2011年11月10日木曜日

偽札作りを「ニコニコ動画」で実況中継 財務省が激怒、警察に通報した―【私の論評】この犯人は、半分正しく、半分間違っている!!

偽札作りを「ニコニコ動画」で 実況中継 財務省が激怒、警察に通報した


動画投稿サイト「ニコニコ動画」内の一般ユーザーによる生放送で、1万円札3枚をスキャナーにかけコピーして、「俺が 日本のデフレを解消する」などと主張する映像が流れたため、ネットが一時騒然となった。  財務省にはこの動画に関する報告が2011年11月10日朝に、一般の人達から相次いだ。

財務省ではこの動 画を直ぐに確認し「非常にけしからん行為」として警察に通報した。 日本のデフレ解消はとっても簡単?    問題の動画には見た目が20歳くらいの男性が登場する。 「俺が日本のデフレ、今、解消します」「失業率、これ、下がるよ」 などと言いながら、自宅と思われる部屋のコピー機に 1万円札3枚を並べてスキャン。3枚の1万円札の表面が印刷されたコピー用紙を手に持って、お札はコピーガードかか っているためコピーは不可能と聞いていたが、普通にできる、と紹介。

「今、地球上に1万円札が3枚増えました」 「3枚あればラーメンだって何杯でも食えるよ。でも、俺はグルメだから、ラー メンなんか食わないけどね」 などとカメラの前で捲し立てた。なぜかその男の服装は、パンツ1枚だけだった。

ちなみに、以下がその動画です。YouTubeに転載されていました。


この動画を見た人達は、お札をコピーするのは犯罪行為だと騒然。また、この男はこれまでもこうした過激な生放送を してきた、などと非難が起きた。動画のコメント欄は、 「コピーはやめろ!ぜったいやめろ」 「誰か警察に通報、通報! !」 などと大勢が書き込む結果になってしまった。

財務省「見たことも聞いたこともない出来事だ」    財務省に話を聞いてみたところ、10日朝、この動画 を見たと思われる一般の人達から電話などで連絡が入った。問題の動画を検証したところ、これらの行為は通貨偽造 、通貨模造にあたり、また、犯罪を助長している可能性もあるとし、警察に通報したという。 「紙幣をコピーする行為を 生放送したなど、今まで見たこともなかった」 などと財務省の担当者は困惑している。

「ニコニコ動画」の生放送では、部屋の中で花火をしてぼや騒ぎをおこして警察沙汰になった、ということなども 過去に起きている。


【私の論評】この犯人は、半分正し く、半分間違っている!!
さて、これは紛れもない犯罪です。皆さんも絶対に真似はしないでください。この犯人、ニコニコ動画に掲載して、紛れ もない証拠を残しています。愚かです。 犯罪は別として、この犯人の主張が正しいのかどうか考えてみましょう。結論から言えば、この犯人の言うことは半分正 しく、半分間違いです。 この犯人は、デフレは増刷することでできるとしていますが、それは間違いです。

確かに、今の日銀は、増刷拒否の姿 勢を崩していません。だから、震災になって、円の需要が増えいるにもかかわらず、円紙幣が少なく、そのため、円高 傾向になっています。為替レートを予測することはかなり難しいですが、中央政府が増刷しないほうしんならば6割がた は通貨高になるのは当然のことです。だから、現状の円高は、当然の結果ともいえます。

この犯人、円高克服などとしていれば、その主張はかなりの信憑性があったものと思います。 しかし、デフレの克服はできません。デフレの克服には、中央銀行が増刷して、金融緩和が実現されてもなかなか難し いです。

これは、常識的に考えてもわかることです。デフレで仕事や雇用が滞っているときに、金融緩和だけしてもあまり 効果は期待できません。 日銀が、紙幣を増刷して、市中の銀行にお金がいきわたり、金融緩和して、お金が市中銀行にたくさんあったとしても 、デフレの状況では、仕事や雇用がないので、市中銀行がお金を貸したくても貸す先がないわけです。

これは、たとえば、都営銀行である、新銀行東京は、中小企業は、銀行からお金を借りたくても借りることができないか ら企業経営がうまくいかない、だから、かわって、都営銀行が中小企業にお金を貸し付けるという趣旨のもとに設立さ れた銀行です。しかし、この都営銀行どうなったでしょうか。 デフレの時には、中小企業は、仕事がないし、個人では、雇用もなくなるために、借り手が非常に少なくなるのです。だ からこそ、新銀行東京も経営不振で、税金を400億円もつぎこまなければならくなったのです。

