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2017年2月10日金曜日

【米中戦争】米軍と人民解放軍どちらが強いのか 米国の軍事費は中国の3倍、カギになる「紛争地域までの距離」―【私の論評】旧ソ連のはまった罠、軍拡と宇宙開発、支那も(゚д゚)!

【米中戦争】米軍と人民解放軍どちらが強いのか 米国の軍事費は中国の3倍、カギになる「紛争地域までの距離」

1996年3月、台湾海峡に出動した空母インディペンデンスとCVW-5 出典: US Navy Photo Archive(NS091919901)
 米中戦争(紛争)を考えた場合、米軍と人民解放軍の実力差が気になる。

 人民解放軍の転換点は、1996年の台湾海峡危機だ。この年の台湾総統選において、独立派の李登輝氏の勝利に反対する中国は、台湾近海にミサイルを撃ち込むなど、露骨な軍事的圧力をかけた。

 だが、米軍の空母2隻が現れると、戦わずして屈服してしまった。この屈辱を契機に、人民解放軍の大軍拡が始まり、20年の短期間で軍事大国に成長した。

 単純に軍事費で比較すると、米国は中国の約3倍だ。軍事の総合力で、米国は圧倒的に第1位で、中国はロシアに次いで第3位という評価である。中国がロシアを追い越すのは時間の問題だろうが、「米軍に追いつくのは難しい」とみる識者(=元米国防次官補でハーバード大のジョセフ・ナイ教授など)が多い。

 米中紛争を考える際に、軍事の総合力の比較は参考にはなるが、より大切な要素は、紛争地域における相対戦闘力や紛争地域までの距離である。

 ランド研究所が2015年秋に発表した論文「米中軍事スコアカード」は、米中紛争の結果をシミュレーションした必読の文書である。

 米中紛争のシナリオとして「台湾シナリオ」と「南沙諸島シナリオ」を列挙し分析しているが、その結論部分を以下に紹介する。
 (1)人民解放軍は1996年以降、長足の進歩を果たしているが2017年の時点では米国の軍事力には追いつかない。

 (2)人民解放軍は、紛争の初期において、一時的・局所的な航空優勢と海上優勢を確立する能力を有する。

 (3)サイバー空間での戦い(サイバー戦)や宇宙空間での戦い(宇宙戦)においては、人民解放軍の先制攻撃が予想されるので注意が必要だ。

 (4)戦場までの距離は双方の作戦に重大な影響を及ぼす。一般的に、中国本土に近いほど米軍にとっては不利で、人民解放軍に有利だ。中国本土に近い「台湾紛争シナリオ」では両軍の実力が伯仲する。中国本土から遠い「南沙諸島シナリオ」では米軍が有利である。

 (5)人民解放軍が保有する1400発の短距離弾道ミサイルと、空軍力による台湾の航空基地に対する攻撃能力は高い。

 (6)米艦艇が中国本土から数千キロ離れた場所であっても、リスクなく自由に活動することが困難になっている。

 (7)米国にとって、同盟国や友好国の基地の提供は重要で、在日米軍基地は重要だ。

 米中紛争におけるいずれのシナリオでも、在日米軍基地に対する人民解放軍の攻撃が予想され、日本が米中紛争に巻き込まれる可能性は高い。詳しくは、拙著『米中戦争 そのとき日本は』(講談社現代新書)を読んでもらいたい。

 渡部悦和(わたなべ・よしかず)

【私の論評】旧ソ連のはまった罠、軍拡と宇宙開発、支那も(゚д゚)!

渡部悦和氏
ブログ冒頭の渡部悦和氏の分析の他にも、支那の軍事力などについては抑えて置かなければならないことがあります。

まずは、軍拡にはかなりの投資が必要であるという現実があります。これは、支那にとってはかなりの負担です。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
旧ソ連と同じ罠にはまった中国、米国の仕掛けた軍拡競争で体力消耗―露メディア―【私の論評】ロシアの弱体化を吐露する記事、中国を封じ込めることと引き換えにロシアとの領土交渉を!!

