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2017年6月20日火曜日

小池百合子都知事、「豊洲に市場移転」「築地を再開発」の基本方針表明―【私の論評】築地は売却すべき、都が資産をもって事業をしても大失敗するだけ(゚д゚)!

小池百合子都知事、「豊洲に市場移転」「築地を再開発」の基本方針表明

築地市場の豊洲移転問題で会見する小池百合子都知事=20日午後、都庁
 築地市場(東京都中央区)の豊洲市場(江東区)への移転問題で、小池百合子知事は20日午後、臨時の記者会見を開き、中央卸売市場を豊洲に移転する基本方針を表明した。一方、築地市場については「築地ブランドを守っていく」として、5年後をめどに市場機能を残した「食のテーマパーク」とする再開発を行い、築地に戻ることを希望する仲卸などの業者を支援するとした。

 豊洲市場については「新たな中央卸売市場だ」と明言した上で、冷凍冷蔵・物流・加工などの機能強化を図っていくとした。東京ガスの工場跡地に整備された同市場の開場条件となっていた汚染の「無害化」は達成されていないが、追加対策を実施していくとした。

 小池氏は会見で「築地と豊洲を両立させることが最も賢い(お金の)使い道だ」と述べた。一方で、そのための工程、予算、財源などについては今後、検討していくとした。

 小池氏が昨年8月に築地市場の移転延期を表明して以来、都政の懸案となった市場問題で、豊洲、築地の双方を活用する小池氏の基本方針が示された。23日告示の都議選をめぐり、小池氏と対立する自民党が公約として豊洲への早期移転実現を掲げ、小池氏と連携する公明党は選挙前の決断を求めており、選挙情勢にも影響を与えそうだ。

 東京ガスの工場跡地に整備された豊洲市場をめぐっては、環境基準超えの有害物質が検出された地下水への対応が焦点だった。都の追加対策は、(1)地下水をくみ上げ、浄化する地下水管理システムの機能強化で中長期的に水質改善を図る(2)気化した有害物質が建物の地下空洞に侵入して1階部分に入ることを防ぐため換気設備などを設置する-などとしている。

 小池氏は豊洲の汚染対策に加えて市場会計の持続可能性も重視し、築地のブランド力と好立地に注目。都は小池氏の指示で、築地の跡地を売却せずに民間に長期間貸し出し、日本の食文化の発信拠点などとして活用する案を検討してきた。

【私の論評】築地は売却すべき、都が資産をもって事業をしても大失敗するだけ(゚д゚)!

小池知事は、サンクコストという言葉の定義に関して、間違って理解していて、その間違いにもどいたサンクコストの忌避方法が、今回の小池氏「豊洲に市場移転」「築地を再開発」という基本方針であると考えられます。

1月14日に開かれた専門家会議では、都が実施した豊洲市場の地下水モニタリング調査の結果、最大で環境基準の79倍のベンゼンが検出され、シアンが数十カ所で検出さました。



しかしそもそも、この「環境基準」は飲料水の基準であり、地下水を飲まない豊洲市場では何の問題もありません。もともと去年11月に築地から移転する予定だったのを小池百合子知事が「都民の不安」を理由に延期したのですが、出てきたのは風評被害だけでした。

そもそも「基準値」には、飲用水の基準とは別に工場が下水に流す際の「排水基準」があり、排水基準の場合、飲用水基準より10~100倍の濃度まで許容されています。
9月末に豊洲の地下水モニタリングでベンゼンとヒ素が『基準値超え』と報じられましたが、これはハードルが高い飲用水基準を超えたということです。排水基準から見れば全く問題がない値でした。
建物下でもない場所の地下水で、市場の仲卸業者ですら触れもしない水なのに“生涯にわたって飲み続けて大丈夫か”というレベルの基準でチェックがなされていることをどれだけの人がわかっているのか甚だ疑問です。

