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2020年7月15日水曜日

「消費減税」猛烈に反対する財務省の理屈…建前も本音も木っ端みじん! それでも財務省のいいなりの学者、財界、メディア— 【私の論評】安倍総理は、次のちゃぶ台返しで、財務省の嫌がる”家賃補填、休業補償の拡充””消費税減税”を実行せよ!(◎_◎;)

「消費減税」猛烈に反対する財務省の理屈…建前も本音も木っ端みじん! それでも財務省のいいなりの学者、財界、メディア 
高橋洋一 日本の解き方


 
 英国が飲食、宿泊、娯楽業界の付加価値税の時限的引き下げを発表した。すでにドイツは引き下げを実施している。日本でも自民党の若手や国民民主党などが減税に積極的だが、現状で減税に反対する人はどんな人なのか。その理屈は妥当なのだろうか。

 コロナ・ショックは消費需要の消失という形で現れるので、消費需要をアップさせる政策が望まれる。そのため可処分所得を増加させる減税や給付金が有力な政策手段だ。特に、消費に直接的に働きかける消費減税は、現状では交付に時間がかかる給付金と異なり、家計がその果実をすぐに受けることができるというメリットがある。

 もちろん企業サイドへの補助金や給付金も政策としてはあり得るが、配布基準など公平性の確保が難しい。消費者サイドへの減税や給付金のほうが問題が出にくい。

 しかし、消費減税には、財務省が猛烈に反対する。財務省のいいなりの経済界、財政学者、マスコミも反対だろう。経済界は法人税の減税、財政学者はポストの確保、マスコミは軽減税率の確保とそれぞれ目的は異なるが、財務省の肩を持つ。

 消費税は1989年の創設以来、97年4月、2014年4月、19年10月の3回しか増税していない。ほぼ30年間で3回、つまり10年に1回なので、1回引き下げるとまた上げるのが大変だというのが財務省の本音ではなかろうか。

 もちろん、建前は社会保障財源が少なくなり、高齢化社会に対応できないというものだ。しかし、そもそも消費税を社会保障目的税としている国はないので、両者をリンクして考えること自体がナンセンスだ。社会保障の充実であれば、社会保険料で対応するのが、国民にも分かりやすく納得できる方法で、消費税は無関係であるべきだ。

 「1回下げると上げにくい」というのは、今回のようなコロナ対策では心配することではない。ドイツも英国も消費減税は一時的な措置であり、恒久的ではない。

 例えば、2次補正の予備費は10兆円であり、うち5兆円はまだ使い道が決まっていない。ここに2000億円を追加すれば、消費税率を10%から8%への2%減税を1年間実施できる。これなら既に財源を用意できているので、社会保障の支出に関する心配も杞憂(きゆう)となり、財務省の建前の理屈も本音も木っ端みじんになる。

 こういうとき、財務省は消費減税の声が大きくならないように、近い議員に働きかけることが多い。先日、安倍晋三首相のところに税収を上げるような政策を申し入れた議員らはその一例と筆者はにらんでいる。もちろん、「税収を上げるような」とは成長戦略の意味も含むので、増税ではないという言い訳もちゃんと用意されているが、「将来世代にツケを残さないように」と、今回の補正が通貨発行益で賄われていることを無視しているのは、意見の出所が推察できる。

 いずれにしても、消費減税とは言わないことは、海外の消費減税の日本への影響力を弱める結果となっている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
【私の論評】安倍総理は、次のちゃぶ台返しで、財務省の嫌がる”家賃補填、休業補償の拡充””消費税減税”を実行せよ!(◎_◎;)
米国も当然減税します。トランプ米政権はすでに6月の段階で、新型コロナウイルスの追加経済対策として、労使双方が負担する「給与税」の減免の検討に入りました。

トランプ政権はコロナ以前から様々な減税策に取り組んでいる

同税は年1.2兆ドル(約128兆円)の税収がある基幹税で、実現すれば2017年末以来の大型減税となります。米経済は失業率が10%を超えて戦後最悪の水準になると予想され、減税とともに雇用の受け皿となるインフラ投資も打ち出す方針です。

トランプ大統領は6月3日、米テレビ番組で「雇用を立て直すため、給与税減税が必要だ」と表明しました。米政権と議会は新型コロナ対策として、既に過去最大の3兆ドル弱もの財政出動を決めています。トランプ氏はさらに給与税の全面免除を議会に働きかける方針で、1兆ドル規模の追加の財政出動となる可能性があります。

これまでの新型コロナ対策は、中小企業(従業員500人以下)の給与支払いを連邦政府が肩代わりする雇用維持策などが中心で、倒産や失業を防ぐ「止血」に焦点を当てていました。ただ、米経済は4~6月期の実質成長率が前期比12%減、年率に換算すれば40%ものマイナスになると予測されます。失業率も10%を大きく超えそうで、新たに雇用の受け皿の確保が必要になっています。

トランプ氏が減免対象に挙げた給与税は、全歳入の3分の1を占める基幹税です。社会保障費の財源として労使がそろって給与の6.2%分を納税する仕組みで、全面免除すれば企業と労働者の双方の負担減となります。

法人税の引き下げなどを盛り込んだ17年末の「トランプ税制」は、年間の減税規模は1500億ドルでした。給与税を全額免除すれば年1兆ドル規模の巨額減税となります。

トランプ氏としては、大統領選挙の兼ね合いもあり、ここぞというときに、超大大型減税を打ち出すのは、確実です。

英国スナク財務相
上の記事にもあるとおり、英国も当然減税です。英国のスナク財務相は8日、飲食店など新型コロナウイルスの影響が大きい業種を対象に、付加価値税(VAT、日本の消費税に相当)を現行の20%から5%に引き下げると発表しました。同日発表した総額300億ポンド(約4兆円)の追加経済対策の一環とされています。
英国では飲食店や劇場などが4日に再開したのですが、客足の戻りが鈍いため、減税によって消費を促し、雇用維持につなげる狙いです。15日から来年1月まで半年間の期間限定。減税規模は41億ポンドを見込んでいます。
新型コロナを受け、ドイツも1日から年末までの期間限定で、VATを19%から16%に引き下げました。食料品などを対象にした軽減税率も7%から5%にしました。
さて、減税を実行する予定の英国ですが、15日イングランド銀行(英中銀)金融政策委員会のテンレイロ委員は、同国の景気回復が「不完全なV字型」になる可能性が高いとの見通しを示しました。

