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2018年3月26日月曜日

【森友文書】近畿財務局は「安倍昭恵」名を知る前から森友に国有地売却方針 決裁文書改竄―【私の論評】ポスト安倍政権で、日本は再び無間地獄に落ちる(゚д゚)!




 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改竄(かいざん)問題で、森友学園の籠池泰典前理事長が近畿財務局職員に対し、安倍昭恵首相夫人について言及する7カ月前から、近畿財務局が、売却を前提に森友側に土地を貸し付ける方針を固めていたことが25日、決裁文書の記載から分かった。野党は取引や文書改竄の背景に昭恵氏への「忖度(そんたく)」があったとして、27日の証人喚問で佐川宣寿前国税庁長官を追及する構えだが、その根拠は希薄だと言わざるを得ない。(沢田大典)

 「時系列を見ると、すべて決まった後に昭恵さんが動いた形になっている。それを見ないで『昭恵さんが…』と言うのは政治が取るべき姿ではない」

 自民党の竹下亘総務会長は25日、都内で記者団にこう語った。

竹下亘総務会長 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 近畿財務局の決裁文書などによると、籠池氏は平成25年6月、小学校新設のため、国土交通省大阪航空局が所有する大阪府豊中市の国有地購入を検討していることを近畿財務局に伝えた。籠池氏は、購入を前提にした貸し付けを希望したが、小学校の認可権を持つ大阪府は、借地での認可に難色を示していた。

 近畿財務局は、森友学園に土地を10年間貸し付けるため、27年2月4日と27年4月30日に「特例承認の決裁文書」を作成し、財務省理財局に提出。この中に経緯が詳述されている。

 文書には「本件は、平成25年8月、鴻池祥肇議員(参・自・兵庫)から近畿局への陳情案件」と記載。近畿財務局側が25年9月12日に「大阪府私学・大学課に訪問し、今後の連携について要請」、25年10月30日に「認可の状況について照会」と記されていた。

鴻池祥肇議員

 一方、鴻池事務所の「陳情整理報告書」とされる別のメモには、25年9月9日付で鴻池事務所が籠池氏に「小学校用地の件、先週、財務局より、7~8年賃借後の購入でもOKの方向。本省および大阪府と話し合ってくれる」と伝えたと記載していた。

 このような経緯を追うと、近畿財務局は、籠池氏や鴻池氏側の意向を受け、土地貸し付けに積極的に協力していたとみられる。


 昭恵氏に関する記述は、半年後の26年4月28日に近畿財務局側が籠池氏と面談した際の記録として登場する。「安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」という籠池氏の発言を紹介した上で、籠池氏が籠池夫妻と昭恵氏の写真を提示したことが記されていた。

 近畿財務局は26年4月15日、小学校設置認可前の土地貸し付けを求める森友学園側に対し、「答申前の契約はできない」としていたが、同年6月2日には「売り払いを前提とした貸し付けについては協力させていただく」と返答していた。

 昭恵氏の名が登場するのは、この交渉の最中だったが、近畿財務局は6月以降も大阪府に審査基準を照会するなど働きかけを続けており、昭恵氏の存在を知って方針を急変させた様子はうかがえない。

 近畿財務局は27年5月に森友学園と貸し付け契約を結んだ。昭恵氏が小学校の名誉校長に就任したのは同年9月、昭恵氏付政府職員が財務省に問い合わせを行ったのは10~11月だが、2つの「特例承認」以降の決裁文書に、昭恵氏に関する記載はなかった。

【私の論評】ポスト安倍政権で、日本は再び無間地獄に落ちる(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事の核心部分のみをまとめると、"近畿財務局は 「安倍昭恵」名を知る前から森友に売却方針 籠池泰典前理事長が 首相夫人の名前を持ち出す7カ月前から ”売却を前提に”森友側に土地を貸し付ける方針を 固めていたことが25日、決裁文書の記載から分かった"ということです。

これでは、安倍昭恵夫人が、売買にかかわっていたということを主張するにはかなりの無理があります。

それにしても、こんなことは、先に公開されていた決裁文書書き換え前と、書き換え後の文書を比較対象しても、理解できることです。

なぜなら、昭恵夫人が文書にでてくるところは、すべて篭池氏の伝聞であり、昭恵夫人が近畿財務局に対して何かを直接働きかけた内容などは掲載されていませんでした。そうして、篭池氏の伝聞をそのまま真に受けるわけいにはいきません。

何しろ篭池氏は、詐欺師であり、今までにもわかっているだけで、とてつもない内容と、回数の嘘をついています。以下のその内容をまとめた一覧を掲載します。


これだけ、嘘をついている人のことは全く信用できません。特に、昭和天皇が森友学園に来たなどという森友学園のサイトでの嘘はとてつもないことで、この時点で私はこの方の発言を全く信用していません。

このような嘘つきの伝聞は、ほとんど信じられません。昭恵夫人の発言は、篭池氏の伝聞でしか決裁文書に出てこないですし、しかも出ていたにしても、直接近畿財務局への働きかけなどを示すものは何もありません。

