2014年9月2日火曜日

安倍首相の「安保ダイヤモンド構想」、対中抑止へ完成間近-【私の論評】鳩山の構想は報道しても、安部総理の構想は一切報道しない日本のマスコミの存在意義を問う(゚д゚)!

安倍首相の「安保ダイヤモンド構想」、対中抑止へ完成間近

安倍晋三首相とインドのモディ首相

安倍晋三首相とインドのモディ首相との会談で、両国の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)設置の検討で合意したのは、海洋進出を進める中国を牽制(けんせい)し、南シナ海やインド洋などの海上交通路(シーレーン)を守る狙いがある。安倍首相は海洋安全保障強化を図るため、日本とハワイ(米国)、オーストラリア、インドの4カ所をひし形に結ぶ「安全保障ダイヤモンド構想」を提唱しており、今回の会談は構想実現に向けた大きな一歩となった。

ダイヤモンド構想は、首相が第2次政権を発足させた直後に英文で発表した論文「アジアの民主主義 セキュリティーダイヤモンド」で披露した戦略。中国は、バングラデシュやスリランカなどインド周辺国への支援を通じてインドを包囲する「真珠の首飾り戦略」を進めており、首相はダイヤモンド構想が中国と隣接するインドにとってもメリットがあると踏んでいた。

首相は7月の日豪首脳会談でも、共同声明に「特別な」の文言を明記した。豪印両国との連携が進み、ひし形の完成は間近といえる。

この記事は、要約記事です。詳細をご覧になりたい方は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】鳩山の構想は報道しても、安部総理の構想は一切報道しない日本のマスコミの存在意義を問う(゚д゚)!

このブログの読者は、「安保ダイヤモンド構想」という文言をみてもすぐにピンと来ると思いますが、残念ながらここ日本では、ピンとこない人も大勢います。

周りの人に話てみても、これについて話が通じる人は、少数派と言っても良いくらいです。皆さんも、周りの人に聴いてみてください、知っている人が少ないことに驚かれることでしょう。

なぜ、そんなことになるかといえば、産経新聞、夕刊フジなどは例外として、日本の大手メディアは新聞もテレビもこれをほとんど報道しないからです。

この構想そのものもほとんど報道しませんでしたが、今回のモディ首相の訪問におけるこの構想の大きな前進についてもほとんど報道しません。

これは、私自身も調べてみましたが、調べるのは簡単です。

『安全保障のダイヤモンド、朝日』などのキーワードで、グーグルなどで、過去一週間分くらいを検索してみるとすぐにわかります。本当に、何も報道していません。

あきれかえるばかりです。一国の総理大臣の重要な安全保障に関する構想を多くのメディアがとりあけないなどということは、他国ではあり得ない日本だけの特異現象です。

これ一つをとっても、朝日新聞をはじめとする日本のメディアは存在価値を疑われてもしかたないです。

この構想は、もともとプラハに本拠を置く国際NPO団体「プロジェクトシンジケート」のウェブサイトに、2012年12月27日付けで安倍晋三首相の英語論文が掲載されたものです。しかし国内メディアはこの論文に掲載当初から現在に至るまで、沈黙を守っています。

ちなみに、このプロジェクトシンジケートは世界各国の新聞社・通信社と提携しており、各国要人のインタビュー記事を配信するなど実績あるNPOです。

寄稿者の顔ぶれをみてみると、ジョージ・ソロス、ジョセフ・スティグリッツ、ビル・ゲイツ、マイケル・サンデル、クリスティーヌ・ラガルド、などなどその格調の高さには定評があります。

そういわれてみれば、これに近いようなことはこれ以前にもありました。

そうです、それはあの鳩山首相による『東アジア共同体構想』です。

鳩山氏の東アジア共同体研究所主催のシンポジウム

鳩山氏は、総理に就任する直前のまだ民主党代表だったときに、米ニューヨーク・タイムズ紙に2009年8月27日載った寄稿論文「日本の新しい道」(英文)を掲載しました。

