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2017年10月29日日曜日

自民党支持の東大生「愛国心には右も左もないのに国が好きと言った瞬間に右翼だと言われてしまう」―【私の論評】年長者も次世代のため正統保守の考え方を身につけよ(゚д゚)!

自民党支持の東大生「愛国心には右も左もないのに国が好きと言った瞬間に右翼だと言われてしまう」

腹BLACK 2017年10月29日

テレビや新聞で受動的に情報を受け止める時代が終わり、インターネットで能動的に情報を取りに行く時代になった。そんな中においてやはり現代の若者は政治を冷静に観察している。

東大生の本質を突いた意見。

吉木誉絵「東大生にアンケートをとった、けっこう有名でインターネットでも出回っているものがある。東大生に『なんで自民党を支持するのですか?』とアンケートをとったところ『国が好きということに右も左もないのに、好きって言った瞬間に右翼だと言われてしまうこの風潮が馬鹿らしい』だとか、あと『安全保障はリアリズムに基づいていかないといけないのに非現実的な議論が国会で多すぎる』と。そういったところに飽き飽きしている若い人たちはどうしても多くなっているということを私も感じます」

この声に大いに賛同する日本国民は多いだろう。日本という世界でも有数の平和で恵まれた国に生まれ、帰属意識や感謝の気持ちを育んできた人は自然と愛国心を持つようになり、国を大事に思う精神が育つはずだ。しかし、現代においてはなぜか愛国心に基いて意見を表明するとすぐに「右翼」だとか「ネトウヨ」という野次が飛ぶ。自分を育ててくれた国に感謝するという自然なことがなぜ誹謗中傷の対象になるのか。

安全保障についても東大生は現実的な政策を求めており驚くほど冷静だ。新聞とテレビの偏向報道に全く騙されていない。

2017年3月に実施された東大新聞のアンケート。「あなたの支持政党はどこ?」



出典:http://www.todaishimbun.org/survey20170422/

圧倒的に支持されているのは自民党で、民進党の支持率はなんとわずか3%。立憲民主党、希望の党に分裂した今も同程度の結果であることは想像に難くない。

新聞を購読せず、家にテレビがないことも珍しくない若者たち。情報収集は基本的にスマホで、中高年とは全く違うライフスタイルを持つ新人類だと言っても過言ではない。その若い世代が政治について現実的な考えをしているというのは大変喜ばしいことだ。

メディアはなぜかSEALDsのような連中を若者代表のような雰囲気で取り上げる。しかしSEALDsはごく一部の例外であり、同じ若者世代から白い目で見られているということを指摘しておきたい。

【私の論評】年長者も次世代のため正統保守の考え方を身につけよ(゚д゚)!

最近東大生に限らず、若者の自民党の支持率が高いことをもって、若者が保守化しているという論評が多いです。AmebaTVの「みのもんたのよるバズ」でもその話題が話されていました。以下にその動画を掲載します。
この動画では、江田憲司氏は「若者は安定志向で保守化してるのと、戦争から遠いから。その辺が影響してる」という分析をしているのに対し、吉木誉絵さんは、「民主党政権時代の就職率の悪さのインパクトが凄く残ってるのと、テレビを余り見ず、ネットでも情報を得てるから」と分析しています。

この分析は、おそらく吉木誉絵さんの分析のほうが正しいと思います。結論から言うと、若者は、現状の就職率の良さに着目しているのだと思います。

ツイッターでは以下のような動画が流されていまし。この動画では、立憲民主党から立候補し落選した元朝日記者、現実を知る「(選挙運動中)若者に『何党?』と聞かれ、立憲民主と答えたら『あんたらが一番ウザイ』『アベノミクスを止めると困る』と言われたと語っています。

この動画では、若者はやはり「就職率の良さ」に着目していることが良くわかります。

これについては、このブログでも最近説明したことがあります。
若者は保守化しているのか 雇用改善で政権支持の実態、左翼色強い報道にも縁遠く―【私の論評】まもなく実質賃金も上昇しはじめ、吠え面をかく反安倍派?