このようなことで、昭恵夫人が疑われたり、それによって安倍政権が頓挫してしまったりして良いはずがありません。

2012年末に誕生した安倍政権によって日銀の政策が金融緩和に変わってからの5年間では、2%のインフレ目標はまだ達成されていないですが、インフレ率はプラスが定着し、GDP成長率も高まり、株価や労働市場などは1990年代初頭のバブル期以来の状況まで回復しています。

安倍政権誕生から5年が経過し、金融政策の実行の責任を負う日銀執行部は黒田総裁の続投となり、目標実現に向けた取り組みには変わりありません。一方、財政政策の司令塔である安倍政権については、この3月に森友学園問題が再燃して、政局は再び混沌としています。

はたして、安倍政権の経済政策には変更が迫られるのでしょうか。私は、そんなことはないと思います。なぜなら、特定の政治勢力に直結するメディア報道を見極めるリテラシーを備えた国民が増えていることがあるからです。今後の安倍政権の経済政策の持続性について、過度に悲観する必要はないと思います。

ただし、ポスト安倍は、今のままだと確実に安倍政権が実施してきたものとは異なるものになることでしょう。

なぜなら、現在のポスト安倍と目されるひとたちは、ことごとく緊縮派であり、金融政策についての理解も欠いているからです。

そうして、その結果どうなるかは今から予測できます。ポスト安倍政権は、財務省に籠絡されて、増税、緊縮財政に走り、日本は再びデフレスパイラルのどん底に沈み、強烈な円高にみまわれることになります。

デフレ・スパイラルどん底に沈んだ時に、日銀も、金融引き締めに転じて雇用が悪化して、自殺者が現在の2万人台から、3万人台に増え、若者は再び就職氷河期にみまわれ、とんでもないことになります。

経済は、政策が変わったとたんに変わるものではないですが、ポスト安倍政権になってからすぐにではなく、1年くらいしてから顕著にかわることになります。

しばらくたつと、韓国や中国の経済が回復します。超円高のため、日本の製造業は日本国内で製造して組み立てて、日本国内で販売するよりも、部品を韓国や中国に輸出し、そこで組み立てて、日本に輸入したほうが、コストを抑えられることになります。そのため、多くの企業が中国や韓国に進出しまた産業の空洞化が加速することになります。

中国、韓国は経済的に余裕ができるので、中国は尖閣で大きな冒険をすることになります。韓国の反日はさらに、資金を得てエスカレートします。それに対して、日本は防戦一方にまわることになります。北朝鮮もこの機会を逃すことないでしょう。

ポスト安倍政権は、どの政権も短命で終わります。ただし、野党があまりにもだらしないのと、民主党政権で多くの人が懲りたので、すぐに政権交代ということにはなりません。

しかし、自民党内が分裂状態になり、時々の首相おろしが恒常化し、半年とか一年とかの期間で新政権ができてはまたすぐに変わるということが続くようになります。あまりにも頻繁に政権が交代するので、諸外国からも信頼されなくなります。

数年したころに、民主党とは全く異なるタイプの政党が、自民党政権を批判して、多くの国民から支持を受けます。そうして、その政党が政権の座につくかもしれません。

しかし、その政権もまともな金融財政政策ができなければ、同じことの繰り返しになります。そうして、日本は無間地獄に落ちることになります。

無間地獄図

もうこんなことは過去にいやというほど経験してきたので、繰り返すべきではないと思うのですが、現状の馬鹿な野党や、多数の金融財政政策を理解できない自民党の議員らや、マスコミや識者等の愚かさなどみているとまた同じことの繰り返しになってしまうのではないかと思ってしまいます。

そうならないためには、特定の政治勢力に直結するメディア報道を見極める能力だけではなく、ある程度財政政策や金融政策に明るい人が増えてくることが必須ではないかと思います。とはいいながら、専門知識を学ぶというよりは、少なくとも雇用そのものの主務官庁が厚生労働省ではなく、日銀であることを多くの国民が理解しなければならないと思います。

これが理解出来ない人、理解をするつもりもない人には、財政金融政策の細かいことや専門的なことはいざしらず、その時々での正しい方向性を理解できず、過去のように財務省や日銀の官僚に騙され続けることになると思います。そういう人の多い社会は、やはり無間地獄をみるしかないのかもしれません。

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2018年3月12日月曜日

森友文書問題で「財務省解体」「財務大臣辞任」はやむなしか―【私の論評】Z解体の好機、ただしZが他省庁の植民化を排除するような方式で完璧に解体せよ(゚д゚)!


