現在60歳くらいの団塊の世代が30歳から40歳の人生で最も消費が旺盛な年代だったころとは、今から30年~20年前ということになります。つまり、1977年~1987年ということになります。
この時代は高度成長の余波が続き、経済が順調に伸びて拡大していった時代にあたります。ここからしばらくすると、不況に見舞われいわゆる失われた10年という時代、さらにデフレの時代が続きます。いずれにせよ、マス・生産、マス経済、マスマーケティングが通用した時代であり、小売業ではダイエーやイトーヨーカドーがどんどん業績を伸ばしていた時代にあたります。
この時代のいわゆる団塊の世代の人々の時代は、マス経済の申し子であり、安くて品質の良いものであれば、誰にでも受け入れられる時代だったといえます。この時代だと、たとえば、チラシに目玉商品を入れて販促をすると必ず売れるとか、菓子類なども宣伝をすると売れる時代でした。
上の写真は、堺屋太一氏の30年前の著書です。団塊の世代とは堺屋氏がこの著書で述べてより、日本でよく使われる言葉になりました。
イトーヨーカドーなどでは、変化への対応も重要ではありましたが、いわゆる基本の徹底を行えば確実にモノが売れた時代でした。いわゆる大衆という人々が存在し、大衆向けの商品は確実に売れる時代でした。
ところが、この人々の子供にあたる、団塊の世代ジュニアの時代には、もはやマスの時代ではなく、モノやサービスが充足され、ただ安くて品質が良いだけでは売れない時代に入っていました。ダイエーやイトーヨーカドーの大型店などにかげりが見えてきて、従来のようなやり方では物が売れない時代に入りました。
もはや大衆は存在しない時代となりました。ただモノが売れないだけではなく、大衆が存在しないことから、大衆に対してモノを売っていたのでは、多くの人にそっぽを向かれなかなか買ってもらえない時代に突入したのです。
団塊の世代が30歳だったころには、日本も格差が少ない社会で、日本の景気がよくなれば、全体がよくなりました。しかし、いまでは、景気が回復したからといってすべての人がうるおう時代ではなくなりました。格差社会といわれてから、久しく、景気がよくなってもすべての人が恩恵にあずかれる時代ではなくなったのです。
そのため、私が提唱する日本最後のフロンティアであるホーム関連市場、たとえば、家庭でシステムキッチンであるとか、これに含まれるオーブンレンジなどを使いこなせるようにする商品・サービス群に関しても一昔前の大衆相手のマスマーケティングはまったく成り立たないことになります。では、日本最後のフロンティア市場に関してどのような視点を持てばよいのでしょうか?それに関しては次回掲載します。
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