消費者が新型コロナウイルスの流行を警戒するほか、社会的距離を確保する戦略で経済活動が制限され、失業が増える見通しというのです。

同委員はロンドン・スクール・オブ・エコノミクス主催のオンラインイベントで「行動反応を踏まえると、英経済の見通しは、引き続き国内外の新型コロナ感染症の流行状況に左右される」と指摘しました。

「感染拡大ペースが緩やかに低下すると想定した場合、国内総生産(GDP)が途中で遮られる形の不完全なV字型の軌道をたどるというのが、私の基本シナリオだ。四半期ベースで最初に回復するのは第3・四半期になるだろう」と述べました。

同委員は「強制的な休業だけが原因だった支出の落ち込みについては、すでに急激な回復の兆しが見られる」と指摘。

「ただ、リスク回避姿勢の継続や、一部セクターでの自主的な社会的距離戦略、また他のセクターに依然適用されている規制、失業全般の増加を背景に、回復は中断されるだろう」と述べました。

同委員は、物価の下押し圧力がしばらく続く公算が大きいと予想。需要には「かなりの下振れリスク」があると述べました。

「必要に応じて、経済を下支えするさらなる対策に賛成票を投じる用意が依然としてある」としています。

マイナス金利については、ユーロ圏などで、おおむね前向きな結果が出ているとの認識を示しました。

次回の金融政策委員会の決定は8月6日に発表されます。

金融政策委員会は先月、債券買い取り枠を1000億ポンド拡大することを決定。政策委員9人のうち8人が買い取り枠の拡大に賛成する一方、チーフエコノミストを務めるハルデーン委員は、景気の回復が「これまでのところ非常にV字型」だとして反対票を投じました。

新型コロナウイルスを受けて、世界では巨額の財政・金融政策が打ち出されています。これら刺激策はすでに4月の段階で、世界GDPの3%超に匹敵する規模となっている他、政策金利の追加利下げや量的緩和プログラムが開始となり、中央銀行からは低金利の融資ファシリティが提供されています。

米国における刺激策の第一段はGDPの6%相当で、経済を幅広く支援する内容となっています。しかし、外出禁止などロックダウンによる生産損失が出ている事から、この刺激策を使ってリセッション入りを回避する事は不可能です。

とはいえ、失業率の行き過ぎた伸びを防ぐ観点から刺激策は必要不可欠であり、最終的な経済回復局面で力を発揮するでしょう。そうして、先にも述べたように、トランプ政権は第二段の対策として、大規模減税を計画しているのです。

そうして、欧米では何らかの原因があって、景気がかなり落ち込んだ場合には、大規模な財政出動・無制限の金融緩和というのが〝定番政策”になっています。

だから、コロナ禍による経済による落ち込みにも、この定番政策が実行されるため、財政出動としての減税策は当然の如く実行されるのです。間違っても、増税とか、減税しないという選択肢はないのです。日本も、早くこのようになって欲しいです。

一方日本違います。何かと、財務省が邪魔をします。4月17日、安倍首相のちゃぶ台返しがありました。「所得制限つき、1世帯あたり30万円の現金給付」が覆り、「所得制限なし、1人一律10万円の現金給付」となりました。このブログではこの政策変更は正しいと評価しました。

30万円の所得制限をつけた給付だと、確認などに時間がかかり、ひょっとすると今でも給付が十分進んでおらず、そのことで、安倍政権は自民党内外から責められ、国民からも不興を買ったに違いありません。これは、倒閣に結びついた可能性が十分あります。無論財務省主導によるものでしょう。



安倍総理は、当初から10万円、所得制限なしの給付を考えていたようですが、岸田氏任せたところ、いつの間にか30万円の所得制限の給付に切り替わっていたというのが、真相のようです。そのため、安倍総理の岸田氏への信頼は崩れたようです。

これで、安倍総理による岸田氏への総理の席の禅譲という話は、消えたようです。

安倍首相には2度目の〝ちゃぶ台返し〟で、家賃補填、休業補償の拡充と消費減税を是非実現してもらいたいです。

最近東京では、感染者数が増え、コロナ感染の第二波が始まるのではと危惧されています。現史上では東京都も政府も有効な手立てを打ちあぐねています、これは、潤沢な資金で、大規模な家賃補填、休業補償の拡充ができれば、それを前提として様々な手段を講じることができるはずです。

ただし、安倍総理のまわりは緊縮イデオロギーに染まった人たちが囲っています。それだけではなく、30万円給付のような、もっともらしい政策等で第二、第三の倒閣運動が企てらている可能性もあります。

与野党問わず政治家は相変わらずですし、軽減税率という〝毒まんじゅう〟を喰らった新聞も、社会保険料の据え置きや法人減税というニンジンをぶら下げられた経済界も財務省の味方です。

それでも第1弾の緊急経済対策はギリギリながらも合格でした。安倍総理の政策は、大規模な財政出動・無制限の金融緩和という先進国の〝定番政策〟に近づいています。そうして国民のマクロ経済政策への理解は、東日本大震災のときよりはるかに高まっています。これが日本経済復活への一縷の望みです。

ただ若い世代には、ずいぶんとマクロ経済への理解は、広まったようですが、高齢世代は、経済情報の情報源は、テレビのワイドショーなので、財務省やその走狗どもの言いなりです。しかも、高齢者の方が人口が多いのです。まだまだ、油断できません。

とにかく、安倍総理のもとで、景気が落ち込んだ時、落ち込みそうな時には、大規模な財政出動・無制限の金融緩和という先進国の〝定番政策〟が実現できるように道筋をつけていただきたいものです。総理大臣がちゃぶ台返しをしないと、まともな経済対策ができない今の日本は異常です。

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2019年8月12日月曜日

トランプ氏、韓国・文政権に厳重警告! 「GSOMIA」破棄なら…日韓に対立緩和を促した“本音” ―【私の論評】信頼できない相手からの情報は、混乱と誤謬をもたらすだけ(゚д゚)!