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
2012年7月22日、ロシア・テレビ局「ロシア・トゥデイ」は記事「米国のミサイル防衛システムが中国という経済の虎を封じ込める」を掲載した。 
今年3月、米国防総省はアジア及び中東におけるミサイル防衛システムの構成について公開した。中国を包囲するミサイル防衛システムに対抗するため、中国は自らの核兵器システムの近代化を迫られている。中国の軍事関係者も「近代化しなければ、核の抑止力を保つことができない」と認めている。 
旧ソ連はその末期に米国に対抗するため多額の予算を軍事費に注ぎ込んだ。今の中国も同様の状況にある。中国経済は今、繁栄しているかに見えるが、しかし格差は広がり、いまだ2億5000万人が貧困層として残っている。こうした問題を解決できないまま、中国政府は巨額の資金を軍事費に注ぎ込むことを余儀なくされている。 
冷戦を想起させる展開となっているが、中国は果たして政治と社会の安定を損なうことなく、軍事力を強化できるのか。その将来に注目が集まっている。
この記事では、ミサイル防衛システムを例に出しています。冷戦期、米国とソ連の軍事力は世界最先端で拮抗(きっこう)していましたが、両国には大きな違いがありました。それは、米国は世界一の経済力も誇っていたのですが、ソ連は発展途上国並みの経済力しかなかったということです。

それを見抜いていたのが、当時のロナルド・レーガン米大統領でした。レーガン大統領はソ連を「悪の帝国」と名指し、国防予算を大増額して「スターウォーズ計画」(戦略防衛構想)を推進しました。

これは、有事の際、アメリカ本土へ向けて飛来する仮想敵国の弾道ミサイルを、ミサイルやレールガン、レーザーなどを搭載した人工衛星(攻撃衛星)の攻撃によって迎撃・破壊することを目的としていました。

「スターウォーズ計画」の名は、当時、大ヒットした同名のSF映画から付けられた通称です。

この構想の下、いくつかの兵器が試作されましたが、技術的にも予算的にも現実的ではなく、最終的には実用化されないまま沙汰止みとなりました。

これは当時、大軍拡を進めていたソ連への対抗上なされたプロパガンダであったとも、あるいは国内の景気対策や技術振興のためのテコ入れ策であったとも言われています。

事実、当時のアメリカはベトナム戦争の敗北によってもたらされた軍事的・経済的打撃からの回復途上にあり、レーガン政権は「強いアメリカ」を政策目標としていました。

しかし、ソ連はこれに追いつこうと無理をしたため、もともと脆弱な経済がさらに立ちゆかなくなり、国家財政が破綻して崩壊しまいました。

まさに、支那も、旧ソ連と同じワナにはまっています。軍事費を毎年増加させています。軍拡に関しては、支那は旧ソ連よりもさらに厳しい状況にあります。

当時のソ連は戦後にドイツの技術者を大量にソ連に連行して、ソ連で様々な開発に従事させました。そのため、軍事技術に関してはそれなりに世界水準のものを維持することができました。

しかし、支那の場合は、そのような基礎がないため、ロシア、米国、日本などの他の先進国から盗むか、購入することが多いのです。これにも、かなり費用がかかります。

しかし、軍事技術の核心的な部分は、どの国も機密あつかいであり、それを支那に明かすことはありません。そのためでしょうか、支那空軍では慢性的な部品不足に見舞われていて、航空機の稼働率がかなり低い状況になっています。

そのせいで、支那のパイロットの年間飛行時間は、自衛隊のパイロットの1/10程度とされています。航空機の稼働率があまりのに低いので、パイロットの訓練が犠牲にされているのです。

そうして、支那はソ連から技術を導入して、宇宙開発にも熱心です。これもかなり費用がかかります。

これについても、その実体をこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
支那は、2011年に打ち上げた宇宙ステーション(軌道上実験モジュール)「天宮1号」が制御不能になったことを正式に発表した。―【私の論評】宇宙開発、軍拡は支那を滅ぼす(゚д゚)!
組立中の天空1号
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に結論部分のみ掲載します。
支那では戦闘機の旧式の戦闘機が多いのと、メンテナンスの技術も低く稼働率が異常に低いので、戦闘機の数は多いものの、日本の戦闘機と互角に実際に常時戦える戦闘機数は50機に過ぎないと推定できます。

日本の航空自衛隊の航空機は、旧式のものがほとんどないことと、稼働率は90%ですので、実際に常時戦える戦闘機は、315機です。

さすがに、50機と315機では、勝負になりません。

こう考えると、支那の宇宙ステーションも稼働率はかなり低くなることが予想されます。戦闘機の稼働率が異常に低いのに、宇宙ステーションだけが、稼働率が高くなるということは考えられません。

