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2017年7月22日土曜日

「石破4条件」の真相はこれだ!学部新設認めない「告示」の正当性示せなかった文科省―【私の論評】財務省のような粘りのない文科省の腰砕けを露呈したのが加計問題の本質(゚д゚)!

「石破4条件」の真相はこれだ!学部新設認めない「告示」の正当性示せなかった文科省

石破茂氏
 加計学園問題では、いわゆる「石破4条件」が注目された。石破茂氏が地方創生担当相だった2015年6月30日に閣議決定されたものなのでそう呼ばれているが、石破氏は、本人の名前がついていることを嫌っているようだ。

 なにしろ加計学園問題が、安倍晋三政権への倒閣運動の様相を呈しているので、政治家がピリピリするのは仕方ない。

 「石破4条件」は、獣医学部新設に関して、(1)新たな分野のニーズがある(2)既存の大学で対応できない(3)教授陣・施設が充実している(4)獣医師の需給バランスに悪影響を与えない-という内容で、16年3月までに検討するとされている。


日本獣医師政治連盟委員長の北村直人氏
 これが作られた経緯は、18日付産経新聞「加計学園 行政は歪められたのか(上)」に詳しい。それによれば、15年9月9日、石破氏は、衆院議員会館の自室で日本獣医師政治連盟委員長の北村直人氏と、日本獣医師会会長の蔵内勇夫氏に対して、「学部の新設条件は大変苦慮しましたが、練りに練って、誰がどのような形でも現実的には参入は困難という文言にしました」と語ったという。

 これが事実であれば、「石破4条件」は獣医師会の政界工作の成果だといえる。

 その根本を探すと、文科省が獣医学部の申請を一切認めないとする同省の方針に行きつく。これは、03年3月の「文科省告示」として書いてある。いわゆる岩盤規制である。これらの規制に基づき50年以上も獣医学部の新設がなかった。

 そこで、国家戦略特区の課題として、内閣府と文科省の間で、文科省告示の適否が議論された。交渉の結果として出てきたのが「石破4条件」だった。筆者の聞くところでは、この文言案は文科省から出されたようだ。

 しかし、文科省はここで大失敗をした。前述のように高いハードルを作るつもりで、学部新設をしたい者は条件をクリアして持ってこい、と考えた。つまり、4条件の挙証責任は文科省にはないという立場だ。実際、前川喜平・前文科事務次官ほか、文科省関係者はそう主張する。

 これは誤りだ。文科省の学部新設の認可制度は、憲法で保証されている営業の自由や職業選択の自由を制限するので、挙証責任は所管官庁の文科省にあるのだ。これは閣議決定された特区基本方針にも明記されている。

 つまり、「石破4条件」で書かれていることは、文科省が学部新設の申請を門前払いする文科省告示の正当性を16年3月までに示さなければいけないということだ。それが示せなければ、文科省告示を廃止または改正する必要が出る。

 「石破4条件」を検討するためには、農水省などの協力も必要だ。しかし農水省は早い段階から手を引いたらしい。その結果、文科省は16年3月までに説明ができなくなってしまった。これが真相だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】財務省のような粘りのない文科省の腰砕けを露呈したのが加計問題の本質(゚д゚)!

学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画をめぐる批判が吹き荒れる6月26日、地方創生担当相の山本幸三は内閣府での会合でこう語りました。

「この話は、去年3月末までに文部科学省が挙証責任を果たせなかったので勝負はそこで終わっている。半年後の9月16日に延長戦としてワーキンググループ(WG)で議論したが、そこでも勝負ありだった」

多数のメディアや野党は、首相の安倍晋三と加計学園理事長が旧知の仲であることから「加計ありきだった」という批判を続けています。その最大の根拠は、内閣府幹部職員が文科省職員に「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと語ったとする同省の内部文書でした。

ところが、「官邸の最高レベル」という文書の日付は「平成28年9月26日」。この時点ですでに獣医学部新設の議論は決着しており、安倍の意向が働くことはありえないです。

では、日本獣医師会の強い意向を受けて、獣医学部新設を極めて困難とする「石破4条件」が27年6月30日の閣議決定「日本再興戦略」に盛り込まれたにもかかわらず、愛媛県今治市の獣医学部新設の特区申請が認められたのはなぜだったのでしょうか。

国家戦略特区WG座長でアジア成長研究所所長の八田達夫は「4条件により制限は加えられたが、達成可能だ」と踏みました。日本再興戦略で「獣医学部新設に関する検討」という文言が明記されていたからです。

