2020年3月22日日曜日

中国「新型コロナ封じ込め」強権の行く先は北朝鮮化か、それとも…―【私の論評】『言論統制』の崩れは、中国の「すでに起こった未来」かもしれない(゚д゚)!

中国「新型コロナ封じ込め」強権の行く先は北朝鮮化か、それとも…
習近平とWHOは世界に謝罪すべきだ


テレビ・キャスターや中国人民は謝罪する必要がない

 中国中央テレビの邱孟煌キャスターがSNSに「我々は申し訳ないという気持ちを込めて柔らかい口調でマスクをしたまま世界に向けてお辞儀をし、『すみません、迷惑を掛けました』と言わなければならないのではないか」と投稿して炎上したと報道された。

 その後コメントは削除されたが、邱キャスターの気持ちはよくわかる。多くの日本人が「もし、日本発のウィルスで、しかも対応の不手際によって(人災で)世界の人々を混乱に陥れた」とすれば同じ感情を持つのではないだろうか? 

 ただ、「反省しすぎ」なのが日本人の欠点である。冷静に考えて、日本政府の対応の不手際によって、日本で発生したウィルスが拡散したとすれば、一番の被害者は日本国民である。日本国民はまず、政権や官僚・役人に対して怒るべきなのである。

 共産主義中国でも同じことが言える。キャスターも含めた人民は、共産党政権の「隠ぺい工作」によって、武漢肺炎ウィルスを中国全土のみならず全世界に広げた組織を糾弾すべきだ。

 「A級戦犯」は習近平氏と、それを支える共産党幹部、さらには人口のわずか数%である特権階級の共産党員である。

 武漢中心医院の眼科医、李文亮氏は、 12月30日に「海鮮市場で7件の重症急性呼吸器症候群(SARS)に似た肺炎が確認された」とSNSに書き込んだ。ところが、この書き込みを発見した武漢市公安当局は李氏の書き込みを見つけ出し、事実でない書き込みであり「治安管理処罰法」に違反しているとして李氏を処罰した。そして、とても悲しいことに、李医師は2月7日に武漢肺炎によって亡くなった。

 その他にも隠ぺい工作が数え切れないほど行われ、世界中に感染が拡大した。謝罪すべきは、人災でウィルスを拡散した習近平氏と、その隠ぺい工作(責任逃れ)に加担した国連機関であるWHO事務局長のテドロス・アダノム氏である。

人民解放軍は中国共産党の「親衛隊」だ

 アドルフ・ヒットラーが率いた、ファシズム政党であるナチスはプロパンガダに秀でており、ヒットラー自身も、演説の前に鏡を見て身振りや手ぶりの練習をしたりした。今で言うイメージ戦略であり、その参謀が有名なヨーゼフ・ゲッペルスだ。

 しかし、中国共産党も負けてはいない。人為的飢饉による餓死者も含め、リンチ・拷問・処刑による死者をおよそ8000万人(西側推計)出した愚策を「大躍進」「文化大革命」と呼ぶだけではなく、機関銃で武装して無防備な人民を追い立てる組織を「人民解放軍」と名付ける。

 親衛隊は、ドイツ国軍とはまったく別個にナチス(ヒットラー)に忠誠を誓う私兵組織である(突撃隊も別途組織されていた)。人民解放軍も中国共産党に忠誠を誓う組織である上に、本当の意味での国軍が存在しない。共産主義中国では、ナチスの親衛隊が、国軍も兼ねているというような恐るべき状態なのだ。

 この「人民解放軍」という奇妙な名前の集団が、今回の「武漢封じ込め」でも存在感を見せた。もちろん、感染対策の基本、特に初動は「封じ込め」を中心にすべきであり、日本政府が共産主義中国の封じ込めを行わずに、早期に中国から日本への入国を全面的に規制しなかったのは誤った対応である。

 しかし、封じ込めは「より多くの人命を救う」という大きな効果があるとともに、封じ込められた人々にとっては「災難」という面もある。

 ハリウッド映画で、感染症あるいはゾンビが広がり始めた街を、軍隊が封鎖するというシーンがよくある。架空の話ではあるが、封鎖地域から逃れようとして、撃ち殺される人々もいる。共産主義中国や北朝鮮では実際に行われているという話も伝わってくる……

