2025年11月4日火曜日

高市政権82%、自民党24%――国民が問う“浄化の政治”とは何か

 まとめ

  • 高市政権は高支持率を維持しているが、自民党の信頼は依然として低迷しており、拙速な解散は危険である。党の信頼を取り戻す「整備と浄化」の時間が必要だ。
  • 解散前に整えるべき三本柱は、政治資金の透明化、生活実感を伴う家計支援、連立や政策協定の明示であり、これらのうち二つ以上を実現してから信を問うべきだ。
  • 自民党保守派は「お行儀の良いサラリーマン」ではなく、防衛増税を巡る党内審議で怒号を飛ばすほど激しく増税派と対立し、その闘いが党の流れを変えた。
  • 2025年5月の「自由で開かれたインド太平洋戦略本部」再始動が保守派結集の転機となり、分裂ではなく結集を選んだことで高市総裁誕生の道が開かれた。
  • 高市首相の外交姿勢には「霊性の文化」と「改革の原理としての保守主義」が融合しており、韓国旗への一礼に象徴される礼節と尊厳の政治こそ、時を待ちながら信頼を築く真の保守の道である。
1️⃣支持率の乖離が示す現実


高市政権の支持は高水準だが、自民党そのものへの信頼はまだ戻っていない。事実、今年7月のNHK世論調査で自民党支持は24%まで落ち込み、低迷を示した。これは石破政権末期の数字で、高市政権発足後の“ご祝儀相場”とは対照的である。いま必要なのは、内閣の勢いに頼ることではなく、党そのものの信頼を積み直すことだ。ちなみに内閣支持の方はJNNなど複数調査で80%前後という極めて高い数値が確認されている。(Reuters)

公明離脱を経た政権構造は再設計の途上であり、生活実感もなお鈍い。賃上げは進むが、家計は物価上昇の影を引きずり、国民の評価は「今すぐ選挙で信を問え」とまでは熟していない。ここで拙速に解散に踏み切れば、比例票の取りこぼしが連鎖し、政権の足腰を逆に弱める危険がある。結論は明快だ。いまは“整備と浄化”の時間である。
 
2️⃣90日で整える三本柱


第一に、政治資金の透明化を本気でやる。パーティー券と収支の公開を機械判読レベルまで上げ、第三者監査を常設する。これはマスコミが煽りまくり、検察が起訴できない政治資金不記載問題を裏金問題にすり替え、実際よりも巨悪に仕立てたが、それにしてもこの問題を放置はできない。与党だけでなく、野党も同じ規制をかけるべきだ。

第二に、家計に届く即効策で“実感”を作る。エネルギー・燃料負担の時限軽減と、中小の価格転嫁支援を機動的に打ち、数字だけでなく生活の手触りを変える。

第三に、選挙後の枠組みを先に見せる。維新などとの政策合意を文書で明示し、政権像をあらかじめ提示する。この三本柱のうち二つ以上を確実に形にしてから、春から夏にかけて信を問う――それが勝ち筋である。

「今すぐ選挙」という意見にも理はなくもない。野党再編が遅れ、追い風は吹いている。しかし、党支持が立ち上がらないまま走れば、勝っても脆い。政権構想が曖昧なまま突っ込めば、「場当たり」の烙印を押されるだけだ。ここは焦らない。勝つために、整える。
 
3️⃣分裂ではなく結集――霊性と「改革の原理としての保守主義」

自民党の結集を訴える高市総裁

かつて、岸田・石破リベラル路線が続いた時期に「高市は塔を出て新党だ」「野党と合流だ」という声があった。私も一度はこのブログに、かつての三木武夫首相のやり方を参考に、それを主張したこともあった。その背景には自民党のリベラル・左派、官僚、マスコミによる日本の毀損という危機感というより絶望感があった。

だが、出なかった判断は結果として正しかった。中国の浸透、マスコミや財務官僚、党内左派の結束は侮れない壁だった。そこで自民党内の保守は逃げず、党内で真正面から闘った。象徴的なのは、防衛増税を巡る自民党会合で怒号が飛び交った一件だ。あの場面は、保守が“お行儀の良いサラリーマン”などではなく、現場で命懸けの論戦をしていた事実を物語る。(TBS NEWS DIG)

そして2025年5月、麻生太郎氏を本部長とする「自由で開かれたインド太平洋戦略本部」が再始動した。ここに保守が結集し、流れは変わった。高市総裁誕生への道筋は、この“分裂ではなく結集”の選択から拓けたのである。(eikei.jp)

高市首相は外交でも日本の「霊性の文化」を体現し始めている。韓国・慶州での首脳会談に先立ち、日韓両国旗に向けて深く一礼した所作は、屈従ではなく“相手の象徴への敬意”という日本的礼節そのものだ。礼を尽くし、相互の尊厳を起点に対話を始める――その一瞬に、争いを前提にしない力の行使があった。(Alamy)

ここに「改革の原理としての保守主義」が重なる。保守とは、古びた制度にしがみつくことではない。受け継ぐべき原理を守りながら、時代に合わせて形を大胆に変える胆力である。伝統の根を守り、枝葉を剪定する。その作法で政治を“浄化”し、社会を“調和”へ導く。だからこそ、今は拙速に旗を振る時ではない。党の信頼を磨き、生活の実感を作り、政権の枠組みを定める。順序を守ってから、堂々と信を問う。

最後にもう一度だけ言う。焦って解散はしない方がいい。高市政権は、霊性の文化が教える「時を待つ徳」と、保守が示す「原理に立脚した変革」を重ね合わせ、春に勝つ準備を整えるべきだ。数字は待ってくれる。だが、信頼は準備の先にしか生まれない。

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  まとめ 高市政権は高支持率を維持しているが、自民党の信頼は依然として低迷しており、拙速な解散は危険である。党の信頼を取り戻す「整備と浄化」の時間が必要だ。 解散前に整えるべき三本柱は、政治資金の透明化、生活実感を伴う家計支援、連立や政策協定の明示であり、これらのうち二つ以上を...