トランプ大統領

 ドナルド・トランプ米大統領が、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権に厳重警告を発した。日本政府が、半導体素材の輸出管理を強化したことに反発して、文政権が「日韓軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)の破棄をチラつかせているからだ。トランプ氏は表向き、日韓両国に関係改善を求めているが、対立の背景を十分理解している。文政権の「裏切り」を戒め、韓国内の保守派に奮起を促すものといえそうだ。

 「日韓は同盟国のはずなのに、米国を難しい立場に追い込んでいる」「日韓はいつもケンカしている。仲良くしなければならない」

 トランプは9日、ホワイトハウスで記者団にこう語った。

 北朝鮮の非核化問題や中国との覇権争いを抱えるなか、対立緩和を促した-と報じられるが、事態はさらに深刻だ。

エスパー長官は韓国訪問に先立って日本を訪問している

 訪韓中のマーク・エスパー米国防長官は9日、文大統領や鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相らと相次いで会談し、米国の要請で締結したGSOMIAの継続が重要だとの考えを伝えた。

 ところが、鄭氏は「有効性などを考慮し、更新するかどうか決めたい」といい、継続を明言しなかったのだ。

 実は、日米防衛当局者の間では「文政権がGSOMIAを破棄する可能性が高い」「日本に責任を押し付けて、中国や北朝鮮に接近する兆候がある」と分析している。

 このため、米シンクタンクなどを通じて、「GSOMIA破棄=米軍撤収・同盟解体」と警告してきたが、「反日・離米・従北・親中」の文政権には通じない。

 トランプ氏の発言は、韓国の保守派勢力に「自国が自由主義陣営から離脱していいのか? 目を覚ませ」とメッセージを送ったともいえそうだ。

 日米情報当局関係者は「ホワイトハウスには『北朝鮮は戦略的な敵だが、韓国の文政権はもっと問題だ』という分析がある。明確に『韓国を切るべし』という強硬意見もある。GSOMIAが破棄されれば、韓国は安全保障上も、経済的にも重大局面を迎える」と語っている。

【私の論評】信頼できない相手からの情報は、混乱と誤謬をもたらすだけ(゚д゚)!

冒頭の記事にもあるように、日韓関係が悪化の一途をたどる中、韓国政府は日本による半導体関連材料の輸出規制措置に対抗し、日韓GSOMIA(ジーソミア=軍事情報包括保護協定)の破棄をチラつかせています。韓国お得意の「手首切ってやる!」の脅しを仕掛けているわけだ。

日韓GSOMIAには様々な利点があるはずだったが・・・・

8月7日には世論調査会社のリアルメーターが、破棄の賛否を問う世論調査の結果を賛成(47.7%)、反対(39.3%)と公表しました。

訪日したエスパー米国防長官は同7日、岩屋毅防衛相、安倍晋三首相と相次いで会談し、GSOMIAが維持されることを「心の底から願う」と強調しました。そのエスパー氏は、8日からは訪韓して、鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相らと会談、同様の意向を伝えました。

日本は米英仏など7カ国、さらに北大西洋条約機構(NATO)と同協定を締結しています。日本との歴史問題を持ち出す韓国とは紆余曲折がありましたが、16年11月にようやく締結しました。

日韓GSOMIAの場合、協定の有効期間は1年で、期限の90日前に破棄を通告しない限り自動的に延長されると規定されています。これまでは毎年自動延長されてきましたが、今年は通告期限の8月24日までに韓国政府が破棄を通告するのか、注目が集まっています。そこでGSOMIAとは何か。韓国に破棄されると日本は困るのか検証してみます。

同協定は韓国からの要望で、ようやく実現にこぎ着けています。北朝鮮が発射するミサイルの着弾地点や高度、飛行距離などを分析する技術は日本の方が高いですから、韓国にとっては、自国向けに発射されるミサイルの性能分析に日本の情報が役に立ちますし、日本は北朝鮮などの潜水艦を探知する能力も韓国より高いです。

一方、日本にとっては、朝鮮半島有事の際、韓国側から戦況の情報が得られれば現地の日本人を助け出す上で役立つでしょう。それにヒューミント、人間の口からもたらされる情報も重要です。韓国は脱北者や北朝鮮内部に潜り込ませたスパイから現地の政治経済、ミサイル発射の兆候の情報を得ています。日本は韓国からこうした情報を教えてもらえるという関係です。

しかし、北とつながる韓国・文在寅政権とのGSOMIAは、ある意味で危険です。日本からの情報が北に筒抜けになるばかりか、逆にガセネタをつかまされる可能性もあります。要は韓国は、日韓GSOMIA破棄をチラつかせ米国を困らせ、日本を米国に叱ってもらいたのです。

2016年11月に締結したものですから、今年の11月で三年目ということですから、そもそもこの条約は2年と少ししか締結されてから時が経っていないということてず。その前は、韓国からの情報がなくてもやってこれたということですから、今になってそれを破棄されたらといっても、それが日本の安全保障にどれたけマイナスになるのかといえば、おそらくないでしょう。

韓国が破棄したいと言えば、日本はどうぞご自由にで良いでしょう。現状の韓国のハチャメチャ様子をみていれば、その韓国から情報がもたらされたからといって、それが信用できるかどうかは甚だ疑問です、

日本の哨戒機のレーダー照射についても未だに、何の情報の提供もありません。これでは、北朝鮮の船に対してせどりを行っていた現場の近くを日本の哨戒機が飛んだので、制裁破りを糊塗とようとして、照射をしたのではないかと疑われても仕方ないです。


日本側は、そんな相手からの情報を得たにしても、それをそのまま信じるわけにもいかず、その審議を確かめるために二度手間になるだけのことになりかねません。それであれば、米国からの情報のほうがはるかに信憑性・信頼性が高いはずです。

また韓国からの情報を鵜呑みにしてると、それこそ北朝鮮や中国に都合よく情報操作をされ、いざという時に痛い目を見ることになるかもしれません。

日本に対して韓国が不正確な情報を流せば、いざというとき大きな被害を受けることもありえます。であれば、米国の情報並びに自ら、哨戒機や潜水艦で情報を収集すれば、そちらのほうが余程信頼できます。

信頼できない筋からの情報は、混乱と誤謬をもたらすだけです。米軍ももはや北に接近し、中国に従属しようとする韓国からの情報など信頼していないでしょう。

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2017年12月26日火曜日

「日本の借金1千兆円」を性懲りもなく煽る人たちの狙いと本音ちょっとは進歩する気がないのか―【私の論評】経済回復のボトルネックと成り果てたNHKは財務省とともに廃棄せよ(゚д゚)!

