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2013年12月19日木曜日

猪瀬直樹知事が辞任 【緊急記者会見・全文】−【私の論評】猪瀬氏といえば便所飯のことでのやりとりを思い出す。現実を直視しない姿勢が、後まで尾を引いた?

猪瀬直樹知事が辞任 【緊急記者会見・全文】


猪瀬直樹・東京都知事は12月18日午前、辞職願を都議会議長に提出した。医療法人「徳洲会」グループから5000万円の資金提供を受けていた問題で、都政に混乱を招いた責任を取ったという。午前10時半から都庁で緊急記者会見を開き、辞任に至った経緯を説明した。

【辞職表明か】猪瀬直樹 東京都知事 緊急記者会見 生中継

■猪瀬直樹知事 記者会見 発言全文

私はこのたび、東京都知事の職を辞する決心をいたしました。先刻、吉野都議会議長に辞職を申し出、議会において同意頂くようお願いをいたしました。

私の借入金問題につきまして、都議会本会議、総務委員会での集中審議、あるいは記者会見で自分なりに都議会の皆様、都民、国民の皆様に説明責任を果たすべく努力してきたつもりであります。しかし残念ながら私に対する疑念を払拭するにはいたりませんでした。ひとえに私の不徳の致すところであります。

思い起こせば1年前、多くの都民の皆様から付託を頂き、この都庁で知事就任記者会見をいたしました。以来、日本の心臓である東京を力強く鼓動させることで、日本全体に安心と希望を広げるよう懸命に仕事をしてきたつもりであります。チームニッポンの一員として2020年の東京オリンピック、パラリンピックの招致を成功させることもできました。

そして日本が長いトンネルから抜け出し2020年に向かってスタートダッシュしなければならない大事なこの時期に、私の問題で都政を停滞させるわけにはいきません。国の名誉がかかった五輪、パラリンピックの開催準備を滞らせるわけにもまいりません。今、ここに至り、この局面を打開するためには、私が自ら都知事の職を退くよりほかに道はない。そう決断しました。都民、国民の皆様には大変心苦しく、申し訳なく思っております。深くお詫びもうしあげます。

これからは都政に携わってきた経験も活かし、一人の作家として都民として都政を見守り、恩返しをしたい。そう思っています。

最後になりますが、東京と日本の発展、2020年オリンピック、パラリンピックの大成功を心より祈念いたします。
以下略
記者会見での質問とそれに対する答えなどの続きはこちらから!(◎_◎;)

【私の論評】猪瀬氏といえば便所飯のことでのやりとりを思い出す。現実を直視しない姿勢が、後まで尾を引いた?




私は数年、ツイッターで猪瀬氏をフォローしています。確か、猪瀬氏からもフォローされていたと思います。何やら、相互フォローしていた相手の人がこのようなことになり、日々追求されているのをみると、身近な人か追求されているような気がして、見ているのがつらいものがあります。

しかし、今回ばかりは取り返しのつかないことをしてしまったようです。残念です。

さて、猪瀬さんとツイッターでどのようなやりとりをしていたかというと、無論今回の事件とは全くの無関係なことです。本人の名誉のためにも、このあたりははっきりさせておきます。

下は、猪瀬氏の本日のツイートです。
それにしても、この話しは私の印象にその後もかなり大きく残ったことなので、猪瀬氏さんには言論人という立場もあると思いますので、ここに掲載させていただきます。

その話とは、一ときネット界を賑わした「便所飯」のことです。最近、便所飯の話題はほとんどなくなりましたが、それでも、ツイッターで"便所飯"と検索すると、結構つぶやかれていることがわかります。しかし、ほんど大きな話題にはなっていません。今から思うとあの騒ぎは、一体何だったのだろうと、訝しく思ってしまいます。