これを受けて、小池知事は「豊洲には既に6000億円つぎ込んでいるがどうするのか」という毎日新聞の質問に「豊洲という場所に決めたことには私自身、もともと疑義がある。サンクコストにならないためにどうすべきか客観的、現実的に考えていくべきだ」と答えていました。

これが「豊洲への移転をやめると6000億円の投資が無駄になる」という意味だとすると、小池知事はサンクコスト(埋没費用)の意味を取り違えています。サンクコストとは投資が終わって回収できない費用のことであり、6000億円はすでにサンクコストです。だから、「サンクコストにならないためにどうすべきか」という問いはありえないのです。
確かにサンクコストが問題になる場合もあります。「これだけ費用をかけたから、もう少し出費することによってこれまで払った費用が丸々損しないで済む」、と考えて赤字の事業が続けられることもあります。しかしこの経営判断は、「損している上に、もっと大損しよう」と判断しているのと同義です。過去に使ってしまって回収できないお金は既にサンクコストです。

人が行動した結果、その際に生じたコストが、後の意思決定に影響することをサンク・コスト効果と言います。図で示すと以下のようになります。


サンクコストに打ち勝つためには「勇気を伴うあきらめ」が必要なのも事実です。しかし、豊洲の移転問題はまた別です。豊洲に移転して、赤字続きでどうしようもないとか、それが今から確実に予想されるいうのなら、わかりますが、そうではありません。

それに、豊洲問題に関しては、確証バイアスの影響もあったものと思います。確証バイアス(かくしょうバイアス、英: Confirmation bias)とは、認知心理学や社会心理学における用語で、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のことです。

豊洲でも、環境問題に執着するあまり、本来飲みもしない地下水を検査し、環境基準に適合しないなどとされましたが、豊洲の地下水元々使用しないものです。豊洲近辺は、不動産でもかなり人気があり、高層のタワーマンションなどもすぐに完売するほどの盛況です。

無論、この高層タワーマンションに住む人も、地下水を飲むこともないし、直接豊洲の土に触れる機会もないことから、そのようなことは何も心配していないのでしょう。

豊洲の建築途上のタワーマンション
先に示したように豊洲の6000億円はすでにサンクコストです。これは、豊洲に移転しようがしまいが、築地をどうするなどということは全く関係なしに、サンクコストです。これは、もう回収できません。

このサンクコストに加えて、築地の開発をするとなるとここでもサンクコストが発生します。

このサンクコストとは別に、支出と収入の面から豊洲問題で過去にいわれてきた方式と、今回の小池知事の方式を加えたものを比較してみます。

1.豊洲市場に移転
豊洲市場の維持費(支出) 
豊洲市場で検出された有害物質への対策費(支出)
2.移転中止・築地市場の継続
豊洲市場の維持費(支出) 
築地市場の維持費+衛生管理費(支出) 
豊洲市場の売却益(収入)
3.移転中止・第三の新市場を建設
豊洲市場の維持費(支出) 
新市場の建設費+維持費(支出) 
豊洲市場の売却益(収入)
 4.豊洲に移転・築地市場の継続・開発 
豊洲市場の維持費(支出) 
豊洲市場で検出された有害物質への対策費(支出) 
築地新市場の建設費+維持費(支出)
細かな点は別にして、結局豊洲移転・築地市場継続断念に踏み切る方がコストパフォーマンスは良い計算が成り立ちそうです。やはり、築地は売却して、地元自治体か民間業者に再開発を任せたほうが良いでしょう。過去の経緯からいっても、東京都が資産をもって事業をやろうとするとろくなことがありません。またまた、膨大なサンクコストが発生することになります。小池知事はそれを繰り返そうというのです。

感情論を先行させ、メディアを煽り、都議会で議席数を伸ばすという “政局” を目的に利用する上では豊洲問題は格好のネタです。しかし、それで利益を得られるのは知事派の界隈だけに限定されるということを覚えておく必要があります。

