2011年5月12日、米誌タイムは記事「中国経済に対する米国人の見方は“単純”か?」を掲載した。17日、新華網が伝えた。
先日、中国の王岐山(ワン・チーシャン)副首相は、米有名インタビュー番組「チャーリー・ローズ・ショー」に出演。「中国経済に対する米国人の見方は“単純”すぎる」と批判した。米誌タイムは、確かに中国経済は誤解されている側面があるとして、以下4点を指摘した。
(1)中国人は米国の労働者から仕事を奪っている―間違いではない。ただし労働集約産業がより労働コストの安い国に移動するのは当然のこと。中国人が仕事を奪わなければ、インドなど別の国が奪っていただろう。
(2)中国は為替レートを操作し、米国経済に悪影響を与えている―確かに中国政府は為替レートをコントロールしている。しかし、人民元問題は諸悪の根源のように言われるが、それは過大評価だ。2005年比で人民元レートは約27%上昇しているが、中国の対米貿易黒字はさらに拡大しているのが証左と言える。
(3)中国は米国以上にうまく資本主義社会を実現している―米国と中国は異なる発展段階にあり、単純な比較は不可能だ。金融危機にあたり、中国が巨額の財政出動で景気低迷を食い止めたが、それは資本主義というよりも政府機能がうまく働いたに過ぎない。
(4)中国が米国に取って代わり世界一の経済体となることは確実―GDPで米国を抜く可能性は高いが、しかしそれは米国が世界経済における主要な地位から転落することを意味しない。中国はインフレ、貧困、巨額の負債、格差など大きな問題を抱えている。またイノベーションの発信地と世界主要市場としての米国の地位を揺るがすものではない。
【私の論評】日本人も勘違い!!震災直前に日本に多数来ていた中国の富裕層は、あなたよりも、年収が少なかったかもしれない?
日本では、アメリカ人のように単純すぎるような見方はしていないようですが、勘違いしているところは多いようです。
その一方で、日本人とアメリカ人が共通で勘違いしているとこもあるようです。まず、GDPに関しては、両国とも、中国の人口が、13億であるということをあまり認識していないようです。
日本の人口は、1億2千万、アメリカは3億人、中国は、13億人です。この人口の違いを忘れている人は、多いです。一人あたりのGDPということでは、以下の表の通りです。それに、現在日本は、デフレの真っ最中にあるということで、GDPが本来の国の実体経済よりも低くくなっています。
これに比べると、中国などは、完全なバブルであり、本来の国の実体経済よりも高くなっていることは確実です。
これに比べると、中国などは、完全なバブルであり、本来の国の実体経済よりも高くなっていることは確実です。
ついでに、グラフなどで示すと以下のようになります。
それに、両国民とも大きな勘違いがあるようですが、そもそも、日本や、アメリカなどは、国の統計に関して、特に手を加えるなどのことはしませんが、中国ではそれは、当たり前の真ん中で行われているということがあります。
さらに、ある程度国のインフラが整備し終わった日本や、アメリカのような国は、さしあたって、インフラなどに大きな整備をする必要はいですが、中国のような国では、まだまだ、インフラが整っておらず、インフラを整備するためだけでも、かなりの投資が必要であり、それだけでも、GDPが膨らむ傾向があります。そのため、中国では、最低6%の経済成長がなければ、雇用を完全に吸収できません。これは、アメリカや日本と大きな違いです。
そもそも、中国では日本やアメリカのようにしっかりとして統計数値などはとることはできません。奥地のほうの経済など確かめようもない部分があります。もともと、地方政府(省、市)は、中央政府への報告のため、GDPを高く報告する傾向があります。
実際、中国の統計には、良くほころびが見られることがあります。たとえば、過去には、ほとんどすべての省のGDPが、全体平均よりも上回るという信じがたいこともありました。さらに、ある四半期のGDPが伸びているにもかかわらず、同期の鉱工業部門における、電気使用量が減っているなどの不可思議な現象も起きています。
3年ほど前に、年収100万円を超えた人が、1000万人を超えたとされています。富裕層といっても、実数はかなり少ないことがおわかりなると思います。これは、一人あたりのGDPが日本の約1/10程度なので、本当にこの程度なのだと思います。ちなみに、日本では、中国の富裕層の人口が、1億数千万人という説がまことしやかに流れていますが、それでは、一人当たりのGDPが日本の約1/10に近いという事実とつじつまがあいません。だから、これは、全く根拠ないデマだと思います。
いわゆる、中国の本当の富裕な人はほんの一握りしかいません。それに、中国では、ここ数年、年収200万円くらいの人が、1億円のマンションを購入するのは当たり前という状況です。日本や、アメリカでは、年収200万円の人が、1億円のマンションを購入できるでしょうか?これは、いくら物価が異なるといっても、あのサブプライムローンが問題になったアメリカですらありえなかったことです。
だから、あの地震の直前まで、日本に多数来ていた、いわゆる中国の富裕層といわれる人々のほとんどは、このブログを読んでいるあなたよりも、年収は少なかったかもしれません。無論、マンションなど転売した利益で、資産は、あなたよりはるかにもっていたかもしれません。しかし、どこの国でも、本来の職業などで得た収入を年収というのであって、マンションなどの転売は、年収とはいいませんから。税制上でもそうです。これは、日本も、中国も同じことです。
年収、200万では、日本の銀行では、絶対に1億のマンションのローンは組みませんね。物価の違いを考慮して、400万でも、あり得ないでしょう。おそらく、上限は数千万だと思います。アメリカだって同じ事だと思います。アメリカのサブプライムローンは、年収400万以下の人に対してのローンが問題になっていたと思います。これは、最初から失敗ということが目にみえていました。そうして、ものの見事にほんの短期間で破綻しました。
こんなところかみても、もう、中国は完璧にバブル状況だと思います。でも、そんな様子はちっともみえないじゃないかなんて人もいるかもしれません。でも、バブルが崩壊し始めても、気づかない人が多いなんてことは、日本でも経験済みですね。
そうです。日本では、バブルの崩壊は、1980年代の後半から1990年代のはじめにかけておきました。たとえば、バブル景気の象徴として取り上げられる事の多い「ジュリアナ東京」ですが、実際はバブル崩壊が進行中の真っ最中である1991年5月に開店しています。このように、バブル崩壊は、その真っ最中の当事者の人々にはなかなか理解できなくて、後になってからわかるという性格が強いものです。ジュリアナ東京の経営者は、先見の明のない人だったのでしょうか、その後の福祉サービスの事業にも結局失敗していますね。だから、中国でも認識されていないということが十分考えられます。
ジュリアナ東京 |
こんな状況は、アメリカ人はもとより、日本人でも勘違いしているかもしれません。
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