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2017年11月1日水曜日

小泉進次郎氏「総理養成ギプス」装着され安倍氏も恐れる男に―【私の論評】総理は進次郎ではなくその背後の財務官僚を恐れている(゚д゚)!


小泉進次郎氏
 霞が関の若手官僚たちが1人の若手政治家を“促成栽培”している。総選挙で安倍首相以上の動員力を見せつけ、「自民党の新しい顔」となった小泉進次郎・筆頭副幹事長だ。

 進次郎氏を囲む勉強会ではとくにこの数か月、熱気あふれる議論が交わされてきた。「進次郎内閣」の政権構想をつくるためのブレーンストーミングである。この動きに神経を尖らせて情報収集している内閣官房の官僚が語る。

 「進次郎は1年ほど前から将来の首相の座を意識して官僚を集めた勉強会を立ちあげている。先行しているのは財務省の中堅官僚グループで、超高齢化社会をテーマに進次郎政権の柱となる政策づくりをしてきた。

 それに対抗しているのが経産省の若手女性キャリアを中心とする勉強会。高齢化社会の産業構造や自動運転技術などの無人化社会、移民政策など分野ごとに各省の若手に積極的に声をかけて参加者が増えている。最近では進次郎も同じ年代の官僚が多いこっちの勉強会が気に入って、“経済が停滞する時代にはどんなメッセージが共感を得るのか?”など、質問も多いと聞いている」

 官僚の指導は政治家としての立ち居振る舞いにも及ぶ。その振り付け指導は勉強会が立ち上がった昨年から始まった。

 進次郎氏が地元・横須賀にある防衛大学校の開校記念祭(昨年11月)に当時の稲田朋美・防衛相とともに出席したときのことだ。

 「このとき、ブレーンの官僚たちは進次郎に“稲田と並んで歩くときは半歩でもいいから前を行くこと”を強くアドバイスしていた。メディアは総理のお気に入りだった稲田大臣を中心にカメラを回すから、決して後ろに従う姿を見せずに、前を行く構図で報道されることが総理・総裁候補として有利な位取りにつながるという判断です」(同前)

 驚くのは、安倍首相に対しても、その「位取り」を意識していることだ。応援演説ではアベノミクスの成果といった政策には一切言及せず、「社会保障の負担を次の世代に残すべきではない」と持論を展開。“オレは安倍さんとは政策が違う”とアピールし、

 「安倍総理だっていつまでも総理じゃない」

 と、巧みな弁舌で聴衆を笑わせる。

 かと思うと、街頭演説で枝野幸男・立憲民主党代表とぶつかれば、10分間、沈黙して演説を“拝聴”してみせる。どんな行動をとれば自分の価値を高く見せることができるかをしたたかに計算している。すぐにキレてしまう安倍首相には真似できない芸当だ。

 官僚たちに“総理大臣養成ギプス”をつけられて訓練を受けてきた進次郎氏は、総理・総裁候補としての存在感をどんどん増し、いまや間違いなく「総理が最も恐れる男」となった。

 ※週刊ポスト2017年11月10日号

【私の論評】総理は進次郎ではなくその背後の財務官僚を恐れている(゚д゚)!

安倍総理は、小泉進次郎氏個人を恐れることは全くないでしょう。そうではなくて、その背後にいる官僚、特に財務省主計局の官僚を恐れているのです。

小泉進次郎氏に関しては、以前もこのブログに掲載したことがあります。これをご覧いただければ、なぜ安倍総理が小泉進次郎氏の背後に存在する、財務省官僚をおそれるのか、その理由がおわかりいただけると思います。その記事のリンクを以下に掲載します。
小泉進次郎が「こども保険」にこだわるホントの理由はアレしかない―【私の論評】経済における清貧思想が生み出した緊縮脳こそが社会の害悪(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の元記事となった田中秀臣氏の記事をそのまま全部引用します。
 毎年、3月11日になると、2011年3月にどんなことが起きたのか、当時の記録が掲載されている自分のブログを見て思い出すことがある。もちろん東日本大震災の悲惨な被害、そして失われた多くの命、さらには「人間的価値の毀損(きそん)」という事態の前では、いまだ復興への道のりが遠いことに思いを強くしている。だが、今日書きたいのは、当時の「非人道的」ともいえる動きである。
2011年6月、党首討論で発言する自民党の谷垣禎一総裁(左)と、菅直人首相