そうなると、支那の宇宙ステーションは、たとえ完成したとしても、NASAの宇宙ステーション管理による非効率よりもはるかに低い効率で、さらに低い稼働率で、巨大な金食い虫と成り果てることは、必定です。

宇宙開発と軍拡は支那を滅ぼすだけです。

支那が本当に実行すべきは、まずは支那共産党一党独裁体制を捨て去り、民主化、経済と政治の分離、法治国家化をすすめることです。そうしないと、支那はこのまま、中所得国の罠にはまり、図体が大きいだけの、アジアの凡庸な独裁国家に成り果てるだけです。

しかし、支那共産党はこのことには全く気づいていないようです。
宇宙ステーションの管理や、運用にはかなりの経費を必要とします。米国ではNASAが国際宇宙ステーションの管理をしていましたが、NASAの官僚主義的な運営の仕方で、とてつもない金食い虫となっていたため、2012年から実験室とその設備の管理をNGOの宇宙科学進歩センター(CASIS: Center for the Advancement of Science in Space)に委ねました。

支那の場合も、宇宙ステーションを稼働させたにしても、官僚主義の蔓延によって、ほとんど実質的に何の富を生み出すこともできず、金食い虫になるだけでしょう。

さて、 ドナルド・トランプ米大統領が就任してから、支那から外資系企業が続々と撤退しているといいます。4月以降、さらに撤退が加速するらしく、支那で「約1億人のリストラ」が行われる可能性が指摘されています。

この状況では、支那は、かつてのソ連と同じく、米国に追いつこうと無理をして、もともと脆弱な経済がさらに立ちゆかなくなり、国家財政が破綻して崩壊することになるでしょう。

いますぐということはないでしょうが、その方向に向かって進んでいるのは間違いないです。

【関連記事】





2016年9月24日土曜日

中国は、2011年に打ち上げた宇宙ステーション(軌道上実験モジュール)「天宮1号」が制御不能になったことを正式に発表した。―【私の論評】宇宙開発、軍拡は中国を滅ぼす(゚д゚)!


組立中の天空1号 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

   来年後半には地球に落下

本来、「天宮1号」は軌道上をいつまでも回り続け、機械に寿命が来た後は、地球からの遠隔操作によって無人の海洋に落下させるか、大気圏中で燃え尽きさせるはずだった。

ところが、制御不能となったため、軌道上にとどまることさえ出来なくなってしまった。

中国政府は、「来年の後半には天宮1号が地球に落下するだろう」と発表した。
落下地点の予測は立たず

制御不能となった天宮1号が、いつ落下し始めるか、そしてどこに落下するかは誰にも分からない。

著名な宇宙物理学者であるハーバード大学のジョナサン・マクダウェル教授はこう言う。

「それ(天宮1号)がいつ大気圏に突入するかは、数日前になっても予測できないだろう。6〜7時間前になってやっと分かるのがいいところだ」

「また、大気圏突入がいつか分からないということは、落下地点の予測もできない」

最悪の場合、空中で爆発し、多くの残骸を地上に降らせるということにもなりかねない。

組立中の天空2号
   「ほとんどが燃えて無くなる」と中国

中国当局の担当者は、「我々の調査と計算によれば、天宮1号のほとんどの部分が、大気中で燃えて無くなるはずだ」と言い、地上に被害をもたらさないと強調している。

だが、前出のマクダウェル教授によれば、天宮1号のエンジンは大きく、大気圏で完全に燃え尽きることはないとのこと。

現在も中国は、天宮1号の制御回復に努めている。成功を祈りたい。
出典元:China's Tiangong-1 space station to crash into Earth in 2017 - UPI(9.21)
出典元:China's space station is 'out of control' and will crash into Earth - but no one knows where the debris will land - MailOnline(9.21)

【私の論評】宇宙開発、軍拡は中国を滅ぼす(゚д゚)!

