2010年2月8日月曜日

キリン「株主の理解得られず」=「比率が理由」とサントリー−両社長、破談「残念」-ブランド価値をどう見るか?

キリン「株主の理解得られず」=「比率が理由」とサントリー−両社長、破談「残念」(この内容すでにご存知の方は、この項は読み飛ばしてください)

キリンホールディングスとサントリーホールディングスの統合交渉決裂を受け、両社の社長が8日、それぞれ都内で記者会見した。加藤壹康キリン社長は決裂となった今回の結論について「大変残念」と述べた上で、統合比率などで双方の意見の隔たりは埋まらず、サントリーとの統合は「上場会社として株主や顧客、従業員から理解、賛同を得られないと判断した」と説明した。

佐治信忠サントリー社長は「破談の理由は統合比率。残念だ」と語った。また、キリンとの交渉が決裂したことで「単独で生き残るのは容易ではない」として、海外企業も含め新たな提携先を探す考えを示した。(この内容すでにご存知の方は、この項は読み飛ばしてください)

加藤社長は、交渉決裂に関し「経営の独立性・透明性を担保した上場会社という前提で、経営を行うことについて認識が一致しなかった」とも述べた。焦点の統合比率をめぐる対立の中身については「守秘義務がある」として明言を避けた。

サントリーは統合後の創業家の持ち株比率を3分の1超とするよう求めていたが、「3分の1より上か下かという点が交渉終了の直接的理由ではない」と指摘。交渉の中で「当初とは異なった要望、見解が(サントリー側から)出され、溝が埋まらなかった」という。

一方、佐治社長は、キリン側がサントリーの要求通りに統合すると、「上場会社として経営の独立性・透明性が担保できなくなる」と主張していることに対し「何をもって透明性がないと言っているのかさっぱり分からない」とやんわり批判した。

ブランド価値どうみるか?
■本質はブランド価値の見方の相違か?
この統合の失敗、各々が異なる見解を出していますが、私は失敗の本質は、ブランド価値の見方だと思います。

簡単にいうと、キリンビールは典型的な製造業であり、ブランド価値も見ることはみるのでしょぅが、それよりも目に見える価値ととか、株価などを大きく評価する傾向があるのだと思います。

一方サントリーは、長年にわたって、自分たちの会社のブランド、いわゆるコーポレート・ブランドはもとより、各々商品のラインのブラントなどにかなりこだわりがあるのだと思います。おそらく、サントリーは、ブランド価値という見えない資産価値についても、自ら測る能力を持っているのだと思います。特にサントリーというコーポレードブランドに関しては、かなりこだわりを持っているのだと思います。

コーポレートブランドは、製品やサービスのブランドではなく、コーポレートそのものに対するブランドのことです。そのコーポレートが持つイメージや信頼度からなり、同グループの事業会社や事業そのものの重要な競争力の源泉ともなっています。まさしく、サントリーは自らのブランド価値を高めることに関心があるのです。今回の統合でも、企業規模どうのこうのというよりは、自らのコーポレートブランドを高めることに主眼があったのだと思います、

■コーポレート・ブランドは第五の経営資源
コーポレートブランドは、人々がコーポレートに対して抱くイメージを決定づける無形の個性でもあります。それはコーポレートを他と差別化し、圧倒的な存在感と信頼感を人々に与えます。高いブランド価値を商品やサービスを通じて顧客に提供し他では味わえない深い満足感と価値を感じていただく。その結果、顧客はファンとなり、企業に長期安定的もしくは長期逓増的なキャッシュフロー(現金収支)をもたらします。それは2つの点で株主にとっての価値を高めます。1つはキャッシュフローの水準が高かまること、もう1つは資本コストを引き下げることです。

さらに、高い価値を持つブランドは従業員に高い報酬や誇り、夢を与えます。このようにコーポレートブランドは、主要な利害関係者である顧客、株主、従業員のそれぞれの価値を連結し、3つの間に相乗効果を生み出し、その結果、企業価値を高める原動力となります。その意味でヒト、モノ、カネ、情報に次ぐ「第5の経営資源」と言えます。この第5の経営資源は長期経営計画においては、無形の知的財産であるコーポレートブランド価値を競争力の源泉として「継続企業価値」を向上させます。

■上場会社か非上場会社であるか、あるいは同族である、そうではないというのは本質ではない
キリンは、上場開会社であり、サントリーは非上場で同族企業です。これらの違いを重視する人もいるかもしれませんが、私はその違いも多少はありますが、本質ではないと思います。

サントリー側としては、キリンのあまりブランドを重視しない考え方にはついていけなかったのだと思います。キリンの側も、サントリーのブランドのこだわりを理解出来ないのだと思います。

ここで、業種は全く異なるし、上場企業なのですが、自らのブランド価値をかなり重視する企業をあげてみしょう。それは、皆さんもご存知「資生堂」です。資生堂では、今から10年以上前までには、ブランドが多すぎて、同一企業内に何と30種類ものブランドがあり、ブランドの管理や、ブランド価値の維持のために多大な経費を要するようになり、業績も落ちてしまいました。しかし、現在では、ブランドを十数種類に絞り大成功を収めています。

資生堂のブランドの一つANESSAのポスター

資生堂では、数年前にもその内容が中小企業診断士試験にも出題されてたのですが、ブランドマトリクス評価という方式で、ブランドを評価しています。


各々のブランドを、上記のようなマトリクスで評価しています。どのブランドにどの程度の資源を割り当てるのかとか、それこそ、廃止や、新規ブランドの創造や、整理・統合なども行っています。

サントリーは、上場会社ではないため、あまり多くの情報が開示されることがないので、資生堂のようにブラント価値を計測しているかどうかは、わかりませんが、私おそらく、方法は異なるかもしれませんが、おぞらく実施していると思います。

もし、今回の経営統合先が、キリンではなくて、資生堂のような考えを持っているような会社であれば、統合もうまくいったのではないかと思います。

最近の企業の競争力の源泉は、いわゆる資産など眼に見えるモノから、ブランド価値など目に見えない資産に移ってきています。

だから、私としては、ブランドを大切にするサントリーのほうが、これからは伸びるような気がします。

もし、サントリーが、資生堂のようにブランドを大事にする企業と経営統合することができれば、世界でも有数の企業が出来上がるのではないかと思います。それは、別に資生堂のように日本の企業でなくても構わないと思います。むしろ、欧米の企業では、いわゆるブランドを大事にします。歴史的にいえば、ブランドは、産業革命の時期に食の安全を保証するという意味で生まれてきたと言う経緯があります。サントリーは、グローバルな観点からも、統合先を探すべきではないでしょうか?








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2 件のコメント:

deniz さんのコメント...

サントリーがこれまで築いてきた企業価値=ブランドに対する両社の認識はきっと大きかったのだろうなと本当に思います。
サントリーが国内外の同業で「資生堂」の様な企業をみつけることができるのか,注目して行きたいですよね。

山田 豊 さんのコメント...

deniz様 コメント有難うございます。キリンがブランドを軽ろんじているということは、ないと思いますが、キリンは三菱系ですが、サントリーはもともと老舗でオリジナルです。こういうところからも、暖簾に対する思い入れは相当なモノだと思います。
なお、キリンに関しては、ブランド・ポートフォリオはやっていないようです。ただし、パテント・ポートフォリオをやっているようです。やはり、製造業ということですか?

これからも、お気軽にお立ち寄りください。

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