便所飯について、今となっては知らない人も結構いるかもしれませんので、以下に便所飯の内容をwikipediaからコピぺさせていただきます。
この言葉は2005年初めから2006年頃にインターネット上で広まり、特に寂しい学生生活を表すスラングとして、面白半分のニュアンスで語り継がれていったとされる。その後次第にメディアで注目されるようになり、特に2009年7月6日に朝日新聞が夕刊一面で社会現象として取り上げ、続いて翌日の「めざましテレビ」「情報プレゼンター とくダネ!」といった情報番組でも紹介された際には、ネット上で「便所飯」が検索キーワードとして急上昇するなど大きな反響があった。
一方で「便所飯」の存在自体を疑問視し、一種のジョークや存在の疑わしい都市伝説として見なされることも少なくない。例えば前述の朝日新聞の報道では便所飯に関連する事柄として、複数の大学のトイレで見つかった「便所飯禁止」の張り紙を紹介し、何者かの悪戯である可能性を指摘しつつもこれを若者の間で広まっている現象の一つとして取り上げたが、これは便所飯が実在する根拠としては乏しいものであり、同紙はインターネット上に流布する実体のない悪ふざけに踊らされたのではないかと見る向きもあった。 
また、過去においてオンライン百科事典のウィキペディア日本語版における「便所飯」の項目には、便所飯を行う上での詳細な注意や、その他真偽の疑わしい冗談半分の投稿が相次ぎ、このことから繰り返し記事の削除が行われ項目が存在しない状態であったことも、報道上の話題となった。

こうした便所飯の実在を疑問視する意見に対して、識者によるコメントの紹介や、実在を確かめるための検証も試みられた。例えばJ-CASTニュースは、ランチメイト症候群の命名者である町沢静夫による、実際に「便所飯」に関する相談を何度か受けているという談話を紹介した。 
また、MSN産経ニュースでは記者が取材を行った結果として、「便所飯」を体験したことのあるという人物の談話や、外国でも便所飯の痕跡を見たという目撃談などを紹介し、実在を疑われるのは便所飯自体が他人に知られないための行為であり、また辛く苦しい体験であるために、名乗り出る人が少ないからではないかという意見を取り上げた。いずれも「便所飯」が一部の現象に留まらず、社会現象と呼べるほど広まっているかどうかについては定かではないという立場を取っているが、朝日新聞は後に、尾木直樹が大学生400人を対象に行ったアンケート調査の結果に基づき、2.3%の回答者が「便所飯」の経験があると答えていることを報じている。しかし、他の世代(大学生以外)のアンケート調査は行っていない。
一連の報道について、過去に朝日新聞や「とくダネ!」などで「便所飯」という言葉を紹介してきた辻大介は、自身のブログにて、メディアがこの現象を面白おかしく取り上げることへの懸念を述べている。
このような便所飯ですが、最近ではほとんど話題になりません。言葉自体がツイートされるようなことはありますが、それを巡って様々な話題がなされるということはありません。私自身は、便所飯自体は、おそらく、犬が人を噛めばニュースにならないが、人が犬を噛めばニュースになるという類のものであって、あまりに稀有なことなので、ニュースになったということだと当時からも、今でも思っています。

ところが、猪瀬さんは当時は、なぜか便所飯にご執心で、ツイートのみならず、いろいろなところで、発言したり書いたりしていました。

その典型例として、猪瀬氏が書いた文章として以下のようなものがあります。
日本と外国の若者の差がどんどん開く「“ひとり”が怖い」と「ハーバード白熱教室」を観て
2010年05月11日

日本の大学では、コミュニケーションが苦手で、学食に1人で行けないのでトイレで食事をする学生が増えているという。一方、アメリカの大学では、教授と学生が「朝まで生テレビ」のようなディスカッションをする。彼我の差を考えてみた。 
ツイッターに書き込まれた反応が「やべ!図星です」 
連休前、4月23日の夜、NHKニュースのあとに「特報首都圏」でやっていた「“ひとり”が怖い」という特集を見た。学食に1人で行けない学生たちにスポットをあてていた。 
学食では、だいたい5~6人くらいで集まって食事をしている学生が多い。そこへたまたま1人でやってきて食事をしても、問題はないように思える。しかし、最近は1人で学食に行けない学生が増えている。 
番組に登場した女子学生は、トイレに入って便器の上で弁当を食べていた。こういう行為を「便所飯」と呼ぶそうだ。また、別の男子学生は歩きながらパンをかじっていた。
彼らが学食に行くことを避けるのは、1人で学食に行くと友だちがいないことがバレてしまい、「友だちがいないやつ」と思われるからだ。現在の学生のうち、学食に1人で行けない者は、「積極的に行けない」も加えると5割になる。