日本では、宇宙ステーションと報道されていたので、もっと大きなものを想像する人も多いでしょうが、写真でみてもおわかりのように、実際は既存の宇宙船よりも少し大きいという印象です。

今月9月15日、中国は天宮2号を打ち上げたばかりです。以下にその打ち上げの動画を掲載します。


この発射は、日本でも華々しく報道されましたが、天宮1号の制御不能の報道はされませんでした。しばらくしてから、報道されました。おそらく、天空1号は前々から制御不能になっていたのでしょうが、中国当局はそれを公表しなかったのでしょう。

天空2号は、制御できなくなった天空1号の代替として打ち上げたのではないかと思います。本来だと、2号は、1号と機能の異なるものを打ち上げ、1号と2号をドッキングして宇宙ステーションの一部にする予定だったのでしょう。

このようにいくつかのモジュールを打ち上げドッキングして、ある程度大きなステーションをつくり、その後は宇宙船で物資を打ち上げ、宇宙で大きな宇宙ステーションを組み立てるという予定だったのだと思います。おそらく、天空1号の制御不能で、中国の宇宙ステーション計画にはかなり遅れが出たのだと思います。しかし、中国は無論のこと、日本のマスコミもそのようなことは一切報道しません。

それにしても、宇宙ステーション開発は、残念ながら米国においても、あまり良い成果をあげていません。それについては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
成果はわずか!? 国際宇宙ステーションの困難な将来―【私の論評】宇宙でも共産主義はうまくいかない?中国の宇宙開発も結局この二の舞になる!!
この記事は、2012年8月24のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に元記事から一部を引用します。

 NASAが国際宇宙ステーションを未来の実験室として紹介してから14年が過ぎた。野心的でヴィジョンにあふれるプロジェクトによって、世界中の研究者が地球近くの低軌道上にて、時速約2万7,000kmの速度で実験を行うことができるようになるはずだった。

しかし、いままでのところ研究のための宝箱である以上に、国際宇宙ステーションは金食い虫の化け物だった。運用終了までに施設のために投じられる総額は約1,500億ドル。1kgあたり30万ドル以上だ。 
成果はわずかだ。1998年以来、衛星軌道上で行われた実験は3,100の研究を生み出しただけだった。比較してみるだけでも、ハッブル宇宙望遠鏡の11,300に対してごくわずかだ。

しかしいま、事態は変わるかもしれない。企業であるSpace Xのカプセル、Dragonの到来によって、宇宙探検における民間投資の時代が公式に始まった。さらにNASAは、莫大な投資に対するわずかなリターンを心配したアメリカ合衆国議会の示唆にしたがって、実験室とその設備の管理をNGOの宇宙科学進歩センター(CASIS: Center for the Advancement of Science in Space)に委ねたのだ。

1年の契約は1,500万ドルであり、CASISは国際宇宙ステーションの未来を見直す任務を引き受ける。基礎研究と応用研究のバランスを取り、ステーションに公的資金と民間資金双方を用いる。 
他方で、衛星軌道を回る実験室は、研究のために唯一無二の条件を提供する。火星への旅のような、長い宇宙旅行に取り組む宇宙飛行士たちが直面する状況の検証を考えられる唯一の場所である。 
・・・・・・・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・・・・・・・ 
要するに、国際宇宙ステーションが科学のために有している莫大な潜在能力を使い尽くすためには、宇宙旅行の熱狂に乗ることが最後のチャンスであるように思われるのだ。
結局のところ、アメリカの宇宙ステーションのプロジェクトは、あまりの成果のなさのわりにはかなりの割高であり、その管理はNASAの手を離れて、NGOのCASISに委ねられたのです。以下に、CASISの動画を掲載します。


なぜこのようになったかといえば、NASA等の官僚主義によるものです。NASAが管理していたときには、ステーションでのひとつの実験に許可を与えるまでに、数カ月が経過したそうです。これはあんまりです。

これほどまでに、官僚主義は宇宙ステーシヲンの運営を困難にしていたのです。

さて、中国が宇宙テーションの管理をすることになれば、さらに酷いことになるものと思います。なぜなら、中国もご多分にもれず、官僚国家だからです。現在の中国は、最早共産主義ではありません。しかしながら、国家資本主義というのがふさわしい体制です。

結局中国共産党一党独裁で、建国以来選挙もなく、主席や幹部なども全人代で指名されます。これは地方政府も同じで、中国には本来の意味での政治家は存在しません。存在するのは、官僚だけです。

政治家不在の官僚だけの中国で、宇宙ステーションを運用するということにでもなれば、米国のNASAが運営するよりもまだ、官僚主義的な手続きが横行して、非効率この上ないことになり、NASAが運営していたころより、さらに成果をあげられないことでしょう。