 それは2011年3月13日、当時の民主党政権の菅直人首相と自民党の谷垣禎一総裁の会談において、復興政策の一番手として増税政策があげられたことだ。その時点では、被害の実態も把握できず、復興自体よりも人命救助に努力を傾注すべきときだった。もちろん福島第二原発の状況は予断を一切許さない緊迫したものであった。 
 さらにこの増税政策は、後に設置された政府の「復興構想会議」などでも最初の具体的提案として、議長や委員から提起されている。実際に復興政策として何を行うかさえもはっきりしない段階において、である。 
 この復興構想会議では、事実上、後に「復興特別税」となる増税構想だけが具体的に決まったといっていい。当時、複数の復興構想会議の委員に会ったが、いまでも印象に残るのは、「僕らは経済のことはわからないから」という発言だった。経済のことを理解していない人たちが、なぜか増税だけを最優先にかつ具体的に決めたというのはどういったことなんだろうか。 
 さらに時間が経過していくにつれてわかったことだが、この復興特別税での当時の与野党の連携は、民主党・自民党・公明党による「社会保障と税の一体改革」、つまりは今日の消費税増税のための「政治的架け橋」になっていたことだ。
 つまりは、大震災で救命対策が必要とされる中、消費増税にむけた動きが震災後わずか2日後には本格化していたことになる。つまりは震災を人質にしたかのような増税シフトである。これが冒頭で書いた「非人道的な動き」の内実である。
  実際、民主党政権はその政治公約(マニフェスト)の中には、消費増税のことは一切書かれていなかった。だが、この震災以降の増税シフトが本格化する中で、当時の野田佳彦首相(民主党、現在の民進党幹事長)は、自民党と公明党とともに消費増税を決定した。日本では社会と経済の低迷と混乱が続いていたにもかかわらず、ともかく消費増税だけは異様ともいえるスピードと与野党の連携で決まったのである。この消費増税は後に法制化され、第2次安倍政権のもと、日本経済を再び引きずり下ろす役割を果たした。その意味でも本当に「非人道的」であった。 






















 さてこの動きと類似した消費増税シフトをいまの政治の世界でも見ることができる。自民党の小泉進次郎議員が主導する「2020年以降の経済財政構想小委員会」が発表した、いわゆる「こども保険」だ。現在の社会保険料に定率の増加分をのせて、それで教育の無償化を狙うスキームである。「こども保険」と呼ばれているが、実体はただの「こども増税」である。以下でも詐称を控えるためにも、「こども保険」ではなく、正しく「こども増税」と表記する。
 小泉議員らの主張によれば、高齢者に偏重する社会保障体系を、若年層向けに正す効果があるという。この一見するとあらがうことが難しいようなスローガンではある。だが、これがくせ者であることは、冒頭のエピソードを読まれた読者はピンとくるはずだ。 
 消費増税シフトは、そもそも震災復興を契機に仕込まれ、そして社会保障の充実という名目で選挙公約を無視してまで導入された。この経緯を踏まえると、小泉議員らの「こども増税」は、消費税増税シフトを狙う政治勢力の思惑ではないか、と推察することは可能だろう。 
 もちろん「こども増税」自体が消費増税ではない。「こども増税」は、消費増税をより実現しやすくするための、政治勢力の結集に使われる可能性があるのだ。小泉議員は国民の人気が高い。いわば「ポスト安倍」候補の一人であろう。
 現在の安倍政権は、首相の決断によって過去2回消費増税が先送りされた。さまざまな情報を総合すると、安倍首相の財務省への懐疑心はいまも根深いとみられる。なぜなら財務省は2013年の消費増税の決定時期において、「消費増税は経済に悪影響はない。むしろ将来不安が解消されて景気は上向く」と説明していたからだ。もちろんそのようなトンデモ経済論は見事に外れた。日本経済がいま一段の安定経路に入れないのは、この消費増税の悪影響である、と首相は固く信じているようだ。そのための二度の消費増税延期である。
 このような首相の決断は、財務省を中心とする消費増税派からすれば脅威に思えるだろう。今後の消費増税は本当に実施されるのか、また10%引き上げ後も財務省が現段階で狙っていると噂される15%以上への引き上げの道筋が早期にめどがつくのかどうか、彼らは不安であろう。 
 ある意味で、ポスト安倍の有力候補としての力の結集、または現段階で安倍首相を与党の中で牽制(けんせい)する「消費増税勢力」が誕生した方が得策である、と消費増税派は踏んでいるのかもしれない。もちろん「こども増税は、消費増税を確実にするための前ふりですよね」と、小泉議員らにいっても即座に否定するだろう。だが、同時に思い出されるのは、数年前に復興構想会議のメンバーに「この増税路線は消費増税路線の一環ではないか」とただしたとき、「そんなことはない」と一笑にふされたことだ。今回はだまされたくはないものである。
これをご覧いただければ、なぜ安倍首相が小泉進次郎氏個人ではなく、その背後に存在する、財務省主計局を恐れるかが良くおわかりになると思います。