 実際、事実上の戒厳令が、病気で苦しむ中国人民を封じ込め、死に至らしめている。ウイグルやチベットの状況も心配だ。習近平氏が封じ込めようとしているのはウィルスではなく、「自由な言論」、すなわち「国民の声」である。

 米人権団体フリーダムハウスの2019年末の調査では、共産主義中国は4年連続でネットの「自由度」が世界最低だった(北朝鮮などを含まない65カ国中)。

 今回の武漢肺炎による封鎖は、ウイグルやチベットの「封鎖」で「隔離」されている人々に対して、収用所などでいったいどのようなことが行われているのか、世界中の人々が想像する材料を与えてくれた。

共産党発表の相手をしているのは国連と日本だけ

WHOの武漢肺炎に対する対応は、中国に忖度しているとしか思えないが、事務局長のテドロス・アダノム氏(エチオピア元保健相)の出身国にとって、中国からの投資は極めて重要である。2019年のエチオピアへの直接投資流入額の60%は中国によるものとされる。

WHOだけではない。ユネスコの世界記憶遺産に中国が登録申請していた、真偽のほどが検証されていない「南京大虐殺文書」を記憶遺産に登録するという暴挙が行われたことも記憶に新しい。

常任理事国は別にして、加盟国が平等に扱われる国連では、国家の数が多いアフリカの国々を「媚中派」としてコントロールすることによって、共産主義中国が運営を牛耳ることが可能だ。

また、「媚中派」である韓国の潘基文氏が、2007年から2016年の10年間、事務総長を務めた影響も大きい。

もちろん、このような共産主義中国の横暴を、大部分の先進国は不快に思っている。米国が拠出金の支払いをしばしば留保するのはその象徴である。

先進国の中でも経済的に困窮しているイタリアは、G7で初めて中国と「一帯一路」構想に関する覚書を締結したが、武漢肺炎が蔓延し全土の移動制限をしなければならなくなった現在はどうであろうか?

自らの失策を認めるどころか、「封じ込めに成功しつつある」と自画自賛する習近平氏と共産主義中国を見る目はかなり厳しいはずだ。

今や国連や共産主義中国をまともに相手にする先進国は、習近平氏の国賓招待を「秋に延期」などと言い続けている日本以外に存在しないと考えたほうが良いであろう。米国は、とっくの昔に見放している。

崩壊か? 北朝鮮化か?

習近平氏は、一度ついた嘘をつき続けるしかない。なぜなら、共産主義という全体主義(独裁主義)では、指導者は完璧な存在でなければならないからだ。特に毛沢東時代への回帰を目指している習政権では必須だ。

したがって、毛沢東の大躍進や文化大革命のように、「嘘に現実を合わせる」ことが必要である。

鋭い政権批判を行うことができる、良識ある知識人が今危険にされている。「文化大革命」の時にも、政府を論理的に批判できる良識的知識人が最大の攻撃対象にされた。

「大躍進」の際には、「先進国並みの鉄鋼生産を産実現する」という政府の嘘を実現するために、全土の田畑に「製鉄所」が建設された。

しかし、実のところ農家の納屋を改造した程度のものであるから鉄鋼の生産などできるはずがない。農家の貴重な鍋などの食器類、果ては鍬や鎌まで溶かして、「鉄鋼を生産しました」と報告したのである。

生産する農地を「製鉄所」に奪われ、鍬や鎌まで失った人々が食糧生産できなくなり、飢饉を招いたのも当然だ。

このような馬鹿げた行為が行きつく先は2通り考えられる

まず、中国人民自らの力による「悪夢の習政権」の打倒である。香港や台湾の状況は追い風だ。しかし、高度に武装した「親衛隊」を支配する中国共産党がすんなり国民に権力を禅譲するはずがない。

