麻生首相は3日午前の衆院予算委員会で、各省庁による国家公務員の再就職あっせんと退職した公務員が天下りを繰り返す「渡り」のあっせんを今年中に禁止する政令を制定する考えを表明した。(左は、衆院代表質問で、消費税や「渡り」に関して追及する民主党 鳩山氏)
これまで首相は「渡り」のあっせんを認めない方針を国会答弁で表明してきたが、政令の制定を打ち出し、禁止の姿勢をさらに強調した形だ。
「天下り」を巡っては、昨年末に発足した政府の「官民人材交流センター」に公務員の再就職のあっせんが一元化される2011年末までの3年間を「経過措置」として、政令により省庁あっせんによる再就職や「渡り」を認めている。
首相は、この日の答弁で「3年を待たず前倒しして廃止したいと思っている。これを明確にするためには、渡りと天下りを今年いっぱいで廃止するため の政令を作ることにしたい」と述べ、「経過措置」を2年間、前倒しして今年末までに禁止する措置を取ることを明言した。これにより「官民人材交流セン ター」を通じた再就職先のあっせんの道は残るが、「渡り」のあっせんはただちに全面禁止となる。
首相はこれまで、「渡り」を認める政令 の運用で「渡り」を排除する考えを強調し、政令の改正・撤廃には否定的だった。だが、衆院選を控え、民主党 が「天下り」の全廃を掲げる中、公明党など与党からも、首相が「渡り」の全面禁止を打ち出すよう求める声が出ていたことを踏まえ、従来の方針より踏み込ん で改革姿勢を打ち出す方針に転換した。
役人に対する誤謬?
渡りの斡旋は、法律に違反するおそれがあるので、当然の措置だと思います。ただし、私は、天下りに関しては、どうなのか疑問なところもあります。
そもそも、官僚に関して、世間で言われていること、マスコミで言われているようなことには、誤謬があるのでないかと思います。
私 自身も、このブログで「木っ端役人」という言い方で、官僚の非効率など糾弾してきたこともありますが、「木っ端」という言い方でもわかるように、特に 能力が優秀でもない中・下層の役人に対しては、完全にあてはまることであり、糾弾しなければならない部分は多いと思いますが、高級官僚の場合は、そうとも 言い切れない場合もある思います。
麻生総理大臣がいう「われわれは官僚と敵対するものではない」という言い方にもそういった意味があるのかもしれません。しかし、最近の高級官僚も、小粒になったというところもあり、なんともいえない部分もあります。本日は、それについて少し整理したいと思います。
ここで、ドラッカー氏が「ネクスト・ソサエティー」という著書の中で書かれている、「正しい仮説」をそのまま引用します。
1.官僚の優位性はほとんどあらゆる先進国で見られるとの仮説である。アメリカといくつかのあまり人口の多くない英語圏の国、すなわちオーストラリア、ニュージーランド、カナダのほうが例外である。日本の官僚の優位性は、他の先進国、特に他のフランスにくらべるならばまたまだ劣っている。
2.日本の官僚は、われわれが考えるよりもはるかに耐久性があるというものである。日本の官僚は、長年の不祥事と無能の暴露にもかかわらず権力を維持してきた。
3.先進国では、アメリカを別として、社会の維持にはエリートの指導力が必要されているというものである。後を継ぐものが現れない限り、既存の指導層に頼らざるを得ない。今日の日本には、官僚の後をつぐものは現れそうにない。
4.日本では、先送りが有効であるというものである。日本はこの40年間(現時点では50年間)、解決不能さされていた社会問題を、問題の解決ではなくむしろ先送りによって二度までも解決してきた。もちろん、今日の金融システムにおける構造上の脆弱さと資金的な余力を考えれば、今度ばかりは先送り戦略もうまくいかない。しかし経験的には、日本の先送り戦略には一概に不合理とはいえないものがある。
5.日本の政治家、官僚、経済界などの政策形成者にとっては、大事なのは経済よりも社会であって、先送りこそ合理的な戦略というものである。
成功した二つの先送り戦略とは、「農村部の非生産的な人口を何もしないことにより解決したこと」すなわち、都市部への農村部からの大移動です。
次に「非生産的な小売業の革新。小売業の革新に関しては、結局検討はしたが何もせずに、解決している。50年前と比較すると今日、流通業の問題は社会的にも経済的にもほぼ解消している」。非生産的だった家族経営の商店は、今でも残っていますが、特に都市部では、そのほとんどが小売チェーンのフランチャイズ店になっています。今や、日本の小売業は、世界で最も効率的な流通システムになっています。そうして、かなり利益もあげるようになっています。