まさに安倍総理は、財務省主計局主導による、ポスト安倍の有力候補としての力の結集、または現段階で安倍首相を与党の中で牽制する強力な「消費増税勢力」の構築を恐れていのです。

財務官僚は小泉進次郎氏を将来の増税勢力の要として、小泉進次郎氏を“促成栽培”しているのです。

今回の衆院選で応援演説をする小泉進次郎氏
与野党問わずに、現状の「ポスト安倍」と目される政治家や政治勢力は、財務省の消費増税路線の走狗に過ぎません。消費増税は財政再建のための「手段」でしかないのですが、しばしば「手段が自己目的化」しています。

まさに消費増税ありきの財務省の走狗のような政治家が日本の圧倒的大多数です。むしろ財務省的な経済政策観をもたない政治家を数える方が容易なくらいです。アベノミクス(の金融政策中心)的政策観をもつ国会議員は、その数は二桁にも満たないでしょう。

財務省は、消費増税が自己目的化しているので、それに貢献する政治家たちもすべて消費増税のための道具にしか過ぎません。そもそも、財務省的な経済政策観をもつ政治家は腐るほど存在しているのです。

自民党の中の「ポスト安倍」と目されている人たち―稲田朋美元防衛大臣、小泉進次郎衆議院議員、石破茂衆議院議員らーの過去の発言をみれば、消費増税ありきの財政再建主義か、もしくは金融政策中心のデフレ脱却への懐疑や批判が明瞭です。

稲田大臣は、先の再延期の前には「消費税をまず1%引き上げる」案をだしていましたが、これも「なぜそもそも消費増税を経済が低迷しているときに増税そのものにこだわるのか?」という疑問に一切答えていません。

消費税引き上げが自己目的化したものです。そうして、小泉議員はさらに深刻です。先の再延期のときの報道を読むかぎりでは、消費増税先送りへの懐疑的な態度にくわえて、親譲りなのでしょうか。とにかく経済的な倹約(社会保障の見直し)という視点しかありません。

むしろ消費増税は積極的に先送りすることで、経済成長を安定化させ、そこで財政再建(社会保障制度の積極的な拡充)も実現していくべきなのでしょうが、その手の発想は過去の発言をみるかぎり希薄です。

石破議員は、デフレ脱却を金融政策中心で行うと高いインフレに帰結するなど副作用の可能性を指摘してきました。いずれも財務省の消費増税路線やその背景にある財政再建主義に親和的です。とりあえず代表的な三者をあげましたが、他の政治家もごく少数を抜かして同じ考えです。

