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2018年5月20日日曜日

北非核化へ「リビア方式」ならぬ「トランプ方式」浮上 藤井氏「北朝鮮は墓穴を掘った」―【私の論評】金正恩の判断一つで、金王朝の運命が決まる(゚д゚)!

北非核化へ「リビア方式」ならぬ「トランプ方式」浮上 藤井氏「北朝鮮は墓穴を掘った」

トランプ氏の北朝鮮への圧力はさらに強まるか  写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 北朝鮮の「完全非核化」に向け、ドナルド・トランプ米政権が新たに「トランプ方式」を打ち出した。これまで、リビアのカダフィ政権から大量破壊兵器放棄を勝ち取った「リビア方式」が提唱されていたが、北朝鮮が猛反発していた。ただ、専門家は、核開発能力を奪う点では変わりはないとの見方を示している。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権は確実に追い込まれつつある。

 「われわれが北朝鮮について考えるとき、リビア方式はモデルとはしない。(北朝鮮に適用する方式では)正恩氏が国を運営し、国家はとても豊かになるだろう」

 トランプ大統領は17日(米国時間)、記者団にこう語った。サラ・サンダース大統領報道官も前日、「非核化に向けた定型の方式があるわけではない。これはトランプ大統領方式だ」と述べた。

 核放棄を果たした後に見返りを与える「リビア方式」については、「死に神」の異名を持つ、ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が北朝鮮への適用に意欲を示していた。

死神の異名を持つジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)

 しかし、正恩氏側は体制崩壊の恐怖から反発を強めた。リビアの独裁者、カダフィ大佐は核放棄後、反体制派に殺害されている。北朝鮮は、6月12日にシンガポールで予定されている米朝首脳会談中止の可能性を示唆し、ボルトン氏を名指しで批判する談話も出した。

 「リビア方式」に変わる「トランプ方式」はどのような内容なのか。

 国際政治学者の藤井厳喜氏は「北朝鮮の核爆発装置を取り上げるだけではなく、核開発能力を奪うことに関しては『リビア方式』と同じだろう。リビアの場合、カダフィ大佐が殺されたということもあり、北朝鮮が気も悪くするので、それを気遣った表現ではないか。期間などで若干の柔軟性はあるかもしれない」と語る。

 トランプ政権が「リビア方式」にこだわらない姿勢を示したことで、一部メディアでは「北朝鮮に妥協する恐れがある」との見方も出ている。

 だが、藤井氏は「北朝鮮は自ら墓穴を掘った。今回の対応は、トランプ氏の顔に泥を塗ったことになる。北朝鮮の恫喝(どうかつ)は、米国、トランプ氏には通じない。トランプ氏の北朝鮮に対する目は余計厳しくなったはずだ」と否定した。

【私の論評】今後の金正恩の判断一つで、金王朝の運命が決まる(゚д゚)!

米国は北朝鮮の核放棄に関しては「リビア方式」を求めてきていました。これは、十分可能なはずです。ロシア等の後ろ盾のいなかったリビアでは核放棄後に、最高指導者のカダフィ氏が殺害されましたが、北朝鮮の場合、中国が後ろ盾にいるため、リビアの二の舞いはないと考えられます。
カダフィ大佐と、カダフィー・ガールズと呼ばれた
カダフィーの身辺警護の女性たち

ただし、中国は対米貿易交渉で、対米黒字を1年間で2000億ドル(約22兆円)も減少させることを要求されるなど理不尽な二国間交渉を強いられていますが、自国有利のために北朝鮮を「売る」ことも考えられます。
ただし「売る」相手は米国なのですから、そうなれば米国は北朝鮮の後ろ盾のような役回りをせざるをえなくなるわけですから、いずれにしてもリビアとは状況が同じです。
それに、北朝鮮からすれば、中国が仮に北を米国に売ろうとした場合、北朝鮮の建国にかかわったソ連後継者であるロシアに後ろ盾になってもらうことも考えられます。この点でも、リビアとは異なるわけです。
さらに、リビアには強力な反政府勢力がいましたが、北朝鮮にはそのような勢力が国内にあるわけではないですから、やはりリビアとは状況が異なるわけです。
以上のようにリビア方式に難色を示すのは、ある意味全く北朝鮮、金正恩の都合にすぎないわけであり、このようなことにトランプ政権が左右されるはずもありません。
もし、金正恩がリビアのカダフィ大佐と同じような運命をたどるとしたら、米軍による斬首しかありません。
それに、トランプ米大統領は北朝鮮の揺さぶりを「会談が実現しなければ次のステップへいく」と切り捨てました。次のステップとは軍事オプションです。このため北朝鮮にとって「米朝首脳会談を蹴る」選択肢は限りなくゼロに近くなったと見るべきです。

また今回の北朝鮮の瀬戸際外交は歴代米政府による「不名誉な過去」を想起させ、過去との決別を宣言しているトランプ政府を結束させたようです。一方、日朝関係者の間では、「米朝首脳会談の後に日朝首脳会談も視野に入った」との情報が出始めています。

北朝鮮側が米朝首脳会談の席につかないまま会談自体を拒否すれば、米政権が「次のステップ」に進むことが明白になったことで金正恩氏に首脳会談を蹴る選択肢はなくなりました。

非核化をめぐって米朝が決裂すれば、日朝会談の実現は困難になりますが、継続協議ならば日朝首脳会談が開催される可能性は高いです。日本にとっては拉致問題が最優先ですが、北朝鮮は日本との『過去の清算』が大きいです。

金正恩氏は4月末の南北首脳会談で、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領に「いつでも日本と対話する用意がある」と応じました。しかし、その後も北朝鮮メディアによる日本非難、安倍政権批判を続けています。

さらに今月12日、唐突に『この世の万事は決して日本の欲望に従うものではない』(朝鮮中央通信)との論評を発表、日本の拉致問題について「解決済み」との立場を強調しました。拉致問題についての言及は今年1月24日以来で、注目されました。論評では加藤勝信拉致担当相や菅義偉官房長官も批判しました。

金正恩氏は4月末の南北首脳会談で、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領に「いつでも日本と対話する用意がある」と応じました。だが、その後も北朝鮮メディアによる日本非難、安倍政権批判を続けています。

北朝鮮メディアによる日本非難、安倍政権批判

さらに今月12日、唐突に『この世の万事は決して日本の欲望に従うものではない』(朝鮮中央通信)との論評を発表、日本の拉致問題について「解決済み」との立場を強調しました。拉致問題についての言及は今年1月24日以来で、注目されました。論評では加藤勝信拉致担当相や菅義偉官房長官も批判しました。

しかし、北朝鮮が全く日朝交渉に興味がないのなら、そもそも日本について言及する必要性などないはずです。これは、いま日本を攻撃することにより、日本国内にある「バスに乗り遅れる論」や「日本だけカヤの外」といった安倍政権批判に乗じ、日朝交渉のハードルを意図して意識して上げているとしかとりようがありません。これは北朝鮮が得意とする心理戦の常套手段です。

朝鮮中央通信の12日の論評でも「過去の清算だけが日本の未来を保証する」と国交正常化交渉への期待を顕にしています。

トランプ大統領は米朝首脳会談で日本の拉致問題を取り上げる意向を示しており、米朝首脳会談と日朝首脳会談は連携して進む可能性もあります。

北朝鮮の体制は共産主義と名ばかりで、実体は金王朝である

いずれにせよ、北朝鮮は金正恩の判断一つで、米軍に斬首されて金王朝が絶たれるか、存続できるかの分水嶺にあることだけは確かです。

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