2015年8月6日木曜日

増税派に堕ちた自民党大物議員がアベノミクスを潰す!?―【私の論評】財政再建も安保法制も何でも、周りの空気に流されるな!地頭で考え抜け(゚д゚)!


連載10【不安の正体――アベノミクスの是非を問う】

▼増税派に堕ちた自民党大物議員 稲田朋美議員 
写真は、ブログ管理人挿入 以下同じ

 あなたもか! 稲田さん。

 これは6月12日、自民党の稲田朋美政調会長の「財政健全化を経済成長に頼るのは雨乞いのようなものだ」という発言を聞いたときの、率直な感想です。私は稲田氏に大きな期待を寄せていました。というのも、保守の代表格であり次期首相の有力候補、つまりアベノミクスの後継者と目されている大物議員です。期待するなというのが無理な話です。

 その稲田議員が、アベノミクスの考えとは真逆の「日本ダメ論」「日本成長しない論」を展開したのですから、期待は完全に裏切られてしまいました。本当に情けない限り。絶望するしかありません。

 自民党内の稲田氏のような大物議員が「増税派」に寝返ってしまうと、ほかの議員もそれに追従し、増税包囲網が完成しかねません。2013年10月に行われた8%への増税判断もそうでした。これまで強く増税に反対していた山本幸三、西田昌司両議員が突然増税を容認し、自民党内が増税一色に染まり8%増税を押し切られたのは記憶に新しいところです。



「あなたもか!」というは、あの忌まわしき記憶がフラッシュバックしたためです。再び10%の増税も押し切られてしまうのでしょうか……、それだけは絶対に避けねばなりません。

▼日本以外の国は経済成長している

 稲田政調会長の発言を要約すると、「日本の経済はもう成熟しきっており、構造的に成長できなくなっている。だから経済成長による自然増収に頼った財政健全化は無理」だと言いたいわけです。

 しかし、これは間違っています。日本は構造的に成長できなくなったのではなく、ただ単にこれまでの経済政策が誤っていたので経済成長できなかっただけにすぎません。

 図1のグラフは2003年から2013年までの先進各国の名目GDP成長率を比較したものですが、この間成長がマイナスとなっているのは日本だけです。それ以外の国は当たり前のように経済成長しています。

⇒【グラフ】はコチラ nikkan-spa.jp/?attachment_id=905913


 もし仮に、「日本経済が成熟しきっているから成長できない」という主張が本当なのであれば、経済成長を続けている他国は、日本よりはるかに未成熟な国だということになります。はたして日本はもっとも経済的に成熟している国なのでしょうか? 普通に考えてそんなことはありません。

 しかし、「成長に期待するのは雨乞いと同じ」だと稲田政調会長はおっしゃっているので、他国は雨乞いを成功させたのでしょう。日本はお祈りが足りなかったのかもしれません。

▼人口減少は成長できない理由にならない

「日本はかつて高度成長を成し遂げられたのは、人口が増加していたからだ。人口減少に突入した現在ではこれ以上の成長は望めない」

 ほかにも、「日本ダメ論」を主張する者は、こういった人口減少を理由に挙げることが多いです。確かに人口の増減は経済成長に影響を与える要素の一つですが、経済成長のすべてが人口の増減によって決まるものではありません。要は、国民一人あたりの労働生産性を高めていけば、たとえ人口が減っていたとしても経済成長は可能です。

 例えば、ドイツは2003年→2013年の10年間で人口が2%以上も減りましたが、GDPは26%成長しています。対して日本は、人口減少時代に突入したとはいえ、まだ0.22%程度しか減っていません。しかし日本のGDP成長率は-3.25%です。

人口増加率  GDP成長率
日本    -0.22%   -3.25%
ドイツ   -2.14%   26.72%
(※2003年→2013年の変化率)

 日本よりも人口が減っているドイツは経済成長しています。日本が成長できない理由はどこにもありません。

 はっきり言ってGDPは政府が余程のヘマをしない限りは成長するものです。現に過去10年で経済成長していないのは日本だけ、「日本は経済成長しない論」は経済学的にも明らかにおかしく、政府による経済政策を完全に否定しています。政府は無力だと言っていることと同じです。政治家がそれを言ってしまってはオシマイでしょう。そして、その日本が犯したヘマこそが、稲田政調会長が必要だと主張している「緊縮増税」です。