そこで、鳩山代表は、冷戦後、アメリカ主導のグローバリゼーションの中で、日本が市場原理主義の風潮にもてあそばれてきたと指摘。そして、人々が目的ではなく、手段として扱われ、「人間の尊厳が失われている」とまで言い切りました。その現れとして、イラク戦争や金融危機があるとしました。

当時の鳩山代表は、代わりに、世界は多極化の時代に向かっているとしました。「日米安保条約は外交の要」としながらも、日本については、友愛精神に基づいた「東アジア共同体」を提唱しました。具体的には、東アジアの通貨統合や恒久的な安全保障を想定していました。

この構想は、その後日本のマスコミはこぞって取り上げ、その後しばらくして、民主党の不甲斐なさが明らかにつれて、『東アジア共同体構想』は揶揄の対象となりました。しかも、国連で発表し、その内容も報道されました。

そうはいっても、この鳩山氏の『東アジア共同体構想』は、良くも悪くも、日本のメディアのほとんどが報道しました。

東アシア共同体構想は、日本のメデイアがこぞって報道した


にもかかわらず、安部総理の『安全保障のダイヤモンド』に関しては、一部の例外は別として、ほとんどのメディアが今でもとりあげません。

特に朝日・読売・日経といった国内大手新聞はプロジェクトシンジケートと提携しているにもかかわらず、何も報道しません。

自国の宰相が英文で世界に訴えた重要なメッセージを、当の日本国民が知らぬ存ぜぬでは、世界に対してあまりに恥ずかしいというものではありませんか。

しかも、朝日新聞のように、従軍慰安婦問題など、偽装しても日本を貶めるような記事を掲載するというのに、安部総理の重要なメッセージを全く報道しないというのは、断じてゆるすことはできません。

さて、安全保障のダイヤモンド、このような背景からこのブログでは何回掲載しても良いと思いますので、再度掲載させていただきます。

まずは英文のもと記事は、以下のURLを参照して下さい。
Asia’s Democratic Security Diamond


日本語のものは、以下に全文掲載させていただきます。

アジアの民主主義セキュリティダイアモンド 
 2007年の夏、日本の首相としてインド国会のセントラルホールで演説した際、私は「二つの海の交わり」 ─1655年にムガル帝国の皇子ダーラー・シコーが著わした本の題名から引用したフレーズ─ について話し、居並ぶ議員の賛同と拍手喝采を得た。あれから5年を経て、私は自分の発言が正しかったことをますます強く確信するようになった。 
 太平洋における平和、安定、航海の自由は、インド洋における平和、安定、航海の自由と切り離すことは出来ない。発展の影響は両者をかつてなく結びつけた。アジアにおける最も古い海洋民主国家たる日本は、両地域の共通利益を維持する上でより大きな役割を果たすべきである。 
 にもかかわらず、ますます、南シナ海は「北京の湖」となっていくかのように見える。アナリストたちが、オホーツク海がソ連の内海となったと同じく南シナ海も中国の内海となるだろうと言うように。南シナ海は、核弾頭搭載ミサイルを発射可能な中国海軍の原潜が基地とするに十分な深さがあり、間もなく中国海軍の新型空母がよく見かけられるようになるだろう。中国の隣国を恐れさせるに十分である。 
 これこそ中国政府が東シナ海の尖閣諸島周辺で毎日繰り返す演習に、日本が屈してはならない理由である。軽武装の法執行艦ばかりか、中国海軍の艦艇も日本の領海および接続水域に進入してきた。だが、このような“穏やかな”接触に騙されるものはいない。これらの船のプレゼンスを日常的に示すことで、中国は尖閣周辺の海に対する領有権を既成事実化しようとしているのだ。 
 もし日本が屈すれば、南シナ海はさらに要塞化されるであろう。日本や韓国のような貿易国家にとって必要不可欠な航行の自由は深刻な妨害を受けるであろう。両シナ海は国際海域であるにもかかわらず日米両国の海軍力がこの地域に入ることは難しくなる。 
 このような事態が生じることを懸念し、太平洋とインド洋をまたぐ航行の自由の守護者として、日印両政府が共により大きな責任を負う必要を、私はインドで述べたのであった。私は中国の海軍力と領域拡大が2007年と同様のペースで進むであろうと予測したが、それは間違いであったことも告白しなければならない。 
 東シナ海および南シナ海で継続中の紛争は、国家の戦略的地平を拡大することを以て日本外交の戦略的優先課題としなければならないことを意味する。日本は成熟した海洋民主国家であり、その親密なパートナーもこの事実を反映すべきである。私が描く戦略は、オーストラリア、インド、日本、米国ハワイによって、インド洋地域から西太平洋に広がる海洋権益を保護するダイアモンドを形成することにある。 