番組を見て衝撃を受けた僕は、すぐにツイッターに書き込んだ。多くの反応が返ってきた。
「やべ!図星です」
「異常な世界。つるんで食事に行くサラリーマンのほうが異常と思う。いいじゃないか1人で」
「便所飯というキーワードは、ちょっと前から話題になっていますよ」
ツイッターは、テレビなどを見て瞬間的に書き込み、反応するところが面白い。「やべ!図星です」という反応には、学食に1人で行けない人が本当にいるのだと実在感を覚えた。
以上は、ごく一部をコピぺしたものです。全文はこの記事をご覧ください。それにしても、この一部分からでも、猪瀬氏が当時便所飯などを社会現象の一つであると捉えていたことが良く理解できます。

それだけではなく、便所飯をするごく一部の日本の学生と、ハーバード白熱教室で発言するような優秀な学生を対等に比較して、日本の学生はコミュニケーション不足だと決めつけています。



こんな比較自体が成り立つはずもありません。私自身は、アメリカの大学生がディベートの時間で自己主張をしているのを何遍かみたことがありますが、あまり優秀な大学の学生でもなかったためか、あまりにお粗末で、うんざりしたことが何度もあります。

日本でも、東大や京大、早稲田や慶応の学生ならば、白熱教室で発言するようなタイブの学生もいくらでもいます。私は、特に日本の学生が、アメリカの学生と比較して劣っているなどと思ったことはありません。そうして、アメリカの大学生がものすごい量の勉強をする理由も良く知っています。一部分の優秀な大学生などのぞいて、高校時代にあまりに勉強をしなかったため、必死で詰め込まないと大学の授業についていけないからです。日本も、最近ゆとりの教育でその傾向がありますが、アメリカはかなり酷いです。日本のレベルでいえば、頭カラッポという感じです。無論、これは普通のレベルの大学の例ということです。アメリカでも、日本でもある程度優秀な大学の学生は違います。

それにしても、猪瀬氏が、あの当時このような比較や、便所飯について、ツイートに書いていたものですから、私自身は、それを見て若干苛立ちを覚えてしまったものですから、猪瀬氏に対して反論のツイートをしたことがります。

そのときのやりとりは、以前このブログでも紹介したので、その記事のURLを以下に掲載します。
東大のトイレに「食事禁止」の張り紙? やっぱり「便所飯」は本当なのか―【私の論評】飢えも経験せず、誤った個人主義に浸った若者に明日はない?!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、便所飯に関する猪瀬氏の発言に関する部分のみ以下にコピぺさせていただきます。
猪瀬さんは、現在、ボットでつぶやいています。何やら、若者などの無責任なツイートが多くて、いちいち、答えるのも面倒ということのようです。猪瀬さんは、たびたび、便所食について、ツイートして時期があります。今から、かれこれ、1年くらい前でしょうか。あまり度々そのようなことをツイートしていることと、何かというと、「今の若いもんは」的な発言が多いので、少々辟易としたので、悪いとは思ったのですが、猪瀬さんに対して、「便所食は、ごく少数による異常行動にすぎないこと、それに、あまり、今の若者がどうのこうのという発言を繰り返すということは、猪瀬さん自体が年老いたということではありませんか?」という趣旨のメッセージを発信したことがありました。
それ以来、あまり、猪瀬さんのツイートは見ていませんでしたが、ひよっとして、あのメッセージで、気を悪くし、フォローを打ち切られているのではないかと思い、確認してみたところ、今でも、フォローはされていることが確認できました。
それにしても、一人飯がいやだから、便所食という心理はほとんど理解しがたいです。私は、大学にいたときには、一人飯などしばしばありました。なにせ、理系で、生物系だったものですから、実験その他は、生き物が相手ですから、一度実験などしはじめたら、いつ終わるかもわからない場合もあるので、昼飯時間がずれることなどよくありました。それに、まわりは、まわりで、他の実験をやっているので、時間もあわず、昼飯を3時頃に一人でとっているなどのことはしよっちゅうありました。
それに、中には、昼飯時には、大勢の学生で食堂がメチャクチャ混むので、それがいやで、わざと時間をずらして、2時頃に食事をとるようにしていた人もいました。そういう人は、大抵、ひとりメシでした。
第一、大学の食堂など、そのような人もたくさんいるし、教官もいれば、外からも大勢人がくるし、私だって、少し前までは、学生のリクルートをしていたことがあったので、いろいろな大学の学食で一人飯を食べたこともあります。そうしたほうが、外に出るよりもはるかに効率的でした。特に、総合大学はそうです。東大に限らず、筑波や北海道大学などのキャンパスの敷地の広いところは特にそうです。学生が一人で飯を食っていたからといって、珍しくもなんともない風景であり、だれも、気にもとめないことだし、そんなことを気にしてわざわざ、便所飯なんてのは、全く理解ができないことです。
これは社会現象じゃないでしょう?

