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2012年11月15日木曜日

マック、崩れた「勝利の方程式」:日経ビジネスオンライン―【私の論評】民間のデフレ対策もそろそろ限界、潔さではどうにもならない状況に!!

マック、崩れた「勝利の方程式」:日経ビジネスオンライン:


 2012年1〜9月期の既存店売上高が2.2%減となった日本マクドナルド。巧みな価格・商品戦略で外食の勝ち組に君臨していたマックに何が起きたのか。原田泳幸・会長兼社長兼CEO(最高経営責任者)が真相を語った。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20121112/239306/

【私の論評】民間のデフレ対策もそろそろ限界、潔さではどうにもならない状況に!!


皆さん、上の原田会長の語ったことをどう思われるでしょうか。私は、マクドナルドは、デフレになってからも努力をして、景気の悪さなどものともせず、ずっと好業績を維持してきました。素晴らしいことだと思います。



そうして、マクドナルドが、不況であっても成果を上げられたのには、それなりの背景があると思います。その背景とは、デフレとはいっても、強烈な円高であったため、世界中から食材を調達する日本マクドナルドに有利に働いてきたと思います。それから、デフレになる前から、店舗数もかなりあり、規模の利益を享受できる体制にあったことも幸いしていたと思います。

無論、これらが背景にあたことに付け加え、原田会長および、役員や、マクドナルドの社員たちの努力、創意工夫があったからこそ、ずっと好業績をあげられてきたのだと思います。詳細は、上の記事をごらんいただくものとして、以下に、原田会長自身の言葉をコピペさせていただきます。
10月からは店舗での商品提供のスピードを上げるために、レジカウンターのメニューをなくすという新たな策を打った。だが、この取り組みがインターネット上で批判的に取り上げられる騒ぎとなった。
レジカウンターのメニューに関しては、私も以前から、気にはなっていました。私は、大抵は、レジカウンターの上に掲示してあるメニューを見てから、注文するので、すぐ注文するのですが、確かに、レジカウンターにメニューが置いてあると、そのメニューを見てその場で考えるというお客さんも多く、それによって、お客さんの滞留がおこるということが、ままあったことは事実です。

そもそも、ファスト・フードで食事をするということは、高級レストランで食事をすることとは異なり、豊富なメニューからいろいろ選ぶとか、自分の拘りを満たすなどというものではなく、手軽に、素早く食欲を満たしたいというのが第一義であるので、こういうお客さんが、自分の前にいて、あれこれ時間をかけているのを見るとイライラしたこともあります。

確かに、外国のマクドナルドでは、カウンターにメニューはない。
私だと、ハンバーガーは、ハンバーガーだという考えですから、それなりのもので、美味しかったら、見つけものくらいの感覚で注文します。ファストフードの元来のありかたは、そういうことだと思います。だから、カウンター・メニューなどあっても、なくても良いです。混んだときに、ラミネート加工をしたメニューが見られるならそれでいいです。それに、諸外国のマクドナルドでは、カウンターにメニューを置いてあるところは、ありません。日本のマクドナルドだけが置いていたということです。

また、これからのこととして、新商品の絞込みをすることを語っています。
今後は新商品を絞り込み、マーケティングの手法も見直す。さらにビッグマックなど定番の既存商品の販促に力を入れることで巻き返しを図る。
これも、当然といえば、当然と思います。ファスト・フードでは、あまり新商品に力を入れることはないと思います。そもそも、ハンバーガーは、ハンバーガーですから、飽きない程度に時々新商品が出るとか、新商品が予想に反してかなり売れるというのなら、しばらく定番にするなどで良いと思います。そうして、できうるなら、既存メニューをさらに美味しくするなどのことも積極的にやっていただきたいものです。それに、諸外国やアメリカ国内でも、日本のマックのように新商品を頻繁に出していところはありません。

マックの新商品先行試食イベントのポスター
そうして、原田会長としては、市場に関して自分の見立て違いであると反省しておらるようですが、私は、現状では、それだけではなく、日銀のマクロ金融政策や、政府の財政政策に関しても、そろそろ、苦言を呈しても良い時期にさしかかっているのではないかと思います。

これは、経営者としては、格好が悪いです。景気が悪くても、胸を張って、「景気が悪くても、こんなに業績をあげています。こんなに頑張っています」という経営者のほうが、かなり格好は良いです。そうして、景気が少しくらい落ち込んだからといって、すぐに、景気のせいにする経営者など、格好も悪いして、自らの能力のなさを披瀝しているようなものでした。そうして、これは、10年くらい前までは、確かにしっかりあてはまったことだと思います。

しかし、現状では、かなり状況が異なってきています。すでに、デフレ傾向になってから、20年、統計上でも、はっきりとデフレとなってからも、10年以上継続しています。10年以上もデフレが続いた国など、歴史上はじめてではないかと思います。無論、日本では、まともな経済統計ができて以来はじめてのことです。



ちなみに、国際通貨基金(IMF)のデータベースをもとに、1980年以降に消費者物価が前年と比べて2年以上続けて下落した国を「デフレ経験国」とすると、ブルキナファソやマリ、中央アフリカなど、ほとんどが開発途上国です。先進国で、日本のようにデフレが続いた国はありません。

