっと高くなる)
・デフレ=買い控えて現金で持っていよう(将来もっと安くなるから)
ということなのだが、いや、これ、自分個人の心理的に見て本当。
インフレというと響きが嫌な感じだが、中にいる実感としては 
「パイが大きくなっていく」 
という感じ。減少していくパイを奪い合わなくても、平均的なことをしていれば15年で5割増なわけです。心証的には「将来は高くなるから今のうちに買っておこう」という打算的な感じより、「この先もっとよくなるから安心して今買いましょう」という感じが強い。
「幻想だ!勘違いだ!」 
と思う人もいるかもしれない。 
でも、住んでいる人の多くが「今後も価値が上がっていく」と信じれば、消費行動が促進され景気が良くなる。そういう幻想を与えるのも政治の役目。(もちろん、ハイパーインフレは駄目ですが)。
これを読んでも、デフレ脳におかされている人たちは、ピンとこないと思いまます。

だから、私が注釈をいれておきます。この著者は、「アメリカの方のインフレも年間3%くらいでしかないのだが、それでも15年たつとモノの値段が5割高になる。これはつまり、去年と今年の値段の差は誤差の範囲だが、10年、20年たつと目に見えて高くなる、というレベル」と書いています。

これは、物価のみしか書かれていません。そうです。給料の話が書かれていません。

では、給料はどうなっていたかといえば、5割以上伸びていたわけで、5割よりも伸びた分は、経済成長によるものです。

この時期のアメリカは、無論リーマン・ショックなどがあったりして、一様ではありませんでしたが、長いスパンでみると、物価は倍、給料も倍以上になっていました。倍以上どころか、インフレ分を差し引いても、給料は1.5倍くらいになっていました。

いや、これはアメリカだけではなく、EUも国や期間によって、多少凸凹はありますが、総じて平均してならしてしまえば、そのようなものでした。

緩やかなインフレの時期には、物価は上がるものの、給料もそれ以上に上がっていくというのが普通です。

しかし、日本は、主に日銀の金融政策がまずすぎて、どんな時にも、金融引締めを実行するという愚かな真似をしていたので、デフレに陥り、物価は下がり、給料も下がるという事態が続いていました。

これを聴くとデフレ脳に侵された人々は、なかなか信じないでしょうが、事実です。日本以外のデフレ以外の国々では、過去20年間は、物価は2倍、賃金はインフレ部分を相殺して実質で1.5倍になっていました。

デフレ脳におかされた人には、この賃金が実質1.5倍の意味も良くわからなくなっている可能性があるので、これも説明させていただきます。

実質1.5倍とは、仮にある会社に就職したとして、なかなか能力が伴わなくて、職位があがらず、そのまま同じ地位にいたとしても、15年から20年で給料が1.5倍になったということです。

ということは、職位が上がれば、さらに給料が上がるということです。

自分が、同じ職位についていたとしても、余程のことが無い限り、15年から20年もすれば、給料が倍になると見込める社会と、そうではないない社会とでは、どちらが幸福感を感じやすいかといえば、はっきりしています。同じ職位についていて、実質1.5倍になる社会のほうが良いに決まっています。

その差は、どこから出てきているかといえば、緩やかなインフレと、デフレの違いです。

これは、日本でもある程度の年配の方々に聴いてみればすぐにわかることです。バブル崩壊以前に退職した方などは、緩やかなインフレ時代に職業人として生きていたので、まさに物価が上がるのはあたり前で、15年もすれば物価は倍、給料は1.5倍以上だったでしょう。

それに、日本では、10年で所得が倍増などという時期もありました。それは、池田総理大臣のときに、実施された所得倍増計画が実施されたときです。

国会で演説する池田勇人氏

池田勇人氏について、倉山満氏は以下のようなツイートをしています。
この時は、おおまかにいうと、インフレ政策と、積極財政により、10年を待たずして、本当に国民の所得は倍増しました。デフレであっては、絶対にできない計画でした。

たとえ、貧乏だったにしても、将来は余程のことが無い限り、給料が上がり続けることを無邪気に信じられる社会と、今のような賃金が変わらないか下手をすれば下がるかもしれないということで、八方塞がりになる社会とどちらが良いのでしょうか。