「日本の借金1千兆円」を性懲りもなく煽る人たちの狙いと本音ちょっとは進歩する気がないのか


髙橋 洋一:経済学者、嘉悦大学教授 プロフィール

また出た「財政規律の緩み論」

18年度予算案が閣議決定されたが、メディアの論調は「(歳出が増え)財政規律が緩んでいる」「税収増頼みだ」といったものばかりだ。例えば、22日のNHK「時論公論」では、「来年度予算 求められる新たな財政規律」というタイトルで、財政規律のゆるみを問題にしている。

しかし本当に財政規律にゆるみが生じているのか。これを検証したい。

まず、予算の全体像を知るには、予算フレームを見るのがいい(http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2018/seifuan30/02.pdf)。

これをみれば、18年度予算案は昨年度予算とほぼ同じものであることがわかる。

さらに中身を詳しく見るのは、概算をチェックするのがいい(http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2018/seifuan30/03.pdf)。

ここには、各省別の予算概算がでている。全体の伸びが0.3%であるので、各省の予算でも、天皇ご譲位行事のある皇室58.6%を除くと、最大の伸びは内閣府1.7%、最低は経産省▲4.3%である。11省で増額、5省で減額である。

主要経費でみると、社会保障関係費4997億円増のほか、文教科学79億円増、防衛関係費660億円増、公共事業関係費26増億円、その他806億円増を、国債費▲2265億円などでカットして、全体で2581億円増、結果、0.3%の伸びにしている。

NHK「時論公論」では、日本の財政状況について、国の借金総額が883兆円(来年度末)になるから、財政規律を正すべきだとしている。相変わらず、バランスシートの考え方が抜け、資産を無視して借金だけをみていることに呆れてしまう。

12月22日放送のNHK「時事公論」より。かなり大げさな図を用いて、日本の借金の「深刻さ」を表現している

筆者は2年前の2015年12月28日に<「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした~それどころか… 財政再建は実質完了してしまう!>(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47156)を書いている。そこでは、日銀を含んだ「統合政府」としてのバランスシートが国の財政状況を正しくみるためには必要であり、それをみれば、日本ではほぼ財政再建が終わっている状態で、健全な財政状況となっていることを示している。

なお、「統合政府」とは、財政・金融問題を考えるときに、政府と中央銀行を一体のものとして考えるやり方である。法的にも中央銀行はいわば「政府の子会社」であるが、一般企業においてグループ企業の業績・資産は連結決算で考えるのと同じで、政府と日銀の財政・資産は一体で視るべきだ、ということである。

もちろん、この考え方は中央銀行の独立性と矛盾しない。中央銀行の独立性とは、政府の経済政策目標の範囲内で、その達成のためにオペレーションを任されているという意味である。これも、グループ企業が営業の独立性を持っているのと同じ意味である。

これは国際的な見方なのだ

ところで今年3月14日、ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・E・スティグリッツ・米コロンビア大学教授が来日して経済財政諮問会議に出席した。このときスティグリッツ教授は、諮問会議での発言のなかで、政府・日銀が保有する国債を「無効化」することを提言した。政府・日銀が保有する国債を「無効化」することで、政府の債務は「瞬時に減少」し、「不安はいくらか和らぐ」と主張した(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0314/shiryo_01-2.pdf)。

これは、統合政府の考え方そのものである。これで、(なにかと日本では批判の的となるが)筆者の分析方法が、国際的には標準的なものであったことがわかっていただけるだろう。

日本の経済学者の中には、スティグリッツ教授が間違っていると息巻いている人もいるが、そうであれば、彼にもそのことを直接指摘して、公式に謝罪させてほしいものだ。もちろん、「統合政府」は、会計的な考え方であり、否定しようのないものなので、スティグリッツ教授が謝罪するはずないのだが。

こうして、バランスシートで見て財政状況を把握するのは常識であり、その右側だけの借金だけをみる方法が通用しないことが説明できる。ただ、それでも懐疑的な人は、来年3月に確定申告すればわかるはずだ。

税務署に「借金が多くて苦しいので、税金を払えない」という申告者を出したとしよう。その人の所得が一定以上であれば、資産負債の明細書を求めらる。そのとき、資産を過小に申告して、税務調査で「隠し資産」があることが判明したら大変なことになるのは分かるだろう。要するに、「借金が多い」というのは、すなわち財政状況が悪いということではないのだ。

なお、半ば冗談であるが、今の国税庁長官は森友学園事件の時、財務省理財局長として「資料がない」と言い張った佐川氏だ。彼に対して「資産負債の明細書資料がない、廃棄した」といったら、一体どうなるのだろうか。興味深いが、答えに窮するだろう。森友事件は、現場の税務調査官泣かせの事件だっただろう。

ちなみに、政府のバランスシートをはじめて作成したのは、20数年前の大蔵省に勤めていた筆者である。その当時は、以下の財政状況を客観的に把握するかを大蔵省内で議論しており、会計に詳しい筆者が政府のバランスシートを作成した。そのとき、バランスシートに着目した財政運営も行おうとして、理財局内に「資金企画室」という組織も作った。その初代室長は筆者だった。

この室の俗称英語名は「Asset and Liability Management Office」。まさに、バランスシート管理、という意味である。そうしたバランスシートを政府が作るのは、その当時から世界の潮流になっていたのだ。

そこで、筆者がいろいろな国を勉強して、日本でも政府のバランスシートをつくろうとなった。

そのためアメリカに出張にいくと、米財務省でも似たようなことを考えているということで、筆者は実際に作成するアメリカの担当者とかなり親しくなったものだ。

そのアメリカは、日本に先立って1995年版から政府のバランスシートを公表している(https://www.fiscal.treasury.gov/fsreports/rpt/finrep/fr/backissues.htm)。

日本でもほぼ同時期に作ったが、対外的には公表しないということで、部内利用になった。遅れること2005年、小泉政権のときに、2003年度版を正式に公表するようになった(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/index.htm)。

これは、筆者が経済財政諮問会議特命室時代に、いわゆる埋蔵金論争(資産負債改革、特別会計改革)を仕掛けていたときだ。

そのときから、財務省はこのバランスシートが積極的に取り上げられないように、マスコミにはほとんどその存在や意味を説明しなかった。筆者が財務省に対してバランスシートについて指摘すると、「公表済み」という。しかし、マスコミには説明(レクチャー)しないので、どこのマスコミもこのバランスシートについては報じないという状況が今でも続いている。

大きな財政問題にはならない

実は、海外投資家向けに日本国債の状況を説明するときには、バランスシートがしばしば用いられる(もっとも最近では英文資料も用意していないようだ。2009年度版英文資料は、財務省のサイト(http://www.mof.go.jp/english/budget/others/2011_03_english.pdf)にあるが、それ以降のものは見当たらない)。