財政再建は大事かもしれません。しかし、経済が十分に復活しないときに、増税や財政支出の緊縮を行えば、それは国民の経済生活を困難なものに陥れることになります。財政再建は経済のまともな発展の副産物にすぎないものです。

国民の多く特に市場関係者は、この財務省的な政策観が「狂ったもの」であることにうすうす気づいているのではないでしょうか。

しかしこれは、現状では安倍政権以外に、まともな経済政策観を抱く有力な政治勢力がないことを示しており、そのことが日本の潜在的なリスクといえると思います。

このリスクを避けるためには、やはり政党の近代化は避けて通れません。

政党の近代化については、昨日のこのブログにも掲載したばかりですが、これは聞きなれない言葉だと思います。

毎年のように、年末になると政党助成金を目当てに新党が結成されます。そもそも政党助成金は金権政治の温床となる無理な資金集めを解消するとともに、政党を近代化する条件で導入された制度です。ところが、「政党の近代化」という言葉はとっくに死語になっています。

近代政党には、三つの要素があります。

綱領、組織、議員です。

明確な理念をまとめた綱領がある。綱領に基づいて全国組織が形成される。全国の政党支部が議員を当選させる。その議員たちは政策の内容で競い合い、自由で民主的な議論で党首を決める。選ばれた党首は直属のシンクタンクとスタッフを有し、全国組織に指令を下す。

この条件に当てはめると、自民党(別名・自分党)は近代政党ではありません。議員に個人後援会や圧力団体がくっついて、派閥の談合によって党首を選んでいるだけです。

自民党が有する最大のシンクタンクは官僚機構(つまりは予算を握る財務省主計局)ですが、ヨーロッパの政党は官僚機構に対抗できるシンクタンクを自前で揃えています。

確かに自民党の議員も早朝から「朝食会」などと称し、熱心に勉強しているといわれています。しかし、問題はその中身です。実態は官僚を呼んで情報をもらっているにすぎませんから、そもそも官僚に都合の悪い情報が入ってくる余地がありません。政治家たる者、官僚と会う前に勉強をしておくべきなのに、官僚から勉強を教えてもらっているのです。

小泉進次郎氏も、「朝食会」に出席し、日々官僚から勉強を教えてもらっています。それだけではなく、霞が関の若手官僚たちに“促成栽培"してもらっているわけですから、1〜10まで官僚に都合の良い情報しか頭にはいらないでしょう。これでは、まともな政治家にはなれず、官僚の道具になるだけです。

"反アベノミクスの勉強会"講師は、財務省寄りの大学教授
イギリスなどでは、無論シンクタンクは存在しますが、それ以外にも自前でブレーンを用意して勉強した政治家だけが、党の出世階段を上ります。というより、自前である程度勉強しないと、高度な能力を持つシンクタンクの政策提言も理解できません。

政治の世界において、政党と官僚は化かし合いです。官僚の言うことばかり聴いていては、本来政治家は勤まりません。かといつて、かつての民主党のように「政治主導」などといいながら、その実は表向き官僚に仕事をさせないようするだけでは、政府が機能しなくなります。

かつて民主党の事業仕分けは財務省のシナリオにもとづき行われた
近代政党の政治家は、まずは自分でも勉強し、シンクタンクの力も借りて、官僚を従えて、自分の方針通りに仕事を十分にさせ、その上で失敗すれば自分が責任を取るのです。

日本でも、まともな近代政党をつくらなければ、官僚自己目的的なふるまいは永遠に是正されないでしょう。しかし、いますぐには不可能です。であれば、小泉議員のような議員こそ、自前でブレーンを用意し、勉強する以外にありません。

しかし、ブレーン選択に失敗し、官僚寄りのブレーンを選択してしまえば、やはり官僚のいいなりで、官僚の都合の良い道具にされるだけです。というより、今は安倍首相とその一部の側近等一部を除いたほとんどすべての政治家が財務省の道具です。マスコミもそうです。政党の近代化をないがしろにしてきたつけが、これです。
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