小池知事の豊洲と築地のダブル運営は、「築地ブランド」という魔法の言語で素人を騙しているだけです。築地ブランドはそもそも、築地という土地についたものではありません。仲卸が80年間の努力で積み重ねられた信用のことです。決して土地ではなく彼らが作り上げた誇りです。豊洲に行っても引き継いで更なる信頼の増幅を努力することによって、そのブランドは維持されるのです。ブランドは、あくまで人の努力によって形成されるものなのです。

市場のブランドは土地ではなく、市場で働く人々によって創造される

要するに小池知事は、とてつもない将来債務を発生させる装置をふたつ抱えます、と断言しているということに過ぎません。

それも自分の都議選勝利のために選挙直前まで引き延ばして、それに伴う都民の金銭的負担も別物で発生させつつ、結局この有様です。

無駄遣いなくすと言ってた小池知事が究極の無駄遣いをすると断言しているに過ぎません。小池さん、ずいぶん前からおかしくなっていたようですが完全にぶっ飛んでしまったようです。

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2015年11月6日金曜日

【異形の中国】死に物狂いで金集めに走る中国 日本株も静かに売却していた…―【私の論評】今の中国が最も恐れるのは南シナ海ではない! 日銀の追加金融緩和と、アメリカの金融制裁だ(゚д゚)!

【異形の中国】死に物狂いで金集めに走る中国 日本株も静かに売却していた… 

天津大爆発は、中国経済に打撃を与えた=8月

中国経済は「アリ地獄」に落ちた。「負の連鎖」が最悪の方向へ暴走し始めたことが、種々の経済データや現状分析から明瞭に観察できる。

今年6月以来の「上海株暴落」と、8月の「人民元切り下げ」。続いた「天津大爆発」により、世界第4位の港湾施設が麻痺(まひ)し、輸出入が激減したばかりか、北京への貨物輸送が途絶えた。

この前後の、経済動態を緻密に検証してみる。リーマンショック直後からの財政出動、強気のインフラ投資、新幹線建設はまだしも、各地にゴーストタウン(鬼城)が出現したあたりから、中国経済は崩落への道に突き進み、「負の連鎖」が始まっていたことが分かる。

中国の経済政策は制度上、国務院(=日本の内閣に相当)が所管する。このため、李克強首相が経済政策の中枢を担い、彼の推進する中国の経済を「リコノミクス」と呼ぶ。
李氏自らが認めたように、中国のGDP(国内総生産)統計は水増しが多く、信頼するに値しない。「電力消費量」と「銀行融資残高」「鉄道貨物輸送量」の3つのデータを重視するとした。

となると、計算上、電力消費量が40%、銀行融資残高が35%、鉄道貨物輸送量が35%として振り分けられる「李克強指標」で見ると、7%成長をうたう中国のGDPは、本当のところ2%前後しかない。 

電力消費量は横ばい、貨物輸送量は10%のマイナスだからだ。「実質はマイナス成長」に陥っていると推定できる。

中国の抱える債務はGDPの282%である。2015年末に400兆円、16年末に600兆円の償還時期がくるが、返済は無理。つまり借り換え、分かりやすくいえば、ギリシャのように「証文の書き換え」が目の前に来ているということだ。

5兆円にものぼった中国国富ファンドの日本株保有も、いつのまにか手元資金不足に陥って、静かに売却していた。

なぜなら、日本企業の株主リストは公開されており、豪のオムニバス・ファンド(=中国国富ファンドの別動隊)の名前が見つからなくなった。中国は日本株をほぼすべて売却していたのである。

あまつさえ中国は保有する米国債を取り崩し、備蓄した金も少しずつ売却している。次に地方政府の債券発行を認め、さらには住宅ローンの貸し出し分を担保の銀行融資枠を拡大し、10月には銀行金利の上限も撤廃した。 

加えて、人民元建ての中国国債をロンドンでも売り出して、死に物狂いの金集めを展開している。

これは末期的症状ではないのか。

■宮崎正弘(みやざき・まさひろ) 

【私の論評】今の中国が最も恐れるのは南シナ海ではない! 日銀の追加金融緩和と、アメリカの金融制裁だ(゚д゚)!

