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2014年12月20日土曜日

「断固たる反対」中国外務省、米の台湾へのフリゲート艦売却に猛反発 報復措置も示唆―【私の論評】まともにニュースの背景を説明できない、メディアは、もうすでにその社会的使命を終えたか(゚д゚)!


米国がペリー級フリゲート4隻を台湾に売却。写真は4隻のうちの1隻USS Carr。
中国外務省の秦剛報道官は19日の定例記者会見で、オバマ米大統領が米海軍の退役フリゲート艦の台湾への売却を認める法案に署名したことに対し、「強い不満と断固たる反対」を表明し、米側に厳重抗議したことを明らかにした。

秦報道官は「台湾問題は中国の核心的利益に関わり、中米関係で最も重要かつ敏感な問題だ」と強調。1982年に発表された、米国の対台湾武器売却問題に関する共同コミュニケなどに著しく違反すると反発し、米国に台湾との軍事交流、武器の売却を停止するよう求めた。

さらに、「法案は中国の内政に粗暴に干渉し、中国の主権と安全利益を損なう」と述べ、報復措置を示唆した。

【私の論評】中国がらみでも他でも、まともにニュースの背景を報道できないメディアはもうすでにその社会的使命を終えた!もう退場していただく以外にない(゚д゚)!

上の記事にあるように、オバマ政権はフリゲート艦を台湾に売却することを決めました。中国政府はいつものように「厳重抗議」を行って「状況に応じて新たな反応を示す」とも言っていました。上の記事では「中国政府が報復措置を示唆と報じています。

しかし、そんなことはありません。中国政府の言う「報復措置」とは要するに何もしないことを意味しています。

結局のところ、中国政府は「厳重抗議」を口にする以外に何の対抗措置も報復措置もとることができないのです。国民の目を意識して威勢の良いことを言うは後になって忘れたことにするのです。より強い相手の前では、彼らはいつでも張り子の虎なのです。

これは、過去にも幾度となく繰り返されてきたことであり、彼らの「強い不満と断固たる反対」の表明とは、結局こうしたことを意味するのです。本当に報復措置を実行するときには、黙って実行して、示威の効果を最大限にしようと試みます。

それにしても、日本のメディアではこのようなことを報道しないため、このような中国の発言に対しても、国民の中には、中国に対する脅威を感じる人もいるようです。

マスコミは、中国に関しては、結局このような報道しかしないため、多くの人は、中国の行動の本当の意味がなかなか理解できません。あるいは、他国が実行したことの本当の意味が理解しにくいこともあります。たとえば、それが中国がらみであることをメディアもほとんど報道しないため、その本質がほとんど理解されないこともあります。

この例は、その典型的な例ですが、これ以外にも最近、その顕著な事例がありました。

それは、オバマ大統領が、キューバとの国交正常化を発表したことです。これに関しては、このブログにも掲載しようと思いましたが、最近は少しブログの掲載をお休みしていたということもあり、結局掲載しませんでした。

キューバの国旗をデザインした水着をつけた女性

これに関する報道、テレビや新聞その他サイトなどで、各メディアの報道を見ていましたが、どのメディアも、単にオバマ大統領が、国交正常化交渉を開始することのみを報道しており、その背景など全く報道していなかったので、これが中国がらみであることを知る人はほとんどいないと思います。

いままで、ずっと米国とキューバは国交断絶してきたにも関わらず、なにやら急に降って湧いたきたように思う人もいるかもしれませんが、これにはそれなりの背景があります。

実は、習近平は今年の7月に、中国を訪問して経済再建の後ろ盾として中国を頼むキューバに対して、習氏は「断固支える」と強調していました。

そのニュースのURLを以下に掲載します。
習近平主席のキューバ訪問、「3つの良き」関係を打ち固め、3つの「驚喜」 人民網日本語版 2014年07月24日14:54

訪問先のキューバ・ハバナでフィデル・カストロ前国家
評議会議長と会談した中国の習近平国家主席(左)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より重要なところをいくつかピックアップして以下に掲載させていただきます。
 中国とキューバの関係においては3つの「良き」がしきりに登場する。すなわち「良き友人、良き同志、良き兄弟」だ。中国新聞網が伝えた。 
 中国の習近平国家主席がキューバを公式訪問している。北京のウォッチャーは今回の訪問について、両国が以下に示す「3つの良き」関係を打ち固める助けとなり、戦略、経済・貿易、人的・文化レベルで3つの「驚喜」があったと指摘する。 
(1)キューバは中南米で最も早く中国と国交を樹立した国であり、両国の友情は時間が経つにつれてますます深まっている(2)両国は共に改革と発展の肝要な時期にあり、経験の共有と相互参考の強化を必要としている(3)国際情勢が激変する中、両国は頻繁に協議し、世界平和を共同で維持し、国際関係の新秩序を確立するために努力すべきである。 
今年初め、キューバは外国企業による投資・事業展開を奨励する『新外資法』を可決し、中国企業の対キューバ投資に新たなチャンスをもたらした。習主席の今回の訪問は様々な成果を上げ、両国の経済・貿易協力に新たな活力を注ぎ、新たな『協力ブーム』の到来を促した」と指摘した。 
 人的・文化交流面では、習主席とカストロ議長は数時間の会談や調印式などの日程を終えた後、キューバ国立劇場で両国の芸術家による公演を鑑賞した。両国の最高指導者が文化交流行事にそろって出席したことは、両国関係における第3の「驚喜」となった。
ご存知のように、キューバ危機(キューバを舞台に、1962年10月14日から28日までの14日間に亘って米ソ間の冷戦の緊張が、核戦争寸前まで達した危機的な状況のこと)以降、米国とキューバは国交断絶しています。

