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2013年12月7日土曜日

市場から消えた中国マネー4兆円の怪 ~緊迫する尖閣との関連性~―【私の論評】消えた中国マネー4兆円は、中国国内の熱銭不足の解消に遣われただけ!日本が金融緩和という最強「対中カード」を握ったことをマスコミが報道しないのはなぜ(゚д゚)!

市場から消えた中国マネー4兆円の怪 ~緊迫する尖閣との関連性~



 消えた中国マネーが憶測を呼んでいる。中国政府系ファンド『OD05オムニバス』が9月中間決算を機に、日本の主要企業の大株主から次々と姿を消したのだ。その数、判明しているだけで実に127社。今年3月期には167社(3月決算以外の24社を含む)の大株主ベスト10に登場していたのだから、まさに“激減”の言葉がピッタリである。

・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・

 繰り返せば、その中国マネーが日本市場から一気に“蒸発”したのだ。大株主から消えた企業を列挙してみると、自動車ではトヨタ、日産、ホンダ、ダイハツ、スズキ、いすゞなど、ほぼ軒並み。電機ではパナソニック、東芝、ファナック、NEC、富士通などから消えた。ゼネコンでは鹿島、大成建設、大林組、清水建設。商社では三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅。さらにJR東日本、JR西日本、JR東海、NTT、NTTドコモ、新日鉄住金、野村HD、大和証券グループ本社などからこつ然と姿を消した。

 ベスト10に残っている企業でも日立、ソニー、武田薬品、ソフトバンク、三菱重工などが3月期比で半減している。一方、銘柄としては少数ながらも石油資源開発、富士重工、マツモトキヨシなどは保有株数が増えている。他にベスト10以下にとどまり、第三者にはうかがい知れないケースがあるにせよ、ざっと時価4兆円からの大枚が短期間に市場から消えた計算になるのだから“事件”といえるだろう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 中国金融不安の影響には一応の説得力がある。今年の6月から7月にかけて「陰の銀行」と呼ばれるアングラマネーが中国経済を揺るがしかねないと問題になった。何せ約500兆円規模のボリュームを誇る。最悪の場合、中国バブルが崩壊し、「中国発の世界恐慌になりかねない」と世界の金融マンが緊張した。

 幸いにもそんな事態は回避したが、9月中間期で大量処分したということは「7月前後に決済した可能性が大きい」(証券マン)。確かにこの時期、日経平均株価は低迷していた。中国マネーによる大量の売り圧力が株価の上値を重くしたと理解すれば、当時の株価低迷も十分説明がつく。

 だが、それ以上に聞き捨てならないのが「有事に備えた叩き売り」だ。

 中国大使館は11月8日、日本在住の自国民に「自然災害など重大な突発事態に対応するため」として連絡先の登録を呼びかけた。これが明らかになったのは、中国が「尖閣諸島周辺を防空識別圏に加えた」とする同23日の直後のこと。そこへ9月末で保有株の大半が消えたことが明らかになったとあっては、「さては…」と映る。

 折も折、日本の大企業のトップらでつくる日中経済協会の訪中団は、希望した李克強首相との面会を袖にされる屈辱を味わった。こうした一連の動きが日中の緊張が高まる中で起きたのは、果たして偶然なのか。

 どうやら中国が強力な「対日カード」を握ったことだけは確かなようだ。

【私の論評】消えた中国マネー4兆円は、中国国内の熱銭不足の解消に遣われただけ!日本が金融緩和という最強「対中カード」を握ったことをマスコミが報道しないのはなぜ(゚д゚)!

上の記事何を血迷っているのか良く理解できません。中国が強力な「対日カード」を握ったことだけは確かといは、まるで理解不能です。日本大企業のトップらでつくる日中経済協会の訪中団は、希望した李克強首相との面会を袖される屈辱を味わったなど、空気の読めない愚かな判断で訪問しただけであり、彼らの動きが世の中の動きと逆行しているだけです。