上の記事では、「中国国富ファンドの日本株保有も、いつのまにか手元資金不足に陥って、静かに売却していた」とありますが、その兆候はすでに、2013年当時から見られていました。それに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
市場から消えた中国マネー4兆円の怪 ~緊迫する尖閣との関連性~―【私の論評】消えた中国マネー4兆円は、中国国内の熱銭不足の解消に遣われただけ!日本が金融緩和という最強「対中カード」を握ったことをマスコミが報道しないのはなぜ(゚д゚)!
 
2012年まで中国政府系ファンドが所有していた日本株式

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国系政府ファンド『OD05オムニバス』が2013年当時、日本株を売却していた事実を示す記事を掲載します。
 消えた中国マネーが憶測を呼んでいる。中国政府系ファンド『OD05オムニバス』が9月中間決算を機に、日本の主要企業の大株主から次々と姿を消したのだ。その数、判明しているだけで実に127社。今年3月期には167社(3月決算以外の24社を含む)の大株主ベスト10に登場していたのだから、まさに“激減”の言葉がピッタリである。

 繰り返せば、その中国マネーが日本市場から一気に“蒸発”したのだ。大株主から消えた企業を列挙してみると、自動車ではトヨタ、日産、ホンダ、ダイハツ、スズキ、いすゞなど、ほぼ軒並み。電機ではパナソニック、東芝、ファナック、NEC、富士通などから消えた。ゼネコンでは鹿島、大成建設、大林組、清水建設。商社では三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅。さらにJR東日本、JR西日本、JR東海、NTT、NTTドコモ、新日鉄住金、野村HD、大和証券グループ本社などからこつ然と姿を消した。 
 ベスト10に残っている企業でも日立、ソニー、武田薬品、ソフトバンク、三菱重工などが3月期比で半減している。一方、銘柄としては少数ながらも石油資源開発、富士重工、マツモトキヨシなどは保有株数が増えている。他にベスト10以下にとどまり、第三者にはうかがい知れないケースがあるにせよ、ざっと時価4兆円からの大枚が短期間に市場から消えた計算になるのだから“事件”といえるだろう。
さて、当時中国経済の実体を知らなかったと考えられる人の書いたこの元記事では、このー連の日本株売却を「有事に備えた叩き売り」などとし、「どうやら中国が強力な対日カードを握ったことだけは確かなようだ」と結んでいますが、これはとんでもない見立て違いでした。

なぜ中国がこの時点で、日本企業の株式を売却したかといえば、ブログ冒頭で宮崎氏が説明しているのと同じであり、平たくいうと当時の中国では金融が空洞化しつつあり、万が一に備えて売却せざるを得なかったというのが事実です。

なぜ、そのようなことになったかというと、2013年の4月より、日銀はそれまでの頑な、円高・デフレ政策である、金融引き締め政策一点張りの金融政策をやめ、大規模な金融緩和政策に踏み切っているからです。

そのあたりの事情をさらに、以下に引用します。
日本が包括的な異次元の緩和を行う前の中国を支えていたのは為替操作によるキャッチアップ型の経済成長であり、円高とデフレを放置する日本銀行によるものです。からくりはこうです。 
慢性的な円高に苦しむ日本企業は、過度な「元安」政策をとる中国に生産拠点を移し、出来上がった製品の一部を逆輸入しています。国内で一貫生産するより、わざわざ中国を経由した方がもうかる構造になっていたのです。つまり日銀は、「デフレ政策で日本の産業空洞化を促進し、雇用と技術を中国に貢ぎ続けた」ことになります。 
これ以上、日本経済が中国に振り回されないで済むにはどうしたら良かったのか。答えは簡単でした。日銀にデフレ政策をすぐやめさせることでした。そうして、実際に日銀の金融政策は、黒田日銀になってから180度転換しています。
さて、中国では、日本の金融引締めによる、超円高・元安という恵まれた経済・金融環境の中で、中国人が海外に蓄えた大量の資金を中国国内に再投資(熱銭)して、さら儲けるということが行なわれていました。まさに、大儲けです。
熱銭については、このブログでも以前紹介したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。これは、 2013年4月の記事です。中国人民銀行総裁周小川の懸念がまさに現実化しました。