そして財務大臣の辞任も…




髙橋 洋一

なぜ金曜日午後に発表されたのか

例年、筆者は確定申告をしている。筆者はかつて税務署長を務めた経験があるので、この時期の税務署関係者の忙しさはわかっている(2月19日付け本コラムhttp://gendai.ismedia.jp/articles/-/54514参照)が、今年ばかりは怒りをもって確定申告した。

今週は確定申告の最終週であるので、税務署では1年のうち最も忙しい時期だ。そのタイミングで、佐川宣寿国税庁長官が辞任した。確定申告のこの時期に辞めた国税庁長官は初めてである。

国税庁長官のポストは、(国内系ポストでは)財務省内において事務次官の次のナンバー2である。主税局長や理財局長などの主計局の次のランクの局長がこのポストに就任することからもわかるだろう。

財務省ナンバー2の佐川氏が辞任したのは、どう考えてもただ事ではない。辞任の理由の一つとして、一連の森友問題に関する決裁文書が国会に提出された時の理財局長であったこともあげられていた。

辞任の第一報は、9日(金)の午後に流れた。その直前のやはり9日(金)の午後には、森友問題に対応していた近畿財務局職員が自殺したという報道があった。

金曜日の午後に報道発表を行う、というのは、役所にとっては大きな意味があることだ。たとえば金融機関の破綻処理が行われる場合などは、「金月処理」と呼ばれる処理が典型的となる。つまり、社会的に影響が大きい発表は、まず金曜日に行って、土日を挟んで、月曜から諸手続をする、というものだ。

(近畿財務局職員が亡くなったのは7日水曜日であり、今回の案件について書かれた遺書もあるといわれている。なんとも痛ましいことであり、ご冥福をお祈りしたい。)

この段階では、打開策として、決裁文書の原本を大阪地検から返してもらって、国会に提出するしか他にとるべき手段は財務省には残されていなかった。

筆者は本件について、先週5日(月)の本コラム<朝日新聞「森友新疑惑」事実なら財務省解体、誤りなら朝日解体危機か>(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54700)でも書いた。

ハッキリ言えば、このときの論考はいろいろな可能性について過不足なく場合分けして考えただけである。筆者は数学畑の出身で、確率計算は得意だ。確率計算は、過不足のない場合分けからスタートするのがセオリーだ。ただし、それぞれの場合分けはできても、どのくらいそれが起こるかという「確率」はわからなかった。

マスコミの報道では、しばしば「前提」や「条件」を書かないで結論だけを書く。筆者には、そのように結論だけを書く書き方にはかなり違和感がある。この点をマスコミの人に聞くと、「一般読者が結論だけを求めるから、そうなってしまう」というが、そもそも記事を執筆する記者の思考自体も「条件→結論」というロジカルシンキングができていないことが多い。

先週の筆者のコラムと、その後状況が変化した後に筆者が執筆・発言したことについて、ロジカルシンキングができない人からは「結論を変えている」と批判を受けたが、書いたものをもう一度読み返してもられば、一貫して「条件→結論」しか書いていないので、そうした批判は間違いであることがわかるだろう。

いずれにしても、各場合の確率がわからない状況は、9日(金)の午前中まで同じだった。例えば、別の媒体に筆者が書いた<決裁文書「書き換え」あり得るか 元財務官僚の筆者の見解>(https://www.j-cast.com/2018/03/08323108.html)では、朝日新聞には「書き換え」の証拠となる「ブツ」(決裁文書の画像など)を出すべきだ、財務省側には大阪地検に文書の「原本」を返してもらってそれを国会と国民に提示せよ、と言っている。それが、この問題を解決するためのベストな方策だったからだ。

ところが、9日(金)の午後に、近畿財務局職員の自殺が報じられ、さらに佐川氏辞任について各社が報道。その後、財務省は決裁文書の書き換えを認め、12日月曜日に国会に報告するという各社の報道があった。ここまでくると、今回の問題の火付け役となった朝日新聞の3月2日の「文書書き換え」に関する報道は、概ね事実であろう。

ところで、財務省が国会になにか重大なことを報告する際には、事前に「要路」を押さえるのが慣習となっている。つまり、政府や自民党幹部のところに赴いて、事前に説明をするわけだ。この説明を受けた政治家は、それを親しいマスコミ記者などに漏らす(というか、マスコミ記者がそれを待っている)。そして、そのことを確認したのちすぐに報道する。

というわけなので、今回も12日の月曜日を待たずして、財務省がなにを国会で報告するかがおおよそわかるのだ。

12日、財務省は自公両党、参院予算、衆院財務金融両委員会の理事懇談会でもろもろの説明を行うのだろう。そのとき、財務省や近畿財務局での処分者も出てくるかもしれない。

財務省はどうなるのか

財務省の側でできるのは、形式的な職員の処分までだ。だが、佐川氏、近畿財務局長、近畿財務担当者らは、一般市民から様々な疑惑で刑事告発され、かつそれが受理されている状態だ。今回の一件が「訂正」だったのか「改ざん」だったのかはまだ分からないが、もし公文書偽造などの刑法に抵触するような場合には、大阪地検によって彼らが起訴される可能性もある。身柄確保(自殺防止)で逮捕ということもありえる。