それは、前者が良いに決まっています。今は、デフレで後者のような事態に陥っているからこそ、このブログ冒頭記事にもあるように、年収600万円でも不幸だと嘆くサラリーマンが増えているのです。

それだけに及ばず、デフレで経済が疲弊しているからこそ、せっかく上記のように池田隼人政権により、ソ連の間接侵略の芽を摘むことが出来たのですが、今度はそれに変わって、中韓が間接侵略をしかけてきているのです。

デフレという魔物は、単なるマクロ経済学上の現象というだけではなく、人々の日々の生活に影を落とし、安全保障上の問題もひきおこすなど、私達の日々の生活に悪影響を着実に及ぼしています。

これを考えると、まずは、デフレ脱却が日本における最優先課題であることが良く理解できます。

ある程度年収があっても幸福感がないのは、すべてデフレのためというわけではありませんが、かなり大きな影響を与えているということは否定できない現実です。

それに、これを理解すれば、自分や自分の周りの人たちが、不幸なのは自分だけの責任ではないということを知れば、心理的にはかなり楽になると思います。

貧しい国々で、貧乏な人たちが意外と幸せなのは、少なとくも貧困の原因が自分たちではないことを知っているからです。しかし、日本だと、貧困や仕事上のストレスなど、自己責任にしてしまう人が増えているようで、これでは、とても辛いことだと思います。

そうして、幸福感を感じられない、サラリーマン諸兄もただ投げているばかりではなく、少しは経済・政治・社会にも関心をもって、選挙のときなどは、デフレ脳の政治家には投票しないなどの実行動をしていくべきです。また、世論形成などにも踏み込んでいくべきとも思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年9月1日月曜日

40歳未満の非正規社員57%が「自活できない」 9割が年収「300万円未満」-【私の論評】ちょっとまってくれ、非正規社員の多くが自活できないのは、デフレのせいではないのかい!朝日新聞をはじめとするメデイアの虚偽報道によって創作されたもう一つの歴史問題に注目せよ(゚д゚)!

40歳未満の非正規社員57%が「自活できない」 9割が年収「300万円未満」

若者の無限地獄はまだまだ続く?


正規雇用で働いた経験がない40歳未満の非正規社員の57・1%が低収入のため自活できず、生活費の大半を同居家族らに頼っていることが、求人広告会社アイデムのアンケートで31日、分かった。

調査は2月にインターネット上で実施し、1527人が回答。

23~39歳の働く未婚男女に「生活費」を主に誰が出しているかを聞いたところ、「家族など自分以外の人が大部分、または全部を出している」と答えた割合は、最初の就職から現在まで正社員の人が29・3%だったのに、正社員経験のない非正規社員では57・1%に上った。

また、非正規社員の90・9%は平成25年の年収が「300万円未満」だったと回答。59・9%が「将来的には正規雇用で働きたい」と答えた。

【私の論評】ちょっとまってくれ、非正規社員の多くが自活できないのは、デフレのせいではないのかい!朝日新聞をはじめとするメデイアの虚偽報道によって創作されたもう一つの歴史問題に注目せよ(゚д゚)!

一昨日、昨日と結局雇用問題、特に若者の雇用問題について掲載しました。結局本日もその話題を掲載しようと思います。

どうして、そうするかといえば、現在メディアでは、朝日新聞の虚偽報道が巷を賑わせていますが、もう一つの大きな虚偽報道がほとんど問題とされず、これがもうすでに、新たな歴史問題となっています。

このブログでは、昨日は、サポステの実態が酷いことと、その根本要因は、長く続くデフレであることを掲載しました。

昨日は、多くの若者にとって、貯金と経験はトレードオフの関係になってしまったことと、その根本原因はやはりデフレであることを掲載しました。

これらの記事まだご覧になっていない方のため、以下にURLを掲載しておきます。


若い頃は経験すべき?それとも貯金すべき?-【私の論評】ちょっと待ってくれ、貯金と経験がトレード・オフの関係になってしまったのはデフレのせいではないかい?若者はデフレ脳から脱却しもっと政治・経済に関心をもて、選挙に行け(゚д゚)!