"
これも詳細は、この記事をご覧いただくものとして、熱銭に関連した部分のみ以下にコピペさせていただきます。

 
 中国が円安の衝撃を和らげるためには人民元を切り下げるしかない。中国は通貨の自由変動相場制をとっている日米欧と違って、外為市場介入によって人民元相場の変動幅を小さくする管理変動相場制をとっている。 
 従って、人民元を当局の意のままに切り下げることもできるが、米国は中国が意図的に人民元をドルに対して安い水準になるよう操作していると批判している。切り下げると、米国から「為替操作国」だと認定され、制裁関税を適用されかねない。 
 中国自身も国内事情の制約を受けている。というのは、中国の党幹部とその一族や大手国有企業はこれまで国外でため込んだ巨額の外貨を、中国国内に投資して不動産や株で運用してきた。これらが「熱銭」と呼ばれる投機資金であり、その流入によって不動産バブルの崩落は食い止められ、株価も崩壊を免れている。 
 通貨当局はこれまで熱銭を国内にとどめるためもあって、人民元レートを小刻みに切り上げてきたが、一転して人民元切り下げ政策に転換すれば、1000億ドル単位の熱銭が国外に逃げ出す恐れがある。アベノミクスによる円安に対し、中国はどうにも動けない。
このアベノミクスによる円安により、中国投資の魅力が失せて、実際に中国内の熱銭が底をつきはじめたというわけです。特に、 2013年7月頃ではかなり熱銭が減ったとみられます。
"

さて、中国はご存知の通り、実際に人民元切り下げを行いましたが、それでも経済は低迷し、株価は低迷し、中国から海外に天文学的な数字の金が流れ続けています。

そのため、外貨準備も底をつき、マイナスに転じていることはこのブログにも掲載しました。

この日本の金融緩和による中国の経済の弱体化は、まるで日本による中国に対する金融制裁のようではありませんか?実際、2012年にまだ白川体制だった、日銀が周りからせっつかれて、いやいやながら、若干の追加金融緩和を決めたときですら、吠えまくりました。

それについても、このブログで掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。この記事は、2012年9月のものです。
中国人民銀、日銀の追加緩和にいら立ち 過度の資本流入懸念−【私の論評】中国の経済破綻が始まる?!日銀を何とかしなければ、日本は草刈場になる!!
中国人民銀行
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、それにしても、この時の周小川の苛立ちの発言は、おかしなものでした。彼の発言は、「日本が金融緩和に転ずると、過度の資本流入の懸念がある」という、奇妙奇天烈、摩訶不思議な発言でした。

日本が金融緩和に転ずれば、当然のことながら、円安傾向になるわけですから、相対的に元高傾向になるわけです。とすれば、日本が円高で苦しんてきたようなことが、中国国内でも起こるわけです。要するに、中国の投資先としての魅力が失せるわけでてすから、当然のことながら、心配すべきは、過度の資本流入ではなく、過度の資本流出を懸念すべきです。

周小川としては、日本の金融緩和によって、本当は資本流出を恐れたのでしょうが、弱みを見せたくないということで、あのような珍妙な発言になったのでしょう。

とはいいながら、白川体制のときの追加金融緩和など微々たるもので、現実には周小川の懸念は、懸念で終わってしまいました。

しかし、日銀が黒田体制に変わり、異次元の金融緩和を実施しはじめたとたん、周小川の懸念は、現実のものとなりました。資本流出が本格的に始まったのです。

無論このときも、周小川はわめきまくりましたが、日本からいえば、円高・デフレを是正するために、金融緩和をしたのであり、これは単なる内政干渉に過ぎません。

だからこそ、2013年には、中国系ファンドが日本株の売却をはじめたということです。そうして、その状況は、今もかわらず、ブロク冒頭の宮崎氏の記事にもあるように、5兆円にものぼった中国国富ファンドの日本株保有も売却するような事態が続いているのだと思います。この流れは、まだ続きます。

