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2018年11月1日木曜日

米国で相次ぐ値上げ、消費者の慣れに便乗―【私の論評】デフレを20年放置した日本は、世界で特異中の特異!「井の中の蛙」になるな、世界から学べ(゚д゚)!。

米国で相次ぐ値上げ、消費者の慣れに便乗

航空会社や食品メーカーがコスト増を顧客へ転嫁 ビッグマックやコーラも

 米経済にとっては微妙な時期だ。失業率は過去数十年で最低の水準にあり、経済成長は力強い。インフレ率は米連邦準備制度理事会(FRB)の目標である2%に近いが、労働力不足と関税問題がエスカレートすれば、物価上昇への圧力が加わりかねない。一方で輸入品の価格を下げるドル高など他の要因は、そうした圧力を弱める可能性がある。どこかの段階で、物価高は経済成長の勢いを弱める。投資家はインフレが勢いを増すことでFRBの利上げが加速するのではないかと懸念している。

 クラッカーの「リッツ」などで知られる菓子大手モンデリーズ・インターナショナルは、来年に北米で値上げに踏み切る予定だ。ディルク・バン・デ・プットCEOは29日のインタビューで、北米の消費者と小売業者が以前よりも値上げに寛容だと述べた。

 企業はさまざま形のコスト上昇に直面している。モンデリーズによると、一部のクッキーやクラッカーを値上げするのは、材料と輸送費の上昇を受けた措置だ。航空会社が支払うジェット燃料の価格は1年前から約40%上昇している。9月のトラック輸送コストは前年同月比7%上昇したが、これは業者が人件費の上昇分を転嫁したためだ。労働省が31日発表したところによると、7-9月期の民間部門賃金は前年同期比3.1%上昇し、2008年以来の伸びを示した。

 米メーカーが支払うアルミニウムの価格は1年前から8%上昇、鉄鋼の価格は38%上昇している。トランプ政権が課した関税が反映されているためだ。中国からの輸入品2000億ドル相当に対する10%の関税が9月に導入され、該当品を購入する企業を圧迫している。

 皮革製品メーカーのスティーブマデンは今週、中国から輸入するハンドバッグなどの製品を値上げすると発表し、関税を避けるため他国に生産移転する計画を明らかにした。自社店舗では中国製品の価格が10%上昇するケースもあるという。

 グラント・ソーントンのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「こうした状況はみな物価の上昇を示している。1-3月期(第1四半期)にはインフレ率が上がるかもしれない」と述べた。



 消費者が値上げに慣れつつあることを感じ取り、利益を増やすために値上げする企業もある。アルミ部品大手アーコニックは、関税で全般に価格が上昇するなか、圧延アルミ製品の営業利益率が値上げによって拡大したと述べた。アップルはこのほど発表した「MacBook Air(マックブック・エア)」と「iPad Pro(アイパッド・プロ)」の新製品の価格をそれぞれ20%、25%引き上げた。

 コカ・コーラや航空大手などの企業は、値上げしても需要に衰えはないと話している。デルタ航空、ジェットブルー航空、アメリカン航空グループはいずれも燃料費上昇をカバーするために運賃などを引き上げている。

 大手以外の一部航空会社は、値上げで顧客が減るリスクは冒せないと話す。格安航空のアレジアント・トラベルは、自社の顧客が大手の顧客よりも値上げに敏感だと述べた。同社はコスト削減のため、オフピークのフライトを減らしている。

 一部の飲食チェーンは、値上げしながらもセットメニューなどで顧客を取り込もうとしている。マクドナルドの7-9月期の米既存店売上高が前年同期比2.4%増加したのは、ハンバーガーの値上げが大きかった。高級ハンバーガーのハビット・レストランは5月下旬に3.9%の値上げをした。7-9月期の売上高は予想を上回ったが、これは値上げによるところが大きい。客足は3.4%減少した。

 食品メーカーは今年、市場シェアにこだわるスーパーやネット食料品店の反対を受けて値上げに苦労していた。利益拡大のために他の手段に乗り出すメーカーもある。

 ハーシーは来年商品の包装を変えて単価を引き上げる計画を発表した。ケロッグはワッフルにチョコレート味を追加し、同様の商品より12%高い価格をつけた。ケヒレーンCEOは「単純に定価を引き上げる時代は終わった。それは消費需要の減退につながる」と述べた。