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、高橋洋一氏はこの記事の論評元記事で、若者の中国に対する態度から、今の若者は決して保守化しているわけではないことを示した上で、結論を以下のように締めくくっています。
 大学教員をしている筆者には切実な問題だが、大学生にとっての最大の関心事は就職である。初めての就職がうまくいくかどうかが、その後の人生を決めるともいえる。 
 民主党政権時、残念ながら就職率は低く、就職できない学生が多かった。ところが、安倍政権になってから就職率は高まり、今では就職に苦労していない。正直なところ学生のレベルが以前と変わっているわけではなく、政策によってこれほどの差があるとは驚きだ。
 しかも、今の学生の情報入手はネットが中心で、左翼色が強く政権批判が多いテレビをあまり見ない傾向がある。そうした意味で老齢世代と若い世代は正反対だ。
 安倍政権の金融緩和と表裏一体の雇用重視は本来、左派政策なので、「保守化」していない若者にも受けるのだろう。
このことを多く江田憲司氏のような政治家や、 山田厚史(元朝日新聞)は気づいていないようです。

このように、若者が保守化したなどという一方的な見方をしかできないようでは、国民、その中でも将来を担う若者たちに訴求できるような政策提言など永遠にできないでしょう。

日本を根本から立て直すためには、自ら能動的に考える、現代の若者のような態度が必要です。現在、旧来的な『保守』と『革新』といった対立はもはや存在していません。

右派と左派という二区分では説明がつかず、少なくとも四区分は必要になっています。まず一つ目は、本物の左派、つまりは共産主義者です。日本という国が嫌いで、日本政府も大嫌いな人たち。彼らはソ連が滅んでからはさすがに少数派になりました。

二番目は、日本という国は大嫌いにもかかわらず、日本政府は大好きという困った人たちです。戦後日本では最大派閥でしょう。たとえば、東大憲法学、官僚ら組織の利益を国益だと言い張り、権威、権力、栄誉、勲章の類いに目がありません。

古くは、東京大学で教鞭を執っていた横田喜三郎という人がこの類型です。彼は『天皇制(ブログ管理人注:共産党用語)は廃止すべきだ』という本を書いていたにもかかわらず、勲章をもらえるとわかった途端、古本屋も含めてその書籍を回収してまわったというエピソードを持つ人物です。彼の小型版は現在でも大勢います。

これらの二つの勢力の特徴は敗戦の影響を過大に受けていることでしょうか。その一方で戦後教育を中心とした価値観に違和感を覚える人たちも増えてきています。

次は、日本という国が好きで、日本政府を簡単に正当化してしまう人たちです。たとえば、ネットウヨと呼ばれる人たちは自らの頭で考えず、何でも素直に受け入れてしまいます。

重要な点は、『国家と政府は違う』という当たり前の事実に気づいているかどうかです。自称・保守という人に限って、『財務省や日銀は頭のいい人たちが集まっているのだから、批判している人こそ考えが足りないのだ』『財務省が増税を推進し、日銀が頑なにお札を刷らなかったのには、きっと理由があるはずだ』と考えてしまいます。しかし、実際は何もなかった。要するに、思考が停止しているのです。