瀬戸際に追い詰められた習近平



さて、このような中国が最も恐れるのは何でしょぅか。それは、もうお分かりでしょう。日銀による追加金融緩和です。これが、実施されると、ますます中国から金が逃げて、ほんとうにすっからかんになってしまいます。

それに、中国にはもっと恐ろしいことがあります。現在米国が、南シナ海にイージス艦を派遣していますが、このアメリカの示威行動に、中国が何らかの形で譲歩せずにつっぱり続けるとどうなるでしょうか。

それは、すでに米国が北朝鮮に対して行っている、制裁措置でもある、金融制裁です。実際米国は、今年一月に北朝鮮のサイバー攻撃に対する追加措置として、金融制裁を実行しています。

日本が、追加金融緩和を実施し、アメリカが大規模な対中国金融制裁を行ったとしたら、どうなるでしょうか。当然のことながら、日米もある程度火傷をするでしょうが、中国は、そんなことではすみません。中国経済は本格的に破綻します。

昨日もこのブログに掲載したように、次世代の党の和田幹事長が提唱する、金融緩和で名目成長5%を目指すなどの政策が実行されたら、中国は中国共産党幹部らは、恐慌状態に陥ることになります。

いつも強面を演出する傍若無人な中国ですが、 日米が本格的に金融制裁を発動したら、ひとたまりもありません。経済の崩壊だけではすまないです。習近平体制は完璧に崩れます。それだけで、すめば良いですが、それこそ現在の中国共産党一党独裁体制自体が崩壊する恐れも十分あります。中国が南シナ海で米国を納得させる、譲歩をしなければ最終的にはこうなります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【関連図書】

今の中国は、満身創痍の状態です。それを熟知していただくための書籍三冊を以下に掲載しました。



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2014年12月20日土曜日

「断固たる反対」中国外務省、米の台湾へのフリゲート艦売却に猛反発 報復措置も示唆―【私の論評】まともにニュースの背景を説明できない、メディアは、もうすでにその社会的使命を終えたか(゚д゚)!


米国がペリー級フリゲート4隻を台湾に売却。写真は4隻のうちの1隻USS Carr。
中国外務省の秦剛報道官は19日の定例記者会見で、オバマ米大統領が米海軍の退役フリゲート艦の台湾への売却を認める法案に署名したことに対し、「強い不満と断固たる反対」を表明し、米側に厳重抗議したことを明らかにした。

秦報道官は「台湾問題は中国の核心的利益に関わり、中米関係で最も重要かつ敏感な問題だ」と強調。1982年に発表された、米国の対台湾武器売却問題に関する共同コミュニケなどに著しく違反すると反発し、米国に台湾との軍事交流、武器の売却を停止するよう求めた。

さらに、「法案は中国の内政に粗暴に干渉し、中国の主権と安全利益を損なう」と述べ、報復措置を示唆した。

【私の論評】中国がらみでも他でも、まともにニュースの背景を報道できないメディアはもうすでにその社会的使命を終えた!もう退場していただく以外にない(゚д゚)!

上の記事にあるように、オバマ政権はフリゲート艦を台湾に売却することを決めました。中国政府はいつものように「厳重抗議」を行って「状況に応じて新たな反応を示す」とも言っていました。上の記事では「中国政府が報復措置を示唆と報じています。

しかし、そんなことはありません。中国政府の言う「報復措置」とは要するに何もしないことを意味しています。

結局のところ、中国政府は「厳重抗議」を口にする以外に何の対抗措置も報復措置もとることができないのです。国民の目を意識して威勢の良いことを言うは後になって忘れたことにするのです。より強い相手の前では、彼らはいつでも張り子の虎なのです。

これは、過去にも幾度となく繰り返されてきたことであり、彼らの「強い不満と断固たる反対」の表明とは、結局こうしたことを意味するのです。本当に報復措置を実行するときには、黙って実行して、示威の効果を最大限にしようと試みます。