 ハーシーのミシェル・バックCEOは先週のインタビューで、消費支出と経済成長がなお好調なため、小売業者は以前より値上げに積極的だと述べた。

 シカゴのシェリル・キングさん(50)は、2人の子供のために買うグルテンフリーやオーガニックの商品を中心に、一部の食品が小幅に値上がりしていることに気づいた。だが自身も医師の夫も買う商品は変えていない。「特売やクーポンは利用するが、私たちは大丈夫だ。そこまで節約に気を遣っているわけではない」と話している。

【私の論評】デフレを20年放置した日本は、世界で特異中の特異!「井の中の蛙」になるな、世界から学べ(゚д゚)!。
米国の値上げの状況は上記のような状況です。では日本はどのような状況かといえば、それを端的に示すのが、現在、香港や中国を中心にアジアで話題になっているの沖縄での以下のニュースです。

中国人のみ料金10倍 宮古島・砂山ビーチのレンタル業者 市から注意され看板撤去

世界を旅していると、度々直面するものに「外国人料金」というものがあります。現地の人とは別に、観光客で訪れる外国人向けに設定された料金のことです。

レストランから世界遺産まで、様々な場所で様々な外国人料金が存在しますが、要は「あなた方、外国人は海外旅行が出来るくらいのお金持ちなのだから、たくさんお金を払ってください」というものなのでしょう。

以下に代表的なものをあげます
・タージマハル(インド) 
 外国人 1,000ルピー(約1,100円)
 現地人 40ルピー(約68円)

・ペトラ遺跡 (ヨルダン)
 外国人 50ディナール(約7,800円)
 現地人 1ディナール(約156円) 
・アンコールワット (カンボジア)
 外国人 37ドル(約4,033円)
 現地人 無料
国の豊かさの差異や収入格差で致し方ない面もあるのでしょうが、それにしても数字だけ見ると現地の人との何十倍もの差が生じています。

冒頭の中国人観光客の話に戻りますが、2万円というのは(業者の意図は本来の外国人料金の意味合いとは違うようですが)価格の設定上、途上国が外国人向けに提示する料金と同じなのです。

中国からの旅行客の1人当たりの支出額は、15年のデータで28万3000円と言われています。ビーチパラソルが2万円でも、普通に払う中国人も少なくないのでしょう。無論、ビーチパラソルなどは複数人で使用するものなので、1人当たりのコストはもっと下がるわけです。


出展:日本政府観光局(JNTO) weblio英会話 For School and Business

日本人の10倍の値段を設定しても、料金を払える中国人観光客がいるという現実があるわけです。私自身は、心のどこかで、日本は少なくともサービス業などの表面的な部分は先進国でおもてなしの国とみなされており、経済が悪化したとはいえ、国民一人あたりGDPは未だ上位の部類で、外国人料金などは無縁の国だと思っていました。

しかし、今回の沖縄のことで、外国人料金を設定せざるを得なくなるかもしれなかった日本の未来を少しだけ垣間見たような気がしました。

初任給40万円のファーウェイ

中国の通信大手・華為技術(ファーウェイ)の日本法人が大卒で月給約40万円、院卒で43万円で新卒募集をかけたのが日本で話題になっています。

ファーウェイの初任給月40万円が話題「普通に就職したい」「優秀な人は流れていっちゃう」

一般的な日本の企業の大卒初任給の平均は19万8000円なので、倍以上の給与額です。

一部のメディアはファーウェイの初任給について「日本の技術の獲得のために、初任給を高く設定している」と非難しています。ただし8月にトランプ米大統領が国防権限法にサインし、ファーウェイとZTE(中興通信)の製品の米政府機関での利用を禁止しました。4月に米国市場から締め出される“死刑宣告”を受けていたZTEに続き、ファーウェイも標的となりました。

それも時間の問題でした。すでに、米中経済安全保障調査委員会(USCC)が技術系コンサルのインテロス・ソリューションズに依頼したレポートでは、「米国の安全保障を脅かす中国ICT企業」として、ファーウェイの存在が指摘されていたからです。

このような状況にあるため、企業自体がどのようになるかもわからないので、この初任給の高さは、危険手当という意味もあるかもしれません。

しかし、日本の外から見れば、こんなことがニュースになること自体、「日本の常識が世界基準から遅れている」と言わざるを得ないところがあるかもしれません。

同じアジアでも香港やシンガポールも、それなりの地元の有名大学に出ていれば、初任給で30万以上を超える企業は多く存在します。日本にはおそらく存在しません。

ファーウェイの給与水準が特段高いのわけではありません。これが世界基準なのです。それに対して日本の大卒初任給は20年以上、変わっていません。ただし、今後は変わってく可能性はあります。ただし、多くの人々の頭の中ではそうはなっていないようです。