さらに、ブログ冒頭の記事に掲載されているように、モジュールの制御すらできなくなるほどの技術力の低さです。低技術のため、このような状況を頻繁に招いてしまうことになれば、官僚主義+低技術で、費用ばかり天文学的にかかるのにほとんど成果があげられないということになり、とんでもない状況になることでしょう。

現在の中国は、軍拡でも同じような状況に追い込まれています。
旧ソ連と同じ罠にはまった中国、米国の仕掛けた軍拡競争で体力消耗―露メディア―【私の論評】ロシアの弱体化を吐露する記事、中国を封じ込めることと引き換えにロシアとの領土交渉を!!
ミサイル防衛システムの概念図
この記事は、2012年7月28日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、これも元記事を引用します。
2012年7月22日、ロシア・テレビ局「ロシア・トゥデイ」は記事「米国のミサイル防衛システムが中国という経済の虎を封じ込める」を掲載した。 
今年3月、米国防総省はアジア及び中東におけるミサイル防衛システムの構成について公開した。中国を包囲するミサイル防衛システムに対抗するため、中国は自らの核兵器システムの近代化を迫られている。中国の軍事関係者も「近代化しなければ、核の抑止力を保つことができない」と認めている。 
旧ソ連はその末期に米国に対抗するため多額の予算を軍事費に注ぎ込んだ。今の中国も同様の状況にある。中国経済は今、繁栄しているかに見えるが、しかし格差は広がり、いまだ2億5000万人が貧困層として残っている。こうした問題を解決できないまま、中国政府は巨額の資金を軍事費に注ぎ込むことを余儀なくされている。 
冷戦を想起させる展開となっているが、中国は果たして政治と社会の安定を損なうことなく、軍事力を強化できるのか。その将来に注目が集まっている。
この記事は、露メディアのものですから、ある程度割り引いて受け取るべきではありますが、それにしても、軍拡にはかなり経費がかかるのは事実です。

そうして、中国の軍拡が始末におえないのが、軍事技術の低さです。旧ソ連の場合は、第二次世界大戦後に旧ドイツより、多くの技術者や機器などをソ連に持ち帰り、そこから開発を始めたので、当初は技術水準が高かったですが、時を経るにつれて、共産主義や官僚主義の弊害がでて、技術水準は落ちていきました。

現在の中国は、もともとかなり低いのですが、金を用いたり、スパイの活用でいろいろと技術を盗んできては、開発したのですが、それにも限界があります。

そのため、たとえば、空母一つつくるにも、かなりの資金と労力と時間を費やしても、まともなものはできません。潜水艦でも、同じことで、いまだに日本よりはるかに下回っています。

結局、先進国以上に大枚を叩いても、先進国よりも技術の低いものしか製造できないのです。それでも、何とか追いつこうと金をかけて、結局は短期間て使い物にならなくる、ガラクタを貯めこむだけになります。

宇宙開発の場合は、兵器よりはましですが、それにしても、先ほど述べたように恐ろしく、非効率な中国の体制のもとでは、せっかく大枚をはたいて、巨大な宇宙ステーションを建造したにしても、稼働率が低くなり、成果をあげられず、無用の長物になってしまう可能性が大です。

中国の稼働率の低さというと、このブログでも以前中国の戦闘機の稼働率の低さを掲載したことがあります。その記事のリンク以下に掲載します。


【緊迫・南シナ海】ベトナムが中国・人工島射程にスプラトリー諸島でロケット弾を配備 インドからミサイル購入も―【私の論評】日本の備えはベトナムよりはるかに強固、戦えば中国海軍は崩壊(゚д゚)!
中国空軍の大部分を占めるJ-7戦闘機
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に簡単に、戦闘機の稼働率に関して掲載します。

中国では戦闘機の旧式の戦闘機が多いのと、メンテナンスの技術も低く稼働率が異常に低いので、戦闘機の数は多いものの、日本の戦闘機と互角に実際に常時戦える戦闘機数は50機に過ぎないと推定できます。

日本の航空自衛隊の航空機は、旧式のものがほとんどないことと、稼働率は90%ですので、実際に常時戦える戦闘機は、315機です。

さすがに、50機と315機では、勝負になりません。

こう考えると、中国の宇宙ステーションも稼働率はかなり低くなることが予想されます。戦闘機の稼働率が異常に低いのに、宇宙ステーションだけが、稼働率が高くなるということは考えられません。