人民解放軍は、外国から国民を守るというよりも、国民から共産党を守るための組織である。国民が共産党を打倒すことができたとしても惨劇は避けられない。

もし国民が勝利すれば、新しい国家は台湾主導の「1つの中国」になるかもしれない。1つの中国は、結局、台湾主導で実現されるであろう。

米国は、すでにならず者の共産主義中国を見限っている。米国下院は、全会一致で台北法案を可決。この法案は、台湾の国際的地位を高めることを目的とする。

1979年の正式な米中国交正常化は、鄧小平だからこそ実現した。毛沢東ではあり得なかったといえる。

雪解けそのものは1971年のキッシンジャー、1972年のニクソンの訪中で行われたが、正式な国交回復は1976年の毛沢東の死去により鄧小平が実権を握ってから3年後に行われている。

鄧小平が、中国の発展に果たした役割の大きさは、2019年1月9日の記事「客家・鄧小平の遺産を失った中国共産党の『哀しき運命』を読む」を参照いただきたい。

つまり、鄧小平の遺産をひっくり返し毛沢東化している習近平氏を、米国は「ならず者」と認定し、1971年キッシンジャー訪中以前の「台湾が 1つの中国であった時代」に時計の針を巻き戻そうとしているのである。

1971年に採択されたアルバニア決議によって民主主義中国(中華民国・台湾)は国連安保理常任理事国の座を失い、共産主義中国(中華人民共和国)が国連安保理常任理事国と見なされたのだ。

さもなければ北朝鮮になる

現在の中国が示しているのは、「『共産党による一党独裁』と、『民主主義』『自由主義』にもとづく市場経済は結局両立しえない」ということである。

国民によって共産党が打倒されなくても、先進国を中心とした海外の共産主義中国に対する態度は激変するはずだ。

また、国民の「自由な言論」を封殺しなければ政権を維持できないから、ネットだけではなく、現実の海外との交流も極度に制限する北朝鮮のような状況に向かわざるを得ない。

友人の1人が、文化大革命が終了した直後の共産主義中国を訪問したことがあるが、旅行者はホテルに監禁され、外に出るときは機関銃を水平に構えた「護衛」が必ずついた。もちろん、この「護衛」は監視役である。このような、北朝鮮のような状況に戻る可能性もかなりある(これが2つ目のシナリオ)。

あり得ないのは「共産主義中国が再び発展に向かう」というシナリオである。

【私の論評】『言論統制』の崩れは、中国の「すでに起こった未来」かもしれない(゚д゚)!

上の記事で、人民解放軍は、先進国でいうところの国民の生命・財産を守る軍隊ではなく、共産党の私兵であるというのは本当で、さらに付け加えると、各地方軍にわかれていて、各地方の共産党に属し、さらに特異なのは、各々が様々な事業を展開しているということです。

そうして、地方軍の中には、核武装している軍もいるという有様です。わかりやすく説明すると、日本でいえば、商社のような組織が、軍隊並みの武装をしているということです。

この事実だけでも、中国は他国とは全く異なる異形の存在であることが、おわかりいただけると思います。

この異形の存在、中国が将来どうなるかについての、上の大原氏のシナリオでは、中国共産党の崩壊、もしくは北朝鮮化です。どうなるのかは、なんとも言えないところがありますが、大原氏の主張するように、私もあり得ないのは「共産主義中国が再び発展に向かう」というシナリオだと思います。


中国共産党の崩壊を予感させるようなことは現在でもあります。経営学のドラッカーは、「われわれは未来についてふたつのことしか知らない。ひとつは、未来は知りえない、もうひとつは、未来は今日存在するものとも、今日予測するものとも違うということである」(『創造する経営者』)と語っています。

ありがたいことにドラッカーは、ここで終わりにせず、続けて言っています「それでも未来を知る方法は、ふたつある」と。

一つは、自分で創ることでことです。成功してきた人、成功してきた企業は、すべて自らの未来を、みずから創ってきました。ドラッカー自身、マネジメントなるものが生まれることを予測する必要はありませんでした。自分で生み出したのです。

もう一つは、すでに起こったことの帰結を見ることです。そして行動に結びつけることです。これを彼は、「すでに起こった未来」と名付けています。あらゆる出来事が、その発生と、インパクトの顕在化とのあいだにタイムラグを持っています。

出生率の動きを見れば、少子高齢化の到来は誰の目にも見えたはずです。対策もとれたはずです。ところが、高齢化社会がいかなる社会となり、いかなる政治や経済を持つことになるかを初めて論じたのはドラッカーでした。