 対抗勢力の民主党は、私が2007年に敷いた方針を継続した点で評価に値する。つまり、彼らはオーストラリアやインドとの絆を強化する種を蒔いたのであった。 
 (世界貿易量の40%が通過する)マラッカ海峡の西端にアンダマン・ニコバル諸島を擁し、東アジアでも多くの人口を抱えるインドはより重点を置くに値する。日本はインドとの定期的な二国間軍事対話に従事しており、アメリカを含めた公式な三者協議にも着手した。製造業に必要不可欠なレアアースの供給を中国が外交的な武器として使うことを選んで以後、インド政府は日本との間にレアアース供給の合意を結ぶ上で精通した手腕を示した。 
 私はアジアのセキュリティを強化するため、イギリスやフランスにもまた舞台にカムバックするよう招待したい。海洋民主国家たる日本の世界における役割は、英仏の新たなプレゼンスとともにあることが賢明である。英国は今でもマレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドとの五カ国防衛取極めに価値を見いだしている。私は日本をこのグループに参加させ、毎年そのメンバーと会談し、小規模な軍事演習にも加わらせたい。タヒチのフランス太平洋海軍は極めて少ない予算で動いているが、いずれ重要性を大いに増してくるであろう。 
 とはいえ、日本にとって米国との同盟再構築以上に重要なことはない。米国のアジア太平洋地域における戦略的再編期にあっても、日本が米国を必要とするのと同じぐらいに、米国もまた日本を必要としているのである。2011年に発生した日本の地震、津波、原子力災害後、ただちに行なわれた米軍の類例を見ないほど巨大な平時の人道支援作戦は、60年かけて成長した日米同盟が本物であることの力強い証拠である 
 私は、個人的には、日本と最大の隣国たる中国の関係が多くの日本国民の幸福にとって必要不可欠だと認めている。しかし、日中関係を向上させるなら、日本はまず太平洋の反対側に停泊しなければならない。というのは、要するに、日本外交は民主主義、法の支配、人権尊重に根ざしていなければならないからである。これらの普遍的な価値は戦後の日本外交を導いてきた。2013年も、その後も、アジア太平洋地域における将来の繁栄もまた、それらの価値の上にあるべきだと私は確信している。
安倍総理が論文で表明した内容について、ここで論評はしません。論文内容については、個人もメディアも、それぞれ賛成も反対も批判もあっても良いと思います。様々な立場から多くの意見が表明されてしかるべきです。そのために、まだ知らない人にこの構想の内容を拡散していただきたいです。

しかし、現状のように論文がマスコミで報道されてからはじめて、そのようなことが可能になります。実際、鳩山氏の『東アジア共同体構想』は、報道されて批判や、揶揄の対象となりました。

しかし、安部総理のこの構想は、最初からほとんど報道されていませんし、今に至るも、報道されておらず、多くの国民が知りません。特に、朝日新聞や、NHKのニュースなどが、情報源の人々にとっては、知りようもありません。その姿勢は、この構想が構想ではなく、現実のものとなりつつある現在も変わりません。

それつけても、鳩山氏とは異なり、安部総理は、構想を表明するだけではなく、それに向けて具体的な行動を重ね、そうして今日この構想は完成間近となっています。このこと自体も報道しないマスコミやはり、かなり異常であり、異質です。

自国の宰相の構想、構想に向かっての行動、それが完成しつつある現在も未だ報じようともしないマスコミは、その存在意義が問われてしかるべきだと思います。このような姿勢だからこそ、朝日新聞や、NHKのように、虚偽・偽造体質が生まれてしまうのだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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