そうなると、中国の宇宙ステーションは、たとえ完成したとしても、NASAの宇宙ステーション管理による非効率よりもはるかに低い効率で、さらに低い稼働率で、巨大な金食い虫と成り果てることは、必定です。

宇宙開発と軍拡は中国を滅ぼすだけです。

中国が本当に実行すべきは、まずは中国共産党一党独裁体制を捨て去り、民主化、経済と政治の分離、法治国家化をすすめることです。そうしないと、中国はこのまま、中所得国の罠にはまり、図体が大きいだけの、アジアの凡庸な独裁国家に成り果てるだけです。

しかし、中国共産党はこのことには全く気づいていないようです。

【関連記事】







2012年8月24日金曜日

成果はわずか!? 国際宇宙ステーションの困難な将来―【私の論評】宇宙でも共産主義はうまくいかない?中国の宇宙開発も結局この二の舞になる!!

成果はわずか!? 国際宇宙ステーションの困難な将来:


NASAが国際宇宙ステーションを未来の実験室として紹介してから14年が過ぎた。野心的でヴィジョンにあふれるプロジェクトによって、世界中の研究者が地球近くの低軌道上にて、時速約2万7,000kmの速度で実験を行うことができるようになるはずだった。


しかし、いままでのところ研究のための宝箱である以上に、国際宇宙ステーションは金食い虫の化け物だった。運用終了までに施設のために投じられる総額は約1,500億ドル。1kgあたり30万ドル以上だ。

成果はわずかだ。1998年以来、衛星軌道上で行われた実験は3,100の研究を生み出しただけだった。比較してみるだけでも、ハッブル宇宙望遠鏡の11,300に対してごくわずかだ。



しかしいま、事態は変わるかもしれない。企業であるSpace Xのカプセル、Dragonの到来によって、宇宙探検における民間投資の時代が公式に始まった。さらにNASAは、莫大な投資に対するわずかなリターンを心配したアメリカ合衆国議会の示唆にしたがって、実験室とその設備の管理をNGOの宇宙科学進歩センター(CASIS: Center for the Advancement of Science in Space)に委ねたのだ。


1年の契約は1,500万ドルであり、CASISは国際宇宙ステーションの未来を見直す任務を引き受ける。基礎研究と応用研究のバランスを取り、ステーションに公的資金と民間資金双方を用いる。

他方で、衛星軌道を回る実験室は、研究のために唯一無二の条件を提供する。火星への旅のような、長い宇宙旅行に取り組む宇宙飛行士たちが直面する状況の検証を考えられる唯一の場所である。

・・・・・・・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・・・・・・・

要するに、国際宇宙ステーションが科学のために有している莫大な潜在能力を使い尽くすためには、宇宙旅行の熱狂に乗ることが最後のチャンスであるように思われるのだ。

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】宇宙でも共産主義はうまくいかない?中国の宇宙開発も結局この二の舞になる!!

さて、上の記事を読まれて、皆さんはどうお感じになられたでしょうか。結局実験室とその設備の管理を官僚機構のNASAが行なってきたということに問題の根源があるのだと思います。経済的な活動に関して、官僚組織が、主導権を握って、官僚の考える開発をやるというのでは、経済的な利益の追求など最初から土台無理な話だったのです。


この管理が、NGOの宇宙科学進歩センター(CASIS)に移るということで、かなり改善がされると、思います。宇宙旅行もそのプログラムにも含まれるというのも、当然のことだと思います。さて、本日は、上の記事のように、宇宙旅行も身近になると考えられますので、当然女性の宇宙進出も増えるとかんがえられるため、女性の宇宙進出に関連する画像とともに、掲載させていただきます(笑)。

これに関して、最近の日本でも、事柄は一見全く異なるように見えて、同じようなことが繰り返されようとしています。それに関しては、以前このブログでも、記事を掲載したことがあります。


【日本の解き方】あまりにヒドい政府の“日本再生戦略”―【私の論評】今の政府や政治家は、自分の頭の上のハエを追えない人が、他人の世話を焼いているようなもの、自分がやるべきことに専念せよ!!


