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2016年1月5日火曜日

いまだはびこる国債暴落説と財務省の説明を妄信する人たち ―【私の論評】財政破綻などしないのは常識で理解できるのに、それができない馬鹿真面目共が多すぎ(゚д゚)!


財政破綻本は飽きられている?

 財政破綻や国債暴落を唱える論説はいまだに散見される。日本国債が今後暴落する懸念はあるのか、暴落論が十年一日のごとく語られる背景は何だろうか。

 2014年9月の本コラムで「財政破綻後の日本」をテーマした研究会が東大に実在することを書いた。その東大研究会の代表は、井堀利宏氏(東大大学院教授)、貝塚啓明氏(東大名誉教授)、三輪芳朗氏(大阪学院大教授・東大名誉教授)という日本の経済学会を代表する学者だ。

 3年半前の第1回会合では、財政破綻は当然で、破綻後のことを考えようとしていた。ところが、これらの学者の予想に反して、財政破綻の気配は一向にない。研究会のウェブサイトを見る限り、本コラムを掲載した当時は2カ月に1度程度開催されていたが、15年は6月に1度開かれたという活動記録が残っているだけだ。

井堀利宏氏(東大大学院教授)

 東大研究会の根本的な問題は、日本の財政状況をしっかりと数量的に把握していないことだ。財政破綻は、債務残高の対国内総生産(GDP)比率が発散(無限に拡大)するという経済学の常識くらいはつかんでいるが、債務残高がグロス(債務総額)かネット(政府資産を差し引いた純債務)かも明確ではなく、なんとなくグロスと思っているように見受けられる。会計的な知識や国の貸借対照表(バランスシート)が念頭にないとは考えにくいのだが。

 日本の現状をいえば、グロスの債務残高は1100兆円程度であるが、ネットでみれば500兆円で、GDP比で100%程度。さらに、日銀も含めた連結ベース(経済学でいえば統合政府ベース)の債務は200兆円、GDP比では40%程度である。この程度であれば、先進各国と比較しても、それほど悪い数字ではない。

 ちなみに米国ではネットでみてGDP比80%程度、統合政府ベースでみれば65%程度。英国ではネットで見てGDP比80%程度、統合政府ベースで見て60%程度である。

 こうした基礎データが頭に入っていないとしたら、高度な議論をしているようにみえても上滑りになってしまう。研究会の議論では、「現状の日本でなぜ国債価格の大幅下落、急激なインフレを伴う財政破綻は現実化せず、その予兆も見えないのはなぜか」と自問自答し、自分たちは正しいのに、現実が間違っていると言わんばかりだった。

 財政破綻の文献をみれば、国債の投資家が国内か海外かは、破綻するかどうかと基本的には無関係である。日本国債の外国人保有比率が上昇したことで、金利の振れ幅が大きいとの指摘も破綻問題とは関係がない。国債残高をネットや統合政府でみれば、たいした数字ではないので、暴落の可能性はさほど高くないだろう。

 破綻論者は、現状認識が不十分なまま、財政危機だという官僚の説明にだまされていただけではないか。暴落論が後を絶たないのは、自分でデータを確認せずに財務省を妄信する人が、学者やマスコミにいかに多いかを示している。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】財政破綻などしないのは常識で理解できるのに、それができない馬鹿真面目共が多すぎ(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の記事、国家規模で考えるのと、金額が天文学的でありあまりピンと来ない人も多いかもしれません。しかし、これを日常生活に置き換えて、考えると本当に簡単なことです。

日本政府を一人の中年サラリーマンにたとえます。そのサラリーマンの右ポケットには、1,100万円の借用書が入っています。これを指して、マスコミや経済学者などが、このサラリーマンは、1,100万円も借金していると、騒ぎ立てています。

ところが、この中年サラリーマンの左ポケットには、600万円の現金が入っています。このとき、この中年サラリーマンは、本当に1,100万円借金しているといえるでしょうか。違いますね、1,100万円−600万円=500万円と見るのが妥当だと思います。

右ポケットと左ポケット

さらに、この中年サラリーマンには、孝行息子(日銀)がいて、その孝行息子は父親である、中年サラリーマンと同じ世帯(日本国)に住んでいます。そうして、この孝行息子は、家にお金を入れていて、その合計が300万円になっています。

では世帯ということで、借金を見てみるといくらになるかといえば、1,100万円−600万円−300万円=200万円です。この世帯の年間の稼ぎ高が500万円であるとすると、この世帯の借金は年間稼ぎ高の40%ということで、確かに借金がないとはいいませんが、これではあれば、さほど大騒ぎするほどではないです。

なんとかすれば、借金を返済することは十分可能です。上の高橋洋一氏の話は、これと同じことです。何も、難しい経済理論など理解しなくても、誰にでも理解できることです。

さらに、これは日本国政府を中年サラリーマン、日銀を孝行息子、日本国を中年サラリーマンと息子の住む世帯にたとえました。ところが、中年サラリーマンや、孝行息子は人間ですから、人間は時間とともに年をとります。そうして、いずれは亡くなります。