逆に失敗は、しなくても良いことをして失敗していることがほんどです。
たとえば、1980年代において、他国なら不況とはみなされないような程度の景気と雇用の減速を経験したとき、そこに変動相場制移行によるドルの下落が重なり、輸出依存度産業がパニックに陥りました。官僚は圧力にこうしきれず、欧米流の行動をとりました。景気回復のために予算を投入しました。しかし、結果は、惨憺たるものでした。先進国では最大規模の財政赤字を出しました。株式市場は暴落し株価収益率は50倍以上になりました。都市部の地価はさらに上昇しました。借り手不足の銀行は憑かれたように投機家に融資をしました。そうして、ご存知のように、バブルははじけ、こうして金融危機がはじまりました。
詳細は、ここでは、省きます。興味のある方是非「ネクスト・ソサエティー」を読んでください。結びとして、ドラッカー氏は次のように述べています。
「日本の社会が強固か脆弱かは別の問題である。重要なことは、日本が社会を最重要視することを当然としていることにある。したがって、もしアメリカが、特に苦境にある日本との関係においてこのことを理解するならば、日本の官僚は無用であるとの観念に今日ほど固執する必要もないのではないか思われる。
もちろん、官僚の擁護などは異説である。しかし、異説というものは、通説よりも真実に近いことが少なくないのである」
ドラッカー氏のこの著書が世に出てから、約9年の月日が流れています。このときドラッカー氏が日本の政治家と官僚について述べていたことと、現在には少し乖離がでてきたかもしれません。それは、「金融・経済」というキーワードがあまりにも幅を利かせて、「社会」というキーワードが後退してしまったことです。最近の政治家が小粒に見えてしまうのは、皆目先の「金融・経済」のことを語り、まるで半人前の金融・経済アナリストのようなことを言うようになったからだと思います。
ドラッカー氏がもしまだ生きていたとしたら、「日本は、特に日本の政治家、官僚は、従来のように「社会」に重きを置くことが肝要だ。今日の金融危機は日本にとって、日本国内の悲観論とは異なり、日本にとって壊滅的な破壊をもたらすことはない。これを解消するためには、日本は、日本国内の社会に着目し、社会の矛盾を正すような基盤整備を早急に行うべきである。
こうすることにより、内需が拡大、しかも、その後にも続くような正しい拡大が期待できるだろう。さらには、日本ではかなり遅れている、有力なNPOを育てていく必要があるだろう。なぜなら、もともと政府には基盤を形成すること以上のことはできないからである。
政府によるやり方は、全国一律、地方自治体でも、県や、市で一律のやり方にならざるを得ず、本当に必要な人に救いの手が差し伸べられない、必要もない人に過大な支援がされてしまうというような、非効率・矛盾が発生してしまう。基盤の上で、様々な事柄を実施するのは、民間営利企業であり、民間非営利企業(NPO)である。営利企業だけでは、大きな社会事業を推進することは困難だろう。やはり、ここで、西欧型の有力なNPOを育て、現在では政府がやるのが当然と思われているような事業・業務かなりの部分をNPOができるようにしていくことが日本の生きる道である」と語ったと思います。
特に役人に関しては、ドラッカーのいうことは、いわゆる高級官僚の事だと思います。特に、中から下の役人にはあてはまることではないと思います。私としては、高級官僚に関しては、社会を優先するように仕向ける仕掛けをつくり、中級以下のかなりの部分は、法律など整備した上で、NPOに任せるような体制をとるべきだと思います。そのときに、こそ、本当に官僚の生きる道が整備されると思います。中級以下の官僚にとっては、無味乾燥で非効率的な業務から開放されて、本当に役に立つ、社会事業に取り組む機会に恵まれます。
高級官僚にとっては、社会を重視した政策などに根本的に取り組むことができす。彼らが本来行うべきは、煩雑な事務とが、その事務を統轄することではなく、100年後の将来を見据えた、社会のインフラ、システムを整備することです。
今のまま、ただ「天下り」「わたり」を禁じたとしても、役人の怠慢、腐敗はなくならないと思います。それは、最早人の問題ではなく、システム、インフラの問題だからです。
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