問題なのは、財務省本省から近畿財務局に対して書き換えの指示があったかどうかだ。それがあれば、指示した人にとどまらず、それこそ「組織的な関与」となって、財務省解体までにつながる重大事件になるだろう(8日の夕刊フジ http://www.zakzak.co.jp/soc/news/180309/soc1803090003-n1.html?ownedref=articleindex_not%20set_newsList 参照)。

この、指示があったかどうかについては、マスコミの間でも見解がばらけている(23日午後11時現在)。毎日新聞では、「財務省書き換え、佐川氏が指示 12日国会報告」(https://mainichi.jp/articles/20180311/k00/00m/010/141000c)と、指示があったことを明示しているが、産経新聞は「文書書き換え 「改竄ではなく訂正」 自民幹部「問題なし」冷静」(http://www.sankei.com/economy/news/180311/ecn1803110006-n1.html)と違ったニュアンスの報道をしている。

これは、明日以降判明するだろう。ここでは「毎日新聞の報道が正しいとすれば」という前提で、指示があった場合財務省はどうなるか、どうすべきかを考えたい。

4つの提案

こうした場合、一つの参考になるのが「前例」である。もちろん、国民の怒りのレベル次第では前例が参考にならない場合もあるわけだが、前例を知っておいて損はない。

財務省の場合、なんといっても20年前(1998年)の大蔵省スキャンダル事件が「前例」となるだろう。筆者はその当時、大蔵省内で管理職になったばかりだったので、よく覚えている。地検職員が大蔵省に入ってきたのだが、意外にも、というべきか、大蔵省の職員は地検が来ることを当日になって初めて知る。

地検職員が省庁などに入るときには各テレビ局が来て、その姿を放映するのがお決まりだが、大蔵省の職員は、テレビ局の車が来ているのを見て、初めて「今日は強制調査だ」と知るわけだ。当時は大蔵省4階にある金融部局に東京地検の強制調査が入ったが、それに伴い4階への通路の防火扉が閉じられ、4階への出入りが禁止された。

その事件で逮捕されたのは、大蔵省5名、日銀1名。自殺者は3名にのぼった。これらの人はみな筆者の知り合いだったので、本当に切なかった。大蔵省内での処分も多数に上った。その後の省内出世をみると、この時の処分はあまり関係がないようだったが(ただし、大蔵大臣、日銀総裁、大蔵事務次官らは辞任した)。

この事件が大蔵省に与えた影響は大きい。金融行政への信頼を失わせたということで、銀行局、証券局が大蔵省から分離され、これらは後に金融庁になった。そして、それまでは「法律」ではなかった公務員倫理を立法化し、1999年には公務員倫理法ができた。社会の仕組みが変わったわけだ。

さて、もし毎日新聞がいうように財務省による「書き換え」の指示があったのならば、やはり社会の仕組みが変わるほどの変化が起きるだろう。筆者は「財務大臣の辞任」「消費増税の凍結」「財務省の解体」「公文書管理法の改正」が必要だと思う。それを順次説明しよう。

まず、財務大臣の辞任についてだが、さすがに財務大臣は佐川氏をかばい過ぎた。このままいくと、佐川氏の起訴は免れないだろう(ひょっとしたら逮捕もありうる)。佐川氏は辞任しているとはいえ、財務省幹部の逮捕となれば、1948年の昭電疑獄における福田赳夫大蔵省主計局長の逮捕以来だ(裁判では無罪)。

1998年の大蔵省スキャンダルでは、課長補佐のキャリア官僚が逮捕され、執行猶予付きの有罪になったが、佐川氏は局長、国税庁長官とトップクラスの官僚であるので、財務省の信頼失墜という点では、かなり大きいといわざるを得ない。そうなれば財務大臣も責任を取らざるを得ないだろう。

続いて「消費増税凍結」だが、財務省が組織ぐるみで決裁文書の書き換えという「禁じ手」をやってしまったのであれば、もう財務省は役所としての信頼を完全に失うだろう。

筆者はこれまで何度も指摘してきたが、もともと財務省は、日本の財政事情について国民に誠実な説明をしてこなかった。本コラムでも、財政再建の必要性について財務省は過剰な説明をしてきたと再三書いてきた。財務省が主張してきた財政再建の必要性にも疑義があると考えるべきなので、「財政再建」を前提とした消費増税については、凍結が必要と筆者は考える。

すでに信用を失っているのだから

三つ目に、現職の国税庁長官が仮に逮捕、起訴されるということになれば「いまのように、財務省の下部機関として国税庁を置いておくのはいかがなものか」という議論になってもいいだろう。

国税庁は、国家行政組織法第3条に基づく機関として財務省に置かれている。ただし、この組織のトップは歴代財務省キャリアであり、(前述のとおり)財務省の国内ナンバー2のポストになっている。国税庁でも国税のエキスパートを独自に採用しているが、トップはおろか、国税庁の主要部長にすらなれないのが現実だ。