▼増税こそが日本の成長を止め、財政を悪化させる

 ギリシャの緊縮増税の影響については前回の記事「『増税しないと日本もギリシャになる』は真っ赤な嘘」で説明しましたが、日本もギリシャほど過激ではないものの緊縮増税をずっと続けています。その代表的な例が1997年に実施された消費税率の3%から5%への引き上げです。この消費税の増税以降、日本の経済成長は完全に止まってしまいました(図2)。

⇒【グラフ】はコチラ nikkan-spa.jp/?attachment_id=905914



 増税をする1997年までは日本も経済成長を続けていたのですが、増税後に一気にマイナス成長に突入しています。

 要するに1997年に増税をしなければ、日本は他国と同様に経済成長していた可能性が非常に高いのです。日本の経済低迷の原因は増税の失敗です。消費税の増税を止めるか、もしくは減税すれば確実に日本の経済は成長することでしょう。

 これのどこが「経済成長への期待は雨乞い」なのでしょうか。日本経済の息の根を確実に止める「増税」を行って、どうやって日本国民を豊かにすることができるのでしょうか、稲田さん!

▼経済成長による財政健全化の効果が現れ始めている

 実は稲田氏が「雨乞い」と批判するアベノミクスによる経済成長は、日本の財政を着実に改善させています。

 内閣府は経済財政諮問会議にて、2020年の基礎的財政収支が6.2兆円に縮小する見込みであるという中間報告をまとめました。赤字額は今年2月時点の試算の9.4兆円から3.2兆円縮小するとのことですが、この2020年の基礎的財政収支の縮小改訂は今回が初めてではありません。黒字化目標を掲げてから何度も改訂を続けています。

 2020年度基礎的財政収支の赤字額の試算推移は以下のとおり。

2014年1月 約12兆円
2014年7月 約11兆円
2015年2月 約9.4兆円
2015年7月 約6.2兆円

 すでに当初の試算よりも6兆円近く税収が上振れしています。この税収の上振れはアベノミクスによる経済成長により法人所得税が伸びたおかげでしょう。消費税1%の税収は約2兆円と言われていますので、すでに消費税3%分税収が増えているということになります。

 つまり、2017年には8%から10%への消費税の増税が予定されていますが、その増税分の税収はもうとっくに経済成長によって達成できてしまっているのです。しかも、この調子で経済成長、企業の業績改善が続けば赤字額は今後も縮小していくものと思われます。

 これのどこが雨乞いなのでしょうか? 確実に経済成長によって財政健全化が前進しているではないですか。

 また、消費税10%の税収はすでに確保できているのですから、増税する意味や大義名分はもはやありません。景気を悪化させ、国民の生活を苦しめるだけの10%への増税は速やかに凍結するべきです。

▼「雨乞い」発言は誰の入れ知恵か

 しかし稲田氏は法学部出身であり、経済財政は専門ではありません。よって、この「雨乞い」発言は誰かの入れ知恵であると思われます。この発言は誰が言わせたものなのか……これは恐らく、稲田氏の経済ブレーンである土居丈朗慶応大学教授で間違いないでしょう。土居氏は強硬な「増税派」の経済学者として有名で、氏の助言を普段から聞いていれば、稲田氏が緊縮増税に肯定的になっても不思議ではありません。


土居丈朗慶応大学教授

 ちなみに土居丈朗氏のトンデモ増税論の一部を紹介すると「増税しても景気は悪化しない」「2014年の景気の失速は野菜不足(供給側の問題)が原因である」などがありますが……、素人目で見てもこのようなことはありえないことは明白です。こんな妄言に騙されるなんて、稲田さん本当にどうしてしまったのでしょうか非常に残念でなりません。

 しかし、ここで諦めるわけにはいきません。次回は稲田政調会長を狂わせた土居氏のトンデモ増税理論に切り込んでいきたいと思います。

◆まとめ
・他国は当たり前のように経済成長している
・人口が減少しているドイツの成長率は日本よりも高い
・日本が成長できないのは構造的な問題ではなく、消費税増税などの経済政策のミス
・経済成長による財政健全化の効果はすでに出ている
→2020年の財政赤字試算額は縮小中
・稲田氏は土居教授のトンデモ増税論に毒されている

【私の論評】財政再建も安保法制も何でも、周りの空気に流されるな!地頭で考え抜け(゚д゚)!

