2017年7月19日水曜日

【防衛最前線(131)】九州豪雨でも災害支援、急患輸送では殉職も 知られざる自衛隊の活動―【私の論評】一日でもはやく憲法改正し、自衛隊を合憲化せよ(゚д゚)!

【防衛最前線(131)】九州豪雨でも災害支援、急患輸送では殉職も 知られざる自衛隊の活動

「誰かいませんか」と声を張り上げ、行方不明者を捜す自衛隊員たち=7日午前6時22分、福岡県東峰村
九州北部の豪雨災害を受け、災害派遣で出動した自衛隊が被災地で救援活動にあたっている。約4000人態勢(7月18日現在)で警察や消防とともに行方不明者を捜索したり、被災者への入浴、給水といった支援活動を行っている。

 平成27年1月に内閣府が行った定期世論調査では「自衛隊に良い印象を持っている」との回答が過去最高の92・2%を記録した。こうした国民の自衛隊に対する信頼感は、東日本大震災をはじめとする災害時の活躍が評価されているのは間違いないが、自衛隊の災害派遣については、あまり知られていないことも多い。

 災害派遣は、自衛隊にとって最優先の仕事ではない。自衛隊法では「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、わが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする」と規定している。「主たる任務」は外敵の侵略を防ぎ、日本を守ることであり、災害派遣は「従たる任務」という位置付けだ。

 災害対応の主役は地方自治体や警察、消防であり、自衛隊はサポート役というのが本来の姿だ。仮に日本が外敵から攻撃を受けた場合、自衛隊は外敵と戦い、排除することが最優先の任務となる。

九州北部豪雨から19日で2週間。流木を取り除き、行方不明者の
捜索をする自衛隊員たち=18日午後、福岡県朝倉市
 自衛隊の災害派遣を派遣人員ベース(延べ)でみると、東日本大震災のあった23年度は約1070万人と突出して高い。以降は24年度1万2410人▽25年度8万9049人▽26年度6万6267人▽27年度3万35人-と推移し、熊本地震のあった28年度は約85万人だった。

 一方、実施件数をみると、24年度520件▽25年度555件▽26年度521件▽27年度541件▽28年度516件-と推移している。実は件数ベースでみた場合、医療インフラの乏しい離島や遠隔地での「急患輸送」が7~8割を占めている。とりわけ島嶼地域を含む沖縄、長崎、鹿児島からの要請が多くを占める。

 急患輸送は自治体のドクターヘリも行っているが、「夜間や気象条件が悪い時ほど自衛隊に依頼が来る」(陸上自衛隊幹部)という命がけの任務だ。今年5月には北海道函館市で急患を迎えに飛行中だった陸自機が墜落して隊員4人が亡くなった。19年3月にも鹿児島県の徳之島で陸自ヘリが墜落して4人が殉職した。2年2月にも沖縄県の宮古島近海の事故で、医師を含む4人が亡くなっている。

今年5月には北海道函館市で急患を迎えに飛行中だった陸自機が墜落して隊員4人が亡くなった
 風水害や地震、急患輸送以外では、火災の「消火支援」で派遣されることもある。28年では新潟県糸魚川市中心部の大規模火災など57件。山岳遭難や航空機・船舶の事故に際しての「捜索救助」も28年度で25件あった。

 このほか災害派遣には含まれないが、不発弾処理も自衛隊にしかできない民生支援の一つといえる。終戦から70年以上を経た今でも、工事現場などで不発弾が発見され続けており、全国4カ所に置かれた専門部隊による処理件数は28年度で1379件、処理重量は42・1トンに及んだ。

不発弾を処理する自衛隊員
【私の論評】一日でもはやく憲法改正し、自衛隊を合憲化せよ(゚д゚)!

上の記事、簡単に言ってしまえば、自衛隊は日本国民にとってはもうなくてはならない存在になったということです。しかし、この自衛隊の存在そのものが、違法であるとする人々も多いです。命の危険と隣り合わせの、自然災害対応や、不発弾処理では、自衛隊に頼っておきながら、彼らをいつまでも違憲状態にしておくなどということがいつまでも許されることなのでしょうか。彼らは、もし他国から攻め込まれた場合には、最前線に立つ人々なのです。
DVD「国防女子」より
リベラル・左翼の人々は、良く「諸外国では」という口上で、外国の事例を出して日本が遅れているという論説を好んで用いているようなので、私もそれにならいます。

諸外国の憲法典等においては、独立国は軍隊を持つのが当たり前のことであるため、憲法典にわざわざ「わが国は軍隊を持つことができる」などという条文はありません。これには、厳密にいえばほんの少数の例外はあります。しかし、圧倒的多数がそうなっているので、ここでは例外は無視します。以下でも、ほんの少数の例外は無視します。

さらに、独立国が自衛戦争をするのは当たり前のことなので、「わが国は自衛戦争ができる」という条文もありません。それは、人間でいうとろの生存権と同じようなものであり、これは人間が生まれながらにして持っている権利であるので、生存権をわざわざ憲法の条文として書かないのと同じく、わざわざ憲法典には掲載しないのです。

普通の国なら、憲法典にわざわざ掲載していなくても、軍隊を持ち、自衛戦争することは自明の理であり、これ自体が問題になることもないのです。

さらに、集団的自衛権と、個別自衛権に関する区別も、諸外国にはありません。例外的に、ドイツ軍はNATO軍に属し、集団的自衛権のみは発動できますが、ドイツが単独で個別自衛権を発動することはできません。