さて、長々と便所飯と猪瀬氏について掲載してきましたが、勿論便所飯と今回の猪瀬氏の辞任とは直接関係のあることではありません。

しかし、私は思うのです。5000万円ものお金を受け取るという現実をしっかり直視できなかったことと、便所飯の現実を直視できず、それを社会現象のように思い、そこから推論する姿勢は根本のところでは、同じなのではないかと?

どんな人にも、陥穽に陥ること、あるいは陥りそうになることはいくらでもあります。猪瀬氏の事例を見ているとまさに紙一重だったと思います。猪瀬氏のような素晴らしい人が、このような陥穽に陥ることもあるということです。特に、地位が高い人は、このような陥穽に落ちいらないように、普段から気をつけるべきだと思います。特に軽々しいツイートなどすべきではないと思います。ツイートするにしても、十分考えてから、そうして十分調べてからにすべきと思います。ただし、言うべきときにまで言うなとはいいません。それは、安倍総理がfacebookで物議を醸すコメントをしていることもあることから、社会的に認められないということはないと思います。しかし、文化人でもある猪瀬氏には、見当違いのツイートをするようなことがあったにしても、どこかで方向転換して、そこから現実に立ち戻っていただきたかったです。

民団新年会 3年ぶりに自民党議員出席=日本国旗掲げる

それにしても、前原誠司、菅直人、蓮舫は、外国から献金受けてるのに議員辞職しないのでしょう?これらを追求すれば、自民党の国・地方議員とも辞職しなければならない議員も相当数に上るということかもしれません。猪瀬氏の場合は、あまりにもはっきりしすぎていますが、徳州会は外国の機関ではなく、日本のものです。少なくとも、日本の組織である徳州会は、日本を解体したり、弱体化をすることを目的とした組織ではありません。これでは、著しく公平を欠くように思われます。ただし、だからといって、猪瀬氏が責任を免れることの言い分けにはなりません。それにしても、いずれ、スパイ防止法も導入して、スパイ議員も逮捕できるようにすべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2012年8月23日木曜日

新型天然ガス「シェールガス」開発にわく米、陰でうごめく中国―【私の論評】正しい判断をするため、今こそ正しい情報開示が必要か?