日中経済協会の訪中団(左 張富士夫氏 右 経団連会長 米倉氏)
日中経済協会の訪中団(団長・張富士夫トヨタ自動車会長)は今年の3月22日、北京で李源潮国家副主席と会談しました。 
日中経協関係者によると、李氏は日本政府による沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)国有化について「両国関係にかつてない混乱を生じさせた。不正常な状態は双方に不利益があり、共倒れだ」と指摘しました。日中間の貿易や観光などに悪影響が生じ、中国経済にもダメージとなっていることを率直に認めました。 
その上で「難しい問題だが、解決に自信がある」と述べ、経済を軸にした関係改善に意欲を示しました。ただ、具体的な解決策は示しませんでした。
この時期を振り返ってみると、安部総理は、アベノミクスで包括的金融緩和を実施することを明言しており、それを実行するための日銀の黒田体制も出来あがったばかりの頃です。これについては、このブログでも掲載したことなので、その記事のURLを以下に掲載します。
黒田日銀、“実弾”100兆円投入へ! 給料アップ、株価「年内2万円も」―【私の論評】賃金上昇を信じられない人は、頑迷固陋(がんめいころう)なだけ!!これからは、インフレ圧力に頭を悩ます時代に突入するんだぜィ!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にその一部だけをコピペしておきます。
日銀の白川方明(まさあき)総裁(63)と2人の副総裁が19日退任し、20日に黒田東彦(はるひこ)次期総裁(68)、岩田規久男次期副総裁(70)ら新体制がスタートする。“黒・岩コンビ”が掲げる「2年間でインフレ目標2%」の実現に必要なマネー投入の額は50兆〜100兆円規模と識者は分析。アベノミクスの「第1の矢」である積極的な金融緩和により、日経平均株価2万円、不動産価格上昇、給料増など、日本経済大復活への道が開けてくる。
20日に、黒田体制が確立して、日銀黒田総裁が、かなりの金融緩和をすることを表明しているその直後の日中経済協会の訪中です。日本が大々的に金融緩和をすれば、中国にとっては著しく不利になることは、目に見えてみました。こんなタイミングで訪中するとは、本当に空気が読めないとはこのことです。中国側からすれば、日本が金融緩和をすると発表したばかりのタイミングで日本の民間企業の訪問団が来ても、「何しに来やがった」くらいの感覚しか持たなかったと思います。

そもそも、日中経済協会は、日本の金融緩和が中国にとって、どのような意味を持つのか、全く認識していなかったのだと思います。彼らは、マクロ国際金融のことなど全く知らず、自分たちが最悪のタイミングで中国を訪れているなどという感覚はまるでなかったのだと思います。

黒田氏は、総裁になる前から、金融緩和をする旨を発表しており、 この金融緩和について、中国人民銀行の周小川が、苛立ちのメッセージを発していました。これについても、このブログで過去に紹介していますので、その記事のURLを以下に掲載します。
中国人民銀、日銀の追加緩和にいら立ち 過度の資本流入懸念−【私の論評】中国の経済破綻が始まる?!日銀を何とかしなければ、日本は草刈場になる!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、日本の金融緩和に対する中国人民銀行(中国の中央銀行)の周小川が強い懸念を示したことを掲載しています。
中国人民銀行(中央銀行)が日銀が19日に決めた追加金融緩和にいら立ちをみせている。人民銀は19日夜、5カ月前の周小川総裁の講演内容を突然、ホームページに掲載。大規模な金融緩和策について「将来のインフレ、新興市場への過度の資本流入などの問題を招く」と指摘する内容だ。中国経済が減速するなか、人民元高などにつながりかねない先進国の金融緩和拡大を暗に批判した形だ。 
掲載したのは、4月28日の講演。周総裁は「中央銀行は水路を通じて特定の干上がった田畑に水を流そうと考えるが、実際には単に大量の水を放出し、一部が必要な田畑に届くと信じるだけだ」と指摘。中国ではインフレ懸念がなおくすぶり、簡単には追加緩和に動けない。先進国であふれたマネーが流入し、国内経済が一段と不安定になる恐れがある。「5カ月前の講演」を使った遠回しな先進国批判には、難しい政策運営を迫られる人民銀の悩みが透ける。
さて、上の記事だけでは、なぜ日本の金融緩和が、中国にとって都合の悪いことなのか、理解しにくいと思いますので、若干の説明を以下にさせていただきます。

日本が包括的な異次元の緩和を行う前の中国を支えていたのは為替操作によるキャッチアップ型の経済成長であり、円高とデフレを放置する日本銀行によるものです。からくりはこうです。