リーマン・ショック後の消費者物価をみると、2009年は米国やスイス、台湾、ポルトガルなどでマイナスでしたが、10年にはアイルランドと日本だけが「デフレ経験国」になりました。そのアイルランドも11年には物価が上がり、デフレから抜け出しています。最早、デフレは、主要な先進国では、日本特有の現象になりました。デフレとは、このブログにも過去に何度か掲載してきたように、経済の癌とも呼ばれるような、経済の病です。日本では、このようなデフレを過去20年にもわたって、放置してきたということです。

デフレを前提として、経済や、金融、そうして、企業活動などを考えるなどということは、根本的な誤りです。デフレ下では、企業がいくら努力しても、業績があげられない面があります。

シャープや、ソニーそうして、半導体のエルピーダなど、これだけの円高で、しかも、国内がこれだけ酷いデフレ状況では、最初から足枷、手枷をされながら、事業を営んでいるのと同じであり、これを異常なウォン安である韓国の凡庸なサムスンなどの企業と、単純比較するなど完璧な誤りです。

そうして、円高メリットや、国内で規模の利益を享受できる体制が整っていた、マクドナルドですら、とうとうこのデフレには、なかなか対応しにくくなってきたというのが、実情だと思います。ちなみに、マクドナルドでは、10月から、カウンターメニューを廃止したそうですが、その前の9月から、景気動向指数が、前月割れの状況にあり、景気後退局面に入っています。以下にそのグラフを掲載しておきます。マクドナルの不振の要因は、カウンターメニューがどうのこうの、新商品がどうのこうのと言う前に、こうした景気後退局面によるもののほうが、大きいのではないかと思います。


普通、大規模な自然災害があったような国では、自然災害によって、いっとき景気が落ち込みますが、復興で、国の公共工事はあるは、中央銀行は、復興のため、金融は緩和気味にするので、震災の次の年に景気後退局面がくるなどということはあり得ません。全く異常です。そうして、上の景気動向指数のグラフでは、さらに、12月に景気が落ち込むことを示しています。このままだと、マクドナルドも12月には、かなり業績を落とすことが予想できます。これは、異常中の異常です。日本のマスコミがこの異常状況を異常であると報道しないことは、ほんとうにどこか、とち狂っているのか、何かの陰謀ではないかとすら思えてくるほどです。本当に陰包かもしれません。

しかし、日本の場合は、政府は古今東西全く聴いたことのない(どこの国でも、建設国債などで賄うのが、当たり前のど真ん中)、復興税などという復興のための税金を導入しましたし、日銀は、先日も掲載したとおり、金融引締め路線を堅持しています。こんな異常な状況では、マクドナルドも、そろそろ限界が来て当たり前だと思います。

先日、このブロでは、上場企業の半分は、業績をあげていることを掲載しました。だから、日本の将来に悲観する必要はないという趣旨のことを掲載しました。しかし、半分の企業は、新たな事業をしているのであって、新規需要が見込めるため、成長しているという側面があります。これらの企業が将来を担っていくという側面は確かにあります。

しかし、だからといって、マクドナルドのような既存の事業も、工夫や努力次第で少しずつでも、伸びていける余地がないようでは、日本の先行きは、思いやられます。そうして、これは、何も企業の責任だけではなく、日銀の馬鹿な金融政策、政府の馬鹿な財政政策によるものが大きいです。なのに、マスコミは、民間企業の窮状をみて、上の記事のように、単なる企業経営者の見立て違いのようにしか報道しません。まったく、異常です。もう、普通の国のまともなマスコミの役割は、全く果たしていないと言っても過言ではないです。



この状況は、本当に異常です。多くの人々は、長く続くデフレ、異常になってから久しいマスコミ報道に慣れてしまい、なんとも思わなくなってしまっているのかもしれません。しかし、そんなことは、断じてありません。諸外国と比較すれば、日本の状況は、かなり異常です。私は、そろそろ、マクドナルドの原田会長はもとより、既存産業の経営者も、いわゆる格好良さ、潔さをかなぐり捨てて、政府の財政政策や、日銀の金融政策に苦言を呈しても良い時期に来ているのではないかと思います。主だった、日本の有名企業の経営者は、日銀や政府の政策のまずさを追求すべきです。こんなやり方は、民間営利企業などでは、許されないことであり、こんなことをつ告げているような企業は、すでに、市場から見放され、抹殺されているはずです。企業経営者も含めて、多くの人々による、まともな、世論形成をしていかなければ、失われた20年が、30年になることも十分考えられます。

そうして、自民党の安倍総裁は、現状では、一番こうした状況を理解していると思います。自民党の総裁選において、そのことは、十分理解できました。そうして、明日は、野田首相による、国会解散が予定されており、選挙も間近です。このように、国政に関しては、20年も放置された、デフレをまず克服する目処をつけることが、最優先課題です。しかし、この課題を克服することはたやすいことではありません。なぜなら、そこには、財務省や、日銀という官僚組織の高い険しい壁が立ちはだかっていて、結局古今東西にに稀にみる20年間もの間デフレ状況を放置してきたからです。もう、これ以上日本の既存企業が破壊され、日本人の雇用が奪われてく事態を座視するわけにはいきません。

デフレを克服するということは、この険しい壁を打ち砕くということです。私たちは、まずは、この経済の癌といわれる病を直し、官僚組織の最も険しい壁を打ち破るデフレ克服を第一義にあげる候補者に票を投じるべきと思います。そう思うのは、私だけでしょうか、皆さんは、どう思われますか?



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