そういえば、最近筆者のところに、しばしば海外投資家が訪れ、日本政府のバランスシートについて話をしてもらいたいという依頼を受けるが、先進国であれば、financial statementを用意するのは常識である。

もっとも、海外投資家は、日本の財政状況が悪くないことをよく理解している。筆者も、次の資料を使って説明することが多い。



日米は、同様のバランスシートを作成した経緯があるから、筆者には比較しやすい。そこで、日米比較をすると、ここ20年弱、アメリカの財政状況のほうが日本より一貫して悪いことが分かる。

逆にいえば、日本がアメリカの数字を上回るようになったら注意したほうがいい。もっとも、国には「徴税権」などの見えない資産があるので、少しぐらいネット債務額が大きくなっても、びくともしないのだが。それでも、一応の目安はアメリカの数字、と筆者は思っている。

中央銀行を含めないベースでGDP比20%程度、含めるベースではGDP比60%くらいの日米格差があるので、現状100~300兆円くらいの国債を発行したとしても、大きな財政問題にはならないと筆者は考えている。

なぜNHKは報じないのか

NHKが指摘していたのは、高齢化による社会保障費増大の話だ。このままでは社会保障費が増える一方で、日本の財政は大変なことになるというものだ。しかし、社会保障は保険原理で運営されるので、それを徹底しておけば、かなりの問題は防げる。

「保険原理」から、将来収支は将来費用に見合うように設計される。それを短期間で支出と費用を見直することがまず必要だ。そうすれば自ずと、費用の徴収漏れ問題に行きつくはずだ。

実は世界の社会保障ではほとんど保険方式であるが、その徴収は税当局が行い、徴収の効率性を高めている。歳入庁が存在することが世界標準なのだ。日本でも歳入庁がないことによって、数兆円の徴収漏れがあることが指摘されているが、日本ではなぜ歳入庁をつくろうとしないのか、不思議である。

民主党政権時には「歳入庁の設立」を公約としたが、おそらく財務省の意向だろう、いつのまにか取り下げてしまった。そして、消費税を社会保障に充てるために消費増税する、といいだした。消費税は一般財源であり、社会保障目的税としている先進国はないのに、である。

政策の筋としては、歳入庁をつくって、社会保険料徴収の効率化をすすめることが第一歩のはずなのに、それを避けて社会保障の話をするのは世界標準とずれていて、違和感がありすぎる。

どうして、こうした基本的な話をNHKは報道しないのか、不思議でならない。筆者は、実はNHKのバランスシートもこの「珍問」のカギがあるとにらんでいる。

筆者は政府のバランスシートの話をよくするが、財務省が「資産」について語りたくないのは、資産とはつまり、天下りと直結している問題だからなのだ。借金返済のために、資産を売れ、となると、天下りに支障が出てしまう。

さて、そのなかでNHKのバランスシートをみると、ほとんど無借金経営状態であり、資産たっぷり。純資産8000億円の超優良組織であることが分かる(http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/kessan/h28/pdf/renketu28.pdf)。

先日、本コラムで筆者は、NHK分割論を提案した(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53787)が、上手く分割すれば、8000億円も国庫収入が増えることになるかもしれない。これは、見方を変えれば潤沢な放送受信料収入をほとんど苦労なく得られるため、楽な運営をしてきたからだともいえる。この点を指摘されたくないから、NHKは国の「資産」についても触れたくないのではないか。

その点では、財務省と似ているかもしれない。となれば、極めて恣意的に言えば、財務省とNHKは、「資産については話をしない」という共犯関係にあるのかもしれない。「本当のこと」を知る機会を奪われているのだと考えると、ちょっとゾッとしてしまう。

【私の論評】経済回復のボトルネックと成り果てたNHKは財務省とともに廃棄せよ(゚д゚)!

「日本の借金1千兆円」を性懲りもなく煽る財務省については、このブログにも以前その悪い体質について掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
財務省の補正予算編成が日本のためにならない理由―【私の論評】日本経済復活を阻むボトルネックに成り果てた財務省はこの世から消せ(゚д゚)!
図4

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、財務省の補正予算の組み方について掲載しました。

結論からいうと、財務省は経済環境などおかまいなしに、 概算要求を4%カットして当初予算を作るのですが、補正予算でカット分の予算をつけて、当初の概算要求と同じ水準にしているという実体があります。

なぜこのようなことになるかといえば、財務省の基本的な考え方として、国民経済など二の次にして、どのような場合でも、できるだけ予算を絞り込みたいという不思議な習性があります。

これは、財務省が国の「金庫番」である以上、仕方がないのかもしれないともいえますが、財政の健全化というのは建前であり、当初予算で絞り込めば、補正予算で復活させた時に、要求官庁がより恩を感じるようにしているだけなのです。

こんなことでは、日本経済が良くなるはずもありません。

そうして、この記事の元記事で高橋洋一氏は、以下のような予想をしています。
 それでは今年度の場合、こうした戦略的な話ではなく、財務省は事務的にどの程度の補正予算とするつもりなのだろうか。ひょっとしたら、補正なしというのもあり得るが、それでは政治的にもたないだろう。そこで、財務省的には、どの程度なら、財政健全化に支障がない許容範囲かという、つまらない次元で考えるのだろう。 
 それは、安倍政権になってから、年々、補正予算の緊縮度合いが増していることから予想できる。 
 実は、最近15年度と16年度では、概算要求から当初予算で5%カットして、補正予算で3%増やすことになっており、概算要求の水準まで達していない。図4の補正で修正された予算と概算要求の比率を見ると、15年度と16年度は平均線を下回っている。 
 17年度は、概算要求と当初予算を比べると、これまでの経験則通りに4%カットだった。 
 補正予算後の予算総額が15年度と16年度並みの2%カット水準であればどうなるか。 
 17年度の概算要求は101.5兆円だったので、概算要求の2%カットだと99.5兆円。当初予算は97.5兆円だったので、補正予算は2兆円程度、総計でも100兆円を切るショボいものになる可能性がある。
そうして、補正予算は実際どうなったのかといえば、今月6日に明らかになっています。以下にそれに関連したロイターの記事のリンクを掲載します。
17年度補正予算で歳出追加2.9兆円、ミサイル防衛費も=政府筋
政府は、2017年度補正予算案の追加歳出を2.9兆円とする方針を固めた。政策経費は2.7兆円となる。生産性向上や人づくりなどの経費と併せ、1兆円を超える公共事業を盛り込んだ。ミサイル防衛関連費用も計上し、北朝鮮情勢など喫緊の課題に対応する。複数の政府筋が明らかにした。 
2.9兆円ということで、高橋洋一氏の予測よりは、9000億円ほど多くなっていますが、これは、北朝鮮の脅威も現実的となり、防衛関連経費を増やさないと、国民の批判が高まり、政治的にもたなくなるとの財務省側の判断で、増やしたものと思います。