どうして税務執行に詳しいといいがたい財務省キャリアが国税庁のトップや主要部長になるのかといえば、国税庁が財務省の「植民地」と化しているからだ。

民主党は政権を奪取した09年の衆院選で、政権公約として「歳入庁の創設」を掲げていた。筆者はこれに期待していた。歳入庁とは、税と社会保険の徴収を一体化させるための組織であり、世界のほとんどの国が歳入庁のような組織を有している。

民主党政権はいつの間にか歳入庁を公約から下ろしてしまったのだが、今回の事件を契機に、自公政権が財務省から国税庁を分離して歳入庁を作れば、災い転じて…となるだろう。

最後に、公文書管理法の改正についてだが、まず、いまの公文書管理法は、本コラム(2017年11月27日付け「森友問題で「的外れな追及」続けるマスコミには書けない、本当の結論」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53622)でも書いたように、かなりザル法である。

特に横断的な文書管理がまったくできていない。たとえば今回の件を機に、過去の文書の改ざんができないように、ブロックチェーンを使った省庁横断的な電子公文書管理の仕組みをつくる、などを考えるべきだ。

これについては興味深い国会審議もあった。3月9日の参議院予算委員会において、浅田均参院議員(維新)から「ブロックチェーンを公文書管理に取り入れるべき」との質問があった。これにはさすがの麻生財務大臣も前向きに答えざるを得なかった。

いずれにしても、12日月曜日以降の国会で財務省がどんな説明をするのか、だ。とにかく情報公開と事実解明を優先して、国民にスッキリとわかるようにしてもらいたい。が、すでに信用を失っている財務省の報告を国会は鵜呑みにせず、大阪地検にあるとされる決裁文書の原本現物を国民に明らかにしてもらうなどの追及を行うべきだろう。

原本現物があれば、のちに提出されたものが改ざんされたものかそうでないかは、1日もあれば判定可能である。捜査に支障をきたすからというなら、国会の非公開の理事会でそれを判定して、翌日大阪地検に返せばいいだけの話である。

12日から「大きな転換点」を迎えるのか。それぞれの行動に要注目である。

【私の論評】Z解体の好機、ただしZが他省庁の植民化を排除するような方式で完璧に解体せよ(゚д゚)!

佐川宣寿氏に関しては、かなり胡散臭い人物であることはこのブログに過去に掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ「森友」問題で露呈した 「官僚の裁量で文書管理」の罠―【私の論評】最初からバレバレの財務省キャリア官僚の嘘八百はこれだけではない(゚д゚)!
この記事は昨年の4月13日のものです。詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、佐川氏の国会での答弁をとりあげました。

財務省の佐川宣寿・理財局長(当時)
財務省の佐川宣寿・理財局長は、4月3日の衆院決算行政監視委員会で、「パソコン上のデータもですね、短期間で自動的に消去されて復元できないようなシステムになってございますので、そういう意味では、パソコン上にも残っていないということでございます」と答弁した。
IT関係の方なら、この佐川氏の発言には、かなりの胡散臭さを感じたと思います。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では以下のような要旨を述べました。
現在のパソコンだと、かなり容量が大きくデスクトップ型ならテラバイト級の記憶装置を持つものも珍しくはないため、パソコン上のデータを自動的に消去して、復元できないようにする必要性など全くないこと。  
仮に消去したとしても、データはかなりの確率で復元できるはずであること。文書でもメールでも、たとえ消去したとしても、ほとんどの場合復元できること。
以上の観点から、同感が手見ても佐川氏の発言は異常としか思えませんでした。本日の財務省の発表をみているとやはりこの考えは正しかったと考えざるを得ません。

そうして、疑問なのは、なぜ政府、野党、マスコミがこれを徹底的に追求しなかったのかということです。特に野党や、マスコミは徹底的に追求すべきでした。もし徹底していたら、本日の財務省による本日の報告は、もっと早い時期に行われていたかもしれません。

ただし、野党やマスコミにとっては、森友問題は倒閣あるいは、安倍政権になるべく悪いイメージを植え付けることが主目的ですから、ここで財務省や佐川氏を追求しても、本題からそれるし、さらに新聞などは、10%増税の際には、財務省から軽減税率を適用してもらいたいなどの意向があり、あまり財務省をつつかなかったのかもしれません。

政府も、もっと厳しく追求すべきでした。そうすれば、少なくとも佐川氏を国税庁長官にする人事などなかったかもしれません。ただし、あたかも政治勢力であるかのように振る舞う財務省といたずらに揉め事を起こしたくないとか、派閥間の力学などで、佐川氏を追求するのはやめたのかもしれません。


いずれにせよ、野党・マスコミ、政府も佐川氏や財務省を追求しなかったのは、明らかに手違いだったと思います。

政府、野党、マスコミが徹底的に財務省と佐川氏をあの頃に徹底的に叩きまくっていれば、財務省解体はもっと早い時期に議論されていたかもしれません。政府にしても、内閣人事局という部署が発足していますから、佐川氏など他省庁に片道切符で左遷するなどのことも出来たかもしれません。

ブログ冒頭の記事では、高橋氏は「財務省本省から近畿財務局に対して書き換えの指示があったかどうかだ。それがあれば、指示した人にとどまらず、それこそ「組織的な関与」となって、財務省解体までにつながる重大事件になる」としています。

私は、これには本当に大賛成です。たとえ「組織的な関与」がなかったにしても、財務省には解体されても致し方ない事由があります。それについても、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
財務省の補正予算編成が日本のためにならない理由―【私の論評】日本経済復活を阻むボトルネックに成り果てた財務省はこの世から消せ(゚д゚)!

