2012年8月30日木曜日

増税と円高政策で「製造ニッポン」は壊滅寸前。1万9000社に迫る「為替デリバティブ倒産」の危機―【私の論評】まともな金融政策で、さっさと円高・デフレを終わらせろ!!

増税と円高政策で「製造ニッポン」は壊滅寸前。1万9000社に迫る「為替デリバティブ倒産」の危機:



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[ 伊藤博敏「ニュースの深層」 ]
増税と円高政策で「製造ニッポン」は壊滅寸前。1万9000社に迫る「為替デリバティブ倒産」の危機 
[伊藤 博敏]


絶体絶命のピンチを迎えたシャープは、なりふり構わぬリストラと台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業との資本・業務提携、及びそれを条件とした銀行支援で、なんとか乗り切ろうとしている。



【私の論評】まともな金融政策で、さっさと円高・デフレを終わらせろ!!


上の記事の結論を以下に掲載しておきます。
不況の処方箋は「財政政策」と「金融政策」 
 実は、この構造不況からの脱出には、処方箋がある。 
 米経済学者のポール・クルーグマンは、最近、上梓した『さっさと不況を終わらせろ』のなかで、「不況期には財政政策と金融政策の二つを大胆に発動せよ!」と、繰り返し述べている。話を金融政策に限れば、大胆に金融緩和、円の流通量を増やし、相対的な円安に持って行けばいい。 
 日銀批判の急先鋒の高橋洋一・嘉悦大学教授は、「5年前の1ドル=120円、せめて100円くらいの為替レートにすれば、国際市場で活動する日本企業は復活できる」(『夕刊フジ』8月24日付)と書く。
 相対的な円安に持っていくことができれば、シャープもソニーもパナソニックも海外メーカーと互角に戦え、しかも為替デリバティブに悩む中堅・中小企業も激減する。 
 処方箋は明らかだが、健全財政の財務省は野田佳彦首相を口説いて「不況下の増税」を達成、日銀は白川方明総裁のもと円高政策を継続する。 
 政局にしか興味のない政治家の体たらくもあって、このままでは日本は、奈落の底に落ちるしかない。

今日本がやらなければならないことは、はっきりしすぎています。あまりにも簡単すぎて、高校生にも理解できるくらいです。高校の政治経済の教科書には、不況の際の処方箋は、政府による積極財政政策と、中央銀行による金融緩和策です。クルーグマンの『さっさと不況を終わらせろ』に関しては、このブログにも掲載しましたが、クルーグマンも結局当たり前のことをせよと説いているだけです。
後に、50円札の肖像ともなった高橋是清
世界恐慌のときに、日本では、高橋是清が、リフレ政策=「積極財政」*「金融緩和」をやって、昭和恐慌からいちはやく立ち直りました。アメリカは、不況にあっても緊縮財政、金融引締めの罠にはまっており、戦争に参加するにおよび、大量の兵器の製造、大量の戦争遂行のための人員要請などのニーズから緊縮財政、金融引き締めをやめざるを得なくなり、その結果として恐慌から抜け出すことができました。

第二次世界大戦中のアメリカの戦意高揚ポスター
こんな先例もあるのに、なぜ、日本ではまともなことができないのでしょうか?簡単なことをいえば、普段より多く貨幣を増刷しただけで、円高傾向は是正されます。なのに、日銀は、何があっても、増刷拒否の姿勢を崩さず、円高・デフレ政策をどこまでも継続しています。

日本は、統計上では、平成10年より、完璧にデフレ状況になっています。デフレ傾向の期間も含めるとすでに20年デフレ傾向にあります。その間、政府が緊縮財政を行なってきましたが、日銀が、金融引締めばかりやってきたことも事実です。

日本では、特に日銀による金融引締めは、異常ともいえる状態です。爆走状態です。リーマン・ショックで、他国が大幅に増刷しても、日銀はしませんでした。他国が、増刷して、日本だけが増刷しなければなにが起こるかといえば、円高です。何も難しいことはありません。簡単な理屈です。



さらに、昨年の大震震災があって、復興需要が高まり、円の需要が高まっている最中でさえ、日銀は、増刷しませんでした。円需要が高まっている最中に、増刷しなければ何が起こるかといえば、円高です。これも、何も難しいことはありません。全く簡単な理屈です。小学生にも判る簡単明瞭な理屈です。

増刷すると、ハイパーインフレになると主張する愚かな、リフレ反対論者がいますが、デフレとは、貨幣流通量が減っているいるということです。そのときに、増刷して、貨幣の流通量を増やしたら、インフレ傾向になるのは当然ですが、それをもって、ハイパーインフレになるというのは、全くおかしな理屈です。実際、多くの国が、リーマン・ショックのときに、大増刷を行いましたが、これらの国々がハイパーインフレに見舞われたという事実はありません。

第一次世界大戦後のドイツでのハイパーインフレ(道路にお札が捨てられている)
それに、付加価値税を増税して、景気が落ち込んだイギリスで、イングランド銀行が大増刷を行い、しばらくの間、4%のインフレが続いていました。これが、反リフレ派の不況の時に増刷すれば、ハイパーインフレになるとの有力な根拠となってきました。これも、最大で4%台であり、しかも、最近では2%で落ち着くようになりました。

これだけ、日本国内の産業を痛めつけても、なお、増税、円高、デフレ政策にひた走る、政府、日銀を評して、経済評論家の上念氏は、大東亜戦争に突入したときの政府である政府にたとえ、「近衛政権末期症状」と揶揄しています。

私も、その通りだと思います。現在、米国も、EUも中国も、景気が下向き、当面よくなりそうもありません。まさに、世界同時不況目前という状況です。世界同時不況にみまわれて、それでも、日銀が、円高・デフレ金融政策にひた走るというのであれば、これは、外国に対して、日本の富の簒奪を幇助するということであり、もう国民に対する反逆行為と断定せざるをえません。

そう思うのは、私だけでしょうか?それから、増税に関しては、天の声があり、増税推進派に対する鉄槌がくだされた模様です。これは、何かといえば、あの最大の増税推進派の財務次官の勝栄二郎氏の9月退任が決まったことです。



最近の国会の動き、私は、こうした動きとは無関係ではないと思います。とにかく、来年の時点で再来年の増税阻止が時の政府によって、なされるべきです。勝氏退任は、これに連動した動きであると思います。勝氏が来年も財務次官を続けていれば、さらに、増税の正当性を強調することになるため、これを排除する動きがあったものと思います。

今後、世界同時不況に見舞われたときにも、日銀が、デフレ・円高政策を堅持すれば、大変なことになります。そんなことは、とうてい許容されるものではなく、勝財務次官にくだされたような、鉄槌が、日銀および、白川総裁にも下されることになると思います。

そうして、私たちは、次の選挙では、増税反対、日銀法改正を訴える政党や、政治家に対して票を投じるべきと思います。



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