慢性的な円高に苦しむ日本企業は、過度な「元安」政策をとる中国に生産拠点を移し、出来上がった製品の一部を逆輸入しています。国内で一貫生産するより、わざわざ中国を経由した方がもうかる構造になっていたのです。つまり日銀は、「デフレ政策で日本の産業空洞化を促進し、雇用と技術を中国に貢ぎ続けた」ことになります。

これ以上、日本経済が中国に振り回されないで済むにはどうしたら良かったのか。答えは簡単でした。日銀にデフレ政策をすぐやめさせることでした。そうして、実際に日銀の金融政策は、黒田日銀になってから180度転換しています。

さて、中国では、日本の金融引締めによる、超円高・元安という恵まれた経済・金融環境の中で、中国人が海外に蓄えた大量の資金を中国国内に再投資(熱銭)して、さら儲けるということが行なわれていました。まさに、大儲けです。

熱銭については、このブログでも以前紹介したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。これは、4月の記事です。周小川の懸念がまさに現実化しました。
これも詳細は、この記事をご覧いただくものとして、熱銭に関連した部分のみ以下にコピペさせていただきます。

 
 中国が円安の衝撃を和らげるためには人民元を切り下げるしかない。中国は通貨の自由変動相場制をとっている日米欧と違って、外為市場介入によって人民元相場の変動幅を小さくする管理変動相場制をとっている。 
従って、人民元を当局の意のままに切り下げることもできるが、米国は中国が意図的に人民元をドルに対して安い水準になるよう操作していると批判している。切り下げると、米国から「為替操作国」だと認定され、制裁関税を適用されかねない。 
中国自身も国内事情の制約を受けている。というのは、中国の党幹部とその一族や大手国有企業はこれまで国外でため込んだ巨額の外貨を、中国国内に投資して不動産や株で運用してきた。これらが「熱銭」と呼ばれる投機資金であり、その流入によって不動産バブルの崩落は食い止められ、株価も崩壊を免れている。 
通貨当局はこれまで熱銭を国内にとどめるためもあって、人民元レートを小刻みに切り上げてきたが、一転して人民元切り下げ政策に転換すれば、1000億ドル単位の熱銭が国外に逃げ出す恐れがある。アベノミクスによる円安に対し、中国はどうにも動けない。
このアベノミクスによる円安により、中国投資の魅力が失せて、実際に中国内の熱銭が底をつきはじめたというわけです。特に、この7月頃ではかなり熱銭が減ったとみられます。ただし、このことは、当然のことながら、中国政府はひた隠しに隠すでしょうし、中国様の弱点は日本のマスコミは報道しないので、中国熱銭源枯渇など私も、情報としてはある程度知っていましたが、そのエビデンスについては知りませんでした。

しかし、このブログの冒頭の記事をご覧いただければ、今振り返ってみると、よく判ります。

上の記事では、"9月中間期で大量処分したということは「7月前後に決済した可能性が大きい」(証券マン)。確かにこの時期、日経平均株価は低迷していた。中国マネーによる大量の売り圧力が株価の上値を重くしたと理解すれば、当時の株価低迷も十分説明がつく。"とあります。

これは、まさしく、中国政府の中国国内の熱銭不足への対応です。これをもって、中国に4兆円超の資金を投入したか、その準備をしたということです。無論中国政府は、そんなことはおくびにだしませんが、熱銭不足で、中国の不動産バブルが崩壊したりするのを防ぐ目的で投入されたものと考えられます。

何とか、急場をしのぐために、必死で準備したのでしょう。日本株など、これからデフレ収束にむかえば、さらに価値が上昇する可能性も十分ありますが、そんな呑気なことは言ってはおられなかったのでしょう。これは、日本側の理由によるものでもなく、ましてや中国の外交カードなどとは何の関係もありません。銭がなくなったので、当座をしのぐために、準備をしたということです。元を刷りませば、インフレが亢進するため、熱銭がますます入らなくなるため、苦肉の策だったのだと思います。