この記事では、財務省が日本経済復活を阻むボトルネックに成り果てていることを掲載しました。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
日本経済の最大のボトルネック(制約条件)は、ご存じの通り「クニノシャッキンガー」という嘘です。私ははこの「クニノシャッキンガー」という嘘、プロパガンダ・レトリックこそが、日本経済の復活の最大のボトル・ネックであると確信しています。 
酷い人になると、国の借金どころか、「日本の借金は1000兆円!」と、あたかも「日本国」が外国から多額の借金をしており、財政破綻が迫っているかのごときレトリックを使います。このような主張をする人々は、世界最大の対外純資産国、すなわち「世界一のお金持ち国家」であることを知っているのでしょうか。 
テレビ等で「国の借金」「日本の借金」という用語を安易に使う人がいますが、これは明らかな間違いです。本当は「政府の負債」です。そもそも、先に述べたように、日本は外国からお金を借りているわけではなく、世界で一番お金を外国に貸している国だからです。 
政府の負債、と聞くと、皆さんは「政府の借り入れ」と認識します。それで正しいわけですが、「日本の借金!」「国の借金!」などという用語を使われると、皆さんはあたかも「自分たちの借金」であるかのごとく感じてしまい、財務省の緊縮財政プロパガンダに洗脳されてしまうわけです。
そうして、なぜ財務省がこのようなことをするかといえば、予算の配賦権を利用して、他省庁に睨みをきかせ、さらに政府関連機関や外郭団体などに金を貸し付けたりして、財務省の高級官僚の天下り先を開拓し、さらに高級官僚が退官した後の天下り先での超豪華なハッピーライフを満喫するためです。大雑把にいえば、これが目的です。

財務省は、そのためには、増税で国民が塗炭の苦しみを味わうことになってもお構いなしです。高級官僚さえ良ければ、それで良いのです。

民主党政権のときには、様々な政策立案などの実務を官僚から奪いとって政治主導を実現しようとしましたが、欠局事業仕分けなど財務省に仕切られ、野田政権に至っては、財務省の助けがないと政権運営もおぼつかないなどの醜態を晒しました。

このようなことを考えると、私自身は、今回の書き換えに「組織的な関与」があろうが、なかろうが何としてでも必ず財務省を解体すべきと思います。

そうして、財務省解体ということになれば、一つ気をつけなければならないことがあります。

ブログ冒頭の記事にもあるように、国税庁が財務省の「植民地」と化しているように、財務省は、単純に分割すると10年くらいかけて他省庁の植民地を拡大する手段につかうので、それを防ぐために、まずは公的金融部門の廃止、次に財務省官僚が目下においている官庁の下部組織に財務省を分割の上で編入するなどの方式にすべきです。

要するに、従来の財務省組は、他官庁の下部組織に分割されて編入されるため、どうあがいても、所属官庁の次官にはなれそうもないくらいの地位に落とすのです。

これにより、少なくともすべての官庁の高級官僚は財務官僚のDNAとは無縁となります。このようにして、はじめて財務省を解体することができます。

今回は、財務省解体ということにでもなれば一時的に政権側にかなり不利ですが、その後は10%増税の凍結はかなりやりやすくなりますし、それに最近は緊縮気味だった財政を、積極財政にもっていくこともやりやすくなります。

いや、それどころか、最早誰の目から見ても明らかに大失敗だった8%の消費増税をやめて、5%に減税するなどということもかなりやりやすくなるはでず。ボトルネックだった財務省がこの世から消えれば、まともな起動的財政政策が実施しやすくなります。

これを実施しつつ、さらなる量的緩和を実施すれば、短期間で日本経済は上向くことになります。そうなると、国民からの支持率もかなり上がることになります。政府はなんとしても財務省解体に挑むべきです。

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2018年3月10日土曜日

森友文書の書き換え認める 財務省、12日に国会報告―【私の論評】この問題で「内閣総辞職」と言うは「悪いアベをのさばらしておく野党が悪いから、野党幹部は全員辞職すべき」と言うに等しい(゚д゚)!

森友文書の書き換え認める 財務省、12日に国会報告

学校法人「森友学園」が小学校建設を目指していた大阪府豊中市の国有地
 財務省は10日、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書に書き換えがあったと認める方針を固めた。当初の記述を削除した例が複数判明したとの調査結果をまとめ、12日に国会に報告する。関与した近畿財務局の担当職員や本省幹部らの懲戒処分を検討する。野党は「政権の隠蔽体質」への批判を強める構えで、安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相の政治責任を問う声が与党で高まる可能性もある。

 決裁文書の国会提出時に担当局長だった佐川宣寿国税庁長官が9日付で辞任するなど混乱が拡大。財務省自らが書き換えの事実を認めることで政権への打撃は大きく、森友問題は重大局面を迎えた。

【私の論評】この問題で「内閣総辞職」と言うは「悪いアベをのさばらしておく野党が悪いから、野党幹部は全員辞職すべき」と言うに等しい(゚д゚)!

