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2014年10月6日月曜日

デフレは、若者世代への「経済的虐待」である―【私の論評】日本の将来を担う若者に対して、これ以上経済的虐待を加え続けることは一刻もはやくやめるべき!そのためにも、消費税再増税などすべきではない(@_@;)

デフレは、若者世代への「経済的虐待」である
性急な消費増税の後に、何が待ち受けるのか

村上 尚己 :アライアンス・バーンスタイン マーケット・ストラテジスト
2014年10月06日

大型増税で低迷気味の消費。このままデフレへ逆戻りすることは、若者世代に対して経済的虐待をしているのに等しい

アベノミクス発動による金融緩和の強化によって、日本経済は2013年初から順調な回復を辿っていた。しかし、大型増税というデフレ圧力を高める政策によって、2014年4月から日本経済は失速、夏場になっても消費を中心に不調なままで、製造業の生産活動も減衰している。

日本経済は本当にスタグフレーションなのか

2014年7~9月GDP成長率(11月17日に第一次速報発表予定)は、前期の落ち込みからの反動増で、表面的には高い成長率になるとみられる。しかし、日本経済は増税をきっかけに「軽微な景気後退」に陥るシナリオも無視できなくなっている。

日本経済は、長期にわたり経済活動を蝕んでいた「デフレ」から脱却する途上にあり、本来インフレ率2%を安定的に実現するまでは、金融・財政政策による景気刺激策が求められる。

こうした経済状況に直面し、メディア等では不思議な論調が目立ち、「日本経済がスタグフレーションに陥った」などと言っている。9月8日のコラム「消費増税先送りで、アベノミクスは復活する」でも、海外メディアによるこうした論調を紹介したが、本コラムでも再度これについて批判的に論じる。

世界標準のインフレを好まない、「目に見えない声」

スタグフレーションとは、金融、財政政策により景気が過熱し過ぎて、インフレ率が加速し、それが企業や家計の経済活動を委縮させ成長率が停滞する状況である。

インフレ目標を実現できず、かつ脱デフレの途上にある日本経済はそのような状況とはほど遠い。つまり、今の日本経済の状況を表す言葉として、スタグフレーションは、用語の使い方として間違っている。

メディアでスタグフレーションが誤用されているのは、金融緩和によってインフレ率が世界標準の伸びに上昇することを好まない、「目に見えない声」があるためだ。インフレという自然な経済現象を暗に批判する、「印象操作」として使われているのである。

インフレを好まない、目に見えない声がマスメディア等を通じてなお無視できない力を持っていることを、投資家は冷静に認識し、スタグフレーションなどという言葉に惑わされないことが重要である。

そして、経済成長を逆噴射させる政策対応は時期尚早で、仮に政策対応の不出来が続けば、再び景気停滞とデフレに舞い戻り、そして財政赤字と公的債務が再び増えるという、最悪シナリオすら想定できることを、頭の片隅に置いておきたい。

デフレは、若者世代への「経済的虐待」である

文部科学省の調査によれば、平成24年度(アベノミクスが始まる直前)に大学などを中退した若者は約8万人と、全学生に占める割合は2.65%に増加した。

ただでさえデフレ不況が始まり、就職氷河期が恒常化していたわけだが、就職活動に入るその前段階において、不況による金銭的な事情から卒業を諦めざるを得ない若者が増えていたわけだ。こうした若者は、残念ながら、スキルを身に着ける職につくチャンスを得ることが難しくなってしまう。

長期の経済成長率は、人的資本がもたらす技術革新の影響が大きく左右する。これまで、デフレ不況が長引いたことで、就業の機会が狭くなりスキルを高めることができない労働者が増えた結果、日本経済は長期的な経済成長率を低下させかねない状況になっていた。

こうした意味で、デフレは若者世代への「経済的虐待」だが、デフレと低成長(=「人余り」の長期化)からの脱却をしっかりと実現することが、長期的な観点からみても日本経済再生の第一歩になる。

この記事は、要約です。詳細は、こちらから(@_@;)

【私の論評】日本の将来を担う若者に対して、これ以上経済的虐待を加え続けることは一刻もはやくやめるべき!そのためにも、消費税再増税などすべきではない(@_@;)

上の記事、スタグフレーションの言葉遣い間違いと、デフレは、若い世代への「経済的虐待」という二つのテーマが盛り込まれていて、少し盛りだくさんだと思います。どちらかの話題で、一つの記事にまとめていただきたかったです。

スタグフレーションに関しては、言葉の意味を良く理解しないメディア関係者が無責任にそのようなことを報道しているということだと思います。これは、これで無責任なことですが、メディア関係者がバカということで、問題は片付きます。