上の記事、データも含めて良くまとまってるので、全文引用させていただきました。

最近の政治の話というと、安保関連がほとんどで、財政再建や増税に関しては影をひそめたような形になっています。

そもそも、8%増税は完璧に失敗であったにもかかわらず、大増税キャンペーンをして、8%増税を成功させたにもかかわらず、昨年12月の安倍総理の解散総選挙による10%増税見直しの逆襲にあって、頓挫を余儀なくされた政治家も、官僚も、マスコミもそうして識者も、一息ついている状況にあります。

特に、マスコミが増税推進一色であったため、今更増税は大失敗であったと報道するわけにもいかず、事実を淡々と報道するのみで、どのマスコミも自身の見込み違いについて報道するわけでもく、官僚も識者も右に倣えで、大失敗に関しては、口をつぐんでいます。

なにやら、多くの国民も、喉元すぎれば熱さを忘れのような状況にあり、マスコミが沈黙しているので、増税の悪影響があったことをあまり重要に考えていないようです。

これは、最近見たいくつかの企業の決算書などみても明らかです。円安のことは書いてあっても、8%増税の悪影響については書かれているものは意外と少ないです。このような決算書を読んでいると、増税の悪影響などなきがごとしです。このような決算書を発表する企業の経営者は、ひよっとすると増税の悪影響を本当に軽視しているのかもしれません。

そのせいもあってか、増税派が息を吹替してきたような様子が見られます。

その中でも、稲田朋美議員の増税派への転向は目立った動きであると言えると思います。

デフレの悪影響から抜けきっていない状況で増税をしてしまっては、結局のところ財政再建もできなくなることははっきりしています。それについては、このブログでも以前とりあげたことがあるので、その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】経済成長なくして財政再建なし 歳出カットのみ主張なら財務省の術中―【私の論評】財務省・内閣府の嘘吐き官僚には、徹底した報復人事を行い、政治主導を達成せよ(゚д゚)!
過去においては日本だけが経済成長できず、財政赤字も増えた
 自民党の財政再建に関する特命委員会は、5月中にも財政再建計画をまとめる方針だ。基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2020年度に黒字化する政府目標について、「経済成長だけでめどがたたないことは明らか」として、社会保障など歳出削減を議論の中心に据えると報じられている。 
 財政試算は内閣府が行っているが、筆者が小泉純一郎政権にいた当時は、竹中平蔵氏が経済財政担当相を務めていたこともあり、財務省にかなり対抗することができた。だが、今の体制では、財務省に自由自在にやられているのだろう。 
 財政再建シミュレーションでは、税収の見積もりが重要になってくるが、そのカギになるのは、税収の弾性値(名目成長率の伸び率に対する税収の伸び率)と名目経済成長率である。 
 税収の弾性値は、中期財政試算では、1・1程度に設定されているのだろう。実際には、景気の回復局面では税収弾性値は3~4程度になって、景気が巡航速度に達するにつれて低下し、1・1程度に近くなる。このため、景気回復局面での税収の伸びの試算が現実値を下回ることがしばしばである。 
 また、日本の消費者物価指数(CPI)上昇率と、総合的な物価動向を示すGDPデフレーターには1%の差があるという前提も問題だ。このため、インフレ目標が2%でも、名目成長率は少しずつ上方修正されているが、政府目標では実質成長率2%、名目成長率3%になるというのが、中期財政試算の考え方だ。 
 1981年~2013年のデータがある先進国28カ国で、「CPI総合-デフレーター上昇率」をみると、平均で0・09ポイントである。日本で、CPIの方がデフレーターより大きくなるのは、デフレ時のデータのためだ。デフレ時にはCPIは下がりにくいが、企業物価は下がりやすいからである。 
 このような税収弾性値とGDPデフレーターの計算をまともにするだけで、2020年から23年度ぐらいには財政再建はできてしまう。これは決して楽観的な前提ではなく、普通の前提である。
この論評は、高橋洋一氏はあまりにも当たり前なので、無論のこと、経済成長して日本経済が加熱して、はっきとりとインフレにならない限り、増税はしないということを前提としています。物価目標を完璧に達成するまでは、金融緩和を継続することを条件としています。

そうすれば、経済成長して、他は何もしなくても、財政再建ができてしまうということです。

もし、これを無視して、物価目標が達成される以前に10%増税などしてしまえば、8%増税の大失敗でも実証されたように、また消費が落ち込み、経済成長が鈍化して、財政再建もままならない状況に追い込まれるということです。

これは、ブログ冒頭の記事の検証も示しているとおりですし、まともな経済学者などが指摘しているところです。そうして、これは何も突飛な内容でも何でもなく、標準的なマクロ経済の教科書に掲載されている方法です。

