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2015年12月2日水曜日

「最低賃金1000円」の目標 枝野氏は「民主党は正しかった」というのだが… ―【私の論評】また、民主党幹部のマクロ経済音痴炸裂!このままだと来年の衆参同時選挙で民主両院同時崩壊だ(゚д゚)!


2015.12.02

ZAKZAK連載:「日本」の解き方


安倍晋三首相が最低賃金の全国平均を1000円とする目標を表明したことについて、民主党の枝野幸男幹事長は「民主党政権で定めた目標そのものだ。民主党の経済運営は正しかったと明言してもらいたい」と批判したという。

民主党の鳩山由紀夫政権当時の2010年6月、当時713円だった最低賃金の全国平均を20年までに1000円に引き上げる目標を決定したことを指しているようだ。

最低賃金についてはいろいろな意見がある。右の代表として「最低賃金があると、失業が増えるから決めるべきでない」という意見がある。左からは「労働者のために最低賃金を高くすべきだ」というものもある。

一部の経済学者が考えるほど、労働市場は完全雇用(働く意思と能力のある人が全員雇用されている状態)ではないので、最低賃金は失業を生むほど悪いものではない。しかし、実際の労働市場を無視して最低賃金を高くすれば、実体経済に悪影響が出てくると思われる。

実際の日本の最低賃金は、ほぼ前年の失業率に応じて決まっている。つまり、失業率が高いと最低賃金の上昇率は低く、失業率が低いと最低賃金の上昇率は高くなる。最低賃金も雇用環境を反映して実際の賃金と似た動きになっているのだ。つまり、金融政策でよい雇用環境を作れれば、翌年の最低賃金を引き上げられるというわけだ。

民主党政権時代、最低賃金1000円という目標があったのは事実であるが、まともな金融政策をしていなかった。その結果、傾向的に就業者数は30万人程度減少した。それに比べて安倍晋三政権では金融政策はしっかりしているので、就業者数は100万人以上増加している。

賃金の動きは、就業者数が増加して、失業率が完全雇用状態に近づくと、急に伸びてくる。

しかし、民主党時代は就業者数が減少していたので、そこで最低賃金を引き上げるという目標は、企業側に過度な負担を与えるだけであるので、経済政策としてはまずい。

一方、安倍政権では、きちんとした金融政策が行われた結果として就業者数が増加しているので、賃金はおのずと上昇に向かうはずだし、最低賃金を引き上げても企業にとって過度な負担とはならず、労働者にとっても労働インセンティブ(動機付け)を増すという意味で、整合的な政策になる。

民主党枝野幹事長

はっきりいえば、民主党時代の最低賃金目標はいいとしても、それを達成する政策手段を取り違えていた、つまり民主党の経済運営はまったく間違っていた。枝野幹事長はかつて、「経済成長のために金利を引き上げるべきだ」との見解を示していた。そのような金融政策の元で強制的に最低賃金を引き上げたら、さらに経済は悪化する。

その証拠がある。民主党時代の2010年、最低賃金を730円、前年比2・4%と大幅に引き上げた。しかし前年の失業率は5・3%と高かったので、就業者数の増加を妨げてしまった。本来は引き上げ率を0・5%程度にとどめるべきだった。政策の無知が生んだ失敗だといえる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】また、民主党幹部のマクロ経済音痴炸裂!このままだと来年の衆参同時選挙で民主両院同時崩壊だ(゚д゚)!

この枝野の発言本当に、呆れて二の句が継げません。このような発言、たとえば同じ民主党では、金子洋一議員あたりの発言ならまだ許せますが、枝野の発言では、まるで恥の上塗りをしているようなものです。

それに、同じ発言をするにしても、金子洋一議員ならもっとまともな発言をすることでしょう。

ちなみに、金子洋一議員は、民主党の中では、私は一番まともに、マクロ経済を熟知していると思います。馬渕議員あたりもそうですが、やはり金子議員が一番だと私は思います。

それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】経済予測をことごとく外してきた面々は合理的な推測をしているのか―【私の論評】奴らは論評をしているのではない!論病に過ぎない(゚д゚)!
金子洋一参議院議員
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、金子洋一議員のマクロ経済に関する知見について関する部分のみ以下に掲載します。
民主党の金子洋一参院議員はツイッターで、「日経平均、続伸し15年ぶり2万円乗せ。わが国経済のためにまずは喜ばしいこと。やはり債券を主に買い入れ、株式を含む実物資産に民間資金をシフトさせる日銀による金融緩和の力は大きかった。われわれが提言したとおり、民主党政権でこれをやっていれば、経済の回復はより早かった。残念だ」とつぶやいた。彼の行動を知る筆者としても同感だ。
 金子議員のこの発言は、本当にまともで、マクロ経済を熟知している人なら、誰もがこのような考えを持ったことでしょう。

