朝日新聞本社 |
朝日新聞は昨年末、『徹底検証「森友・加計事件」-朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』で名誉を傷つけられたとして、著者で文芸評論家の小川榮太郎氏と、発行元の飛鳥新社を東京地裁に提訴した。
天下の大新聞が、こう言っては悪いが一介の物書きと、朝日新聞から見れば零細企業に過ぎない出版社を訴えたことに驚いた。賠償請求額が5000万円というケタ外れぶりにもびっくりした。
これで、朝日新聞を批判する言論の一部は確実にしぼむ。勝ち負け以前に、個人の著者や中小出版社には裁判を戦うだけでも大きな負担だ。うっかり朝日新聞を批判して訴えられたらたまらないと、口をつぐむ論客は今後増えるだろう。
疑問を感じた私は、同じ飛鳥新社が発行している『月刊Hanada』(3月号)に、「これは典型的なスラップ訴訟だ」と題する一文を急ぎ寄稿した。詳しくは同誌を購読いただきたい。
スラップ訴訟とは、大企業や公的機関などの「社会的強者」が、個人などの権力を持たない「弱者」を訴え、その言論や活動を封じようとする恫喝(どうかつ)的、威圧的な訴訟を指す。
一体、朝日新聞はどうしてしまったのか。
権力の監視役を自任し、総理のクビもとれる力を持っていた大新聞が、小川氏や飛鳥新社といった「弱者」の声に、なぜこれほど過剰反応するのか。権力と対峙(たいじ)する言論機関である朝日新聞が、なぜ言論で勝負せず、司法という「権力」に助けを求めるような挙に出たのか。
そのあたりの心理は、今後じっくり解明していきたい。
その前に、小川氏が著書で指摘した中で、昨年の国会審議の大半を費やした「モリカケ騒動」のポイントとなった、一本の記事の真相が、司法の場で明らかにされるかどうかが気にかかる。
昨年5月17日、朝日新聞1面トップを飾った「加計学園の新学部『総理のご意向』 文科省に記録文書」という記事である。記録文書の写真が添えられていたが、一部だけにスポットが当たって周囲が暗く、いかにも「秘密の文書」感たっぷりの演出がされていた。
だが、暗くてよく読めない部分には、「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか」と、真逆の意味にとれる記述があったのだ。小川氏はこのあたりを著書で指摘している。
仮に、小川氏の指摘が正しければ、いずれ朝日新聞に対し、当該記事が空転させた国会の審議時間や、それに伴って浪費された国費の賠償をという、国民からの訴えが起きてもおかしくないと思うが、いかがか。
■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『リベラルの中国認識が日本を滅ぼす』(産経新聞出版)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)など多数。
朝日新聞社は「事実に基づかない内容で本社の名誉や信用をいちじるしく傷つけた」として小川氏と飛鳥新社に対し5,000万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。訴状によれば、謝罪広告は「朝日・読売・毎日・日経・産経・東京」の各紙において「社会面記事下、横9cm、縦2段」など掲載条件まで指定されています。
朝日新聞は12月25日に提訴を報じた自社記事の中で広報担当執行役員の談話を紹介していますが、「事実に反する記載が数多くありました」「本社には一切取材もないまま、根拠もなく、虚報、捏造、報道犯罪などと決めつけています」と非難した上で「事実に反した誹謗・中傷による名誉毀損の程度はあまりにもひどく、言論の自由の限度を超えています」として「やむを得ず裁判でこの本の誤りを明らかにするしかないと判断しました」と提訴に至った理由を説明していました。
これに対し小川氏も12月25日深夜にFacebookを更新し「訴状の初見の印象からの簡単なコメントをまず発表します」と反論しており、前述の執行役員の言葉に対しては「笑止千万とはこのこと」と一笑に付し、裁判に訴える手法を選んだ点について「自説を証明できる膨大な紙面と圧倒的な読者数を誇る朝日新聞社の取る道としてあってはならぬ最悪の邪道と言う他ありません」と呆れると共に、訴状についても小川氏が12月5日に送付した朝日新聞社への回答を「ほぼ全く踏まえていません」と指摘しています。
小川氏は朝日新聞からの質問に「全て丁寧に反論しています」と主張、朝日新聞側が今回「具体的にどう違うか指摘し訂正を求めましたが(中略)応じませんでした」としている点について「私との言論戦から逃げて、まるで私がろくな回答をせず不誠実な対応をしたかのような印象操作の上で、訴訟を挑んできた」と非難、今回の提訴に対しては「裁判は当然徹底的に受けて立ちますが」「朝日新聞が社会的に決して逃れられない形で訴えてゆく所存です」と語っています。