国家戦略特区WG座長 八田達夫氏
文科省は、農林水産省による獣医師の需給推計を根拠に「獣医師は足りている」として学部新設や定員増を拒み続けてきました。

八田はこれを逆手に取りました。日本再興戦略を読み解いた上で「成長戦略につながる高度な研究や創薬など新たな部門に携わる獣医師の需要が明らかになれば、クリアできる」と理屈づけたのです。

しかも日本再興戦略では「28年3月末までの検討」を農水省や文科省に義務づけました。八田はこれこそ最重要ポイントと考え、WGは両省に「再検討」を求めました。

ところが、ここから文科省は猛烈なサボタージュを始めました。八田は内閣府を通じて文科省に検討状況を何度も尋ねたのですが、期限である「28年3月末」が過ぎても明確な回答はありませんでした。結局、WG会合が開催されたのは、期限の半年近く後の同年9月16日でした。

ちなみに「需要見通し」は、「複数の微分方程式体系からなる数理モデル」です。獣医師は足りているということを文科省は微分方程式を書いて証明すれば良かったのです。しかし、これは、文系事務官僚の手に負える代物ではないです。

しかし、何も自分たちでやらなくても、省外の誰か数学の得意な人に顧問にでもなってもらいその人にやってもらえば、それで良かったはずです。そうして、その結果を他の複数の人に検証してもらえばそれで良かったはずです。でも、彼らにはそれをしませんでした。

本当は誰かに頼んで、やってもらったのかもしれません。しかし、いくら数理モデルにあてはめたにしても、本当に足りなければ足りないなりの結果しかでません。外部に頼んだにしても、外部の数理研究者なども嘘をつくわけにはいきません。

そこで、文科省は諦めてしまったのでしょう。文科省はこの点においては、財務省には負けてしまうようです。財務省の場合は、このような場合でも無理をしてでも、何とか自分たちの都合の良い資料を作り上げます。

たとえば、デフレなど景気の悪い時には、マクロ経済学的には、減税、給付金、公共工事などの積極財政をせよと教えていますが、財務省はこの教えに背いて、デフレ気味味の現状でも増税をするための根拠を何とかでっちあげています。

そうして、増税の根拠をご説明資料にまとめて、政治家やマスコミなどに足繁くかよい説明をして、その根拠をまわりに信じ込ませ、とうとう8%増税を安倍政権に実行させてしまいました。しかし、この根拠はでっちあげだったことは、増税後の大失敗ですぐに暴露されました。

この手口は、詳しく分析してみると、数理モデルを駆使するような高度なものではありません。良く分析するといくつもの錯誤の上に成り立っていることは確かです。たとえば、財政と税制の一体改革なるものを打ち出し、まともな医療や社会保障を受けたいのであれば、増税に甘んじなければならないなどと、多くの人の情感に訴えるものであったり、明らかな錯誤の上に成り立つものです。

財務省の嘘を暴く高橋洋一氏の番組
その手口の中心は、政府の負債だけに注目させて、資産を無視して、国の借金1000兆円であり、政府は借金塗れであるようにみせかけるというものです。また、統合政府という、日銀と政府を含めた尺度見た統合政府の財政状況なども無視です。これなど、民間企業では連結決算ということで当たり前になっていることですが、それが明るみに出れば、政府の借金など幻想に過ぎないということが国民知れてしまうで、財務省はおくびにも出しません。

財務省は、自分たちの省益を守り抜くには、ここまでやり抜くのですが、文科省にはこうした根気や、覚悟がなかったようです。さすがに、一流官庁といわれる財務省と最低といわれる文科省の違いです。(無論これでは、財務省も国民にとって良くはないのですが、目標に向かって執着心を持って、努力するという意味では財務省のほうが優れているという意味です)

WG会合では、新たな部門での獣医師需要について農水省は「特に説明することはない」と関与を避けました。文科省は「各大学で取り組んでいる内容だ」と従来の説明を繰り返しました。

会合の議事録には、

「家畜の越境国際感染症など、これまで対応する必要がなかった部門で需要が出てきた。新たなニーズに対応するマンパワーの増強が必要ではないか」

「新しい分野も既得権を持った大学の中だけでやろうというのはあり得ない。本来は28年3月末までに検討するはずだったのに、今になって需要の有無の結論が出ていないのは遅きに失している」