新型天然ガス「シェールガス」開発にわく米、陰でうごめく中国:

シェール・ガス掘削現場
 新型天然ガス「シェールガス」の開発ラッシュに、米国中がわき立っている。ペンシルベニア州のシェールガス産地を昨年取材した際、採掘会社に口説かれて所有地での採掘権をリース契約した地主の一人は「こんな大騒ぎは数十年も前の石炭ブーム以来だ」と興奮気味に話してくれた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

米側には、エネルギー安全保障における警戒感に加え、補助金や非関税障壁で自国企業を手厚く保護する中国の通商政策への不満も強い。太陽電池など米中が激しく競う産業分野で、官民挙げて中国企業の輸出を後押しする一方、国内の市場開放に消極的なためだ。

だが、成長に伴うエネルギー需要が急増する中国は石油の海外依存度が5割を超える。発展途上国で開発を拡大する一方で、政情が安定した欧米でも権益確保に熱心で、北米市場へ貪欲に食い込みをはかる。

LNG輸入をにらみ米国のエネルギー政策を注視する日本は、その陰でうごめく中国のしたたかな戦略にも目をこらしていく必要がある。(産経新聞ワシントン支局 柿内公輔)

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】正しい判断をするため、今こそ正しい情報開示が必要か?

シェール・オイルに関しては、先日このブログにも掲載したばかりです。シェール・ガスも次世代エネルギーとしてかなり重要なので、本日は、上記の記事をとりあげました。

シエール・ガスのある地域を示す世界地図
世界の天然ガスの推定埋蔵量はあと60年とも65年ともいわれていましたが、シェールガスの登場によってその埋蔵量が数倍以上(さらに多いという説もある)にもなるといわれ、各国のエネルギー政策が大幅に変わってくる可能性が出てきています。

「シェールガス」は従来の天然ガスの発掘場所とは異なり深くて硬い岩盤にあります。採掘するのが難しくコストもかかり従来は採算性がなかったのですが、米国で採掘技術(水圧破砕)が確立され生産量が大幅に増加し、採算性があうようになりました。

このシェール・ガスに関して注視すべき点は以下の2点です。

①中東に依存していた石油エネルギーと異なり、「シェールガス」は北米、アルゼンチン、中国、オーストラリア、ヨーロッパ、南アフリカといった具合に広域に分散しており、従来のエネルギー海外依存度の高低が変わり、企業や各国の戦略が変わりつつある。これから、米国が中東の石油に興味を持たなくなる。これによって、アメリカの外交にどのような影響がでるのか、その方向性を見定めていく必要があります。

②環境にやさしい再生エネルギーへの期待や関心がなくなることです。太陽光・風力など、アメリカやドイツなどでは、大失敗をしており、今後自然再生エネルギーのさらなるコストダウンは見込めず、また、安定したエネルギー源としての地位を確立することは困難であるため、いずれ、姿を消すことになるでしょう。ただし、政府レベルでの実験施設などは残るとは思いますが、民間営利企業の興味や投資の対象となることはないでしょう。ただし、日本を含めた各国政府レベルでは、今後も代替エネルギーの研究・開発を進めていくべきです。

さて、シェール・ガスの日本国内での動きも掲載しておきます。



東京都の副知事である猪瀬直樹氏は、原発の代替エネルギーとして天然ガス発電に注目し、東京に自前の天然ガス発電所を設ける計画を推進しています。その計画でも、シェールガスが一役買いそうです。

猪瀬氏が天然ガス発電を選択した理由は以下の4つで、その中にシェールガスが含まれているからだ。

従来の火力発電にくらべて発電効率が1.5倍と性能がよい。

比較的小さな敷地で建設できるので、都市部でも天然ガス発電所の建設コストは2基で500億円(5年前の価格、現在はもう少し高い)と、原発よりもはるかに低価格です。

天然ガスはCO2(二酸化炭素)の排出が比較的少なく、硫黄酸化物などの排出も極めて少ないクリーンなエネルギーです。

既に天然ガス発電所の計画はスタートしており、東京都の「東京天然ガス発電所プロジェクトチーム」は昨年9月、100万キロワット級の天然ガス発電所を建設するための候補地(適地)を公表しました(「猪瀬直樹:東京天然ガス発電所の候補地5カ所を決定」)。