それにしても、日本のメディアではこのようなことを報道しないため、このような中国の発言に対しても、国民の中には、中国に対する脅威を感じる人もいるようです。

マスコミは、中国に関しては、結局このような報道しかしないため、多くの人は、中国の行動の本当の意味がなかなか理解できません。あるいは、他国が実行したことの本当の意味が理解しにくいこともあります。たとえば、それが中国がらみであることをメディアもほとんど報道しないため、その本質がほとんど理解されないこともあります。

この例は、その典型的な例ですが、これ以外にも最近、その顕著な事例がありました。

それは、オバマ大統領が、キューバとの国交正常化を発表したことです。これに関しては、このブログにも掲載しようと思いましたが、最近は少しブログの掲載をお休みしていたということもあり、結局掲載しませんでした。

キューバの国旗をデザインした水着をつけた女性

これに関する報道、テレビや新聞その他サイトなどで、各メディアの報道を見ていましたが、どのメディアも、単にオバマ大統領が、国交正常化交渉を開始することのみを報道しており、その背景など全く報道していなかったので、これが中国がらみであることを知る人はほとんどいないと思います。

いままで、ずっと米国とキューバは国交断絶してきたにも関わらず、なにやら急に降って湧いたきたように思う人もいるかもしれませんが、これにはそれなりの背景があります。

実は、習近平は今年の7月に、中国を訪問して経済再建の後ろ盾として中国を頼むキューバに対して、習氏は「断固支える」と強調していました。

そのニュースのURLを以下に掲載します。
習近平主席のキューバ訪問、「3つの良き」関係を打ち固め、3つの「驚喜」 人民網日本語版 2014年07月24日14:54

訪問先のキューバ・ハバナでフィデル・カストロ前国家
評議会議長と会談した中国の習近平国家主席(左)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より重要なところをいくつかピックアップして以下に掲載させていただきます。
 中国とキューバの関係においては3つの「良き」がしきりに登場する。すなわち「良き友人、良き同志、良き兄弟」だ。中国新聞網が伝えた。 
 中国の習近平国家主席がキューバを公式訪問している。北京のウォッチャーは今回の訪問について、両国が以下に示す「3つの良き」関係を打ち固める助けとなり、戦略、経済・貿易、人的・文化レベルで3つの「驚喜」があったと指摘する。 
(1)キューバは中南米で最も早く中国と国交を樹立した国であり、両国の友情は時間が経つにつれてますます深まっている(2)両国は共に改革と発展の肝要な時期にあり、経験の共有と相互参考の強化を必要としている(3)国際情勢が激変する中、両国は頻繁に協議し、世界平和を共同で維持し、国際関係の新秩序を確立するために努力すべきである。 
今年初め、キューバは外国企業による投資・事業展開を奨励する『新外資法』を可決し、中国企業の対キューバ投資に新たなチャンスをもたらした。習主席の今回の訪問は様々な成果を上げ、両国の経済・貿易協力に新たな活力を注ぎ、新たな『協力ブーム』の到来を促した」と指摘した。 
 人的・文化交流面では、習主席とカストロ議長は数時間の会談や調印式などの日程を終えた後、キューバ国立劇場で両国の芸術家による公演を鑑賞した。両国の最高指導者が文化交流行事にそろって出席したことは、両国関係における第3の「驚喜」となった。
ご存知のように、キューバ危機(キューバを舞台に、1962年10月14日から28日までの14日間に亘って米ソ間の冷戦の緊張が、核戦争寸前まで達した危機的な状況のこと)以降、米国とキューバは国交断絶しています。

冷戦集結前までは、ソ連との関係も強く、ソ連からの経済・軍事援助もあったのですが、ソ連崩壊後のロシアでは、自国のことが精一杯でとてもキューバを経済的にも、軍事的にも支援することもできなくなくなりました。