という内容が掲載されています。

委員たちは矢継ぎ早に文科省を攻め立てたのですが、同省側はひたすら4条件をそらんじるばかりで挙証責任を果たしませんでした。そこである委員が詰め寄りました。

「文科省は需要の有無についてちゃんと判定を進めているのか」

文科省は「わが省だけでは決められない。政府全体で決めてほしい」と需要推計を内閣府に委ねてしまいました。事実上の「白旗」宣言でした。山本の言う「勝負あり」とはこれを指します。

国家戦略特区で提示された、新しいニーズの創薬(トランスレーショナル・スタディ、トランスレーショナル・ベテリナリーメディシン)など、動物を用いて行うライフサイエンス研究分野では、創薬イノベーションなどは厚労省、動物実験は環境省、また水際対応など危機管理対応の必要な分野では、人獣共通感染症は厚労省、食品の安全(輸入食品を含む)は厚労省、家畜感染症が農水省の管轄です。

国際的にみても、新しい獣医師へのニーズの多くは、厚労省などに関連する職域の獣医師です。「動物で完結していた獣医学が、ヒトを意識した獣医学」へと拡大していく必要があります。また、以下の図からわかるように、現状の獣医職域の偏在の矛盾が、そのまま、新しい獣医学のニーズへの対応不足として現れている関係になっています。


前川前財務次官は、財務次官のように省益に執着して、粘ることもなく、完璧に戦いに負けてしまったのですが、その負けを認めたくなかったようです。本来なら、現役のときに、財務省を見習って獣医師需要は盤石であるとの根拠をでっちあげ、それを説明資料にして、マスコミや政治家を説得すべきだったと思います。

本来ならば、現役のときに執着して、財務省のようにどこまでも突っ走ればよかったのでしょうが、それもせずに、辞任したあとにするというのですから、負け犬の遠吠えと言われてもしかたありません。

では、この直後に作成された文科省の内部文書とは一体何だったのでしょうか。誰の目から見ても文科省はあまりに無残に敗北しました。漏洩(ろうえい)した内部文書は、省内向けの敗北のエクスキューズ(言い訳)のために作られたのでしょう。「総理のご意向」ということにすれば、省内では何とか言い訳はたちます。

では「総理のご意向」とは何でしょうかか。WGの議論では一切登場しません。強いて言うならば「岩盤規制をドリルで崩せ」という国家戦略特区の大方針を指すのではないでしょうか。

28年9月16日のWG会合で獣医学部新設の道筋は開けたかに見えたが、11月9日の国家戦略特別区域諮問会議では「広域的に獣医学部のない地域に限り新設を認める」という新たな条件が加わりました。

これには理由がありました。八田は10月末に山本にこう耳打ちしました。

「獣医師会がまた厳しいことを言ってくる可能性がある。ニーズの高い地域に絞ることで反対勢力と合意しやすくしよう」

八田は「獣医学部の定員規制そのものがナンセンスだ」と考えていましたが、座長の職務を通じて獣医師会の政治力のすさまじさを思い知りました。山本も「早く岩盤規制を突破するには仕方ないな」と渋々応じたのです。

それでも獣医師会は猛反発しました。獣医師会会長で自民党福岡県連会長の蔵内勇夫は11月22日の獣医師会のメールマガジンで「必ずや将来に禍根を残すであろう無責任な決定に対し、総力を挙げて反対して行きましょう」と呼びかけました。

蔵内らは12月8日、山本に直談判し、「新設は1カ所1校」とするよう求めました。やむなく山本も受け入れました。これにより新設は加計学園1校に絞られました。

前文科事務次官の前川喜平は「『広域的』という条件により京都産業大(京都市)が排除され、加計学園に絞られた」「行政が歪(ゆが)められた」と批判しています。

京産大副学長の黒坂光氏
しかし、京産大副学長の黒坂光は今月14日の記者会見で「広域ということで対象外となったとは思っていない」と明言した。京産大とともに獣医学部誘致を目指した京都府知事の山田啓二も同日、こう語りました。

「愛媛県は10年間訴え続けたのに、こちらは1年。努力が足りなかった」

果たして安倍政権は行政を歪めたのでしょうか。むしろ歪めたのは獣医師会であり、文科省ではないでしょうか。獣医学部の問題の本質に踏み込まず、「安倍はお友達の加計を優遇したに違いない」という印象操作を繰り広げたメディアの罪もまた重いです。

そうして、メディアは、財務省の公表した資料を吟味もせず、そのまま垂れ流すようなことが習慣になっています。そのような矜持のないメディアは、加計問題もまともに報道できないのは当たり前です。

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