また、小川氏は投稿の中で慰安婦報道問題など複数の朝日新聞報道問題を挙げ「再三にわたる『言論の自由の限度を超えた』捏造」と指摘、これらを「なかったかのようにしておきながら」「巨額の賠償請求訴訟を起こすことは自由社会を破壊する言論弾圧に他なりません」と朝日新聞側の姿勢を厳しく批判すると共に今回の提訴によって「言論人の中には、朝日新聞を批判することが訴訟リスクを含むと考え、批判を手控える方も出てくるのではないでしょうか」と懸念を示していますが、朝日新聞に対しては既に数多くの批判が出ており、複数の著名人からも苦言が呈されています。
自民党の山田宏参議院議員は「『○○猛々しい』とは、朝日のこういった姿を言う」、産経新聞の阿比留瑠比氏も「いくらでも反論できる紙面を持ちながら、個人の言論への嫌がらせのよう悪質な手法をとるとはね…。最低ですね。」、またジャーナリストの有本香氏も「越えてはならない一線を越えたと思う」とした上で「社内の人達はこれをよしとしているのかねえ」と疑問を添えています。
評論家の石平氏は今回の提訴を「戦後70数年の偏向報道に対する日本国民の戦い」と位置づけており「小川さんの著書を一人一冊ずつ買って読もう」と呼びかけ。著書購入は小川氏の秘書も「この機会にご購読を!」「読んでご判断を!」としていますが、同時に小川氏のTwitterアカウントでは小川氏が理事長を務める日本平和学研究所へのサポートを呼びかけるツイートを再投稿しました。
小川氏は12月26日の午前にも当日の朝日新聞紙面を添付する形で再びFacebookに投稿を寄せており、「彼らには社会的な責任を取らせます」「朝日は自滅へのパンドラの箱を開けてしまいました」と述べています。
朝日新聞の言い分は不可思議です、たとえば朝日新聞のコラム「素粒子」一つとっても大問題です。例えば、「首相を侮辱すれば私人を証人喚問。首相夫人の説明を求めたら採決強行。内閣支持率が53%あるからいいのだと」。全く因果関係のないものを関係づけています。
「安倍晋三記念小学校と書いてあったか。財務省が出した黒塗りの書類。『ずぶずぶ』で品が悪けりゃ癒着と言おう」。「安倍晋三記念小学校」は全く事実と違います。
朝日放送はイメージ画像として「安倍晋三 記念小學院」の画像を報道した |
首相は、森友学園が財務省に提出した小学校名は「開成小学校」だったと説明。朝日の報道を根拠に「忖度(そんたく)されたのではないかと(国会で)質問されたが、そうではなかった」と強調しました。
首相は昨年11月の衆院予算委でも朝日新聞の当時の記事を取り上げ、学園前理事長の籠池泰典氏の話を「うのみにした」と批判していました。
朝日がこんなむちゃな非対称的な状況で個人や弱小出版社を訴える姿を見ていると、「安倍政権は安倍首相夫妻への重大な人権侵害に対し、きちんと提訴せよ」と言ってやりたくさえなります。
首相は昨年11月の衆院予算委でも朝日新聞の当時の記事を取り上げ、学園前理事長の籠池泰典氏の話を「うのみにした」と批判していました。
朝日がこんなむちゃな非対称的な状況で個人や弱小出版社を訴える姿を見ていると、「安倍政権は安倍首相夫妻への重大な人権侵害に対し、きちんと提訴せよ」と言ってやりたくさえなります。
これは小川氏と小川氏が理事長を務める日本平和学研究所が開設したもので、URLは「asahislapp.jp」。サイト名は「朝日新聞5000万円訴訟の記録」となっています。
コンテンツは「私たちの主張」「5000万円訴訟の経緯」「朝日の代表的な過去の事例」と共に「本の贈呈運動」として全国の朝日新聞販売店に対し「徹底検証・・・」をプレゼントする運動についてのページが含まれています。
プレゼント運動は「徹底検証・・・」を購入し、朝日新聞の販売店に郵送または手渡しで書籍を「プレゼント」、その後サイト上で報告するという流れで、小川氏側では報告のあった販売店を公表していくとしており、「この活動で発生した印税につきましては、著者の収入とせず、然るべき団体に寄付します」と明記されています。
小川氏は「asahislapp.jp」上で朝日新聞による提訴を「言論機関による言論封殺」「こんな裁判を認めては、今後の日本の『言論の自由』は大幅に制限される」と訴えており、「私たちは、これは『スラップ訴訟』であると考えます」と主張しています。
また「朝日の代表的な過去の事例」を紹介したページでは朝日新聞による過去の誤報がまとめられており、サンゴ事件や慰安婦報道問題なども紹介されています。
サイト開設について小川氏はFacebookで「今後、裁判の経緯や有識者の見解など更新してまいります」としており、同時に現在「徹底検証・・・」の新聞広告が各新聞社から拒否されているとしてこのように協力を求めています。
小川氏は、"私は新聞各社に対しては、民事訴訟での一律な広告掲載拒否を見直すよう強く主張するとともに、新聞広告が出せない状況で国民に広く「森友加計の安倍疑惑が朝日主導の捏造だったこと」を知らせる輪を広げていただきたいと切望します。"と語っています。
今回の森友・加計事件は、朝日による「安倍疑惑」という大きな捏造(ねつぞう)です。これをあいまいにしたまま、小川氏による名誉毀損(きそん)案件としてごまかすことは絶対に許されません。
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