2016年9月29日木曜日

臨時国会も安倍政権VS財務省 民進党の本音は消費増税優先か―【私の論評】元々財務省の使い捨て政党民進党にはその自覚がない(゚д゚)!


参院本会議で、民進党の蓮舫代表の代表質問を
聞く安倍晋三首相(左奥右)=28日午前
第192臨時国会が26日召集された。会期は、11月30日までの66日間。一般会計の総額で3兆2800億円余りとなる今年度の第2次補正予算案と、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の国会承認と関連法案の成立がポイントである。安倍晋三首相は「アベノミクス加速国会」と位置づけている。

補正予算に対して、民進党は「借金頼みだ」と批判している。本コラムで述べてきたように、まさに民進党に財務省が乗り移っているかのようだ。

マクロ経済政策の基本は、失業をできるだけ少なくすることである。中央銀行はこのために金融政策を行うほか、政府の財政政策も発動される。国内総生産(GDP)と失業の間には、経験的に安定的な関係があることも知られている(オークンの法則)。

財政政策について言えば、GDPギャップ(潜在GDPと現実のGDPの差)があれば、それを埋めるというのが財政政策の目標であってもいい。そのような立場からは、政府が完全雇用を作るために、国債発行が容認される。

また、こうした考えに立たなくても、国債発行は容認される場合も多い。例えば教育である。教育が将来の所得を増やすという実証分析結果は数多く、教育に投資するという考え方は正しい。

ここで問題になるのは財源である。今の文部科学省や財務省には、教育を投資と考える発想はない。その証拠は、教育の財源に国債を充てることはないからだ。教育を投資とみれば、将来世代に返してもらえばよいので、国債を発行して財源とするはずである。

民進党は先の代表選で、教育について、よい議論をしていたが、蓮舫代表は教育の財源を行政改革で賄うと述べていた。これではまるで財務省の劣化コピーである。

また、TPPに関して民進党は、「交渉で勝ち取るべきものを勝ち取っておらず、国益が守られていない」という立場だ。

TPPは、先の国会で西川公也TPP特別委員長の著書出版問題や、熊本地震などの対応のために、国会成立を断念した経緯がある。交渉過程の情報公開が不十分という議論もあった。

民進党のいう「交渉がまずかった」というのは、当たらないだろう。あまりに日本がよい交渉をできたので、米国で不満が出てきたのが現実である。民進党は裏では、次期米大統領がクリントン氏でもトランプ氏でもTPPから離脱するので、日本が先に行くべきでないと考えているのだろうか。

今回のTPPで、加入国内で最もメリットを得るのは日本で、特に農業分野で輸出攻勢をかけるのに好都合であり、一部ではその機運も出てきている。

こうした攻めの流れを加速させるのか、萎縮させるのか。将来へ投資するという姿勢を民進党が貫けるか、財務省のように目先だけのそろばん勘定に終わるのかが問われる。

民進党は「景気対策より社会保障」と言うが、野田佳彦幹事長がいるので、本音は「消費増税を優先せよ」だろう。ここも安倍政権対財務省だが、これが今国会の焦点だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】元々財務省の使い捨て政党民進党にはその自覚がない(゚д゚)!

蓮舫代表の発言というか、民進党の幹部の経済に関する発言の内容は、ことごとく財務省のパンフレットの劣化コピーのようです。

とにかく、民進党の経済政策をそのまま実行に移せば、景気低迷でせっかく実質賃金もあがりはじめた雇用改善はブチ壊しになります。それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、いま求められているマクロ経済政策は、金融緩和と積極財政であるにもかかわらず、蓮舫氏の政策は真逆のであり、万一これが実行されたとしたら、景気低迷と失業率上昇に見舞われ、雇用改善もぶち壊しとなる恐れがあることを掲載しました。

以下に、財政再建はすでに終了している可能性があることを述べた部分を引用します。

"
ブログ冒頭の記事、高橋氏は「日銀を含めた統合政府ベースでみればネット債務残高は100兆円程度に過ぎず、いまは財政再建を過度に進めるべきときではないことはご存じだろう」と述べています、これに関しては、最近このブログでもとりあげ、さらに私なりに実際に計算してみて、その計算過程もこのブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
「国の借金」巡るホラー話 財務分析すれば怖くない―【私の論評】鳥越より悪質な都市伝説が現実になる新手の辛坊らの発言には気をつけろ(゚д゚)!
国の借金1000兆円は、真夏のホラー映画のような作り話にすぎない!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、いわゆる国の借金、正しくは政府の負債を私なりに計算して、その計算過程も示しました。その結果では、ネットで計算さらに、日銀を連結した統合政府ベースで170兆円 ということになりました。

高橋氏の計算結果とは異なりますが、それでも100超円台であり、どう考えても1000兆円でないことははっきりしすぎるくらいはっきりしています。

これに関しては、他の方も計算過程を公開しています。そのリンクを以下に掲載します。
財政再建は終わりました
この方の計算では、政府の負債は169兆円となっています。私の計算結果170兆円とほぼ同じです。ちなみに、この方のハンドルネームは、アフロといい、ツイッターのアカンうとは、"@Afro_spirits"です。