こうして東西冷戦の終結、転換期の到来、テロの脅威も彼は予見していました。

「未来を築くためにまず初めになすべきは、明日何をなすべきかを決めることでなく、明日を創るために今日何をなすべきかを決めることである」(『創造する経営者』)

中国共産とは、明日の中国を創るために、今日何をすべきなのかを決めているようです。しかし、彼らの中には、先進国がかつて先進的な主権国家になるために実行してきた、民主化、政治と経済の分離、法治国家家を実行していくというシナリオは、持ち合わせていないようです。

これらを実行せずに、技術革新などを実行し、現在の体制を維持しつつ、経済的に発展していこうというのが、彼らのシナリオのようです。しかし、これは、茨の道です。自分たちだけが、他国と全く異なるシステムで発展し続けようということにはかなり無理があります。事実上不可能です。

明治維新の以前の日本が、幕藩体制を維持したまま、欧米と対等にわたりあい、経済的に発展しようとすると同じようなものであり、到底無理です。日本は、明治維新により、体制を一新し、当時としては世界的にみてもかなり先進的であった大日本帝国憲法を制定し、国際法も重視しました。

幕藩体制

国際法を重視しすぎたことが、後に日本災いをもたらした面もあるのですが、それはさておき、国際関係では、欧米と同一歩調を歩む道を歩んだのです。

中国がこれから発展しようとした場合、表面面だけではなく、文字通りの自由貿易ができる体制を築かなければ、不可能です。そのためには、ある程度の民主化、政治と経済の分離、法治国家化を実現しなければ無理です。

ちなみに、法治国家化をする前には、政治と経済の分離が必要不可欠です。そのたためには、その前に民主化が不可欠です。そうして、民主化のためには、言論の自由が不可欠です。

現在中国では、言論の自由に関わる出来事が、いくつか起こっていて、これらはドラッカー氏のいうところの、「すでに起こった未来」かもしれません。

中国政府は19日、新型コロナウイルス感染症を「原因不明の肺炎」といち早く警鐘を鳴らした湖北省武漢市の男性医師、李文亮さんを摘発し処分したのは「法執行手続きが規範に合っておらず不当だ」として、処分取り消しと関係者の責任追及を求めた。市公安当局は処分を撤回し遺族に謝罪することを決定しました。

李さんが2月7日に新型コロナウイルスによる肺炎で死亡した際、国民から当局批判の声が上がった経緯があり、習近平指導部は処分取り消しに追い込まれた形です。

病床の李医師

李医師は、まだ中国政府が新型コロナウイルスによる肺炎の発生を公式に認めていなかった去年12月30日の段階で、「市場で7人のSARS(重症急性呼吸器症候群)感染が確認された」などの情報をSNS上のグループチャットに発信しました。

同僚の医師たちに防疫措置を採るよう注意喚起するのが目的でしたた。

感謝されてしかるべき行為。しかし4日後の1月3日、李医師が受けたのは賞賛ではなく、地元警察からの呼び出しでした。

中国政府の最高の監察機関である国家監察委員会の調査チームが、李医師の死から1か月以上経った、昨日3月19日、調査結果を発表しました。調査は、実際に12月中に武漢市内の複数の病院で原因不明の肺炎患者が確認されていた事実などに触れました。

その上で、李医師の処遇について「警察が訓戒書を作ったことは不当であり、法執行の手順も規範に合っていなかった」と結論づけました。警察に対し訓戒書の取り消しと関係者の責任追及などを求めました。

この調査結果に対し、ネット上では「真相が明らかになった」「国家を信じ、調査結果を支持する。李先生安らかに」などと賛辞が寄せられています。もっとも中国では政府の判断に反対する意見がネット上に残るはずはないですが、人々の批判の矛先を逸らすには、まずまずの効果があったようです。

しかし、この調査結果は、重要な点に触れていません。李医師の発信が「社会の関心を集めた」などとしていますが、訓戒によって李医師が口をつぐんでしまった事態が招いた結果についての検証がされていないのです。

その結果とは「情報隠し」が引き起こした感染拡大です。特に、医療関係者の防疫が後手に回ったために、武漢では医療崩壊が起きました。

国営新華社通信が、李文亮医師の調査チームとの質疑を報じています。その中で、李医師の情報発信が、社会にどのような作用を与えたかとの質問に対して、調査チームは次のようにこう答えています。