他にも、このような理念 のもとに、設立された銀行が駄目になっていました。 では、増刷だけでは駄目だとすれば、他に何をすれば良いかといえば、それは、政府の大規模な財政出動です。

そうで す、政府が、たとえば、公共事業などを大規模に実施して、市中にお金が回るようにすれば良いのです。政府が元受 で事業を実施すれば、元受以外にも多くの業者にお金が落ちます。 そうすると、その業者は、仕事のために原材料を購入したり、人を雇います。原材料を販売した会社も、また、仕事が くるという見込みのもとに、増産したり、人を雇用したりします。

そうして、そのために、銀行からお金を借ります。そういうこ とかまわりわまって、景気がよくなり、デフレが解消されていくことになります。そうして、これが、加熱すれば、インフレになり ます。 これが、典型的なマクロ経済で教えるデフレ克服法です。しかし、ここ20年ほどは、日本ではデフレ傾向が続いていた にもかかわらず、政府は緊縮財政をして、公共工事など怠ってきました。そのため、最近では、耐用年数を過ぎた橋や 、トンネル、道路がかなり多くなっています。


実際に、老朽化する道路や橋などのインフラの更新にかかる費用が今後50年間で190兆円に達する、との試算を 国土交通省がまとめています。2037年度には、維持管理と更新に必要な費用を公共事業予算で賄えなくなり、耐 用年数を過ぎた道路や橋がそのまま放置される恐れもあるといいます。

高度成長期に集中的に整備されたインフラの老朽化が一斉に進むため、29年度には全国の橋、河川管理 施設、港湾岸壁の半分が完成後50年以上となるそうです。公共事業予算が今後、今年度と同じ水準で推移した 場合、37年度には維持管理費3.6兆円と更新費4.4兆円、災害復旧費0.5兆円でほぼ予算を使い切り、新た な建設は一切できなくなる、としています。

しかし、国土交通省の見落としている点は、こうした工事を過去にやっていれば、先の理屈で、デフレは克服され、経 済も上向き、税収が増えていたということです。

この犯人、デフレ克服安に関しては、お札の増刷と答えていましたが、結局は、半分はあっていたので、100点満点中 50点をあげられます。

良くばら撒きは良くないといわれ、過去20年間にそれを実施した小渕政権や、麻生政権を非難する人もいますが、デ フレのときのばら撒きは、上のような理屈から決して悪いことではないです。ただし、あまりにも無駄なものにお金をつぎ 込むことは良くないことです。たとえば、あの悪名高い箱物行政はその典型です。箱物行政は結局、投下されたお金が、将来的に無駄になってしまいますので、もちろん避けるべきですが、将来役にたつものまで、ばら撒きとするのは、いかにも短絡的です。

とにかく、ばら撒きによって、間違いなく人々に確実にお金がまわり、 結果として、市中にお金が潤沢に出回るようになれば、デフレは間違いなく克服できます。この犯人も、お金を増刷す るというだけではなく、たとえば、かなり増刷したお金をヘリコプターで全国にばら撒くなどとすれば、金融緩和ならびに財 政出動を一挙に行うことになり、満点ということになったかもしれません。

農薬を散布するヘリコプター
しかし、日本の歴代の政府は、デフレだというのに、この20年間、緊縮財政ばかりやってきました。日本の中央銀行で ある日本銀行は、この20年間増刷拒否の姿勢を崩しませんでした。なんのことはない、どちらも、点数をあげることが できずに、0点ということでこの犯人よりも結果として劣ることになります。

日本国をつかさどる国の機関である、政府と、日銀が両方かかっても、この犯人には勝てないということです。困ったこと です。この両者はとにかく、インフレにさえならなけば、それで良いと思っているとしか考えられません。

それに、この話の中 にでてくる財務省もそうです。特に、このデフレのさなかに増税しようとする姿勢は全くいただけません。デフレのときには、 減税するというのならわかりますが、増税するというのは、歴史的にみても、地理的にも世界中を見回しても、成功した 例はみあたりません。日本も明治維新以降、これで大失敗した例がいくつかあります。

にもかかわらず、また大失敗しよ うというのでしょうか?結局、パンツ一丁の愉快犯よりも劣るということでしょうか?皆さんは、どう思われますか?

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