そうして、最後は正統保守とも言うべき人々です。これらは、自ら能動的に考える人々です。

この正統保守については、昨日もこのブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】5年たってもアベノミクスをまともに分析できない人たち、マクロ経済知らずけなすだけ ―【私の論評】首相は正統保守的立場から金融政策を手持ちの道具にした(゚д゚)!
アベノミクスによる異次元緩和は、まだ5年もたっていない  写真はブログ管理人挿入 
それは、第1に、過去のためのものではない。正統保守主義とは、「明日のため」のものである。あくまでも未来志向のものである。 
正統保守主義とは、第2に、なんらかの青写真に沿って社会を形成しようとするものではない。なんらかの万能薬を服さしめようとするものでもない。 
それは、ケース・バイ・ケースで問題を解いていこうとするものである。医学にしても、万能薬を求めているあいだは進歩しなかった。風邪には風邪、腹痛には腹痛の治療を求めてから急速な進歩が見られた。したがって、それは、「具体的な問題を解決していくものである」。 
正統保守主義とは、第3に、手持ちの道具、役に立つことが実証ずみの道具を使って問題を解こうとするものである。理想的な道具を新たに発明しようとしても無理である。「それは、既に存在するものを基盤とし、既に知られているものを使うものである」。 
かくしてドラッカーは、改革のための原理は、保守主義たるべしとする。 
「第一に、過去は復活しえないことを認識することが必要である。第二に、青写真と万能薬をあきらめ、目前の問題に対する有効な解決策をみつけるという、控え目で地味な仕事に満足することを知ることが必要である。第三に、使えるものは既に手にしているものだけであることを知ることが必要である」(『産業人の未来』)
私は、日本のように数千万以上の人口を有する国単位で何か改革をするといった場合には、正統保守主義的な立場から改革をすべきであると考えています。それは、なぜかといえば、以下のような観点からです。
保守主義とは、明日のために、すでに存在するものを基盤とし、すでに知られている方法を使い、自由で機能する社会をもつための必要条件に反しないかたちで具体的な問題を解決していくという原理である。これ以外の原理では、すべて目を覆う結果をもたらすこと必定である。(ドラッカー名著集(10)『産業人の未来』)
過去において、保守主義の原理での改革以外の改革は、すべて目を覆う結果をもたらすことは必定であるからです。共産主義の失敗その典型例です。

現在の若者のように情報入手はネットが中心で、左翼色が強く政権批判が多いテレビをあまり見ない傾向にあります。こうした若者は、正統保守主義の考え方も理解しやすいでしょう。

私は、現在の若者がすべて正統派保守主義になるべきであるとは思っていませせん。それは若者自身が選ぶべきです。

左翼、左派、リベラル(新左翼ではなく真の意味でのリベラル)、正統保守、保守など様々な考え方があっても良いと思います。

ただし、日本という国単位での改革という場合は、正統保守主義的な立場の改革を重視するようになっていただきたいです。

そうして、今の若者はそれ以外の年代層よりも、そのような考え方を容易に受け入れらそうであるという点で、かなり期待できると思っています。

これから、改憲や安全保障の問題を考えるときにも、正統保守的な考え方が重要です。今の若者なら、そのような考え方ができると思います。ただし、現在現役の政治家やマスコミも次世代にまともな日本を残すという意味で、正統保守的な見方を身につけなければならないです。

左右、上下にかかわらずある程度年齢のいったまともな大人で、企業などの組織(マスコミや正統組織も例外ではない)などで、管理職的立場にたち、改革の先頭にたったことのある人なら、変わりゆく社会に対応するために、組織で本気で改革に取り組むなら、この正統保守的な考え方に立脚しないと不可能であるということは気づいていると思います。珍奇な考え方を振り回しても、改革はおぼつきません。やはり、正統保守的な考え方でなければ、まともに管理職は勤まりません。

そうして、真の変革とは何らかの形で社会に変革をもたらすものであるということを理解していると思います。変革のゴールは、組織内部ではなく、組織の外である社会を変えることであることを知っているはずです。

国の改革を考えるときも、同じことです。国の改革だけが、そうではないという考えかたは成り立ちません。50歳も超えると、なかなかそうした考えた馴染めない人もいるかもしれません。しかし、そうしなければ、世の中から取り残され若者からウザい存在になるだけです。

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2017年1月19日木曜日

アパホテル批判で愛国心あおる支那 国家としての制裁82・9%支持というアンケート結果も―【私の論評】不可避の隘路に直面した習近平(゚д゚)!