どの国にとっても、エネルギーは国の要です。日本の領海内にも、「シェールガス」ではない非在来型のガスである「メタン・ハイドレ-ト」の埋蔵量は、膨大だといわれています。アメリカでの「シェール・ガス・オイル」の採掘が、軌道にのったのですから、日本の技術を持ってすれば、採掘技術と環境技術の発展、そして商業化なども近いうちにできるはずです。

しかし、これらのエネルギー革命に関して、少し気になることがあります。石油・ガスの埋蔵量に関しても、何を信じたら良いのか、迷うところがあります。


皆さんは、ローマクラブ(Club of Rome)をご存知でしょうか?これは、スイスのヴィンタートゥールに本部を置く民間のシンクタンクです。

イタリア・オリベッティ社の会長であったアウレリオ・ペッチェイ(Aurelio Peccei)とイギリスの科学者で政策アドバイザーでもあったアレクサンダー・キングが、資源・人口・軍備拡張・経済・環境破壊などの全地球的な問題に対処するために設立したものです。

世界各国の科学者・経済人・教育者・各種分野の学識経験者など100人からなり、1968年4月に立ち上げのための会合をローマで開いたことからこの名称になりました。1970年3月に正式発足。1979年にFEMAを設立。FEMAはローマクラブが設立した機関。「環境保護主義者」を動かしているのはローマクラブの代表機関であるアスペン研究所であり、彼らがアトランティック・リッチフィールドやその他の大手石油会社から莫大な資金援助を受けています。

世界の知性を集結したローマ・クラブだったが・・・・
定期的に研究報告を出しており、デニス・メドウズらによる第一報告書『成長の限界』(1972年)では現在のままで人口増加や環境破壊が続けば、資源の枯渇(あと20年で石油が枯渇する)や環境の悪化によって100年以内に人類の成長は限界に達すると警鐘を鳴らしており、破局を回避するためには地球が無限であるということを前提とした従来の経済のあり方を見直し、世界的な均衡を目指す必要があると論じています。

こうした、世界有数のシンクタンクが、1972年にこのままでは、あと20年で石油が枯渇するとの見解を示したわけですが、結局その20年後の、1992年はどうであったかといえば、石油が枯渇するということもなく、さらに40年後の今日を迎えているわけです。この間、1970年代あたりでは、予見できなかった、莫大な石油の鉱床が発見され、実際に掘削されたり、まだ手付かずのものもでてきました。さらに、従来は採算性がないといわれていた、シェール・ガス・オイルの掘削技術が発達し、さらに、潜在埋蔵量はかなり増えたといことです。

以前は、眉唾とされたシェール・オイル掘削技術を示す図

この間に、様々な技術が発展したということで、ローマ・クラブの予測が外れたことはある面では仕方ないのかもしれません。しかし、世界中の多くの人に無用の不安感を与えたことは事実です。うがった見方をすれば、このシンクタンクが、大手石油会社から援助を受けていることから、石油の相場をあげるためにこのようなことをしたのではないか、そこまでいかなくとも、その方向性に圧力がかかったとの見方もできると思います。

有能であるはずの、ローマ・クラブですら、こういった過ちをおかすくらいですから、各国政府などが間違うのも無理はないものと思います。

しかしながら、少なくとも今後30年間、様々な技術の発達も見込んで、在来型非在来型の石油・ガス・原発その他のエネルギー総需給量など、明確にしておくのが、各国政府の重要な責任となることは間違いないと思います。

下の動画の2分あたりのところで、世界原油生産長期見通しというグラフがでてきます。



この見通しは、正しいものなのか、それとも、「ローマ・クラブ」の報告のようになる可能性もあるのか?

楽観的な、アメリカの見方では、数百年の埋蔵量があるとしていて、その見方の代表的なものが以下の動画です。



いずれにせよ、正しい情報を得て、正しい判断をしていくことが重要だと思います。各国の政府が発表する情報に関しては、必ず当該国の国家安全保障上の思惑が入ってると認識すべきです。しかし、いずれに転んだとしても、原発即全面停止などを主張することは、全く愚かしいことです。少なくとも、誤った情報に扇動されることなく、自分の頭で考えて情報を取捨選択していく必要があります。




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