函館市柏木町近辺 。緑が少ない。
渋谷近辺。緑が多い。
上記の航空写真は函館柏木町近辺と東京渋谷近辺の航空写真です(縮尺は両者とも同じ)。渋谷近辺では緑が多く、神宮公園、代々木公園などが青々としています。さらに、随所に小さな緑が見て取れます。渋谷区立公園だけで110もあります。
これに比較すると函館の場合は極端に緑が少なく、五稜郭公園と競馬場の一部とそれ以外にわずかに緑があるだけです。さらに、渋谷などの大都市の場合、函館などの地方都市とは違って公共の交通機関が発達しています。渋谷近辺では昼ご飯時になると、公園でお弁当やテイクアウトしたお握りやお総菜を広げて食べる姿です。
しかし、函館ではそのような光景は滅多に見ません。あるとすれば、お花見などのときくらいです。函館の場合だと普段わざわざ外で食べるという感覚はありません。さらに、休み時間などに公園に足をのばして行ってみようなどと考える人も少ないです。
渋谷などでは通勤で長い距離を歩くのは当たり前のことで、休み時間に公園を散歩しついでに昼食をとってしまうなどということは日常茶飯事の風景です。さらに、渋谷などの公園で食事をとる人々を見ていると、多くの人がいわゆるマンウォチングをしていることがうかがわれます。インタビューをした女性も、公園では行きかう人々を見ていることが楽しみの一つであったと語っていました。公園などで良く食事をする大都市部の人々は、こうしたマンウォチングをするため、流行やトレンドに敏感になります。さらに、開放的で明るい雰囲気に普段から慣れ親しんでいます。
神宮公園入り口
青山霊園付近
噂のネオ屋台には女の子がこぞって行列
これは函館などでは見られない光景です。都心部であれば、こうした公園がたくさんあることと、昼食時にレストランなどが混雑することや、函館などに比較すれば、冬でも比較的暖かいなどのことがあり、インタビューした女性も、昼は良く公園などで昼食を摂ったと語っていました。近くに大小種々様々の公園があるため、みんなで誘いあわせて行っていたといいます。いわゆる普通の公園だけではなく、勤め先の近所の病院や官公庁などの公園も良く利用したといいます。さらに、こうしたライフスタイルの延長上に、屋台の利用があります。ネオ屋台も繁盛している。屋台も都内であれば、いわゆる昔からのオデンや、ラーメンだけでなく、さまざまな種類があって同僚同士で誘い合わせて良く行ったものであると語っていました。また、テラスの多さも函館とは対象的です。
ⅲ.好奇心の強さと飽きっぽさ
この層は特に好奇心が強く、新しい店ができたり、新しいサービスがあったりすると口コミ情報がすぐに流れます。渋谷近辺だと、飲食店も数限りなくあるため、特に口コミ情報が重要だといいます。
新しい店ができたとしても、いつまでも同じような商品で特に品質も良くなければ、すぐに飽きてしまう。季節には敏感で、たとえば「早春のアスパラの○○」とか「秋の京ナス××」などの商品が出るとついつい買ってしまうといいます。
さらにこの層の女性では、ワインブームの置き土産ともいうべき現象で外食して夕食ということになるとほぼすべてがワインを選択します。インタビューした女性は、渋谷の「タントタント」では、店のグラスワイン用の業務用の大きなワインを開けてもすぐになくなってしまう光景を何度も見たといいます。
赤・白ともにかなりの需要があるという。また、「タントタント」との商品に関して非常に高い評価をしておりパスタもピザも良かったと語っていました。テンフォーのピザに関しては、評価が非常に高くタントタントより味的には良いと語っていました。この水準のピザであれば十分渋谷で販売可能で、売り方さえ間違わなければ必ず成功するだろうと語っていました。
渋谷にもいわゆるイタリアン専門店が林立しているが、ピザなど食べてみるとそれほどでもなく意外であったと語っていました。いわゆるイタリアン専門店でお気に入りもあったが、そこの店が気に入っていたのはいわゆる小さなデザートピザがありそれが気に入っていたのと雰囲気だけであり、本命のピザはそれほどではなかったと語っていました。
ⅳ.どんな店が入りやすいか?
最近はカリフォルニアタイプのオープンキッチンの極めて明るいタイプの店が出店しつつあるため、やはりインタビューでもまず第一声が「明るい店」ということでした。さらに、グループでならどんな店でも同僚や友人と一緒に厭わず入るが、一人であれば、ファストフード形態の店が一番入りやすいとのことだつた。これらを総合すると、この層ではファストフード型が普及して安心感を感じる一方で品質にこだわりがあり、明るい内装が好みであることから、最近アメリカで一番伸びている業態であるファストカジュアル業態(後述)に近い業態であると考えられます。
ⅴ.癒しが最大のキーワード
日本のサラリーマン(雇用者)の平均所得は年間400万円台、事業者のそれは昨年はじめて600万円台を割りました。渋谷でも一部上場企業などに勤めているメインターゲットのOLは勤務年数が長くなると年収500~600万円前後は普通です。
こう聞くと高いように感じるが、市場経済化の進行により都市部ではリストラも進み若い層にその皺寄せが及んでいます。若くても、女性であっても正社員であるからには責任ある業務を任され日々四苦八苦してプレッシャーを感じています。場合によっては地方都市の幹部より責任の重い仕事をしています。
残業、早出になることもしばしばであります。家に帰るにも地方都市よりははるかに時間がかかる。だからこそ、高い賃金を対価として受け取っています。だからこそ、地方都市では珍しい朝席や外朝をする、スーパーでなくコンビニエンスストアで洗濯用石鹸や日常品を買い込みます。少しでも時間を節約して自分の時間を持ちたいからです。
だからこそ昼広々と開放的な公園で食事をしたいと思う。新業態ではこれらのメインターゲットのニーズに応えるとともに、こうしたライフスタイルをとるその根底にあるものは「癒し」であることを忘れてはなりません。アメリカで「ファストカジュアル」の業態が従来は地方で絶大なロイヤリティを得ていていながら、なかなか都市部には出店できなかったのが、都市部に出店しだし知名度を向上させ、猛烈な勢いで成長しているのは、この「癒し」というキーワードに着目しそれを実現したからに他なりません。特にカフェ業態はその傾向が強いと思います。