アパホテル批判で愛国心あおる支那 国家としての制裁82・9%支持というアンケート結果も

アパホテルの各室に置かれてある書籍 今回支那が問題にしたのは右側の書籍

 ■党大会控え活発化

 【支那総局】「南京大虐殺」「慰安婦の強制連行」を否定する書籍を客室に備えたとして支那外務省が日本のアパホテルを批判した問題で、支那国内ではホテルを運営するアパグループへの反発が高まっている。一方、日本国内では「本を撤去しない」としたホテル側の姿勢に賛同する声が多く寄せられている。

 アパホテルの客室におかれた書籍をめぐり、支那外務省の報道官が日本国内の言論に対して異例の批判に踏み切った。今秋に5年に1度の中国共産党大会を控え、国内では歴史問題を前面に出した愛国キャンペーンで党や指導部の求心力を高めようとする兆しもある。

 これまで支那外務省は日本の靖国神社について「戦争を美化している」と決めつけながらも、一般国民の参拝には反対しない立場を示すなど、歴史問題に関しては政府や政治家と国民の間で一定の線引きをしてきた。

 この問題をめぐっては中国共産党機関紙、人民日報系でタカ派の論調で知られる環球時報が連日報道し、外務省報道官のコメントも同紙の記者の質問に答えたものだ。

 同紙が17日、ネット上で「支那による国家としてのアパグループ制裁を支持するか」とのアンケートを実施したところ、3万3千人以上が参加し、うち82・9%が支持を表明したという。

 支那では海外への旅行者も多い27日からの春節休暇を前に、複数の予約サイトでアパホテルの予約ができなくなっている。同サイト「携程」では18日現在、アパホテルを検索しても表示されない状態だ。(北京 西見由章)

                   ◇

 東京都内にあるアパホテルは「システムエラーにより、数日前から(宿泊予約などの)Webサイトへアクセスができなくなっている。原因は不明。復旧のメドは立っていない」と話している。

【用語解説】「本当の日本の歴史 理論近現代史学II」

 書籍のタイトルは「本当の日本の歴史 理論近現代史学II」。元谷外志雄代表が「藤誠志」のペンネームで月刊誌「Apple Town」に連載している社会時評エッセーをまとめたもので、英訳も付いている。

 書籍では南京大虐殺について、「(日本軍の)攻略時の南京の人口が20万人、一カ月後の人口が25万人という記録から考えても、あり得ない」などと否定。さらに上海大学教授の指摘を引用し、「いわゆる南京大虐殺の被害者名簿というものは、ただの一人分も存在していない」と記している。

【私の論評】不可避の隘路に直面した習近平(゚д゚)!

APAホテルに上記のような書籍が置かれているのは、特に保守界隈では10年以上前から常識です。何しろAPAグループはいわば、保守論客としての田母神俊雄氏の生みの親です。

2008年10月31日、田母神氏は、アパグループ主催の第1回『「真の近現代史観」懸賞論文』に応募した「日本は侵略国家であったのか」が最優秀藤誠志賞を受賞しています。ところが、同論文が政府見解と異なる主張であるとして問題視され、航空幕僚長の職を解かれ航空幕僚監部付となりました。同日付で「航空幕僚長たる空将」でなくなったことにより、一般の空将と同様の60歳定年が適用され6ヶ月の定年延長が発令され、定年延長が11月3日までとされ、同日をもって定年退職しました。

田母神俊雄氏
いままでAPAホテルに何万、何十万人という外国人が泊まってきたはずです。しかも、ご丁寧に元谷外志雄氏(APA総帥)の英訳も掲載して室内に置いていた南京虐殺否定の小冊子は、10年以上にわたってつい最近まで何の問題にもなりませんでした。

しかし、今になってなぜ、問題になり、支那外務省の報道官が日本国内の言論に対して異例の批判に踏み切ったのでしょうか。これは本当に不思議です。

本日は、その背景について、私の思うところを掲載したいと思います。

まずは、最近の支那共産党の状況についてふりかえっておきます。それについては、以前もこのブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載しておきます。
南シナ海で横暴の支那に米空母で鉄槌か 演習実施で牽制―【私の論評】トランプ新大統領による対支那強硬策で習近平失脚は確実(゚д゚)!
カールビンソン
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に現状の中国共産党、その中でも権力闘争に関するる部分を引用します。
習近平にとっては、オバマが大統領だったときの米国は、かなり御しやすかったと思います。支那という国は、ほとんどが自国内部の都合で動く国です。外交も自国内部の都合にかなり左右されます。というより、最初に自国の都合があって、その後に外交があるというとんでもない国です。