いずれにしても、雇用をめぐる問題は、本人がいくら努力しようと、企業側がいくら努力しようと、多くの人や、さまざまな機関が手を差し伸べようとも、デフレが解消しない限りは、その根本原因は解決せず、モグラたたきになるだけで、放置しておけばこの世の無限地獄になるだけです。

それにしても、ブログ冒頭の記事にあるように、デフレによる雇用状況の悪化は、かなり酷いことになっています。

こんな状況では、いつどうなるかわからないので、いろいろな経験をつむよりは、貯金できればするというのがあたり前てす。貯金できる若者はまだ良いほうです。

最近は、多くの人々がいわゆるデフレ脳となってしまい、デフレがあたり前で、それを前提にものごとを考えるようになりました。なぜそうなったかといえば、マスコミや識者がデフレを肯定するようなことばかり語るからです。

まずは、日銀が金融緩和をしても何も変わらないとか、国債が暴落するとか言って、結局日銀は、長い間金融引締めばかりやって、デフレ・円高の番人のようなことをしてきました。しかし、これに関しては、昨年4月より、日銀は異次元の包括的金融緩和に転じて、経済指標など良くなっていますが、なぜか、マスコミや多くの政治家などが、この成果をあまり語りません。

あるいは、プライマリーバランス(基礎的財政収支)を重視するため、増税するのがあたり前というとんでもないことばかり語るからです。本当は、プライマリー・バランスなど財政をまともにするために、増税したとしても、景気が冷え込み、税の原資である国民所得が減り、さらに財政は悪化するだけです。

本当に実行すべきは、経済成長であり、経済成長することにより、国民所得が増え、税の原資も増え、財政もまともになります。

しかし、マスコミ、財務省そうして、多くの政治家は、このことを知ってか知らずか、語ることはほとんどありません。

しかし、最近4月からとうとう消費税増税をしてしまい、4月-6月の経営指標は、かなり悪化してしまいましたが、マスコミや多くの政治家は、これを想定内として、増税のせいにはしません。

本当は、増税によって、せっかくの日銀の金融緩和の効果が減衰されて、景気が落ち込んでいるだけです。そうして、増税によって、デフレからの脱却は遠のいてしまいました。

そうして、来年10パーセント増税をしてしまえば、デフレからの脱却のめどはたたなくなります。

それでも、マスコミや多くの政治家が増税すべきとして、デフレを継続させるための論陣をはっています。

そうなると、多くの人々がデフレ脳になるのは当然のことです。

ブログ冒頭の記事も、非正規雇用の実体を示しながらも、その真の原因であるデフレには一言もフレていません。

以下に非正規労働者の比率を示すグラフを掲載しておきます。

このグラフを見ると、女性の非正規労働者の比率が異常に高いことがわかりますし、それに、ちょうど97年以降、すなわち2回目の消費税増税の後から、日本経済はデフレに突入しており、そのころからかなり増えていることがわかります。


この状況だと、確かに女子は大変です。最近すぐに結婚したがる女子が増えているということが理解できます。実際かなり、増えています。そうして、この非正規労働者の雇用条件はブログ冒頭にも示しているようにかなり悪いです。

女子で非正規で高賃金というというと、以下のようなバイトしかないのかもしれません。割りきってしまえば良いのかもしれませんが、つらいものがあります。もちろん、私は、このようなバイトをしている女の子たちを責めるつもりはありません。

札幌では女子店員さんがビキニの店もあるとか、女子の非正規で高賃金というとこういう仕事しか無い?
私自身このようなお店に向学のため一度くらいは、行ってみたいとも思いますが、それにしても上に書いたような背景をいろいろ考えると、なかなか行く気にもなれず、残念ながら行ったことは一度もありません。

デフレが克服されて、インフレ傾向になり景気が上向いても、この店があれば、是非行ってみたいものです。もし、その頃も存在していれば、これは顧客ニーズを汲み取った本当のまともな商売であり、そうでなければ、デフレにおいてのみ機能するデフレビジネスだったということになると思います。