例えば、もしポーランドが外国から攻撃された場合、ドイツはほかのNATO加盟国とともに、ポーランドを防衛するために戦う義務を負います。その代わり、ドイツが他国に攻撃された場合は他国の防衛援助を受けられます。しかし、ドイツ単独で戦争をすることはできません。

それは、ドイツが過去に単独で戦争を起こし、他国へ侵略したという歴史があるからです。ドイツが単独で戦争ができるということは、周辺諸国にとっては今でも大きな脅威なのです。だからこそ、集団的自衛権のみが許されているのです。

このような状況をみていると、日本で自衛隊(実質上の軍隊)が、違憲のままというのは、非常に異様です。

そもそも、敵が攻め込んできても、防衛戦争が違法などというのは全くおかしなことです。

直近では日本各地の領海に中国海警局の船が侵入する事態が続出しています。海上保安庁から警告を受ける船舶には機関砲とみられるものが搭載されていたケースもありました。

青森沖を航行する中国公船
北から南まで、報告例が引きも切らない状況です。第2管区海上保安本部(塩釜)によると17日、青森県沖の領海内を中国海警局の船2隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認しました。2管本部は、この海域で中国公船の領海侵入を確認したのは初めてとしています。

この2隻は15日にも九州北部沖の長崎・対馬と福岡・沖ノ島周辺の領海に相次いで一時侵入していました。この領海で中国公船の侵入が確認されるのも初めてだといいます。

沖縄県の尖閣諸島周辺では、さらに状況は深刻です。領海外側にある接続水域で中国当局の船が確認されるのは17日現在で、実に12日連続。第11管区海上保安本部(那覇)によると、1隻は機関砲のようなものを搭載していたといいます。

ここにきて、なぜ、中国はこうした威圧的な行動に出てきたのでしょうか。

これは米中関係の冷え込みがあり、さらに安倍晋三政権が支持率を落としているのも関係しているはずです。思い切った反撃はできないと踏んで侵入を繰り返しているとみられます。

ドナルド・トランプ米大統領は、4月の会談で中国の習近平国家主席に対し、北朝鮮をはじめとした諸問題について100日で結果を出すよう求めたのですが、ほごにされました。今月2日の両者の電話会談も不調に終わったとみられます。そんななか、中国は開き直る形で、米国と行動を共にする日本に攻勢を強めてきている可能性があります。

さらに、中国側は、「仮に海上保安庁の船が強硬な措置に出た場合、一部の左翼勢力は『安倍が戦争を始めた』と騒ぎ出すはずだ。そうなってはさらに政権運営に支障をきたすことにもなりかねない。だからなかなか思い切った対策がはずだ」というふうに、中国側から足元を見られてしまっているのでしょう。

日米ともに政権支持率が低下しており、中国当局がますます好き勝手に動き回ることになりそうです。このような状況を放置しておけば、尖閣諸島は中国に奪取され、南シナ海は中国の意図通りに、中国の戦略原潜の聖域になってしまいかねません。

福岡県朝倉市で捜索活動をする自衛隊員=9日午前8
やはり、日本も諸外国並みにまずは憲法解釈を変え、一日も早く自衛隊を合憲化し、自衛戦争をできる体制とすべきです。

そうして、これと同じことを安倍首相は考えています。そうして、憲法改正に前向きの姿勢を見せています。

昨日のブログにも掲載したように、安倍政権が憲法改正に取り組むと明言した5月3日以降、森友・加計問題などのマスコミのネガティブ・キャンペーンが酷くなっているようです。そうして、安倍総理が提唱す(1)憲法9条、(2)憲法29条の改正は、護憲派にとっては批判の筋道が立てづらいものになっています。その内容を以下に再掲します。
(1)憲法9条では、現行の1、2項はそのまま、3項で自衛隊を規定するだけだ。これは公明党が言うところの「加憲」であり、現行の自衛隊を憲法に明記するだけなので、反対しにくい。 
一部の野党などは「どのような理屈を並べようと、憲法の平和主義を踏みにじることに変わりない」と勇ましいが、この「加憲」は彼らの中にも主張していた人がいるくらいで(保守系からは評判が悪いものの)、リアリストである安倍首相の真骨頂だ。 
(2)憲法29条の改正の目的は、教育無償化である。これに対して「憲法改正など必要ない。個別法を改正すればいい」という反論が多いが、これでは積極的な反論になっていない。教育無償化を法改正で実現することは確かに可能だが、その場合、財務省の思う壺だ。というのも、法律での規定は必ず財政法の枠内になる。
そうすると、原則的に国債発行ができないため、無償化の財源確保のために増税か歳出カットが必要になる。必要財源は数兆円にのぼるので、日本経済を壊してしまう可能性が高い。
現在の状況は、一部のマスコミと野党が、憲法改正を阻もうとするために加計学園問題を利用しているのではないか、と邪推してしまいそうになるほどです。もしそうなら、あまりに不毛です。

私自身は、憲法に関しては、いがれ日本の歴史や国柄を反映したものを根底から作り直し、日本人による日本の憲法とすべきと考えています。

しかし、それを待っていたずらに現状の自衛隊の違憲状況をそのまま放置しておくべきでもないとも思っています。まともな憲法はいずれ作成すべきものとして、このような状況は一日でもはやく是正し、自衛隊を合憲化し、自衛隊員の身分を保証し、彼らが自衛戦争をできるようにすべきです。

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