「一部の敵対勢力は中国共産党と中国政府を攻撃するために、李文亮医師に体制に対抗する“英雄”“覚醒者”のラベルを貼っている。しかし、それは事実に全く合わない。李文亮医師は共産党員であり、いわゆる“反体制人物”ではない。そのような下心を持つ勢力が、扇動したり、人心を惑わせたり、社会の不満を挑発しようとしているが、目的を達せられないことは決まっている」

中国の現在の体制にとって感染症そのものよりも、対策で明らかな手落ちがあったとして民心が離れる事態の方が脅威なのでしょう。民心が完璧に離れてしまえば、習近平が現体制を維持しようしても不可能になります。

今回の調査結果の一番の狙いは、おそらくこれなのでしょう。

習氏は10日、新型コロナウイルスの感染拡大後、初めて武漢市入りし、「(感染状況に)前向きな変化があり、重要な成果が出ている」と強調し、感染が終息に向かっているとアピールしました。中国政府の発表では、湖北省でこれまでに5万8000人近くが治療を終えて退院。武漢市では今月中旬以降、1日あたりの新規感染者数が10人以下で推移しているといいます。

ただ、この「中国政府発表」が信用できないのです。

武漢市の隔離施設の医師が共同通信の取材に対し、武漢市の状況改善は欺瞞だと内部告発したのです。

この医師によると、習氏の視察以降、自身の担当患者に肺炎の所見が見られたにもかかわらず、感染症対策を担う当局の「専門団」の判断で隔離が解かれたといいます。このころから解除の判断が甘くなり「感染者の大規模な隔離解除が始まった」といいます。習氏への配慮から「対策成功アピール」のため治療中の患者数を意図的に減らしていると指摘しました。

中国政府は、武漢市で18日に新規感染者が0人になったと発表しましたが、医師は政府の集計は「信頼できない」と断言しました。

中国を代表する北京大学からも「異論」が飛び出しました。

北京大学の姚洋国家発展研究院院長は20日までに、中央集権の強権統治の下、圧力を感じた地方の当局者が「新規感染を1例も出してはならない」と萎縮していると批判する「異例の論文」を発表しました。

姚氏は「ミスを許容しない」中央の姿勢を受け、新規感染が出た際の処罰や失職を恐れて、地方当局者が経済復興に取り組めないと指摘。地方行政に自主性と実権を与えるよう訴えました。

共産党一党独裁の中国で、習政権の意向に逆らうような発信が相次ぐのは極めて稀です。

これまで中国共産党は言論を抑圧してきました。ただ、新型コロナウイルスは感染症のため、真実を発信しなければ、自らの命にもかかわる問題にもなりかねないです。

知識人の間で、当局のウソに耐えきれず、真実を発信していこうとする機運が高まり、『言論の自由』の重要性が意識され始めた大きな変化です。これが、権力闘争一環である可能性もあるとする日本の識者もいるようですが、仮にそうであったにしても、これはかつての中国にはみられなかった重大変化です。

この言論統制の崩れが、いずれ民主化に結びつくかもしれません。この民主化はやがて、政治と経済の分離、法治国家化に結びついていく可能性は否定できません。

今回の事態が、体制崩壊に直結するとは考えられないですが、共産党独裁体制の維持に不可欠な『言論統制』が崩れ始めていることから、長期的にみれば、体制崩壊の兆しが見え始めているといえるかもしれません。そうして、これは中国の「すでに起こった未来」なのかもしれません。

冒頭の記事で、大原氏は「共産党発表の相手をしているのは国連と日本だけ」としています。ところが、中国共産党が武漢肺炎が終息したような発表をした後でも、中国から入国制限を緩めるべきとの声はこ起こっていません。これは、親中派とみられる人々の間からも起こっていません。

従来なら、少なくと多少は起こっていたに違いありません。特に親中派からは起こっていたに違いありません。ツイッターなどでは、「親中派は中国の発表を真に受けて、中国からの入国制限を緩めろというかもしれない」というものは見かけましたが、実際に「緩めろ」というものはありませんでした。これは、日本の「すでに起こった未来」なのかもしれません。

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