もうすでに現状人件費の安い日本人労働者が、とんでもない外国のブラック企業に買い叩かれる時代になっていたのです。

人件費だけではありません。日本の不動産も格安なので、香港や中国では、毎日のように日本の不動産に関するセミナーが開催され人気を集めています。

時々海外にでかけると、いくつかの日本の物価は、香港やシンガポール、上海、北京、ソウルに比べると安いと感じることが良くあります。

ついこの間まで、自分たちより下だと思っていた国に、企業も人材も土地も買われている日本なのです。しかも不幸なのことに、多くの日本人にはそのような認識がまったくないようです。未だにアジアの王様気分でいる日本。

最近変化の兆しは見えつつありますが、未だに多くの人が低賃金、長時間残業を「やりがい」や「精神論」で乗り切ろうとしています。今のままだと、優秀な若い日本人の人材が出稼ぎのごとく、給与の高い海外に流れるのは目に見えています。ただし、日本では安倍政権になってから、金融緩和に転じたので、雇用状況が格段に良くなり、雇用自体はかなり良くなりました。

最近は賃金もあがりつつありますが、まだ本格的ではありません。現状の金融緩和が続けば、賃金もあがっていくことになると思います。ただし、緩やかなデフレでは、1〜2年では数%に過ぎず、20年〜30年で倍になるという感じです。現在の日本人はこの感覚をほとんど忘れています。

何しろ、過去20年もデフレが続いたせいで、現在40歳未満の人はデフレの時代しか知らないし、60歳以上の人はインフレの時代に育ち、自分たちの将来が大体決まる頃もデフレではなかったので、デフレ時代の本当酷さを認識している人は少ないです。

長期間インフレが続き、それが人々の心にどのような影響をもたらすのかを知っているというか、本当に理解している人はさらに少ないです。デフレ状態にあるよりも、こちらのほうがよほど、ハッピーであることを理解する人は本当に少ないです。

そうです、日本では諸外国に比較すると、相対的に緩やかなインフレの時代を知っている人口は少ないのです。



長期にわたって、デフレだった日本は、今や世界的にみて物価の安い国になってしまっていたのです。気づいていないのは本当に日本人だけかもしれません。

それは、特に最近ひしひしと感じています。最近では、消費税増税の悪影響もある中で、日銀が物価目標をなかなか達成できないなどとしながらも、金融緩和策は続けているので、値上げ圧力があるのは間違いないです。

こうした中で、中小企業の閉鎖が目立ってきているのです。今朝は、テレビでマグロ専門店が、仕入れ価格が高くなったので、それを販売価格に転嫁できずに、閉店するという報道がされていました。

これはどうしたことでしょうか。日本だけが、物価が安い国というとを知っていたとしたら、このマグロ専門店の店主も考えを変えたかもしれません。マグロ専門店の店主がこれを知っていれば、値上げして様子をみるくらいのことはしたかもしれません。しかし、あまりに長い間デフレに順応してしまったため、そのような柔軟な考えになれないのです。

今の若い人たちにはできれば、今すぐにでも海外に出て欲しいです。これは、日本の将来が危ういというからではありません。

「世界から日本はどう見られてるのか?」「今の日本の立ち位置は?」「世界のスタンダードは?」そうして、長期のデフレが他国と比較して、どのように日本に悪影響を及ぼしたのか。

そういったものを肌で感じて、学んで、そしてそれを日本に還元しなければ、この国に未来はないかもしれません。

こうした肌感覚は、日本国内にいるだけでは絶対に学べないところがあります。ただし、日本の金融政策と、外国の金融緩和政策の違いについて、頭にいれておかないと、ただ海外に闇雲に出かけて物価を比較したところで、本質は何見えこないと思います。

逆に、海外に出る時間的、金銭的に余裕のない人も、頭を働かせて、日本と他国の金融政策の違いを頭に入れた上で、できれば英文でインターネットの記事を読んで、世界の状況をみれば、日本だけが特異であることがよくわかります。

なお、最近はGoogle翻訳が、格段に良くなったので、Googleで日本語に翻訳すると、かなり良い翻訳になっているので、読みやすいです。とはいっても、やはり英語がある程度わかっていないと、翻訳を通じても良くわからないこともあります。やはり、英語はある程度理解すべきです。そうして、世界ではそれが常識です。

官僚の誤謬と政治家の頭の悪さで、結局20年もデフレを放置しておいた国など、古今東西日本しかありません。

世界から謙虚に学べば、また日本は世界で戦える国になると思います。「井の中の蛙」にはなるべきではありません。世界から学ぶべきです。

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