冷戦集結前までは、ソ連との関係も強く、ソ連からの経済・軍事援助もあったのですが、ソ連崩壊後のロシアでは、自国のことが精一杯でとてもキューバを経済的にも、軍事的にも支援することもできなくなくなりました。

国交断絶とソ連崩壊のせいで、キューバでは様々な悪影響を被っています。特に、経済への悪影響は大きく、米国との間で輸出入ができないこともありますし、当然のことながら、米国からの経済支援など一切なかったため、かなりキューバ経済に影を落としていました。

キューバを訪れた方なら、すぐに気づかれたと思いますが、アメリカとの国交がないため、車を製造することのできないキューバはアメリカから車を輸入することもできため、何とキューバ危機以前の車が今でも多数使われています。修理に、修理を重ねて今に至るまで大事に使われています。

今でもキューバで大事に使われている50年代の車両
ソ連崩壊以来、キューバにはロシアの支援はほとんどなかったため、キューバは何というか、宙に浮いた形でした。このままでは、衰退し続けてとんでもないことになるのは必定でした。

これに乗じて、習近平は、キューバを訪問して、崩壊したソ連、そうして今やGDPが日本の1/5の小国に成り果て、支援などおぼつかないロシアに肩代わりして中国が経済・軍事支援をし、米国の喉もとのキューバを親中国家に仕立てようとの目論見を企てたのです。

習近平のキューバ訪問では、習は、キューバの経済発展を「断固として支える」と表明しました。キューバを取り入れて米国の「内庭」を荒らす戦略的意図が見え見えです。米国・キューバの関係正常化交渉開始は明らかに、中国の影響力をこの地域から排除する米国の決意に基づくものです。

このような中国の行動を放置しておけば、またキューバ危機の二の舞いになりかねません。オバマ大統領は、外交に消極的で、そのためシリアや、イラク、ウクラナイなどでも、失敗を重ねてきました。これらの地域では、はやめに対処していれば、あまり問題にならなくてすむようなことでも、オバマの優柔不断により、問題をより複雑化させてしまいました。

しかし、これらは、アメリカの権益にかかわることではありますが、それにしても、アメリカ本土から相当離れているため、アメリカの安全保障にはあまり影響はありませんでしたが、キューバと中国が結びつきを強め、中国がここに兵器や、軍隊を送り込んだ場合かなりの脅威となります。

米中関係が、悪くなった場合、米国本土が直接中国の脅威にさらされることになりかねません。これを放置しておけば、場合によっては、第二のキューバ危機に発展するということも考えられます。このような脅威は、アメリカ国民も許容できないと思います。

そんなことは、さすがに及び腰のオバマも許容できなかったのでしょう。それに、オバマが及び腰でも、アメリカ議会もこれを許すことはないでしょう。これを許せば、せっかくソ連が崩壊して、冷戦構造が消え去ったにもかかわらず、今度は中国による新たな冷戦構造が生まれてしまいます。

それにしても、私達日本も、オバマを批判ばかりしてはいられません。何しろ、この問題の根本は日本にもあるからです。世界において冷戦構造は、集結しました。

ミスキューバ

しかし、アジアにおいては、結局何も変わりませんでした。中国や北朝鮮など手付かずのままです。これは、いくら日本が戦後体制の中に組み込まれていたからといっても、過去において日本がこの問題になにもせずに放置してきたからです。

日本もそろそろ、戦後体制から抜け出し、アジアにおける冷戦構造の終焉に向けて動き出す時であると思います。

私は、そう思います。しかし、そのためにも、最初はまずは日本がデフレから脱却し、十分に経済的も余力を持ち、そこから本格的にこれに挑むべきと思います。安倍総理はまさにそのような政策をとっています。とはいいながら、地球儀外交を実行するなど、将来のために着々と準備を重ねています。このようなこと、メディアはほとんど報じません。

とにかく、現状のメディア、国際報道にかぎらず、最近では選挙報道でも、その他の国内や、経済報道や小保方問題なども含めて、かなり劣化しています。まるで、何かの機能障害にみまわれているようでもあります。

本来メディアこそ、単にニュースを流すのみでなく、上で私が行ったように、その背景も含めて報道をしていくべきと思います。

それができないというのなら、もう、日本のメディアはその社会的使命を終えたということで、退場していただき、本当に役に立つ新たなメディアを構築していく以外にありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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