それにしても、高橋洋一氏は、現在の日本は8%増税などを要因とするデフレ・ギャップを
解消するためには、財政出動20兆円が必要としていると比較すると、わずか2.9兆円では本当に焼け石に水です。まさに財務省の思惑通りの補正予算になっていると見て良いです。

今年一度に20兆円ということではなくても、今年は10兆にして、来年も継続で10兆にするというのなら、まだわかりますが、2.9兆円では日本GDPはまだまだ低迷しそうです。

そうして、この記事では、最後に以下のような結論を掲載しました。
これでは、本来は日本経済を良くするのが仕事であるはずの財務省自体が、日本経済復活のボトルネックになっているとしかいいようがありません。こういう官庁に対しては、まずは内閣人事局において、徹底的に厳しい人事を実施すべきです。人事を軽く見るべきではありません。

平成26年5月30日、安倍総理は内閣人事局看板掛け及び職員への訓示を行った 

人事は、いかなる組織においても、最大のコントロール手段です。その他の手段はどのようなものであれ、人事には及びません。いくら精緻な組織分析をしたとしても、それ自体がコントロール手段となるわけではありません。

役人たちを本当に政府の仕事に貢献させたいのであれば、本当に政府に貢献する人たちに報いなければならないです。それとは、反対に政府に貢献しない人たちには報いないようにしなければならないのです。省庁の組織としての精神は、どのような人たちを昇進させるかによって決まります。

かつてのように、国民や政府などには目もくれず、省益を最大限に重んじる人が昇進するようでは、政治主導など永遠に勝ち取ることはできません。

組織において真に力のあるコントロール手段は、人事の意思決定、特に昇進の決定です。それは組織が信じているもの、望んでいるもの、大事にしているものを組織の全構成員に対して明らかにします。 
“国民への貢献”を組織の精神とするためには、誤ると致命的になりかねない“重要な昇進”の決定において、真摯さとともに、経済的な業績を上げる能力を重視しなければならないです。 
致命的になりかねない“重要な昇進”とは、明日の高級官僚が選び出される母集団への昇進のことです。それは、組織のピラミッドが急激に狭くなる段階への昇進の決定です。 
そこから先の人事は状況が決定していきます。しかし、そこへの人事は、もっぱら政府の下部組織としての価値観に基づいて行なわれるべきです。 
高級官僚など、重要な地位を補充するにあたっては、政府の目標と成果に対する貢献の実績、証明済みの能力、政府全体のために働く意欲を重視し、報いなければならないのです。 
それでも、ボトルネック状態が払拭できない場合は、財務省を分割するしかないでしょう。ただし、単純に分割すると、財務省は長い時間をかけても、他省庁を植民地にするという習性があるので、財務省を分割した上で、他省庁の下部組織にするという方式で分割すべきです。 
もし、これを実施しなければ、旧財務省出身者がいずれかの官庁で、事務次官になり、この事務次官が分割された他省庁の旧財務省出身者と結託して、他省庁を時間をかけて植民化して、実質他省庁を支配し、結局旧財務省と同じようなグループを復活させることになります。 
このような分割の仕方をすれば、旧財務省出身者は、どうあがいても、いずれの官庁においても事務次官にまで上り詰めることは不可能になり、政治に対して権力を振るうことは不可能になります。そうして、大蔵省のDNAは、財務省から新体制は受継がれなくなります。 
そうして、官僚は本来の業務である、政府の目標設定に従い、専門家的立場から、それを実行するための手段を選び実行するという役割を果たすようになります。前川のような馬鹿で独善的な次官が生まれる余地はなくなります。 
これで、財務省はすっかりこの世から消えることなります。そうして、全省庁の高級官僚は、左遷されたり、それどころか、自分の属する省庁がこの世から消えることを恐れ、政府の方針に従った仕事をするようになります。そうなれば、日本経済は大復活することになります。 
せっかく、内閣人事局を設置したわけですから、安倍政権には少し時間をかけても、これを実行して頂きたいです。これが成功すれば、日本経済が大復活するだけではなく、日本の政治主導の夜明けとなり、良いことずくめです。
そうして、公共放送であるはずのNHKにも、高橋洋一氏が指摘したように非常に問題があります。

ブログ冒頭の高橋洋一の記事に掲載されていた、NHKの平成28年度の決算をみると、当然のことながら、連結決算になっており、連結のBS(貸借対照表)も掲載されています。

NHKの業績をみるためには、当然のことながら、連結決算でみなければなりません。これは、過去の苦い経験から会計法がかわり、今では企業グループは連結決算を提出しなければなりません。特に、大企業では連結決算の提出が義務付けられています。

過去においては、グループ企業において、親会社の赤字が、巧妙に小会社に移転され、あたかも親会社の業績は良いように、決算書が偽造されていることがありました。だからこそ、会計法が改正されて連結決算をしてね、グルーブ企業全体の状況を把握できるようにしたのです。

そうして、連結決算でも、BSを見て、資産と負債の状況を把握しなけばなりません。負債だけ見て、借金が過大であるなどといえば、馬鹿といわれるだけです。資産の状況もみなければなりません。これは、法律で義務付けられていることです。

そうして、本来政府の業績をみるためにも、日銀と政府の連結、すなわち統合政府の決算書それも、PLとBSの両方をみなければなりません。特にBSで、負債だけではなく資産もみなければならないはずです。

しかし、NHKはそのようなことをしようともしません。これは、高橋洋一氏が指摘するように、意図して意識してやっていることなのでしょうか。

私は、そうとも限らないと思います。高橋洋一氏が指摘するように、潤沢な放送受信料収入をほとんど苦労なく得られるため、楽な運営をしてきたので、資産などに関しても、どんぶり勘定ができれば、支障はなく、ほとんど頭を使う必要がなかったので、BSを読めないのかもしれません。

いずれにしても、これは問題です。このようなNHKをそのまま運営させても、国民には全くメリットがありません。国民が、政府の業績を知るための財政の「本当のこと」を知る機会を結果として奪っているNHKには存在価値はありません。