財務省による書き換え疑惑に関しては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
朝日新聞「森友新疑惑」事実なら財務省解体、誤りなら朝日が解体危機か―【私の論評】いずれにしても安倍政権と国民にとっては良いことになる(゚д゚)!
書き換え問題について報じたのは、3月2日の朝日新聞 写真はブログ管理人挿入
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、NHKの日曜討論で、野党の一部から「(書き換えが)事実であれば安倍内閣は総辞職すべき」との意見も出たということを受けて、以下のような結論を掲載しました。
相変わらず、無茶苦茶な論理です。極端なことをいうと、犯罪者が一人出たら、その責任は警視庁にあるから、警視庁にあるから、警視総監をはじめ、警視庁全体が辞任せよと言っているのと何も変わりありません。 
そこまでいかなくても、企業組織で、財務部の部員が何か間違いをしでかしたら、取締役会で、取締役がその問題をとりあげ、社長と財務部担当の役員と財務部長は無条件で辞めよと言っているようなものです。 
無論、これらの人々が、大きな不正に直接関わっているというのなら話は別になるのでしょうが、無条件で辞めろなどと、取締役あたりが、発言すれば、それこそその取締役が解任されるかもしれません。 
それに、本当に安倍内閣が辞職したとすれば、また選挙ということになります。そうなると野党はボロ負けすることになります。最初は、一見野党が有利なようにみえても、選挙期間中に事実が有権者に理解されるようになり、それこそ、希望の党があっと言う間に勢いを失ったような状態になることでしょう。 
野党は、昨年の「もりとも」問題追求から一歩も進歩していないようです。 
それにしても、ブログ冒頭の記事の高橋氏が主張するように、財務省解体か朝日新聞の解体かということになれば、どちらに転んでも、安倍政権は無論のこと、国民にとっても良いことになります。
財務省が解体になれば、10%増税は確実に見送られることになると思います。これによって、市場が好感し、株価もあがり、個人消費も伸びることが期待できます。 
朝日新聞が、解体ということになれば、朝日新聞が、朝鮮人女性を「強制連行」し、「従軍慰安婦」にしたとの吉田清治の虚偽証言報道を2014年まで30年以上にわたって放置、訂正することがなかったことなどに象徴される、朝日のフェイク暴動に煽られるような人が減ることになります。 
本当は、両方とも(ついでにNHKも)解体されるのが、一番なのですが、諺に「二兎を追う者は一兎をも得ず」というのがある通りで、今回はどちらか一方が解体されることを期待したいものです。 
これから、どうなっていくのか、まずは6日が楽しみです。
そうして、6日の財務省の答弁では何も明らかにはならなかったわけですが、今回、財務省が学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書に書き換えがあったと認める方針を固めたそうですから、財務省解体の危機もでてきたということです。

ただし、安倍内閣は総辞職すべきであるなどという意見は筋違いです。なぜそのようなことがいえるかといえば、そもそも大本の不手際は近畿財務局によるものだからです。これについては、いわゆる「森友問題」が表面化した当時からこのブログにも掲載しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
【共産党研究】民進党と明暗分けた森友問題、支持率わずか1・7%差に 選挙に結びつかない疑惑、スキャンダル追及―【私の論評】頭の悪い新聞と民進党はなぜ無間地獄に陥った?
学校法人「森友学園」の小学校建設用地。校舎を残して売却を検討中だ=大阪府豊中市
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にいわゆる森友問題の本質の部分を掲載します。
森友問題の本質を整理すると、「①森友の前の豊中市への売却時にゴミ問題発覚した、②それを言わずに近畿財務局が森友と交渉、③その結果近畿財務局の値引き」というところです。 
以下は、憶測ですが、②の時点で、ゴミが埋められていることを知った篭池氏は烈火のごとく怒って近畿財務局と交渉したことでしょう。これは完璧に近畿財務局の事務ミスであり、その後篭池氏に対しては頭の上がらない状態になったはずです。これで、篭池氏の一見不可解な行動は、大方説明がつきます。 
ところが、朝日新聞は③近畿財務局の値引きと④昭恵夫人の関与というストーリーを報道するのみで、①と②はマスコミなら知っているはずなのに朝日新聞は報道しません。朝日はなぜ書かないのでしょうか。このことからも朝日新聞は、フェイクニュース機関です。 
これは、調べれば誰でも理解できることであるはずです。このような情報を知っていれば、そもそも森友問題は昭恵夫人や政治家が関与したということもなく、単なる近畿財務局の事務ミスであり、これを追求しても他には何も出てこないことなどすぐに理解できたことでしょう。 
上記①②③は明らかなため、大方のメディアはある時点から、森友学園の報道はやめました。それ変わって、現在は緊迫する北朝鮮状況の報道などが目立ちます。 
これは当然といえば、当然です。民進党と共産党などの野党は、この問題の火付け役となりましたが、国会で問題にするくらいなら、上記に掲載した①、②、③くらいは予め良く調べてからにすべきだったでしょう。 
そのため、全く決め手になるような内容は結局何も出てこず、まるで都市伝説のような展開になってしまいました。
私としては、ゴミについて近畿財務局のいずれかの職員が、錯誤したか勘違いしてゴミが埋まっていることをいわずに篭池氏と交渉したのでしょう。これが森友問題の本質であると考えられます。