この記事の詳細は上のURLをから記事そのものをご覧いただくものとして、この記事と今回の記事との関連する部分だけ、以下にコピペしておきます。



この記事では、まずは、政府の「日本再生戦略」に関する,高橋洋一氏の考えを掲載しました。それが、以下です。
政府は「日本再生戦略」の原案を公表した。それは2020年までに環境や医療、観光など11の戦略分野で38の重点施策を掲げ、630万人の雇用を創るという政府の目玉の成長戦略だ。7月末までの閣議決定を目指しているという。 
11分野を具体的にいえば、グリーン成長戦略、ライフ成長戦略、科学技術イノベーション・情報通信戦略、中小企業戦略、金融戦略、食農再生戦略、観光立国戦略、アジア太平洋経済戦略、生活・雇用戦略、人材育成戦略、国土・地域活力戦略。これはほぼ全省庁の守備範囲だ。 
これだけ広範囲になると、「戦略」という名前がすたってしまう。戦略とは選択と集中が伴うものだが、政府のものは総花的で戦略の名に値しない。まるで、各省庁が予算獲得のために「一丁目一番地」(各省庁の優先政策事項)を束ねたものに見える。

そうして、高橋氏の主張に関して、私は、以下のように論評しています。
上の記事で、高橋洋一氏は、「成長する産業としない産業が政府でわかるなら旧共産圏の計画経済は失敗しないはずだ。もし本当に政府が分かるなら苦労はない」と語っていますが、まったくその通りと思います。 
成長する産業は、政府はおろか、優秀な民間企業でさえ、見抜けないことがあります。たとえば、あの世界を携帯電話で、席巻したNOKIAです。

そうして、NOKIAは、アップルがこの世にiPhoneや、iPadを出す数年前に、すでにそれらとほぽ近いものを開発していたにもかかわらず、市場に投入する時期を間違えたばかりではなく、iPhoneや、iPadが発表された後にも、しばらく市場に投入することもなく、今日すっかり、スマホ、タブレットの分野で、アップルに負けたどころか、かなりの市場を失ったことを掲載ました。



そうして、さらに、以下のように論評を続けました。
民間企業ですら、このような失敗をすることがあるわけですから、政府が成長する産業を見極めることなどほとんど不可能です。特に自由主義経済下では、そのようなことは誰もわからないというのが事実です。いろいろなタイプの企業が種々様々な工夫をして、その結果いずれかの事業がその時々の市場に適合うして、それが産業として伸びて行くというのが普通です。 
スマホは、アップルがiPhoneで、現在の原型をつくりあげ、それを市場に投入しました。これが、たまたま、市場に適合していたため、それが、大ヒットして、今日につながっています。そうして、今では、iPhoneだけではなく、Android携帯なども様々の種類のものが、開発され、一大産業となっています。しかし、その影て、ノキアに限らず、ブルーベーリーその他、失敗しているところたくさんあります。それに、私としては、これら携帯電話に限らず、いまでは完璧に姿を消したPDSだって、電話機能さえつければ、現在のスマホと変わりないものがいくつもありました。 
スマホの例でもわかるように、どの産業でも、いくつもの会社が、いくつもの新しい次世代のものを開発しており、そのうちの本の数社、場合によっては、1社だけが、次世代の産業を担って、大きく発展していのです。今日確かにアップルは大成功を収めましたが、何かがどこかで違っていれば、アップルがノキアのような目にあっていたかもしれないのです。 
そんな自由主義経済下の競争において、政府が発展する産業を見抜けるわけはありません。政府はもともと、そのようなことをする機関ではありません。城山三郎氏の小説「官僚たちの夏」では、あたかも、通産省が日本の産業を主導してきたような扱いですが、あれは、幻想にすぎません。現実には、通産省主導で行ったことは、何一つ成功していません。大成功したのは、先送り戦術だけです。 
それに、本来自由主義経済下の政府の役割は、こんなことをすることではありません。政府の役割は、新産業などが生まれやすいように、経済活動が活発になるように、法律を整えるだとか、規制を撤廃するとか、逆に規制を強化するとか、さらに、公共工事をするとか、安全保証などをして、いわゆるインフラ(基盤)を整えることです。このインフラづくりが政府の本命の仕事です。このインフラ上で活動して、成果をあげるのが、民間企業営利企業、非営利企業、その他の組織ということです。間違っても、政府が、インフラの上にのっかって、様々な事業を展開するようなことがあってはなりません。

