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2013年5月5日日曜日

そこから何かを学ぼうと思えば失敗も歓迎できるようになる―【私の論評】ドラッカー氏は、80歳のヴェルディのように失敗しようとも完全を求めて挑戦していこうと決心した!!

そこから何かを学ぼうと思えば失敗も歓迎できるようになる:


何かに失敗したときや決断を誤ったとき、ただ落ち込むのはもったいないことです。教訓としてそこから何かを学ぼうと思えば、失敗も歓迎できるようになります。 米誌「Forbes」に、iOSのゲーム開発会社・Supercellが「失敗を歓迎した」という話が載っていました。

     チームがそのゲームを気に入ったら、他の従業員もプレイしてみます。そこでも気に入られれば、カナダのiTunes App Storeに申請します。カナダの市場でヒットしたら、世界的に販売します。結果、これまでに4つのゲームがこの方法で失敗しました。

    そんな時は、失敗を祝うために従業員みんなでシャンパンをあけます。Paananen氏は「失敗したプロジェクト自体を歓迎するというよりも、その失敗から教訓が得られることを歓迎しているのです」と言っています。

「失敗は成功の母」との言葉もあります。失敗した後に悲しみにくれて落ち込んでいるだけでは、そこから学ぶことはできません。シャンパンをあけて祝うまでしなくてもよいですが、状況をポジティブにとらえることは大事です。

このニュースの詳細はこちらから!!



【私の論評】ドラッカー氏は、80歳のヴェルディのように失敗しようとも完全を求めて挑戦していこうと決心した!!


失敗というとネガティブなイメージばかり浮かぶ人もいるようですが、決してそのようなことはありません。私たちの普段の仕事を考えてみれば、どんな仕事だって完璧ということはありません。予め決められたスケジュールと予算があり、その中でなんとか初期の目的、目標を達成できれば、それで良しというのがほとんどです。小さな仕事はほとんどその連続です。

大きな仕事だって、振り返ってみれば、成功した仕事でさえ、ああすれば良かったとか、こうすれば良かったとか、ああすればもっと良くなってなっていたはずだと必ず心のこりがあるものです。しかし、そうしたことは、当初の要求水準を全く達成しておらずはっきり失敗してどうしようもない場合は別として、次の仕事に生かしていくというのが普通です。それに、人間失敗しないと学べないことも多くあります。

そんなことを考えると、上の記事の精神は本当に重要だと思います。心から自分で思える完璧な成功などほとんどの人が経験することのないものです。そんなことが当たり前のことなのに、いちいち小さな取り返しのつく失敗にネガティブになっていては、何もできません。

そうして、小さな失敗などにいちいちめげていては、大事を為すことはできないのははっきりしていますし、このようなことは、上の記事だけが言っているようなことではありません。昔から、大きなとを成し遂げた人たちが言っていることでもあります。

それは、あの偉大な経営学者であるドラッカー氏も提唱していましたし、ドラッカー氏自身も、実践しことです。

ドラッカー氏は以下のように語っていました。
『完全を求めて、いつも失敗してきた。だから、もう一度挑戦する必要があった』。私はこの言葉を忘れたことがない。この言葉は私にとって、心にあって消すことのできない刻印となった。 (『プロフェッショナルの条件』より以下、同じ)

ドラッカーは、知識によって働く者にとって多少なりとも参考になるのではないかと言って、自らの著書でその経験をいくつか教えてくれています。

その一つが、イタリアの大作曲家ヴェルディの最晩年の作品「ファルスタッフ」との出会いでした。

小学校での飛び級のおかげで、17歳で高校を卒業したドラッカーは、右派、左派の社会主義者、カトリックの保守派が三つ巴の市街戦を繰り広げる荒廃した生まれ故郷ウィーンを出て、隣国ドイツの港湾都市ハンブルクで貿易商社の見習い事務員となりました。学校には飽き飽きしていたためだそうです。


ドラッカー家は代々、学者、官僚、弁護士、医師を輩出してきました。そこで親の手前、ハンブルク大学の法学部に籍だけは置いたといいます。

しかし、商社事務員の生活に満たされるわけでもありませんでした。そこで、夕刻から先は、図書館での乱読、オペラ座での音楽鑑賞という日々が続くことになったといいます。

ハンブルクのオペラ座は、当時の欧州では最高水準にありました。しかも学生は、上演の1時間前から並ぶと、売れ残りの安い席の切符をもらえたそうです。そしてある夜、ドラッカー氏は、大曲「ファルスタッフ」を初めて聴き、衝撃を受けました。ヴェルディの26作品の中で2作しかない喜劇のうちの一つでした。
オペラ ファルスタッフの一幕
このオペラは、シェイクスピアの喜劇「ウィンザーの陽気な女房たち」を原作とし、人生を謳歌するその作品は、ヴェルディ80歳のときの作品でした。平均寿命が50歳そこそこだったその頃では、80歳まで生きたというだけでも偉業でした。

作曲家として功なり名遂げたあと、なぜあのような難曲に取り組んだのかを聞かれたヴェルディの答えが、「完全を求めて、いつも失敗してきた。だから、もう一度挑戦する必要があった」でした。

ジョゼッペ・ベルディ
ドラッカーは、これについて以下のように述べています。
 私は、その時そこで、一生の仕事が何になろうとも、ヴェルディのその言葉を道しるべにしようと決心した。そのとき、いつまでも諦めずに、目標とビジョンをもって自分の道を歩き続けよう。失敗し続けるに違いなくとも完全を求めていこうと決心した。
以下の動画は、ヴェルデイの傑作ファルスタッフ全編です。



ドラッカー氏は、ファルスタッフ以外にもこのような事例を著書であげています。それは、あのミケランジェロです。ミケランジェロも、晩年「あなたの最高傑作は何ですか」と尋ねられて、「次作」だと答えていたそうです。あくなき、美の追求、それも完璧な追求には、終わりも果てもないのです。そうして、ミケランジェルは、本当になくなる直前まで、彫刻にとりくんでいたそうです。

ミケランジェロ作「聖母子像」

そうして、ドラッカー氏も「あなたの書籍の最高傑作は何ですか?」と尋ねられたとき決まって「次作だ」と答えていました。そうして、ドラッカー氏は「いつまでも諦めずに、目標とビジョンをもって自分の道を歩き続けよう。失敗し続けるに違いなくとも完全を求めていこうと決心した」という言葉どおりの人生を送りました。ドラッカー氏は長寿で、96歳で亡くなりましたが、なくなる直前まで仕事に取り組み、そうして、次の著作の構想を持っておられたそうです。


 いつまでも諦めずに、目標とビジョンをもって自分の道を歩き続けよう。失敗し続けるに違いなくとも完全を求めていこうと決心すれば、日々の小さな失敗などでネガティブになることなどなくなります。それに、沸々と勇気が湧いてくると思います。私は、失敗しないようにいつも恐れているよりも、このような人生を送りたいと思います。完全を求めるための失敗には、シャンペンでお祝いしたいです。皆さんは、どう思われますか?

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