それにしても、なぜこのように非正規社員の待遇が、悪いのかといえば、それもデフレのせいです。

少なくとも、デフレでなければ、非正規労働者の時給などは、正規社員に比較すると良いのがあたり前でした。

本来デフレでなければ、非正規労働者と正規労働者が全く同じ仕事をした場合、非正規労働者の時給のほうが高くなるのが、あたり前です。

正規労働者が一時間勤務したとして、それを時間で換算してみた場合、非正規労働者が一時間働くよりも低くなるというのが、普通です。なぜなら、正規社員の場合は、雇用が安定していますが、非雇用社員の場合は、本当に必要なときしか仕事が得られないため、時間あたりの単価は高くなるのです。ただし、これはインフレ気味のときに通用する理屈です。

ただし、これは無論のこと、非正規社員が正規社員と全く同水準の仕事をした場合に限ったことです。単純作業や、経験や知識のいらない仕事については当てはまりません。

しかし、デフレに入ってからは、この常識は通用しなくなりました。正社員と実質上同じ仕事をしていても、非正規社員のほうが賃金が安いという異常事態に突入しました。何のことはない、非正規社員は低賃金労働のための道具と化してしまったのです。

デフレ下では、このような、低賃金であっても、働く人が大勢いるため企業側もなるべく賃金全体を低くするため非正規雇用の従業員の賃金を正規社員の賃金よりも低くするという事態になりました。

こうなると、正規社員もうかうかとはしていられません。非正規社員のうちでも、単純作業しかできない人たちと、同等の能力しかない場合には、非正規社員にされてしまうなどということが起こりえるわけです。会社が苦しくなれば、リストラされてしまいます。

こうして、どんどん非正規社員が増え、上記のグラフのようになっているわけです。それにしても、女性の非正規社員化率の高さは、異常です。やはり、女性の社会進出などとはいっても、結婚や、出産などで、辞めたり、休職したりする率が高いので、こうしたリスクを避けるため、非正規社員化率を高くしているのだと思います。

こんなことを掲載すると、あたかも、民間企業を非難しているように思われる方もいるとは、思いますが、根本的にはそうではありません。やはり、その本当の原因はデフレだからです。デフレだと物が売れない、物がうれなければ、設備投資も、人材投資もせず、賃金も安くするのがあたり前です。

ニートの割合も少しずつ増えている

デフレの最中にあっては、大企業であっても、ブラック的にならざるを得ないのです。そうして、当然のことながら、ブラック企業も増えます。デフレで職がないので、ブラック企業であっても、働けて、正社員になれれば良いと考える人が増えるからです。

これだけ、デフレの酷さがはっきりしているのに、政府は今年4月から増税し、来年は10%増税に走ろうとしています。そうして、そのための論陣を財務省がはっています。

こんな最悪の状況から脱するためには、本来はデフレからの脱却を最優先にすべきなのに、財務省や、与党の自民党議員の中にも、増税を当然とする勢力があり、これらが日々増税の正当性をとき、とにかくデフレを定着させようと、日々努力しています。

このような、風潮に対して、(まともな)エコノミストである村上尚己氏が以下のようなツイートをしています。

まさに、このデフレの放置は、もう15年以上も継続されています。日本がデフレ気味になってからは、すでに20年も経過しています。こんな無限地獄はもうやめるべぎてす。

日本の無限地獄 デフレはいつまでたっても克服されそうにない

過去5、6年くらいのことではなく、これだけの年月がたつと、これは、もはや現代史の一コマであり、立派な歴史問題だと思います。

この歴史問題が、慰安婦問題のように30年も放置されたら、日本の雇用はズタズタになり、貧困問題はさらに悪化し、ブラック企業は増えて何も良いことはありません。

デフレを許容する、あるいは、デフレを推進する官僚、政治家、識者などのことも、偽証ということで、追求していくべきです。そうして、多くの人々がデフレ脳から脱却して、この歴史問題に気づき、早めに対処することが最優先課題だと思います。

慰安婦問題のように、30年後に偽証であることが明るみに出るなどということになったら、その頃、日本は大変なことになっていると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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