オバマが大統領だったときは、習近平はまず支那国内を優先して、国内対応を中心として動いていたものと思います。習近平にとっては、オバマは国内の習近平反対派の、胡錦涛派(共青団)の李克強氏、上海閥と太子党の江沢民派のほうが、余程大きな存在だったに違いありません。
胡錦濤(左)と江沢民(右)
オバマ大統領は、習近平にとっては、胡錦濤や江沢民のほうが余程大きな存在であったに違いありません。

しかし、トランプ氏が大統領になれば、胡錦濤や江沢民よりも、トランプ氏のほうがはるかに大きな存在になるに違いありません。

今までは、習近平は、中国国内の胡錦濤派と江沢民派と腐敗撲滅運動という名の下での権力闘争を繰り広げて、時折米国対応をしていれば、比較的楽に権力闘争を戦えたのですが、トランプ大統領になれば、そのようなわけにはいかなくなります。

そうして、反習近平派はここぞとばかり、権力闘争を強めてくるに違いありません。習近平としては、今までは2つの派閥にプラスアルファ程度で戦ってこられたのが、派閥が3つに増え、しかも増えた派閥が、それまでの派閥よりはるかに強力になったというような状況になります。
さて、このような状況に追い込まれた習近平です。トランプ氏の対中国攻勢は今までにはない強力なものになりそうです。

これについては、石平氏の論評が参考になります。石兵氏の論評のリンクを以下に掲載します。
「黒船」トランプが支那・習近平政権に仕掛ける、3つの最終戦争
石平氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に要約を掲載します。

中国に3つの戦いを挑むトランプ新大統領
習近平政権を襲うトランプ政権という「黒船」 3つの戦い…負ければ政権崩壊も中国の習近平政権にとって2017年は文字通り、内憂外患の年となりそうだ。 
トランプ氏は日本の安倍晋三首相と親しく会談して同盟関係を固めた一方、ロシアのプーチン大統領やフィリピンのドゥテルテ大統領とも電話会談し、オバマ政権下で悪化した両国との関係の改善に乗り出した。見方によっては、それらの挙動はすべて、来るべき「中国との対決のための布石と理解できよう。 
そして昨年12月初旬、トランプ氏は米国外交の長年のタブーを破って台湾の蔡英文総統との電話会談を敢行し、中国の「一つの中国の原則」へ挑戦状をたたき付けた。対中外交戦の外堀を周到に埋めたトランプ氏はいきなり北京の急所をついて本丸へと攻め込もうとする構えを見せたのである。 
人事面では、トランプ氏は新設の国家通商会議委員長と米通商代表部代表のそれぞれに、対中強硬派の面々を任命して対中国貿易戦の準備を整えた一方、国防長官のポストには強硬派軍人のマティス元中央軍司令官を起用した。南シナ海での中国の軍事拡大を断固として封じ込める姿勢を示したのである。  
一方の習近平政権は、情勢の激変に心の準備も戦略上の布陣もできていないまま、退路のない「背水の陣」を強いられる羽目になっている。 
貿易戦争の展開によって中国の対米貿易が大きく後退すれば、輸出こそが命綱の中国経済は深刻な打撃を受け、既に危険水域にある経済の衰退にさらなる拍車をかけることとなろう。 
そして南シナ海では、今まで「有言不実行」のオバマ政権の生ぬるさを幸いに中国の軍事拡大がやすやすと進んできたが、トランプ政権と米海軍が中国の封じ込めに本気になって当たれば、習政権の拡大戦略は頓挫し立ち往生してしまう可能性も十分にあろう。 
習政権にとって政治的リスクが最も高いのは台湾問題への対処だ。ニクソン訪中以来、対米外交を含めた中国外交の土台は台湾というれっきとした国を国として認めない虚構の上に成り立っている。 
結局、トランプ政権が仕掛けてくる「貿易戦争」「南シナ海の対決」、そして「台湾問題の争点化」という3つの戦いに、習政権は今後、いや応なく応戦していくしかない。 
習近平は、トランプ新大統領と「貿易戦争」「南シナ海の対決」そうして、「台湾問題の争点化」という3つの戦いに応戦しなければならないのです。