国交断絶とソ連崩壊のせいで、キューバでは様々な悪影響を被っています。特に、経済への悪影響は大きく、米国との間で輸出入ができないこともありますし、当然のことながら、米国からの経済支援など一切なかったため、かなりキューバ経済に影を落としていました。

キューバを訪れた方なら、すぐに気づかれたと思いますが、アメリカとの国交がないため、車を製造することのできないキューバはアメリカから車を輸入することもできため、何とキューバ危機以前の車が今でも多数使われています。修理に、修理を重ねて今に至るまで大事に使われています。

今でもキューバで大事に使われている50年代の車両
ソ連崩壊以来、キューバにはロシアの支援はほとんどなかったため、キューバは何というか、宙に浮いた形でした。このままでは、衰退し続けてとんでもないことになるのは必定でした。

これに乗じて、習近平は、キューバを訪問して、崩壊したソ連、そうして今やGDPが日本の1/5の小国に成り果て、支援などおぼつかないロシアに肩代わりして中国が経済・軍事支援をし、米国の喉もとのキューバを親中国家に仕立てようとの目論見を企てたのです。

習近平のキューバ訪問では、習は、キューバの経済発展を「断固として支える」と表明しました。キューバを取り入れて米国の「内庭」を荒らす戦略的意図が見え見えです。米国・キューバの関係正常化交渉開始は明らかに、中国の影響力をこの地域から排除する米国の決意に基づくものです。

このような中国の行動を放置しておけば、またキューバ危機の二の舞いになりかねません。オバマ大統領は、外交に消極的で、そのためシリアや、イラク、ウクラナイなどでも、失敗を重ねてきました。これらの地域では、はやめに対処していれば、あまり問題にならなくてすむようなことでも、オバマの優柔不断により、問題をより複雑化させてしまいました。

しかし、これらは、アメリカの権益にかかわることではありますが、それにしても、アメリカ本土から相当離れているため、アメリカの安全保障にはあまり影響はありませんでしたが、キューバと中国が結びつきを強め、中国がここに兵器や、軍隊を送り込んだ場合かなりの脅威となります。

米中関係が、悪くなった場合、米国本土が直接中国の脅威にさらされることになりかねません。これを放置しておけば、場合によっては、第二のキューバ危機に発展するということも考えられます。このような脅威は、アメリカ国民も許容できないと思います。

そんなことは、さすがに及び腰のオバマも許容できなかったのでしょう。それに、オバマが及び腰でも、アメリカ議会もこれを許すことはないでしょう。これを許せば、せっかくソ連が崩壊して、冷戦構造が消え去ったにもかかわらず、今度は中国による新たな冷戦構造が生まれてしまいます。

それにしても、私達日本も、オバマを批判ばかりしてはいられません。何しろ、この問題の根本は日本にもあるからです。世界において冷戦構造は、集結しました。

ミスキューバ

しかし、アジアにおいては、結局何も変わりませんでした。中国や北朝鮮など手付かずのままです。これは、いくら日本が戦後体制の中に組み込まれていたからといっても、過去において日本がこの問題になにもせずに放置してきたからです。

日本もそろそろ、戦後体制から抜け出し、アジアにおける冷戦構造の終焉に向けて動き出す時であると思います。

私は、そう思います。しかし、そのためにも、最初はまずは日本がデフレから脱却し、十分に経済的も余力を持ち、そこから本格的にこれに挑むべきと思います。安倍総理はまさにそのような政策をとっています。とはいいながら、地球儀外交を実行するなど、将来のために着々と準備を重ねています。このようなこと、メディアはほとんど報じません。

とにかく、現状のメディア、国際報道にかぎらず、最近では選挙報道でも、その他の国内や、経済報道や小保方問題なども含めて、かなり劣化しています。まるで、何かの機能障害にみまわれているようでもあります。

本来メディアこそ、単にニュースを流すのみでなく、上で私が行ったように、その背景も含めて報道をしていくべきと思います。

それができないというのなら、もう、日本のメディアはその社会的使命を終えたということで、退場していただき、本当に役に立つ新たなメディアを構築していく以外にありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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