デフレと、デフレの悪影響から脱却するための標準的な処方箋です。

さて、稲田朋美議員の経済ブレーンである土居丈朗氏が過去にどのようなことを主張していたか、このブログにも掲載した内容をそのリンクとともに以下に掲載します。

【田中秀臣氏TW】財務省は「人殺し」の機関の別称だといって差し支えない―【私の論評】政治主導を実現するため、財務省殺人マシーンは分割して破壊せよ!日銀殺人マシーンの亡霊を蘇らせないために、日銀法を改正せよ(゚д゚)!
未来の殺人マシーン、ターミネーター。もっとも財務官僚はこんなに格好良くはないが・・・
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に土居丈朗氏の発言に関係する部分のみ引用します。
本田悦朗教授は財政再建や市場の信認のためには「消費増税よりも、名目国内総生産(GDP)を上げることが重要だ」と正論を述べた。税収が経済成長率の3、4倍で伸びる「弾性値」を重視したわけだが、土居丈朗・慶大教授が弾性値は1.1%程度という財務官僚の側に立って反論した。実際の弾性値は2007年当時の内閣府の試算でも4%以上という分析があるし、2013年度までの数年間の実績値も3〜4%と出ている。
この内容からもわかるように、土井氏は完璧に、財務官僚の立場にたった主張をしています。
「2%インフレ目標未達」の批判は誤解で的外れ―【私の論評】復興を税で賄おうとか、8%増税の失敗を認めたくない輩の多いこの国で、いつまともな経済論議ができるようになるのか?間違いを認める潔さのない人々のリストはこれだ(゚д゚)!
2月23日、黒田東彦日銀総裁は、衆議院予算委員会で、原油価格が緩やかに上昇するとの
前提に立てば下落の影響がはく落するに伴い、消費者物価は上昇していくとの見方を示した。


これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、高橋洋一氏の以下のようなTweetを掲載しました。
これは、いわゆる日本の主流派経済学者といわれる人々の、主張に関して、復興増税導入は課税平準化の観点から完璧に誤りであったこと、8%増税に関しては、経済成長に与える影響が軽微であるとの誤った主張をしていたことから、彼らの言うことは信用できないという主張です。全く、この通りだと思います。

そうして、高橋洋一氏は、日本の主流は経済学者のリストをあげていますが、その中には無論、土居丈朗慶応大学教授の名前も含まれています。

土居氏は、過去にアゴラに以下のような記事を掲載しています。
再増税慎重論・反対論に問われる説明責任
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下のこの記事の核心部分のみ掲載させていただきます。

再増税慎重論・反対論に問われる説明責任とは、少なくとも次のようなものである。 
 問われる説明責任は、基本的に、予定通りに引き上げるよりも引き上げない方が、現在および将来の国民にとって確実に望ましくなるといえるか、である。より細かく言えば、 
(1)消費税率を予定通りに引き上げないことによって景況の改善が確実に見込めるか 
(2)消費税率を予定通りに引き上げないことによって、今の高齢世代には、現行法に基づき社会保障給付を予定通り支給するものの、追加的に税負担を求めることができず、受益と負担の世代間格差は拡大するが、世代間格差是正の別の手立てを示せるか 
(3)消費税の増税分で実現しようとしていた社会保障給付の充実はご破算となるが、それを代替する対処方針を納得できる形で示せるか 
(4)消費税の増税分の一部(地方消費税)は地方自治体の税収となるが、これがなくなることで生じる地方財政の収支悪化に、国としてどう対処するか 
 少なくとも、これらを説明できなければならない責任を果たしたとは言えない。

本当に噴飯ものの記事です。デフレ・円高派の実力なんてこんなものかと、呆れるばかりです。


土居 丈朗の戯言には15分もあれば十分論破できます。以下に簡単に反論してみましょう。

(1)景況の改善が見込めるか

8%増税をやめれば可処分所得(実際に使えるお金)が増えるのですから、消費が増えます。以上で終了。

増税で見込んでいた皮算用=負担で13.5兆円と仮定し、 平均消費性向が0.7だとしたら、13.5兆円の70%で9.45兆円も消費が増えます。単純計算で実質経済成長率を1.89%押し上げるでしょう。乗数効果を加味すればそのより多く増えることも十分可能性があります。

(2)世代間格差是正の別の手立て

消費税は社会全体の消費を減らすので、そのしわ寄せが来るのは、これから就職や転職する若年層です。高齢者層は雇用不安など無関係だから景気悪化しても痛くも痒くもありません。したがって、むしろ消費税増税で、世代間格差は拡大します。その証拠が1990年以降の失われた20年です。そして、消費税の税率引上げをしても税収が増えないことは1997年の消費税率引き上げで実証済みなので、消費税率引き上げは国民全体の負担を増やすだけの愚策です。アジア通貨危機も日本がやった1997年の数々の失政が原因でした。

