海を越えてアメリカでも報じられたというわけだ(screenshot:blogs.wsj.com) |
アメリカの大手マスメディア「お粗末すぎるおせち料理」問題を大々的に報じている。クーポンサイトで飲食店のおせち料理(10500円)を500人がインターネット購入したものの、届いたおせち料理の中身が極端に少なかったり、腐っていたという騒動である。
当初はインターネットニュースサイトだけが報じていたこの騒動だが、次に大手新聞社が伝え、そして最終的にテレビ局各社のワイドショーが報じ、大きな問題として国民に知れ渡ることになった。この問題に対してホリエモンこと堀江貴文さんまでもが言及し、販売したクーポンサイトや飲食店に対して、多くの批判の声があがっている。
そんな騒動が海を越えてアメリカでも報じられたというわけだ。『Wall Street Journal 』はおせち料理が日本人にとって大切な正月行事の料理である事を伝えつつ、お粗末過ぎる内容のおせち料理を写真つきで紹介していた。
『Wall Street Journal 』の記者は記事の最後に「まあ、来年はいいことあると思うよ?」とコメントし、この騒動を伝えている。こんな散々なおせち料理が届いたのだから、来年こそはいつもの数倍くらい幸せでめでたい正月をおくってほしいものだ。
【私の論評】来年ではなく、今年いいことがあると思うよ!?
良い、悪いは別にして、おせちに関して、これほど年初に話題になったことは、いまだかつてなかったのではないでしょうか?
おせちに関しては、今でも、あまりその語源など掲載されていないので、以前もこのブログに掲載したことがありますが、ここに改めて掲載しておきます。
先ず、小学館発行の大辞泉という辞典で「御節」を調べてみると、次のような説明が書いてありました。
[1] 節(せつ)の日に特につくる料理やお供えの餅。
[2] 正月や五節句などの節日(せちにち)の事。
このことからもわかる通り、元々は『御節』=『正月料理』の意味ではありません。
では、「おせち」という言葉が、私たちの中で、特にお正月に食べる料理を指す標準語のようになったのは、いつ頃からなのでしょう? 食の文化史(著:大 塚滋/中公新書)によれば、御節が重箱に詰めた正月料理を指すようになったのは、第二次世界大戦後の話しなのだそうです。なんでも、デパートでお正月料理 の箱詰めを売り出す際に、「おせち」という言葉を使ったため、日本中に「御節」=「正月料理」というイメージが広まったのだそうです。
さらに、語源を調べていくと、以下のようなことがわかりました。
そう考えてお節の語源を調べた所、「おせち」とは、古代より朝廷で使われている「御節供」(おせちく)の略だという事がわかりました。
「御節供」(おせちく)とは、朝廷の節日に行われる宴‥‥節会(せちえ)の席で振舞われる御馳走の事で、平安時代には、1月1日に元日節会(がんじつの せちえ)、1月7日に白馬節会(あおうまのせちえ)、3月3日に上巳祓(じょうしのはらえ)、5月5日に端午節会(たんごのせちえ)、6月晦日に六月祓 (みなづきはらえ)、7月7日に乞巧奠(きっこうてん)などの節日がありました。この節日に神に供えたり、お客さまに出された「御節供」(おせちく)が、 「おせち」と略され、主に正月料理を意味するようになり、又、「お節句」と文字を変えて、3月3日のひな祭りと、5月5日の端午の節句をあらわすように なったのだそうです。いずれにせよ、多くの人たちが、現在伝統的で、昔からあると思い込んでいる現在の形のおせち料理は、 戦後にデパートが売り出したのが初めということで、歴史の短いものであるということです。そういわれてみれば、私も、昔、祖父母の家でいただいた正月料理は、お節などという呼び方などしていませんでした。それに、お重にも詰めておらず、御善に盛られていました。父母の家でも、今でも、お節などという呼び方しません。お重にもつめていません。
ライフスタイルが変わっていくのですから、正月料理も時代にあわせてかわっていくのは当たり前の事と思います。
そういうこともあり、私の家でも、今回ははじめて、ネットで注文してみました。注文したのは、12月18日でした。この時期だと、すでにかなりの商品が50%引きになっていました。配達日は、30日で、冷蔵庫の中に入れてゆっくり解凍して、ちょうど1日に食べごろということになっていました。下が、その写真です。
4重でしたが、小さめなので、通常なら2重というかんじです。小さく、いろいろなものが少しづつ入っていて、良かったです。現物と、ネットでみたものとの差異もほとんどありませんでした。おそらく、それなりに、定評のあるネットで注文すれば、今回報じられたようなことはないと思います。グルーポンも、今回の出来事を反省して、商品管理を厳重にして欲しいものです。
お節に限らず、正月料理や、日本人が四季折々に食べる食材には、いろいろと験担ぎをしたものが多いです。また、日本人は、運の尽きなどとい観念を持ち合わせています。そうです。どんな人にも、平等に運があるものと信じています。だから、悪いことが続きすぎても、良いことが続きすぎても、運の尽きで、悪いことも、良いことも何時までもつづくことはないと信じています。
だから、今回グルーポン被害にあわれた方も、日本人がこのような観念を持っていることを知らない海外メディアでは「来年は良いことあるとおもうよ」としていますが、私は、これは、「今年は良いことがあると思うよ」になると思います。なぜなら、年の始めに運の悪いことが起こってしまったので、年内にはきっと良いことが起こると思うからです。
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