NHKは解体して、国民の「本当のこと」を知る権利を尊重する、新たな公共放送を創設すべきです。

NHKの解体は、財務省の解体ほどには難しくないと思います。そうして、解体すればそのインパクトはかなり大きいと思います。いわゆる、放送業界にもかなりのインパクトを与えるものと思います。少なくとも財政に関して国民の知る権利を無視する放送局はなくなると思います。

経営学の大家であるドラッカー氏は以下のように述べています。
長い航海を続けてきた船は、船底に付着した貝を洗い落とす。さもなければ、スピードは落ち、機動力は失われる。(『乱気流時代の経営』)
あらゆる製品、あらゆるサービス、あらゆるプロセスが、常時、見直されなければならない。多少の改善ではなく、根本からの見直しが必要です。
なぜなら、あらゆるものが、出来上がった途端に陳腐化を始めているからです。そして、明日を切り開くべき有能な人材がそこに縛り付けられるからであす。ドラッカー氏は、こうした陳腐化を防ぐためには、まず廃棄せよと言います。廃棄せずして、新しいことは始められないのです。
ところが、あまりにわずかの企業しか、昨日を切り捨てていません。そのため、あまりにわずかの企業しか、明日のために必要な人材を手にしていません。
自らが陳腐化させられることを防ぐには、自らのものはすべて自らが陳腐化するしかないのです。そのためには人材がいります。その人材はどこで手に入れるのでしょうか。外から探してくるのでは遅いです。
成長の基盤は変化します。企業にとっては、自らの強みを発揮できる成長分野を探し出し、もはや成果を期待できない分野から人材を引き揚げ、機会のあるところに移すことが必要となります
乱気流の時代においては、陳腐化が急速に進行する。したがって昨日を組織的に切り捨てるとともに、資源を体系的に集中することが、成長のための戦略の基本となる。(『乱気流時代の経営』)
そうして、これは企業だけではなく、日本国にもあてはまることです。このようなことをしなければ、日本が成長することはないのです。

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2016年9月29日木曜日

臨時国会も安倍政権VS財務省 民進党の本音は消費増税優先か―【私の論評】元々財務省の使い捨て政党民進党にはその自覚がない(゚д゚)!


参院本会議で、民進党の蓮舫代表の代表質問を
聞く安倍晋三首相(左奥右)=28日午前
第192臨時国会が26日召集された。会期は、11月30日までの66日間。一般会計の総額で3兆2800億円余りとなる今年度の第2次補正予算案と、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の国会承認と関連法案の成立がポイントである。安倍晋三首相は「アベノミクス加速国会」と位置づけている。

補正予算に対して、民進党は「借金頼みだ」と批判している。本コラムで述べてきたように、まさに民進党に財務省が乗り移っているかのようだ。

マクロ経済政策の基本は、失業をできるだけ少なくすることである。中央銀行はこのために金融政策を行うほか、政府の財政政策も発動される。国内総生産(GDP)と失業の間には、経験的に安定的な関係があることも知られている(オークンの法則)。

財政政策について言えば、GDPギャップ(潜在GDPと現実のGDPの差)があれば、それを埋めるというのが財政政策の目標であってもいい。そのような立場からは、政府が完全雇用を作るために、国債発行が容認される。

また、こうした考えに立たなくても、国債発行は容認される場合も多い。例えば教育である。教育が将来の所得を増やすという実証分析結果は数多く、教育に投資するという考え方は正しい。

ここで問題になるのは財源である。今の文部科学省や財務省には、教育を投資と考える発想はない。その証拠は、教育の財源に国債を充てることはないからだ。教育を投資とみれば、将来世代に返してもらえばよいので、国債を発行して財源とするはずである。

民進党は先の代表選で、教育について、よい議論をしていたが、蓮舫代表は教育の財源を行政改革で賄うと述べていた。これではまるで財務省の劣化コピーである。

また、TPPに関して民進党は、「交渉で勝ち取るべきものを勝ち取っておらず、国益が守られていない」という立場だ。

TPPは、先の国会で西川公也TPP特別委員長の著書出版問題や、熊本地震などの対応のために、国会成立を断念した経緯がある。交渉過程の情報公開が不十分という議論もあった。

民進党のいう「交渉がまずかった」というのは、当たらないだろう。あまりに日本がよい交渉をできたので、米国で不満が出てきたのが現実である。民進党は裏では、次期米大統領がクリントン氏でもトランプ氏でもTPPから離脱するので、日本が先に行くべきでないと考えているのだろうか。

今回のTPPで、加入国内で最もメリットを得るのは日本で、特に農業分野で輸出攻勢をかけるのに好都合であり、一部ではその機運も出てきている。

こうした攻めの流れを加速させるのか、萎縮させるのか。将来へ投資するという姿勢を民進党が貫けるか、財務省のように目先だけのそろばん勘定に終わるのかが問われる。

民進党は「景気対策より社会保障」と言うが、野田佳彦幹事長がいるので、本音は「消費増税を優先せよ」だろう。ここも安倍政権対財務省だが、これが今国会の焦点だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】元々財務省の使い捨て政党民進党にはその自覚がない(゚д゚)!

蓮舫代表の発言というか、民進党の幹部の経済に関する発言の内容は、ことごとく財務省のパンフレットの劣化コピーのようです。

とにかく、民進党の経済政策をそのまま実行に移せば、景気低迷でせっかく実質賃金もあがりはじめた雇用改善はブチ壊しになります。それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、いま求められているマクロ経済政策は、金融緩和と積極財政であるにもかかわらず、蓮舫氏の政策は真逆のであり、万一これが実行されたとしたら、景気低迷と失業率上昇に見舞われ、雇用改善もぶち壊しとなる恐れがあることを掲載しました。

以下に、財政再建はすでに終了している可能性があることを述べた部分を引用します。

"
ブログ冒頭の記事、高橋氏は「日銀を含めた統合政府ベースでみればネット債務残高は100兆円程度に過ぎず、いまは財政再建を過度に進めるべきときではないことはご存じだろう」と述べています、これに関しては、最近このブログでもとりあげ、さらに私なりに実際に計算してみて、その計算過程もこのブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
「国の借金」巡るホラー話 財務分析すれば怖くない―【私の論評】鳥越より悪質な都市伝説が現実になる新手の辛坊らの発言には気をつけろ(゚д゚)!
国の借金1000兆円は、真夏のホラー映画のような作り話にすぎない!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、いわゆる国の借金、正しくは政府の負債を私なりに計算して、その計算過程も示しました。その結果では、ネットで計算さらに、日銀を連結した統合政府ベースで170兆円 ということになりました。