(3)社会保障給付の充実の対処方針

むしろ消費税率引き上げでご破算になる可能性が大です。もし、社会保障給付を安定させたいのなら、目標インフレ率を引き上げて日銀法改正をすれば良いです。所得税や法人税から得られる税収が増えます。


(4)地方財政の収支悪化にどう対処するか

むしろ消費税率引き上げによる景気悪化(デフレ化)が防げるので、地方財政の収支改善に資する。

以上のように簡単に反論ができます。残念ながら、今は増税した後ですが、増税前でもこのくらいのことは簡単に言えたと思います。

それにしても、そもそも、増税したいと言い出したのは、増税派ですから、説明責任(立証責任)は増税派にあります。まず、以下の説明責任を果たしてもらいましょうか。


(1)消費税率を引き上げることによる景況の悪化はいつ止まるのか。失われた20年が始まったキッカケの一つが1997年の消費税導入です。それ以降、日本はまともな回復していません。それ以降、実質経済成長率も低いままです。日本人はいつ景気回復を実感できるようになるのでしょうか。

(2)消費税率を引き上げるたびごとに景気が悪化し、税収が増える見込みもなく、雇用も不安定になり、若年層の生涯収入が減り続けているのに、今の高齢世代に社会保障給付を予定通り支給し、受益と負担の世代間格差は拡大していますが、まともな世代間格差是正の手立てをいつ示すのですか。

(3)消費税の増税分を上回る税収減が明らかなのだから、それを代替する対処方針を納得できる形で示してください

(4)消費税の増税分を上回る税収減で地方自治体の税収が減りますが、これがなくなることで生じる地方財政の収支悪化に、国としてどう対処するか


土居丈朗氏には一生説明できないでしょう。他に増税賛成派の方々でこれらの問に答えられる人がいたらぜひチャレンジしてください。

長々と説明してしまいましたが、稲田朋美自民党政調会長はこのような人物を経済ブレーンとしているというということです。

これは、非常にまずいでしょう。過去の主張が完璧に間違っていた、人物を経済ブレーンにするのはいかがなものでしょうか。

それにしても、経済成長なしに財政再建はなしということはもうすでにはっきりしているのに、稲田氏は、「財政健全化を経済成長に頼るのは雨乞いのようなものだ」という発言をしています。

真実は逆です。「財政健全化を増税に頼るのは雨乞いのようなものだ」です。

韓国式雨乞いの儀式 財政再建を増税に頼るのは結局これと同じ

それにしても、安保法制では憲法学者が「違憲」と述べてみたり、増税キャンペーンでは経済学者が「増税」すべきと述べてみたりで、何やら、似たような図式ではありませんか。

日本では、なぜか学者やマスコミが正論を退け、誤った道に大衆を導く空気のようなものが醸成され、それが醸成されてしまうと正論が通らなくなってしまようです。これは、昔から変わらない日本の病気です。大東亜戦争も、戦争の空気が醸成されてしまうと、正論が通らなくなり、戦争が拡大されていき、誰も止めようがなくなりました。

稲田朋美議員のように、結果として空気という得体のしれないものを判断材料にすべきではありません。特に政治家は、国の大きな、そうして重要な事柄に関して、空気に流されるべきではありません。あくまで、自分の目で、自分の頭で確かめるべきです。

それは、政治家だけではなく、私達もそうです。大勢の人が言っているから、権威者がそういうからなどの次元で物事を考えていたら、いつまでも他人に支配されるだけで、自分自らの行動はできくなくなってしまいます。私たちは、いつも自分自身の主人公になるべぎあって、他人に支配されるべきではありません。それが民主主義の基本です。

安保法制だろうが、財政再建だろうが、他のことでも、周りの空気に流されことなく、自分の情報を集め、地頭で考え抜いた上で結論を出すべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【関連図書】

結局のところ、日本の政治は官僚が主導しているところがまだまだ大きいです。官僚が政治に関与することは一概に悪いことではありませんが、意思決定はその時々の空気に流されることなく政治家、政府が地頭を使って行うべきものです。それすらも、官僚に譲ってしまえば、民主主義は成り立ちません。それを実感していただける産冊の書籍を以下にチョイスさせていただきこました。


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