そうして、国内では上記に加えて尖閣問題の未解決、AIIBの有名無実化、一帯一路構想の事実上の頓挫などによって、これから経済が短期に回復する見込みもなく、軍事的にもめぼしい成果をあげることもできず、まさに、習近平としては何をどうして良いのかわからないような状況に陥っています。

そうして、ブログ冒頭の記事にもある通り、今秋には、5年に1度の中国共産党大会を控えています。習近平としては、わらにもすがる思いで、権力闘争に利用できるものは何でも利用して自らの立場を有利にしようと躍起になっていることでしょう。

その中には、通常の神経からすると理解に苦しむものがあります。その一つが、アパホテルの客室におかれた書籍をめぐり、支那外務省の報道官が日本国内の言論に対して異例の批判並びに環球時報によるアンケートです。

日本の一民間企業の経営者の書籍に関して、このようなことをするというのは本当に異常としか言いようがありません。

これと同程度もしく、それを上回るような異常事態もありました。それについても、このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
習近平総書記 共産党員に1.5万字の「習語」書き写し指令―【私の論評】司馬遷を妄用しないと統治の正当性を保てない断末魔の習近平(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、習近平政権の最近の異常ぶりを掲載しました。

それは、以下の二点です。

まず第一に、習近平総書記の最側近で、中国共産党内では事実上のナンバー2といえる王岐山・中央紀律検査委員会書記長が、2015年4月23日習近平総書記の母校・清華大学での講演のため訪中したフランシス・フクヤマSAIS(ジョンズホプキンス大学高等国際関係大学院)教授、青木昌彦スタンフォード大学名誉教授らと面会し、習近平政治について、以下のように講釈したというのです。
 「中国において皇帝というのは、『天子』と呼ばれる神なのだ。中国はいまでも神が統治するから、司法は必ず、中国共産党の指導のもとに行動しなければならない。 
 各国の最高法である憲法は、人間の手によって書かれた紙きれにすぎない。だから憲法が定める最高権力者の大統領は、神ではない。また、日本には天皇がいて、英国には女王がいるが、天皇も女王も神ではない。神がいるのは中国だけだ」 
 王書記は、大胆不敵にも「習近平=神」論をブチ上げたのである。
これは、支那古代の歴史家司馬遷の歴史観そのままです。そうして、習近平総書記に対する神格化は、2016年になって本格化しました。2月28日、習近平総書記は党中央弁公庁を通して、「両学一做」(党章・習近平講話を学習し、党員として合格する)運動を、8779万共産党員に向けて発布したのです。

これは、約1.5万字ある党章と、あまたの習近平講話を、全党員が年末までに手書きで書き写すという指令でした。かつて毛沢東が「毛沢東語録」によって国民を洗脳したように、「習語」(習近平語録)で洗脳し始めたのです。

トランプ氏が新大統領となる前の、昨年のオバマ政権の末期の時期に、習近平政権は、これだけのことをしなければならないくらいにタガが緩んでいてどうしようもないような状態になっていたことです。

そうして、今年習近平はトランプ氏の仕掛ける貿易戦争」「南シナ海の対決」、「台湾問題の争点化」という3つの戦いに挑まなければならないのです。

こう考えると、習近平の焦りは手に取るように理解できると思います。だからこそ、通常ならあり得ない日本の一民間企業に過ぎないアパホテルを批判するというような、とんでもない行動に出たのです。そうして、これは何も偶発的に起こったことではなく、すべて習近平が企んだやらせでしょう。

まさに、今習近平は、不可避の隘路に直面しているのです。今年は、習近平が失脚するか、少なくとも失脚への道筋が明らかにになることでしょう。

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