しかし、日本国政府や日銀は人ではありません。これは、システムです。よほどのことがない限り、人は時代とともに入れ替わるのですが、システム自体が消えてなくなるということはありません。

であれば、何事にも永遠ということはないので、日本国政府もいずれは消滅する時が来ることは全く否定できないにしても、現在この日本に住む私達からみれば、当面不死身の存在であると見て良いでしょう。

この不死身の政府と、生身の人間とでは、当然借金に関しても、考え方を変えなければなりません。政府は不死身なので、金利とは別に毎年1円ずつ元本を返せれば1000兆年後には政府債務は完済できます。国債の金利などの支払いを除いた国の収支をプライマリーバランスといいます。つまり、プライマリーバランスが黒字転換した状態とは、金利を払ったうえで少しずつ元本を返済していることを意味します。このように、政府の借金はその金額の多寡より、債務の維持可能性の方が重要なのです。

これが人であれば、中年サラリーマンが、それも収入がごく普通の1兆円も個人で借りてしまえば、もうそれだけで、生きているうちに返済できないことは誰にでもわかります。だから、銀行でも個人に対して1兆円ものお金を貸したりしません。

しかし、このサラリーマンが不死身であれば、話は別です。金利を払ってもらったうえで、毎年10円ずつでも返却してもらえれば、いつかは元手は戻り、それ以上になります。

個人とシステムでは借金も考え方を変えなければなりません。個人であれば、1兆円を貸さない銀行でも、企業であれば、その企業が大企業で手広く事業をやっている企業であれば、貸すかもしれません。なぜなら、企業も人ではなくシステムであり、生身の人よりも長生きする可能性がはるかに高いからです。

確かに、昔は企業の寿命30年ともいわれたことがありましたが、ドラッカー氏もそれに近いことを言っていました。しかし、これは企業の寿命が30年というよりは、一事業の寿命が30年ということだと思います。

一事業を運営するカンパニーの寿命は30年ということであり、同じ企業でも、そのようなカンパニーをいくつかもつ、コーポレートの場合は違います。あるカンパニーが消えても、他のカンパニーが生き残り、さらには新たなカンパニーを創造したりして、コーポレート全体では不死身のように長生きします。

実際にそのようなコーポレートは世界中に存在します。

さらに、人とシステムの違いがあります。孝行息子はお札を刷ることができませんが、日銀はお札を刷ることができます。お札を際限なく刷れば、いずれハイパーインフレになってしまう可能性もありますが、日本の場合はまだデフレ傾向ですから、お札を刷ったにしてもすぐにハイパーインフレになるわけではありません。

国債だって、同じことです。日本政府が本当に借金まみれで、人間の比較的短い間に死んでしまうのであれば、国債を擦り増せば大暴落ということになりかねませんが、政府は不死身なのでそんなこともありません。

こんなことを考えれば、特に難しいマクロ経済学など知らなくても、国債暴落が起こりそうもないことが良く理解できます。

それにしても、こんなことが理解できない人が、日本の経済学会を代表する学者に多数存在するというのですから、唖然としてしまいます。

マーティン・フェドシュタイン

マーティン・フェルドシュタインが指摘したように、経済的要因以外にも地政学的リスクに世界が振り回されそうです。一方で日本は、消費増税どころの話ではないと思います。財務省とその既得権益グループ主導で経済をこの不安定な環境の中で低迷させる政策を打ってどうなるというのでしょうか。

消費増税もそうですが、それを支える「税と社会保障の一体改革」路線を放棄する必要があると思います。これが日本の政治・社会・経済を駄目にしている政策の元凶です。

今年は、増税見送りなど当たり前のこととして、さらに「税と社会保障の一体改革」そのものを放棄できるように、安倍政権には頑張っていただきたいものです。

本当に、多くの経済学者やマスコミだけではなく「税と社会保障の一体改革」など無邪気に心の底から信じこむ人もいます。経営者の中にも、そういう人がいるので驚いてしまいます。ネット上でもそういう人は多数存在します。そういう人に限って、いわゆる"真面目"な人が多いです。

ホリエモンの真面目な人に対する評価は厳しい
"真面目"というと聞こえが良いですが、結局融通が効かないということの代名詞でもあります。とにかく、頑なにグロスの1100兆円の政府借金を盲目的に信じて、大変だ、大変だと騒いだり、上から目線で、アドバイスしたりします。

"真面目"な人には困ったものです。私は、この"真面目"という言葉があまり好きではありません。特に自分が他の人、特に若い女性などから、「あなたは"真面目"ですね」などと言われたら、がっかりして「自分の人生はもう終わった」と感じてしまうことと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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