この熱銭不足、実は、最近解消されました。その解消方法というのが、いかにも中国らしいのですが、それに関しては、このブログでも以前紹介したので、その記事のURLを以下に掲載します。
【ビジネスアイコラム】不正マネーを取り込む中国式改革 ―【私の論評】民主化も、政治と経済の分離も、法治国家化もされてない中国は、分裂の危機にある!人民解放軍瀋陽軍区の動きに着目せよ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に中国流の熱銭不足解消法の部分のも掲載させていただきます。
中国共産党は先の第18期中央委員会第3回総会(3中総会)で、「全面的な改革深化」を決議した。西側メディアは一斉に、政治改革なしの経済自由化の限界を警告したのだが、ないものねだりだ。実利優先の党官僚は利権拡張の餌により不正マネーを取り込む成長モデルにギアシフトした、とみるべきだ。 
早い話、李克強首相の主導で上海に「自由貿易区」が9月に設置されたが、大幅に規制が撤廃された同区の進出企業234社のうち外資は21社に過ぎず、大半は国有企業である。党中央が国家全体の予算と金融を支配し、地方政府と国有企業に資金を配分、党官僚が支配する地方政府や国有企業がそのカネを投資して、開発や生産に関与して収益を上げるというシステムの中での、自由ビジネス特区であり、主要プレーヤーは党官僚なのである。 
党官僚は「市場重視の改革」、すなわち経済自由化で利権拡張の機会を得るので、不正資金は今後さらに膨張する。不正資金は、香港経由などで海外にいったん移されたあと、「外資」を装って還流する。大半は投機的で「熱銭」と呼ばれ、規模は半端ではない。
さて、中国は、日本株式を手放し、4兆円の当座資金を用意し、さらに、自由貿易区を開設して、「熱銭」流入をはかったわけです。とにかく、中国は、「4兆円の当座資金」+「不正熱銭取り込み策」で一息つくことはできたわけです。

ちなみに、日本から消えた中国マネーは、緊迫する尖閣との関連とはまったくなさそうです。なぜなら、中国の在留邦人などからは、中国が「戦争の準備をせよ」などと軍が新聞などで呼びかけても、まったく準備している様子がないことでも明らかです。

日本市場から消えた中国マネー4兆円は、やはり、熱銭不足の対応に遣われたとみるべきでしょう。

それにしても、このどこが、中国が強力な「対日カード」を握ったことになるのでしょうか。日銀は、これから、デフレが解消されるまで、金融緩和を続けます。今月中にも、再度日銀は新たな緩和策をうちだすかもしれません。

そうなれば、さらに円安は亢進するわけで、これから先中国は常態的に熱銭不足に悩まされることになるわけです。であれば、これは、日本が強力な「対中カード」を握ったことになるではありませんか?しかし、これは、見方によれば、何と素晴らしいことではありませんか。日本は、経済の癌といわれる、デフレを是が非でも、解消しなければなりません。デフレは、通常の経済の循環を逸脱する異常状況であり、必ず是正しなければならないものです。この対策が、金融緩和であり、中国の熱銭不足を助長するのです。

これは、一見中国叩きのようにみえますが、そんなことはありません。今までの中国がおかしかったのです。日本のデフレによって、成長した中国は歪です。本来もっとやるべきことがありました。民主化、経済と政治の分離、法治国家化です。日本や、他の先進国は、これを実施することにより、経済的中間層を多数生み出し、これらの活発な経済・社会活動をすることにより、経済成長をしてきました。ただし、最近このことが日本や、他の先進国でも忘れ去られているところがありますが、これは、誰もが否定しえない、事実です。中国も本当の意味で中間層を育てなければ、もう先がありません。貧富の差が広まるばかりで、人民の憤怒のマグマはさらに煮えたぎるばかりです。

中国で崩壊した新築マンション

中国は、このブロセスを欠き、特に最近は、日本の金融引締めによる、日本国内のデフレと、円高、および海外から熱銭で発展することができました。この異常な状態にもとうとう終止符が打たれたようです。中国政府による不正熱銭取り込み策という改革は、いつまでも続けることはできません。いずれ終焉します。そのとき、経済が崩壊し、中国は、はじめて日本や他の先進国がたどってきた道を辿ろうとすると思います。ただし、そのときは、現体制の中国ではありません。新たないくつかの中国によって、行なわれることになると思います。

意外と、中国の分裂は、あのあっけないソ連崩壊のように、多くの人々が考えているよりは、はるかにはやいかもしれません。それにしても、日本は金融緩和という「対中カード」を握っているというのに、それをマスコミは報道しないばかりか、上のようなミスリードすらします。このような報道はもうたくさんです。情報を集めて推理しなくても良いように、中国の真の姿そうして、日本の真の姿を報道していただきたいものです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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