いずれにしても、政府の借金1000兆円などあり得ないわけです。この計算自体は非常に簡単です。是非私やこの方の計算過程をご覧になって下さい。

さて、この方の計算は信用できるものなので、以下にいくつかのグラフを転載させていただきます。

まずは、以下は統合政府純債務残高の推移を示したものです。


このグラフから日銀の金融緩和政策の国債の買い入れによって、純債務残高が、2014年度でも政府純債務GDP比は35%まで減少していたことがわかります。

さらに、下のグラフは、統合政府の債務残高の予測まで含めた推移を示したものです。


日銀が国債を買えば買うほど統合政府の政府純債務は減ります。

日銀の年80兆円の国債買い入れペースだと、2017年度には純債務から、純資産になるため、財政再建は完璧に終了することになります。実質的には、2016年度中に終了するか、2016年半ばを過ぎている現在もうすでに終了したと言っても良いくらいです。
"
さて、今年中に財政再建はほぼ終了ということに関しては、私だけではなく、高橋洋一氏や経済評論家の上念司氏もそのように語っています。特にリフレ派の人々の中には、そのようなことを言う人が多いです。私も、実際に自分で政府の負債を計算してみてそのように思っています。

いずれにせよ、いわゆる財務省やマスコミが煽っているように、国の借金1000兆円であるとか、国民一人あたり国の借金が800万円以上というようなことは、全くの間違いであり、日本が近い将来財政破たんするかもしれないということは、全くあり得ません。よって財政破綻を防ぐために、増税しなければならないなどということは全くありません。

安倍政権が増税を延期したのは、正しい選択です。延期どころか、減税したほうが良かったです。

しかし、蓮舫氏が選ばれた、代表戦の候補者は3人が3人とも増税賛成派でした。他の民主党議員も似たり寄ったりです。どうしてこれほど、財務省にべったりなのか理解に苦しみます。

民進党と財務省といえば、民進党が民主党だったときの民主党政権の最後の、2012年の野田総理による衆院解散に関して、当時みんなの党の代表であった渡辺喜美氏が会見で興味深い話をしていました。その動画を以下に掲載します。


この動画の7:30あたりのところから、渡辺氏が記者になぜこのタイミングでの解散になったのか、問われて以下のように話しています。
「これは、財務省の路線そのものなのであって、とにかく新製権で、予算編成をしたいと・・・。旧政権でつくった予算をグタグタにされるのは困るという財務省の路線が、そっくりそのまま、野田総理を動かしたというだけのことですね。 
党首会談をやったときに、もう自分は財務省に見放されているということを、はっきりと言っていました。その見放された総理が、最後まで財務省路線に乗っからざるをえないと、まあー、非常に情けない内閣ですね」。
後は、ご存知のように野田佳彦氏は財務省の意向を反映した自民党が提案した消費税増税を法定化して民主党政権が壊滅する道を突き進みました。これは、本当に理解に苦しみます。民主党は政権交代直前の選挙の公約では「民主党が政権の座についている間は増税しない」としていました。
民主党政権というと、蓮舫氏による事業仕分けが有名ですが、蓮舫氏がどうして専門知識を有する官僚を「公開処刑」できたのかというと「仕分け人」たちは、財務省が作った“極秘の査定マニュアル”に基づいて発言、追及していたからです。

要するに行政刷新会議の概算要求の無駄を洗い出すという「事業仕分け」は、「政治主導」ではなく、「官僚主導」のパフォーマンスだったのです。何のことはない、官僚官僚の手の上で踊ったに過ぎなかったのです。法的にも何の権限もなく本格化する財務省の査定の下馴らしとPRをしただけだったのです。  

事業仕分けをした蓮舫氏

消費税増税を元々決めたのは、自民党であることからもおかわりのように、日本の政治は財務官僚に主導されつづけてきました。しかし、財務省の官僚は選挙で選ばれたわけではありません。

にもかかわらず、財務省はまるで政治集団のように、旧民主党政権を使い捨てにしたり、安倍政権に対しても対峙し強力な力を発揮して、日本の政治に間接的ながら、大きな影響を与えています。

しかし、本来財務省の官僚は、政治家のように有権者から選ばれているわけではありません。それが、政治に介入するのは、明らかに間違いです。財務省といえども、政府の下部機関であることには変わりありません。

しかし、安倍総理は消費税増税を二度も阻止して、財務省に対峙しています。このように、財務省に真っ向から対峙した総理大臣は、安倍総理が初めてでしょう。自民党の多くの議員が、財務省の使い捨てだったにしても、少なくとも安倍総理とそのブレーンの議員などは財務省の使い捨てではなく、何とか官邸主導を貫こうとしています。

だから、私としても、今のところは、安倍政権を支持するしかないと思っています。

一方現在の民進党の現在の幹部は、まるで、財務省のいいなりです。あろうことか、新しい幹事長となった、野田佳彦氏も、財政規律重視で、増税派です。

一体、彼らは自分たちが財務省に使い捨てされているということに気づかないのでしょうか。

私としては、おそらくその自覚がないのだと思います。ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事が指摘しているように、今臨時国会でも「安倍政権VS財務省」の構図になっています。そうして、民進党は財務省のスポークスマンであり、財務省としても、民進党を国会で自分たちの声を与党に伝える役割を担わせているのでしょう。

声を届けて、財務省のような考え方が、圧倒的多数派であるとの世論工作をしているのでしょう。そういう目で、今臨時国会を眺めると、いろいろなことが納得がいきます。

財務省に反旗を翻した安倍政権が誕生した現在では、政府の一下部機関である財務省に使い捨てにされているという自覚がない政党には、最早政権の座につく機会は永遠に訪れることはないでしょう。

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