株価一つとっても、民主党政権時代と現在の安倍自民党政権の間には、隔世の感があると言っても過言ではありません。株価が多少さがると、マスコミや似非識者どもはやれ株価が下がった、アベノミクスがどうのと宣うのですが、本当に異常なことです。

彼らには、こう質問したいです。「では安倍政権の時代の株価、民主党政権の時代の株価を比較してみたことはあるのか?」と。その比較をしたグラフを以下に掲載します。


2013年の後ろのほうと民主党政権を比較すると、安倍政権時代には最低になっても、もう勝負あったという感じです。もう完璧に民主党政権時代は、安倍政権時代よりも株価が圧倒的に低迷していた事がよく理解できます。平成13年度に安倍政権に変わってから、今にいたるまで、一度も民主党整形時代の水準に戻ったことはありません。

そうして、雇用に関しても、あまりにもはっきりしすぎでいます。以下にこれもグラフを掲載します。これも勝負あったという感じてす。



現実の日本の最低賃金は、ほぼ前年の失業率に応じて決まっています。してがって、失業率が高いと最低賃金の上昇率は低く、失業率が低いと最低賃金の上昇率は高くなります。最低賃金は、雇用環境を反映して、実際の賃金と似たような動きになっています。この意味で、日本の最低賃金の決定は、穏便なものといえます。

この雇用環境と最低賃金の穏便な関係によれば、金融政策で良い雇用環境を作ることができれば、翌年の最低賃金を引き上げられるということにもなります。

民主党時代の「最低賃金引き上げ」という目標自体はいいとしても、民主党は、それを達成する政策手段を取り違えていました。

枝野幹事長は「経済成長のためには金利を引き上げるべきだ」といっていました。このような誤った金融政策の下で、強制的に最低賃金を引き上げるようなことをすれば、さらに経済が悪化するのは当然のことです。



それは、上に掲げた最低賃金とその前年の失業率の関係に示した図の数字からもわかるわかることです。グラフを見ると、明らかに前年の失業率が低いと最低賃金率の上昇率(縦)が高いことがわかります。

もしその当時、民主党幹部に正しい経済政策を主張する金子議員などの言うことに耳をか傾ける度量があれば、まずは金融緩和を実施して、就業者数を増やし失業率の低下を待って、最低賃金を引き上げるという戦略をとったはずです。これは、全くマクロ経済政策音痴が生んだ悲劇に他なりません。

マクロ経済政策を理解していれば、金融緩和すると一定のタイムラグがって、一定期間後に雇用が増加するということは常識です。雇用が増加しているときには、新規雇用者の賃金は一般的に低いですから、賃金はすぐに上昇せずむしろ低下することもあります。

しかし、完全雇用の状態に近づくにつれて、今度は賃金が伸び出します。これはマクロ経済的なメカニズムですが、その前に政治的に賃金上昇すべきというメッセージを送るのは、戦略として合理的です。

この点について、雇用を守ることを重視しているはずの民主党はまったく経済音痴で、あ手順が前後していましたた。金融緩和してまず雇用量を増加させであり、その次に賃金とすべきです。枝野氏が主張するように、先に最低賃金1000円などとするのは、全くの誤りでした。

金融緩和を実施して、雇用者数が増えてから、賃金を上げるべきなのに、民主党政権時代は当時の白川日銀総裁のいいなりで、金融緩和のチャンスを逃がしつづけました。

ブログ冒頭の記事の、枝野の発言を見る限り、枝野はその失敗が原因となって政権交代につながった、という事実をいまだに認識していません。

安倍政権も、2四半期経済成長がマイナスになるなど、経済政策では「消費増税の失敗」という手痛いミスをしています。しかし、金融緩和を継続しているので雇用環境はまだ良好で、致命的なミスには至っていません。

来年夏の参院選挙時に、安倍政権が消費増税を再び先送りを公約に掲げ、経済政策の失敗をカバーすることになれば、経済政策で民主党は対抗できません。もし、衆参ダブル選挙になったら民主党は、衆参両院ともダブルで敗戦するのは必定です。

私自身は、最近のこのブログに掲載したように、来年の選挙は、衆参同時選挙になるのはほぼ確定とみています。そうなれば、民主党は敗戦とはいっても、それこそ、社会党がPKO法案成立の直後の選挙で、凋落したように、大敗北となる可能性も大です。

民主党も、安保法案では、「戦争法案」というレッテル貼りで、かつての社会党がPKO法案に反対したように安保法案に反対しました。しかし、無論のこととして、来年の選挙のときなどに、日本が戦争をするということはないので、マスコミも選挙戦のときには、これを話題にしないでしょう。

実際、過去の選挙のときには、自民党は、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使を含む安保法制の成立を公約としていたのですが、マスコミはそれをほとんど話題にしませんでした。

私は、歴史は繰り返すと思います。そうなると、民主党は地すべり的なダブル敗戦に見まわれ、かつての社会党のように凋落することになると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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