以上のように国が、直接民間の産業育成に関わっても、成功する見込みは、全くないのです。 そうして、官僚組織の下部組織である、NASAが、国際宇宙ステーションを牛耳って、NASAが、将来儲かるでろうと、判断した開発事業は、いままでのところ研究のための宝箱である以上に、国際宇宙ステーションが単なる金食い虫に終わってしまたっということで、このことを雄弁に物語っています。

さらに、付け加えると、NASAがやって結局このザマですから、言ってしまえば、宇宙でも、共産主義は失敗するということです。役人がこうすれば、経済的利益をあげられると考えて宇宙開発を実施したとしても、結局はうまくはいかないということです。

であれば、結局中国の宇宙開発もうまくはいかないと思います。ただし、利益など度外視して、国威発揚をするとうだけなら十分できると思いますが、アメリカの宇宙開発のように、利益をあげるという目的を達成しようとしても、土台無理だということです。結局金食い虫で終わることでしょう。無論中国は、現在共産主義国家ではなく、国家資本主義というのが正しい認識です。しかし、資本主義の前に国家がつく状況にかわりはなく、官僚、それも、悪徳官僚が幅をきかせているのが、現在の中国です。

しかし、だからといって、中国が、アメリカのようにNGOを宇宙開発の管理主体にしようとしても、これも、結局うまくはいないと思います。中国の場合、本当に不思議なことは、たとえば、民主活動家などといわれる人々が、確かに民主活動をしているのですが、その一方で犯罪行為も行なっているというのがほとんどです。他国には、あり得ないことです。犯罪行為をするなら、民主活動などすべきではないと思うのが、中国以外の一般の人々の考えでしょうが、そのような常識は、中国では通用しません。それに、何事にも、利益優先で、人命軽視ということもあります。それに、常識をはるかに超えた、環境汚染、地溝油をはじめとする、安全ではない食品の蔓延など考えると、中国で、NGOが宇宙開発をはじめたとたん、死人続出ということになりかねません。


さて、日本再生戦略に話を戻します。中国再生戦略のようなものは、中国で過去何回も行われてきて、今のところは、成功してきました。だから、役人主導の日本再生戦略も中国のように成功するだろうと、日本の官僚は思っているに違いありません。


しかし、そこには、大きな落とし穴があります。ご存知のように、中国は、日本のように変動相場制ではなく、固定相場制です。その固定相場制の中で、不況になれば、元を大量に擦り増し、官僚主導で景気対策を行い、すぐに景気を浮揚させることができました。景気が良くなりすぎれば、今度はすかさず、元の流通量を減らし、インフレ対策を行いました。そうして、景気が悪くなれば、また、元の大増刷を行うという具合で、この繰り返しをしつつ、経済を大きくしてきたというのが、中国です。

本当に簡単で安易な経済対策です。では、日本でもこのような簡単なことができるかといえば、そんなことはありません。まずは、日本は変動相場制です。それに、中国のようにやろうとすれば、たとえば、増刷してインフレになれば、国民が騒ぎ出します。通貨の流通量をいきなり減らせば、インフレは、すぐに収束します。しかし、その都度の国民の反発をかい、政治家は、そんなことをすれば、次の選挙でではまけてしまうかもしれません。だから、どんな場合でも、あまりに極端なことはできません。

しかし、中国ならば、そんなことはお構いなしにできます。国民が騒ぐどころか、暴動になったとても、すぐに、警察権力を使ったり、人民解放軍を使ったりして、すぐに鎮圧すれば良いだけです。とにかく、政府のやり方に反対する輩は、逮捕したり、殺したりすれば良いのです。なにせ、地方でも、中央でも、選挙というものがない国です。だから、中国は厳密な意味で、政治家など存在しません。全部官僚です。だからこそ、中国、いままでは、どんなことがあっても、不死鳥のように、経済を回復してきました。しかし、このようなやり方、そろそろ、限界にきて、中国もバブルが崩壊、深刻な経済不況に見舞われるのは、必至の状況になっています。

中国のようなことができない日本では、やはり、官僚が考えた、「日本国家再生戦略」など、絵に描いた餅にすぎず、やれば、必ず失敗します。壮大な無駄遣いをすることになり、金食い虫と言われるだけになります。絶対にやめるべぎです。


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