せっかく若者が就職できても、奴隷扱いするようなブラック企業が増えている

しかし、もう一方の、デフレは若者世代への「経済的虐待」という内容は、なぜか日本ではほとんど理解されていません。こんなことは、当たり前のど真ん中のはずなのに、なぜかメディアや識者などはほとんど触れてきませんでした。

こういうことから、上記の村上直己氏の記事は、日本では非常に珍しく、注目すべきものであると思います。だからこそ、掲載させていただきました。

それにしても、なぜ日本では、ほとんどこのことが認識されないのか、本日はその背景を探っていきたいと思います。

日本においては、いわゆる新卒定期採用という独特の雇用慣行があるので、日本以外の国から比較すると、若者の雇用問題は比較的軽いとも思われてきました。

日本には新卒定期採用という他国にはない雇用慣行がある
日本以外の国では、新卒の大量採用などという慣行はないため、企業の採用は必要の都度行うというのが普通です。ですから、高校や大学、大学院などを卒業しても、たまたま募集がなければ、すぐに就職できるとは限りません。

卒業した年が運悪く、不景気やデフレだった場合、いくら優秀であっても、卒業してから何年も就職できない場合もあります。まったくもって理不尽な話しです。デフレや不景気が長引いた場合には、就職できない若者がかなり増えます。貧困や犯罪が増え、これは、深刻な社会問題をもたらします。

だから、不景気や、ましてやデフレになれば、若者世代は大変なことになるということを多くの人々が認識しています。人間長い間生きていれば、自分が学校卒業時に不景気で大変な思いをしなかったとしても、自分の子どもや、身内などの親しい人のなかに、大変な目にあった人が必ずいて、嫌がおうでも、その認識は高まるわけです。

だから、日本以外の欧米などでは、不景気やデフレは、このように若者に対してかなり犠牲をしいる大変なこどてあるとの認識があります。そうして、こうした雇用問題の元締めは、中央銀行であり、景気が悪くなった、デフレ気味になった、雇用条件が悪化したとなれば、真っ先に中央銀行が糾弾されます。

このように、日本以外の欧米などでは、若者の雇用などは、中央銀行の金融政策の良し悪しにより、かなり左右されるということが、当たり前になっています。しかし、日本ではそのような認識はむまだまだ広まっていません。

これに関しては、このブログでも、掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にその要旨だけ掲載させていただきます。
アメリカでは、雇用問題というと、まずは、FRBの舵取りにより、大きく影響を受けるということは、あたりまえの常識として受け取られていますし。雇用対策は、FRBの数ある大きな仕事のうちの一つであることははっきり認識されており、雇用が悪化すれば、FRBの金融政策の失敗であるとみなされます。改善すれば、成功とみなされます。 
この中央銀行の金融政策による雇用調整は、世界ではあたりまえの事実と受け取られていますが、日本だけが、違うようです。日本で雇用というと、最初に論じられるのは、冒頭の記事のように、なぜか厚生労働省です。

このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。 
これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。
日本では、やはり新卒採用という雇用慣行があったからこそ、若者の雇用はさほど深刻にならなかったという側面は否めません。15年くらい前までは、とにかく学校を卒業さえすれば、なんとわなしに就職先はある、特に贅沢をいわなければ、どこかには必ず勤められるという考えが多くの人々にありました。

実際に、そうでした。しかし、日本はデフレに突入してから15年以上も経過するという、とんでもない状況に陥ってしまいした。そうした中では、新卒雇用もかなり減って、ご存じのように学校を卒業してもなかなか就職できないのが当たり前になってしまいました。

これでは、せっかくの世界に誇る日本の新卒定期採用という若年層に対する優しい雇用慣行がありながら、それが機能せず若者世代を経済的に虐待する結果となっています。

これは、若者にとっても、日本という国にとっても、不幸なことです。そうして、日本以外の欧米の国々のように、新卒雇用という雇用慣行がないからこそ、当たり前になっている、若者の雇用は中央銀行の責任という認識を多くの日本の人々にも持っていただきたいものです。

政治家、官僚、識者はもとより、多くの一般の人々にこのような考えが、認識されれば、そもそも若者を塗炭の苦しみに追いやるような、デフレがこれほどまでも長い間放置されることはなかったと思います。

日本の無限地獄 デフレはいつまでたっても克服されそうにない

そうして、若者雇用は中央銀行の責任という考え方が定着していれば、せっかく日銀が異次元の包括的金融緩和をやっているにもかかわらず、政府が緊縮財政の一環である、消費税増税など実施するなどということは、考えおよびもつかないことであり、本来は減税すべきであったということも、受けいられられるに違いありません。

とくにかく、これから日本の将来を担っていく若者に対して、これ以上経済的虐待を加え続けることは一刻もはやくやめるべきです。そのためにも、金融緩和の腰を折るような、消費税再増税などすべきではありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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