2025年11月2日日曜日

高市外交の成功が示した“国家の矜持”──安倍の遺志を継ぐ覚悟が日本を再び動かす


まとめ
  • 高市首相は就任直後から迅速に外交を展開し、米・印・ASEANとの関係を再構築した。2025年の習近平主席との会談では日中対話を復活させ、これは自民党の戦略本部が事前に高市政権を想定して準備していた成果である。
  • 高市外交の根底には、安倍晋三の「自由で開かれたインド太平洋」構想があり、理念と現実を結ぶ「対話による抑止」を実践した点に真価がある。安倍が築いた戦略的一貫性を忠実に継承した。
  • 安倍・菅政権は国債発行による約100兆円の補正予算で失業率と医療崩壊を防ぎ、総需要・雇用・医療を同時に守り抜いた。まさに我が国財政政策の世界に誇れる金字塔である。財務省は緊縮論崩壊を恐れ沈黙した。
  • 岸田政権の「新しい資本主義」、石破政権の「新しい安全保障」などは耳障りの良いだけのスローガンで、安倍の成功モデルを放棄した結果、外交は迷走し経済も停滞した。言葉だけの“新しさ”が国家を鈍化させた。
  • ドラッカーの説く「改革の原理としての保守主義」は、安倍政権の成功を導いた実証の原理である。岸田・石破両政権はこれを無視して失敗したが、高市政権は再びこの王道に立ち戻り、日本再生の道を示した。
1️⃣高市外交の即応力と戦略的勝利


高市早苗首相は就任直後から、驚くべき速さで外交を動かした。米国のトランプ前大統領との会談を皮切りに、インドのモディ首相、ASEAN諸国の首脳らと相次いで協議を行い、短期間で日本外交の信頼を取り戻した。こうした一連の成果の頂点が、2025年10月31日、韓国・慶州で行われたAPEC首脳会議での中国国家主席・習近平との会談である。

この会談で両首脳は、「相互利益を高める関係を築く」と確認し、長く停滞していた日中高官レベルの対話を再開させた。日本側は東シナ海や南シナ海における中国の活動、希土類輸出規制、日本人拘束事件などの懸案を率直に伝えた。高市外交は、対立でも融和でもない。“言うべきことは言う”という現実的外交だった。これは安倍晋三が打ち立てた「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の理念を、実際の行動に移したものである。

多くのメディアは、会談の成果よりも「実施された」という事実だけを淡々と報じた。だがその裏には、緻密な準備があった。2025年5月、自民党「自由で開かれたインド太平洋戦略本部」は麻生太郎副総裁を本部長に、前国家安全保障局長の秋葉剛男氏を招き、次期政権の外交方針を具体的に検討していた。高市政権の誕生を見越し、政権発足と同時に外交を再始動できる体制が整えられていたのだ。

高市外交の即応力は偶然ではない。党の設計力、政府の実行力、そして安倍晋三が遺した国家戦略が、すべて噛み合った結果である。安倍外交を忠実に継承しつつ、より現実的な判断で国益を守る――それが高市外交の真の力である。

2️⃣危機を乗り越えた財政の金字塔と沈黙する財務省

高市外交の背景には、安倍・菅両政権が築いた経済政策の成果がある。新型コロナの危機に際し、政府は増税を行わず、国債発行による約100兆円規模の補正予算を決断した。雇用調整助成金や持続化給付金などの制度が機能し、失業率は3%台に抑えられた。欧米で見られたような急激な雇用喪失も、医療崩壊も起こらなかった。

この三本柱――「総需要の維持」「雇用の確保」「医療体制の維持」――を同時に達成した国はほとんどない。まさに我が国財政政策の世界に誇れる金字塔として記録されるべき成果である。

現財務次官新川浩嗣氏

しかし、メディアはこの因果をほとんど報じなかった。そのため、菅政権はあたかもコロナ対策に失敗したかのようにマスコミなどに扱われ、短命に終わったが、岸田政権の半ばまで経済が比較的安定していた理由を、多くの国民が理解できなかった。財務省もまた、この成功には一切触れなかった。安倍政権が「増税なき国債発行」で危機を乗り切ったと認めれば、「国債=将来世代への負担」という彼らの持論が崩れるからだ。下手に批判すれば、緊縮財政の誤りが露呈し、積極財政の正しさが明らかになってしまう。ゆえに財務省は沈黙したのである。マスコミも右に倣えだった。

岸田・石破両政権は、安倍流の積極財政を受け継がず、財務省の意向に沿って緊縮へ舵を切った。安倍が築いた「すでに成功した方法」を捨て、“耳障りの良い理想”を掲げるだけの政治に転落した。その象徴が岸田政権の「新しい資本主義」である。格差是正と成長の両立をうたいながら、実際には増税と配分偏重を正当化する口実にすぎなかった。石破政権も「新しい安全保障」「持続的共生社会」といった曖昧な言葉を並べたが、現実を動かす力は何一つなかった。

安倍時代に証明された成功の方程式――経済・安全保障・外交を一体で動かす国家運営――を捨て、「新しさ」を演出するだけの政治に堕したことこそ、日本衰退の最大の要因である。それを高市総理はしっかり認識している。

3️⃣「改革の原理としての保守主義」──安倍の遺産を継ぐ高市政権

衆院本会議で、立民主議員の質問を聞く安倍首相(右)と高市総務相(肩書は当時)=2020年2月13日

高市早苗の政治姿勢の根底には、安倍晋三が遺した思想がある。その考え方を最も正確に言い表しているのが、ピーター・ドラッカーの『産業人の未来』の一節だ。
保守主義とは、明日のために、すでに存在するものを基盤とし、すでに知られている方法を使い、自由で機能する社会をもつための必要条件に反しないかたちで具体的な問題を解決していくという原理である。これ以外の原理では、すべて目を覆う結果をもたらすこと必定である。
安倍政権の外交・安保・経済政策は、この原理に忠実だった。理想を掲げながらも、手法は常に現実的であり、実証済みの政策を積み上げて成果を出した。「自由で開かれたインド太平洋」「日米同盟の深化」「国債による機動的財政出動」――いずれも机上の理論ではなく、現実の行動だった。だからこそ、憲政史上最長の政権を築けたのだ。

岸田・石破両政権は、この原理を完全に無視した。安倍の成功を「古い」と切り捨て、「新しい資本主義」「新しい安全保障」といった看板を掲げ、言葉の新しさで中身の空洞を覆い隠した。理念を再定義するふりをして、実績を否定したのである。結果として外交は迷走し、経済は鈍化し、国民の信頼は失われた。両政権の凋落は、政治資金問題でも、統一教会問題でも、派閥政治でもない、本質はすでに成功が実証された安倍路線の継承をしなかったことにある。

ドラッカーの言葉は現実となった。「これ以外の原理では、すべて目を覆う結果をもたらす」。岸田・石破政権の失敗こそ、その実例である。だが一方で、高市政権は再び安倍が示した道へ戻った。実証された手段を基盤とし、現実を見据えて未来を切り開く――それが“改革の原理としての保守主義”である。

結語

高市早苗の外交は、偶然でも演出でもない。党の戦略、政府の実務、そして安倍晋三が遺した国家理念が一体となって結実した成果だ。理念を現実に変える力、成功した方法を磨き続ける知恵――これこそが真の保守であり、真の改革である。

日本が再び世界で存在感を取り戻すためには、「すでに成功した道」に立ち返ることだ。高市外交の成功は、その第一歩であり、我が国が再び世界の舞台で輝くための確かな道標である。

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