これが、本質であるか否かはあくまで憶測に過ぎないですが、前後関係を見ていればそれ以外には考えられません。このあたりのことは、大阪地検特捜部の今後の捜査で明らかになるはずです。

近畿財務局

この本質部分は、ある程度明白だったにもかかわらず、マスコミは近畿財務局の値引きと、昭恵夫人の関与というストーリーを報道するのみで、最近になってようやっと朝日新聞が近畿財務局に迫ったということです。それにしても、あまり良い迫り方ではないです。本来であれば、もっとはやくに近畿財務局に切り込むべきだったでしょう。

しかし、マスコミや野党は、それでは最初から近畿財務局の問題となってしまい、倒閣運動に結びつけたり、与党に対する悪いイメージをつけるという彼らの本質からみれば外れてしまうということで、近畿財務局への切り込みは意図的にか行ってこなかっのでしょう。

ここで公文書の「書き換え」そのものが、近畿財務局内の問題であれば、近畿財務局の局長や幹部が処分されることになるでしょう。財務省もある程度の監督責任くらいは問われるかもしれませんが、厳しい処分は考えられません。

もし、公文書の「書き換え」そのものに財務省本省の人間が関わって入れば、これは財務省自体も幹部の処分が行われることになるでしょう。しかし、これもどの程度になるかは、今後の大阪地検などの捜査や政府等の調査次第であると考えられます。

財務省の決裁文書「書き換え」疑惑の“前例”といえる違法行為が、民主党政権の2010年に発覚していました。厚労省東北厚生局の職員が、情報公開法に基づき開示した文書を改竄(かいざん)し、減給の懲戒処分を受けたのです。当時、菅直人内閣の長妻昭厚労相は記者会見で謝罪しましたが、辞任はしませんでした。

改竄されたのは、東北厚生局が、福島県内の柔道整復師の養成専門学校に対して行った実地調査結果に関する文書。

07年に開示請求を受けて公開する際、職員は文書から《未承認のカリキュラムで行っていたため、学則上での授業時間の不足が生じることになる》などと指摘した部分を削除し、一部の行政文書を別の文書に差し替えたとされています。

10年に再び、同じ文書の開示請求があり、請求者が07年の文書にない記述に気付いたといいます。

厚労大臣だった頃の長妻昭氏
東北厚生局の調査では、この職員以外の関与は認められませんでした。発覚時、独立行政法人に移っていた職員は「再三、照会や苦情を受けてノイローゼ気味だった。余計な情報を出さない方がいいと思った」などと説明し、減給1カ月(10分の1)の処分を受けました。

長妻氏は10年6月、処分時の会見で「民主主義の根幹である情報公開制度であってはならないことが起き、おわびする。厳重に再発防止に努める」と述べました。引責辞任はしませんでした。

今回の「書き換え」に関しては、実体がどの程度のものだったのか、関与したのはどの範囲だったのかまで明らかにして、処分を決めることになるでしょう。それにしても、たとえ財務省が関与していていとしても、財務省が厳しい処分を受けることはあっても、内閣総辞職ということはあり得ないです。

もし、そんなことが許されたとすれば、官僚はいつでも公文書改竄で内閣総辞職させることができることになり、それこそ、立憲主義や民主主義に反することになります。

これから、野党の一部は「内閣総辞職」と喚くことになると思いますが、それはあくまで低劣なパフォーマンスにすぎないということを理解すべきです。

そもそも、野党の論理にまともに従えば、立場を変えれば「悪いアベをのさばらしておく野党が悪いから、野党党首や幹部は全員辞職すべき」というような不可思議な論理も成り立ってしまうことになります。

野党は、森友問題に関係のある内閣委員会・外務委員会を審議拒否するのはまだわかりますが、それ以外のものも審議拒否するのは、まともな議論より倒閣を選んだ証拠です。 南北首脳会談が決定直後であり、米朝首脳会談もきまりそうなこの時期に北朝鮮に対する議論を放棄するのはあり得ないです。 仕事する気がないなら議員を辞めるべきです。 野党のせいで1日3億円の国会がまだ無駄になります

率直に言えば、朝鮮半島情勢が動いている中、国会ではもっと有益な議論に時間を使ってほしいものです。

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