高橋氏の計算結果とは異なりますが、それでも100超円台であり、どう考えても1000兆円でないことははっきりしすぎるくらいはっきりしています。

これに関しては、他の方も計算過程を公開しています。そのリンクを以下に掲載します。
財政再建は終わりました
この方の計算では、政府の負債は169兆円となっています。私の計算結果170兆円とほぼ同じです。ちなみに、この方のハンドルネームは、アフロといい、ツイッターのアカンうとは、"@Afro_spirits"です。

いずれにしても、政府の借金1000兆円などあり得ないわけです。この計算自体は非常に簡単です。是非私やこの方の計算過程をご覧になって下さい。

さて、この方の計算は信用できるものなので、以下にいくつかのグラフを転載させていただきます。

まずは、以下は統合政府純債務残高の推移を示したものです。


このグラフから日銀の金融緩和政策の国債の買い入れによって、純債務残高が、2014年度でも政府純債務GDP比は35%まで減少していたことがわかります。

さらに、下のグラフは、統合政府の債務残高の予測まで含めた推移を示したものです。


日銀が国債を買えば買うほど統合政府の政府純債務は減ります。

日銀の年80兆円の国債買い入れペースだと、2017年度には純債務から、純資産になるため、財政再建は完璧に終了することになります。実質的には、2016年度中に終了するか、2016年半ばを過ぎている現在もうすでに終了したと言っても良いくらいです。
"
さて、今年中に財政再建はほぼ終了ということに関しては、私だけではなく、高橋洋一氏や経済評論家の上念司氏もそのように語っています。特にリフレ派の人々の中には、そのようなことを言う人が多いです。私も、実際に自分で政府の負債を計算してみてそのように思っています。

いずれにせよ、いわゆる財務省やマスコミが煽っているように、国の借金1000兆円であるとか、国民一人あたり国の借金が800万円以上というようなことは、全くの間違いであり、日本が近い将来財政破たんするかもしれないということは、全くあり得ません。よって財政破綻を防ぐために、増税しなければならないなどということは全くありません。

安倍政権が増税を延期したのは、正しい選択です。延期どころか、減税したほうが良かったです。

しかし、蓮舫氏が選ばれた、代表戦の候補者は3人が3人とも増税賛成派でした。他の民主党議員も似たり寄ったりです。どうしてこれほど、財務省にべったりなのか理解に苦しみます。

民進党と財務省といえば、民進党が民主党だったときの民主党政権の最後の、2012年の野田総理による衆院解散に関して、当時みんなの党の代表であった渡辺喜美氏が会見で興味深い話をしていました。その動画を以下に掲載します。


この動画の7:30あたりのところから、渡辺氏が記者になぜこのタイミングでの解散になったのか、問われて以下のように話しています。
「これは、財務省の路線そのものなのであって、とにかく新製権で、予算編成をしたいと・・・。旧政権でつくった予算をグタグタにされるのは困るという財務省の路線が、そっくりそのまま、野田総理を動かしたというだけのことですね。 
党首会談をやったときに、もう自分は財務省に見放されているということを、はっきりと言っていました。その見放された総理が、最後まで財務省路線に乗っからざるをえないと、まあー、非常に情けない内閣ですね」。
後は、ご存知のように野田佳彦氏は財務省の意向を反映した自民党が提案した消費税増税を法定化して民主党政権が壊滅する道を突き進みました。これは、本当に理解に苦しみます。民主党は政権交代直前の選挙の公約では「民主党が政権の座についている間は増税しない」としていました。
民主党政権というと、蓮舫氏による事業仕分けが有名ですが、蓮舫氏がどうして専門知識を有する官僚を「公開処刑」できたのかというと「仕分け人」たちは、財務省が作った“極秘の査定マニュアル”に基づいて発言、追及していたからです。

要するに行政刷新会議の概算要求の無駄を洗い出すという「事業仕分け」は、「政治主導」ではなく、「官僚主導」のパフォーマンスだったのです。何のことはない、官僚官僚の手の上で踊ったに過ぎなかったのです。法的にも何の権限もなく本格化する財務省の査定の下馴らしとPRをしただけだったのです。  

事業仕分けをした蓮舫氏

消費税増税を元々決めたのは、自民党であることからもおかわりのように、日本の政治は財務官僚に主導されつづけてきました。しかし、財務省の官僚は選挙で選ばれたわけではありません。

にもかかわらず、財務省はまるで政治集団のように、旧民主党政権を使い捨てにしたり、安倍政権に対しても対峙し強力な力を発揮して、日本の政治に間接的ながら、大きな影響を与えています。

しかし、本来財務省の官僚は、政治家のように有権者から選ばれているわけではありません。それが、政治に介入するのは、明らかに間違いです。財務省といえども、政府の下部機関であることには変わりありません。

しかし、安倍総理は消費税増税を二度も阻止して、財務省に対峙しています。このように、財務省に真っ向から対峙した総理大臣は、安倍総理が初めてでしょう。自民党の多くの議員が、財務省の使い捨てだったにしても、少なくとも安倍総理とそのブレーンの議員などは財務省の使い捨てではなく、何とか官邸主導を貫こうとしています。

だから、私としても、今のところは、安倍政権を支持するしかないと思っています。

一方現在の民進党の現在の幹部は、まるで、財務省のいいなりです。あろうことか、新しい幹事長となった、野田佳彦氏も、財政規律重視で、増税派です。

一体、彼らは自分たちが財務省に使い捨てされているということに気づかないのでしょうか。

私としては、おそらくその自覚がないのだと思います。ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事が指摘しているように、今臨時国会でも「安倍政権VS財務省」の構図になっています。そうして、民進党は財務省のスポークスマンであり、財務省としても、民進党を国会で自分たちの声を与党に伝える役割を担わせているのでしょう。

声を届けて、財務省のような考え方が、圧倒的多数派であるとの世論工作をしているのでしょう。そういう目で、今臨時国会を眺めると、いろいろなことが納得がいきます。

財務省に反旗を翻した安倍政権が誕生した現在では、政府の一下部機関である財務省に使い捨てにされているという自覚がない政党には、最早政権の座につく機会は永遠に訪れることはないでしょう。

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